説明

パターン形成装置、パターン形成方法

パターン形成装置では、金型100によって基板200にパターンを形成した後、金型100を基板200から離型させるに際し、金型100に超音波振動を加えるようにした。また、基板200の表層部のガラス転移温度Tg以上の温度T1に設定した金型100を基板200に押し付け、金型100のパターンを転写した後、金型100をガラス転移温度Tg以下の温度T2まで冷却した後、金型100を基板200から引き離す構成とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、基板等の加工対象物上に所定のパターンを形成するためのパターン形成装置、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
従来より、LSI(大規模集積回路)に代表される微細回路パターンを半導体基板(以下、単に基板と称する)上に形成するには、縮小投影露光方式が一般に用いられている。この方法は、ステッパと称される露光装置を用い、レチクル(マスク)上に描かれた回路パターンを、縮小光学系を通して基板上のレジスト表面に投影露光し、その露光を基板全域にわたって繰り返すことで、基板上に所定の微細回路パターンを形成している。
このようにして形成される基板の集積度を高めるには、回路パターンの線幅を狭めていく必要があり、現在主流の線幅130nmから、今後100nm以下の線幅に移行することが予想されている。
これに対応するには、投影露光に使用する光源の波長を短くする必要があり、現状でも、各露光装置メーカでは紫外(UV)光、遠紫外(DUV)光、極紫外(EUV)光等、短波長の光を光源とした露光装置の開発を進めている。
しかし、紫外レーザ光源等の短波長の光を光源として用いると、露光装置の投影光学系を構成するレンズやミラー、光源等に、わずかな温度変化や外部振動によって歪みや光源ノイズが生じる。このため、露光装置には、精度の高い温度管理や除振構造が要求され、その結果、こうした一連の機器によって構成される縮小投影式の露光装置は、装置価格が非常に高くなる(例えば数十億円)傾向にある。また、露光装置自体も大掛かりなものとなるため、設置スペースや消費電力が増大する傾向にある。
こうした装置大型化やプロセスコストの高騰を防ぐことを目的とし、超微細なパターンを基板上に形成する手法として、ナノインプリンティングプロセス技術が紹介された(例えば、G.M.Whitesides,J.C.Love、「ナノ構造を作る新技術」、“日経サイエンス”、日本経済新聞社、平成13年(2001年)12月1日、31巻、12号、p.30−41参照。)。
このプロセスは、形成したいパターンが表面に作り込まれた金型を用いて、基板等の加工対象物上に設けられたレジスト材のガラス転移温度を超える温度に基板を熱し、その状態で金型を加工対象物面に押し付けて型のパターンを転写する方法である。この方法では、高価なレーザ光源や光学系を必要とせず、加熱用ヒータとプレス装置を基本とした簡易な構成であるにもかかわらず、金型に作り込まれたパターンをそのまま精度良く転写することが可能となっており、すでにこの方法によって約20nmの線幅を持つ細線が形成された報告がある(例えば、C.M.Sotomayor,et.al.、“Nanoimprint lithography:an alternative nanofabrication approach”、「Materials Science & Engineering C」、Elsevier Science、平成14年(2002年)、989巻、p.1−9参照。)。
さらには、このようなナノインプリンティングプロセス技術を用いることで、回折格子、フォトニック結晶、導波路、等の光デバイス、マクロチャネル、リアクター等の流体デバイスのような、各種のマイクロチップ、マイクロデバイスの製作も可能な状況が実現しつつある。
しかしながら、上記したようなプロセスには、以下のような問題が存在する。
すなわち、金型のパターンを加工対象物面に押し付けて転写した後、金型を加工対象物面から引き離す、いわゆる離型工程で、金型と加工対象物の離型がスムーズで無い場合、加工対象物に形成されたパターンが崩れたり、加工対象物側の材料が金型に密着して剥がれる等の現象が生じる。その結果、パターンの再現精度(繰り返し精度)が低下するという問題が生じる。
また、上記のようなプロセスで各種デバイスに対するパターン形成を行うにあたり、実際に工業化を図る際には、当然のことながら高スループット化が要求されている。上記のような現象が生じると、これに対する処置等が必要となり、高スループット化の妨げにもなる。
様々なパターンを形成するには、例えば直径100nmで深さ5μmといった、孔や溝、柱や壁の幅に対し、深さ、高さの寸法が大きい、いわゆる高アスペクト比のパターンを形成しなければならないことがある。上記の問題はこのような場合により顕著なものとなる。
このような問題の対策としては、通常の金型を用いたパターン成形プロセスのように、金型に潤滑剤(離型剤)を塗布したり、酸化膜を形成する等して、金型と加工対象物の間の摩擦を低減させたり、あるいは離型時の金型の移動速度を極端に遅くし、金型と加工対象物の間に急激な剥離力が生じ無いようにすること等が考えられる。
しかしながら、これらの対策では、パターン成形を多数回繰り返すうちに金型表面の潤滑剤が加工対象物側に付着して潤滑剤が少なくなったり、加工対象物側との摩擦により酸化膜が摩耗したりする。このため、潤滑剤を定期的に補給したり、酸化膜の摩耗状況を適宜点検し、必要に応じて酸化膜を再形成する必要が生じるが、これでは高スループット化を妨げることになる。特に、集積回路を製作するような場合、加工対象物に対し金型が小さく、一つの加工対象物に金型を多数回プレスするため、この問題はより顕著になる。
また、加工対象物が、薬液を流す流路や、形成した孔や溝で化学反応を生じさせるようなものである場合、離型剤の付着等は薬液や化学反応に影響を及ぼすために好ましくないのは言うまでもないことである。
