説明

パターン形成基板の設計方法及びパターン形成基板、電気光学装置並びに電子機器

【課題】製作コストの低減を図ることができるパターン形成基板の設計方法及びパターン形成基板、電気光学装置並びに電子機器を提供する。
【解決手段】パターン形成基板の設計方法は、第1解像度(単位:ppi)に基づいて基板上に形成された複数のパターン形成領域16に、パターン形成材料を含む機能液を、所定のヘッド解像度(単位:ppi)で配設された複数のノズル12を有する液滴吐出ヘッド10から吐出して、乾燥させ、パターンを形成したパターン形成基板の設計方法であって、第1解像度のピッチ(単位:μm)が無理数である場合に、第1解像度のピッチのn倍(nは整数)のピッチを有する解像度のうちで、解像度のピッチ(単位:μm)が有理数である第2解像度を取得すること、第2解像度のピッチを分割したときの値がそれぞれ有理数となるように、略均一にn個に分割すること、及び、分割された各々にパターン形成領域16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成基板の設計方法及びパターン形成基板、電気光学装置並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出ヘッドから基板に対して機能液を吐出してパターン形成基板としてのカラーフィルターのフィルターエレメントやEL(Electro-Luminescence)装置のサブ画素などといったパターンを形成する場合において、液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが均等間隔の配列で設けられていて、ノズルから機能液を吐出してパターン形成を行っている。ところで、液滴吐出ヘッドは、プリンター製造において量産化されており、カラーフィルターなどのパターン形成のために液滴吐出ヘッドを製造しなくてもプリンター用のヘッドを流用すれば設計や製造コストを大幅に削減できる。ここで、一般的に用いられるプリンター用の液滴吐出ヘッドの設計はインチ単位で設計が行われているので、ノズルのピッチ単位は、インチ単位で構成される。一方、カラーフィルターやEL装置は、ミリ単位で設計が行われているので、カラーフィルターのフィルターエレメント間ピッチ単位やEL装置のサブ画素間ピッチ単位は、ミリ単位で構成される。ここで、上記のようにノズル間ピッチとフィルターエレメント間ピッチは、互いにピッチ単位が異なるので、インチ単位であるノズル間ピッチをミリ単位へ変更しようとしても整数で割り切れず端数が生じてしまうケースがある。この端数は、機能液を吐出するフィルターエレメント位置に誤差分として位置ずれを起こす原因となり、その結果として、混色や色むらなどの品質不具合が発生するという問題があった。
【0003】
このような問題を解消するため、液滴吐出ヘッドをミリ単位で設計して、ノズル間ピッチを目的のフィルターエレメント間ピッチに合わせた液滴吐出ヘッドを製作するものや、既存のインチ単位で設計された液滴吐出ヘッドを用いて、フィルターエレメントの配列に対して液滴吐出ヘッドを回転させることによりノズル間ピッチとフィルターエレメント間ピッチとを一致させる方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3328297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記液滴吐出ヘッドは、新規製作となるので設計や製作コストが高くなってしまうという問題があった。また、異なるフィルターエレメント間ピッチを有するカラーフィルターの製造に対しては更に別に新規製作を行う必要が生ずる。また、フィルターエレメントの配列に対して液滴吐出ヘッドを回転させてノズル間ピッチとフィルターエレメント間ピッチとを一致させるためには、フィルターエレメント間ピッチが異なるごとに回転角度の調整や吐出制御の調整が必要となり作業効率が低下するという問題があった。さらに、キャリッジの走査方向に対してノズル列が直交せず斜めに配列されることになるので、キャリッジの位置タイミングに合わせてノズルの吐出タイミングを決める場合、ノズル毎にタイミングのずれ量を異ならせる必要があり、吐出制御内容が複雑になるという問題もあった。
また、一般に流通している既存の液滴吐出ヘッドを用いて、ノズル間ピッチ単位をフィルターエレメントやサブ画素などの配列ピッチ単位と等しくなるようにして液滴吐出ヘッドの製作コストの低減を図ることができるパターン形成基板の設計方法及びパターン形成基板、電気光学装置並びに電子機器が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]第1解像度(単位:ppi)に基づいて基板上に形成された複数のパターン形成領域に、パターン形成材料を含む機能液を、所定のヘッド解像度(単位:ppi)で配設された複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから吐出して、乾燥させ、パターンを形成したパターン形成基板の設計方法であって、前記第1解像度のピッチ(単位:μm)が無理数である場合に、前記第1解像度のピッチのn倍(nは整数)のピッチを有する解像度のうちで、該解像度のピッチ(単位:μm)が有理数である第2解像度を取得すること、前記第2解像度のピッチを分割したときの値がそれぞれ有理数となるように、略均一にn個に分割すること、及び、前記分割された各々に前記パターン形成領域を設けることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0008】
これによれば、有理数である第2解像度のピッチを有理数で略均一になるように分割し、分割した各々に第1解像度に相当するパターン形成領域を設計している。これにより、複数のパターン形成領域を液滴吐出ヘッドのピッチに合わせることができるので、液滴吐出ヘッドでの描画の制約条件である液滴吐出ヘッドのノズルのピッチ及びヘッド角度と、基板の設計の制約条件を解消することができ、液滴吐出ヘッドを新規に製作する場合に比べ製作コストを低減することができる。
