説明

パイル製織パターン編集装置

【課題】 製織パターン情報の1つであるパイル形成情報の入力設定作業が容易に行えると共に、各パイル形成情報の入力がその情報に含まれるパイルピック数分だけ確実に行われるものする。
【解決手段】 織機の主駆動モータとは独立した駆動手段によって駆動されるパイル形成要素を設定されたパイル形成情報に従って動作させ、筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機のためのパイル製織パターン編集装置であって、任意の製織ステップに対し入力設定されたパイル形成情報に基づき、そのパイル形成情報に含まれる前記製織サイクル数に応じて、上記パイル形成情報が入力設定された製織ステップに連続する複数の製織ステップに対し、入力設定されたパイル形成情報に対応するパイル形成情報を自動設定する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル織機、特に、1パイル形成サイクルにおける製織サイクル数を含むパイル形成情報が各製織ステップ毎に設定されたパイル製織パターンに従い、織機の主駆動モータとは独立した駆動手段によって駆動されるパイル形成要素を動作させ、筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機を前提とし、そのパイル織機で使用される上記パイル製織パターンを作成及び編集するための装置に関する。
【0002】
なお、上記した本発明でいう「1パイル形成サイクル」とは、パイル形成のための1単位の製織サイクルであって、詳しくは、1つのパイルを形成するために行われる複数回の製織サイクルから成るものである。例えば、1つのパイルが3本の緯糸を緯入れ及び筬打ちすることによって形成される場合には、そのときの1パイル形成サイクルは3製織サイクルである。また、上記した本発明でいう「製織ステップ」とは、織り組織の1リピート内で製織サイクル単位で進む段階であり、ステップNo.(番号)は、その何番目の段階(何番目の製織サイクル)であるかを示すものである。従って、1ステップ=1製織サイクルである。
【0003】
また、上記した本発明でいう「パイル製織パターン」とは、少なくとも上記1パイル形成サイクル中の製織サイクル数(以下、「パイルピック数」という)を含むパイル形成情報が、各製織ステップ毎に、織り組織の1リピート分として設定されたものをいう。また、上記「パイル形成情報」とは、上記のように少なくともパイルピック数を情報として含むものであり、例えば、パイルピック数が3ピック(3製織サイクル)である場合は、「3」という数値がパイル形成情報となる。また、上記パイルピック数に加え、ルーズピック(緯糸が織布の織前から離間した位置に筬打ちされる緯入れ動作)の数及びファーストピック(上記ルーズピックの緯糸と共に緯糸を織前に筬打ちする緯入れ動作)の数や、筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置等を、上記パイル形成情報に含める場合もある。
【背景技術】
【0004】
上記のようなパイル織機の1つとして、固定の筬打ち位置に対し織前を変位させてパイルを形成する布移動式のパイル織機がある(例えば、特許文献1)。具体的には、図7に示すものであり、布移動式パイル織機1は、多数のパイル経糸PTがシート状に巻き付けられたパイル経糸用のワープビーム2(図面上側)と、多数の地経糸GTがシート状に巻き付けられた地経糸用のワープビーム3(図面下側)とを備える。
【0005】
パイル経糸PTは、ワープビーム2から送り出され、ガイドロール6、6と、その下流側に設けられたパイル経糸用のテンションロール7の外周に巻き掛けられて案内された後、ヘルド8及び筬5を経て、織布Wの織前CFに導かれる。また、地経糸GTは、ワープビーム3から送り出された後、パイル形成要素である送出側のテリーモーション部材としての地経糸用のテンションロール15の外周に巻き掛けられて案内された後、パイル経糸PTと同様に、ヘルド8及び筬5を経て織前CFに導かれる。更に、緯入れされた緯糸(図示せず)と共にパイル経糸PT及び地経糸GTによって形成されたパイル織布Wは、パイル形成要素である巻取側のテリーモーション部材としての布ガイドロール16に案内された後、服巻ロール11及びガイドロール12、13を経て、最終的に布巻ロール4に巻き取られる。
【0006】
パイル経糸PT及び地経糸GTによって形成された開口内に緯入れされた緯糸は、筬5によって織前CFに筬打ちされるが、この筬打ち過程において、上記ルーズピック時には、織前CFが筬打ち位置(筬5の最前進位置)から離間した位置となるように、また、上記ファーストピック時には、織前CFが筬打ち位置と一致した位置となるように、パイル形成要素としての送出側及び巻取側のテリーモーション部材15、16が駆動される。
【0007】
図示のパイル織機1では、送出側のテリーモーション部材15は、織機のフレーム(図示せず)に対し回動軸15bを介して回動自在に支持された支持レバー15aによって、その両端が支持されている。また、巻取側のテリーモーション部材16は、織機フレームに対し回動軸16bを介して回動自在に支持された支持レバー16aによって、その両端が支持されている。従って、送出側及び巻取側のテリーモーション部材15、16は、織機フレームに対し、各回動軸15b、16bを中心として回動変位可能に設けられている。
【0008】
各支持レバー15a、16aは、それぞれ連結ロッド17、19によって揺動レバー18と連結されている。従って、揺動レバー18が揺動駆動されることにより、送出側及び巻取側のテリーモーション部材15、16が同方向へ回動変位し、それに伴って織前CFが変位する。