さらに、離型時の金型の移動速度を遅くする方法では、スループットの低下に直結するため、好ましくない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高スループット化を図るとともに、アスペクト比の高いパターン等も形成することのできるパターン形成装置、パターン形成方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
かかる目的のもと、本発明のパターン形成装置は、対象物保持部に保持された加工対象物に対し、所定のパターンを形成するための金型をプレス機構により押し付けることで、加工対象物にパターンを形成する。そして、このパターン形成装置は、金型または対象物保持部に振動を加える加振機構を備えており、金型を対象物保持部に保持された加工対象物に押し付けた後、金型と加工対象物とを離間するときに、制御部の制御により、この加振機構で金型または対象物保持部に振動を加えるようになっている。
これにより、金型を加工対象物から離すときに、双方の間の密着力を低減させることが可能となる。
加振機構で加える振動としては、金型と加工対象物との間の密着力を低減させることができるのであればいかなる周波数、振幅であってもよいが、パターンの径や幅等が微小な場合、超音波振動を加えるのが好ましい。ここで超音波振動としては、例えば19.2kHz等、おおよそ20kHz前後からそれ以上の周波数の振動を用いることができる。
また、加振機構では、パターンの形状や、高さ方向の寸法(高さ、深さ)、加工対象物の材質等に応じ、金型または対象物保持部に加える超音波振動の周波数を切り替え可能とすることもできる。
パターンが微細である場合、加振機構で加える超音波振動は、金型を加工対象物に押し付ける方向に沿った方向のものであるのが好ましい。
また、振動は、金型、加工対象物のどちらに加えてもよいが、加振機構を、プレス機構と金型の間に設けることで金型に振動を加える構成とし、さらに、金型の部分で最大の振幅となるように振動を生じさせるのが好ましい。
上記したようなパターン形成装置は、ガラス転移温度を有する樹脂またはガラスからなる基板を加工対象物とする際に用いることができる。あるいは、適宜材料からなる基板本体上にガラス転移温度を有する樹脂膜を有したものを加工対象物とする場合にも、このパターン形成装置を用いることができる。形成するパターンとしては、各種配線パターンの他、バイオチップ、化学チップ等を実現する流路パターン、フォトニック結晶等の穴をはじめとする、各種のアスペクト比の高い溝や穴、ノズル孔等がある。
このような加工対象物にパターンを形成する場合、例えば上記の非特許文献1や非特許文献2に示したプロセスを用いるのであれば、加工対象物をガラス転移温度以上に加熱し、その状態で金型を加工対象物に押し付けてパターンを転写し、その後、加工対象物をガラス転移温度以下に冷却した後に、金型を加工対象物から引き離して離型する、といった一連の工程を行うことになる。
このようなプロセスを高温域下で行う場合、加工対象物上に設けられたレジスト材のガラス転移温度を超える温度に加工対象物を熱し、プレス成型した後、離型時に加工対象物と金型の双方の温度がガラス転移温度を下回っていると、双方の熱膨張率の違いにより、特に噛み付きが生じやすくなる。このため、このようなプロセスにおいて本発明を適用すれば、離型をスムーズに行えることが期待できる。
また上記非特許文献1、2に示したプロセスでは、加工対象物全体をヒータで加熱・冷却する方式を用いている。このヒータは、加工対象物を支持するテーブルに設けられるのが通常である。そして、加工対象物が大型化すると、ヒータで加熱・冷却する対象の、加工対象物およびテーブルの熱容量が大きくなり、その結果、加工対象物を加熱・冷却し、加工対象物全体を均一な温度にするには数10秒〜数分の時間が必要となる。これは、パターン形成の高スループット化を妨げる大きな要因となっている。
このような問題に対し、本発明のパターン形成装置に、加工対象物よりも熱容量が小さい金型を加熱する加熱部をさらに備え、この加熱部で加熱された金型をプレス機構で加工対象物に押し付けることで、加工対象物をガラス転移温度近傍またはそれ以上に加熱して、加工対象物に金型で所定のパターンを形成することが有効である。
これ以外にも、加工対象物は、少なくともその表層部を、光が照射されることで硬化する光硬化型樹脂で形成したものとすることもできる。
本発明のパターン形成装置は、加工対象物に所定のパターンを形成するための金型と、加工対象物を保持する対象物保持部と、対象物保持部に保持された加工対象物に金型を押し付けるプレス機構と、金型または対象物保持部に振動を加える加振機構と、金型を加熱する加熱部と、を備え、加熱部で加熱された金型をプレス機構で加工対象物に押し付けることで、この加工対象物をガラス転移温度近傍またはそれ以上に加熱して、加工対象物に金型で所定のパターンを形成することを特徴とすることができる。この場合のパターン形成装置では、加振機構で金型または対象物保持部に振動を加えるタイミングについて限定するものではないが、金型を対象物保持部に保持された加工対象物に押し付けた後、金型と加工対象物とを離間させるときのみ、金型または対象物保持部に振動を加えることもできる。つまり、この場合、金型を対象物保持部に保持された加工対象物に押し付ける加圧工程では、振動を加えないのである。
加振機構で加える振動は、上記したように超音波振動が好適であるが、その振動の方向は、金型が加工対象物から離間する方向、これに直交する方向(つまり加工対象物の表面に沿った方向)、さらには金型が加工対象物から離間する方向を中心とした回転方向、ねじり方向等とすることができる。これらは、形成するパターンの形状、寸法、アスペクト比等に応じ、適宜設定すればよい。
パターンの幅や径が、例えば10μm以下の、微小パターンとなる場合等には、パターン精度を低下させないためにも、金型が加工対象物から離間する方向に沿った振動を発生させるのが好ましい。