【0009】
[適用例2]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記液滴吐出ヘッドの傾きは、描画方向に対して垂直であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0010】
これによれば、液滴吐出ヘッドの吐出量のばらつきが少ない最適条件で描画することができる。
【0011】
[適用例3]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記液滴吐出ヘッドの吐出単位は、複数の前記パターン形成領域であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0012】
これによれば、複数のパターン形成領域をまとめることで液滴吐出ヘッドのノズルのピッチと合わせることができる。
【0013】
[適用例4]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記吐出単位のピッチは、前記液滴吐出ヘッドのノズルのピッチの整数倍であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0014】
これによれば、吐出単位のピッチと液滴吐出ヘッドのノズルのピッチとを合わせることができる。
【0015】
[適用例5]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記吐出単位を形成している複数の前記パターン形成領域は、長軸と短軸とを有した形状であり、前記短軸側に隣接する前記パターン形成領域の各ピッチ、及び前記長軸側に隣接する前記パターン形成領域の各ピッチのうち少なくとも一つは異なる長さであることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0016】
これによれば、パターン形成領域単位(有理数)を形成する際に複数のパターン形成領域を有理数で実現することができる。また、均等配分して無理数にする必要がなくなり、パターン形成領域の設計を容易にすることができる。
【0017】
[適用例6]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記パターン形成領域は、RGBなど発光色が異なるサブ画素から形成されていることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0018】
これによれば、RGBのフルカラーを表示することができる。
【0019】
[適用例7]上記パターン形成基板の設計方法であって、前記液滴吐出ヘッドは、インクジェットヘッドであり、該インクジェットヘッドを用いて前記パターン形成領域を塗り分け形成することを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【0020】
これによれば、インクジェットヘッドを用いてパターン形成領域を塗り分けることができる。
【0021】
[適用例8]上記のいずれか一項に記載のパターン形成基板の設計方法により形成されたことを特徴とするパターン形成基板。
【0022】
これによれば、上記のパターン形成基板の設計方法により液滴吐出ヘッドの製作コストの低減を図ることができるパターン形成基板を提供することができる。
【0023】
[適用例9]上記に記載のパターン形成基板を含むことを特徴とする電気光学装置。
【0024】
これによれば、上記のパターン形成基板により液滴吐出ヘッドの製作コストの低減を図ることができる電気光学装置を提供することができる。
【0025】
[適用例10]上記に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【0026】
これによれば、上記の電気光学装置により液滴吐出ヘッドの製作コストの低減を図ることができ、高精細で高品質な画像を表示することができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの底面図。
【図2】第1の実施形態に係る液滴吐出方法を示す図。
【図3】第1の実施形態に係るフィルターエレメントの平面図及びマザー基板の平面図。
【図4】本実施形態に係るカラーフィルターの設計方法を説明する図。
【図5】本実施形態に係るパターンの解像度毎のサブ画素ピッチ及びサブ画素ピッチに対するインクジェットヘッドのIJヘッドノズルの数を示す表。
【図6】本実施形態に係るカラーフィルターの製造方法を工程順に示した模式図。
【図7】第2の実施形態に係るカラーフィルターの設計方法を説明する図。
【図8】本実施形態に係るEL装置の製造工程を示す主要断面図。
【図9】図8に示す製造方法で製造されたEL装置を構成要素とした表示装置の一部を示す回路図。
【図10】図9に示す表示装置におけるサブ画素領域の平面構造を示す拡大平面図。
【図11】本実施形態に係る電子機器を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を適宜変更している。
【0029】
(第1の実施形態)
本実施形態では、基板上に第1解像度b(単位:ppi〔1インチあたりのパターン形成領域の数〕)に基づいて形成した複数のパターン形成領域に、画素パターン形成材料を含む機能液を、所定のヘッド解像度a(単位:ppi〔1インチあたりのノズルの数〕)で配設した複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから吐出して、乾燥させ、画素パターンを形成したパターン形成基板としてのカラーフィルターの設計方法について説明する。
【0030】
