説明

パウチ用充填ノズル

【課題】 部品の強度アップを可能とする。また。洗浄性を良好とする。
【解決手段】 パウチ用充填ノズルは、下端を充填口24とする上下方向にのびた液体通路21および液体通路21の上下方向中間に連通させられたガス通路41が設けられているノズル本体22、42と、液体通路21を、ガス通路連通カ所の上流で開閉する第1弁手段26、38と、ガス通路41を開閉する第2弁手段44、52とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、飲料をスパウト付パウチに充填するために用いられる充填ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充填ノズルとしては、下端を充填口とする上下方向にのびた液体通路を有するノズル本体と、液体通路の軸線上に配置されかつ下端を吐出口とするガス通路を有するガスパイプと、充填口を開閉する第1弁手段と、吐出口を開閉する第2弁手段とを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記従来の充填ノズルでは、充填ノズルを、ノズル本体およびガスパイプの二重管構造として構成している。そのため、充填ノズルの構造が複雑であり、その結果、部品強度が弱く、曲がり易い等の問題点があった。さらに、液体通路およびガス通路が狭くならざるを得ないために、充填ノズルの洗浄を行う際に、双方の通路に洗浄液を通過させ難く、洗浄効果に難があり、洗浄のために長時間を要した。
【特許文献1】特開2000−58697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、部品の強度アップを可能とし、洗浄性を良好としたパウチ用充填ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明によるパウチ用充填ノズルは、下端を充填口とする上下方向にのびた液体通路および液体通路の上下方向中間に連通させられたガス通路が設けられているノズル本体と、液体通路を、ガス通路連通カ所の上流で開閉する第1弁手段と、ガス通路を開閉する第2弁手段とを備えているものである。
【0006】
この発明によるパウチ用充填ノズルでは、充填ノズルを、ノズル本体だけの一重管構造として構成している。そのため、部品強度を向上させることが容易であり、液体通路およびガス通路を拡げることが容易であるため、洗浄性を向上させることができる。
【0007】
さらに、液体通路が、上下方向にのびた軸線を有しており、ガス通路が、液体通路軸線に対し鋭角をなして交差させられた軸線を有していると、液体通路の隅々まで洗浄液が行き渡り、とくに、充填口周辺部の洗浄性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、部品の強度アップを可能とし、洗浄性を良好としたパウチ用充填ノズルが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0010】
パウチPは、例えば、アルミニウム箔を2枚重ねの封筒状に形成したものである。パウチPの上縁部中央には筒状スパウトSが挟み止められている。
【0011】
充填ノズルは、液体ノズル11およびガスノズル12を備えている。
【0012】
液体ノズル11は、内部を液体通路21とする垂直筒状液体ノズル本体22と、液体通路21内に収容されている垂直状液体ノズルロッド23とを備えている。
【0013】
液体通路21の下端開口には上細りテーパ状充填口24が形成されている。充填口24の上端にはシールリング25が取付られている。充填口24からやや距離をおいた上方には上拡りテーパ状液体用弁座26が設けられている。
【0014】
液体ノズル本体22は、上部材31および下部材32よりなる。上部材31には液体ノズルロッド23の上部が上下摺動自在にはめ合わされている。上部材31の上端には流体圧シリンダ33がヨーク34を介して垂直下向きに装備されている。流体圧シリンダ33のピストンロッドは、液体ノズルロッド23の上端に連結されている。上部材31および下部材32の間には弾性材製液体シール用ダイヤフラム35の外周部が挟み止められている。液体通路21における液体シール用ダイヤフラム35の下方に連通させられるように下部材32の周壁上端近くには液体供給パイプ36が接続されている。下部材32外面の、充填口24よりもやや上方レベルの位置に、一対の水平係合ピン37が反対方向に突出させられるように固定されている。
