説明

パケット交換ドメインと回線交換ドメインとの間におけるハンドオフの性能を改善する方法

端末装置が、PS無線技術およびCS無線技術と同時に通信できない場合に、通信トラフィック、例えば音声呼のパケット交換(PS)ドメインから回線交換(CS)ドメインへの移動を調整する方法および装置が記載される。そのような移動は、ベアラ・トラフィック・ルーティングをPSドメインからCSドメインに移動させる動作と、無線接続をPS無線アクセス・ネットワークからCS無線アクセス・ネットワークへ移動させる動作という、並行動作を必要とする。端末装置との間でベアラ・トラフィックを受け渡しするときのギャップを最小にするために、調整可能なタイマを利用して、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動か、ベアラ・トラフィックのPSドメインからCSドメインへの移動のどちらかを遅らせる。さらに、無線アクセス・レベルでの移動を遅らせる場合に、無線アクセス技術間での移動の成功率を改善することができる新しい無線データを取得するための、追加のシグナリングも記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね通信システムに関し、より詳細にはパケット交換(PS)ドメインから回線交換(CS)ドメインへの音声呼およびデータ呼のハンドオフに関する。
【背景技術】
【0002】
パケット交換(PS)技術は、電話、特に音声呼の受け渡しに利用されている。従来技術のシステムでは、音声呼は回線交換(CS)ネットワークでしか受け渡されなかった。セルラ電話の分野では、より旧型のCS技術が利用され続けているものの、PS技術の領域が成長している。端末装置が、PS技術の通達範囲内にある間に呼を開始したが、CS技術しか含まない通達範囲に移動することがある。現在の技術に伴う1つの問題は、そうした呼、特に音声呼を交換機を横切ってPS技術からCS技術へと途切れずに移すことにある。
【0003】
PS技術からCS技術へと通信を移動させる間に枢要な要素は、端末装置が、PSドメインおよびCSドメインの両方上のネットワークと通信する能力を有するかどうかである。例えば、端末装置内の2つの別々の送受信機能を用いて両ドメイン上での同時通信が可能である場合、PSドメインからCSドメインへの移行をメイクビフォーブレイク動作(make−before−break operation)として特徴付けることができる。
【0004】
一方、端末装置が単一の送受信機能しか有していない場合、呼を維持しながら、PSドメインからCSドメインへと移動することはより難題になる。提案されている1つの解決策は、CSシグナリングを搬送するためのPS無線技術をもつことである。この技術は、端末装置が単一の送受信機能しか有さないときに、PSドメインからCSドメインに呼を移行させるのにかかる時間を短縮するために利用される。
【0005】
しかし、単一の送受信機能のケースにおいて、PSドメイン用およびCSドメイン用のセルラ無線アクセス・ネットワークが、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動を、ベアラ・トラフィックのPSドメインからCSドメインへの移動と協調させないときは、依然として問題は存在する。
【0006】
単一の送受信機能しか存在しない場合に、これらの完全に確立されたベアラ状態間を移行するのに必要な手順は、PS無線技術からCS無線技術に端末装置を移行するのに要する時間に比べて、余分の時間がかかる可能性がある。無線技術間の移動は、PSドメインからCSドメインへのベアラの移動とは非同期である。
【0007】
端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動は、PSドメインからCSドメインへのベアラの移動と並行に起こる。これらの移動が非同期な性質のものであることの望ましくない結果として、ベアラの移動が無線技術間の移動より長くかかる場合、端末装置は、ベアラがPSドメインから除去される前に、PS無線技術から離れてしまい、ベアラがCSドメイン上で完全に受け渡し可能になる前に、CS無線技術に到達してしまう可能性がある。さらに、ベアラをPSドメインからCSドメインに移動させるのにかかる時間にはばらつきがあり、これは、ベアラをサポートする機器におけるベアラ処理の速度、ベアラを移動させるのに使用されるシグナリング経路における待ち時間、およびベアラの移動に関与するシグナリング・ネットワークに対する負荷ファクタに依存する。
【0008】
もう1つの問題は、端末装置がPS無線アクセス技術からCS無線アクセス技術に移動する方が、ベアラ・トラフィック・ストリームがPSドメインからCSドメインに移動するより時間がかかる可能性のあることである。このケースでは、その結果、端末装置がPS無線アクセス・ネットワークから離れる前に、ベアラ・トラフィックがPSドメインから除去され、かつ端末装置からCS無線アクセス・ネットワークへの通信経路が完成する前に、CSドメインを介するベアラ・トラフィックが確立されてしまう可能性がある。
【0009】
