説明

バーナ

【課題】燃焼量の増減に対して燃焼用空気の流速を略一定に保つことによって、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができるバーナを提供すること。
【解決手段】燃料を噴射するノズル5,6と、送風手段から送られる燃焼用空気を前記ノズル5,6から噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路3を備えるバーナ1において、外側記空気流路13の開口部16a近傍に、燃焼用空気の圧力を受けて開閉して前記開口部16aの開口面積を自動調整する自動開閉弁(開閉手段)19を設ける。例えば、前記自動開閉弁19を、燃焼用空気を受ける弁体と、該弁体を閉じ方向に付勢する捩りコイルバネ(付勢手段)を含んで構成し、前記捩りコイルバネの付勢力(バネ定数)を、外側空気流路13の開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ等の燃焼機器に用いられるバーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼機器を運転する場合、複数の燃焼位置において燃焼量を段階的に変化させたり、或いは燃料供給量を無段階に制御して燃焼量を連続的に変化させて発停回数を抑制し、燃焼の安定化と省エネルギを実現することが行われている。
【0003】
ところで、燃焼量を変化させるためのバーナとしては、燃料を噴射するノズルの周囲に一次空気を供給する内側空気流路(一次空気流路)と、その外側に二次空気を供給するために一次空気流路の外側に形成された外側空気流路(二次空気流路)を備えたものが多く使用されている。斯かるバーナにおいては、一次空気流量と二次空気流量との比は固定されている。
【0004】
上記構成のバーナを用いた燃焼機器においてターンダウン比(最小燃焼量:最大燃焼量)を大きくするために燃焼量を絞り、これに対応して空気流量も絞ると、ノズル周囲の空気流速(燃焼用空気量/流路面積)が低下し、燃料と空気との混合状態が悪化し、燃焼不良によって煤煙等が発生する可能性がある。又、バーナによっては空気流速の低下によって保炎が不安定となり、大きな燃焼音(振動音)が発生するという問題もある。このため、従来の燃焼機器においては、ターンダウン比は1:3〜1:4程度が限界となっていた。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、内側空気流路と外側空気流路のそれぞれにダンパ等の流量調整手段を設け、燃焼量を小さくする場合には外側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を絞り、ノズルの周囲に供給される燃焼用空気の流速の低下を抑制するようにしたバーナが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−344982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案されたバーナにおいては、燃焼量を小さくする場合、外側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を絞ることによって内側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を増加させて間接的に燃焼用空気の流速を上げるようにしているために制御が複雑となり、ノズル周囲の燃焼用空気の流速を効果的に調整することが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、燃焼量の増減に対して燃焼用空気の流速を略一定に保つことによって、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができるバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、燃料を噴射する燃料噴射口と、送風手段から送られる燃焼用空気を前記燃料噴射口から噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路を備えるバーナにおいて、前記空気供給路の開口部近傍に、燃焼用空気の圧力を受けて開閉して前記空気供給路の開口面積を自動調整する開閉手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記開閉手段を、燃焼用空気を受ける弁体と、該弁体を閉じ方向に付勢する付勢手段を含んで構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記付勢手段の付勢力を、前記空気供給路の開口部を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記空気供給路を、前記燃料噴射口の周囲に形成された内側空気流路とその外側に形成された外側空気流路とで構成し、前記開閉手段を前記外側空気流路の開口部近傍に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、空気供給路の開口部近傍に設けられた開閉手段は燃焼用空気の圧力を受けて開閉することによって空気供給路の開口面積が自動調整される。即ち、燃焼量が少なくなるに従って必要な燃焼用空気量の流量が減少し、開閉手段が燃焼用空気から受ける圧力が小さくなるために該開閉手段の開度が絞られ、空気供給路の開口面積も絞られるために空気供給路の開口部を通過する燃焼用空気の流速が空気供給路の開口面積が一定である場合のそれよりも高められる。