説明

パウチ容器

【課題】湯水を注入する際、手で注入口部を開いた状態に保持する必要がない、使い勝手のよいパウチ容器を提供する。
【解決手段】流動食等が充填されるパウチ本体10と、このパウチ本体10に充填された流動食等を注出するためにパウチ本体10に装着された注出用スパウト20とを備えており、パウチ本体10の上端部を切断することにより、湯水を注入するための注入口部が形成されるようになっている。パウチ本体10における注入口部となる部分には、その内面に、相互に噛合する一対の帯状のファスナー部材30が熱溶着されていると共に、このファスナー部材30の下側に、耐熱性を有するプラスチック材料によって形成された、塑性変形する断面長方形状の帯状体からなる形状保持部材40が熱溶着されており、この形状保持部材40の存在によって、パウチ本体10における注入口部Mを開いたときに、注入口部Mが開いた状態に保持されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動食や経腸栄養剤等(以下、流動食等という。)が充填されるパウチ容器、特に、使用時に湯水を注入することができるパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパウチ容器としては、例えば、図12に示すようなものがある。このパウチ容器50は、同図(a)に示すように、内面が熱接着性を有する合成樹脂製の柔軟性シートによって袋状に形成された、流動食等が充填されるパウチ本体51と、このパウチ本体51に充填された流動食等を注出するためにパウチ本体51に装着されたスパウト52とを備えており、スパウト52の先端部52aを折り取ってスパウト52に注出口を形成した後、このスパウト52にチューブを接続し、パウチ本体51を吊り下げた状態で、流動食等をチューブを通して、人に投与するようになっている。
【0003】
パウチ本体51は、その上部を破断することにより、同図(b)に示すように、湯水を注入するための注入口部Mが形成されるようになっており、この注入口部Mから湯水を注入することによって、パウチ本体51に充填されている流動食等を希釈したり、流動食等の注出後にパウチ本体51の内面に付着した流動食等を洗い流すと共に水分を補給したりすることができるようになっている。
【0004】
また、パウチ本体51における注入口部Mとなる部分には、その内面に、熱接着性を有するプラスチック材料によって形成された、相互に噛合する一対の帯状のファスナー部材53が熱溶着されており、この一対のファスナー部材53によって、パウチ本体51に形成された注入口部Mを閉塞した状態に保持することができるようになっている。従って、パウチ本体51の上部を破断することによって形成された注入口部Mから湯水を注入した後は、一対のファスナー部材53を噛合させることによって、注入口部Mを閉塞した状態で使用することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−206162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したパウチ容器50の場合、パウチ本体51に形成された注入口部Mは、一対のファスナー部材53が噛合していなくても、通常、略閉じた状態になっているので、湯水を注入する際は、手で注入口部Mを開いた状態に保持しなければならず、湯水の注入作業性が悪いといった問題がある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、湯水を注入する際、手で注入口部を開いた状態に保持する必要がない、使い勝手のよいパウチ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、流動食や経腸栄養剤が充填されるパウチ容器であって、柔軟性シートによって形成された、使用時に湯水の注入口部を形成可能なパウチ本体と、充填された流動食や経腸栄養剤を注出するために、前記パウチ本体に装着されたスパウトとを備え、前記パウチ本体における湯水の注入口部となる部分が、塑性変形可能な形状保持性を有していることを特徴とするパウチ容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、このパウチ容器は、パウチ本体における湯水の注入口部となる部分が、塑性変形可能な形状保持性を有しているので、使用時にパウチ本体に形成された注入口部を開くと、その注入口部が塑性変形を起こして開いた状態に保持されるので、パウチ本体の注入口部が自然に元の略閉じた状態に戻ることがない。従って、注入口部から湯水を注入する際、手で注入口部を開いた状態に保持する必要がなく、湯水の注入作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、流動食等が充填されるパウチ容器1を示している。このパウチ容器1は、同図に示すように、流動食等が充填されるパウチ本体10と、このパウチ本体10に充填された流動食等を注出するためにパウチ本体10に装着された注出用スパウト20とを備えており、パウチ本体10の上端部を切断することにより、図2に示すように、湯水を注入するための注入口部Mが形成されるようになっている。
