説明

バー重量相殺システム付きバー遮断器

電動バー遮断デバイスであって、バーを支持するシャフト(14)と、シャフトを回転させるためのモータユニット(12)と、バーの重量によってシャフトに生じるモーメントを相殺するためのユニット(13)を含み、相殺ユニット(13)は、シャフトに、同軸に巻き付けられたトーションバネ(13)を有し、トーションバネは、シャフト(14)がニュートラル位置から始まる第1方向に回転されるときにバネを巻くようにシャフトの回転によって押される第1端(27)と、シャフト(14)がニュートラル位置から始まる第2の反対方向に回転されるときに、バネを巻くようにシャフトの回転によって押される第2端(28)を有する。この方法で、システムは、ニュートラル位置から始まる両回転方向に、バーの重量によって生じるモーメントの相殺を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り合いシステムを調整する必要なしに、バーを右開き又は左開きに適合することを可能にする電動バー遮断デバイスに関する。バー遮断デバイスの場合には、バーの重量によって生じるモーメントを少なくとも部分的に相殺するニーズが知られている。このモーメントは、バーの垂直位置から水平位置への移動中、又は水平位置から垂直位置への移動中、大きく変わる。
【0002】
この相殺を行うために、種々の機構が提案されてきた。例えば、デバイスのフレームと、バー回転シャフトから突出する適当なアームとの間に連結された螺旋釣り合いホイールが提案されていた。水平位置に向かうバーの回転中、バネの伸びは、バーの重量のモーメントを相殺する傾向がある。左開きではなく、右開きをしなければならないとき、バネの固定箇所を対象に移動させなければならないか、デバイス全体をその垂直軸線を中心に180°だけ移動させなければならないかの何れかであり、従って、出口シャフトは常に同じ回転を完了する。第1の解決策は、特にバネの強い引っ張りにより、必ずしも容易ではない手動介入を要求する。第2の解決策は、2つの対照をなす対の遮断器が同じ通路の両側に使用されているときに、(反対方向に回された)右遮断器の外観が左遮断器に関して非対称な姿を引き起こす。その上、バーの手動解放機構が、アクセスを制限する壁の方に向けられていることに気付くことがあり、その結果、パワードライブの故障又は停電の場合に操作の困難性又は不可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
場所をとらずにより良い釣り合いを得るために、バーの回転軸線上に配置されるトーションバネを使用することの提案もなされた。しかしながら、この解決策では、シャフト上のバネを取り外し、且つ逆にしなければならないので(何れにせよ取り除く必要がある)、バネの作用方向の変化がむしろ複雑になる。この理由のために、トーションバネの場合には、上述の非対称の問題に関して、遮断デバイス全体を180°だけ回転させることに優先が与えられる。
【0004】
本発明の一般的な目的は、右開き又は左開きバーに無関係に相殺することができる釣り合いシステム付き遮断デバイスを提供して上述の欠点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的に照らして、本発明によれば、バーを支持するシャフトと、シャフトの回転のためのモータユニットと、バーの重量によってシャフトに生ずるモーメントを相殺するためのユニットを含み、相殺ユニットは、シャフトに同軸に巻き付けられたトーションバネを有し、トーションバネは、シャフトがニュートラル位置から始まる第1方向に回転されるときにバネを巻くように、シャフトの回転によって押される第1端と、シャフトがニュートラル位置から始まる第2の反対方向に回転されるときに、バネを巻くように、シャフトの回転によって押される第2端を有し、ニュートラル位置から始まる両回転方向において、バーの重量によって生じたモーメントの少なくとも部分的な相殺を行うようになっている電動バー遮断デバイスが作られた。本発明の革新的な特徴及び最新技術に対する本発明の利点をより明確にするために、添付図面の助けをかりて、このような原理を適用した、可能性のある例示の実施形態の説明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による遮断デバイスの部分概略斜視図である。
【図2】図1のデバイスの概略平面図である。
【図3】図1のデバイスの後ろ部分の部分概略斜視図である。
【図4】図1のデバイスの解放要素の部分概略斜視図である。
【図5】壁留め具を備えた図1の遮断デバイスの後斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照して、図1は、全体的に10で示すバー遮断デバイスを(閉鎖カバーを破線で、且つ取り外して)示す。
【0008】