従って、開閉手段によって空気供給路の開口面積が燃焼量の増減(必要な燃焼用空気の流量)に応じて自動制御され、空気供給路の開口部を通過する燃焼用空気の流速が略一定に保たれるため、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。そして、開閉手段の開度は燃焼用空気の圧力(流量)に応じて自動制御されるため、複雑な制御機構と制御が不要となる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、開閉手段を、燃焼用空気を受ける弁体と、該弁体を閉じ方向に付勢する付勢手段によって簡易に構成することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、付勢手段の付勢力を、空気供給路の開口部を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう設定したため、燃焼用空気の流速を各燃焼量に対して最適に設定することができ、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、内側空気流路を流れる空気は一次空気として燃料噴射口から噴射される燃料と混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼して燃料噴射口の下流側に火炎を形成し、外側空気流路を流れる空気は二次空気として前記火炎に供給されるが、外側空気流路の開口面積が開閉手段によって自動制御されることによって空気供給路全体としての開口面積が燃焼量の増減に応じて自動調整されるため、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るバーナの構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るバーナに設けられる自動開閉弁の斜視図である。
【図3】(a)は本発明に係るバーナの低燃焼時の状態を示す部分縦断面図、(b)は(a)のA部拡大詳細図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】(a)は本発明に係るバーナの中燃焼時の状態を示す部分縦断面図、(b)は(a)のC部拡大詳細図、(c)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】(a)は本発明に係るバーナの高燃焼時の状態を示す部分縦断面図、(b)は(a)のE部拡大詳細図、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るバーナの構成を示す縦断面図、図2は同バーナに設けられる自動開閉弁の斜視図、図3は同バーナの低燃焼時の状態を示す図であって、(a)は部分縦断面図、(b)は(a)のA部拡大詳細図、(c)は(a)のB−B線断面図、図4は同バーナの中燃焼時の状態を示す図であって、(a)は部分縦断面図、(b)は(a)のC部拡大詳細図、(c)は(a)のD−D線断面図、図5は同バーナの高燃焼時の状態を示す図であって、(a)は部分断面図、(b)は(a)のE部拡大詳細図、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【0020】
図1に示すように、バーナ1は、停止、低燃焼、中燃焼及び高燃焼の4つの段階で制御される4位置制御方式が採用されるボイラに使用されるものであって、燃料噴射部2と、不図示の送風手段と、空気供給路3及び制御部4を備えている。
【0021】
上記燃料噴射部2は、燃料を噴射する2本のノズル5,6と、該ノズル5,6に燃料を供給する燃料ポンプ(P)7を備えており、該燃料ポンプ7から延びて各ノズル5,6にそれぞれ接続される燃料供給管8,9の途中には開閉弁である電磁弁V1,V2が設けられている。尚、燃料ポンプ7は不図示の燃料タンクに接続されており、燃料ポンプ7からの燃料は燃料ポンプ7によって加圧され、電磁弁V1,V2が開くと燃料は燃料供給管8,9からノズル5,6へとそれぞれ供給され、各ノズル5,6の先端から所定量の燃料が噴射される。尚、本実施の形態では、燃料として液体の油燃料が使用されている。
【0022】
前記送風手段は、燃焼用空気の供給量を燃焼量の増減に応じて増減させる機能を有するものであって、図示しないが、燃焼用空気を送り出す送風ファンと、該送風ファンを回転駆動する電動モータと、該電動モータの回転数を制御するためのインバータを含んで構成されている。
【0023】
前記空気供給路3は、ノズル5,6の周囲を囲んでノズル5,6との間に内側空気流路(一次空気流路)10を形成する上下方向に配された円筒状の内筒11と、該内筒11の外側に同心状に上下方向に配された外筒12を備えており、内筒11と外筒12との間には円筒状の外側空気流路(二次空気流路)13が形成されている。
【0024】
上記内筒11と外筒12は、その外側を覆う垂直な第1ダクト14内に収容されており、第1ダクト14は水平な第2ダクト15を介して送風手段に接続されている。そして、二重筒を構成する内筒11と外筒12は第1ダクト14の底面に形成された円孔14aを貫通して第1ダクト14の下方へと延在しており、これらの内筒11と外筒12の各上端は第1ダクト14内にそれぞれ開口している。そして、内筒11と外筒12は、外筒12の外周に結着されたフランジ12aが第1ダクト14の底面に取り付けられることによって第1ダクト14に垂直に支持されている。