(液滴吐出ヘッド)
まず、液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド10について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェットヘッドの底面図である。本実施形態に係るインクジェットヘッド10は、所定のヘッド解像度a(単位:ppi)で配設した複数のノズル12を有している。インクジェットヘッド10は、直線上に所定ピッチ(所定間隔)で配置された複数のノズル12a,12b…からなる第1ノズル列と、同様に、直線上に所定ピッチで配置された複数のノズル12A,12B…からなる第2ノズル列とを有している。第1ノズル列が配置されている直線と第2ノズル列が配置されている直線とは、並行に配置されている。第1及び第2ノズル列におけるノズルの数は、例えば、それぞれ180個とする。そして、第1及び第2ノズル列におけるピッチ(ノズル間距離)d1は、例えば、ともに141.111…μmとする。各ノズル12a,12b,12A,12B…の孔径は例えば28μmとする。ここでインクジェットヘッド10のヘッド解像度aは、第2ノズル列を第1ノズル列と重なるようにY軸方向(インクジェットヘッドの短辺方向)に垂直に並行移動した時に得られる仮想的なノズル列に対するものであり、本実施形態では、1インチにノズルが360個並ぶことになり、ヘッド解像度aは360ppiとなっている。
【0031】
第1ノズル列と第2ノズル列とでは、各ノズルの配置がノズル列方向に1/2ピッチd2だけ、すなわち141.111…÷2=70.555…μmだけ、ずれている。このずれ値を「ノズル列ズレ値d2」という。このようにすると、ノズル列方向(インクジェットヘッドの長辺方向)の座標(すなわちX軸Y軸平面におけるX軸座標)だけ考えると、第1ノズル列のノズル(例えばノズル12a)とその隣のノズル(例えばノズル12b)との真ん中に第2ノズル列のノズル(例えばノズル12A)が配置されることとなる。
【0032】
また、インクジェットヘッド10の走査方向は、インクジェットヘッド10のノズル列方向と直角に交わる方向であることが好ましい。すなわち、図1ではノズル列方向がX軸方向であるので、走査方向はY軸方向であることが好ましい。
【0033】
(液滴吐出方法)
次に、図1に示すインクジェットヘッド10を用いた液滴吐出方法の実施形態について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る液滴吐出方法を示す図である。インクジェットヘッド10は、ノズル列方向をX軸方向としながら、走査方向を矢印Sに示すようにY軸方向としている。そして、吐出対象基板であるマザー基板14(図3参照)のパターン形成領域16は、長方形でありその長軸と走査方向とが直交していることが好ましい。1つのパターン形成領域16としては、例えば1つのサブ画素領域が該当する。
【0034】
そして、インクジェットヘッド10は走査されながら隣り合うノズルから吐出された液滴(例えば液滴18a,18b,18c,18d,18e)同士がパターン形成領域16内に着弾した後に、その着弾した液滴同士の一部が重なるように、吐出されることが好ましい。すなわち、このように吐出されるように、インクジェットヘッド10のピッチ(ノズル間距離)d1などが設定されていることが好ましい。
【0035】
このようにすれば、1つのパターン形成領域16の中に複数の液滴18a,18b,18c,18d,18eをほぼ同時に着弾させることができ、各液滴18a,18b,18c,18d,18eの一部が同時に重なるように塗布することができる。したがって、後に着弾した液滴が隣の先に着弾した液滴に引き寄せられて、所望位置に正確に液状体を塗布できないという現象を回避でき、塗布領域全体について均一な膜厚となるように偏りなく液状体(機能液)を塗布することができる。
【0036】
(パターン形成基板)
次に、上記実施形態のインクジェットヘッド10を用いて製造されるカラーフィルター2について説明する。
図3は、本実施形態に係るフィルターエレメントの平面図及びマザー基板の平面図である。図3(A)は、カラーフィルターの平面図であり、図3(B)は、カラーフィルターの基礎となるマザー基板の平面図である。
【0037】
カラーフィルター2は、ガラスやプラスチックなどによって形成された方形状の基板20の表面に複数のフィルターエレメント22をドットパターン状(本実施形態では、ドット・マトリックス状)に形成されている。フィルターエレメント22は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁24によって区画されて、ドット・マトリクス状に並んだ複数の方形状の領域を機能液で埋め、その後熱工程を経て固形化された機能膜によって形成される。また、これらのフィルターエレメント22は、それぞれが、R(赤)、G(緑)、B(青)のうちいずれか1色の機能膜によって形成され、それらの各色フィルターエレメント22が所定の配列に並べられている。この配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。
【0038】
図3(A)において、カラーフィルター2の大きさは、例えば、対角が1.8インチである。また、1個のフィルターエレメント22の大きさは、例えば30μm×100μmである。また、各フィルターエレメント22の間隔(以下、フィルターエレメント間ピッチという)は、例えば、75μmである。
【0039】
本実施形態のカラーフィルター2をフルカラー表示のための光学要素として用いる場合には、R、G、Bの3個のフィルターエレメント22を1つのユニットとして1つの画素を形成し、1画素内のR、G、Bのいずれか1つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させることにより、フルカラー表示を行う。このとき、透光性のない樹脂材料によって形成された隔壁24はブラックマスクとして作用する。