装置10は、モータユニット12と、回転シャフト14に連結された釣り合いユニット13を収容する本体11を含み、バー16を取り付けるためのプレート15が、回転シャフト14に固定される。
【0009】
或るカバーを部分的に取り除いた図2でより良く分かるように、(一対のベアリング17及び18によって支持された)回転シャフト14は、ギア19を支持し、このギア19にギアモータ21のピニオン20が噛み合わされる。有利には、後で明らかになるように、ギア19は、(必要ならば、図示しないキーカバーによって保護された)操作レバー23によって駆動される解放システム22によって、解放可能な方法でシャフトに係合される。
【0010】
シャフト14は、釣り合いユニット13のトーションバネ24を横切って後端が突出してアーム25を一体的に支持し、アーム25は、シャフト14と平行に、且つシャフト14から或る距離に半径方向に位置決めされたスラストピン26を支持する。
【0011】
バネは、シャフトが(垂直位置におけるバーに相当する)ニュートラル位置から始まる第1方向に回転されるときにバネを巻くように押される第1端27と、シャフトがニュートラル位置から始まる第2の反対方向に回転されるときにバネを巻くように押される第2端28を有する。
【0012】
具体的には、図2で再び明確に分かるように、バー垂直位置では、トーションバネ24は、ピン26の両端に、バネの引っ張り方向に対象的に当たるように、半径方向に延びる2つの端27及び28を有する。トーションバネは、有利には、所望の力でバーの垂直位置の安定支持を助力するように、予め載荷される。
【0013】
ニュートラル位置から始まってバネを巻くために、ピンのスラスト方向と反対方向における、バネの各端の移動を停止するために、バネの端の一方向停止手段が在る。これらの手段は、有利には、バネのカバーシェルに形成され、バネの端部が通る裂け目29,30の底又は端部で作られる。
【0014】
バーは、その閉鎖運動を完成するために、有利には、2つの機械式停止部の間で、90°だけ(図に示す場合には反時計方向に)回転しなければならない。2つの機械式停止部のうちの一つは、もう一つの固定停止部が設けられている場合、ロッドの逆回転を生じさせるとき、レバーは同じ垂直位置からスタートするが、反対方向に回転しなければならないので、可動式である。
【0015】
図3により良く示すように、移動中、後方レバー25は、垂直位置(実線で示す)から水平位置(破線で示す)まで90度だけ回転する。機械式停止手段は、シャフトの回転運動をバーの垂直位置と水平位置の間に制限すると予想される。このような手段は、バーの垂直位置に対して、時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかに水平位置を選択的に有するように調整可能である。
【0016】
2つの位置間の移動は、有利には、各々、垂直位置停止部31及び水平位置停止部32によって限界が定められる。(図2に示すように)更なる反時計方向の移動、又は(図2に破線で示すように、プレートをレバーの右にひっくり返すことによって)時計方向の移動を妨げ、これによって可動停止部を実現するように取り付けることができる。この後者の場合、レバーの水平位置を左にひっくり返し、水平停止部は、(停止部32に対して反映される)停止部33となる。
【0017】
デバイスが図におけるように取り付けられる場合、レバーが(図1において反時計回りの移動で)垂直位置から水平位置に通るとき、ピン26がバネの端27を移動させ、端28は、停止座部30によって端28が制止されたままになる。遮断器が反対方向に作動するように要求されるとき、垂直停止部31を簡単に切り替え、従って、ギアモータが適切に作動されるとき、バーは、垂直位置から水平位置まで時計回り方向に移動し、ピン26がバネの端28を移動させ、端27は、停止座部29によって制止されたままである。何れの場合も、(バーの重量に因って適宜寸法決めされた)トーションバネは、完全に対称な方法で、要求される釣り合い効果を生ずる。
【0018】
(図に示すように)回転軸線に対して芯ずれした場合には、右開き及び左開きの両方の場合に完全に対称である移動を得るように、プレート15及びこのプレートにあるバーの位置を逆にする可能性も存在する。
【0019】
図4は、バネの釣り合い作用を常に維持しながらバーを手動で操作しなければならないときに作動されるべきバー解放システムをより詳細に示す。先に説明したように、解放の目的は、バーを、逆回転できないギアモータから自由にすることである。
【0020】
この目的のために、解放システムは、ギア19とシャフト14の間の係合の解放可能な手段を含む。有利には、係合手段は、細長い要素35を含み、細長い要素は、スラストバネ37の作用に抗して軸方向にスライドできるように、シャフトに設けられたスロット又は溝36で、シャフト14を直交して横切る。バネ37は、要素35を、ギア19と一体で且つシャフト14上で自由に回転するブッシュ39の半径方向座部38の中に押し込む。