【0025】
又、内筒11と外筒12との間に形成された外側空気流路13の下端には環状プレート16が配置されており、この環状プレート16には図3(c)に示すように8つの矩形の開口部16aが同一円周上に等角度ピッチ(45°ピッチ)で形成されている。そして、内筒11と外筒12の下方には円筒状のミキシングケース17が配置されており、内側空気流路10はミキシングケース17内に連通しており、外側空気流路13は、環状プレート16に形成された8つの前記開口部16a及び各開口部16aに接続された矩形筒状の連通管18を介してミキシングケース17内に連通している。
【0026】
而して、本実施の形態では、外側空気流路13内であって、各開口部16aの入口部分には開閉手段である自動開閉弁19がそれぞれ設けられている。各自動開閉弁19は、外側空気流路13を流れる燃焼用空気の圧力を受けて開閉して各開口部16aの開口面積を自動調整するものであって、図2に示すように、矩形のベースプレート20と、該ベースプレート20にその基端部が軸21によって回動可能に軸支された矩形プレート状の弁体22と、軸21に巻装されて弁体22を常時閉じ方向に付勢する付勢手段としての捩りコイルバネ23によって構成されており、ベースプレート20の左右2箇所には円孔状の取付孔20aが形成されている。又、捩りコイルバネ23の一端はベースプレート20に係止され、他端は弁体22に係止されている。
【0027】
上記自動開閉弁19は、図3(b)に示すように、外筒12の下部内周に各開口部16a毎にそれぞれ水平に突設されたボス24の端面にベースプレート20を垂直に当て、該ベースプレート20に形成された取付孔20aに挿通するビス25を締め付けることによって各開口部16aの入口近傍に取り付けられ、弁体22が外側空気流路13を流れる燃焼用空気を受けることによって軸21を中心として回動して各開口部16aの開口面積を燃焼量(燃焼用空気の流量)に応じて自動調整する。ここで、捩りコイルバネ23の付勢力(バネ定数)は、外側空気流路13の開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が燃焼量(燃焼用空気の流量)の増減に対して略一定となるよう設定されている。
【0028】
前記制御部4は、例えばROMに格納された制御プログラムと、この制御プログラムを実行する演算部とを備えており、ボイラに設けられた不図示の制御装置から出力される燃焼制御(停止、低燃焼、中燃焼及び高燃焼)に関する制御信号を受けると、その制御信号に応じた送風量(燃焼空気の流量)に係る信号を送風手段に送信するとともに、駆動信号を燃料ポンプ7と電磁弁V1,V2にそれぞれ送信する。
【0029】
次に、以上のように構成されたバーナ1の作用について説明する。
【0030】
ボイラの運転を開始すると、ボイラは停止状態からプレパージ、プレイグニッション、着火トライ等の処理を経て低燃焼状態となる。この低燃焼状態において、制御部4は、送風手段に制御信号を送信して第2ダクト15に低燃焼状態に対応する小流量の燃焼用空気を図1に矢印にて示すように送り出すとともに、燃料ポンプ7と電磁弁V1に駆動信号をそれぞれ送信して燃料ポンプ7を駆動すると同時に一方の電磁弁V1を開く。すると、燃焼用空気は、第2ダクト15から第1ダクト14へと流れ、その一部は図1に矢印にて示すように内側空気流路10を下方へ向かって流れ、残りは図1に矢印にて示すように下方に向かって流れる。又、燃料は燃料ポンプ7によって加圧され、この加圧された燃料は電磁バルブV1と燃料供給管8を通ってノズル5へと供給され、該ノズル5の先端から所定量の燃料が下方に向けて噴射される。
【0031】
上述のようにノズル5から燃料が噴射されると、内側空気流路10を下方に向かって流れる空気は、一次空気としてノズル5から噴射される燃料とミキシングケース17内において混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼してノズル5の下流側に火炎を形成する。又、外側空気流路13を下方に向かって流れる空気は、各開口部16aとこれに接続された各連通管18を通って二次空気としてミキシングケース17内に形成された火炎に供給される、混合気の燃焼によって発生する熱がボイラでの蒸気の生成に供される。
【0032】
ここで、低燃焼時には送風手段から送り出される燃焼用空気の流量が少なく、内側空気流路10及び外側空気流路13を流れる流量も少ないため、外側空気流路13に設けられた各自動開閉弁19の弁体22に作用する燃焼用空気の圧力は小さく、この圧力によって弁体22を開こうとする力が該弁22体を閉じ方向に付勢する捩りコイルバネ23の付勢力よりも小さいために各自動開閉弁19は図3(a),(b)に示すように全閉状態にあり、各開口部16aは弁体22によって大きく絞られる。このため、各開口部16aの開口面積は図3(b)に斜線にて示すようにS1と最小になり、各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が開口部16aの開口面積が一定である場合のそれよりも高められる。この場合の燃焼用空気の流速u1は各開口部16aを通過する燃焼用空気の流量をQ1とすると、次式で求められる。
【0033】
u1=Q1/S1 … (1)
