パイプライン型A/Dコンバータ
【課題】コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消することができるパイプライン型A/Dコンバータを提供する。
【解決手段】アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータ100は、縦列接続された複数のステージと、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成するエラー補正回路101とを備える。複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【解決手段】アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータ100は、縦列接続された複数のステージと、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成するエラー補正回路101とを備える。複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプライン型A/Dコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
図41は、一般的なパイプラインADCの構成を示す図である。
パイプラインADCは、複数のステージがカスケードに接続されている。
【0003】
ステージ間では、それぞれのステージで演算したアナログの結果を伝送している。各ステージには、デジタル出力があり、エラー補正回路ECL(Error Correction Circuit) に接続されている。エラー補正回路ECLの出力は、ADCのデジタル出力となる。
【0004】
一般的に、最終ステージである、ステージ8を除く、すべてのステージは、アナログ入力を1系統、アナログ出力を1系統、デジタル出力を1系統持っている。図41に示すように、ステージは、SADC(Sub Analog-to-Digital Converter)と、MDAC(Multiplying Digital-to-Analog Converter)から構成されている。
【0005】
ステージの詳細は後述するが、概していうと、入力された信号は、SADCで荒く量子化され、その結果がデジタル出力される。出力されたデジタル値に対応したアナログ量を、MDACによるDAC機能でD/A変換し、入力された値から減算を行ったうえで、増幅機能で、一定の倍率に増幅(図41の例では2倍)される。
【0006】
最終ステージは、次段にステージがないため、SADCのみの構成となっている。他のステージと異なり、多少細かい量子化を行うことが多い。図41の場合、他のステージと異なり、3ビットで量子化している。
【0007】
パイプラインADCは、スイッチドキャパシタ回路で構成されていること、また、複数のステージが同時に動作できることから、複数の変換処理を同時進行できる。このため、スループットが高く、変換速度を上げやすい特徴をもつ。また、ステージの分解能を挙げたり、ステージ数を増加させることで、分解能が容易に増やせるという特徴がある。こうした特長をもつ、パイプラインADCは、画像・映像アプリケーション以外にも、通信などにも用いられており、その応用範囲は広い。
【0008】
図42は、1.5ビットステージのSADCの伝達関数を表わす図である。図43は、1.5ビットステージのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0009】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref/4の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0010】
Do=0 (Vin<−Vref/4)
Do=1 (−Vref/4<Vin<Vref/4)
Do=2 (Vin>Vref/4)
MADCは、このSADCの出力を受けて、以下の式で表わされる演算をする。
【0011】
Vout=2×Vin−(Do−1)×Vref
SADCの出力Doの値は、Vin=±Vref/4で変わるため、MADCの伝達関数は、図43に示すような折れ線の特性になる。
【0012】
ところで、MADCでの演算には、誤差が生じることが知られているが、この誤差は、ADCの変換結果に悪影響を及ぼす。
【0013】
MADCでの演算の誤差の原因には、オフセットエラーやゲインエラーなどがある。
オフセットエラーは、アンプのオフセット電位や、MADC内のスイッチのチャージインジェクションやクロックフィードスルーが原因で発生する。現象としては、MADCの出力が平行移動する。通常のパイプラインADCでは、途中のステージで一度発生したオフセットエラーは、続くステージ群で、修正する方法がないので、そのまま、A/D変換された結果もずれてしまう。
【0014】
ゲインエラーは、アンプのゲインの有限性、アンプの過渡特性の不足(セトリングエラー)、MADCに含まれる2つの容量のミスマッチが原因で生じる。ゲインエラーが発生すると、MADCの出力は、図44に示すMADCの伝達関数のように、上下方向に伸び縮みして、伝達関数の傾きおよび伝達関数内の折返しの量が変化する。前者は、残余成分(つまり、MADC出力)の大きさが変わるため、A/D変換結果の傾きが変わる。後者は、図44に示すように、ステージ内で付与するデジタル量と、MADCで差し引くアナログ量の間で不一致が発生するため、図45に示すように、A/D変換結果に段差が生じたりする。これら現象は、前者と異なり、図46に示すように、DNL(Differential non-linearity error)やINL(Integral non-linearity error)などの直線性の特性に大きな影響を与えてしまう。
【0015】
ディザは、図46のような直線性の劣化、特に、DNL(微分非直線性)の劣化の改善に非常に有効な手段である。パイプラインのディザの原理は、時間軸で、コンパレータの判定点をずらすことで、A/D変換結果における段差が起こるコードを複数のポイントに拡散することである。ADCを用いる多くの系では、何らかの平均化の作用が起こるデータ処理(ノイズリダクションや、ローパスフィルタ処理など)が行われることが多い。こうした系に、複数ポイントに拡散された段差が入力されると、段差が、時間当たりの頻度に応じた平均化の処理が行われる。つまり、図47に示すように、1つの段差が、大きさ1/拡散数の拡散数個の段差群に変換される。直線性も図48のように向上する。
【0016】
ところで、ディザの分割数は、多いほど、INLもDNLも滑らかになる。ただし、分割数の増加は、実現するためのハードウェアが増加するので、トレードオフが重要である。
【0017】
一方、振幅は、DNLの値には影響がないが、INLへの影響が大きいパラメータである。ディザの振幅は、小さいと、もとの段差の位置に近い所に分割した段差群が集中するため、マクロな目で見ると、ADCの伝達関数も、INLも変化しては見えない。一方、振幅が大きいと、広範囲に散らばるため、図47や図48に示すように、完全に分割されて見える。ステージの分解能で1LSBの整数倍であれば、大きければ大きいほどよいが、入力レンジなど、他のパラメータとのバランスを考えると、振幅は1LSBが理想的である。しかし、実際には、ディザの実現方法などにより、より小さい値に制限されてしまう。大きな振幅のディザを入れることは、ディザの効果をあげる上で、重要な課題の一つといえる。
【0018】
パイプラインADC用のディザの実現方法の一つに、閾値ディザ(Threshold Dither)といわれる方式がある。この方式では、パイプラインADCのステージにあるSADCの判定点をずらす機構を設ける方式である。
【0019】
判定点をずらす方法として、SADCのコンパレータの参照電圧にディザを加えることが一般的である。
【0020】
閾値ディザの特徴は、SADCのみにディザ成分を印加し、MADCにはディザを加えないことである。ディザの印加により、判定点はずれるものの、ステージが持つ冗長性の効果で、A/D変換結果にディザの影響は現れない。
【0021】
図49は、閾値ディザ適用時のMADCの伝達関数を表わす図である。
MADCは折返し点を変化させるため、図49に示すように、加えたディザの値に応じて、左側や右側の位置に平行移動する。これにより、A/D変換結果における段差の出るコードが拡散され、直線性が向上する。もちろん、MADCにディザが印加されていないので、入力レンジが減少することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2010−21918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、閾値ディザには、コンパレータのオフセットによるディザ量が制限されるという問題がある。
【0024】
すなわち、印加するディザは、SADCのコンパレータのオフセット誤差と同じ扱いであるため、ディザの振幅とオフセット誤差の合計が所望の値に収まる必要がある。よって、印加するディザの振幅を制限するか、コンパレータのオフセット誤差を小さくする工夫が必要になる。前者の方法では、段差の拡散する範囲が狭まり、段差が狭い範囲で集中するため、INL(積分非直線性)の改善度合が低下する。後者の方法では、オフセット誤差を減らすには、素子の面積を大きくする必要があり、面積の増加を招いてしまう。
【0025】
それゆえに、本発明の目的は、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消することができるパイプライン型A/Dコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態は、アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、縦列接続された複数のステージと、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態のパイプライン型A/Dコンバータによれば、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パイプラインADCの構成を表わす図である。
【図2】第1の実施形態のSADCの伝達関数を表わす図である。
【図3】第1の実施形態のMADCの伝達関数を表わす図である。
【図4】ステージのゲインが2の3タイプのMDACの伝達関数を表わす図である。
【図5】本実施の形態のSADCの構成を表わす図である。
【図6】本実施の形態のMDACの構成を表わす図である。
【図7】図5に含まれる基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図8】図5に含まれる乱数発生源の構成を表わす図である。
【図9】図8に含まれるデコーダの真理表を表わす図である。
【図10】オーバーラップの違いによる冗長性や、次ステージの入力レンジの違いを示す図である。
【図11】別のオーバーラップのビットから見た冗長性を示す図である。
【図12】第1の実施形態の変形例1のSADCの伝達関数を表わす図である。
【図13】第1の実施形態の変形例1のMDACの伝達関数を表わす図である。
【図14】ステージゲインが4のときのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図15】ステージゲインが4のときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図16】ステージゲインが4のときのSADCの構成を表わす図である。
【図17】ステージゲインが4のときのMADCの構成を表わす図である。
【図18】ステージゲインが4のときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図19】ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図20】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図21】ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの構成を表わす図である。
【図22】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの構成を表わす図である。
【図23】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの別の構成を表わす図である。
【図24】ステージゲインが4で、両端折返しのときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図25】ステージゲインが4で、両端折返しのときの、差動式のSADCの構成を表わす図である。
【図26】ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの構成を表わす図である。
【図27】ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの別の構成を表わす図である。
【図28】第2の実施形態のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図29】ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【図30】第2の実施形態の変形例1のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図31】ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【図32】第2の実施形態の変形例2のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図33】第3の実施形態の基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図34】従来のMADCの伝達曲線を表わす図である。