【0009】
また、特許文献1に記載のものと同様に、図示のパイル織機1では、揺動レバー18が、織機の主駆動モータとは独立した駆動モータM(駆動手段)の出力軸Msに連結されており、駆動モータMによって揺動駆動されるものとなっている。従って、駆動モータMの駆動を、パイル制御装置48によって適宜に制御することにより、織前CFを変位させるタイミングを任意に設定することができ、また、そのタイミングを製織中に変更することも可能となる。すなわち、例えば、パイルピック数が3ピックである製織からパイルピック数が4ピックである製織への変更や、同じ4ピックパイルであってもルーズピックが3ピック(ファーストピックが1ピック)である製織からルーズピックが2ピック(ファーストピックが2ピック)である製織への変更が、織機を停止させることなく連続運転中(製織中)に行うことができる。
【0010】
以上のようなパイル織機において、上記のようにパイル経糸PT及び地経糸GTに開口運動を与えるための開口装置(図示せず)が、複数枚の綜絖枠の個々の運動を電気的に制御可能なもの(例えば、電子ドビー開口装置、各綜絖枠が専用の駆動モータで駆動される電動開口装置、等)である場合、その開口装置は、予め設定された開口パターンに従って駆動される。
【0011】
また、特許文献1にも記載されているように、上記のような開口装置を備えた織機において、上記開口装置に対し、上記開口パターンに加え、他の製織パターン情報が設定される場合がある。なお、ここでいう製織パターン情報とは、上記開口パターンの他、開口装置以外の製織に関与する装置の動作(制御)態様に関する情報を含むものであり、パイル織機の場合では、前述の1パイル形成サイクルのパイルピック数やファーストピック、ルーズピックの数及び織前の変位量等のパイル形成情報からなるパイル製織パターンが、この製織パターン情報に含まれる。そして、パイル織機では、上記したパイル制御装置48が、このパイル製織パターンに含まれるパイル形成情報に基いて上記駆動モータMの駆動を制御し、パイル形成要素をパイル製織パターンに従った態様で動作させる。
【0012】
上記製織パターン情報の設定例を図6に示す。図6は、製織パターン情報の設定状態を、パターン編集装置に含まれる表示器上に表示する際の、その表示画面の一例を示すものである。なお、上記パターン編集装置としては、織機上に備えられた表示装置であってその表示内容を編集可能な表示装置(例えば、タッチパネル式の表示部を有する表示装置)、もしくは織機外のパーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0013】
図6において、表示画面20の左側の部分には、製織パターン情報の1つである開口装置のための開口パターンが示されている。図示の例は、12枚の綜絖枠(織前側から順に第1番目〜第12番目の綜絖枠)を使用して製織を行う場合の開口パターンの設定例である。図示のように、開口パターンは、各製織サイクル毎の各綜絖枠の駆動態様を、織り組織の1リピート分として設定したものであり、各製織サイクル毎の経糸開口時における綜絖枠の位置(最上昇位置/最下降位置)が、ステップNo.1(織り組織1リピートの第1番目の製織サイクル)から順にトータルステップ分だけ設定されるものである。なお、このトータルステップとは、織り組織1リピートの製織サイクル数(ピック数)であって、図示の例では1000ピックである。
【0014】
図示の例において、表示画面20の左側におけるセル21aが行列状に配された設定表示欄21が、開口パターンを示す部分である。また、設定表示欄21の左側の表示欄22における数字は製織ステップNo.を示している。この表示欄22の製織ステップNo.は、開口パターンだけでなく、製織パターン情報にも対応している。更に、設定表示欄21の上部に付されている数字群23は、各セル21aに対応する綜絖枠(第1番目〜第20番目の綜絖枠)を示している。なお、図示の例では、設定されている開口パターンは第1番目〜第12番目の綜絖枠を使用する製織のための開口パターンであるため、設定表示欄21における第13番目〜第20番目の綜絖枠に対応するセル21aは非表示となっている。そして、開口パターンは、各綜絖枠に対応するセル21aを、各製織ステップ毎に、その製織ステップの経糸開口時において対応する綜絖枠が最上昇位置におかれるか最下降位置におかれるかによってその表示態様を異ならせる形式で設定され、図示のように表示されるものとなっている。
【0015】
更に、表示画面20では、上記設定表示欄21の右側に示すように、上記開口パターンに加え、他の製織パターン情報として、各製織ステップ毎に緯入れされる緯糸の種類(カラー)、緯糸密度、及びパイル製織パターンを形成するパイル形成情報、等が表示されるものとなっている。
【0016】
図示の例おいて、パイル形成情報としてのパイルパターン情報(P)は、上部に符号「P」が付された設定表示欄23に設定されており、例えば、「3 2L−1F」あるいは「4 2L−2F」といった形式で示されている。因みに、「3 2L−1F」における最初の「3」は、パイルピック数を表している。また、「2L」は、ルーズピックの数を表しており、ルーズピックの数が2ピックであることを表している。更に、「1F」は、ファーストピックの数を表しており、ファーストピックの数が1ピックであることを表している。すなわち、「3 2L−1F」は、2ピックのルーズピックの後に1ピックのファーストピックが行われることによって合計3ピックで1パイル形成サイクルが完結することを表している。同様に、「4 2L−2F」は、パイルピック数が4ピック、ルーズピック及びファーストピックが共に2ピックであって、2ピックのルーズピックの後に2ピックのファーストピックが行われることによって合計4ピックで1パイル形成サイクルが完結することを表している。