無線技術の面では、端末装置と無線アクセス・ネットワークとの間の信頼できるシグナリングがもはや不可能になる点まで、PS無線技術の通達範囲が縮小する前に、端末装置をCS無線技術に移動させることが重要である。また、CS無線技術において、CS無線アクセス・ネットワークと端末装置との間で最良の無線通信を提供する、基地局セクタなどの無線アクセス・ポイントを選択することが重要である。無線チャンネルを選択するのに通常利用される電力強度測定値およびその他のデータが古くなった場合、それらは端末装置の無線状態をもはや正確には反映せず、PS無線技術からCS無線技術に首尾よく移動することが難しくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、従来技術に伴う問題なしに、端末装置をパケット交換(PS)ドメインから回線交換(CS)ドメインに移動させる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、端末装置が、PS無線技術を用いてPSドメイン上でベアラ・トラフィックの処理を続ける間に、ベアラ・トラフィックが、PSドメインからCSドメインへの移動を開始できるようにする。それにより、ハンドオフ手順中の音声ギャップが最小になり、したがってハンドオフの成功率が改善される。
【0012】
また、調整可能なある時点において、一般的にハンドオフと呼ばれる、PS無線技術からCS無線技術への端末装置の移動が開始される。この時点は、CS無線アクセス・ネットワーク上での端末装置の通信の確立を互いに協調させるように選択される。さらに、この時点は、電力強度測定値などの最新の無線データを取得し、それを利用して、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動の成功率を最大にするために、CS無線技術において最良の無線環境を提供することを可能にするようにも選択される。それにより、PS無線ネットワークからCS無線ネットワークへの成功裏のハンドオフが容易になる。
【0013】
本発明の例示的一実施形態によると、呼の開始メッセージが、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動をトリガする。このメッセージは、端末装置からPS無線アクセス・ネットワーク上に送信され、PS無線アクセス・ネットワークからCS無線アクセス・ネットワークへと転送されることが好ましい。
【0014】
CS無線アクセス・ネットワークは、CSドメインの呼制御コンポーネント、例えば移動交換局(Mobile Switching Center(MSC))にメッセージを転送する。CS無線アクセス・ネットワークはタイマを、オペレータによって制御される時間量に設定する。
【0015】
MSCは、PSドメインからCSドメインへの、呼に対するベアラ・トラフィックの移動を開始させるシグナリングを送る。
【0016】
CS無線アクセス・ネットワークによって設定されたタイマの設定時間が経過すると、CS無線アクセス・ネットワークは、端末装置のために更新された無線データを求める要求をPS無線アクセス・ネットワークに送る。更新された無線データの例としては、電力強度測定値が挙げられる。
【0017】
PS無線アクセス・ネットワークは、更新された無線データを取得し、それをCS無線アクセス・ネットワークに送る。CS無線アクセス・ネットワークは、この無線データを利用して無線環境、例えば無線トラフィック・チャンネルを確立し、それが、シグナリングおよびベアラ・トラフィックを端末装置に伝達するのに使用される。
【0018】
CS無線アクセス・ネットワークは、メッセージを作成し、PS無線アクセス・ネットワークに送る。このメッセージは、PS無線アクセス・ネットワークによって端末装置に転送され、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動を開始させる。
【0019】
端末装置は、CS無線技術に移動し、CS無線アクセス・ネットワークとの通信の確立を完了させる。移動は、例えば、端末装置がハンドオフを実行するときに行われる。ベアラ・トラフィックは、CSドメインを介して端末装置に受け渡される。
【0020】
要約すると、本発明は、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動が開始される間に、タイマを利用して端末装置のためのCS無線アクセス・ネットワーク環境のセットアップを遅らせるようにする。
【0021】
さらに、本発明は、端末装置のためのCS無線アクセス・ネットワーク環境の確立が開始される間に、タイマを利用して、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動を遅らせるようにする。タイマは、好ましくは、端末装置のためのCS無線環境のセットアップの完了、およびCSドメインを介するベアラ・トラフィックの受け渡しのための協調が最適化されるように調整可能である。
【0022】
