説明

パウチの変形修正方法

【課題】パウチの注出口の変形を修正することで、パウチが破損することを防ぐようにした。
【解決手段】注出口2aを上縁部の左右角部のいずれか一方に備えた詰め替え用パウチ2の風袋に内容物を充填させ、その後にパウチ2を密封し、そのパウチ2を移送コンベア6上に平面的に載せて次の箱詰め工程へ移送させる手段を有し、移送コンベア6の上方に平行に配置される押圧コンベア10を備え、密封させたパウチ2を移送コンベア6によって移送させて、押圧コンベア10と移送コンベア6との間の押圧隙間Sを通過させ、押圧コンベア10と移送コンベア6とによってパウチ2の両側面のそれぞれを全面にわたって押圧することで、注出口2aに変形が生じている場合に、その注入口2aの変形を修正するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口を上縁部の左右角部のいずれか一方に備えた詰め替え用のパウチの変形修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
詰め替え用パウチには、ボトル容器への詰め替え易さなどの観点から、様々な形態のものがある(例えば、特許文献1、2、3参照)。パウチの形状は、パウチ上縁部の左右一方の角部に注出口が設けられているのが一般的である。例えば、図6に示すように、注出口部分を先細り形態としたものがあり、更に内容物を注出する際に、注出口が曲がって注出の妨げにならないようにパウチの内面側の注出方向に沿って別体のパイプを備えたものや、先細り部分の注出方向に沿って押し罫加工による凹凸部をスジ状に加工したものなどがある。
【0003】
ところで、これらの詰め替え用のパウチは、製造過程において、充填装置を用いて内容物が充填されている。すなわち、この充填装置は、空のパウチを充填ラインに供給し、内容物を所定量だけ充填し、パウチの開口部をシール部で封止した後、シール部からパウチをシュート上に落下させて搬送コンベアに移し変え、搬送コンベア上を移送させ、パウチ整列部を介して次の工程の箱詰め工程へと排出させるものである。整列部は、例えば図6に示すように、搬送コンベア上のパウチ2を1個ずつ収納する収納部7aを備え、複数の収納部7aによってパウチ2を配列させて、次の工程をなす箱詰め工程へと送り出すようになっている。
【特許文献1】特開2006−335007号公報
【特許文献2】特開2006−273353号公報
【特許文献3】特開2006−225001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、左右非対称の注出口を有する詰め替え用パウチは、従来の充填装置において充填後の移動中、とくにシール部からシュートへ落下される際に内容物がパウチ内で移動し、注出口部分が屈曲変形する場合がある。そして、注出口が変形したままの状態でパウチが搬送され、例えば上述した図6に示す整列部の収納部7aにパウチ2を収納する際に、図6の符号Pのように変形した注出口2aが収納部7aに接触して破損するという問題があった。
そして、パウチが破損すると、充填されている内容物が漏出して充填装置を汚すことになるため、清掃などで生産ラインを停止させることになり、生産性が低下するといった問題があった。そのうえ、破損したパウチと別のパウチをも汚すおそれがあり、そのような破損或いは汚れたパウチは商品として出荷できないことから、コストが増大することになっていた。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、パウチの注出口の変形を修正することでパウチの破損を防止でき、生産性の向上が図れるうえ、コストの増加を抑制できるパウチの変形修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るパウチの変形修正方法は、注出口を上縁部の左右角部のいずれか一方に備えた詰め替え用パウチの風袋に内容物を充填させ、その後にパウチを密封し、そのパウチを移送コンベア上に平面的に載せて次の箱詰め工程へ移送させる手段を有するパウチの変形修正方法であって、移送コンベアの上方に、平行に配置される押圧コンベアを備え、押圧コンベアと移送コンベアとの間の押圧隙間は、パウチの厚さ寸法より小さい寸法をなし、密封させたパウチを移送コンベアによって移送させて、押圧隙間を通過させ、押圧コンベアと移送コンベアとによってパウチの両側面のそれぞれを全面にわたって押圧することで、注出口に変形が生じている場合に、その注入口の変形を修正するようにしたことを特徴としている。