【0017】
上記のような製織パターン情報の設定作業は、例えば、図1に示す表示画面20を、編集・設定用の画面としても用いることによって行うことができる。すなわち、その表示画面20をパターン編集装置の表示装置上に表示させると共に、表示画面20における各設定表示欄内の各セルを情報が入力可能な状態とし、各セルに対し対応する製織ステップに応じた情報を入力設定することによって、上記製織パターンの設定作業が行われるものとすることができる。なお、一般的に、この入力設定作業は、上記パターン編集装置を用い、作業者による手入力によって行われている。
【0018】
ところで、従来においては、上記製織パターン情報を設定するにあたり、情報を入力すべき各セルのそれぞれに対し、対応する製織ステップに応じた情報を1つ1つ入力するといった設定作業が行われている。すなわち、パイル製織パターンについていえば、上記した「3 2L−1F」あるいは「4 2L−2F」といったパイル形成情報を、各セルの1つ1つに対し入力設定するといった作業が行われている。
【0019】
しかし、このような設定作業では、その入力作業に多大なる時間と手間を要し、また、入力ミスを招きやすいという問題がある。詳しくは、次の通りである。
【0020】
上記のパイル形成情報は、その1つの情報の中に、パイルピック数に関する情報を含んでいる。従って、例えば、パイルピック数が「3」であるパイル形成情報は、3製織ステップに亘って必ず同じ情報が設定されることとなる。このように、連続する複数の製織ステップに対して同じ情報を入力設定することが必須であるにも関わらず、従来では、その連続する複数の製織ステップに対応する各セルに対し、同じ情報を1つ1つ入力していかなければならず、入力設定作業が非常に煩雑である。しかも、その作業を、織り組織1リピート中のパイル織り部分の全てについて行わなければならないため、入力数が多く時間と手間を要してしまう。
【0021】
また、織り組織1リピート中のパイル織り部分に対し設定されるパイル形成情報について、それが1種類であれば、入力ミスが発生する可能性は低いといえる。しかし、異なる複数のパイル形成情報を混在させて設定しなければならない場合、すなわち、織り組織1リピート中に異なるパイルピック数によるパイル製織が存在する場合、その設定作業において誤った入力を行ってしまう可能性がある。例えば、パイルピック数が4ピックであるパイル形成情報は、必ず4製織ステップに亘って同じ情報が入力されるものであるが、これを誤って3製織ステップ分しか入力せずに次のパイル形成情報を入力してしまう場合が生じ得る。そして、このような入力ミスを行ってしまった場合には、その修正作業のために、更なる時間と手間を要してしまう。
【特許文献1】特開平11−350303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、本発明の課題は、パイル形成情報が織り組織の1リピート分として設定されるパイル製織パターンを製織パターン情報として含むパイル織機において、そのパイル形成情報の入力設定作業が容易に行えると共に、各パイル形成情報の入力がその情報に含まれるパイルピック数分だけ確実に行われるものとして入力ミスの発生を防止し、その設定作業に要する時間と手間を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題のもとに、本発明は、1パイル形成サイクルにおける製織サイクル数を含むパイル形成情報が各製織ステップ毎に設定されたパイル製織パターンに従い、織機の主駆動モータとは独立した駆動手段によって駆動されるパイル形成要素を動作させ、筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機を前提とする。そして、本発明は、このようなパイル織機に使用されるパイル製織パターンを作成及び編集するためのパイル製織パターン編集装置であって、開始ステップとして指定された任意の製織ステップに対し入力設定された前記パイル形成情報に基づき、そのパイル形成情報に含まれる前記製織サイクル数に応じて、前記入力設定が行われた開始ステップに続く複数の製織ステップに対し、入力設定されたパイル形成情報に対応するパイル形成情報を自動設定する制御手段を備える、ことを特徴とする。
【0024】
なお、上記でいう「入力設定」とは、設定欄に直接情報を入力する場合に限らず、その設定欄を選択状態としておき、予め設定されている複数の情報の中から設定すべき情報を選択することにより、その設定欄にその選択された情報が設定される場合も含む。また、別の入力画面において、設定欄を指定すると共に情報を入力することによって、対応する設定欄にその情報が設定される場合も含む。
【発明の効果】
【0025】
上記した本発明によるパイル製織パターン編集装置によれば、制御手段が、任意の製織ステップに対し入力設定されたパイル形成情報に基づき、そのパイル形成情報に含まれる製織サイクル数に応じて、上記パイル形成情報が入力設定された製織ステップを開始ステップとする連続する複数の製織ステップに対し、入力設定されたパイル形成情報に対応するパイル形成情報を自動設定する。これにより、例えば、パイルピック数がnピックであるパイル形成情報を入力設定する場合において、作業者は、そのnピックから成る1パイル形成サイクルの最初の製織ステップに対してのみ、そのパイル形成情報を入力すればよく、残りの(n−1)ピックの製織ステップについては、作業者によって入力されたパイル形成情報に基づき、制御手段よってパイル形成情報が自動的に入力設定される。従って、作業者による入力数は1/n以下と少なくなり、しかも、nピックの製織ステップに対するパイル形成情報の入力設定が確実に行われる。よって、このパイル形成情報の入力設定作業のために作業者が要する時間と手間が大きく軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0027】