【図35】従来のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
【図36】従来のディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。
【図37】第4の実施形態のステージの構成を表わす図である。
【図38】第4の実施形態のMADCの伝達曲線を表わす図である。
【図39】第4の実施形態のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
【図40】第4の実施形態のディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。
【図41】一般的なパイプラインADCの構成を示す図である。
【図42】1.5ビットステージのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図43】1.5ビットステージのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図44】従来のMADCの伝達関数を表わす図である。
【図45】従来のA/D変換結果を表わす図である。
【図46】従来のDNLとINLを表わす図である。
【図47】A/D変換結果を表わす図である。
【図48】DNLとINLを表わす図である。
【図49】閾値ディザ適用時のMADCの伝達関数を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本実施の形態では、従来の閾値ディザに対して、以下の点を改善する。
【0030】
(1) ステージのゲインはそのままで、折り返し数を増やし、出力振幅を小さくする。
【0031】
(2) 折返し数を増やした分、オーバーラップビット数を増やす。
これにより、以下のような効果がある。
【0032】
(1) 振幅1LSBのディザを印加できる。
(2) コンパレータの精度を向上させる必要がない。
【0033】
(3) ステージゲインに変更がないため、MDACのアンプの特性をあげる必要がない。
【0034】
図1は、パイプラインADCの構成を表わす図である。
図1に示すように、パイプラインADC100は、複数段のステージと、デジタルエラー補正回路101とを備える。
【0035】
各ステージは、SubADC(SADC)103と、MDAC104とを備える。
デジタルエラー補正回路101は、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成する。
【0036】
図2は、第1の実施形態のSADCの伝達関数を表わす図である。図3は、第1の実施形態のMADCの伝達関数を表わす図である。
【0037】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×3/8、±Vref/8の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0038】
Do=0 (Vin<−Vref×3/8)
Do=1 (−Vref×3/8<Vin<−Vref×8)
Do=2 (−Vref/8<Vin<Vref/8)
Do=3 (Vref/8<Vin<Vref×3/8)
Do=4 (Vref×3/8<Vin)
SADCの出力Doの値は、±Vref×3/8、±Vref/8で変わるため、MADCの伝達関数は、図3に示すような折れ線の特性になる。
【0039】
(1)および(2)の効果により、図42、図43に比べ、冗長性が増加したため、SADCのコンパレータの判定点が±3/8×Vrefまでずれても、A/D変換結果に影響はない。
【0040】
ディザとして、1LSB分、つまり、折返しと折返しの区間分の振幅を与えると、最も効率よくINLが改善することができる。
【0041】
図2および図3の場合、1LSB=Vref/4であるため、±Vref/8のディザを与えることができればよい。図2および図3の場合、±3/8×Vrefだけ判定点がずれてもA/D変換結果に影響がない。これは、1LSBのディザを与えるのに十分であるだけでなく、SADCのコンパレータのオフセット誤差が±Vref/4まで許容できることを意味する。許容できるオフセット誤差は、折返し数を増やす前の、図42、図43の場合と同じ値であるため、折返し数を増加させることによって、コンパレータの精度向上の必要性がない。コンパレータを高精度化させるためにには、面積および電流を共に増加する必要があることから、これを回避できる意義は大きい。
【0042】
次に、さらに詳細に冗長性について説明する。
図4は、ステージのゲインが2の3タイプのMDACの伝達関数を表わす図である。
【0043】
図4に示すように、古典的な1ビットのステージでは、入力幅である2Vrefの半分の位置、つまり、Vin=0のところで、2Vref分が折り返されている。折返し前に0にあたる1LSB分、折返し後に1にあたる1LSB分がぴったり割り振られている。±Vrefを超えるステージの出力は、後のステージの入力レンジを超えるため受け付けられないため、ステージ出力は±Vref以内に入る必要がある。1ビットステージの出力は、Vin=0時に、±Vrefぴったりとなっており、冗長性がない。
【0044】
これに対し、一般的な1.5ビットのステージでは、折返し数を2つに増やすことで、1回あたりの折返し数を1ビットステージの半分のVref分としている。1つ目の折返しが−Vref/2≦Vin≦0の範囲にあり、2つ目の折返しが0≦Vin≦−Vref/2の範囲にあれば、ステージの出力は±Vref以内に収まる。つまり、一般的な1.5ビット ステージは、それぞれの折返しについて、Vref/2の幅で冗長性を持っている。
【0045】
本実施の形態のステージでは、折返し数を4つに増やすことで、1回あたりの折返し数を1ビットステージの1/4のVref/2分としている。
【0046】
1つ目の折返しが−3/8×Vref≦Vin≦0の範囲にあり、2つ目の折返しが−Vref/4≦Vin≦Vref/8の範囲にあり、3つ目の折返しが−Vref/8≦Vin≦Vref/4にあり、4つ目の折返しが0≦Vin≦3/8×Vrefの範囲にあれば、ステージの出力は±Vref以内に収まる。つまり、本実施の形態では、ステージは、3/4×Vrefの幅で冗長性を持っている。
【0047】
1ビットステージの1LSBを基準に考えると、冗長性は、1ビットMDACでは0LSB、1.5ビットMDACでは0.5LSB、本実施の形態のMDACでは0.75LSB分ある。
【0048】
これらは、デジタル出力のオーバーラップ分にも対応している。1ビットステージでは、オーバーラップ分はないが、1.5ビットステージでは1ビット分オーバーラップしており、整数部1ビット+小数部1ビットである。本実施の形態のステージでは、2ビットオーバーラップしており、整数部1ビット+小数部2ビットである。オーバーラップ分が多いほど、補正能力が上がっていることが分かる。
【0049】
図5は、本実施の形態のSADCの構成を表わす図である。
SADC103は、アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた副デジタル信号を生成して、エラー補正回路に出力するともに、アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成する。
【0050】
図5に示すように、このSADC103は、乱数発生源105と、基準電圧生成部106と、比較器110,111,112,113と、MDAC用デコーダ108,109と、エンコーダ114とを備える。
【0051】
乱数発生源105は、基準電圧生成部106に乱数を与える。
基準電圧生成部106は、乱数発生源105の乱数に基づいて、複数の基準電圧Vef1,Vref2,Vref3,Vref4を生成する。基準電圧Vref4の大きさは、3/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref3の大きさは、1/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref2の大きさは、−1/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref1の大きさは、−3/8Vrefから±αだけずれた電圧である。
【0052】
比較器110は、入力電圧Vinと基準電圧Vref4の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ108へ出力する。比較器111は、入力電圧Vinと基準電圧Vref3の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ108へ出力する。比較器112は、入力電圧Vinと基準電圧Vref2の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ109へ出力する。比較器113は、入力電圧Vinと基準電圧Vref1の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ109へ出力する。
【0053】
この入力電圧Vinは、このSADC103がステージ2〜ステージ8のSADC103の場合には、前ステージのMDAC104の出力電圧(副アナログ信号)であり、このSADC103がステージ1のSADC103の場合には、パイプラインADC100に入力されたアナログ入力電圧(アナログ信号)である。
【0054】
エンコーダ114は、比較器110,111,112,113の比較結果に応じた4ビットのデジタルデータ(副デジタル信号)を出力する。
【0055】
MADC用デコーダ108,109は、比較結果に応じた電圧選択信号SW2a〜SW2fを生成する。
【0056】
MADC用デコーダ108は、比較器110,110の比較結果に応じて、電圧選択信号SW2a,2b,2cのいずれか1つを「H」レベルに活性化し、残りを「L」レベルに非活性化する。
【0057】
MADC用デコーダ109は、比較器112,113の比較結果に応じて、電圧選択信号SW2d,2e,2fのいずれか1つを「H」レベルに活性化し、残りを「L」レベルに非活性化する。
【0058】
図6は、本実施の形態のMDACの構成を表わす図である。
MADC104は、入力電圧Vinと、SADC103で生成された電圧選択信号SW2a〜SW2fに応じて入力される電圧(+Vref、0、−Vref)に応じた副アナログ信号を生成して、次段のステージに出力する。
【0059】
図6に示すように、このMADCは、複数のスイッチ263〜272と、容量Ci1,Ci2と、容量261,262とを備える。
【0060】
容量Ci1は、増幅器115の第1の入力に接続されるとともに、スイッチ263を介して入力電圧Vinに接続され、スイッチ267を介して第1の電圧(+Vref)に接続され、スイッチ268を介して第2の電圧(0V)に接続され、スイッチ269を介して第3の電圧(−Vref)に接続される。
【0061】
容量Ci2は、増幅器115の第1の入力に接続されるとともに、スイッチ264を介して入力電圧Vinに接続され、スイッチ270を介して第1の電圧(+Vref)に接続され、スイッチ271を介して第2の電圧(0V)に接続され、スイッチ272を介して第3の電圧(−Vref)に接続される。
【0062】
増幅器115の第1の入力と、出力とは、並列接続された容量261,262とスイッチ265を介して接続される。また、増幅器115の出力は、スイッチ265,273を介して入力電圧Vinと接続される。
【0063】
増幅器115の第1の入力と第2の入力とは、スイッチ266を介して接続される。増幅器115の第2の入力は、電源に接続される。
【0064】
スイッチ267,268,269は、それぞれ電圧選択信号SW2a、SW2b、SW2cによって制御される。
【0065】
スイッチ270,271,272は、それぞれ電圧選択信号SW2d、SW2e、SW2fによって制御される。
【0066】
スイッチ263,264,266,273は、スイッチ信号SW1によって制御される。スイッチ265は、スイッチ信号SW2によって制御される。
【0067】
増幅器115は、次段のステージに副アナログ信号(Vout)を出力する。
図7は、図5に含まれる基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0068】
図7に示すように、基準電圧生成部106は、基準となる2つの電位間(+Vref、−Vref)を直列に接続した複数の抵抗Rと、複数の抵抗Rによって基準となる2つの電位間を内分した電位を出力する複数の端子T1〜T20と、スイッチ回路501〜504とを備える。
【0069】
複数の端子T1〜T20は、第1グループの端子T1〜T5、第2グループの端子T6〜T10、第3グループの端子T11〜T15、第4グループの端子T16〜T20に分類される。
【0070】
スイッチ回路501は、第1グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第1グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref4として出力する。
【0071】