上述のように燃焼用空気の流量が少ない低燃焼時においては、自動開閉弁19が全閉となって外側空気流路13の各開口部16aの開口面積が絞られて各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速u1が開口部16aの開口面積が一定である場合のそれよりも高められるため、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好な安定した燃焼状態を維持することができ、燃焼不良による煤煙等の発生を防ぐことができる。
【0034】
次に、ボイラへの要求負荷が増大して不図示のスチームヘッダの圧力が中燃焼状態に対応する圧力まで低下すると、ボイラの制御装置から制御部4に対してバーナ1を中燃焼状態に移行するための信号が送信され、制御部4は、送風手段及び電磁弁V1,V2に対してそれぞれ制御信号を出力する。すると、送風手段からは中燃焼状態に対応する中流量の燃焼用空気が送り出されるとともに、電磁弁V1が閉じられ、電磁弁V2が開かれる。すると、燃料ポンプ7によって加圧された燃料は、電磁弁V2と燃料供給感9を通ってノズル6へと供給され、ノズル6からは中燃焼に必要な量の燃料が噴射されて燃焼に供される。
【0035】
上述のように中燃焼状態において送風手段から中流量の燃焼用空気が送り出されると、外側空気流路13を下方へ向かって流れる燃焼用空気の流量は低燃焼時のそれよりも多く、それに応じて燃焼用空気の圧力も低燃焼時のそれよりも高くなる。従って、この燃焼用空気の圧力を受ける各自動開閉弁19の弁体22に作用する開き方向の力は弁体22を閉じ方向に付勢する捩りコイルバネ23の付勢力よりも大きくなり、図4(a),(b)に示すように弁体22は捩りコイルバネ23の付勢力に抗して軸21を中心として矢印方向(時計方向)に回動して所定開度まで開く。この結果、外側空気流路13の各開口部16aは、図3に示す低燃焼時の状態から開き、図4(c)に示すように各開口部の開口面積S2は図3(c)に示す低燃焼時の開口面積S1よりも大きくなる(S2>S1)。つまり、燃焼用空気の流量(圧力)によって自動開閉弁19の開度が自動調整され、燃焼用空気の流量(圧力)の増加に伴って各開口部16aの開口面積も増大する。
【0036】
従って、この中燃焼状態において外側空気流路13の各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速u2は、各開口部16aを通過する燃焼用空気の流量をQ2とすると、次式で求められる。
【0037】
u2=Q2/S2 … (2)
上述のように燃焼用空気の流量が中程度である中燃焼時においては、自動開閉弁19が燃焼用空気の流量(圧力)に応じて中程度開かれ、外側空気流路13の各開口部16aの開口面積がS2に絞られて各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速u2が開口部16aの開口面積が一定である場合のそれよりも高められるため、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好な安定した燃焼状態が維持される。
【0038】
次に、ボイラへの要求負荷が更に増大して不図示のスチームヘッダの圧力が高燃焼状態に対応する圧力まで低下すると、ボイラの制御装置から制御部4に対してバーナ1を高燃焼状態に移行するための信号が送信され、制御部4は、送風手段と電磁弁V1,V2に対してそれぞれ制御信号を出力する。すると、送風手段からは高燃焼状態に対応する大流量の燃焼用空気が送り出されるとともに、両電磁弁V1,V2が共に開かれ、燃料ポンプ7によって加圧された燃料は電磁弁V1,V2と燃料供給管8,9を通ってノズル5,6へと供給され、両ノズル5,6から高燃焼に必要な量の燃料が噴射されて燃焼に供される。
【0039】
上述のように高燃焼状態において送風手段から大流量の燃焼用空気が送り出されると、外側空気流路13を下方へ向かって流れる燃焼用空気の流量は中燃焼時のそれよりも更に多く、それに応じて燃焼用空気の圧力も中燃焼時のそれよりも高くなる。従って、この燃焼用空気の圧力を受ける各自動開閉弁19の弁体22に作用する開き方向の力によって弁体22は図5(a),(b)に示すように捩りコイルバネ23の付勢力に抗して軸21を中心として矢印方向(時計方向)に回動して全開状態となる。この結果、外側空気流路13の各開口部16aは、全開状態となり、その開口面積S3は図5(c)に示すように最大となる。つまり、燃焼用空気の流量(圧力)によって自動開閉弁19の開度が自動調整され、燃焼用空気の流量(圧力)が最大となる高燃焼時には各開口部16aの開口面積もS3と最大となる(S3>S2>S1)。
【0040】
従って、この高燃焼状態において外側空気流路13の各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速v3は、各開口部16aを通過する燃焼用空気の流量をQ3とすると、次式で求められる。
【0041】
u3=Q3/S3 … (3)
上述のように燃焼用空気の流量が最大である高燃焼時においては、自動開閉弁19が全開状態となって各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速u3が燃料と空気の混合が良好になされる程度に保たれ、良好で安定した高燃焼状態が維持される。
【0042】