図1〜3に示すのは本発明の一実施形態であって、図1には、上記した製織パターン情報を入力設定するための設定表示画面20を示す。なお、図1では、先に説明したものと共通の部分については、同じ符号を付しており、以下でのその説明については省略する。また、以下では、本発明が適用されるパイル織機が前述の布移動式のパイル織機であるものとして説明する。但し、本発明が適用されるパイル織機は、布移動式のパイル織機に限らず、固定の織前位置に対し筬打ち位置が変更されるパイル織機であってもよい。
【0028】
図1に示す設定表示画面20において、開口パターンが設定される設定表示欄21の右側には、開口パターン以外の製織パターン情報が入力設定される設定表示欄23、24、25、26が設けられている。そのうち、設定表示欄26には、製織パターン情報として、各製織ステップ毎に緯入れされる緯糸の種類(カラー)及び緯糸密度に関する情報(密度)が設定される。
【0029】
そして、本発明でいう製織パターン情報の1つとしてのパイル製織パターンは、設定表示欄23、24、25に設定されるパイル形成情報によって形成されるものである。なお、図示の例では、前述のパイル形成情報の1つとしてのパイルパターン情報(P)(〔3 2L−1F〕、〔4 3L−1F〕、〔4 2L−2F〕、〔5 3L−2F〕、等)は、上部に符号「P」が付された設定表示欄23に設定される。
【0030】
また、本実施例では、パイル形成情報として、筬打ち位置と織前CFとの相対位置に関する情報である織前位置情報(L)が設定されるものとする。そして、図示の設定表示画面20では、この織前位置情報(L)は、上部に符号「L」が付された設定表示欄25に入力設定される。更に、図示の例では、1パイル形成サイクル中のパイルステップ情報(S)が表示されるようになっており、そのパイルステップ情報(S)が、上部に符号「S」が付された設定表示欄24に設定される。
【0031】
各設定表示欄23、24、25内のセル23a、24a、25aは、設定表示画面20の最も左側の表示欄22における製織ステップのステップNo.に対応しており、各セル23a、24a、25aには、対応する製織ステップに応じた情報が設定される。
【0032】
図2に示すのは、パターン編集装置として織機外のパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)30を使用し、パソコン30で設定された上記製織パターン情報を、メモリーカードMCを介して織機側の設定装置40に対し設定する例である。
【0033】
パソコン30は、パソコン本体31、表示器としてのディスプレイ33及び入力器としてのキーボード35を含む。そして、パソコン本体31には、上記製織パターン情報の作成及び編集のためのプログラムが設定されている。従って、本実施例では、このパソコン本体31が、本発明における制御手段に相当する。
【0034】
織機側の設定装置40は、中央演算処理装置(以下、「CPU」という)41と、CPU74に接続された入出力ポート(以下、「I/Oポート」という)42及び記憶器43とを含む。また、設定器40のI/Oポート42には、織機上の表示器45、入力器46及びカードインターフェース(以下、「カードI/F」という)47が接続さている。
【0035】
パソコン30で作成され、メモリカードMCに記憶された製織パターン情報は、カードI/F47及びI/Oポート42を介してCPU41に読み込まれ、記憶器43に記憶される。また、記憶器43に記憶された製織パターン情報は、入力器46を操作し、入力器46からI/Oポート42を介してCPU41へ表示指令を与えることにより、表示器45に表示することができる。
【0036】
また、CPU41は、記憶器43に記憶された製織パターン情報に基づき、製織に関与する織機上の装置の各制御装置に対し、その設定情報を出力する。例えば、設定されているパイル製織パターンに基づき、パイル形成情報をパイル制御装置48に対し出力することができる。また、いずれも図示はされていないが、開口装置を駆動するための開口制御装置、緯入れを制御するための緯入れ制御装置、あるいは密度を制御するための巻取制御装置に対し、設定されている開口パターン、カラー、あるいは密度に基づいて、その設定情報を出力することができる。
【0037】
次に、本発明によるパイル製織パターン編集装置を用いたパイル製織パターンの設定について詳述する。
【0038】
まず、作業者は、パソコン30のディスプレイ33上に、新規の設定表示画面20を表示させる。その状態では、設定表示画面20における設定表示欄21及び23〜26は空欄の状態であるとする。そこで、作業者は、製織パターン情報として、開口パターン、各製織ステップ毎に緯入れされる緯糸の種類及び密度に関する情報、並びにパイル製織パターンの設定を開始するが、ここでは、上記開口パターン、緯糸種類及び密度に関する情報の設定に関する説明は省略する。
【0039】
パイル製織パターンの設定のため、作業者は、まずパイル製織パターン編集用のプログラムを、制御手段であるパソコン本体31に実行させる。これにより、パイル形成情報が設定される設定表示欄23〜25の各セル23a、24a、25aが情報を入力可能な状態となり、更に、各セル23a、24a、25aを選択状態とするためのカーソル27が表示される。そこで作業者は、開始ステップであるステップNo.1のパイル形成情報を入力すべく、設定表示欄23のステップNo.1のセル23aにカーソル27が合わされている、すなわち、開始ステップが指定されていることを確認し、パイルパターン情報(P)の入力操作を行う。なお、カーソル27は、例えば、キーボード35のカーソルキーによって移動させることができ、任意の位置に設定することが可能である。
