説明

パイプサポートの斜め受金具

【課題】 安定した強度を維持しつつ、施工性にも配慮したパイプサポートの斜め受金具を提供する。
【解決手段】 コンクリートスラブ20上に固定手段で固定し、パイプサポートSの方形状の台板6を受止するパイプサポートの斜め受金具であって、コンクリートスラブ20に固定する中央部片1の両側に側部片2,2を相対して立設して構成する。側部片2,2の上縁に、水平状の底縁3cを介して前、後縁3b,3aを相対して構成した係合切欠3を上縁に設け、該係合切欠の前記前縁3bの上部に、係合切欠3に傾斜状に係合したときの前記台板6の前端6´に相対する規制縁3b´´を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に壁型枠の建て入れ調整に使用するパイプサポートの斜め受金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の壁を構築するに際し、傾斜状に配したパイプサポートの上端側を壁型枠の横端太材に取付け、下端側の方形状の台板をコンクリートスラブ上に取付けた受金具に受止させてパイプサポートを前記壁型枠を支持させるようにしているが、受金具に台板を支持させるには、該受金具の先端(前記壁型枠側)に設けた立上り部片の上端と、前記コンクリートスラブ面との間に前記台板を渡すように配し、パイプサポートからの荷重を受け、壁型枠を支持するようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)
【特許文献1】実開平6−16609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来構造のものは、コンクリートスラブ面と受金具とでパイプサポート側からの荷重を受けるので、誤作業によって、受金具すなわち立上り部片に台板が片当りしたまま施工されると、前記荷重を有効に伝達できないばかりでなく、荷重の大きさによっては立上り部片(受金具)から台板が外れたり、或いは一側に偏した無理な荷重によって破損したりする場合がある。
【0004】
本発明は、斯様な従来例の欠点を除去し、安定した強度を維持しつつ、施工性にも配慮し、しかも、製造が簡単で、従って、安価なパイプサポートの斜め受金具を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
コンクリートスラブ上に固定手段で固定し、パイプサポートの方形状の台板を受止するパイプサポートの斜め受金具において、水平状の底縁を介して前、後縁を相対して構成した係合切欠を備え、該係合切欠の前記前縁の上部に、係合切欠に傾斜状に係合したときの前記台板の前端に相対する規制縁を設けたことを基本的手段とし、この基本的手段に、前縁を、底縁側の下縁から上端方向に略垂直状の後縁より次第に離開する傾斜状の下部と、該下部と反対方向に傾斜する、上部側の規制縁とで構成した点を付加することにより、パイプサポートとコンクリートスラブとのなす角度が変化しても、常にパイプサポートのほぼ軸線上にサポート受け部の角部が位置した状態で、荷重を受けられることを期待でき、また、単一なアンカーボルトを固定手段とした点を付加することにより、パイプサポートの台板が負荷荷重によって外れようとしても、金物自体があと施工アンカーを中心として、パイプサポートの軸線方向と金物の軸線方向が平行状態になるまで回転するので、確実に台板を受止することができる。
【0006】
また、前記の手段に金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して立設した側部片とで成り、側部片に係合切欠を設けた構成や金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して側部片を立設し、該側部片の間の、前記中央部片の部分を切り起こして規制部片を立設し、該規制部片と、前記中央部片の後端側を折り返して設けた折り返し片の前記規制部片に相対する前部片および前記側部片で画定する空間部を係合切欠とした構成或いは金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して側部片を立設し、前記中央部片の後端側を折り返して、角形の折り返し部と該折り返し部に前記中央部片上に載せた水平部を介して連設した傾斜部状の先部とで成る折り返し片を設け、該折り返し片の前記折り返し部の前部片と、前記先部および前記側部片で確定する空間部を係合切欠とした構成を付加することにより製造が簡単で、従って、安価な製品を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、片当たりに伴うパイプサポートの台板の外れや本金物の破損を防止でき、確実にパイプサポートの荷重を受けることが可能で、施工性を向上させた、パイプサポートの斜め受金具を提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は、本発明に係るパイプサポートの斜め受金具の実施例を示し、図1は第一実施例の正面図、図2は図1の平面図、図3は図1の側面図、図4は第一実施例の使用状態を示す正面図である。また、図5は第二実施例の正面図、図6は図5の平面図、図7は第三実施例の正面図、図8は図7の平面図である。
【0009】