その場合、振動の振幅は、パターンの高さ方向の寸法より小さくするのが良く、特に、1/5未満が好ましく、さらに好ましくは1/10未満とするのが良い。振幅がパターンに対して大きすぎると、パターンの再現性(寸法精度)に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
また、本発明は、金型で加工対象物上に所定のパターンを形成するパターン形成方法として捉えることもできる。この方法は、金型を、加工対象物のガラス転移温度を基準とした所定の温度に加熱する加熱工程と、金型を加工対象物に押し付けた後、金型に超音波振動を加える加振工程と、超音波振動が加えられた金型を加工対象物から引き離す離型工程と、を有することを特徴とすることができる。
パターンが微細である場合、加振工程では、金型を加工対象物に押し付ける方向に沿った方向の超音波振動を加えるのが好ましい。また、加工効率(生産効率)を高めるには、加振工程で、金型に超音波振動を加える時間を10秒以内とするのが良い。この、超音波振動を加える時間は、10秒以上であると、パターン形成に要する時間が著しく長くなり、生産効率が低下するため好ましくなく、10秒以内、さらに好ましくは5秒以内とするのが良い。また、超音波振動を加える時間が短すぎると、金型と基板との噛み付きを解放できないため、少なくとも噛み付きが解放できるだけの時間、例えば0.5秒以上、1秒以上等とするのが好ましい。
また、加振工程では、金型に対し、金型で加工対象物に形成するパターンの高さ方向の寸法より小さな振幅の振動を与えるのが好ましく、パターンの高さ方向の寸法の1/5未満の振幅とするのがさらに好ましい。
ところで、加振工程では、金型を加工対象物に押し付けた後、金型を冷却することができる。この場合、金型の冷却後に、金型に超音波振動を加えることになるが、一定時間金型に超音波振動を加えた後、超音波振動を停止させ、離型工程に移行しても良いし、超音波振動を金型に加えながら、金型を加工対象物から引き離すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本実施の形態におけるパターン形成装置の斜視図、第2図は、基板保持部と金型保持部、および超音波振動部材の構成を示す図、第3図は、金型保持部の構成を示す断面図、第4図は、加工対象物となる基板の例であり、(a)は成形素材がそのまま基板形状をなしている基板、(b)は基板本体の表面に、薄膜状の被覆層が形成された基板を示す図、第5図は、金型による基板に対するパターン工程の流れを示す図であり、(a)は基板に対向させた金型を加熱した状態、(b)は加熱した金型を基板に押し付けた状態、(c)は金型を基板に荷重をかけて押し付け、パターンを形成している状態、(d)は金型を基板から引き離した状態を示す図、第6図は、パターン形成時の、ヒータ、基板、基板表層部の温度変化、超音波振動加振、離型のタイミングを示す図、第7図は、パターンを形成する基板の一例を示す図、第8図は、パターンを形成する基板の他の一例を示す図、第9図は、パターンを形成する基板のさらに他の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の中心線に沿った断面図、第10図は、金型に超音波を加えて離型させた実施例と、超音波を加えずに離型させた比較例における、温度と荷重の変化を示す図、第11図は、超音波振動の振幅と、金型のリリース力との関係を示す図、第12図は、超音波振動を加えず、低速で離型させた場合の基板を示す写真であり、(a)は基板を斜視した状態の写真、(b)は基板の断面写真、第13図は、超音波振動を加えず、高速で離型させた場合の基板を示す写真であり、(a)は基板を斜視した状態の写真、(b)は基板の断面写真、第14図は、超音波振動を加えながら、高速で離型させた場合の基板を示す写真であり、(a)は基板を斜視した状態の写真、(b)は基板の断面写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
第1図は、本実施の形態におけるパターン形成装置の全体構成を説明するための図である。
この第1図に示すように、パターン形成装置10は、所定のパターンが凹凸により形成された金型100を基板(加工対象物)200に転写することで、基板200にパターンを形成するものである。
このパターン形成装置10は、加工対象となる基板200を保持する基板保持部(対象物保持部)20と、基板保持部20を二次元方向に移動させる移動機構30と、基板200に所定のパターンを形成するための金型100を保持する金型保持部40と、金型保持部40に保持された金型100を駆動する金型駆動機構(プレス機構)50と、基板200と金型100の相対位置を位置決めするためのアライメント機構60と、を備えている。
第1図および第2図に示すように、基板保持部20は、基板200を略水平状態で保持するものであり、上面に支持面21aを有したテーブル(対象物保持部)21を備えている。
このテーブル21には、支持面21aに多数のバキューム孔(図示無し)が形成されており、このバキューム孔に図示しない負圧源から負圧を作用させることで、支持面21a上に、基板200を吸着保持できる構成となっている。
また、第2図に示すように、テーブル21は、保持した基板200を加熱するためのベースヒータ22を内蔵している。このベースヒータ22は、図示しないプログマラブルコンピュータからなるコントローラ(制御部)により、テーブル21上の基板200を所定の一定温度に維持するよう、その作動が制御される。このベースヒータ22としては、例えば、伝熱ヒータや、後に詳述するセラミックヒータを好適に用いることができる。
第1図に示したように、移動機構30は、上記の基板200を保持するテーブル21を、テーブル21の支持面21a、つまり保持される基板200の面に平行な面内で二次元方向に移動させるものである。この移動機構30は、基台31上に設けられた下部ベース32と、下部ベース32上に設けられてテーブル21を支持する上部ベース33と、を有している。