【0021】
(図2に破線で示す)作動ピン40が、レバー23を作動することによって要素35を押して、要素35をブッシュから外すために、シャフト14内で軸方向にスライドすることができる。
【0022】
有利には、ロッドを中間位置で再制止できるように、ブッシュ39は、或る角度(例えば30°毎)に隔てられた半径方向座部を有する。
【0023】
この時点で、釣り合いデバイスに介入する必要なしに、バーを両方向に釣り合わせることを可能にするデバイスを提供する、本目的を達成する方法が明らかである。ロッドの釣り合いは、バーの移動中に巻かれるトーションバネの付属物を回転させることによって行われる:反対の用途でロッドを釣り合わせるために、(支持体によって要求されるならば)ロッドを180°だけ単純に回転させ、可動停止部を回転させ、この方法で、出口シャフトは、反対方向に回転することによって、他の付属物を移動させ(第1の付属物は依然として留まる)、バーの釣り合いを可能にする。
【0024】
説明したデバイスの更なる利点は、入口に二つの対照をなす遮断器があるときに、同じ側に解放を有することにある。
【0025】
普通の遮断器とは異なり、ロッドの釣り合い化は、有利には、バネのねじりと正比例するモーメントによって行われることに気付くべきである。この方法で、バーの重量に応じてバネを適宜選択することができ、従って、バネによって発生されるモーメントは、バーの重量によって発生される反対のモーメントと大変にており、バーの移動中ずっと、モータは、最小の荷重で作動することができ、従って、殆ど最高のアイドリング速度で回転できる。
【0026】
ロッドは、有利には、ロッドの最大長では回転中心に対して、同じ静モーメントを有するように、且つロッドを(或る限度内で)短くしたとき、失われた静モーメントを相殺するのに適当な重さを加えて最良の遮断器操作を確証するように寸法決めすることができる。この方法により、異なるロッドの長さのために、幾つかのバネを有する必要がなくなる。
【0027】
本発明によるデバイスは、相殺システムの革新的な構造のおかげで、従来技術の伝統的な基台なしに、壁に直接固定することができる新規な特徴を有し、これによりデバイスは、垂直方向においてコンパクトな形状及び限られた奥行きを有し、前での解放及びアクチュエーター本体を回転させることなしにバーの開閉方向の反転性を有する。図5は、有利には、本体11に固定でき、且つ背面に壁取り付けのための固定手段42(例えば、スクリューアンカーを有する穴)を有する支持部41を備えた図1のデバイスを示す。
【0028】
当然のこととして、本発明の革新的な原理を適用した実施形態の上記説明は、このような革新的な原理の例示であり、ここに請求する特許権の範囲の限定として理解すべきではない。例えば、回転軸線に対するバーの位置、及びバーの取り付けシステムは、美的性質を含む特定の要求に応じて変えることができる。必要であれば、2つの極端なバー回転位置の機械式停止部と干渉するアームを、必要ならばスラストピン26の支持アームから分離することができる。バー解放手段は無くてもよく、又は有利に説明したものとは異なってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動バー遮断デバイスであって、
バーを支持するシャフト(14)と、シャフトを回転させるためのモータユニット(12)と、バーの重量によってシャフトに生ずるモーメントを相殺するためのユニット(13)を含み、相殺ユニット(13)は、シャフトに、同軸に巻き付けられたトーションバネ(13)を有し、トーションバネは、シャフト(14)がニュートラル位置から始まる第1方向に回転されるときにバネを巻くようにシャフトの回転によって押される第1端(27)と、シャフト(14)がニュートラル位置から始まる第2の反対方向に回転されるときに、バネを巻くようにシャフトの回転によって押される第2端(28)を有し、ニュートラル位置をから始まる両回転方向において、バーの重量によって生じるモーメントの少なくとも部分的な相殺を行うようになっている、
バーの電動遮断デバイス。
【請求項2】
シャフト(14)は、バネの二つの端(27,28)の択一的なスラストによって、スラストピン(26)を支持し、スラストピンは、ピン(26)を反対方向から押すように半径方向に突出したバネの二つの端の間に在るようにシャフトと平行で、且つ半径方向距離にあり、他端でのピン(26)のスラスト移動中、巻く方向と反対方向におけるバネの各端(27,28)の移動を阻止する一方向停止手段(30)が設けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
トーションバネ(24)は、バーの重量によって発生されるモーメントと実質的に同じでかつ正比例するパターンでバネによって発生されるモーメントを有するように選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