本発明では、内容物を充填して密封させたパウチの注出口に変形が生じている場合に、押圧コンベアと移送コンベアとの間の押圧隙間がパウチの厚さ寸法より小さい寸法であることから、押圧隙間にパウチを通過させ、押圧コンベアと移送コンベアとによってパウチの両側面のそれぞれを全面にわたって押圧させることができる。これにより、パウチ全体に均等な荷重をかけることができ、内容物がパウチ内全体に一様に行きわたる状態となって、前記変形を修正することができる。
【0007】
また、本発明に係るパウチの変形修正方法では、押圧隙間の寸法は、調整可能であることが好ましい。
本発明では、パウチの形状、大きさに対応して押圧隙間を変更することで、前記注出口の変形を確実に修正できるように設定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるパウチの変形修正方法によれば、パウチの注出口の変形を修正することができることから、充填工程から箱詰め工程までの間におけるパウチの破損を防止することができる。したがって、破損によってパウチ内の内容物が漏出して生産ラインの装置を汚すようなことがなくなり、清掃などが不要となるため、生産性の向上が図れる。そのうえ、破損したパウチと別のパウチをも汚すようなことがなくなり、パウチの損失が減るため、コストの増加を抑制することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のパウチの変形修正方法の実施の形態について、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態によるパウチ充填装置の全体概要を示す平面図、図2はシュート部に落下するパウチの状態を示す側面図、図3は整列部における収納部に収納されたパウチを示す斜視図、図4は押圧コンベアの構造を示す側面図、図5は押圧コンベアによって注出口の変形が修正される状態を示す図である。
【0010】
図1における符号1は、本実施の形態によるパウチ充填包装装置を示している。このパウチ充填包装装置1は、フィルムで形成された周知の薄肉のパウチ2に、例えば洗剤や柔軟仕上げ剤などの液体内容物を充填させた後、開口部を封止して箱詰めする工程を行うものである。
【0011】
ここで、本実施の形態によるパウチ2は、上縁部の左右角部のいずれか一方に注出口2a(図6参照)を有し、この注出口2aが内容物の充填前に融着加工されてなり、注出口2aを除いた上縁部の開口部2bから内容物を充填させた後に開口部2bが融着加工により密封された状態で形成されている。そして、パウチ2には、図示しない被詰め替え用ボトルに内容物を詰替える際に、注出口2aは、注ぎやすいように先細り形状をなすとともに、パウチ本体より突出した状態で形成されている。
そして、本実施の形態によるパウチ2の変形修正方法は、パウチ2を密封した後などに注出口2aに変形が生じた場合に、箱詰め工程の前にその変形を修正するようにしたものである。
【0012】
図1に示すように、パウチ充填包装装置1は、充填部3と、シール部4と、シュート部5と、移送コンベア6と、整列部7とがこの順で配列された生産ラインを構成している。そして、シュート部5と整列部7との間の移送コンベア6には、押圧コンベア10が備えられている。
すなわち、予め注出口2aが成形されたパウチ2がパウチ充填包装装置1に供給され、充填部3においてパウチ2の開口部2bから内容物を充填させ、シール部4で開口部2bを融着加工により封止し、シュート部5、移送コンベア6、押圧コンベア10を介して整列部7に順次移送される構成となっている。
【0013】
図2に示すように、シール部4は、パウチ2の上縁部を両側から挟持して融着加工する融着部4aと、パウチ2の左右の側端部2d、2dを係止する把持部4bとからなる。シール部4では、把持部4bでパウチ2を保持させた状態で、充填部3からシュート部5に向けてパウチ2を移動させながら開口部2bを融着し、シュート部5の上方の所定位置において把持部4bを解除してパウチ2をシュート部5の傾斜面5aに落下させる構成となっている。
