説明

パイプ・パネルのユニット構造

【課題】パイプをパネル裏に簡単に配管でき、部品点数も少なく、デザイン性にも優れたパイプ・パネルのユニット構造を提供する。
【解決手段】パネルと、該パネルを固定するベースとの間にパイプを密に挟持するパネル・パイプのユニット構造であって、前記パネルは両端縁をL字状に折曲すると共に、その内側それぞれに凸部を内向きに突成した一対の取付部を外側に弾性的に拡開可能に設けてなる一方、前記ベースは前記パネルとのパイプ挟持部の両側に、前記取付部の弾性復元によって前記凸部が嵌合する嵌合部を一対凹設してなり、さらに、当該ベースの前記パイプ挟持部または前記パネルの裏面の少なくとも一方は、前記パイプの嵌め溝を構成した。さらに、パイプの一部周面に係合する断面U字状を有し、開口先端それぞれをパネル裏面と当接可能に外側に屈曲したパイプクリップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネルの裏面にパイプを配管したパイプ・パネルのユニット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パネルとその裏面にパイプを一体的に配管した装置として、特許文献1〜3に開示の輻射パネル式冷暖房機が存在する。
【0003】
特許文献1の輻射パネルは、媒体流通部を有する長尺のパネル本体と、パネル本体の全長にわたって形成された一対の溝形成用凸条からなる横断面優弧状ビスねじ嵌め溝とを備え、ビスねじ嵌め溝の両端を開口させると共に、輻射冷暖房ユニットは、垂直壁を有し、かつ、互いに間隔をおいて配置された一対の支持部材と、両支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置された複数の輻射パネルとを備えている。支持部材の垂直壁を外側から貫通したビスを輻射パネルのビスねじ嵌め溝内に嵌め込むことにより、輻射パネルの両端部を支持部材に固定するものである。
【0004】
特許文献2の輻射冷暖房ユニットは、一つの支持部材と、両支持部材間に並列状に配置された複数の長尺輻射パネルと、隣合う輻射パネルに跨るように、輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の挟持部材と、挟持部材に固定されて隣合う輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材とを備え、輻射パネル上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した挟持部材取付溝を全長にわたって形成し、挟持部材は目隠し部材を保持する挟持部と、一対の脚部とよりなり、挟持部材の両脚部の下端部を、隣合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した挟持部材取付溝内に嵌め入れ、目隠し部材を挟持部材の挟持部に固定するものである。
【0005】
特許文献3における輻射パネルユニットの設置方法は、予め、パイプと、複数のパネルと、複数の押さえ部材と、複数のクリップ金具とを準備し、天井スラブに吊下された横材に、その延設方向に沿って複数のクリップ金具を取り付け、クリップ金具を介して横材に押さえ部材を並列に吊持し、次いで、パネルを押さえ部材の下側に配置し、パイプ受け部にパイプを嵌め込み、パイプ受け部にパイプの直線部が、隣接するパイプ受け部の間ではパイプの湾曲部が存在し、平面視が蛇行状となるようにパイプを敷設し、次いで、パネルを押さえ部材に向けて押し込むことにより、押さえ部材とパネルを係合させ、パイプ受け部とパイプクリップ部とによりパイプを固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−183993号公報
【特許文献2】特開2008−25955号公報