図中、A,A´,A´´はパイプサポートの斜め受金具で、斜め受金具A,A´,A´´は、図4で示す第一実施例の使用状態図のように、コンクリートスラブ20に該スラブ20に固定したあと施工アンカー21を利用して固定し、壁型枠22に配した横端太材23に上端側の受板6Aを係止したパイプサポートSの下端の台板6を受止するようにして用いるもので、図示の場合は、パイプサポートSの反力を保持する、一端を前記横端太材23に係止した、チェーン24の他端を係止して用いるようにしてあるが、場合によってはこのチェーン24の他端に設けたフック25を係止する透孔8を省略したものであっても不都合はない。すなわち、チェーン24を省略して傾斜状に配して用いるパイプサポートの受金具であれば本発明を提供するに不都合はない。
【第一実施例】
【0010】
図1乃至図2で示す、パイプサポートの斜め受金具Aは、金属板を屈曲して構成し、前後方向に長い中央部片1の後端に偏した両側に、一対の側部片2,2を相対して立設し(側部片2,2の間隔幅はパイプサポートSの正方形の台板6の横幅より狭く、従って、台板6は側部片2,2に掛渡して後記する係合切欠3に部分的に係合される)、該側部片2の後端側の高さ幅の広い部分2aに、上端面開口の係合切欠3を設けて、該係合切欠3の前側構成片を規制部片4、後側構成片を受圧部片5とし、これら部片4,5で構成する前記係合切欠3に前記台板6を、その前端6´側から嵌挿するように係合させて受止させるようにすると共に、前記中央部片1の、中間部に前記あと施工アンカー21の挿通孔7を設け、さらに、前記側部片2を省略した先端部1aを、上方に折り曲げて前記フック25を係止する透孔8を設けたものである(折り曲げた先端部1aに透孔8を設けたのは前記フックを引っ掛け易くするためである)。
【0011】
前記係合切欠3は、前記受圧部片5で構成するほぼ垂直線状にした後縁3aと、該後縁3aに相対し、しかも、上端に至るに従って次第に前記後縁3aより離開する傾斜状にした前縁下部3b´を略水平状の底縁3cを介して互いに連続させ、該前縁下部3b´の上端には該下部3b´と反対方向の傾斜状として前縁上部を構成する規制縁3b´´とで成る凹入形状としたもので、この係合切欠3の後縁3a側は前記受圧部片5で、また、前記前縁下部3b´と前縁上部である規制縁3b´´で構成する前縁3b側は該受圧部片5より低い前記規制部片4で構成したものである。
【0012】
そして、コンクリートスラブ20上に先端を突設したあと施工アンカー21のボルト部に挿通孔7を外嵌して該挿通孔7より突出するボルト部先端にナット26を螺合して本斜め受け金具Aをコンクリートスラブ20上に固定し、パイプサポートSの上端を型枠22の横端太材23に係止するようにして下端の台板6を係合切欠3に台板6の前端6´側から嵌挿するようにして係合し、サポートSに装備した長さ調節機構(図示省略)を操作して台板6を本金具Aに圧接させるようにして本斜め受け金具Aを用いるである。
【0013】
なお、第一実施例は、前記の通り、斜め受け金具Aを金属板を屈曲成形して一対の側部片2,2をそれぞれ互いに一致するように設け、この側部片2,2に台板6を掛け渡すようにして(従って、側部片2,2間の幅より台板の横幅は広い)、係合切欠3に係合するようにしているが、斜め受金具Aをブロック体で構成し、係合切欠を単一構造のもの(実施例の側部片2,2それぞれに設けてあるものに対し)で構成しても良い。
【第二実施例】
【0014】
図5と図6で示す第二実施例の、パイプサポートの斜め受金具A´は、第一実施例の斜め受金具Aが、係合切欠3を金属板を屈曲して、中央部片1の両側に相対して立設した側部片2の上縁を上端面開口状にして、係合切欠3を、一対の側部片2,2のそれぞれに設け(このため、素材に無駄が生じる)、該係合切欠3,3に台板6を掛け渡すようにし、係合切欠2を単一部材(側部片2のみで)で構成させたものであるに対し、該係合切欠103を複数部片で構成したものである。
【0015】
すなわち、第二実施例の斜め受金具A´は、金属板を屈曲して構成し、前後方向に長い中央部片101の中間部の相対する両側に長方形状乃至帯状の側部片102,102を相対して立設し、前記中央部片101の、側部片102部から後方に突出する後部を、先端(下端)が前記側部片102の上縁より下方に位置するように、角形(実施例は三角形であるが四角形でも良い)に折り返して折り返し片105を設け、該折返し片105の前部片を受圧部片105aとする一方、前記側部片102,102を両側に配した中央部片101の前記中間部を切り起こして前記受圧部片105aに相対する規制部片104を設け、さらに、側部片102,102を省略した先端部101aを、第一実施例のものと同様に、上方に折り曲げて前記フック25を係止する透孔108を設けたものである。そして、第二実施例の前記係合切欠103は、前記規制部片104と側部片102および受圧部片105aで画定され、投影図として表わすことのできる空間域(投影形状的な)で構成する。
【0016】
すなわち、係合切欠103は、前記受圧部片105aで構成する後方上り傾斜状の後縁103aと、該後縁103aに相対し、しかも、上端に至るに従って次第に前記後縁103aより離開する傾斜状にした、前記規制部片104で構成する前縁下部103b´を前記側部片2の上縁で構成する水平状の底縁103cを介して互いに連続させ、前縁下部103b´の上端には該下部103b´と反対方向の傾斜状として係合切欠103の前縁103b上部を構成する規制縁103b´´とで成る側面視凹入形状で構成したもので、前記の通り、この係合切欠103の後縁103a側は前記受圧部片105aで、また、前記前縁下部103b´と前縁上部である規制縁103b´´で構成する前縁103b側は受圧部片105aより低い前記規制部片104で構成したものである。