シュート部5は、シール部4から落下したパウチ2を傾斜面5aに沿って滑らせて移送コンベア6に送出するものである。
【0014】
移送コンベア6は、複数のコンベアを移送方向に連結して構成され、シュート部5から滑り落ちてきたパウチ2を整列部7まで移送するものである。このとき、パウチ2の向きは、底部2cを移送コンベア6の下流側(矢印E1方向)に向けた状態となる。なお、本実施の形態では、図1に示すようにベルトの幅方向に2列でパウチ2を搬送させる構成となっている。
【0015】
図3に示すように、整列部7は、移送コンベア6からパウチ2を乗り移し可能に設けられ、移送コンベア6の移動方向に直交する方向に移動する複数の収納部7a、7a、…が備えられている。各収納部7aには、パウチ2が一個ずつ横向きで注出口2aを下方に向けた状態で収納される。そして、各収納部7aに収納されたパウチ2は、整列部7の下流側において箱詰めされることになる。
【0016】
図4に示すように、押圧コンベア10は、上述したように移送コンベア6の所定位置に設けられ、押圧コンベア10のベルト(以下、「押圧ベルト」という)は、移送コンベア6のベルトと同方向に向けられている。つまり、押圧ベルトの下側10aが移送コンベア6のベルトの搬送側6aと所定の隙間(以下、「押圧隙間S」という)をもって対向して配置されている。
【0017】
そして、押圧コンベア10の下側10aに位置する押圧ベルトは、ベルトの移動方向が移送コンベア6の移送方向(矢印E1方向)と同じ方向に配置され、移動速度も移送コンベア6のベルトと同速度で駆動される。すなわち、移送コンベア6上で移送されるパウチ2は、押圧コンベア10と移送コンベア6の両ベルト間の押圧隙間Sを通過し、整列部7に送出される構成となっている。ここで、この押圧隙間Sは、パウチ2の厚さ寸法より小さい寸法に形成され、例えばパウチ2の厚さが40mmであるときに20mmに設定されている。なお、押圧隙間Sは、パウチの形状、大きさに対応して調整可能に設けられている。また、押圧隙間Sの上流側の挿入隙間S´は、押圧隙間Sより大きな寸法をなし、下流側に向かうにしたがい押圧隙間Sの隙間寸法となるように形成されている。
【0018】
次に、このように構成された押圧コンベア10を用いてパウチ2の注出口2aの変形を修正する方法とその作用について図面に基づいて説明する。
図4に示すように、内容物を充填して密封させたパウチ2の注出口2aに屈曲するなどの変形Pが生じている場合に、押圧コンベア10と移送コンベア6との間の押圧隙間Sがパウチ2の厚さ寸法より小さい寸法であることから、押圧隙間Sにパウチ2を通過させ、押圧コンベア10と移送コンベア6とによってパウチ2の両側面のそれぞれを全面にわたって押圧させることができる(図5参照)。これにより、パウチ全体に均等な荷重(図4に示す矢印F1、F2)をかけることができ、変形部位に対しても屈曲を改善する方向に押圧できるとともに内容物がパウチ2内全体に一様に行きわたる状態となって、前記変形を修正することができる。
【0019】
(試験例)
次に、上述した押圧ベルコン10を用いたパウチ2の変形修正方法による効果を確認した試験について説明する。
本試験例では、押圧平板(図示省略)を用いてパウチ2の側面の一部を押圧する比較例1〜4と、上述した押圧コンベア10及び移送コンベア6に相当するコンベアを用いてパウチ2の両面を押圧する実施例とのそれぞれにおいて、注出口2aが変形したパウチ2を押圧し、その変形の改善状態を確認した。
【0020】
本試験例で使用したパウチ2は、ライオン株式会社製「ソフラン詰め替え」で、充填量540g、幅寸法130mm、長さ寸法260mm、厚さ寸法40mm(平面状に置いたときの平均寸法)とした。
比較例1〜4で用いる押圧平板は二種類あり、第1押圧平板は幅寸法50mm、長さ寸法300mmとし、第2押圧平板は幅寸法100mm、長さ寸法300mmとした。そして、比較例1〜4では、平板台上に平面状に載置させたパウチ2の上面を押圧平板によって押圧する。このときの押圧平板と平板台との間隔は、各比較例1〜4共に20mmとした。比較例1は、第1押圧平板を使用し、押圧位置はパウチ2の長手方向の略中央とした。比較例2は、第2押圧平板を使用し、押圧位置はパウチ2の長手方向の略中央とした。比較例3は、第1押圧平板を使用し、押圧位置はパウチ2の短手方向の略中央とした。比較例4は、第2押圧平板を使用し、押圧位置はパウチ2の短手方向の略中央とした。