下部ベース32は、一方向(以下、これをX方向と称する)に軸線を有し、図示しないモータによって回転駆動されるボールネジ34を介し、基台31に連結されている。また、上部ベース33は、ボールネジ34に直交する方向(以下、これをY方向と称する)に軸線を有し、図示しないモータによって回転駆動されるボールネジ35を介して下部ベース32に連結されている。さらに、この上部ベース33は、X−Y平面内での角度を調節する角度調節ネジ36を備えている。
これにより、移動機構30では、ボールネジ34を回転駆動させることで下部ベース32が基台31上でX方向に移動し、これに直交するボールネジ35を回転駆動させることで上部ベース33が下部ベース32上でY方向に移動する。つまり、基板200を保持するテーブル21が、移動機構30により、基板200の面に平行二次元面内で、X、Yの二方向に移動される構成となっている。
第2図、第3図に示すように、金型保持部40は、下面に支持面41aを有し、この支持面41aで金型100を保持する保持ブロック(基板保持部)41を備えている。
第3図に示すように、この保持ブロック41には、金型100を加熱するトップヒータ(加熱部)42が内蔵されている。このトップヒータ42としては、例えば窒化アルミニウム等のセラミック素材で形成され、その内部にヒータ電極としての配線が埋め込まれた、いわゆるセラミックヒータが好適である。このような保持ブロック41では、ヒータ電極に図示しない電源から電流を流すと温度が上昇し、電流を切ると温度が下降する。セラミックヒータは、例えば10秒で1000度近く温度が上昇する、非常に応答の速いヒータである。このようなヒータ電極に対する電源からの電流供給は、図示しないコントローラによって制御されるようになっている。
そして、保持ブロック41は、その上面側に、冷却ブロック(冷却部)43を一体に備えることもできる。この冷却ブロック43は、アルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属で形成され、その内部に流路44が形成され、この流路44には、冷却水等の冷媒を流すことができるようになっている。
このような冷却ブロック43では、流路44に冷媒を流すことで、保持ブロック41および金型100を冷却する機能を有する。
保持ブロック41は、金型100を、例えば金属溶着、ネジ、クランプ金具等で固定するようになっている。なお、本実施の形態においては、金型100を金属溶着によって保持ブロック41に固定している。
また、保持ブロック41は、以下のような構成とすることも可能である。すなわち、保持ブロック41の支持面41aに、複数の吸着用電極45を設け、この吸着用電極45に図示しない電源から電圧を印加することで静電力を発生させ、この静電力によって金型100を吸着保持するのである。保持ブロック41は、吸着用電極45が金型100に対して面接触するようになっており、この吸着用電極45の静電引力により金型100の上面を吸着保持する。金型100は、そもそも加工精度が高いものであるため、その上面の平面度も精度良く形成することができる。そして、保持ブロック41側の吸着用電極45も平面度を高く形成して、前記の静電引力を利用して金型100を支持することで、金型100をネジやクランプ金具等で保持ブロック41に固定する構造に比較し、金型100と吸着用電極45との密着度を高めることができ、保持ブロック41から金型100への熱伝導を効率良く行うことができる。
なお、トップヒータ42のヒータ電極については、金型100の温度をコントロールするため、コントローラによって電流の供給が制御される構成となっているが、吸着用電極45については、金型100の型交換時以外、常に電圧が印加されて吸着力を発揮するようになっている。
ところで、金型100を保持ブロック41に静電力で吸着させた場合、基板200をテーブル21に静電引力で吸着させることも考えられるが、そのような構成とすると、金型100で基板200を成形するに際し、保持ブロック41がテーブル21に近接したときに金型100と基板200の間で電荷が移動してしまい、その後に金型100を基板200から離間させると、金型100または基板200の一方が他方に吸い付けられてしまう可能性があるため好ましくない。このため、基板200はテーブル21にバキューム吸着させる構成とするのが良い。
第1図に示したように、金型駆動機構50は、上記のように金型100を吸着保持する保持ブロック41を、移動機構30によるテーブル21の移動方向(X、Y方向)に直交する方向(以下、これをZ方向と称する)に移動させるものである。
この金型駆動機構50は、上下方向に軸線を有したボールネジ51と、このボールネジ51を回転駆動させるDCサーボモータ等のモータ52とから構成されている。ボールネジ51は、モータ52で回転駆動されることで、基台31上に支柱53を介して設けられた上部ベース54に対し、Z方向に上下動するようになっている。
支柱53に固定された下部ベース55には、下部ベース55に一体に設けられたスリーブ56に対し、支持部材57が、その回転を拘束された状態で上下方向にのみ移動可能に設けられている。この支持部材57の上部には、ボールネジ51の下端部が、ベアリング機構58を介して連結されており、これにより支持部材57には、ボールネジ51の上下動のみが伝達され、その回転は伝わらないようになっている。
そして、この支持部材57の下面に、超音波振動部材(加振機構)70を介し、保持ブロック41が固定状態で取り付けられているのである。
第2図に示したように、この超音波振動部材70は、支持部材57の下面に取り付けられた圧電素子71と、圧電素子71の下面に取り付けられた超音波ホーン72とから構成されている。ここで、圧電素子71は、駆動回路73により交流電圧が加えられたときに、その交流電圧の周波数で、縦方向、つまり支持部材57と保持ブロック41を結ぶ方向(金型100が基板200から離間する方向)の振動を発生する。また、超音波ホーン72は、圧電素子71に接している上端部72aが固定端、下端部72bが自由端となっている。これにより、圧電素子71が振動すると、自由端となっている超音波ホーン72の下端部72b側において振動が増幅され、超音波ホーン72の下端部72bに取り付けられた金型100において、その振幅が最大となるようになっている。
