説明

パケット保存装置

【課題】小型であり、保存データが失われたり、書き換えにより変更されるのを防ぐことができ、保存データの証拠性を確保できるパケット保存装置を提供する。
【解決手段】ネットワーク上のパケットを取り込む取り込み部30と、記録媒体31と、取り込み部30から取り込んだ前記パケットを暗号化して記録媒体31に暗号化したパケットの内容を書き込み保存する暗号化書き込み部32と、取り込み部30と暗号化部32と記録媒体31に電源を供給する電源部33と、記録媒体31に保存されたパケットの内容を、読み出して復号化する読み出し復号部51と、復号化した内容を読み出す読み出し用のインターフェース部52,53と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット保存装置に関し、特にネットワークのパケットを手軽に保存でき、保存したパケットの内容を後で書き換えることを防止できるパケット保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークの経路上で分割されたパケットについて、全てのデータを蓄積、解析することなしに分割前のパケットにおける必要な情報のみを収集する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、パケット収集技術において、分割前のパケットにおける必要な情報のみを収集することがより効率良く実現できるようになっている。
【特許文献1】特開2005−110037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、収集されてメモリに記録された保存データは、後で失われたり、書き換えにより変更される可能性があるので、記録されている保存データの証拠性を確保できず、保存データは記録としての信頼性が低下してしまうという問題があった。また、ネットワークに対する操作上の証拠保存をする目的で使用するならば、それほど高い機能は必要ない。従来の装置では、持ち運びやセットアップが大変であり、コンピュータを相手先に持ち込む場合には手続きが必要となる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解消するために、小型であり、保存データが失われたり、書き換えにより変更されるのを防ぐことができ、保存データの証拠性を確保できるパケット保存装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のパケット保存装置は、ネットワーク上のパケットを取り込む取り込み部と、記録媒体と、前記取り込み部から取り込んだ前記パケットを暗号化して前記記録媒体に前記暗号化した前記パケットの内容を書き込み保存する暗号化書き込み部と、前記取り込み部と前記暗号化部と前記記録媒体に電源を供給する電源部と、前記記録媒体に保存された前記パケットの内容を、読み出して復号化する読み出し復号部と、復号化した前記内容を読み出す読み出し用のインターフェース部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明のパケット保存装置は、好ましくは前記取り込み部と前記記録媒体と前記暗号化書き込み部と前記電源部は、第1部分に配置され、前記読み出し復号部とインターフェース部は、前記第1部分に対して着脱自在に結合される第2部分に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のパケット保存装置は、好ましくは前記第2部分には、前記パケットの内容が前記記録媒体に記録された場合の空き容量を知らせる空き容量表示手段を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のパケット保存装置は、好ましくは前記第2部分には、前記記録媒体に対して前記パケットの内容を書き込んでいるかあるいは読み出しているか示す書き込み・読み出し表示部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のパケット保存装置は、好ましくは前記インターフェース部は、USBインターフェースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパケット保存装置によれば、小型であり、保存データが失われたり、書き換えにより変更されるのを防ぐことができ、保存データの証拠性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明のパケット保存装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1のパケット保存装置の正面図である。
【0012】
図1と図2において、パケット保存装置1は、第1部分11と第2部分12を有している。第1部分11は第2部分12に対して、切断部13において着脱自在に接続することができる。パケット保存装置1は、第1部分11と第2部分12を接続した状態でも小型軽量で例えば手のひらに収まる程度の大きさであり、持ち運びが容易である。
【0013】
第2部分12は、データ一杯表示用のランプ20と、書き込み/読み出し動作状態を示すランプ21を有している。ランプ20,21は、例えば発光ダイオードランプである。ランプ20は、パケットの内容が記録媒体に記録された場合の空き容量を知らせる空き容量表示手段であり、記録媒体に記録保存されたデータが一杯である状態を点灯して表示する。例えば、ランプ20は記録媒体におけるデータ量が80%であると、例えば黄色で点灯し、100%になると赤色に点灯する。
【0014】
ランプ21は、記録媒体にパケットデータを書き込んでいる状態あるいは記録媒体からパケットデータを読み出している状態である場合には点灯して表示する。
【0015】
次に、図3を参照して、パケット保存装置1の第1部分11の内部構成例と、第2部分12の内部構成例を説明する。第1部分11内には、取り込み部30と、記録媒体31と、暗号化書き込み部32と、電源部33と、第1制御部34が配置されている。
取り込み部30は、ネットワーク上のパケットを取り込むために、2つのLAN(ローカルエリアネットワーク)コネクタ40,41と、受信部42を有している。2つのLANコネクタ40,41は、例えばRJ―45を使用することができ、受信部42に接続されている。2つのLANコネクタ40,41の間に流れるネットワーク(例えばイーサネット(登録商標))のパケットを受信部43に取り込んで受信する。
【0016】
暗号化書き込み部32は、暗号化部45と書き込み部46を有している。受信部42は、暗号化部45に接続されており、受信部42で受信された全てのネットワークパケットのデータは、暗号化部45で暗号化される。暗号化されたネットワークパケットのデータは、書き込み部46を通じて記録媒体31に記録して保存される。暗号化部45と書き込み部46の機能は、次の通りである。すなわち、2つのLANコネクタ40,41の間の物理信号は、イーサネットのプロトコルにしたがってパケットとしてデコードして暗号化する。
【0017】