スイッチ回路502は、第2グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第2グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref3として出力する。
【0072】
スイッチ回路503は、第3グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第3グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref2として出力する。
【0073】
スイッチ回路504は、第4グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第4グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref1として出力する。
【0074】
図8は、図5に含まれる乱数発生源の構成を表わす図である。
乱数発生源105は、循環的に接続される複数のフリップフロップ111,112,113と、論理回路251と、デコーダ114とからなる。乱数発生源105は、時間によって変化する乱数値を基にして、基準電圧生成部106内の複数のスイッチを制御するスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を生成する。
【0075】
図9は、図8に含まれるデコーダの真理表を表わす図である。
入力が「abc」とは、フリップフロップ111の出力が「a」で、フリップフロップ112の出力が「b」で、フリップフロップ113の出力が「c」であることを表わす。
【0076】
入力が「001」の場合には、スイッチ信号SW[0]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[1]〜SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「010」の場合には、スイッチ信号SW[1]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]、SW[2]〜SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「011」の場合には、スイッチ信号SW[2]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]、SW[1]、SW[3]、SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「100」の場合には、スイッチ信号SW[3]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]〜SW[2]、SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「110」の場合には、スイッチ信号SW[4]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]〜SW[3]は、ロウレベルに非活性化される。
【0077】
(比較)
次に、従来文献である特許文献1(特開2010−21918号公報)に記載された方式との相違点を説明する。
【0078】
特許文献1では、アンプの帰還率を上昇させるために、折返し数やビット数を変化させない状態で、ステージのゲインを1/2などに緩和している。これに対して、本実施の形態では、ステージのゲインは変化させず、折返し数を約2倍に増加させ、コンパレータの判定点のずれに対する耐性を強化している。MDACの出力振幅で限定すると、同じように、1/2になっているが、その目的は大きく異なる。
【0079】
本実施の形態と特許文献1との違いをまとめると、以下のとおりである。
(a) 特許文献1では、ステージゲインが変化するが、本実施の形態では、ステージのゲインは変化しない。
【0080】
(b) 特許文献1では、アンプの帰還率を緩和しているが、本実施の形態では、アンプの帰還率は緩和しない。これは、特許文献1では、アンプの精度と電力特性を優先させているためである。
【0081】
(c) 特許文献1では、折返し数(SADCのビット数)は変化させないが、本実施の形態は、折返し数(ビット数)を増加している。
【0082】
(d) 特許文献1では、コンパレータの精度は悪化しているが、本実施の形態では変化しない。本実施の形態は、コンパレータの精度を優先している。
【0083】
(e) 特許文献1では、コンパレータ数は変わらないが、本実施の形態では、コンパレータ数は2倍程度に増加する。
【0084】
図10は、オーバーラップの違いによる冗長性や、次ステージの入力レンジの違いを示す図である。
【0085】
特許文献1では、次のステージとのSADC出力のオーバーラップは1ビットであるが、本実施の形態では、2ビットである。
【0086】
また、特許文献1では、自ステージの出力振幅半減に合わせて、次のステージの入力レンジは、1/2に狭める必要がある。一方、本実施の形態では、オーバーラップが1ビット多いことを利用することで、オーバーラップ1ビットでは表現できなかった、−Vref〜+Vrefのすべての出力を表現できる。
【0087】
図11は、別のオーバーラップのビットから見た冗長性を示す図である。
図11の左は、本実施の形態で、右は特許文献1である。どちらも、3ビットで、1LSBの大きさは変わらない。次ステージとオーバーラップしている部分は、自ステージと次ステージの組み合わせで表現することができ、自ステージの結果により、次ステージが追従することを考えると、自ステージは、オーバーラップのビット分、表現の自由性があるといえる。図11の右(特許文献1)では、1ビットオーバーラップしているので、1LSB分表現の自由があるといえる。これに対し、左(本実施の形態)では、2ビットオーバーラップしているので、0〜3と表現の範囲が広がり、3LSB分表現の自由がある。よって、本実施の形態では、特許文献1に対し、2LSB分多くずれても冗長性のおかげで破綻せずに正しい表現ができる。このずれ分を、ディザやコンパレータのオフセットで利用できるため、コンパレータの精度を高めずとも、大きなディザを印加できる。
【0088】
(効果)
以上のように、本実施の形態によれば、閾値ディザが持つ利点の多くを継承しながら、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消し、直線性の改善を図ることができる。
【0089】
本実施の形態では、ステージ8を除く各ステージが3ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが2で、折返し数が4で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0090】
[第1の実施形態の変形例1]
図12は、第1の実施形態の変形例1のSADCの伝達関数を表わす図である。図13は、第1の実施形態の変形例1のMDACの伝達関数を表わす図である。
【0091】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref/4、±Vref/2の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0092】
Do=0 (Vin<−Vref/2)
Do=1 (−Vref/2<Vin<−Vref/4)
Do=2 (−Vref/4<Vin<0)
Do=3 (0<Vin<Vref/4)
Do=4 (Vref/4<Vin<Vref/2)
Do=5 (Vref/2<Vin)
SADCの出力Doの値は、±Vref/4、±Vref/2で変わるため、MADCの伝達関数は、図13に示すような折れ線の特性になる。
【0093】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが3ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが2で、折返し数が5で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0094】
[第1の実施形態の変形例2]
第1の実施形態では、ステージのゲインが2であったが、本変形例は、ステージのゲインが4の場合を説明する。
【0095】
図14は、ステージゲインが4のときのSADCの伝達関数を表わす図である。図15は、ステージゲインが4のときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0096】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0097】
Do=0 (Vin<−Vref×11/16)
Do=1 (−Vref×11/16<Vin<−Vref×9/16)
Do=2 (−Vref×9/16<Vin<−Vref×7/16)
Do=3 (−Vref×7/16<Vin<−Vref×5/16)
Do=4 (−Vref×5/16<Vin<−Vref×3/16)
Do=5 (−Vref×3/16<Vin<−Vref×1/16)
Do=6 (−Vref×1/16<Vin<Vref×1/16)
Do=7 (Vref×1/16<Vin<Vref×3/16)
Do=8 (Vref×3/16<Vin<Vref×5/16)
Do=9 (Vref×5/16<Vin<Vref×7/16)
Do=10 (Vref×7/16<Vin<Vref×9/16)
Do=11 (Vref×9/16<Vin<Vref×11/16)
Do=12 (Vref×11/16<Vin)
SADCの出力Doの値は、Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16で変わるため、MADCの伝達関数は、図15に示すような折れ線の特性になる。
【0098】
図16は、ステージゲインが4のときのSADCの構成を表わす図である。図17は、ステージゲインが4のときのMADCの構成を表わす図である。図18は、ステージゲインが4のときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0099】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが4ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが4で、折返し数が12で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0100】
[第1の実施形態の変形例3]
本変形例は、第1の実施形態の変形例2をさらに変形して、折返し数が増加させたものである。
【0101】
図19は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの伝達関数を表わす図である。図20は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0102】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0103】
Do=−2 (Vin<−Vref×15/16)
Do=−1 (−Vref×15/16<Vin<−Vref×13/16)
Do=0 (−Vref×13/16<Vin<−Vref×11/16)
Do=1 (−Vref×11/16<Vin<−Vref×9/16)
Do=2 (−Vref×9/16<Vin<−Vref×7/16)
Do=3 (−Vref×7/16<Vin<−Vref×5/16)
Do=4 (−Vref×5/16<Vin<−Vref×3/16)
Do=5 (−Vref×3/16<Vin<−Vref×1/16)
Do=6 (−Vref×1/16<Vin<Vref×1/16)
Do=7 (Vref×1/16<Vin<Vref×3/16)
Do=8 (Vref×3/16<Vin<Vref×5/16)
Do=9 (Vref×5/16<Vin<Vref×7/16)
Do=10 (Vref×7/16<Vin<Vref×9/16)
Do=11 (Vref×9/16<Vin<Vref×11/16)
Do=12 (Vref×11/16<Vin<Vref×13/16)
Do=13 (Vref×13/16<Vin<Vref×15/16)
Do=14 (Vref×15/16<Vin)
SADCの出力Doの値は、Vref×15/16、Vref×13/16、Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16で変わるため、MADCの伝達関数は、図14に示すような折れ線の特性になる。
【0104】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが4ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが4で、折返し数が16で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0105】
図21は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの構成を表わす図である。図22は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの構成を表わす図である。図23は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの別の構成を表わす図である。図24は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0106】