【0015】
液体ノズルロッド23は、その高さの中程の部分で液体シール用ダイヤフラム35の中央部に水密状に貫通させられている。液体ノズルロッド23の下端部にはこれと一体的に液体用弁体38が液体用弁座26に上側から密接しうるように設けられている。
【0016】
ガスノズル12は、液体用弁座26の略側方に位置して、下部材32外面にこれと一体的に形成されかつ液体通路21における液体用弁座26および充填口24間に連通させられたガス通路41を有するガスノズル本体42と、ガス通路41内に収容されている傾斜状ガスノズルロッド43とを備えている。
【0017】
ガス通路41は、液体通路21に対し約45度の角度で交差させられた軸線を有している。ガス通路41の長さの中程には上拡りテーパ状ガス用弁座44が設けられている。ガス通路41の上端開口近くには、その上端面よりも一段低い段が設けられ、その段の上には弾性材製ガスシール用ダイヤフラム45の外周部が載せられている。ガスシール用ダイヤフラム45の外周部にはキャップ状ダイヤフラム押え46が載せられている。ダイヤフラム押え46頂壁中央部には筒状ガイド47が上方突出状に設けられている。ガス通路41におけるガスシール用ダイヤフラム45の下方に連通させられるようにガス供給パイプ48がガスノズル本体42外面に接続されている。ガス供給パイプ48は、図示しない切替弁によって、負圧源および不活性ガス源に接続されるとともに、大気に開放されるようになっている。
【0018】
ガスノズル本体42は、ガス通路41の軸線と直交させられた斜め上向きの頂面を有している。この頂面上には、頂壁付きシリンダ51がその一端開口を、ガスシール用ダイヤフラム45およびダイヤフラム押え46を介してガス通路41上端開口と相対させるように取付られている。シリンダ51の下端面は、ガスシール用ダイヤフラム45外周部をダイヤフラム押え46を介して段の上に押圧している。
【0019】
ガスノズルロッド43は、その長さの中程の部分でガスシール用ダイヤフラム45の中央部に気密状に貫通させられかつガイド47に上下摺動自在にはめ入れている。ガスノズルロッド43の下端部にはこれと一体的にガス用弁体52がガス用弁座44に上側から密接しうるように設けられている。ガスノズルロッド43の上部は、ガイド47よりも上方に突出させられてシリンダ51内に進入させられている。ガスノズルロッド43の上方突出部には、シリンダ51と摺動自在にはめ合わされたピストン53が一体的に設けられている。ピストン53外周面にはシールリング54が取付けられている。ダイヤフラム押え46およびピストンの間には圧縮コイルばね55が介在させられている。シリンダ51内の、ピストン53上方スペースに連通させられるようにシリンダ51頂壁に加圧エアー供給パイプ56が接続されている。
【0020】
液体ノズル11の下方には、パウチPを保持して昇降しうるようにリフター61が配置されている。リフター61にはスパウトSを係合離脱自在に係合しうる係合凹所62が形成されている。
【0021】
図3に、充填ノズルを洗浄する際に、充填口24を閉鎖するために用いられるアタッチメント71が示されている。
【0022】
アタッチメント71は、金属製内キャップ81および断熱プラスチック製外キャップ82よりなる二重構造のものである。内キャップ81には受口83が設けられている。受口83は、液体ノズル本体22の下部材32下端部にぴったしはめ被せられる形状のものである。受口83周面の高さの中程には側部シールリング84が、受口83底面の外周部には底部シールリング85がそれぞれ備えられている。受口83周面の開口近くには係合溝86が形成されている。係合溝86は、相対して受口83周方向にのびた2つの横溝部87と、各横溝部87の対応する一端を受口83から開放するように受口83軸方向にのびた2つの縦溝部88よりなる。
【0023】
アタッチメント71を使用する際に、係合ピン37に縦溝部88の開放端を臨ませておいて、液体ノズル本体22の下部材32下端部に受口83を被せていき、係合ピン37が横溝部87のところまで達すると、係合ピン37が横溝部87内を相対的に移動していくようにアタッチメント71を回転させる。これにより、アタッチメント71が同端部に液密状に取付けられる。この逆の操作によって、同端部からアタッチメント71が取外される。
【0024】