CS無線アクセス・ネットワークは、電力強度測定値などの新しい無線データをPS無線アクセス・ネットワークに要求することができる。PS無線アクセス・ネットワークは、要求された新しい無線データを取得し、CS無線アクセス・ネットワークに供給する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の例示的一実施形態による、音声ギャップが無線の移動に起因する場合の、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。
【図2】本発明の例示的一実施形態による、音声ギャップがベアラの移動に起因する場合の、端末装置のPS無線技術からCS無線技術への移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。
【図3】本発明の例示的一実施形態による、音声ギャップが、無線が移動する前にベアラの移動が開始されたことに起因する場合の、PS無線技術からCS無線技術への端末装置の移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。
【図4】本発明の例示的一実施形態による、ベアラの移動の遅延が無線の移動の遅延より大きいとき、ベアラ・トラフィックのギャップを最小にする方法を示す流れ図である。
【図5】本発明の例示的一実施形態による、無線の移動の遅延がベアラの移動の遅延より大きいとき、ベアラ・トラフィックのギャップを最小にする方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、パケット交換ドメインと回線交換ドメインとの間におけるハンドオフの性能を改善する方法を提供する。ネットワークにおいて、PS無線アクセス・ネットワークもCS無線アクセス・ネットワークも領域の一部において利用可能である。
【0025】
本発明の例示的一実施形態によると、パケット交換ネットワークから回線交換ネットワークへの呼の移動は、4つの主要な段階で行われる。第1の段階は、ベアラ・トラフィックおよびシグナリングが呼制御部およびベアラ制御部からPSドメインに搬送されることを含むことが好ましい。次いで、トラフィックおよびシグナリングが、PS無線アクセス・ネットワークに搬送され、最後に端末装置に搬送される。トラフィックは、端末装置間をどちらの方向にも流れることができる。
【0026】
第2の段階は、シグナリングが、端末装置からPS無線アクセス・ネットワークを通り、次いでCS無線アクセス・ネットワークに至る経路を介して確立されることを含むことが好ましい。次いでCS無線アクセス・ネットワークが、シグナリングをCSドメインに搬送する。次いで、シグナリングがCSドメインから呼制御部およびベアラ制御部に搬送される。
【0027】
第3の段階は、ベアラ・トラフィックおよびシグナリングのパケット交換コンポネントから回線交換コンポネントへの移動を含むことが好ましい。このとき、端末装置へと流れるベアラ・トラフィックは、呼制御部およびベアラ制御部からCSドメインへ、次いでCS無線アクセス・ネットワークへ、最後に端末装置へと送られていく。それまでに呼制御部およびベアラ制御部からPSドメインへ、次いでPS無線アクセス・ネットワークへ、最後に端末装置へと送られた、端末装置に向かう方向のベアラ・トラフィックがまだ残っていれば、それは流れ続ける。同様に、それまでに端末装置によりPS無線アクセス・ネットワークに送られたベアラ・トラフィックがあれば、それはPSドメインを通り、次いで呼制御部およびベアラ制御部へと流れ続ける。
【0028】
第4の段階は、CSドメインへのベアラ・トラフィックの移動の最終状態を含むことが好ましい。端末装置とPS無線アクセス・ネットワークとの間のシグナリング経路およびベアラ・トラフィック経路は、もはや使用されないことが好ましい。同様に、端末装置に対する、PS無線アクセス・ネットワークとPSドメインとの間ならびにPSドメインと呼制御部およびベアラ制御部との間の、シグナリング経路およびベアラ・トラフィック経路も、もはや使用されないことが好ましい。
【0029】
図1は、PS無線技術からCS無線技術への端末装置の移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。具体的には、時点100において、端末装置はPS無線技術を離れ、その結果、もはやPSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信してはいない。時点110において、ベアラ・トラフィックが、PSドメインからもはや送受信されてはいない。時点120において、ベアラ・トラフィックがCSドメイン上で利用可能になる。時点130において、端末装置が、CS無線技術との接続手順を完了し、それによりCSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信できるようになる。これらの動作は、好ましくは時点100で始まり時点130で終了する、ベアラ・トラフィック・ギャップ(例えば、音声ギャップ)140をもたらす。このベアラ・トラフィック・ギャップ140は、その端末装置のユーザによって感知されるとおりである。特に、図1において、ベアラ・トラフィック・ギャップ140は、無線接続時間の短縮により最小にされることが好ましい。
【0030】