[第1の実施形態の変形例4]
本変形例は、第1の実施形態の変形例3をさらに変形して、差動化したものである。
【0107】
図25は、ステージのゲインが4で、両端折返しのときの、差動式のSADCの構成を表わす図である。図26は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの構成を表わす図である。図27は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの別の構成を表わす図である。
【0108】
[第1の実施形態の変形例5]
一般に、最後の段を除くステージがNビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nとするか、あるいは、伝達関数のステージゲインが2N-k-2で、且つ折返し数が2N-k−4、もしくは、2N-k−2、もしくは、2N-kとすることができる。ただし、整数Kが0≦K≦N−3の関係を有しており、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0109】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ディザの発生を基準電圧生成回路で行っているが、第2の実施形態では、SADCの入力にディザを印加する。
【0110】
図28は、第2の実施形態のパイプラインADCの構成を表わす図である。
図28に示すように、パイプラインADCは、ディザ生成部102と、加算部410と、SADC103と、MADC104とを備える。
【0111】
第2の実施形態では、SADC103内の基準電圧生成部は、基準電圧Vref4として3/8Vrefを出力し、基準電圧Vref3として1/8Vrefを出力し、基準電圧Vref2として−1/8Vrefを出力し、基準電圧Vref1として−3/8Vrefを出力する。
【0112】
図29は、ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
ディザ生成部101は、乱数発生回路411と、DAC(Digital to Analog Converter)412とを備える。
【0113】
乱数発生回路411は、時間によって変化する乱数値を生成する。
DAC412は、生成されたランダムな数値をアナログ信号に変換する。
【0114】
加算部410は、DAC402の出力とステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0115】
この入力電圧Vinは、このSADC103がステージ2〜ステージ8のSADC103の場合には、前ステージのMDAC104の出力電圧であり、このSADC103がステージ1のSADC103の場合には、パイプラインADC100に入力されたアナログ入力電圧である。
【0116】
[第2の実施形態の変形例1]
本変形例は、第2の実施形態とは異なるディザ生成に関するものである。本変形例では、SADC103を用いてディザを生成する。
【0117】
図30は、第2の実施形態の変形例1のステージの構成を表わす図である。
図31は、ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【0118】
図31に示すように、SADC103内にある基準電圧生成部の複数の端子の出力がセレクタ423に接続される。
【0119】
セレクタ423は、乱数発生回路421から出力される乱数値に従って、入力された複数の端子の出力のいずれかを選択して、選択した端子の出力電圧を加算部410へ出力する。
【0120】
加算部410は、セレクタ423の出力とステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0121】
[第2の実施形態の変形例2]
本変形例は、第2の実施形態および変形例1とは異なるディザ生成に関するものである。本変形例では、素子ノイズを用いてディザを生成する。
【0122】
図32は、第2の実施形態の変形例2のパイプラインADCの構成を表わす図である。
図32に示すように、ディザ生成部430は、素子雑音発生源431と、増幅器432とを備える。
【0123】
素子雑音発生源431は、素子ノイズを発生する。増幅器432は、素子ノイズを増幅する。
【0124】
加算部410は、増幅された素子ノイズと、ステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0125】
本変位例では、素子ノイズを用いることによって連続した数値が入力されるため、分割数が無限大となり、より滑らかな結果を得ることができる。
【0126】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態の基準電圧生成部を変形させたものである。
【0127】
本実施の形態SADC103は、図5のSADCと同様の構成を有する。
乱数発生源105は、第1の実施形態と同様に、図8の構成を有する。乱数発生源105は、時間によって変化する乱数値を基にして、基準電圧生成部106内の複数のスイッチを制御するスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を生成する。
【0128】
図33は、第3の実施形態の基準電圧生成部の構成を表わす図である。
この基準電圧生成部は、第1の電位(V1)と第2の電位(V2)間を直列に接続した複数の抵抗Rと、第1の電位(V1)と基準電圧(+Vref)との間に接続された複数の抵抗Rと、第2の電位(V2)と基準電圧(−Vref)との間に接続された複数の抵抗Rと、複数の基準電圧Vref4、Vref3、Vref2、Vref1を出力する端子と、スイッチ回路621,622とを備える。
【0129】
スイッチ回路621は、それぞれがスイッチ信号SW[0]〜SW[4]によって制御される複数のスイッチを備える。各スイッチは、基準電圧(+Vref)と第1の電位(V1)との間の経路を内分する端子と接続する。したがって、スイッチ回路621にスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を与えることによって、第1の電位(V1)が設定される。
【0130】
スイッチ回路622は、それぞれがスイッチ信号SW[0]〜SW[4]によって制御される複数のスイッチを備える。各スイッチは、基準電圧(−Vref)と第2の電位(V2)との間の経路を内分する端子と接続する。したがって、スイッチ回路622にスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を与えることによって、第2の電位(V2)が設定される。
【0131】
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、ディザの発生を基準電圧生成回路で行うが、第1の実施形態のように、ラダー抵抗に多くのタップを設けるのではなく、図33に示すように、基準電圧に接続する抵抗の抵抗値をスイッチで変化させ、タップの内分点をずらすことによって、ディザの値を切替えることができる。
【0132】
[第4の実施形態]
本実施の形態は、SADCの出力にDEM論理回路を加えることで、各折返し間の段差のミスマッチを平均化し、INLの改善を図る。
【0133】
図34は、MADCの伝達曲線を表わす図である。
図34に示すように、ADCの判定点での折返し量に異なる部分が存在し、全体的にうねっているように見える。
【0134】
図35は、従来のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
図35に示すように、ディザなしの入出力特性では、発生する段差の大きさが場所ごとに異なる。
【0135】
これに対して、ディザを適用した場合には、段差が拡散するが、理想的な直線からはずれる。
【0136】
図36は、ディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。ディザを適用しているため、ディザを適用しない時よりは良い結果であるが、INLがうねっていることが分かる。
【0137】
本実施の形態では、上記の問題を改善する。
図37は、第4の実施形態のステージの構成を表わす図である。
【0138】
図37に示すように、MADC104を構成する容量のうち、DACには、複数の容量C1,C2,C3,C4が接続しており、それぞれの容量が独立してばらつくため、発生する段差がばらつく。
【0139】
図37では、SADC103の出力と、MADC104の入力の間にDEM用論理回路711を加えることによって、容量のバラつきが均一化される。
【0140】
その結果、図38に示すように、ADCの判定点での折り返し量が均一になる。図39に示すように、ADCの入出力の段差も均等になる。この状態でディザを適用すると、図40に示すように、INLのうねりも改善される。
【0141】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
100 パイプラインADC、90,101 エラー補正回路、103 SADC、104 MADC、105,122,305 乱数発生源、106,121,206,306 基準電圧生成部、110〜113,123〜134,210〜235,310〜335 比較器、102,430 ディザ生成部、410 加算部、411,421 乱数発生回路、412 DAC、431 素子雑音発源、114,141 エンコーダ、108,109,135〜140,231〜238,331〜338 MADC用デコーダ、115,422,432 増幅器、261〜272 スイッチ、111〜113 フリップフロップ、114 デコーダ、251 論理回路、350 差動増幅器、501 ロジック。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプライン型A/Dコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
図41は、一般的なパイプラインADCの構成を示す図である。
パイプラインADCは、複数のステージがカスケードに接続されている。
【0003】
ステージ間では、それぞれのステージで演算したアナログの結果を伝送している。各ステージには、デジタル出力があり、エラー補正回路ECL(Error Correction Circuit) に接続されている。エラー補正回路ECLの出力は、ADCのデジタル出力となる。
【0004】
一般的に、最終ステージである、ステージ8を除く、すべてのステージは、アナログ入力を1系統、アナログ出力を1系統、デジタル出力を1系統持っている。図41に示すように、ステージは、SADC(Sub Analog-to-Digital Converter)と、MDAC(Multiplying Digital-to-Analog Converter)から構成されている。
【0005】
ステージの詳細は後述するが、概していうと、入力された信号は、SADCで荒く量子化され、その結果がデジタル出力される。出力されたデジタル値に対応したアナログ量を、MDACによるDAC機能でD/A変換し、入力された値から減算を行ったうえで、増幅機能で、一定の倍率に増幅(図41の例では2倍)される。
【0006】
最終ステージは、次段にステージがないため、SADCのみの構成となっている。他のステージと異なり、多少細かい量子化を行うことが多い。図41の場合、他のステージと異なり、3ビットで量子化している。
【0007】
パイプラインADCは、スイッチドキャパシタ回路で構成されていること、また、複数のステージが同時に動作できることから、複数の変換処理を同時進行できる。このため、スループットが高く、変換速度を上げやすい特徴をもつ。また、ステージの分解能を挙げたり、ステージ数を増加させることで、分解能が容易に増やせるという特徴がある。こうした特長をもつ、パイプラインADCは、画像・映像アプリケーション以外にも、通信などにも用いられており、その応用範囲は広い。
【0008】
図42は、1.5ビットステージのSADCの伝達関数を表わす図である。図43は、1.5ビットステージのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0009】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref/4の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0010】
Do=0 (Vin<−Vref/4)
Do=1 (−Vref/4<Vin<Vref/4)
Do=2 (Vin>Vref/4)
MADCは、このSADCの出力を受けて、以下の式で表わされる演算をする。
【0011】
Vout=2×Vin−(Do−1)×Vref
SADCの出力Doの値は、Vin=±Vref/4で変わるため、MADCの伝達関数は、図43に示すような折れ線の特性になる。
【0012】
ところで、MADCでの演算には、誤差が生じることが知られているが、この誤差は、ADCの変換結果に悪影響を及ぼす。
【0013】
MADCでの演算の誤差の原因には、オフセットエラーやゲインエラーなどがある。
オフセットエラーは、アンプのオフセット電位や、MADC内のスイッチのチャージインジェクションやクロックフィードスルーが原因で発生する。現象としては、MADCの出力が平行移動する。通常のパイプラインADCでは、途中のステージで一度発生したオフセットエラーは、続くステージ群で、修正する方法がないので、そのまま、A/D変換された結果もずれてしまう。
【0014】