一方向停止手段は、バネのカバーシェルに形成された、バネの端(27,28)が通る2つの裂け目(29,30)の端部から成る請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
機械式停止手段(31,32,33)が、バーの垂直位置とバーの水平位置との間でのシャフトの回転移動を制限するようになっている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
機械式停止手段は、水平バーを垂直位置に対して時計回り方向又は反時計回り方向にした位置を択一的に有するように調整可能である請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
停止手段は、シャフト(14)から半径方向に突出するアームが干渉する、第1の垂直位置停止部(31)と、少なくとも一つの第2水平位置停止部(32)とを含む請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
垂直位置停止部(31)は、シャフト(14)から突出するアーム(25)の、択一的に時計回り又は反時計回りの更なる回転を阻止するために取り付け可能である反転可能なプレートの形状に作られる請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
シャフト(14)は、バネの二つの端(27,28)による択一的な押し込みによって、シャフトと平行であり、且つ反対方向からピン(26)を押すように半径方向に突出してバネの二つの端の間に在るように半径方向距離にあるスラストピン(26)を支持し、一方向停止手段(29,30)が、他端に作用するピン(26)のスラスト移動中、バネの各端(27,28)の巻き上げ方向と反対の方向における移動を防止するために設けられており、アーム(25)が、シャフト(14)にあって、スラストピン(26)の支持体として作用する請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
モータユニットは、解放システム(22,23)によって解放可能な方法でシャフト(14)に動的に連結される請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
解放システムは、シャフト(14)上で回転でき、且つモータユニット(12)のギアモータ(21)のピニオン(20)と連結されたギア(19)と、シャフトとギアの間の、解放可能な係合手段(35,39)と、解放可能な手段を係合位置と非係合位置の間で手動操作するためのレバー(23)との組み合わせを含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
レバー(23)は、バーをシャフト(14)で支持するプレート(15)上に位置決めされている請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
解放可能な手段は、ギア(19)と一体になったブッシュ(39)の半径方向座部(38)内にある係合位置と、座部(38)からの非係合位置との間でシャフト上で軸線方向のスライド可能な、細長いスロット(36)の位置でシャフト(14)を直交して横切る細長い要素(35)を含み、レバーは、バネ(37)の移動に対して、細長い要素の係合位置から非係合位置への移動を引き起こすために、細長い要素(35)に動的に連結されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
レバー(23)は、シャフト(14)内で軸線方向にスライドする操作ピン(40)によって細長い要素(35)に動的に連結されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
ブッシュ(39)は、複数の角度的に隔たれ複数の半径方向座部(38)を含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
壁固定用支持手段(41,42)を含む、請求項1に記載のデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−520978(P2010−520978A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553046(P2009−553046)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001736
【国際公開番号】WO2008/110289
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(509254096)ジーニアス ソシエタ ペル アチオニ (1)
【Fターム(参考)】