【0040】
図示の例では、使用され得るパイルパターン情報(P)が予め複数設定されると共に、各パイルパターン情報(P)に対しそれぞれ0〜9の数字が割り当てられており、それが表示欄28に表示されている。これは、パイルパターン情報(P)の入力設定を容易化するためのものである。具体的には、設定表示欄23のセル23aにパイルパターン情報(P)を入力するにあたり、キーボード35を操作して文字を1つ1つ入力することに代え、キーボード35の数字キーを操作することにより、その数字に割り当てられたパイルパターン情報(P)が入力設定されるものである。
【0041】
そして、本実施例によるパイル製織パターン編集装置によれば、作業者により、上記のようにして開始ステップに対しパイルパターン情報(P)が入力設定されると、制御手段31は、その入力設定されたパイルパターン情報(P)に基づき、そのパイルパターン情報(P)に含まれるパイルピック数(例えば、n)に応じた数のパイルパターン情報(P)の自動設定を行う。具体的には、制御手段31は、作業者によって入力設定された開始ステップのセル(以下、「入力セル」という)23aを含む上記パイルピック数=n個のセル23aに同じパイルパターン情報(P)が入力された状態となるようにすべく、上記入力セル23aに続く(パイルピック数(n)−1)個のセル23aに対し、入力セル23aに入力設定されたパイルパターン情報(P)と同じパイルパターン情報(P)を自動設定する。
【0042】
例えば、入力セル23aに入力設定されたパイルパターン情報(P)が、図示のように〔3 2L−1F〕であれば、制御手段31は、そのパイルパターン情報(P)に基づき、パイルピック数が3ピックであることから、入力セル23aに続く2ピック分のセル23aに対し、同じ〔3 2L−1F〕というパイルパターン情報(P)を自動設定するプログラムを実行する。これにより、上記入力セル23aを含めた連続する3ピック分のセル23aのそれぞれに対し、作業者によって入力設定された〔3 2L−1F〕というパイルパターン情報(P)が設定された状態となる(図1の状態)。また、入力セル23aに入力設定されたパイルパターン情報(P)が、パイルピック数=4ピックのもの(〔4 3L−1F〕、〔4 2L−2F〕)であれば、制御手段31は、入力セル23aに続く3ピック分のセル23aに対し、同じパイルパターン情報(P)を自動設定するプログラムを実行する。
【0043】
このように、本実施例によるパイル製織パターン編集装置によれば、パイルピック数がnピックであるパイルパターン情報(P)を入力設定するにあたり、作業者は、そのパイルパターン情報(P)が入力設定される連続するnピック分のセルの最初のセル23aに対してのみ、パイルパターン情報(P)を入力設定する操作を行えばよく、残りの(n−1)ピック分のセル23aに対する設定は、制御手段31によって自動的に行われる。従って、作業者による入力設定のための操作回数は少なくなり、しかも、パイルパターン情報(P)に含まれるパイルピック数分の入力設定が確実に行われる。
【0044】
制御手段31は、上記のようなパイルパターン情報(P)の自動設定が完了すると、カーソル27を、自動設定したセルの次のセル23aへ移動させ、待機状態となる。具体的には、図1の場合でいうと、設定表示欄23のステップNo.1(第1番目の製織ステップ)のセル23aに対しカーソル27が合わされた状態で、作業者が、パイルピック数が3ピックのパイルパターン情報(P)の入力操作を行うと、制御手段31は、ステップNo.2及び3のセル23aに対し、同じパイルパターン情報(P)を自動設定し、それが完了すると、ステップNo.4のセル23aへカーソル27を移動させ、待機状態となる。これによれば、カーソル27が、次に入力設定を行うべきセルに自動的に移動するため、カーソル27を移動させる操作を行うことなく、連続的にパイルパターン情報(P)の入力設定を行うことができる。
【0045】
また、本実施例では、パイル形成情報として、上記パイルパターン情報(P)に加え、織前位置情報(L)及びパイルステップ情報(S)も自動設定されるようになっている。すなわち、制御手段31は、上記パイルパターン情報(P)の自動設定と共に、設定表示欄25の対応するセルに対し、各製織ステップに応じた織前位置情報(L)を自動設定し、更に、設定表示欄24の対応セルに対し、パイルステップ情報(S)として、1から順にパイルピック数分のステップ番号を自動設定する。
【0046】
ここで、織前位置情報(L)とは、布移動式パイル織機において、1パイル形成サイクル中の各製織ステップにおける筬打ち時点(その製織ステップで緯入れされた緯糸が筬打ちされる時点)での、筬打ち位置に対する織前CFの位置に関する情報である。従って、ファーストピックの製織ステップにおける織前位置情報は0mmである。なお、図示の例では、この織前位置情報(L)は、別のデータベース(図示せず)において、織前CFの筬打ち位置からの距離として複数設定され、それぞれに対し1から順に数字が割り当てられている(例えば、1:0mm、2:10mm、3:12mm、 … )。そして、設定表示欄25の各セル25aには、この各織前位置(筬打ち位置からの距離)に割り当てられた数字が設定される。因みに、上記の別のデータベースにおいて、〔1:0mm〕は、ファーストピックに対応する織前位置情報(L)であり、これは固定である。
【0047】