【0040】
上記のカラーフィルター2は、例えば、図3(B)に示すように大面積のマザー基板14から切り出される。具体的には、まず、マザー基板14内に設定された複数のカラーフィルター形成領域26のそれぞれの表面にカラーフィルター2の1個分のパターンを形成し、さらにそれらのカラーフィルター形成領域26の周りに切断溝を形成し、さらにそれらの溝に沿ってマザー基板14を切断することにより、個々のカラーフィルター2が形成される。
【0041】
次に、カラーフィルター2の設計方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るカラーフィルターの設計方法を説明する図である。
【0042】
インクジェットヘッド10のヘッド解像度aは、360ppiを用いる。インクジェットヘッド10は、インクジェットヘッド10の長辺方向が走査方向Sに対して垂直となるように配置する。これにより、フィルターエレメント形成領域(パターン形成領域)16に着弾する際のインクジェットヘッド10内のノズル12毎の吐出は同期するので、吐出量のばらつきの制御が容易になる。
【0043】
基板20に形成する複数のフィルターエレメント22(サブ画素)の解像度は、第1解像度b(単位:ppi)とする。第1解像度bは、1インチあたりのフィルターエレメント22が形成される領域であるフィルターエレメント形成領域16の数を示している。第1解像度bのピッチ(隣り合う2つのフィルターエレメント形成領域16間の距離)は、ヘッド解像度aのピッチ(隣り合う2つのノズル間の距離)の整数倍に対応するように設計するのがよい。例えば、第1解像度bのピッチは、ヘッド解像度aが360ppiであるノズル12のピッチの6倍であり、第1解像度bは60ppiである。第1解像度bのピッチを、ヘッド解像度aのピッチの整数倍に対応するように設計すれば、ヘッドの走査を複雑にせずにすむ。
【0044】
第1解像度bのピッチをミリ単位で表した(25400/b)(単位:μm)ときにその値が、無理数である場合に、以降の手順によりカラーフィルター2の設計を行う。例えば、60ppiの第1解像度bと360ppiのヘッド解像度aとから算出される第1解像度bのピッチは、ヘッド解像度aのピッチの「6」倍であり整数倍である。及び60ppiの第1解像度bのピッチは、ミリ単位で表すと423.333…μmであり無理数である。
【0045】
まず、第1解像度bのピッチの整数c倍のピッチを有する解像度で、この解像度のピッチがミリ単位で表したときに有理数である第2解像度を取得する。なお、該当する第2解像度が複数存在する場合は、最もピッチが大きい解像度を取得してもよい。例えば、60ppiの第1解像度bのピッチの3倍のピッチであり、ミリ単位で表した値(1270μm)が有理数である20ppiを第2解像度として取得する。
【0046】
図5は、本実施形態に係るパターン(サブ画素)の解像度毎のサブ画素ピッチ及びサブ画素ピッチに対するインクジェットヘッドのIJ(インクジェット)ヘッドノズルの数を示す表である。なお、図中の数字の下線なしは有理数を、下線ありは無理数を示している。また、インクジェットヘッド10のヘッド解像度aは360ppiである。
上記、第2解像度を図5より取得する方法は、第1解像度bのサブ画素ピッチの項目を図の上方に進み有理数のサブ画素ピッチに対応させる。その場合、第1解像度bのピッチの整数倍に対応するもののうち、最小のものに対応した解像度を第2解像度として取得する。インクジェットヘッド10のノズル12のピッチの整数c倍(数字に下線なし)に対応する解像度が実現できる解像度となる。
【0047】
次に、第2解像度のピッチを有理数で略均一になるように整数cに分割する。なお、分割数は整数cであってもよいし、整数cと異なっていてもよい。例えば、20ppiの第2解像度のピッチ内に60ppiに相当する3サブ画素を配置させる。その際、有理数でまとめる。そのため均等割りである必要はなく、1270=423+423+424(μm)となるように配置させる。図4に示すように、フィルターエレメント形成領域16のうち、右側の列及び最下行の隔壁24aが+1μmのびることになる。+1μm程度の違いは、フィルターエレメント形成領域16内にインクジェットヘッド10により描画する際や表示特性に対して大きな影響を与えることはない。
【0048】
次に、分割された各々にフィルターエレメント形成領域16を設ける。なお、インクジェットヘッド10の吐出単位は、複数のフィルターエレメント形成領域16である。吐出単位のピッチは、インクジェットヘッド10のノズル12のピッチの整数倍である。吐出単位を形成している複数のフィルターエレメント形成領域16は、長軸と短軸とを有した形状であり、短軸側(Y軸方向)に隣接するフィルターエレメント形成領域16の各ピッチ、及び長軸側(X軸方向)に隣接するフィルターエレメント形成領域16の各ピッチのうち少なくとも一つは異なる長さである。フィルターエレメント形成領域16は、RGBなど発光色が異なるサブ画素から形成されている。
【0049】
以上により、複数のフィルターエレメント形成領域16をインクジェットヘッド10のピッチに合わせることができるので、インクジェットヘッド10での描画の制約条件であるインクジェットヘッド10のノズル12のピッチ及びヘッド角度と、マザー基板14の設計の制約条件を解消することができ、インクジェットヘッドを新規に製作する場合に比べ製作コストを低減することができる。
【0050】
次に、カラーフィルター2の製造方法を説明する。