また、実施例では、上下方向に2つのコンベアを20mmの間隔をもって配置し、両コンベアを駆動させてその隙間にパウチ2を通過させることで、パウチ2の両側面における全面を一様に押圧させた。
その結果、パウチ側面の一部を押圧した比較例1、3、4のいずれも注出口2aの変形が修正されないことが確認された。なお、比較例2は、やや改善される場合があった。一方、実施例では、注出口の変形が修正されたことから、改善効果を確認することができた。
【0021】
上述した本実施の形態によるパウチの変形修正方法では、パウチ2の注出口2aの変形を修正することができることから、充填工程から箱詰め工程までの間における詰め替えパウチ2の破損を防止することができる。したがって、破損によってパウチ2内の内容物が漏出してパウチ充填包装装置1を汚すことがなくなり、清掃などが不要となるため、生産性の向上が図れる。そのうえ、破損したパウチと別のパウチをも汚すようなことがなくなり、パウチの損失が減るため、コストの増加を抑制することができる
【0022】
以上、本発明によるパウチの変形修正方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではシール部4からパウチ2をシュート部5に落下させる際に注出口2aに変形が生じているが、これに限定されることはなく、ほかの要因によって注出口2aが変形した場合も修正の対象とされる。また、パウチ充填包装装置1についても本実施の形態の構成に限定されることない。要は、充填、シール、箱詰めの順をなす生産工程において、箱詰め工程の前の段階において移送コンベア6と押圧コンベア10によって注出口2aの変形が修正されていればよいのである。さらに、移送コンベア6に対する押圧コンベア10の位置は、とくに限定されるものではない。
また、パウチ2の外径、形状、種類、および注出口2aの形状などは本実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態によるパウチ充填装置の全体概要を示す平面図である。
【図2】シュート部に落下するパウチの状態を示す側面図である。
【図3】整列部における収納部に収納されたパウチを示す斜視図である。
【図4】押圧コンベアの構造を示す側面図である。
【図5】押圧コンベアによって注出口の変形が修正される状態を示す図である。
【図6】従来におけるパウチの注出口の屈曲変形の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 パウチ充填包装装置
2 パウチ
2a 注出口
3 充填部
4 シール部
5 シュート部
6 移送コンベア
7 整列部
7a 収納部
10 押圧コンベア
S 押圧隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を上縁部の左右角部のいずれか一方に備えた詰め替え用パウチの風袋に内容物を充填させ、その後に前記パウチを密封し、そのパウチを移送コンベア上に平面的に載せて次の箱詰め工程へ移送させる手段を有するパウチの変形修正方法であって、
前記移送コンベアの上方に、平行に配置される押圧コンベアを備え、
前記押圧コンベアと前記移送コンベアとの間の押圧隙間は、前記パウチの厚さ寸法より小さい寸法をなし、
前記密封させたパウチを前記移送コンベアによって移送させて、前記押圧隙間を通過させ、前記押圧コンベアと前記移送コンベアとによって前記パウチの両側面のそれぞれを全面にわたって押圧することで、前記注出口に変形が生じている場合に、その注入口の変形を修正するようにしたことを特徴とするパウチの変形修正方法。
【請求項2】
前記押圧隙間の寸法は、調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のパウチの変形修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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