【0011】
前記パウチ本体10は、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等からなる基材層に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、非晶性のポリエステル系樹脂等からなるシーラント層がラミネートされた表裏一対の柔軟性シート11、11(必要に応じて、基材層にアルミニウム箔、エチレンビニルアルコール共重合体のフィルム、酸化ケイ素等の無機物を蒸着したフィルム等のガスバリア層を積層してもよい。)を、その内面同士が接触するように重ね合わせた状態で、双方の周縁部同士を相互にヒートシールすることによって平袋状に形成されており、相互にヒートシールされている柔軟性シート11、11における一方の下端コーナ部に形成された傾斜縁に注出用スパウト20が装着されている。なお、同図における網掛け表示部分が、パウチ本体10のヒートシール部分を示している。
【0012】
また、このパウチ本体10は、注出用スパウト20が装着されている一方の下端コーナ部の対角位置付近の側縁シール部が幅広に形成されており、この幅広の側縁シール部に、パウチ容器1を吊り下げるための吊下穴10aが形成されている。従って、図3に示すように、この吊下穴10aをフックF等に引っかけてパウチ容器1を吊り下げると、注出用スパウト20が概ね下を向くようになっている。
【0013】
また、パウチ本体10における注入口部Mとなる部分には、その内面に、柔軟性シート11のシーラント層に対して熱接着性を有するプラスチック材料によって形成された、相互に噛合する一対の帯状のファスナー部材30が熱溶着されていると共に、このファスナー部材30の下側に、耐熱性及び柔軟性シート11のシーラント層に対して熱接着性を有するプラスチック材料によって形成された、塑性変形する断面長方形状の帯状体からなる形状保持部材40が熱溶着されており、この形状保持部材40の存在によって、パウチ本体10に形成された注入口部Mを開いたときに、注入口部Mがその開いた状態に保持されるようになっている。なお、形状保持部材40は、上述したような断面長方形状の帯状体に限定されるものではなく、断面略楕円状の帯状体や断面円形状、断面多角形状の線状体であってもよい。さらに、特許第3582854号公報の図13及び図14に示すように、複数の円形棒を芯として、各芯間に板状帯を一体的に挿設すると共に、芯全体の両側に板状帯を一体的に並設した形状でもよい。
【0014】
前記注出用スパウト20は、図1及び図4(a)に示すように、パウチ本体10にヒートシールされる平面舟形状の装着部21と、この装着部21に連設された注出管部22とを備えており、装着部21には、注出管部22の注出路に連通する貫通孔が形成されている。前記注出管部22は、図4(a)に示すように、基端側が大径に、先端側が小径に形成された管本体22aと、この管本体22aの先端に連設された、管本体22aの注出路を閉塞する閉塞部22bとを有しており、管本体22aと閉塞部22bとの境界部分には、周溝22cが形成されている。従って、図4(b)に示すように、この周溝22c部分で閉塞部22bを折り取ることによって、本体部22aの先端に注出口が形成されるようになっており、同図(c)に示すように、注出口が形成された管本体22aの小径部には、チューブCを接続することができるようになっている。
【0015】
前記ファスナー部材30は、図5(a)、(b)に示すように、相互に噛合する雄側ファスナー部材30aと雌側ファスナー部材30bとから構成されており、雄側ファスナー部材30a及び雌側ファスナー部材30bは、パウチ本体10を形成している柔軟性シート11の上部内面における切断ラインの下側の同一高さ位置に、柔軟性シート11の全幅にわたってそれぞれ熱溶着されている。なお、ファスナー部材30は、必ずしも、柔軟性シート11の全幅にわたって配設する必要はなく、柔軟性シート11における両側縁のヒートシール部分の内側に配設することも可能である。
【0016】
前記雄側ファスナー部材30aは、パウチ本体10を形成している柔軟性シート11の幅と同一の長さを有する帯状の基材シート31aと、この基材シート31aの幅方向の中央部においてその長手方向に延びる、先端が断面鉤状に形成された突条32aとから構成されており、基材シート31aが一方の柔軟性シート11の内面に熱溶着されている。
【0017】
前記雌側ファスナー部材30bは、パウチ本体10を形成している柔軟性シート11の幅と同一の長さを有する帯状の基材シート31bと、この基材シート31bの幅方向の上側においてその長手方向に延びる、雄側ファスナー部材30aの突条32aと噛合する凹条32bとから構成されており、基材シート31bが他方の柔軟性シート11の内面に熱溶着されている。
【0018】
従って、このパウチ容器1では、流動食等が充填された状態で密封されたパウチ本体10の上縁部分を切断することによってパウチ本体10に注入口部Mを形成した後は、図5(b)に示すように、雄側ファスナー部材30aの突条32aと雌側ファスナー部材30bの凹条32bの噛合状態を解除することによって、パウチ本体10の注入口部Mを開口したり、再び、雄側ファスナー部材30aの突条32aと雌側ファスナー部材30bの凹条32bとを相互に噛合させることによって(同図(a)参照)、パウチ本体10の注入口部Mを閉塞したりすることができる。