ゲインエラーは、アンプのゲインの有限性、アンプの過渡特性の不足(セトリングエラー)、MADCに含まれる2つの容量のミスマッチが原因で生じる。ゲインエラーが発生すると、MADCの出力は、図44に示すMADCの伝達関数のように、上下方向に伸び縮みして、伝達関数の傾きおよび伝達関数内の折返しの量が変化する。前者は、残余成分(つまり、MADC出力)の大きさが変わるため、A/D変換結果の傾きが変わる。後者は、図44に示すように、ステージ内で付与するデジタル量と、MADCで差し引くアナログ量の間で不一致が発生するため、図45に示すように、A/D変換結果に段差が生じたりする。これら現象は、前者と異なり、図46に示すように、DNL(Differential non-linearity error)やINL(Integral non-linearity error)などの直線性の特性に大きな影響を与えてしまう。
【0015】
ディザは、図46のような直線性の劣化、特に、DNL(微分非直線性)の劣化の改善に非常に有効な手段である。パイプラインのディザの原理は、時間軸で、コンパレータの判定点をずらすことで、A/D変換結果における段差が起こるコードを複数のポイントに拡散することである。ADCを用いる多くの系では、何らかの平均化の作用が起こるデータ処理(ノイズリダクションや、ローパスフィルタ処理など)が行われることが多い。こうした系に、複数ポイントに拡散された段差が入力されると、段差が、時間当たりの頻度に応じた平均化の処理が行われる。つまり、図47に示すように、1つの段差が、大きさ1/拡散数の拡散数個の段差群に変換される。直線性も図48のように向上する。
【0016】
ところで、ディザの分割数は、多いほど、INLもDNLも滑らかになる。ただし、分割数の増加は、実現するためのハードウェアが増加するので、トレードオフが重要である。
【0017】
一方、振幅は、DNLの値には影響がないが、INLへの影響が大きいパラメータである。ディザの振幅は、小さいと、もとの段差の位置に近い所に分割した段差群が集中するため、マクロな目で見ると、ADCの伝達関数も、INLも変化しては見えない。一方、振幅が大きいと、広範囲に散らばるため、図47や図48に示すように、完全に分割されて見える。ステージの分解能で1LSBの整数倍であれば、大きければ大きいほどよいが、入力レンジなど、他のパラメータとのバランスを考えると、振幅は1LSBが理想的である。しかし、実際には、ディザの実現方法などにより、より小さい値に制限されてしまう。大きな振幅のディザを入れることは、ディザの効果をあげる上で、重要な課題の一つといえる。
【0018】
パイプラインADC用のディザの実現方法の一つに、閾値ディザ(Threshold Dither)といわれる方式がある。この方式では、パイプラインADCのステージにあるSADCの判定点をずらす機構を設ける方式である。
【0019】
判定点をずらす方法として、SADCのコンパレータの参照電圧にディザを加えることが一般的である。
【0020】
閾値ディザの特徴は、SADCのみにディザ成分を印加し、MADCにはディザを加えないことである。ディザの印加により、判定点はずれるものの、ステージが持つ冗長性の効果で、A/D変換結果にディザの影響は現れない。
【0021】
図49は、閾値ディザ適用時のMADCの伝達関数を表わす図である。
MADCは折返し点を変化させるため、図49に示すように、加えたディザの値に応じて、左側や右側の位置に平行移動する。これにより、A/D変換結果における段差の出るコードが拡散され、直線性が向上する。もちろん、MADCにディザが印加されていないので、入力レンジが減少することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2010−21918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、閾値ディザには、コンパレータのオフセットによるディザ量が制限されるという問題がある。
【0024】
すなわち、印加するディザは、SADCのコンパレータのオフセット誤差と同じ扱いであるため、ディザの振幅とオフセット誤差の合計が所望の値に収まる必要がある。よって、印加するディザの振幅を制限するか、コンパレータのオフセット誤差を小さくする工夫が必要になる。前者の方法では、段差の拡散する範囲が狭まり、段差が狭い範囲で集中するため、INL(積分非直線性)の改善度合が低下する。後者の方法では、オフセット誤差を減らすには、素子の面積を大きくする必要があり、面積の増加を招いてしまう。
【0025】
それゆえに、本発明の目的は、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消することができるパイプライン型A/Dコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態は、アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、縦列接続された複数のステージと、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態のパイプライン型A/Dコンバータによれば、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パイプラインADCの構成を表わす図である。
【図2】第1の実施形態のSADCの伝達関数を表わす図である。
【図3】第1の実施形態のMADCの伝達関数を表わす図である。
【図4】ステージのゲインが2の3タイプのMDACの伝達関数を表わす図である。
【図5】本実施の形態のSADCの構成を表わす図である。
【図6】本実施の形態のMDACの構成を表わす図である。
【図7】図5に含まれる基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図8】図5に含まれる乱数発生源の構成を表わす図である。
【図9】図8に含まれるデコーダの真理表を表わす図である。
【図10】オーバーラップの違いによる冗長性や、次ステージの入力レンジの違いを示す図である。
【図11】別のオーバーラップのビットから見た冗長性を示す図である。
【図12】第1の実施形態の変形例1のSADCの伝達関数を表わす図である。
【図13】第1の実施形態の変形例1のMDACの伝達関数を表わす図である。
【図14】ステージゲインが4のときのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図15】ステージゲインが4のときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図16】ステージゲインが4のときのSADCの構成を表わす図である。
【図17】ステージゲインが4のときのMADCの構成を表わす図である。
【図18】ステージゲインが4のときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図19】ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図20】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図21】ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの構成を表わす図である。
【図22】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの構成を表わす図である。
【図23】ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの別の構成を表わす図である。
【図24】ステージゲインが4で、両端折返しのときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図25】ステージゲインが4で、両端折返しのときの、差動式のSADCの構成を表わす図である。
【図26】ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの構成を表わす図である。
【図27】ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの別の構成を表わす図である。
【図28】第2の実施形態のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図29】ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【図30】第2の実施形態の変形例1のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図31】ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【図32】第2の実施形態の変形例2のパイプラインADCの構成を表わす図である。
【図33】第3の実施形態の基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【図34】従来のMADCの伝達曲線を表わす図である。
【図35】従来のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
【図36】従来のディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。
【図37】第4の実施形態のステージの構成を表わす図である。
【図38】第4の実施形態のMADCの伝達曲線を表わす図である。
【図39】第4の実施形態のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
【図40】第4の実施形態のディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。
【図41】一般的なパイプラインADCの構成を示す図である。
【図42】1.5ビットステージのSADCの伝達関数を表わす図である。
【図43】1.5ビットステージのMADCの伝達関数を表わす図である。
【図44】従来のMADCの伝達関数を表わす図である。
【図45】従来のA/D変換結果を表わす図である。
【図46】従来のDNLとINLを表わす図である。
【図47】A/D変換結果を表わす図である。
【図48】DNLとINLを表わす図である。
【図49】閾値ディザ適用時のMADCの伝達関数を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本実施の形態では、従来の閾値ディザに対して、以下の点を改善する。
【0030】
(1) ステージのゲインはそのままで、折り返し数を増やし、出力振幅を小さくする。
【0031】
(2) 折返し数を増やした分、オーバーラップビット数を増やす。
これにより、以下のような効果がある。
【0032】
(1) 振幅1LSBのディザを印加できる。
(2) コンパレータの精度を向上させる必要がない。
【0033】
(3) ステージゲインに変更がないため、MDACのアンプの特性をあげる必要がない。
【0034】
図1は、パイプラインADCの構成を表わす図である。
図1に示すように、パイプラインADC100は、複数段のステージと、デジタルエラー補正回路101とを備える。
【0035】
各ステージは、SubADC(SADC)103と、MDAC104とを備える。
デジタルエラー補正回路101は、複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいてデジタル信号を生成する。
【0036】
図2は、第1の実施形態のSADCの伝達関数を表わす図である。図3は、第1の実施形態のMADCの伝達関数を表わす図である。
【0037】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×3/8、±Vref/8の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0038】
Do=0 (Vin<−Vref×3/8)
Do=1 (−Vref×3/8<Vin<−Vref×8)
Do=2 (−Vref/8<Vin<Vref/8)
Do=3 (Vref/8<Vin<Vref×3/8)
Do=4 (Vref×3/8<Vin)
SADCの出力Doの値は、±Vref×3/8、±Vref/8で変わるため、MADCの伝達関数は、図3に示すような折れ線の特性になる。
【0039】
(1)および(2)の効果により、図42、図43に比べ、冗長性が増加したため、SADCのコンパレータの判定点が±3/8×Vrefまでずれても、A/D変換結果に影響はない。
【0040】
ディザとして、1LSB分、つまり、折返しと折返しの区間分の振幅を与えると、最も効率よくINLが改善することができる。
【0041】
図2および図3の場合、1LSB=Vref/4であるため、±Vref/8のディザを与えることができればよい。図2および図3の場合、±3/8×Vrefだけ判定点がずれてもA/D変換結果に影響がない。これは、1LSBのディザを与えるのに十分であるだけでなく、SADCのコンパレータのオフセット誤差が±Vref/4まで許容できることを意味する。許容できるオフセット誤差は、折返し数を増やす前の、図42、図43の場合と同じ値であるため、折返し数を増加させることによって、コンパレータの精度向上の必要性がない。コンパレータを高精度化させるためにには、面積および電流を共に増加する必要があることから、これを回避できる意義は大きい。
【0042】
次に、さらに詳細に冗長性について説明する。
図4は、ステージのゲインが2の3タイプのMDACの伝達関数を表わす図である。
【0043】