図2は、PS無線技術からCS無線技術への端末装置の移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。例示的一実施形態によると、時点200において、端末装置はPS無線技術を離れ、その結果PSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックをもはや送受信してはいない。同じ時点210において、ベアラ・トラフィックが、PSドメインからもはや送受信されてはいない。時点220において、ベアラ・トラフィックはCSドメイン上で利用可能になる。時点230において、端末装置は、CS無線技術との接続手順を完了し、それによりCSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信できるようになる。これらの動作は、時点200で始まり、時点220で終了するベアラ・トラフィック・ギャップ(例えば、音声ギャップ)240をもたらす。このベアラ・トラフィック・ギャップ240は、その端末装置のユーザによって感知されるとおりである。図2に示す例示的実施形態によると、ベアラ・トラフィック・ギャップ240は、PSドメインとCSドメインとの間でのベアラの移動時間を短縮することによって最小にされる。
【0031】
図3は、PS無線技術からCS無線技術への端末装置の移動と、PSドメインからCSドメインへのベアラ・トラフィックの移動という、非同期的な移動のタイミングの諸側面を示す図である。具体的には、時点300において、端末装置はPS無線技術を離れ、その結果、もはやPSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信してはいない。しかし、時点310において、ベアラ・トラフィックがPSドメインからもはや送受信されてはいず、それは時点300より前に行われる。時点320において、ベアラ・トラフィックはCSドメイン上で利用可能になる。時点330において、端末装置が、CS無線技術との接続手順を完了し、それによりCSドメインを介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信できるようになることが好ましい。これらの動作が、時点310で始まり、時点330で終了するベアラ・トラフィック・ギャップ(例えば、音声ギャップ)340をもたらすことが好ましい。ベアラ・トラフィック・ギャップ340は、その端末装置のユーザによって感知されるとおりである。ベアラ・トラフィック・ギャップ340は、端末装置がCS無線技術を介してシグナリングおよびベアラ・トラフィックを送受信できる時点330を、CSドメインがベアラ・トラフィックを送受信する準備ができた時点320と協調させることによって最小にされることが好ましい。
【0032】
図4は、ベアラ・トラフィックがPSドメイン430からCSドメイン440に移動する時間が、端末装置400がPS無線アクセス・ネットワーク410への接続からCS無線アクセス・ネットワーク420への接続へと移動する時間より長い場合に、ベアラ・トラフィック・ギャップ、例えば音声ギャップを最小にするための様々なエンティティ間における通信の図の例を示す。
【0033】
端末装置400は、ベアラ・トラフィック460をPS無線アクセス・ネットワーク410に伝達する。PS無線アクセス・ネットワーク410は、その同じベアラ・トラフィック460をPSドメイン430に伝達し、PSドメイン430は、そのベアラ・トラフィック460を制御機能450の制御の下で他の外部ノードに伝達する。
【0034】
メッセージ461が端末装置400からPS無線アクセス・ネットワーク410に送られて、ベアラのCSドメイン440への移動が開始される。
【0035】
メッセージ462が、CS無線アクセス・ネットワーク420に転送される。メッセージ462は、CSドメイン440へのベアラの移動を開始させる。例示的一実施形態によると、PS無線アクセス・ネットワーク410はメッセージ461をメッセージ462として転送する。
【0036】
PSドメイン430からCSドメイン440へのベアラの移動を開始させるためのメッセージ463が、CS無線アクセス・ネットワーク420からCSドメイン440に送られる。
【0037】
CS無線アクセス・ネットワーク420は、端末装置400をPS無線アクセス・ネットワーク410からCS無線アクセス・ネットワーク420に移動させる手順の開始を遅らせるように、調整可能な内部タイマを設定する(464)。
【0038】
CSドメイン440は、制御機能450にメッセージ465を送って、CSドメイン440へのベアラの移動を開始させる。
【0039】
ある時点で、調整可能な内部タイマの設定時間が経過する(466)。この時点で、CS無線アクセス・ネットワーク420は、所望の時間量を得るために、PS無線アクセス・ネットワーク410からCS無線アクセス・ネットワーク420に端末装置400を移動させる手順の開始を遅らせている。
【0040】