【特許文献3】特開2010−190444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3のとおり、嵌め込み式の輻射パネルが従来より提案されているが、何れも輻射パネルに合わせて事前にパイプの配管形状を決定しておかなければならず、当該固定作業が繁雑である。また、従来のユニット構造は、部品点数が多く、その分、組立工数も多くなり、またコスト高である。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、パイプをパネル裏に簡単に配管でき、部品点数も少なく、デザイン性にも優れたパイプ・パネルのユニット構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明では、パネルと、該パネルを固定するベースとの間にパイプを密に挟持するパネル・パイプのユニット構造であって、前記パネルは両端縁をL字状に折曲すると共に、その内側それぞれに凸部を内向きに突成した一対の取付部を外側に弾性的に拡開可能に設けてなる一方、前記ベースは前記パネルとのパイプ挟持部の両側に、前記取付部の弾性復元によって前記凸部が嵌合する嵌合部を一対凹設してなり、さらに、当該ベースまたは前記パネルの裏面の少なくとも一方に、前記パイプの嵌め溝を構成するという手段を用いた。
【0010】
本発明の構造において、ベースはパイプと共にパネルを固定する基盤として機能し、本発明構造を建物の天井や壁に適用する場合は建物側の野縁受等への取付金具としても機能する。このベースに対してパネルを取り付ける際は、パネルの取付部を外側に弾性的に拡開させた状態にして、当該取付部と共に凸部をベースの嵌合部に挿入していき、パネル凸部がベース凹部に位置したときに、前記取付部の弾性復元によってパネル凸部を自動的にベース凹部に嵌入し、パネルの固定作業が完了する。この作業は、パネルをベースに押しつけることによって行うことができる。
【0011】
そして、パネルをベースに固定すると、パイプはパネルとベースの間に挟持されるが、ベースにおけるパイプ挟持部またはパネル裏面の少なくとも一方に、パイプの周面一部が係合可能なパイプ嵌め溝を凹設することで、パイプのパネル面方向のガタつきが抑制される。特に、パイプのベース側一部周面に係合する断面U字状を有し、開口先端それぞれをパネル裏面と当接可能に外側に屈曲したパイプクリップをさらに備えることで、パイプのあらゆる方向のガタつきを防ぐと共に、パネルに対してパイプをより密着させることができる。
【0012】
他方、パネル凸部をベース側に向かって予め斜めに形成するという手段では、パネル凸部がベース凹部に嵌入すると、前記凸部の傾斜角度に対応する距離だけパネルがベース側に引き寄せられるように移動するため、固定完了後に、パイプをパネルとベースの間により強固に挟持できる。
【0013】
パネルを複数枚使用する場合、ベースは長手方向にパイプ挟持部および嵌合部を複数有する長尺状とし、複数枚のパネルを前記長手方向に並列に取り付け可能とすることができる。そして、このような構成においては、パネルの取付部は凸部と反対側に、隣接するパネルとの隙間を遮蔽する遮蔽部を外向きに形成してなることで、パネルを隙間なく並設することができる。
【0014】
また、上述したパネルを複数枚並設したユニット構造において、パイプは直管部をベースのパイプ挟持部の中心に位置させて蛇行配管させることで、1ユニットあたりのパイプ長を長く確保でき、引いてはパネルとの接触面積も大きく確保される。
【0015】
このように、パイプとパネルを密着させ、また、接触面積を大きくしたことは、パネルは輻射パネルであり、パイプは熱媒体を流す熱媒パイプである場合に有意である。つまり、熱媒パイプと輻射パネルの密着度や接触面積が大きくなれば、熱媒パイプを流れる熱媒体の輻射パネルに対する伝熱効率が高まり、もって、輻射効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パネルをパイプを介してベースにワンタッチで取り付けることができるため、パネル・パイプのユニット構造の構築が非常に簡単である。また、パネル、パイプ、ベース以外の部品を一切使用せずにユニット構造を構築することも可能であるため、施工性とコスト性に優れる。さらに、パネルをパイプに密着させた状態で取り付けることができるため、パイプのガタつきが押さえられると同時に、輻射式冷暖房機の輻射パネルに適用した場合は輻射効率を高めることができる。さらにまた、パイプのパイプ嵌め溝をベースに設けることで、表面平滑なパネルを使用することができるため、シンプルな見た目のパネルユニットとすることができる。また、上述のように部品数が少なく、かつ、パネルの取付構造も比較的簡易であるため、施工ミスが少なく、長期耐久性をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示した、(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図