【0019】
前記形状保持部材40を形成する耐熱性及び熱接着性を有するプラスチック材料としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドおよびポリアセタールから選択される一または二以上の熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂組成物を使用することができ、形状保持部材40は、こういった樹脂組成物を融点または軟化点以上の押出温度で帯状または線状に押出成形し、その押出成形品を100℃以下に冷却した後、60〜180℃の温度条件下で延伸することによって製造されている。
【0020】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートの他、各種共重合ポリエステルなどが挙げられる。共重合ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸及びエチレングリコールを、それぞれジカルボン酸成分及びジオール成分の主成分として用い、共重合成分として、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、フタル酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、脂環式ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)等のジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオール成分を用いた共重合ポリエステルなどが挙げられる。
【0021】
また、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(特に、超高分子量のポリエチレン)、ポリプロピレンの他、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンをモノマー成分として含有するオレフィン系共重合体などが挙げられる。
【0022】
特に、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂100重量部に対して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を5〜90重量部(好ましくは5〜50重量部)の割合で組み合わせた樹脂組成物が好ましい。
【0023】
形状保持部材40は、上述したように、パウチ本体10の注入口部Mを開いたときに、注入口部Mをその開いた状態に保持させなければならないので、適度な剛性と塑性変形性を有していなければならないが、こういった適度な剛性と塑性変形性を付与するために、前記樹脂組成物には、ガラス繊維、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、クレー、ホワイトカーボン、チタン白、硫酸バリウム、亜鉛等)、滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛等)、可塑材(フタレート系、アジペート系またはポリエステル系の可塑剤)、柔軟材、結晶化促進剤、顔料等が適宜添加されている。
【0024】
また、上述したように、形状保持部材40が熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂成形品によって形成されている場合、その延伸倍率を高くするほど剛性が大きくなるという相関関係がある。パウチ本体10の注入口部Mを開いた状態に保持することができる程度の剛性を付与するには、樹脂成形品の延伸倍率を2〜20倍(好ましくは、7〜16倍)の範囲内で調整すればよい。形状保持部材40の延伸倍率が2倍より小さいと、剛性が低下するとともに柔軟性が大きくなって、注入口部Mを開いた状態に保持することが困難になり、逆に、形状保持部材40の延伸倍率が20倍よりも大きいと、剛性が大きくなって、注入口部Mを開くことが困難になるからである。
【0025】
また、樹脂成形品からなる形状保持部材24の剛性は、その肉厚によっても変動するため、引張弾性率に応じた肉厚を適宜設定する必要がある。このパウチ容器1におけるパウチ本体10の注入口部Mを開いた状態に保持するために、帯状体を形状保持部材として使用する場合は、その厚みを0.5〜5mm、断面円形状の線状体を形状保持部材として使用する場合は、その外径を0.5mm〜5mm程度に調整しておく必要がある。なお、形状保持部材40の引張弾性率は、熱可塑性樹脂の種類等によっても調整することができる。
【0026】