以上のように、本実施の形態では、空気供給路3の一部を構成する外側空気供給路13の各開口部16a近傍に設けられた自動開閉弁19は、燃焼用空気の圧力を受けて開閉することによって各開口部16aの開口面積を燃焼量(燃焼用空気の流量(圧力))に応じて自動調整する。即ち、燃焼量が小さくなるに従って必要な燃焼用空気量の流量が減少し、自動開閉弁19が燃焼用空気から受ける圧力が小さくなるに従って該自動開閉弁19の開度が絞られ、外側空気供給路13の開口部16aの開口面積も絞られるため、各開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が各開口部16aの開口面積が一定である場合のそれよりも高められる。
【0043】
ところで、本実施の形態では、前述のように自動開閉弁19の弁体22を閉じ方向に付勢する捩りコイルバネ23の付勢力(バネ定数)を外側空気流路13の開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が燃焼量(燃焼用空気の流量)の増減に対して略一定となるよう設定したため、自動開閉弁19によって外側空気供給路13の開口部16aの開口面積が燃焼量の増減(必要な燃焼用空気の流量)に応じて自動制御され、外側空気流路13の開口部16aを通過する燃焼用空気の流速が流量に関わらず略一定に保たれる。この結果、特に低燃焼時の燃焼用空気の流速不足に伴う燃焼不良を招くことなく、簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。そして、この場合、自動開閉弁19の開度は燃焼用空気の圧力(流量)に応じて自動制御されるため、専用の制御機構が不要となり、自動開閉弁19の複雑な制御も不要となる。
【0044】
又、本実施の形態では、開閉手段である自動開閉弁19を、燃焼用空気を受ける弁体22と、該弁体22を閉じ方向に付勢する付勢手段である捩りコイルバネ23によって簡易に構成することができる。
【0045】
更に、本実施の形態では、内側空気流路10を流れる空気は一次空気としてノズル5,6から噴射される燃料と混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼してノズル5,6の下流側に火炎を形成し、外側空気流路13を流れる空気は二次空気として前記火炎に供給されるが、外側空気流路13の開口部16aの開口面積が自動開閉弁19によって自動制御されることによって空気供給路3全体としての開口面積が燃焼量の増減に応じて自動調整され、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができるという効果が得られる。
【0046】
尚、以上は本発明を4位置制御方式を採用するボイラに設けられるバーナに対して適用した形態について説明したが、本発明は、停止、低燃焼及び高燃焼の3位置制御方式を採用するボイラのバーナや燃焼量を無段階で連続的に変更する制御方式を採用するボイラのバーナ対しても同様に適用可能であることは勿論である。又、ボイラの他、吸収式冷凍機等のバーナに対して適用可能であって、特に油燃料を燃焼させるバーナに好適であるが、ガス燃料を燃料とするバーナに対しても適用可能である。ガスを燃料とするバーナにあっては、油を燃料とする前記実施の形態に係るバーナにおけるノズルに代わるものとして燃料噴射口が存在する。このため、本発明に係るバーナにおいては、燃料噴射口はノズルを含む概念である。
【符号の説明】
【0047】
1 バーナ
2 燃料噴射部
3 空気供給路
4 制御部
5,6 ノズル(燃料噴射口)
7 燃料ポンプ
8,9 燃料供給管
10 内側空気流路
11 内筒
12 外筒
12a 外筒のフランジ
13 外側空気流路
14 第1ダクト
14a 第1ダクトの円孔
15 第2ダクト
16 環状プレート
16a 環状プレートの開口部
17 ミキシングケース
18 連通管
19 自動開閉弁(開閉手段)
20 自動開閉弁のベースプレート
20a ベースプレートの取付孔
21 自動開閉弁の軸
22 自動開閉弁の弁体
23 捩りコイルバネ(付勢手段)
24 ボス
25 ビス
V1,V2 電磁弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴射する燃料噴射口と、送風手段から送られる燃焼用空気を前記燃料噴射口から噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路を備えるバーナにおいて、
前記空気供給路の開口部近傍に、燃焼用空気の圧力を受けて開閉して前記空気供給路の開口面積を自動調整する開閉手段を設けたことを特徴とするバーナ。
【請求項2】
前記開閉手段を、燃焼用空気を受ける弁体と、該弁体を閉じ方向に付勢する付勢手段を含んで構成したことを特徴とする請求項1記載のバーナ。
【請求項3】
前記付勢手段の付勢力を、前記空気供給路の開口部を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう設定したことを特徴とする請求項2記載のバーナ。
【請求項4】
前記空気供給路を、前記燃料噴射口の周囲に形成された内側空気流路とその外側に形成された外側空気流路とで構成し、前記開閉手段を前記外側空気流路の開口部近傍に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のバーナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−47404(P2012−47404A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190232(P2010−190232)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】