図4に示すように、古典的な1ビットのステージでは、入力幅である2Vrefの半分の位置、つまり、Vin=0のところで、2Vref分が折り返されている。折返し前に0にあたる1LSB分、折返し後に1にあたる1LSB分がぴったり割り振られている。±Vrefを超えるステージの出力は、後のステージの入力レンジを超えるため受け付けられないため、ステージ出力は±Vref以内に入る必要がある。1ビットステージの出力は、Vin=0時に、±Vrefぴったりとなっており、冗長性がない。
【0044】
これに対し、一般的な1.5ビットのステージでは、折返し数を2つに増やすことで、1回あたりの折返し数を1ビットステージの半分のVref分としている。1つ目の折返しが−Vref/2≦Vin≦0の範囲にあり、2つ目の折返しが0≦Vin≦−Vref/2の範囲にあれば、ステージの出力は±Vref以内に収まる。つまり、一般的な1.5ビット ステージは、それぞれの折返しについて、Vref/2の幅で冗長性を持っている。
【0045】
本実施の形態のステージでは、折返し数を4つに増やすことで、1回あたりの折返し数を1ビットステージの1/4のVref/2分としている。
【0046】
1つ目の折返しが−3/8×Vref≦Vin≦0の範囲にあり、2つ目の折返しが−Vref/4≦Vin≦Vref/8の範囲にあり、3つ目の折返しが−Vref/8≦Vin≦Vref/4にあり、4つ目の折返しが0≦Vin≦3/8×Vrefの範囲にあれば、ステージの出力は±Vref以内に収まる。つまり、本実施の形態では、ステージは、3/4×Vrefの幅で冗長性を持っている。
【0047】
1ビットステージの1LSBを基準に考えると、冗長性は、1ビットMDACでは0LSB、1.5ビットMDACでは0.5LSB、本実施の形態のMDACでは0.75LSB分ある。
【0048】
これらは、デジタル出力のオーバーラップ分にも対応している。1ビットステージでは、オーバーラップ分はないが、1.5ビットステージでは1ビット分オーバーラップしており、整数部1ビット+小数部1ビットである。本実施の形態のステージでは、2ビットオーバーラップしており、整数部1ビット+小数部2ビットである。オーバーラップ分が多いほど、補正能力が上がっていることが分かる。
【0049】
図5は、本実施の形態のSADCの構成を表わす図である。
SADC103は、アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた副デジタル信号を生成して、エラー補正回路に出力するともに、アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成する。
【0050】
図5に示すように、このSADC103は、乱数発生源105と、基準電圧生成部106と、比較器110,111,112,113と、MDAC用デコーダ108,109と、エンコーダ114とを備える。
【0051】
乱数発生源105は、基準電圧生成部106に乱数を与える。
基準電圧生成部106は、乱数発生源105の乱数に基づいて、複数の基準電圧Vef1,Vref2,Vref3,Vref4を生成する。基準電圧Vref4の大きさは、3/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref3の大きさは、1/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref2の大きさは、−1/8Vrefから±αだけずれた電圧である。基準電圧Vref1の大きさは、−3/8Vrefから±αだけずれた電圧である。
【0052】
比較器110は、入力電圧Vinと基準電圧Vref4の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ108へ出力する。比較器111は、入力電圧Vinと基準電圧Vref3の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ108へ出力する。比較器112は、入力電圧Vinと基準電圧Vref2の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ109へ出力する。比較器113は、入力電圧Vinと基準電圧Vref1の大きさを比較して、比較結果をMADC用デコーダ109へ出力する。
【0053】
この入力電圧Vinは、このSADC103がステージ2〜ステージ8のSADC103の場合には、前ステージのMDAC104の出力電圧(副アナログ信号)であり、このSADC103がステージ1のSADC103の場合には、パイプラインADC100に入力されたアナログ入力電圧(アナログ信号)である。
【0054】
エンコーダ114は、比較器110,111,112,113の比較結果に応じた4ビットのデジタルデータ(副デジタル信号)を出力する。
【0055】
MADC用デコーダ108,109は、比較結果に応じた電圧選択信号SW2a〜SW2fを生成する。
【0056】
MADC用デコーダ108は、比較器110,110の比較結果に応じて、電圧選択信号SW2a,2b,2cのいずれか1つを「H」レベルに活性化し、残りを「L」レベルに非活性化する。
【0057】
MADC用デコーダ109は、比較器112,113の比較結果に応じて、電圧選択信号SW2d,2e,2fのいずれか1つを「H」レベルに活性化し、残りを「L」レベルに非活性化する。
【0058】
図6は、本実施の形態のMDACの構成を表わす図である。
MADC104は、入力電圧Vinと、SADC103で生成された電圧選択信号SW2a〜SW2fに応じて入力される電圧(+Vref、0、−Vref)に応じた副アナログ信号を生成して、次段のステージに出力する。
【0059】
図6に示すように、このMADCは、複数のスイッチ263〜272と、容量Ci1,Ci2と、容量261,262とを備える。
【0060】
容量Ci1は、増幅器115の第1の入力に接続されるとともに、スイッチ263を介して入力電圧Vinに接続され、スイッチ267を介して第1の電圧(+Vref)に接続され、スイッチ268を介して第2の電圧(0V)に接続され、スイッチ269を介して第3の電圧(−Vref)に接続される。
【0061】
容量Ci2は、増幅器115の第1の入力に接続されるとともに、スイッチ264を介して入力電圧Vinに接続され、スイッチ270を介して第1の電圧(+Vref)に接続され、スイッチ271を介して第2の電圧(0V)に接続され、スイッチ272を介して第3の電圧(−Vref)に接続される。
【0062】
増幅器115の第1の入力と、出力とは、並列接続された容量261,262とスイッチ265を介して接続される。また、増幅器115の出力は、スイッチ265,273を介して入力電圧Vinと接続される。
【0063】
増幅器115の第1の入力と第2の入力とは、スイッチ266を介して接続される。増幅器115の第2の入力は、電源に接続される。
【0064】
スイッチ267,268,269は、それぞれ電圧選択信号SW2a、SW2b、SW2cによって制御される。
【0065】
スイッチ270,271,272は、それぞれ電圧選択信号SW2d、SW2e、SW2fによって制御される。
【0066】
スイッチ263,264,266,273は、スイッチ信号SW1によって制御される。スイッチ265は、スイッチ信号SW2によって制御される。
【0067】
増幅器115は、次段のステージに副アナログ信号(Vout)を出力する。
図7は、図5に含まれる基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0068】
図7に示すように、基準電圧生成部106は、基準となる2つの電位間(+Vref、−Vref)を直列に接続した複数の抵抗Rと、複数の抵抗Rによって基準となる2つの電位間を内分した電位を出力する複数の端子T1〜T20と、スイッチ回路501〜504とを備える。
【0069】
複数の端子T1〜T20は、第1グループの端子T1〜T5、第2グループの端子T6〜T10、第3グループの端子T11〜T15、第4グループの端子T16〜T20に分類される。
【0070】
スイッチ回路501は、第1グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第1グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref4として出力する。
【0071】
スイッチ回路502は、第2グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第2グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref3として出力する。
【0072】
スイッチ回路503は、第3グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第3グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref2として出力する。
【0073】
スイッチ回路504は、第4グループに対して設けられ、スイッチ信号SW[0]〜SW[4]に基づいて、第4グループの端子のいずれかの端子を選択して、選択した端子の電位を基準電圧Vref1として出力する。
【0074】
図8は、図5に含まれる乱数発生源の構成を表わす図である。
乱数発生源105は、循環的に接続される複数のフリップフロップ111,112,113と、論理回路251と、デコーダ114とからなる。乱数発生源105は、時間によって変化する乱数値を基にして、基準電圧生成部106内の複数のスイッチを制御するスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を生成する。
【0075】
図9は、図8に含まれるデコーダの真理表を表わす図である。
入力が「abc」とは、フリップフロップ111の出力が「a」で、フリップフロップ112の出力が「b」で、フリップフロップ113の出力が「c」であることを表わす。
【0076】
入力が「001」の場合には、スイッチ信号SW[0]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[1]〜SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「010」の場合には、スイッチ信号SW[1]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]、SW[2]〜SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「011」の場合には、スイッチ信号SW[2]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]、SW[1]、SW[3]、SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「100」の場合には、スイッチ信号SW[3]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]〜SW[2]、SW[4]は、ロウレベルに非活性化される。入力が「110」の場合には、スイッチ信号SW[4]のみがハイレベルに活性化され、その他のスイッチ信号SW[0]〜SW[3]は、ロウレベルに非活性化される。
【0077】
(比較)
次に、従来文献である特許文献1(特開2010−21918号公報)に記載された方式との相違点を説明する。
【0078】
特許文献1では、アンプの帰還率を上昇させるために、折返し数やビット数を変化させない状態で、ステージのゲインを1/2などに緩和している。これに対して、本実施の形態では、ステージのゲインは変化させず、折返し数を約2倍に増加させ、コンパレータの判定点のずれに対する耐性を強化している。MDACの出力振幅で限定すると、同じように、1/2になっているが、その目的は大きく異なる。
【0079】
本実施の形態と特許文献1との違いをまとめると、以下のとおりである。
(a) 特許文献1では、ステージゲインが変化するが、本実施の形態では、ステージのゲインは変化しない。
【0080】
(b) 特許文献1では、アンプの帰還率を緩和しているが、本実施の形態では、アンプの帰還率は緩和しない。これは、特許文献1では、アンプの精度と電力特性を優先させているためである。
【0081】
(c) 特許文献1では、折返し数(SADCのビット数)は変化させないが、本実施の形態は、折返し数(ビット数)を増加している。
【0082】
(d) 特許文献1では、コンパレータの精度は悪化しているが、本実施の形態では変化しない。本実施の形態は、コンパレータの精度を優先している。
【0083】
(e) 特許文献1では、コンパレータ数は変わらないが、本実施の形態では、コンパレータ数は2倍程度に増加する。
【0084】
図10は、オーバーラップの違いによる冗長性や、次ステージの入力レンジの違いを示す図である。
【0085】
特許文献1では、次のステージとのSADC出力のオーバーラップは1ビットであるが、本実施の形態では、2ビットである。
【0086】
また、特許文献1では、自ステージの出力振幅半減に合わせて、次のステージの入力レンジは、1/2に狭める必要がある。一方、本実施の形態では、オーバーラップが1ビット多いことを利用することで、オーバーラップ1ビットでは表現できなかった、−Vref〜+Vrefのすべての出力を表現できる。
【0087】
図11は、別のオーバーラップのビットから見た冗長性を示す図である。