制御手段31には、図3に示すようなデータベースが設定・記憶されている。そして、制御手段31は、このデータベースに従って、パイル形成情報を自動設定するためのプログラムを実行する。
【0048】
具体的には、作業者によって〔3 2L−1F〕が入力されると、制御手段31は、まず最初のステップ(Step)おいて、P欄(設定表示欄23)に〔3 2L−1F〕が入力されていることに基づき、同じステップNo.のS欄(設定表示欄24)に「1」を、L欄(設定表示欄25)に「2」を設定する。次いで、続くステップ(Step+1)において、P欄の次のステップNo.のセルに対し、入力された〔3 2L−1F〕と同じパイルパターン情報(P)を設定し、更に、その同じステップNo.のS欄に「2」を、L欄に「2」を設定する。そして、続くステップ(Step+2)において、次のステップNo.のP欄に同じく〔3 2L−1F〕を設定し、更に、その同じステップNo.のS欄に「3」を、L欄に「1」を設定してプログラムを終了する(図3のデータベースのNo.0)。
【0049】
同じように、作業者によって、パイルパターン情報(P)として〔4 3L−1F〕、〔4 2L−2F〕、〔5 3L−2F〕、 … が入力された場合にも、図3のデータベースに従ってプログラムが実行され、パイル形成情報の自動設定が行われる。なお、上記データベースにおけるL欄に対し設定される数字は、そのときの製織に応じて、前述の織前位置情報(L)を設定する別のデータベースから適宜に選択されるものである。但し、ファーストピックの製織ステップでは、L欄に設定される数字は「1」(=0mm)である。
【0050】
また、本実施例では、制御手段31が、上記のようにして設定されたパイルパターン情報(P)が正しく設定されているかどうかをチェックするデータチェック機能を有しているものとする。そして、このパイルパターン情報(P)の設定に対するデータチェックは、設定表示画面20の左側にあるデータチェックの実行ボタン29を操作するか、もしくは、キーボード35のデータチェックの実行が割り当てられた特定のキーを操作することによって実行される。
【0051】
因みに、上記したパイル製織パターンの自動設定のためのプログラムが正常に実行されれば、各情報の設定ミスは存在しないはずである。しかし、上記プログラムの実行中において、プログラムが何らかの原因で完結する前に終了し、作業者がそれに気付かずに次のパイルパターン情報(P)を入力設定してしまうと、設定されたパイル製織パターンが全体として正しくないものとなってしまう。そして、このように設定情報に誤りのあるパイル製織パターンに従って製織を行ってしまうと、製織されるパイル織布が品質的に問題を有するものとなってしまう。これに対し、制御手段31にデータチェック機能を持たせれば、パイル製織パターンの設定が終了した時点で設定に誤りがないかをチェックすることができ、上記のような織布品質上の問題の発生を未然に防止することが可能となる。
【0052】
パイルパターン情報(P)の設定に対する制御手段31のデータチェック機能について、パイルパターン情報(P)は、その情報に含まれるパイルピック数分だけ同じ情報が必ず連続するはずである。従って、パイルパターン情報(P)の設定に対するチェックは、各パイル形成サイクル単位で、そのパイルピック数だけ同じパイルパターン情報(P)が設定されているかどうかをチェックすることにより、その設定の正否を確認することができる。このパイルパターン情報(P)の設定に対するチェックは、例えば、次のようなプログラムを制御手段31に実行させることによって行うことができる。
【0053】
1)データチェックの実行ボタン29を操作すると、まず、そのステップNo.1のセル23aに設定されたパイルパターン情報(P)から、そのパイルパターン情報(P)に含まれるパイルピック数(n)を判別し記憶する。
【0054】
2)上記で記憶したパイルピック数(n)に従い、ステップNo.2からステップNo.nまでの各セル23aについて、ステップNo.1のセル23aと同じパイルパターン情報(P)が設定されているかを順次チェックする。
【0055】
3)上記のチェックによって設定の誤りが発見されなければ、先のパイル形成サイクルのチェックで記憶したパイルピック数(n)を消去し、次いで、ステップNo.n+1のセルに設定されているパイルパターン情報(P)から、そのパイルピック数を判別し記憶する。
【0056】
4)以降、同様に、上記2)、3)を繰り返して順次設定のチェックを行っていき、トータルステップ分のセル23aのチェックが終了した時点で上記のプログラムを終了する。
【0057】
上記のプログラムによる設定チェックの結果、誤りが発見されなかった場合は、上記プログラムが正常終了し、その旨のメッセージを表示する。また、上記チェックの過程で設定に誤りが発見された場合には、その時点でチェックプログラムを停止し、カーソル27をその位置に停止させた状態でエラーメッセージ等を表示するようにすればよい。
【0058】
上記実施例の説明では、新規にパイル製織パターンを設定する場合について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、既設のパイル製織パターンを編集して使用する場合や作成したパイル製織パターンを修正する場合等にも利用可能である。
【0059】
例えば、以前に設定・使用して保存しておいたパイル製織パターンを読み出し、これを編集して使用する場合において、図4(a)に示すように、この既設のパイル製織パターンに対し、挿入するパイル形成情報のパイルピック数分だけ製織ステップを挿入追加し、その追加された製織ステップに対しても、上記実施例と同様の自動設定を行うことができる。なお、この場合において、作業者が製織ステップを追加する操作を行ってからパイル形成情報を設定するものに限らず、例えば、「ステップNo.Xに〔パイルパターン情報(P)〕を追加」と指定することにより、制御手段31によって自動的に製織ステップの追加及びパイル形成情報の設定が行われるようにすることもできる。