本実施の形態において、駆動回路73では、圧電素子71で、一定の周波数、例えば19.2kHzの超音波振動を発するよう、交流電圧を出力する。
また、駆動回路73では、複数種の周波数の超音波振動を圧電素子71で発振できるよう、それぞれの周波数に応じた交流電圧を出力する構成とすることもできる。このようにすれば、超音波ホーン72により、複数種の周波数の超音波振動を金型100に加えることができる。また、駆動回路73では、任意の周波数の交流電圧を出力するようにしても良い。これらの場合、超音波ホーン72は、駆動回路73で発振する超音波振動の周波数に応じたものに適宜交換するのが好ましい。
駆動回路73で出力する交流電圧に基づき、圧電素子71が超音波振動を発振し、これによって超音波ホーン72の下端部72bから金型100に超音波振動を伝えるわけであるが、金型100で発する超音波振動は、前述したように、縦方向、つまり、支持部材57と保持ブロック41を結ぶ方向(金型100が基板200から離間する方向、基板200に形成されるパターンの深さ方向)の振動を発生する。その振幅は、基板200に形成するパターンの深さより小さいものとされている。さらには、基板200に形成するパターンの深さに対し、1/10程度とするのが好ましい。基板200に形成されるパターンの深さが一定ではない場合、パターンの特定の部分の深さに基づき、振幅を設定しても好い。例えば、パターンの最も浅い部分の深さに基づき、加える超音波振動の振幅を設定したり、あるいは最も深い部分の深さに基づき設定するのである。さらには、例えばパターンの最も浅い部分の深さに基づき、加える超音波振動の振幅を設定した場合、パターンの深い部分における金型100と基板200の噛み付きが解放されないことも考えられるため、そのような場合、超音波振動を加える時間を長くするようなことも可能である。
超音波ホーン72は、固定端となっている上端部72aに対し、自由端となっている下端部72bの振動が大きい(最大振幅となる)ため、上端部72a側については、支持部材57に対しボルト等の適宜の機械的締結部材で固定することが可能であるが、下端部72b側は、機械的締結部材を用いるとこれが振動で折損してしまう可能性がある。このため、保持ブロック41は、超音波ホーン72の下端部72bに対し、機械的締結部材を用いず、接着、低融点金属等を用いた融着(はんだ付け、ろう付け等を含む)、あるいは一般的な溶接等の固定手段により固定するのが好ましい。
このような金型駆動機構50によれば、モータ52でボールネジ51を回転駆動させると、これによってボールネジ51は上部ベース54、下部ベース55に対してZ方向に上下動する。このボールネジ51の上下動に伴い、金型100を保持する保持ブロック41が上下動するのである。これにより、金型100がZ方向に上下動し、テーブル21上に保持される基板200に対し、接近・離間できるようになっている。
ところで、金型駆動機構50は、上記のボールネジ51およびモータ52に代えて、油圧シリンダにより、金型100を上下動させる構成とすることも可能である。
第1図に示したように、アライメント機構60は、移動機構30で基板200をX、Y方向に移動させるに際し、金型100とテーブル21上に保持される基板200との相対位置関係を補正するためのものである。このようなアライメント機構60としては様々な構成のものを用いることができるが、一例を挙げれば、基板200上の所定位置に形成されたアライメントマークを撮像するカメラ61と、このカメラ61をX、Y方向に移動させるためのカメラ移動機構62、63とを備える。
このような構成のアライメント機構60では、カメラ61で撮像したアライメントマークの位置に基づいてコントローラで移動機構30を制御することで、金型100に対する基板200の位置を補正する。
さて、第3図に示したように、金型100は、その下面100aに、所定のパターンを形成するための凹凸101が形成されている。この凹凸101は、金型100を金属やセラミックス等のいわゆる金型素材、カーボン系の素材、樹脂系の素材、あるいはこれらの組み合わせ(例えば、ニッケルと炭素(フラーレン等)との組み合わせ等)からなる複合材料で形成し、その下面100aに精密機械加工を施すことで形成できる。あるいは金型100の原盤となるシリコン基板等にエッチング等の半導体微細加工技術によって所定のパターンを形成した後、このシリコン基板等の表面にニッケルメッキ法(電気鋳造(エレクトロフォーミング)法)等によって金属メッキを施し、この金属メッキ層をシリコン基板から剥離したものを、凹凸101を有した金型100として用いることもできる。
この金型100は、後述するように保持ブロック41のトップヒータ42および冷却ブロック43によって加熱・冷却されるため、なるべく薄型化してその熱容量をできる限り小さくするのが好ましい。
一方、加工対象となる基板200は、第4図の(a)に示すように、例えばポリカーボネイト、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等の、熱可塑性樹脂材料や熱硬化性樹脂材料、ガラス転移温度を有するガラス材料、シリコン、ガリウム砒素、サファイア、酸化マグネシウム等、成形素材がそのまま基板形状をなしているもの、これらの素材の薄膜や厚膜がシリコンやガラス基板上に形成されたもの、等を用いることができる。また、第4図の(b)に示すように、基板200として、シリコンウエハやガラスウエハ等からなる基板本体201の表面に、樹脂膜、フォトレジスト、配線パターンを形成するためアルミ、金、銀等の金属膜等を薄膜状の被覆層202が形成されたものを用いることができる。