図11の左は、本実施の形態で、右は特許文献1である。どちらも、3ビットで、1LSBの大きさは変わらない。次ステージとオーバーラップしている部分は、自ステージと次ステージの組み合わせで表現することができ、自ステージの結果により、次ステージが追従することを考えると、自ステージは、オーバーラップのビット分、表現の自由性があるといえる。図11の右(特許文献1)では、1ビットオーバーラップしているので、1LSB分表現の自由があるといえる。これに対し、左(本実施の形態)では、2ビットオーバーラップしているので、0〜3と表現の範囲が広がり、3LSB分表現の自由がある。よって、本実施の形態では、特許文献1に対し、2LSB分多くずれても冗長性のおかげで破綻せずに正しい表現ができる。このずれ分を、ディザやコンパレータのオフセットで利用できるため、コンパレータの精度を高めずとも、大きなディザを印加できる。
【0088】
(効果)
以上のように、本実施の形態によれば、閾値ディザが持つ利点の多くを継承しながら、コンパレータのオフセットによるディザ量の制限を解消し、直線性の改善を図ることができる。
【0089】
本実施の形態では、ステージ8を除く各ステージが3ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが2で、折返し数が4で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0090】
[第1の実施形態の変形例1]
図12は、第1の実施形態の変形例1のSADCの伝達関数を表わす図である。図13は、第1の実施形態の変形例1のMDACの伝達関数を表わす図である。
【0091】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref/4、±Vref/2の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0092】
Do=0 (Vin<−Vref/2)
Do=1 (−Vref/2<Vin<−Vref/4)
Do=2 (−Vref/4<Vin<0)
Do=3 (0<Vin<Vref/4)
Do=4 (Vref/4<Vin<Vref/2)
Do=5 (Vref/2<Vin)
SADCの出力Doの値は、±Vref/4、±Vref/2で変わるため、MADCの伝達関数は、図13に示すような折れ線の特性になる。
【0093】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが3ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが2で、折返し数が5で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0094】
[第1の実施形態の変形例2]
第1の実施形態では、ステージのゲインが2であったが、本変形例は、ステージのゲインが4の場合を説明する。
【0095】
図14は、ステージゲインが4のときのSADCの伝達関数を表わす図である。図15は、ステージゲインが4のときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0096】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0097】
Do=0 (Vin<−Vref×11/16)
Do=1 (−Vref×11/16<Vin<−Vref×9/16)
Do=2 (−Vref×9/16<Vin<−Vref×7/16)
Do=3 (−Vref×7/16<Vin<−Vref×5/16)
Do=4 (−Vref×5/16<Vin<−Vref×3/16)
Do=5 (−Vref×3/16<Vin<−Vref×1/16)
Do=6 (−Vref×1/16<Vin<Vref×1/16)
Do=7 (Vref×1/16<Vin<Vref×3/16)
Do=8 (Vref×3/16<Vin<Vref×5/16)
Do=9 (Vref×5/16<Vin<Vref×7/16)
Do=10 (Vref×7/16<Vin<Vref×9/16)
Do=11 (Vref×9/16<Vin<Vref×11/16)
Do=12 (Vref×11/16<Vin)
SADCの出力Doの値は、Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16で変わるため、MADCの伝達関数は、図15に示すような折れ線の特性になる。
【0098】
図16は、ステージゲインが4のときのSADCの構成を表わす図である。図17は、ステージゲインが4のときのMADCの構成を表わす図である。図18は、ステージゲインが4のときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0099】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが4ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが4で、折返し数が12で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0100】
[第1の実施形態の変形例3]
本変形例は、第1の実施形態の変形例2をさらに変形して、折返し数が増加させたものである。
【0101】
図19は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの伝達関数を表わす図である。図20は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの伝達関数を表わす図である。
【0102】
SADCは、入力電圧Vinに対し、±Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16の点に判定点があり、出力Doは、以下の式で表わされる。
【0103】
Do=−2 (Vin<−Vref×15/16)
Do=−1 (−Vref×15/16<Vin<−Vref×13/16)
Do=0 (−Vref×13/16<Vin<−Vref×11/16)
Do=1 (−Vref×11/16<Vin<−Vref×9/16)
Do=2 (−Vref×9/16<Vin<−Vref×7/16)
Do=3 (−Vref×7/16<Vin<−Vref×5/16)
Do=4 (−Vref×5/16<Vin<−Vref×3/16)
Do=5 (−Vref×3/16<Vin<−Vref×1/16)
Do=6 (−Vref×1/16<Vin<Vref×1/16)
Do=7 (Vref×1/16<Vin<Vref×3/16)
Do=8 (Vref×3/16<Vin<Vref×5/16)
Do=9 (Vref×5/16<Vin<Vref×7/16)
Do=10 (Vref×7/16<Vin<Vref×9/16)
Do=11 (Vref×9/16<Vin<Vref×11/16)
Do=12 (Vref×11/16<Vin<Vref×13/16)
Do=13 (Vref×13/16<Vin<Vref×15/16)
Do=14 (Vref×15/16<Vin)
SADCの出力Doの値は、Vref×15/16、Vref×13/16、Vref×11/16、±Vref×9/16、±Vref×7/16、±Vref×5/16、±Vref×3/16、±Vref×1/16で変わるため、MADCの伝達関数は、図14に示すような折れ線の特性になる。
【0104】
本変形例では、ステージ8を除く各ステージが4ビットの副デジタル信号を出力し、伝達関数のゲインが4で、折返し数が16で、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0105】
図21は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのSADCの構成を表わす図である。図22は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの構成を表わす図である。図23は、ステージゲインが4で、両端折返しのときのMADCの別の構成を表わす図である。図24は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの基準電圧生成部の構成を表わす図である。
【0106】
[第1の実施形態の変形例4]
本変形例は、第1の実施形態の変形例3をさらに変形して、差動化したものである。
【0107】
図25は、ステージのゲインが4で、両端折返しのときの、差動式のSADCの構成を表わす図である。図26は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの構成を表わす図である。図27は、ステージゲインが4で、両端折返しのときの差動式のMADCの別の構成を表わす図である。
【0108】
[第1の実施形態の変形例5]
一般に、最後の段を除くステージがNビットの副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nとするか、あるいは、伝達関数のステージゲインが2N-k-2で、且つ折返し数が2N-k−4、もしくは、2N-k−2、もしくは、2N-kとすることができる。ただし、整数Kが0≦K≦N−3の関係を有しており、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである。
【0109】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ディザの発生を基準電圧生成回路で行っているが、第2の実施形態では、SADCの入力にディザを印加する。
【0110】
図28は、第2の実施形態のパイプラインADCの構成を表わす図である。
図28に示すように、パイプラインADCは、ディザ生成部102と、加算部410と、SADC103と、MADC104とを備える。
【0111】
第2の実施形態では、SADC103内の基準電圧生成部は、基準電圧Vref4として3/8Vrefを出力し、基準電圧Vref3として1/8Vrefを出力し、基準電圧Vref2として−1/8Vrefを出力し、基準電圧Vref1として−3/8Vrefを出力する。
【0112】
図29は、ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
ディザ生成部101は、乱数発生回路411と、DAC(Digital to Analog Converter)412とを備える。
【0113】
乱数発生回路411は、時間によって変化する乱数値を生成する。
DAC412は、生成されたランダムな数値をアナログ信号に変換する。
【0114】
加算部410は、DAC402の出力とステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0115】
この入力電圧Vinは、このSADC103がステージ2〜ステージ8のSADC103の場合には、前ステージのMDAC104の出力電圧であり、このSADC103がステージ1のSADC103の場合には、パイプラインADC100に入力されたアナログ入力電圧である。
【0116】
[第2の実施形態の変形例1]
本変形例は、第2の実施形態とは異なるディザ生成に関するものである。本変形例では、SADC103を用いてディザを生成する。
【0117】
図30は、第2の実施形態の変形例1のステージの構成を表わす図である。
図31は、ディザ生成部の具体的な構成を表わす図である。
【0118】
図31に示すように、SADC103内にある基準電圧生成部の複数の端子の出力がセレクタ423に接続される。
【0119】
セレクタ423は、乱数発生回路421から出力される乱数値に従って、入力された複数の端子の出力のいずれかを選択して、選択した端子の出力電圧を加算部410へ出力する。
【0120】
加算部410は、セレクタ423の出力とステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0121】
[第2の実施形態の変形例2]
本変形例は、第2の実施形態および変形例1とは異なるディザ生成に関するものである。本変形例では、素子ノイズを用いてディザを生成する。
【0122】
図32は、第2の実施形態の変形例2のパイプラインADCの構成を表わす図である。
図32に示すように、ディザ生成部430は、素子雑音発生源431と、増幅器432とを備える。
【0123】
素子雑音発生源431は、素子ノイズを発生する。増幅器432は、素子ノイズを増幅する。
【0124】
加算部410は、増幅された素子ノイズと、ステージの入力電圧Vinとを加算して、SADC103に出力する。
【0125】
本変位例では、素子ノイズを用いることによって連続した数値が入力されるため、分割数が無限大となり、より滑らかな結果を得ることができる。
【0126】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態の基準電圧生成部を変形させたものである。
【0127】
本実施の形態SADC103は、図5のSADCと同様の構成を有する。
乱数発生源105は、第1の実施形態と同様に、図8の構成を有する。乱数発生源105は、時間によって変化する乱数値を基にして、基準電圧生成部106内の複数のスイッチを制御するスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を生成する。
【0128】
図33は、第3の実施形態の基準電圧生成部の構成を表わす図である。
この基準電圧生成部は、第1の電位(V1)と第2の電位(V2)間を直列に接続した複数の抵抗Rと、第1の電位(V1)と基準電圧(+Vref)との間に接続された複数の抵抗Rと、第2の電位(V2)と基準電圧(−Vref)との間に接続された複数の抵抗Rと、複数の基準電圧Vref4、Vref3、Vref2、Vref1を出力する端子と、スイッチ回路621,622とを備える。