図6は、本実施形態に係るカラーフィルター2の製造方法を工程順に示した模式図である。図6(A)に示すように、まず、マザー基板14の表面に透光性のない樹脂材料によって隔壁24を矢印A方向から見て格子状パターンに形成する。格子状パターンの格子穴の部分は、フィルターエレメント22が形成される領域、すなわち、上記カラーフィルター2の設計方法に基づいて作成されたフィルターエレメント形成領域16である。この隔壁24によって形成される個々のフィルターエレメント形成領域16の矢印A方向から見た場合の平面寸法は、例えば30μm×100μm程度に成形される。
【0051】
隔壁24は、フィルターエレメント形成領域16に供給される機能液としてのフィルターエレメント材料30の流動を阻止する機能及びブラックマスクの機能を併せて有する。また、隔壁24は任意のパターニング手法、例えば、フォトリソグラフィー法によって形成され、さらに必要に応じてヒータによって加熱されて形成される。
【0052】
隔壁24の形成後、図6(B)に示すように、フィルターエレメント材料30の液滴18を各フィルターエレメント形成領域16に供給することにより、各フィルターエレメント形成領域16を埋める。図6(B)において、符号30RはR(赤)の色を有するフィルターエレメント材料を示し、符号30GはG(緑)の色を有するフィルターエレメント材料を示し、符号30BはB(青)の色を有するフィルターエレメント材料を示している。
【0053】
各フィルターエレメント形成領域16に所定量のフィルターエレメント材料30が充填されると、ヒータによってマザー基板14を例えば70℃程度に加熱して、フィルターエレメント材料30の溶媒を蒸発させる。
【0054】
この蒸発により、図6(C)に示すように、フィルターエレメント材料30の体積が減少し、平坦化する。なお、体積の減少が著しい場合には、図6(B)の工程に戻って、カラーフィルターとして十分な膜厚が得られるまで、フィルターエレメント材料30の液滴18の供給とフィルターエレメント材料30の加熱とを繰返して実行する。以上の処理により、最終的にフィルターエレメント材料30の固形分のみが残留して膜化し、これにより、希望する各色フィルターエレメント22が形成される。
【0055】
以上によりフィルターエレメント22が形成された後、それらのフィルターエレメント22を完全に乾燥させるために、所定の温度で所定時間の加熱処理を実行する。その後、図6(D)に示すように、フィルターエレメント22と隔壁24の表面に保護膜32を形成する。保護膜32の形成方法は、例えば、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法又はインクジェット法などといった適宜の手法により形成される。なお保護膜32は、フィルターエレメント22などの保護膜及びカラーフィルター2の表面を平坦化するために形成される。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るカラーフィルターについて説明する。
図7は、本実施形態に係るカラーフィルターの設計方法を説明する図である。
【0057】
本実施形態に係るカラーフィルター4が第1の実施形態の構成と相違する点は、隔壁24aの配置にある。
【0058】
インクジェットヘッド10のヘッド解像度aは、360ppiを用いる。インクジェットヘッド10は、インクジェットヘッド10の長辺方向が走査方向Sに対して垂直となるように配置する。
【0059】
基板20に形成する複数のフィルターエレメント22(サブ画素)の解像度は、第1解像度b(単位:ppi)とする。
【0060】
第1解像度bのピッチをミリ単位で表した(25400/b)(単位:μm)ときにその値が、無理数である場合に、以降の手順によりカラーフィルター4の設計を行う。
【0061】
まず、第1解像度bのピッチの整数c倍のピッチを有する解像度で、この解像度のピッチがミリ単位で表したときに有理数である第2解像度を取得する。
【0062】
次に、第2解像度のピッチを有理数で略均一になるように整数cに分割する。例えば、20ppiの第2解像度のピッチ内に60ppiに相当する3サブ画素を配置させる。その際、有理数でまとめる。そのため均等割りである必要はなく、1270=423+423+424(μm)となるように配置させる。本実施形態においてはこの+1μmのびたサブ画素のピッチを分散させて配置する。例えば、図7に示すように、+1μmのびた隔壁24aを分散させて配置する。これによれば、カラーフィルター4の外観において格子状のスジが見えるような表示特性に影響を及ぼす虞が少なくなる。
【0063】
(電気光学装置)
次に、上記実施形態のパターン形成基板の設計方法及び液滴吐出方法を用いて製造される電気光学装置の一例について、図8から図10を参照して説明する。本実施形態では、電気光学装置の一例としてEL装置を挙げて説明する。
図8は、本実施形態に係るEL装置の製造工程を示す主要断面図である。
【0064】
図8(D)に示すように、EL装置50は、上記実施形態のパターン形成基板の設計方法に基づいて透明基板52上に画素電極54を形成し、各画素電極54間にバンク56を矢印G方向から見て格子状に形成する。それらの格子状凹部の中に、正孔注入層58を形成し、矢印G方向から見てストライプ配列などといった所定の配列となるようにR(赤)色発光層60R、G(緑)色発光層60G及びB(青)色発光層60Bを各格子状凹部の中に形成する。さらに、それらの上に対向電極62を形成することによってEL装置50が形成される。
【0065】
上記画素電極54をTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)素子などといった2端子型のアクティブ素子によって駆動する場合には、上記対向電極62は矢印G方向から見てストライプ状に形成される。また、画素電極54をTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)などといった3端子型のアクティブ素子によって駆動する場合には、上記対向電極62は単一な面電極として形成される。
【0066】