第4図の(a)の場合、第3図に示した金型100の凹凸101により、基板200の表層部にパターンが転写され、第4図の(b)の基板200の場合、金型100の凹凸101のパターンは、被覆層202に転写されるが、いずれの場合も、基板200の表層部にパターンを転写することに変わりは無いため、以下の説明においては、パターンが転写される部分を「基板200の表層部」と単に称し、この表現は第4図の(a)、(b)の双方の場合を含むものとする。
パターン形成装置10では、金型100の下面100aに形成された所定のパターンの凹凸101を上記の基板200に所定圧力で押し付けることで、基板200の表層部のみにパターンを転写して形成する。
以下に、上記のようなパターン形成装置10におけるパターン形成工程について説明する。なお、以下に示すパターン形成装置10の動作は、基本的に、図示しないコントローラによって自動的に制御されるものである。
パターン形成装置10では、概略としては、第5図の(a)に示すように、金型100を、基板200のガラス転移温度以上に加熱しておき、その状態で第5図の(b)に示すように金型100を基板200に押し付け、基板200を加熱する。そして、第5図の(c)に示すように、金型100を一定時間押し付けて荷重を保持した後、金型100を冷却し、第5図の(d)に示すように、基板200から引き離す。この一連の工程で、基板200の表層部が、金型100の凹凸101に対応した形状に成形加工されるようになっている。
より詳しくは、まず、保持ブロック41に対し、所定の金型100を吸着保持させておく。この状態で、金型駆動機構50は、保持ブロック41を所定のストローク領域の上昇端に位置させておき、保持ブロック41に保持された金型100とテーブル21は、互いに離れて位置するようにしておく。
そして、テーブル21上に、加工対象となる基板200がセットされると、テーブル21ではこれをバキューム吸着する。
続いて、アライメント機構60のカメラ61をカメラ移動機構62、63で移動させ、このカメラ61でテーブル21上に吸着固定された基板200上、および金型100上に形成されたアライメントマークを撮像する。そして、撮像したアライメントマークの位置に基づき、コントローラで移動機構30を制御することで、金型100に対する基板200の位置を補正するためのキャリブレーション(初期設定)を行う。
そして、この後に、基板200に対し、金型100を押し付けて所定のパターンを転写するわけであるが、これに先立ち、第6図に示すように、コントローラの制御により、テーブル21に内蔵されたベースヒータ22と、保持ブロック41に備えられたトップヒータ42は、所定のタイミングS1で、予めそれぞれオンにしておく。また、冷却ブロック43の流路44には、冷却水等の冷媒を流しておく。
この状態、つまり金型100を基板200に押し付ける前の状態で、保持ブロック41のトップヒータ42からの熱伝導により、金型100を、前記のガラス転移温度Tg以上の所定温度T1に維持し、テーブル21のベースヒータ22からの熱伝導により、基板200を、基板200の加工対象部分となる表層部を形成する素材のガラス転移温度Tgよりも低い所定の温度T2に維持している。
この後、移動機構30でテーブル21をX、Y方向に移動させることで、テーブル21に吸着固定された基板200の所定の領域を、保持ブロック41に保持された金型100に対向させて位置決めする。
続いて、金型駆動機構50で保持ブロック41に保持された金型100をZ方向に移動させ、テーブル21に保持された基板200に接近させる。金型100の凹凸101が所定温度T1に温度上昇した後の所定のタイミングS3で、第5図の(b)に示すように、金型100が基板200の表面に接触する位置に到達した時点で、金型100の移動を停止させる。すると、ガラス転移温度Tg以上の温度T1に温度上昇した状態の金型100から基板200の表層部に対し、熱が伝導され、これによって基板200の表層部の温度が、金型100の温度T1近くまで上昇する。このとき、金型100の凹凸101が直接接触する基板200の表層部以外の他の部分の温度は、表層部ほどには上昇しない。
基板200の表層部が、ガラス転移温度Tg以上の温度T1近く、あるいは少なくともガラス転移温度Tg近傍の温度まで上昇したタイミングS4で、第5図の(c)に示したように、金型駆動機構50で保持ブロック41に保持された金型100を基板200側にさらに移動させる。これにより、金型100は、基板200の表面に対し、さらに大きく食い込むことになり、基板200の表層部に、金型100の凹凸101のパターンが転写される。
ところで、上記のような動作において、タイミングS3とS4の間では、金型100が基板200の表面に接触した状態で、金型駆動機構50による金型100の移動が停止している。つまり、タイミングS3とS4の間では、荷重コントローラとして機能するコントローラの制御により、基板200に対し、基板200の表層部の温度がガラス転移温度Tgよりも低い状態で永久歪みを与えない所定の荷重F1が金型100から付与された状態となっている。
そして、タイミングS4以降で、金型駆動機構50によって金型100が基板200側に移動され、これによって基板200に対し、金型100から、基板200の表層部の温度がガラス転移温度Tgよりも高い状態で永久歪みを与えて成形を行うための、荷重F1とは異なる所定の荷重F2が付与されるようになっている。
このようにして、金型100から基板200に対して付与する荷重を、荷重F1とF2とで2段階に変動させて、金型100と基板200が接触した状態の荷重F1のときに、金型100の熱を基板200側に伝導させて基板200の表層部を軟化させ、その後、荷重を荷重F2に移行させて金型100による成形を行うのである。
なお、金型駆動機構50で金型100を基板200に押し付けるときの荷重制御は、保持ブロック41あるいはテーブル21の中に組み込まれた荷重検出センサ(ロードセル、図示無し)によって金型100と基板200の間に作用する荷重を検出し、その荷重が予め設定した所定の荷重となるように、モータ52で発生するトルクをフィードバック制御することによって行うことができる。