【0060】
また、図4(b)に示すように、既設のパイル製織パターンの一部へ変更する場合についても同様である。なお、図4(b)の場合においては、図示のように既に設定されているパイル形成情報を一旦消去して新しく設定する場合に限らず、設定されているパイル形成情報に対し上書きするようにして変更することも可能である。
【0061】
また、上記のようにパイル形成情報を変更する場合等において、例えば、パイルピック数が3ピックであるパイル形成情報が設定されている部分をパイルピック数が4ピックであるパイル形成情報に変更する場合、製織ステップ数が不足しているため、そのままではパイル形成情報を正しく設定することができない。
【0062】
そこで、上記のような入力されたパイル形成情報のパイルピック数と入力可能な製織ステップ数との整合がとれない場合に対応するために、制御手段31に対し、自動的に製織ステップを追加する機能を持たせてもよい。その機能は、例えば、次のようにしてプログラムを制御手段31に実行させることによって実現される。
【0063】
1)作業者によって入力設定されたパイルピック情報(P)のパイルピック数(例えば、n)を判別する。
【0064】
2)上記で判別されたパイルピック数(n)に基づき、上記入力設定された製織ステップのnステップ後の製織ステップのS欄(設定表示欄24)について、情報(パイルステップ情報(S))が設定されているか否かを判別する。情報が設定されていないと判別された場合には、そのままパイル形成情報の自動設定を行い、設定完了後にプログラムを終了する。
【0065】
3)上記S欄について、情報が設定されている場合には、その設定値が「1」か否かを判別する。設定値が「1」と判別された場合には、そのままパイル形成情報の自動設定を行い、設定完了後にプログラムを終了する。
【0066】
4)上記S欄について、設定されている設定値が「1」でないと判別された場合には、入力されたパイル形成情報のパイルピック数と入力可能な製織ステップ数とが整合しないと判断し、製織ステップの追加を行うことを確認するメッセージを表示画面上に表示する。
【0067】
5)上記メッセージが作業者によって確認されると、製織ステップを追加し、その後、パイル形成情報の自動設定を行い、設定完了後にプログラムを終了する。
【0068】
上記のような製織ステップを自動的に追加する機能は、前述のパイルパターン情報(P)に対するデータチェックにおいて、その設定に誤りが発見された場合の修正にも有効である。すなわち、本来n個の同じ情報を設定すべきパイルピック数がnピックのパイル形成情報について、それが(n−1)個しか設定されていない場合、その修正作業を行うに際し、上記機能を用いれば、その修正作業が容易に行える。
【0069】
上記実施例では、カーソル27によって開始ステップを指定してパイルピック情報(P)の入力設定を行うものとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図5(a)に示すように、上記実施例の設定表示画面20とは別の設定画面50において、開始ステップを指定すると共に、入力設定されるパイルパターン情報を設定することにより、制御手段31によって設定表示画面20の指定された開始ステップにパイルピック情報(P)が入力設定されてるようにしてもよい。
【0070】
具体的には、図5(a)の例では、設定画面50の開始ステップの設定欄51に、開始ステップとするステップNo.を入力すると共に、その開始ステップに入力設定するパイルパターン情報を設定欄53に入力して実行ボタン55を操作することにより、制御手段31が、指定された開始ステップに対応する設定表示欄23のセル23aに対し、上記設定欄53に入力されたパイルパターン情報(P)を入力設定するものである。そして、その後、上記実施例におけるパイルパターン情報(P)等の自動設定が実行される。
【0071】
また、上記実施例では、開始ステップに対するパイルパターン情報(P)の入力設定を、各開始ステップ毎に行うものとしたが、本発明はこれに限定されず、指定された回数だけ制御手段31によって各開始ステップに対するパイルパターン情報(P)の入力設定を行うようにしてもよい。
【0072】
具体的には、図5(a)の例と同様に、設定表示画面20とは別の設定画面60において、最初の開始ステップと入力設定するパイルパターン情報(P)とを設定欄61、63に入力し、これに加えて、繰り返し数としてのパイル数を設定欄67に入力し、実行ボタン65を操作する(図5(b))。これにより、制御手段31は、設定欄61への入力によって指定された最初の開始ステップに対応する設定表示欄23のセル23aに対し設定欄63に入力されたパイルパターン情報(P)を入力設定し、その後、上記実施例におけるパイルパターン情報(P)等の自動設定を実行する。更に、制御手段31は、繰り返し数の2回目として、次の開始ステップに対応するセル23aである上記で自動設定されたセル23aの次のステップのセル23aに対し、同じくパイルパターン情報(P)を入力設定する。以降同様にして、制御手段31は、上記実施例のパイルパターン情報(P)等の自動設定と開始ステップに対するパイルパターン情報(P)の入力設定とを、設定欄67で指定された繰り返し数だけ繰り返すものである。このように、上記実施例の自動設定機能に加え、開始ステップに対するパイルパターン情報(P)の入力設定を、指定された回数だけ繰り返し行う機能を制御手段31に持たせることにより、複数のパイル形成サイクルに対するパイルパターン情報(P)等の設定を、1回の操作で自動的に行われるものとすることができる。