CS無線アクセス・ネットワーク420は、そのリソースの確立手順を、端末装置400の現在の無線環境を正確に、できるだけ厳密に表すデータに基づくものにするために、PS無線アクセス・ネットワーク410に新しい無線データを要求するメッセージ467を送る。この新しい無線データを使用することにより、端末装置400のCS無線アクセス・ネットワーク420への接続を獲得する際の成功率を最大にすることができる。
【0041】
PS無線アクセス・ネットワーク410は、要求された新しい無線データ468を提供する。
【0042】
制御機能450は、ベアラ・トラフィックをPSドメイン430からCSドメイン440に移動させる(469)。パケット交換ネットワークを通過中のどのベアラ・トラフィックも端末装置400から上方に流れ続けるので、端末装置400の方向に通信の他方のエンドポイントに向かう一部のベアラ・トラフィックが存続することが可能である。例示的一実施形態によると、ステップ469は、ステップ465の後、ステップ474の前に行われる。
【0043】
CS無線アクセス・ネットワーク420は、端末装置400のCS無線アクセス・ネットワーク420への接続をサポートするのに利用されるリソースを内部的に割り振り(470)、調整する。
【0044】
CS無線アクセス・ネットワーク420は、PS無線アクセス・ネットワーク410にメッセージ471を送って、端末装置400のCS無線アクセス・ネットワーク420への接続を開始させる。
【0045】
PS無線アクセス・ネットワーク410は、メッセージ471をメッセージ472として端末装置400に転送して、端末装置400のCS無線アクセス・ネットワーク420への接続を開始させる。
【0046】
端末装置400は、CS無線アクセス・ネットワーク420に接続するのに必要な接続確立手順を完了する(473)。
【0047】
制御機能450は、ベアラ・トラフィックの回線交換ネットワークへの移動を完了させるようCSドメイン440に指示する(474)。
【0048】
ステップ475において、ベアラ・トラフィックは、端末装置400とCS無線アクセス・ネットワーク420との間、CS無線アクセス・ネットワーク420とCSドメイン440との間、およびCSドメイン440と制御部450との間で、どちらの方向へも流れることができる。
【0049】
図5は、ベアラ・トラフィックをPSドメイン530からCSドメイン540に移動させる時間が、端末装置500をPS無線アクセス・ネットワーク510への接続からCS無線アクセス・ネットワーク520への接続へと移動させる時間より短い場合に、ベアラ・トラフィックのギャップ、例えば、音声ギャップを最小にするための、様々なエンティティ間における通信を示す図である。
【0050】
ステップ560において、端末装置500は、ベアラ・トラフィックをPS無線アクセス・ネットワーク510に伝達する。PS無線アクセス・ネットワーク510は、その同じベアラ・トラフィックをPSドメイン530に伝達し、PSドメイン530は、そのベアラ・トラフィックを制御機能550の制御の下で、他の外部ノードに伝達する。
【0051】
メッセージ561が端末装置500からPS無線アクセス・ネットワーク510に送られて、CSドメイン540へのベアラの移動が開始される。
【0052】
メッセージ562がCS無線アクセス・ネットワーク520に転送されて、CSドメイン530へのベアラの移動が開始される。
【0053】
PSドメイン530からCSドメイン540へのベアラの移動を開始させるメッセージ563が、CS無線アクセス・ネットワーク520からCSドメイン540に送られる。
【0054】
CSドメイン540は、調整可能な内部タイマを、ベアラ・トラフィックをPSドメイン530からCSドメイン540に移動させるための手順の開始を遅らせるように設定する(564)。
【0055】
CS無線アクセス・ネットワーク520は、端末装置500のCS無線アクセス・ネットワーク520への接続をサポートするのに使用されるリソースを内部的に割り振り、調整する(565)。
【0056】
CS無線アクセス・ネットワーク520は、PS無線アクセス・ネットワーク510にメッセージ566を送って、端末装置500のCS無線アクセス・ネットワーク520への接続を開始させる。
【0057】
PS無線アクセス・ネットワーク510は、メッセージ566をメッセージ567として端末装置500に転送して、端末装置500のCS無線アクセス・ネットワーク520への接続を開始させる。
【0058】
ステップ568において、ステップ564で設定された調整可能な内部タイマの設定時間が経過する。この時点で、CSドメイン540は所望の時間量を得るために、ベアラ・トラフィックをPSドメイン530からCSドメイン540に移動させる手順の開始を遅らせている。
【0059】
CSドメイン540は、制御機能550にメッセージ569を送って、PSドメイン530からCSドメイン540へのベアラ・トラフィックの移動を開始させる。
【0060】
ステップ570において、制御機能550は、ベアラ・トラフィックをPSドメイン530からCSドメイン540に移動させる。パケット交換ネットワークを通過中のどのベアラ・トラフィックも、端末装置500から上方に流れ続けるので、端末装置500の方向に通信の他のエンドポイントに向かう一部のベアラ・トラフィックが存続することが可能である。