また、荷重によるフィードバック制御ではなく、単に金型駆動機構50における金型100の移動ストロークによる制御を行うことも可能である。
さて、タイミングS4以降、予め設定した所定時間tが経過したタイミングS5で、保持ブロック41のトップヒータ42に対する電流供給量を下げる。これにより、保持ブロック41および金型100、基板200の温度は低下するわけであるが、このとき、保持ブロック41の上面側には、ガラス転移温度Tg以下の冷却ブロック43が設けられているので、金型100および基板200の温度は、例えばテーブル21の温度T2近傍まで速やかに下降し、基板200の表面に形成されたパターンが固化し、定着する。
続いて、保持ブロック41のトップヒータ42に対する電流供給量を下げたタイミングS5以降、所定時間が経過、あるいはトップヒータ42の温度が所定温度にまで低下したタイミングS6にて、超音波振動部材70の駆動回路73で所定周波数の交流電圧を圧電素子71に印加し、振動を発生させる。これにより超音波ホーン72が保持ブロック41を介し、金型100に振動を加えることになる。
このとき、圧電素子71では、縦方向、つまり金型100と基板200が互いに離間・接近する方向、金型100を基板200に押し付ける方向に沿った超音波振動を、例えば19.2kHzの周波数で、成型するパターンの深さ(高さ)の数分の1以下の振幅で生じるように駆動される。
そして、金型100で超音波振動を加え始めたタイミングS6以降、例えば5秒、あるいは5秒以内に設定した所定時間が経過したタイミングS7で、第5図の(d)に示すように、金型駆動機構50を作動させ、金型100をテーブル21に保持された基板200から離し、離型させる。
これにより、基板200の表層部には、金型100の凹凸101によって構成される所定のパターンが転写形成されるようになっている。
ところで、圧電素子71を振動させることで金型100に加えている振動は、所定のタイミングで、圧電素子71に対する電圧供給を遮断させることで停止させる。なお、このタイミングは、金型100で超音波振動を加え始めたタイミングS6以降であれば、どのようなタイミングに設定しても良い。例えば、タイミングS7で金型駆動機構50によって金型100を基板200から離れる方向に移動させるとほぼ同時としてもよいし、タイミングS7では超音波振動を停止させず、金型100が基板200から離れる方向に移動し始めて以降、金型100が完全に基板200から離れる前としても良いし、あるいは金型100が完全に基板200から離れた後とし、そのまま超音波振動を加えながら金型100を基板200から離しても良い。
上記のようにして、金型100で基板200に対し、1回のパターン転写を行った後は、所定のタイミングS2で保持ブロック41のトップヒータ42に流す電流を増やし、これによって保持ブロック41に保持された金型100を、再びガラス転移温度Tg以上の温度T1に設定しながら、移動機構30で、基板200を、次のパターン形成位置まで移動させる。
この、保持ブロック41のトップヒータ42に流す電流を増やすタイミングS2は、次のパターン形成位置において金型100の凹凸101が基板200の表面に接触する(押し付けられる)よりも前に、金型100がガラス転移温度Tg以上の所定温度T1に上昇するのであれば、いかなるタイミングでも良い。
この後は、前記した金型100の押し付け、冷却、離型といった工程を同様に行うことで、他の位置にパターンを形成することができる。
そして、上記一連の工程を順次繰り返すことで、基板200の複数箇所に対し、金型100のパターンを順次転写していくことができる。
ところで、上記のようにして金型100を基板200に押し付ける際、基板200の温度を、その加工対象となる表層部の素材のガラス転移温度Tgよりも低く一定に設定しておき、一方、金型100の温度をガラス転移温度Tgよりも高く設定した。例えば、基板200をポリカーボネイト樹脂(PC)とする場合、ポリカーボネイト樹脂においてガラス転移温度Tgは約150℃であるので、基板200(テーブル21)の温度T2をガラス転移温度Tg以下の約140℃に、金型100の温度T1をガラス転移温度Tg以上の約160〜170℃に設定しておく。この状態で金型100を基板200に接触させる(押し付ける)と、金型100の温度が基板200の表層部に伝わり、基板200の表層部から温度上昇し、徐々にその全体に伝わる。
例えば、基板200の表層部を形成する素材のガラス転移温度Tgに対し、温度T1は約20℃高く、温度T2は約30〜50℃低く設定するのが好ましい。もちろん、素材の種類によってその設定温度は変化するものであり、一義的にその値に決まっているものではないが、温度T1と温度T2は、ガラス転移温度Tgを間に挟み、20〜100℃の温度差で設定するのが好ましい。
基板200を構成する樹脂やガラス材料において、ガラス転移温度Tgを超えた状態は、外部応力によって非常に変形しやすい、つまり成形加工しやすい状態になっているので、このガラス転移温度Tgを超えた状態を保持したまま、金型100に荷重を増大させ、基板200に押し付ける。そうすると、基板200は金型100の形状に沿って変形していき、凹凸101の形状を反転転写した状態で安定する。
その後、金型100の温度をガラス転移温度Tg以下に低下させ、金型100と接触している基板200の温度を低下させるようにした。ガラス転移温度Tg以下の状態では、基板200は初期状態と同様、変形しにくい状態であり、つまり金型100の凹凸101形状に沿って硬化し、パターンが定着した状況である。この基板200がガラス転移温度Tg以下になった状態で、金型100を基板200から引き離すと、基板200の表層部は金型100の凹凸101の形状を反転転写した状態となり、すなわち金型100の凹凸101の反転形状のパターンが成形されるのである。