記録媒体は31としては、例えばフラッシュメモリや小型のハードディスクドライブなどが採用できる。記録媒体31の書き込み速度が遅いものである場合には、例えば書き込み部46にRAM(ランダムアクセスメモリ)をバッファとして利用することで、暗号化と書き込み速度と記録媒体31の記録速度を合わせることができる。
【0018】
第1制御部34は暗号化部45における暗号化処理を制御する。電源部33は、充電可能な2次電池であり、受信部42と暗号化部45と書き込み部46と記録媒体31に電源供給する。
【0019】
次に、第2部分12には、第2制御部50と、読み出し復号部51と、USB送出部52と、USBコネクタ53が配置されている。上述した2つのLANコネクタ40,41は、ネットワークのパケットの収集だけに用いられるのに対して、USB送出部52とUSBコネクタ53は、記録媒体31に記録されたデータの読み出し専用のインターフェース部として用いられる。第2制御部50は、読み出し復号部51と、USB送出部52の動作を制御する。
【0020】
読み出し復号部51は、記録媒体31に記録保存されているデータを読み出してデコードし、デコードしたデータはUSBコネクタ53によりUSBコネクタ53から外部の機器に対して読み出すことができる。
【0021】
次に、図3を参照して、上述したパケット保存装置1の動作例について説明する。図1ないし図3に示すように、パケット保存装置1の第1部分11と第2部分12は、接続されており、図3において、ネットワーク上のパケットは、第1部分11の取り込み部30の2つのLANコネクタ40,41の間を流れて取り込まれる。つまり、ネットワークのパケットは、取り込み用のインターフェースである2つのLANコネクタ40,41から取り込まれて収集と保存を行うことができる。
【0022】
取り込まれたパケットは、受信部42に取り込んで受信する。受信したパケットは、暗号化部45における暗号化処理により暗号化された後に、書き込み部46を介して記録媒体31に記録して保存される。記録媒体31に保存されたデータは変更したり、削除することはできない。
【0023】
記録媒体31においてデータの記録量が80%までになって空き容量が少なくなった時には、図1と図2に示す第2部分12のランプ20が黄色に点灯する。また、記録媒体31においてデータの記録量が100%までになって空き容量がなくなった時には、図1と図2に示す第2部分12のランプ20が赤色に点灯する。記録媒体31においてデータの記録量が100%までになって空き容量がなくなった時には、第1部分11を第2部分12から切り離して、別の新たな第1部分11を第2部分12に対して電気的かつ機械的に接続することができる。これにより、新たにネットワーク上のパケットを取り込んで収集して保存できる。
【0024】
次に、記録媒体31に保存されたデータを読み出す時には、読み出し復号部51は、記録媒体31に記録保存されているデータを読み出してデコードし、デコードしたデータはUSBコネクタ53から外部の機器に対して読み出すことができる。
【0025】
このように、ネットワーク上のパケットを収集して保存する場合には、2つのLANコネクタ40,41だけを介して行い、記録媒体31に保存されたデータを読み出す時には、USBコネクタ53により読み出す。ネットワーク上のパケットの収集と保存と、記録媒体31内のデータの読み出しは、それぞれ異なるインターフェースで行うことが特徴的であり、外部からの記録媒体31上のデータ書き換えを困難にすることができ、保存データの証拠性を確保できる。
【0026】
このため、パケット保存装置1では、収集されて保存されたデータが、後で失われたり、書き換えにより変更されることを防ぐことができる。パケット保存装置1が、オペレーションの証拠保存の目的に使用する場合には、このパケット保存装置1の使用で十分行える。パケット保存装置1は持ち運びやセットアップが簡単であり、どこにでも簡単に持ち込める。パケット保存装置1は機能を単純化しており、小型化でき使用勝手に優れており、記録手段としての信頼性が向上し、携帯性や利便性が良好である。
【0027】
パケット保存装置1は、ネットワークに取り付けてネットワークのモニタリングを行い、内部の記録媒体に流れてくる情報を全て手軽に記録して格納することができる、受信のみ可能なデバイスである。格納されたデータは、USBインターフェースのみでアクセスでき、後日解析に利用される。
【0028】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能である。
【0029】
本発明のパケット保存装置は、小型のパケット取得記録装置やネットワーク操作記録装置として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のパケット保存装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のパケット保存装置の正面図である。
【図3】パケット保存装置の内部構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 パケット保存装置
11 第1部分
12 第2部分
13 切断部
20 ランプ
21 ランプ
30 取り込み部
31 記録媒体
32 暗号化書き込み部
33 電源部
34 第1制御部
40 LANコネクタ
41 LANコネクタ
42 受信部
45 暗号化部
46 書き込み部
50 第2制御部
51 読み出し復号部
52 USBコネクタ
53 USBコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のパケットを取り込む取り込み部と、記録媒体と、前記取り込み部から取り込んだ前記パケットを暗号化して前記記録媒体に前記暗号化した前記パケットの内容を書き込み保存する暗号化書き込み部と、前記取り込み部と前記暗号化部と前記記録媒体に電源を供給する電源部と、前記記録媒体に保存された前記パケットの内容を、読み出して復号化する読み出し復号部と、復号化した前記内容を読み出す読み出し用のインターフェース部と、を備えることを特徴とするパケット保存装置。
【請求項2】
前記取り込み部と前記記録媒体と前記暗号化書き込み部と前記電源部は、第1部分に配置され、前記読み出し復号部とインターフェース部は、前記第1部分に対して着脱自在に結合される第2部分に配置されている請求項1に記載のパケット保存装置。
【請求項3】
前記第2部分には、前記パケットの内容が前記記録媒体に記録された場合の空き容量を知らせる空き容量表示手段を有する請求項2に記載のパケット保存装置。
【請求項4】
前記第2部分には、前記記録媒体に対して前記パケットの内容を書き込んでいるかあるいは読み出しているか示す書き込み・読み出し表示部が設けられている請求項3に記載のパケット保存装置。
【請求項5】
前記インターフェース部は、USBインターフェースである請求項4に記載のパケット保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−282104(P2007−282104A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108880(P2006−108880)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【Fターム(参考)】