以上のように、このパウチ容器1は、パウチ本体10における湯水の注入口部Mとなる部分に、相互に噛合する雄側ファスナー部材30a及び雌側ファスナー部材30bからなるファスナー部材30と塑性変形する形状保持部材40とが熱溶着されているので、パウチ本体10の上端部を切断することにより、湯水を注入するための注入口部Mを形成した後、雄側ファスナー部材30aと雌側ファスナー部材30bの噛合状態を解除して注入口部Mを開くと、形状保持部材40が塑性変形を起こして注入口部Mが開いた状態に保持されるので、パウチ本体10の注入口部Mが自然に元の略閉じた状態に戻ることがない。従って、注入口部Mから湯水を注入する際、手で注入口部Mを開いた状態に保持する必要がなく、湯水の注入作業性が向上する。また、湯水を注入した後は、注入口部Mを閉じると、形状保持部材40が塑性変形を起こして注入口部Mが略閉じた状態に保持され、雄側ファスナー部材30aと雌側ファスナー部材30bとを噛合させることによって、注入口部Mを閉じた状態に保持することができる。
【0027】
また、形状保持部材40が、ファスナー部材30の下側部分に配置されているので、雄側ファスナー部材30aの突条32aと雌側ファスナー部材30bの凹条32bとの噛合を解除する際に摘むことになるファスナー部材30の噛合部の上側部分に剛性が付与されることがなく、通常のファスナー付きのパウチ容器と同様の柔軟性を有することになる。従って、形状保持部材40が熱溶着されていない従来のパウチ容器に比べて極端な違和感を感じることなく、ファスナー部材30間の噛合を解除することができる。
【0028】
なお、上述した実施形態では、パウチ本体10における注入口部Mとなる部分におけるファスナー部材30の下側部分に形状保持部材40を熱溶着しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)、(b)に示すように、パウチ本体10を形成している柔軟性シート11と雄側ファスナー部材30aの基材シート31aとの間に線状の形状保持部材40を挟み込むようにしたり、図7(a)、(b)に示すように、雄側ファスナー部材30aの基材シート31aに線状または帯状の形状保持部材40を埋設したり、図8(a)、(b)に示すように、雄側ファスナー部材30aの基材シート31aの熱溶着面に収容溝33aを形成し、この収容溝33aに形状保持部材40を収容した状態で、雄側ファスナー部材30aを柔軟性シート11に熱溶着することも可能である。
【0029】
図6に示すような構成では、雌側ファスナー部材30b側には形状保持部材40が挟み込まれていないので、開いたパウチ本体10の注入口部Mを閉じたときに、雄側ファスナー部材30aに僅かに変形した部分が残っていても、雌側ファスナー部材30bが雄側ファスナー部材30aの変形部分に容易に追従することができる。従って、ファスナー部材30間の噛合作業性が悪くなることがなく、しかも、噛合不良が発生しにくいという効果が得られる。
【0030】
また、雄側ファスナー部材30a側及び雌側ファスナー部材30b側の双方に形状保持部材40をそれぞれ挟み込むと、挟み込まれた形状保持部材40の存在によって基材シート31a、31bが部分的に内側に膨らんだ突出部分同士が相互に当接して、雄側ファスナー部材30aの突条32aと雌側ファスナー部材30bの凹条32bとの噛合を妨げるおそれがあるが、このパウチ容器では、雄側ファスナー部材30a側にだけ形状保持部材40が挟み込まれているので、ファスナー部材30間の噛合が妨げられることもない。
【0031】
また、図7及び図8に示すような構成を採用すると、柔軟性シート11に熱溶着された基材シート31aが部分的に内側に膨らむことがなく、特に、図8に示すタイプでは、雄側ファスナー部材30aの基材シート31aに形成された収容溝33aに形状保持部材40を収容しながら、パウチ本体10の製袋及びファスナー部材30の熱溶着を行うことができるので、効率よくパウチ容器を製造することができる。
【0032】
また、上述したように、別部材である形状保持部材を使用するのではなく、図9(a)、(b)に示すように、雄側ファスナー部材30a自体を適度な剛性を有する塑性変形可能なプラスチック材料によって形成することも可能である。その場合は、同図(a)に示すように、雄側ファスナー部材30a全体を、上述したような特定のプラスチック材料(例えば、形状保持部材40を形成している樹脂組成物等)によって形成してもよいが、雌側ファスナー部材30bの凹条32bと噛合する突条32aの噛合性等を考慮すると、同図(b)に示すように、基材シート31a部分のみを上述したような特定のプラスチック材料によって形成し、突条32a部分は通常のプラスチック材料によって形成しておくことが望ましい。なお、同図(a)、(b)において、交斜線で示す部分が形状保持性を有する部分である。
【0033】
また、図6〜図9に示す各実施形態では、雄側ファスナー部材30a側に形状保持性を付与しているが、これに限定されるものではなく、雌側ファスナー部材30b側に形状保持性を付与することも可能であり、雄側ファスナー部材30a側及び雌側ファスナー部材30b側の双方に形状保持性を付与することも可能である。
【0034】
また、上述した各実施形態では、パウチ本体10の内面側に、形状保持部材40を取り付けるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図10(a)、(b)に示すように、パウチ本体10の外面側に形状保持部材40を貼着したり、パウチ本体10を形成している柔軟性シート11の層間に帯状または線状の形状保持部材を挟み込むようにしてもよい。