【図2】同実施形態の一部拡大した分解斜視図
【図3】同実施形態の要部拡大した分解平面図
【図4】同実施形態における金属製パネルの固定順序を示した作業説明図
【図5】同実施形態における嵌入凸部とその近傍を拡大した説明図
【図6】本発明の第一の別実施形態を示した説明図
【図7】本発明の第二の別実施形態を示した説明図
【図8】本発明の第三の別実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明のパネル・パイプのユニット構造を天井用輻射式冷暖房機の輻射パネルに適用した実施形態を示したもので、天井面を正面として、(a)は同構造の正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。また、図2は同構造の一部を拡大した分解斜視図であり、図3は同じく要部拡大した分解平面図である。そして、これら図中において、1は取付ベースバー(請求の範囲のベースに相当)、2は金属製パネル、3は熱媒パイプである。
【0019】
取付ベースバー1は、図1(c)や図2に明確に示されるように、金属等の長尺の板部材を下向き開口の略コ字型に折曲成型したものである。つまり、この取付ベースバー1は、水平部1aの両縁に同一形状の垂直部1bを90度屈成した断面略コ字型の形状をなす。このうち水平部1aは、本ユニット構造を天井に適用する際に、天井の野縁受N等にボルトBで固定するものである。一方、垂直部1bには、金属製パネル2の取付先として、パネル幅に応じた間隔をおいて挿入凹部1c(請求の範囲でいう嵌合部に相当)を長手方向に複数形成している。また、この挿入凹部1cは、その内側垂直辺それぞれに嵌入凹部1dを切欠形成してなる(図3参照)。なお、取付ベースバー1の終端に位置する挿入凹部1c’は垂直辺が一つしかないため、嵌入凹部1d’も一つである。
【0020】
そして、図3を中心に説明を続けると、挿入凹部1cの間の山形部分を、パネル裏面とで熱媒パイプ3を挟持するパイプ挟持部1eとしている。言い換えれば、パイプ挟持部1eの両側に挿入凹部1cを一対設けた構成である。また、このパネル挟持部1eの中央には熱媒パイプ3を係合挿入するパイプ嵌め溝1fを切欠形成している。このパイプ嵌め溝1fは、底部を熱媒パイプ3の外径と同じ径の円弧状とした長円孔として、その深さは熱媒パイプ3を底部まで係合したときに、当該パイプ嵌め溝1fの開口部分から当該熱媒パイプ3の周面一部が露出するように設定される。パイプ嵌め溝1fを深くしたほうが熱媒パイプ3のガタつきを確実に防止できるが、この実施形態では、熱媒パイプ3の一部を露出させ、この露出部分を金属製パネル2との接触部分(伝熱部分)としている。さらに、この実施形態では、パイプ挟持部1eの角を円弧状または斜めに面取り1gしている。
【0021】
これに対して、金属製パネル2は、アルミやステンレスなどの長尺の金属板を素材として、取付ベースバー1の長手方向に並列に取り付けるものである。すなわち、取付ベースバー1が横長とすれば、この金属製パネル2は縦長であり、図2や図3に示すように、その長辺側の両端縁にL字状に折曲した取付部2aを一対有する。また、本実施形態の場合、金属製パネル2の輻射面2bの両端に斜めに面取りした角部2cを介して取付部2aを垂直に設けている。このように段階的な折曲態様とすることで、パネル2そのものの物性(可撓性)と相まって、取付部2aを外側に弾性的に拡開できるようにしている。
【0022】
さらに、この取付部2aは、それぞれ内側に嵌入凸部2dを一対、内向きに対称に設けてなる。この嵌入凸部2dは取付ベースバー1の嵌入凹部1dに嵌入することで、金属製パネル2を取付ベースバー1に固定保持するものであるが、嵌入凸部2dと嵌入凹部1dの位置関係は、熱媒パイプ3を取付ベースバー1のパイプ嵌め溝1fに嵌め込んだ状態で、金属製パネル2が前記パイプ嵌め溝1fから露出するパイプ3の一部周面と密に接触するように設定される。当該設定により、金属製パネル2の固定完了時に、熱媒パイプ3は金属製パネル2と取付ベースバー1との間に密に挟み込まれ、熱媒パイプ3のガタつきや脱落が防止されると同時に、パイプ嵌め溝1fから露出する熱媒パイプ3の一部周面が金属製パネル2が密に接触するため、熱媒パイプ3を流れる熱媒体の金属製パネル2に対する伝熱効率も高まる。
【0023】
さらに、この実施形態の取付部2aは、嵌入凸部2dと反対側に遮蔽部2eを外向きにせり出して設けている。この遮蔽部2eによって、ベース1に複数枚の金属製パネル2を並設した場合、隣合う金属製パネル2同士の隙間が遮蔽され、施工完了後の見た目を改善している。