各画素電極54と各対向電極62とによって挟まれる領域が1つのサブ画素となり、R、G、B3色のサブ画素が1つのユニットとなって1つの画素を形成する。各サブ画素を流れる電流を制御することにより、複数のサブ画素のうちの希望するものを選択的に発光させ、これにより、矢印H方向に希望するフルカラー像を表示することができる。
【0067】
上記EL装置50は、例えば、次に示す製造方法によって製造される。すなわち、図8(A)のように、透明基板52の表面にTFD素子又はTFT素子といった能動素子を形成し、さらに画素電極54を形成する。形成方法としては、例えばフォトリソグラフィー法、真空蒸着法、スパッタリング法、パイロゾル法などを用いることができる。画素電極54の材料としてはITO(Indium-Tin Oxide)、酸化スズ、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合酸化物などを用いることができる。
【0068】
次に、図8(A)に示すように、隔壁すなわちバンク56を周知のパターンニング手法、例えばフォトリソグラフィー法を用いて形成し、このバンク56によって各透明な画素電極54の間を埋める。これにより、コントラストの向上、発光材料の混色の防止、サブ画素とサブ画素との間からの光漏れなどを防止することができる。バンク56の材料としては、EL発光材料の溶媒に対して耐久性を有するものであれば特に限定されないが、フロロカーボンガスプラズマ処理によりテフロン(登録商標)化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。
【0069】
次に、機能性液状体としての正孔注入層用インクを塗布する直前に、透明基板52に酸素ガスとフロロカーボンガスプラズマの連続プラズマ処理を行う。これにより、ポリイミド表面は撥水化され、ITO表面は親水化され、液滴を微細にパターニングするための基板側の濡れ性の制御ができる。プラズマを発生する装置としては、真空中でプラズマを発生する装置でも、大気中でプラズマを発生する装置でも同様に用いることができる。
【0070】
次に、図8(A)に示すように、正孔注入層用インクを図1に示すインクジェットヘッド10から吐出し、各画素電極54の上にパターニング塗布を行う。具体的なインクジェットヘッド10の液滴吐出方法は、図2の方法が用いられる。その塗布後、真空(1torr)中、室温、20分という条件で溶媒を除去する。この後、大気中、200℃(ホットプレート上)、10分の熱処理により、発光層用インクと相溶しない正孔注入層58を形成する。上記条件では、膜厚は40nmであった。
【0071】
次に、図8(B)に示すように、各フィルターエレメント形成領域内の正孔注入層58の上に液滴吐出手法を用いて機能性液状体であるEL発光材料としてのR発光層用インク及び機能性液状体であるEL発光材料としてのG発光層用インクを塗布する。ここでも、各発光層用インクは、図1に示すインクジェットヘッド10から吐出させる。インクジェットヘッド10の制御方法は図2に示した方法が用いられる。
【0072】
発光層用インクの塗布後、真空(1torr)中、室温、20分などという条件で溶媒を除去する。続けて、窒素雰囲気中、150℃、4時間の熱処理により共役化させてR色発光層60R及びG色発光層60Gを形成する。上記条件により、膜厚は50nmであった。熱処理により共役化した発光層は溶媒に不溶である。
【0073】
なお、発光層を形成する前に正孔注入層58に酸素ガスとフロロカーボンガスプラズマの連続プラズマ処理を行ってもよい。これにより、正孔注入層58上にフッ素化物層が形成され、イオン化ポテンシャルが高くなることにより正孔注入効率が増し、発光効率の高いEL装置を提供できる。
【0074】
次に、図8(C)に示すように、機能性液状体であるEL発光材料としてのB色発光層60Bを各サブ画素内のR色発光層60R、G色発光層60G及び正孔注入層58の上に重ねて形成する。これにより、R、G、Bの3原色を形成するのみならず、R色発光層60R及びG色発光層60Gとバンク56との段差を埋めて平坦化することができる。これにより、上下電極間のショートを確実に防ぐことができる。B色発光層60Bの膜厚を調整することで、B色発光層60BはR色発光層60R及びG色発光層60Gとの積層構造において、電子注入輸送層として作用してB色には発光しない。
【0075】
以上のようなB色発光層60Bの形成方法としては、例えば湿式法として一般的なスピンコート法を採用することもできるし、あるいは、R色発光層60R及びG色発光層60Gの形成法と同様のインクジェット法を採用することもできる。
【0076】
その後、図8(D)に示すように、対向電極62を形成することにより、目標とするEL装置50が製造される。対向電極62はそれが面電極である場合には、例えば、Mg、Ag、Al、Liなどを材料として、蒸着法、スパッタ法などといった成膜法を用いて形成できる。また、対向電極62がストライプ状電極である場合には、成膜された電極層をフォトリソグラフィー法などといったパターニング手法を用いて形成できる。
【0077】
以上により、複数の画素電極54をインクジェットヘッド10のピッチに合わせることができるので、インクジェットヘッド10での描画の制約条件であるインクジェットヘッド10のノズル12のピッチ及びヘッド角度と、透明基板52の設計の制約条件を解消することができ、インクジェットヘッドを新規に製作する場合に比べ製作コストを低減することができる。また、図2に示す液滴吐出方法によれば、図8における各サブ画素内の正孔注入層58及びR、G、B各色発光層60R,60G,60Bなどを、複数の液滴により高精細に描画することができる。ここで、複数の液滴は所望の塗布領域に同時に着弾するので、着弾した各液滴が他の液滴に引き寄せられることがなく、塗布領域全体に均一な膜厚を形成することができる。これらにより、EL装置50の発光面の発光分布特性を平面的に均一にすることができる。このことは、図8(D)のEL装置50において、色むらのない鮮明なカラー表示が得られるということである。また、本実施形態のEL装置の製造方法によれば、従来よりも少ない走査回数でEL装置50について薄膜形成を完了させることができるので、迅速にかつ低コストで高性能なEL装置を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態のEL装置の製造方法では、インクジェットヘッド10を用いたインク吐出によってR、G、Bの各色サブ画素を形成するので、フォトリソグラフィー法を用いる方法のような複雑な工程を経る必要もなく、またインクなどの材料を浪費することもない。