【0017】
なお、図示107は第一実施例と同様に利用するあと施工アンカーの挿通孔である。
【0018】
そして、第一実施例と同様にパイプサポートSの台板6を係合切欠103に係合させるようにして用いるのである。
【第三実施例】
【0019】
図7および図8で示す第三実施例は、第二実施例と同様に係合切欠203を複数の部片で構成し、規制部片104を第二実施例が中央部片101を切り起こして構成してあるに対し、第二実施例と同様に形成した折り返し片205の受圧部片205aの先端を、更に延長させて中央部片201と重なり合う水平状の仲介部片の先端に第二実施例の規制部片104と略同様の規制部片204を連設し、受圧部片205aと規制部片204および側部片202で側面視凹入形状の係合切欠203を構成させたものである。
【0020】
すなわち、第三実施例の斜め受金具A´´は、金属板を屈曲して構成し、前後方向に長い中央部片201の中間部の相対する両側に、第二実施例と同様に側部片202を相対して立設し、前記中央部片201の、側部片202部から後方に突出する後端を折り返して、角形(実施例は三角形であるが四角形でも良い)の折り返し部205Aと、該折り返し部205Aに前記中央部片201に載せた水平部205Bを介して連設した傾斜状の先部205Cとで成る折り返し片205を設け、該折り返し片205の折り返し部205Aの、実施例では傾斜状の前部片を受圧部片205aとし、折り返し片205の先部205Cで規制部片204と成し、さらに、側部片202,202を省略した先端部201aを、第二実施例のものと同様に、上方に折り曲げて前記フック25を係止する透孔208を設けたものである。そして、第二実施例の前記係合切欠203は前記規制部片204と側部片202および受圧部片205aで画定され、投影図として表わすことのできる空間域で構成する。すなわち、係合切欠203は、前記受圧部片205aで構成する後方上り傾斜状の後縁203aと、該後縁203aに相対し、しかも、上端に至るに従って次第に前記後縁203aより離開する傾斜状にした、前記規制部片204で構成する前縁下部203b´を前記側部片202の上縁で構成する水平状の底縁203cを介して互いに連続させ、前縁下部203b´の上端には該下部203b´と反対方向の傾斜状として係合切欠203の前縁203b上部を構成する規制縁203b´´とで成る側面視凹入形状で構成したものである。
【0021】
この第三実施例の斜め受金具A´´は、第二実施例の斜め受金具A´と同様に第一実施例のものと同様に用いられる。
【0022】
なお、図示207は第一実施例と同様の挿通孔である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施例の正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の側面図。
【図4】第一実施例の使用状態を示す正面図。
【図5】第二実施例の正面図。
【図6】図5の平面図。
【図7】第三実施例の正面図。
【図8】図7の平面図。
【符号の説明】
【0024】
1,101,201 中央部片
2,102,202 側部片
3,103,203 係合切欠
3a,103a,203a 後縁
3b,103b,203b 前縁
3c,103c,203c 底縁
6,106,206 台板
S パイプサポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートスラブ上に固定手段で固定し、パイプサポートの方形状の台板を受止するパイプサポートの斜め受金具において、水平状の底縁を介して前、後縁を相対して構成した係合切欠を備え、該係合切欠の前記前縁の上部に、係合切欠に傾斜状に係合したときの前記台板の前端に相対する規制縁を設けた、パイプサポートの斜め受金具。
【請求項2】
前縁を、底縁側の下縁から上端方向に略垂直状の後縁より次第に離開する傾斜状の下部と、該下部と反対方向に傾斜する、上部側の規制縁とで構成した、請求項1記載のパイプサポートの斜め受金具。
【請求項3】
金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して立設した側部片とで成り、側部片に係合切欠を設けた、請求項1又は2記載のパイプサポートの斜め受金具。
【請求項4】
金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して側部片を立設し、該側部片の間の、前記中央部片の部分を切り起こして規制部片を立設し、該規制部片と、前記中央部片の後端側を折り返して設けた折り返し片の前記規制部片に相対する前部片および前記側部片で画定する空間部を係合切欠とした、請求項1又は2記載のパイプサポートの斜め受金具。
【請求項5】
金属板を屈曲して中央部片と該中央部片の両側に相対して側部片を立設し、前記中央部片の後端側を折り返して、角形の折り返し部と該折り返し部に前記中央部片上に載せた水平部を介して連設した傾斜部状の先部とで成る折り返し片を設け、該折り返し片の前記折り返し部の前部片と、前記先部および前記側部片で確定する空間部を係合切欠とした、請求項1又は2記載のパイプサポートの斜め受金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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