流体圧シリンダ33によって液体ノズルロッド23を下降させて液体用弁座26に液体用弁体38を押圧すると、液体通路21が閉鎖され、液体ノズルロッド23を上昇させて液体用弁座26から液体用弁体38を離隔すると、液体通路21が開放される。加圧エアー供給パイプ56によってシリンダ51内に加圧エアーを供給し、ピストン53とともにガスノズルロッド43を下降させてガス用弁座44にガス用弁体52を押圧すると、ガス通路41が閉鎖される。同加圧エアーの供給を停止すると、ばね55によって液体ノズルロッド23が上昇させられる。そうすると、ガス用弁座44からガス用弁体52が離隔して、ガス通路41が開放される。
【0025】
図5を参照しながら充填動作を説明する。図5(a)に示すように、液体通路21を閉鎖しかつガス通路41を開放した状態で、パウチPを保持したリフター61を上昇させて、充填口24にスパウトSの上端部を挿入する。そして、ガス通路41内に負圧を作用させると、パウチP内のエアーが排出される。ついで、図5(b)に示すように、液体通路21を開放しかつガス通路41を閉鎖すると、充填口24からパウチP内に液体が充填される。この状態から、図5(c)に示すように、液体通路21を閉鎖しかつガス通路41を開放し、今度は、負圧ではなく、不活性ガスを作用させる。そうすると、パウチP内には不活性ガスがある程度の陽圧状態に満たされる。つづいて、ガス通路41を大気に開放すると、パウチP内は負圧ガスが陽圧から大気圧と同じになる。そこで、図5(e)に示すように、ガス通路41を閉鎖し、つづいて、リフター61を下降させると、充填口24からスパウトSの上端部を抜出させる。これにより、1サイクルの充填動作が完了する。
【0026】
充填ノズルの洗浄を行う際は、図4に示すように、液体ノズル本体22の下部材32下端部にアタッチメント71を取付ける。液体通路21およびガス通路41はともに開放しておく。液体通路21およびガス通路41の一方に洗浄液を供給し、他方から排出すると、充填ノズルおよびガスノズル内部が洗浄される。洗浄液の供給および排出は、液体通路21およびガス通路41に対して、交互に行うようにすれば効果的な洗浄が行える。
【0027】
上記において、アタッチメントとして、洗浄液の回収管を使用しないタイプのものを例示しているが、アタッチメントに回収管を接続して、充填ノズルおよび/またはガスノズルから排出される洗浄液を回収管を通じて回収するようにしてもよい。
【0028】
また、ガス通路が、液体通路軸線に対して、約45度の角度で交差させられた軸線を有しているものが例示されているが、この角度に限らず、任意の角度で交差させられていてもよい。液体通路の洗浄性を考慮すると、その角度は30〜60度であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明による充填装置の垂直縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】同充填ノズルのアタッチメントの断面図である。
【図4】同充填ノズルの洗浄む時のアタッチメントの断面図である。
【図5】同充填ノズルによる一連の充填動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
21 液体通路
22 液体ノズル本体
24 充填口
38 弁体
41 ガス通路
42 ガスノズル本体
52 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端を充填口とする上下方向にのびた液体通路および液体通路の上下方向中間に連通させられたガス通路が設けられているノズル本体と、液体通路を、ガス通路連通カ所の上流で開閉する第1弁手段と、ガス通路を開閉する第2弁手段とを備えているパウチ用充填ノズル。
【請求項2】
液体通路が、上下方向にのびた軸線を有しており、ガス通路が、液体通路軸線に対し鋭角をなして交差させられた軸線を有している請求項1に記載のパウチ用充填ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−69911(P2007−69911A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255793(P2005−255793)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】