【0079】
次に、本実施形態のEL装置の回路構成について図9及び図10を参照して説明する。
図9は、図8に示す製造方法で製造されたEL装置を構成要素とした表示装置の一部を示す回路図である。図10は、図9に示す表示装置におけるサブ画素領域の平面構造を示す拡大平面図である。
【0080】
図9において、表示装置80はEL装置であるEL表示素子を用いたアクティブマトリックス型の表示装置である。この表示装置80は、基板である透明の表示基板(図示せず)上に、複数の走査線82と、これら走査線82に対して交差する方向に延びる複数の信号線84と、これら信号線84に並列に延びる複数の共通給電線86とがそれぞれ配線された構成を有している。そして、走査線82と信号線84との各交点には、画素領域80Aが設けられている。
【0081】
信号線84に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを有したデータ側駆動回路88が設けられている。また、走査線82に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを有した走査側駆動回路90が設けられている。そして、画素領域80Aのそれぞれには、走査線82を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスター92と、このスイッチング薄膜トランジスター92を介して信号線84から供給される画像信号を蓄積して保持する蓄積容量Capと、この蓄積容量Capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスター94と、このカレント薄膜トランジスター94を介して共通給電線86に電気的に接続したときに共通給電線86から駆動電流が流れ込む画素電極96と、この画素電極96及び反射電極98間に挟み込まれる発光素子100とが設けられている。
【0082】
この構成により、走査線82が駆動されてスイッチング薄膜トランジスター92がオンすると、その時の信号線84の電位が蓄積容量Capに保持される。この蓄積容量Capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスター94のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスター94のチャネルを介して、共通給電線86から画素電極96に電流が流れ、さらに発光素子100を通じて反射電極98に電流が流れる。このことにより、発光素子100は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0083】
ここで、画素領域80Aは、反射電極98及び発光素子100を取り除いた状態の表示装置80の拡大平面図である図10に示すように、平面状態が長方形の画素電極96の4辺が、信号線84、共通給電線86、走査線82及び図示しない他の画素電極96用の走査線82によって囲まれた配置となっている。
【0084】
このような構成の表示装置80は、図1に示すインクジェットヘッド10を用いて製造されており、また図2及び図3に示す液滴吐出方法及びパターン形成基板の設計方法を用いて製造されている。そこで、発光素子100、画素電極96及び反射電極98などについて、膜厚を均一にすることができ、高精細に形成することができる。したがって、表示装置80は、発光面の発光分布特性を平面的に均一にすることができ、色むらのない鮮明なカラー表示を得ることができる。
【0085】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気光学装置を備えた電子機器について説明する。
図11は、本実施形態に係る電子機器を示した斜視図である。図11(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(A)において、符号110は携帯電話本体を示し、符号112は電気光学装置である上記表示装置80からなる表示部を示している。図11(B)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(B)において、符号120は時計本体を示し、符号122は電気光学装置である上記表示装置80からなる表示部を示している。図11(C)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(C)において、符号130は情報処理装置、符号132はキーボードなどの入力部、符号134は情報処理装置本体、符号136は電気光学装置である上記表示装置80からなる表示部を示している。
【0086】
図11に示す電子機器は、図1に示すインクジェットヘッド10を用いて製造されており、また図2及び図3に示す液滴吐出方法及びパターン形成基板の設計方法を用いて製造されているので、高精細で高品質な画像を表示することができる。
【0087】
なお、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では電気光学装置の一例としてEL装置を挙げているが、これに限定されるものではなく、プラズマディスプレイ装置、液晶装置などの各種電気光学装置に適用でき、カラーフィルターの着色材料の塗布などに適用することもできる。