【0024】
そして、熱媒パイプ3は、この実施形態の場合、図1や図2に明らかなように、直管部3aが取付ベースバー1と直交する向き、言い換えれば、直管部3aを金属製パネル2と平行させた状態に蛇行配管している。より詳しくは、金属製パネル2の長さに対応して二個の取付ベースバー1をその長さ方向二カ所に平行して設け、これら二個の取付ベースバー1の間でパイプパイプ嵌め溝1fにより直管部3aを保持しつつ、取付ベースバー1の外側で湾曲部3bを形成して蛇行配管を構築している。この熱媒パイプ3の両端は、図示しないヒートポンプの循環配管に接続する。
【0025】
なお、上述のような蛇行配管を現場で行う場合、使用する熱媒パイプ3はフレキシブルパイプである必要があるが、その中でも、三層管を熱媒パイプ3として使用することが好ましい。三層管はアルミなどの金属により中間層をなし、その内外にポリエチレンなどの樹脂層を形成したハイブリッド型のパイプで、樹脂管よりも最小曲げ半径が小さく、金属管よりも耐食性に優れているというように、樹脂管と金属管の利点を兼ね備えている。また、通水時に曲げを維持し、ばたつきも抑制することから、固定バンド等を用いなくとも、取付ベースバー1と金属製パネル2との間に密に挟み込むことで、配管を長期に維持することができる。ただし、熱媒パイプ3は、輻射パネルに従来使用されている金属管であってもよい。
【0026】
上記構成のパネル・パイプのユニット構造によれば、図1に示すように、取付ベースバー1を予め天井の野縁受Nに固定し、熱媒パイプ3を直管部3aがパイプ嵌め溝1fと合致するように蛇行配管した後、この熱媒パイプ3を前記パイプ嵌め溝1fに係合させながら、金属製パネル2を順に取付ベースバー1に押しつける(押し上げる)ことで、固定作業を完了することができる。また、金属製パネル2の輻射面2bはフラット(平滑)であるから、シンプルで飽きのこないデザインに仕上げることができる。なお、熱媒パイプ3を蛇行配管する際、湾曲部3bについては、金属製パネル2のつなぎ目で取付部2aと干渉しないように、取付ベースバー1側に折り曲げて配管する(図1(b)参照)。若しくは、金属製パネル2の取付部2aに当該湾曲部3bが嵌る溝を形成しておいてもよい。
【0027】
図4は、金属製パネル2の固定作業を示したもので、当初、パネル側の嵌入凸部2dはベース側のパイプ挟持部1eの角部と干渉する位置にあるが(同図(a)参照)、取付ベースバー1に対して金属製パネル2を押しつけると、前記パイプ挟持部1eの角部は面取り1gとなっているため、嵌入凸部2dがこの面取り1gを滑り、両縁の取付部2aを弾性的に外側に拡開させる(同図(b)参照)。この状態からさらに金属製パネル2を押し込むと、取付部2aをさらに弾性拡開させながら嵌入凸部2dが前記パイプ挟持部1eの垂直辺を上昇していき(同図(c)参照)、当該嵌入凸部2dが嵌入凹部1dの位置となったとき、嵌入凸部2dは取付部2aの弾性復元によって嵌入凹部1dに嵌入する(同図(d)参照)。このような段階を経て金属製パネル2を取付ベースバー1に固定するのであるが、実際の作業においては、瞬時に、かつ、ワンタッチで金属製パネル2を固定することができる。
【0028】
そして、金属製パネル2の固定が完了したパネル・パイプのユニット構造は、熱媒パイプ3が金属製パネル2によって下支えされ、かつ、取付ベースバー1と金属製パネル2との間に密に挟み込まれているため、熱媒パイプ3はパイプ嵌め溝1fに確実に固定され、熱媒パイプ3のガタつきを防止する。これと共に、熱媒パイプ3が金属製パネル2に密に接触するため、熱媒パイプ3から金属製パネル2に対して効率よく伝熱を行うことができる。また、隣合う金属製パネル2同士の隙間は、取付部2aに設けた遮蔽部2eによって遮蔽され、ユニット全体のデザイン性に優れる。
【0029】
ここで、取付ベースバー1における嵌入凹部1dの向きを水平としたのに対して、金属製パネル2の嵌入凸部2dについては、図5に示したように、輻射面2bの反対側、すなわち取付ベースバー1側に予め傾斜させている。このように傾斜した嵌入凸部2dが水平な嵌入凹部1dに嵌入すると、嵌入凸部2dは嵌入凹部1dと向きを一致させて水平となる。そして、嵌入凸部2dが水平姿勢となることで、金属製パネル2の輻射面2bは取付ベースバー1側に引き寄せられる(図中の一点鎖線から実線への変位参照)。したがって、金属製パネル2の熱媒パイプ3に対する密着度が高まって伝熱効率が向上すると共に、熱媒パイプ3のガタつきがより確実に防止できる。