【0035】
また、上述した各実施形態では、塑性変形可能なプラスチック材料によって形成された形状保持部材40を使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、塑性変形可能な金属線をポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート等のプラスチック材料によって被覆した形状保持部材を使用することも可能である。
【0036】
また、上述した実施形態では、パウチ本体10が平袋タイプのパウチ容器1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示すパウチ容器2のように、パウチ本体10Aが、自立性を有するボトムガセットタイプであってもよく、サイドガセットタイプ(図示せず)であってもよい。なお、図11に示すパウチ容器2も、パウチ本体10Aに流動食等が充填されるようになっており、パウチ本体10Aにおけるヒートシール縁には、充填された流動食等を注出するための注出用スパウト20が装着されていると共に、パウチ本体10Aにおける注入口部Mとなる部分に、ファスナー部材30及び形状保持部材40が熱溶着されている。
【0037】
また、上述した各実施形態では、パウチ本体10、10Aにおける注入口部Mとなる部分にファスナー部材30が取り付けられたパウチ容器1、2について説明したが、これに限定されるものではなく、パウチ本体における注入口部となる部分にファスナー部材が取り付けられていないパウチ容器についても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明にかかるパウチ容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】同上のパウチ容器におけるパウチ本体の上端部を切断して注入口部を形成した状態を示す平面図である。
【図3】同上のパウチ容器の使用状態を示す図である。
【図4】(a)は同上のパウチ容器に装着されている注出用スパウトを示す平面図、(b)は同上の注出用スパウトの注出管部から閉塞部を折り取ることによって、本体部の先端に注出口を形成した状態を示す図、(c)は同上の注出用スパウトにおける注出管部から閉塞部を折り取った本体部にチューブを接続した状態を示す図である。
【図5】(a)は同上のパウチ容器における注入口部となる部分を拡大した部分拡大断面図、(b)は同上の注入口部に取り付けられたファスナー部材の噛合を解除した状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】(a)は他の実施形態であるパウチ容器における注入口部となる部分を示す部分拡大断面図、(b)は同上の注入口部となる部分を示す分解断面図である。
【図7】(a)は他の実施形態であるパウチ容器における注入口部となる部分を示す部分拡大断面図、(b)は同上の注入口部となる部分を示す分解断面図である。
【図8】(a)は他の実施形態であるパウチ容器における注入口部となる部分を示す部分拡大断面図、(b)は同上の注入口部となる部分を示す分解断面図である。
【図9】(a)、(b)はファスナー部材に形状保持性を付与する場合に、ファスナー部材のどの部分に形状保持性を付与するのかを説明するための説明図である。
【図10】(a)、(b)は他の実施形態であるパウチ容器における注入口部となる部分を示す部分拡大断面図である。
【図11】他の実施形態であるパウチ容器を示す斜視図である。
【図12】(a)は流動食等を充填する従来のパウチ容器を示す平面図、(b)は同上のパウチ容器の使用方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1、2 パウチ容器
10、10A パウチ本体
10a 吊下穴
11 柔軟性シート
20 注出用スパウト
21 装着部
22 注出管部
22a 管本体
22b 閉塞部
22c 周溝
30 ファスナー部材
30a 雄側ファスナー部材
30b 雌側ファスナー部材
31a、31b 基材シート
32a 突条
32b 凹条
33a 収容溝
40 形状保持部材
M 注入口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動食や経腸栄養剤が充填されるパウチ容器であって、
柔軟性シートによって形成された、使用時に湯水の注入口部を形成可能なパウチ本体と、
充填された流動食や経腸栄養剤を注出するために、前記パウチ本体に装着されたスパウトと
を備え、
前記パウチ本体における湯水の注入口部となる部分が、塑性変形可能な形状保持性を有していることを特徴とするパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−308150(P2007−308150A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137358(P2006−137358)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】