【0088】
上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
(変形例1)本実施形態では、フィルターエレメント材料30としてR、G、Bを用いたが、これらに限定されることなく、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を採用してもよい。この場合でも、R、G、Bのフィルターエレメント材料に代えて、C、M、Yの色を有するフィルターエレメント材料を用いることにより、フィルターエレメントを吐出することができる。
【0089】
(変形例2)本実施形態では、機能液としてフィルターエレメント材料30を例として説明したが、これに限定されることなく、例えば、シリカガラス前駆体、金属化合物などの導電材料、誘電体材料などの材料が選択可能である。この場合でも、基板上のパターンの形成を行うことができる。
【0090】
(変形例3)本実施形態では、パターン形成基板としてのカラーフィルターおよびその製造方法、EL装置およびその製造方法を説明したが、これに限定されることなく、例えば、各種半導体素子(薄膜トランジスター、薄膜ダイオード等)、各種配線パターン、及び絶縁膜の形成などにも用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
2,4…カラーフィルター(パターン形成基板) 10…インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド) 12,12a,12b,12A,12B…ノズル 14…マザー基板 16…フィルターエレメント形成領域(パターン形成領域) 18,18a,18b,18c,18d,18e…液滴 20…基板 22…フィルターエレメント 24,24a…隔壁 26…カラーフィルター形成領域 30…フィルターエレメント材料(機能液) 32…保護膜 50…EL装置 52…透明基板 54…画素電極 56…バンク 58…正孔注入層 60R…R色発光層 60G…G色発光層 60B…B色発光層 62…対向電極 80…表示装置 80A…画素領域 82…走査線 84…信号線 86…共通給電線 88…データ側駆動回路 90…走査側駆動回路 92…スイッチング薄膜トランジスター 94…カレント薄膜トランジスター 96…画素電極 98…反射電極 100…発光素子 110…携帯電話本体 112…表示部 120…時計本体 122…表示部 130…情報処理装置 132…入力部 134…情報処理装置本体 136…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1解像度(単位:ppi)に基づいて基板上に形成された複数のパターン形成領域に、パターン形成材料を含む機能液を、所定のヘッド解像度(単位:ppi)で配設された複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから吐出して、乾燥させ、パターンを形成したパターン形成基板の設計方法であって、
前記第1解像度のピッチ(単位:μm)が無理数である場合に、
前記第1解像度のピッチのn倍(nは整数)のピッチを有する解像度のうちで、該解像度のピッチ(単位:μm)が有理数である第2解像度を取得すること、
前記第2解像度のピッチを分割したときの値がそれぞれ有理数となるように、略均一にn個に分割すること、及び、
前記分割された各々に前記パターン形成領域を設けることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記液滴吐出ヘッドの傾きは、描画方向に対して垂直であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記液滴吐出ヘッドの吐出単位は、複数の前記パターン形成領域であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項4】
請求項3に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記吐出単位のピッチは、前記液滴吐出ヘッドのノズルのピッチの整数倍であることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記吐出単位を形成している複数の前記パターン形成領域は、長軸と短軸とを有した形状であり、前記短軸側に隣接する前記パターン形成領域の各ピッチ、及び前記長軸側に隣接する前記パターン形成領域の各ピッチのうち少なくとも一つは異なる長さであることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記パターン形成領域は、RGBなど発光色が異なるサブ画素から形成されていることを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のパターン形成基板の設計方法において、
前記液滴吐出ヘッドは、インクジェットヘッドであり、
該インクジェットヘッドを用いて前記パターン形成領域を塗り分け形成することを特徴とするパターン形成基板の設計方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のパターン形成基板の設計方法により形成されたことを特徴とするパターン形成基板。
【請求項9】
請求項8に記載のパターン形成基板を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−185918(P2010−185918A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28231(P2009−28231)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】