【0061】
端末装置500は、メッセージ571をCS無線アクセス・ネットワーク520に送ることにより、CS無線アクセス・ネットワーク520に接続するのに必要な接続確立手順を完了する。
【0062】
ステップ572において、制御機能550は、CSドメイン540にメッセージ572を送ることにより、ベアラ・トラフィックの回線交換ネットワークへの移動を完了させるよう指示する。
【0063】
ステップ573において、ベアラ・トラフィックは、端末装置500とCS無線アクセス・ネットワーク520との間、CS無線アクセス・ネットワーク520とCSドメイン540との間、およびCSドメイン540と制御部550との間で、どちらの方向へも流れることができる。
【0064】
それにより、本発明は、PS無線技術とCS無線技術との間での端末装置の移動、およびPSドメインとCSドメインとの間でのベアラ・トラフィック・ストリームの移動という、並行な移動が、そうした移動中に音声呼中にギャップを含む状況を解決する。この状況において、そうした移動中に、音声呼中のギャップを最小にすることが望まれる。さらに、PS無線技術とCS無線技術との間での端末装置の移動の成功率を最大にする必要がある。本発明は、例示的一実施形態において、並行移動動作を十分早く開始し、それにより端末装置がPS無線技術上で必要なすべてのシグナリングを確実に受信できるようにすることで、そうした問題を解決する。さらに、本発明は、PS無線アクセス・ネットワークから得られる電力強度計測値など追加の無線データを利用して、無線トラフィック・チャンネルなど、CS無線アクセス・ネットワーク内の無線環境を適切にセットアップすることにより、従来技術の問題点を解決する。さらに、本発明は、端末装置のCS無線技術への到達を、CSドメイン上でのベアラ・トラフィックの確立完了と協調させることができるようになる時間まで、端末装置が、PS無線技術上に留まることができるようにする。
【0065】
本発明を、そのいくつかの例によって説明してきたが、本発明は上記の説明に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に定義されている範囲にのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置をパケット交換ドメインから回線交換ドメインにハンドオフする方法であって、
第1の時点で、前記端末装置を前記パケット交換ドメインから前記回線交換ドメインに移動させるステップと、
前記第1の時点より後の第2の時点で、前記端末装置に関連付けられたベアラ・トラフィックを前記パケット交換ドメインから前記回線交換ドメインに移動させるステップとを含む方法。
【請求項2】
前記第2の時点がタイマを用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイマが回線交換ドメインで確立される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タイマが調整可能である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
端末装置をパケット交換ドメインから回線交換ドメインにハンドオフする方法であって、
第1の時点で、前記端末装置に関連付けられたベアラ・トラフィックを前記パケット交換ドメインから前記回線交換ドメインに移動させるステップと、
前記第1の時点より後の第2の時点で、前記端末装置を前記パケット交換ドメインから前記回線交換ドメインに移動させるステップとを含む方法。
【請求項6】
前記第2の時点がタイマを利用することによって決定され、前記タイマが前記回線交換ドメインで確立される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タイマが調整可能である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
新しい無線データを取得するために回線交換ドメインからパケット交換ドメインにシグナリングを伝送するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記シグナリングに応答して、提供すべき新しい無線データを前記パケット交換ドメインから前記回線交換ドメインに送るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記新しい無線データが電力強度計測値を含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−517429(P2010−517429A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547281(P2009−547281)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/000876
【国際公開番号】WO2008/094426
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】