【0030】
本発明は上記実施形態に限定されず、例えば図6〜8に示すような実施形態とすることもできる。これら三つの別実施形態における上記実施形態との違いは、熱媒パイプ3の周面一部に係合するパイプクリップ4をさらに備えたこと、および、図7・8の実施形態ではパイプ嵌め溝の形成態様にある。
【0031】
即ち、図6の第一別実施形態では、熱媒パイプ3の取付ベースバー1側の周面一部に係合する断面U字状の係合部4aを有し、開口先端それぞれを外側に屈曲して座4bを形成したパイプクリップ4を備え、このパイプクリップ4を介して熱媒パイプ3を取付ベースバー1のパイプ嵌め溝1fに嵌め込んでいる。これによって、パイプクリップ4の係合部が熱媒パイプ3のパイプ嵌め溝1fに対する係合部分を保護すると共に、座4bが金属製パネル2の裏面に密接することで、熱媒パイプ3のあらゆる方向のガタつきを防止することができる。
【0032】
また、図7・8の第二・第三の別実施形態では、金属製パネル2の裏面に熱媒パイプ3のパイプ嵌め溝2fを設けているため、熱媒パイプ3と金属製パネル2の接触面積が拡大して伝熱効率を向上させるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、輻射パネル式冷暖房機の輻射パネルに適用する以外、パネルを壁板としたパイプの一体的な壁内配管や、パネルを床板としたパイプの一体的な床下配管(床暖房)にも利用することが考えられる。
【符号の説明】
【0034】
1 取付ベースバー
1c 挿入凹部
1d 嵌入凹部
1e パイプ挟持部
1f パイプ嵌め溝
2 金属製パネル
2a 取付部
2b 輻射面
2d 嵌入凸部
2e 遮蔽部
3 熱媒パイプ
3a 直管部
3b 湾曲折り返し部
4 パイプクリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、該パネルを固定するベースとの間にパイプを密に挟持するパネル・パイプのユニット構造であって、前記パネルは両端縁をL字状に折曲すると共に、その内側それぞれに凸部を内向きに突成した一対の取付部を外側に弾性的に拡開可能に設けてなる一方、前記ベースは前記パネルとのパイプ挟持部の両側に、前記取付部の弾性復元によって前記凸部が嵌合する嵌合部を一対凹設してなり、さらに、当該ベースの前記パイプ挟持部または前記パネルの裏面の少なくとも一方に、前記パイプの嵌め溝を構成したことを特徴とするパネル・パイプのユニット構造。
【請求項2】
嵌め溝はベースのパイプ挟持部にパイプの周面一部が露出して係合するようにパイプ径よりも浅い溝として構成され、かつ、パネル取付部とベース嵌合部の嵌合時に前記嵌め溝から露出するパイプ周面一部をパネル裏面に密に接触させる請求項1記載のパネル・パイプのユニット構造。
【請求項3】
パイプの一部周面に係合する断面U字状を有し、開口先端それぞれをパネル裏面と当接可能に外側に屈曲したパイプクリップをさらに備える請求項1または2記載のパネル・パイプのユニット構造。
【請求項4】
パネルの凸部をベース側に向かって予め斜めに形成した請求項1、2または3記載のパネル・パイプのユニット構造。
【請求項5】
ベースは長手方向にパイプ挟持部および嵌合部を複数有して、複数枚のパネルを前記長手方向に並列に取り付ける構造において、前記パネルの取付部は凸部とは反対側に、隣接するパネルとの隙間を遮蔽する遮蔽部を外向きに形成してなる請求項1から4のうち何れか一項記載のパネル・パイプのユニット構造。
【請求項6】
パイプは直管部をベースのパイプ挟持部の中心に位置させて蛇行配管した請求項5記載のパネル・パイプのユニット構造。
【請求項7】
パネルは金属製パネルであり、パイプは熱媒体を流す熱媒パイプである請求項1から6のうち何れか一項記載のパネル・パイプのユニット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141115(P2012−141115A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−950(P2011−950)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000151025)株式会社タブチ (86)
【Fターム(参考)】