【0129】
スイッチ回路621は、それぞれがスイッチ信号SW[0]〜SW[4]によって制御される複数のスイッチを備える。各スイッチは、基準電圧(+Vref)と第1の電位(V1)との間の経路を内分する端子と接続する。したがって、スイッチ回路621にスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を与えることによって、第1の電位(V1)が設定される。
【0130】
スイッチ回路622は、それぞれがスイッチ信号SW[0]〜SW[4]によって制御される複数のスイッチを備える。各スイッチは、基準電圧(−Vref)と第2の電位(V2)との間の経路を内分する端子と接続する。したがって、スイッチ回路622にスイッチ信号SW[0]〜SW[4]を与えることによって、第2の電位(V2)が設定される。
【0131】
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、ディザの発生を基準電圧生成回路で行うが、第1の実施形態のように、ラダー抵抗に多くのタップを設けるのではなく、図33に示すように、基準電圧に接続する抵抗の抵抗値をスイッチで変化させ、タップの内分点をずらすことによって、ディザの値を切替えることができる。
【0132】
[第4の実施形態]
本実施の形態は、SADCの出力にDEM論理回路を加えることで、各折返し間の段差のミスマッチを平均化し、INLの改善を図る。
【0133】
図34は、MADCの伝達曲線を表わす図である。
図34に示すように、ADCの判定点での折返し量に異なる部分が存在し、全体的にうねっているように見える。
【0134】
図35は、従来のパイプラインADCの入出力特性を表わす図である。
図35に示すように、ディザなしの入出力特性では、発生する段差の大きさが場所ごとに異なる。
【0135】
これに対して、ディザを適用した場合には、段差が拡散するが、理想的な直線からはずれる。
【0136】
図36は、ディザを適用したときのINLのカーブのイメージを表わす図である。ディザを適用しているため、ディザを適用しない時よりは良い結果であるが、INLがうねっていることが分かる。
【0137】
本実施の形態では、上記の問題を改善する。
図37は、第4の実施形態のステージの構成を表わす図である。
【0138】
図37に示すように、MADC104を構成する容量のうち、DACには、複数の容量C1,C2,C3,C4が接続しており、それぞれの容量が独立してばらつくため、発生する段差がばらつく。
【0139】
図37では、SADC103の出力と、MADC104の入力の間にDEM用論理回路711を加えることによって、容量のバラつきが均一化される。
【0140】
その結果、図38に示すように、ADCの判定点での折り返し量が均一になる。図39に示すように、ADCの入出力の段差も均等になる。この状態でディザを適用すると、図40に示すように、INLのうねりも改善される。
【0141】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
100 パイプラインADC、90,101 エラー補正回路、103 SADC、104 MADC、105,122,305 乱数発生源、106,121,206,306 基準電圧生成部、110〜113,123〜134,210〜235,310〜335 比較器、102,430 ディザ生成部、410 加算部、411,421 乱数発生回路、412 DAC、431 素子雑音発源、114,141 エンコーダ、108,109,135〜140,231〜238,331〜338 MADC用デコーダ、115,422,432 増幅器、261〜272 スイッチ、111〜113 フリップフロップ、114 デコーダ、251 論理回路、350 差動増幅器、501 ロジック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、
縦列接続された複数のステージと、
前記複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいて前記デジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、
前記複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの前記副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、
隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである、パイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項2】
アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、
縦列接続された複数のステージと、
前記複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいて前記デジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、
前記複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの前記副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-k-2で、且つ折返し数が2N-k−4、もしくは、2N-k−2、もしくは、2N-kであり、ただし、整数Kが0≦K≦N−3の関係を有しており、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである、パイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項3】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路とを備え、
前記サブAD回路は、
乱数発生回路と、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含み、
前記基準電圧生成回路は、
基準となる2つの電位間を直列に接続した複数の抵抗と、
前記複数の抵抗によって、基準となる2つの電位間を内分した電位を出力する複数の端子と、前記複数の端子は、複数のグループに分類され、
各グループごとに設けられ、各グループに属する端子のうちの1つを選択して、前記選択した端子の電位を基準電圧として出力する複数のスイッチ回路とを含み、
前記乱数発生回路は、時間によって変化する乱数値を基にして、前記複数のスイッチ回路を制御するスイッチ信号を生成する、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項4】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路と、
時間によって変化する乱数値をアナログ信号に変換して出力するディザ生成部と、
前記ディザ生成部の出力と、前記アナログ信号または前記副アナログ信号とを加算する加算回路とを備え、
前記サブAD回路は、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含む、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項5】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路とを備え、
前記サブAD回路は、
乱数発生回路と、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含み、
前記基準電圧生成回路は、
第1の電位および第2の電位間を直列に接続した複数の抵抗と、
前記複数の基準電圧を出力する端子と、
前記第1の電位および前記第2の電位を設定する複数のスイッチとを備え、
前記乱数発生回路は、時間によって変化する乱数値を基にして、前記複数のスイッチを制御するスイッチ信号を生成する、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項1】
アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、
縦列接続された複数のステージと、
前記複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいて前記デジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、
前記複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの前記副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-2で、且つ折返し数が2N−4、もしくは、2N−2、もしくは、2Nであり、
隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである、パイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項2】
アナログ信号をデジタル信号に変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、
縦列接続された複数のステージと、
前記複数のステージのそれぞれから出力される副デジタル信号に基づいて前記デジタル信号を生成するエラー補正回路とを備え、
前記複数のステージのうち少なくとも1つのステージは、Nビットの前記副デジタル信号を出力する場合に、伝達関数のステージゲインが2N-k-2で、且つ折返し数が2N-k−4、もしくは、2N-k−2、もしくは、2N-kであり、ただし、整数Kが0≦K≦N−3の関係を有しており、隣接するステージとエラー補正する際にオーバーラップするビット数が2ビットである、パイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項3】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路とを備え、
前記サブAD回路は、
乱数発生回路と、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含み、
前記基準電圧生成回路は、
基準となる2つの電位間を直列に接続した複数の抵抗と、
前記複数の抵抗によって、基準となる2つの電位間を内分した電位を出力する複数の端子と、前記複数の端子は、複数のグループに分類され、
各グループごとに設けられ、各グループに属する端子のうちの1つを選択して、前記選択した端子の電位を基準電圧として出力する複数のスイッチ回路とを含み、
前記乱数発生回路は、時間によって変化する乱数値を基にして、前記複数のスイッチ回路を制御するスイッチ信号を生成する、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項4】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路と、
時間によって変化する乱数値をアナログ信号に変換して出力するディザ生成部と、
前記ディザ生成部の出力と、前記アナログ信号または前記副アナログ信号とを加算する加算回路とを備え、
前記サブAD回路は、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含む、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【請求項5】
前記ステージは、
前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた前記副デジタル信号を生成して前記エラー補正回路に出力するともに、前記アナログ信号または前段のステージから出力される副アナログ信号の大きさに応じた電圧選択信号を生成するサブAD回路と、
前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさと、前記サブAD回路で生成された電圧選択信号に応じて入力される電圧に応じた副アナログ信号を生成し、次段の前記ステージに出力するDA回路とを備え、
前記サブAD回路は、
乱数発生回路と、
複数の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路で生成された複数の基準電圧と前記アナログ信号または前記副アナログ信号の大きさを比較する複数のコンパレータとを含み、
前記基準電圧生成回路は、
第1の電位および第2の電位間を直列に接続した複数の抵抗と、
前記複数の基準電圧を出力する端子と、
前記第1の電位および前記第2の電位を設定する複数のスイッチとを備え、
前記乱数発生回路は、時間によって変化する乱数値を基にして、前記複数のスイッチを制御するスイッチ信号を生成する、請求項1または2記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公開番号】特開2013−74401(P2013−74401A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210955(P2011−210955)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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