【0073】
更に、上記実施例では、織前位置情報(L)を、開始ステップからのステップ数に応じて予め設定しておくものとしたが、これに代えて、制御手段31が、入力設定されたパイルピック情報(P)に基づき、直近の同じパイルピック情報(P)が設定された1パイル形成サイクルの製織ステップにおける織前位置情報(L)と同じ情報を設定するようにしてもよい。具体的には、例えば、図1の設定表示画面20において、ステップNo.4に対応する設定表示欄23のセル23aに〔3 2L−1F〕を入力設定すると、制御手段31は、その直近で同じパイル形成情報(P)(〔3 2L−1F〕)が設定された1パイル形成サイクルの製織ステップ(ステップNo.1〜3)に対して設定されている織前位置情報(L)を参照し、同じ情報をステップNo.4〜6のセル25aに設定するというものである。
【0074】
なお、本発明は上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の請求範囲を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略模式図。
【図2】本発明の一実施形態を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるデータベースのテーブル。
【図4】本発明の別の実施形態を示す概略模式図。
【図5】本発明の別の実施形態を示す概略模式図。
【図6】従来の技術を説明するための概略模式図。
【図7】本発明が適用されるパイル織機の一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0076】
1 布移動式パイル織機
2 パイル経糸用ワープビーム
3 地経糸用ワープビーム
4 布巻ロール
5 筬
15 送出側テリーモーション部材(パイル形成要素)
16 巻取側テリーモーション部材(パイル形成要素)
18 揺動レバー
20 設定表示画面
21、23、24、25、26 設定表示欄
27 カーソル
28 表示欄
30 パソコン
31 パソコン本体(制御手段)
33 ディスプレイ
35 キーボード
40 設定装置
41 中央演算処理装置(CPU)
42 入出力ポート(I/Oポート)
43 記憶器
47 カードインターフェース(カードI/F)
48 パイル制御装置
CF 織前
M 駆動モータ
MC 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1パイル形成サイクルにおける製織サイクル数を含むパイル形成情報が各製織ステップ毎に設定されたパイル製織パターンに従い、織機の主駆動モータとは独立した駆動手段によって駆動されるパイル形成要素を動作させ、筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機のためのパイル製織パターン編集装置であって、
開始ステップとして指定された任意の製織ステップに対して入力設定された前記パイル形成情報に基づき、そのパイル形成情報に含まれる前記製織サイクル数に応じて、前記開始ステップに続く複数の製織ステップに対し、前記入力設定されたパイル形成情報に対応するパイル形成情報を自動設定する制御手段を備える、
ことを特徴とするパイル製織パターン編集装置。
【請求項2】
前記パイル形成情報が、前記1パイル形成サイクルの製織サイクル数と、その1パイル形成サイクル中のルーズピック及びファーストピックの数とからなるパイルパターン情報を含み、
前記制御手段は、前記開始ステップを含む1パイル形成サイクル中の前記開始ステップに続く各製織ステップに対し、前記入力設定されたパイルパターン情報と同じパイルパターン情報を自動設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイル製織パターン編集装置。
【請求項3】
前記パイル形成情報が、前記パイルパターン情報に加え、筬打ち位置と織布の織前との相対位置に関する情報である織前位置情報を含み、
前記制御手段は、前記パイルパターン情報の自動設定に加え、そのパイルパターン情報に含まれるルーズピック及びファーストピックの数に基づき、前記各製織ステップに対し、対応する前記織前位置情報を自動設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のパイル製織パターン編集装置。
【請求項4】
前記パイル形成情報が、前記1パイル形成サイクル中のパイル形成ステップを示すパイルステップ情報を含み、
前記制御手段は、前記パイルパターン情報の自動設定に加え、前記パイルステップ情報を自動設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のパイル製織パターン編集装置。
【請求項5】
前記制御手段が、設定された前記パイルパターン情報について、その設定状態の正否を判別するデータチェック機能を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のパイル製織パターン編集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−13876(P2008−13876A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186149(P2006−186149)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】