上述した構成によれば、金型100によって基板200にパターンを形成した後、金型100を基板200から離型させるに際し、金型100に超音波振動を加えるようにした。これにより、金型100と基板200との間に相対変位が生じ、その直前、つまり離型させる直前の段階で、金型100と基板200の間に作用している静摩擦力を動摩擦力に変移させることができる。周知の通り、静摩擦力よりも動摩擦力の方が小さいため、金型100と基板200の密着力を低減させることができ、これにより金型100と基板200の噛み付きの発生を抑制して離型をスムーズに行うことが可能となる。その結果、アスペクト比が高いパターンを形成するような場合であっても、基板200に形成されたパターンの崩れ、金型100に対する基板200の材料の付着等を防止することができ、パターン再現精度の向上、および金型100等のメンテナンス頻度を抑えることによる高スループット化、メンテナンス費用の抑制を図ることができる。また、レンズやバイオチップ、窓ガラス、ファイバースコープ、ディスプレイ、照明器具のような、ガラス素材の基板200を高温成形プロセスで形成する場合、温度変化が大きく熱収縮量が大きいため、通常であれば金型100と基板200のパターンが噛み付きやすいが、上記のように超音波振動を加えることでこれを防止し、離型を円滑に行うことができる。
加えて、潤滑剤を塗布したり酸化被膜を形成する必要もなく、金型100と基板200の噛み付きを防止できるので、形成する基板200が、特に、薬液を流したり化学反応を生じさせるためのパターンを有するものである場合、溝や穴等のパターンに不純物が残存するのを回避でき、不要な化学反応等が生じるのを防止でき、薬液や化学反応への影響が生じることもなく、この技術を非常に好適に用いることができる。
また、上記パターン形成装置10では、離型時のみに金型100に超音波振動を加えるようにし、金型100を押し付ける工程では、超音波振動を加えない構成とした。金型100を押し付ける工程では、基板200の表層部がガラス転移温度Tg以上に加熱されて軟化しているので、この状態で金型100に超音波振動を加えると、特にパターンのサイズが微小である場合、金型100の凹凸101の寸法に振動の振幅が加わったものがパターンとして形成され、パターンの再現精度が低下してしまうことがある。これに対し、上記したように、離型時のみに金型100に超音波振動を加えるようにすることで、パターンの再現精度が低下するのを回避することができる。
また、基板200の表層部のガラス転移温度Tg以上の温度T1に設定した金型100を基板200に押し付け、金型100のパターンを転写した後、金型100をガラス転移温度Tg以下の温度T2まで冷却し、金型100を基板200から引き離す構成とした。
このようにして、パターンが形成される基板200の表層部に接する金型100から、基板200の全体ではなく、加工対象部分となる表層部に対してのみ熱を直接与えるので、これによって基板200側の加熱・冷却時間も短縮することができる。さらには、基板200よりも金型100が小さい場合、基板200の面積全体ではなく、金型100が当たる局所的な部分のみを加熱するので、この点においても加熱を短時間で行うことに寄与することができる。
これにより、金型100による基板200に対するパターン形成に際し、加える熱サイクルの効率を高めることが可能となり、スループットを高めるとともに、使用するエネルギーを省力化することができる。また、基板200に対し一つの金型100で複数回パターンを順次転写する金型100は、小型で済み、精度確保や温度管理等も、大型のものに比較すれば容易であり、金型100のコストを大幅に削減できる。
しかも、このようなパターン形成装置10は、光学系や光源を用いることのない、メカニカルな構造で実現できるので、従来のステッパ等に比較し、遥かに低コストで製作することができ、また装置の小型化を図ることもできる。
このようにして、基板200に対するパターン転写を、高効率、しかも低コストで行うことが可能となるのである。
このようなパターン形成装置10では、加工対象となる基板200として、例えば、第7図に示すようなウエハ(加工対象物)200Aを適用することができる。このようなウエハ200A上に複数のパターンPを転写することができるのである。これにより、ウエハ200Aの大面積化が可能となり、ウエハ200Aのテーブル21に対する乗せ替え等のハンドリング時間を節約することができるので、1個の成形品の生産コストを低減することができる。
また、基板200としては、他に、第8図に示す微小なドット形状が一定の周期で配列しているフォトニック結晶(加工対象物)200Bや、所定の配線パターンを有した半導体電子回路基板(半導体素子)、さらに第9図に示すような微小な流路203を有したバイオチップや化学チップ等の基板(加工対象物)200C等が適用でき、これ以外にも、アスペクト比の高い溝や穴、ノズル孔等を有したものにも適用できる。
【実施例】
ここで、超音波振動を加えることで、基板200から金型100を離型させるときの離型力が軽減することを確認したのでその結果を示す。
第1図に示したような構成のパターン形成装置10を用い、熱可塑性の樹脂からなる基板200に対し、パターンを形成した。ここで、パターン形成装置10においては、金型駆動機構50に、ボールネジ51およびモータ52を用い、保持ブロック41のトップヒータ42にはセラミックヒータを用い、冷却ブロック43は冷媒として熱媒体油(パーレムサーム:沸点304℃)を用いる構成とした。また、金型100には、ニッケル電鋳法で形成した金属電鋳層を剥離したものを用いた。
このようなパターン形成装置10にて、基板200に対し、金型100で深さ5μmのパターンを形成した。
このとき、第10図に示すように、超音波振動部材70では、タイミングS6で超音波振動を5秒加え、この後に金型100を基板200から離型させた。加えた超音波振動は、金型100を基板200から離型させる縦方向(金型100が基板200から離間する方向、基板200に形成されるパターンの深さ方向)の振動とし、圧電素子71で発振する振動の振動数を19.2kHz、振幅を0.8〜1.6μmとした。また、比較例として、タイミングS6では、超音波振動部材70で金型100を超音波振動させず、そのまま金型100を基板200から離型させた。
また、金型100を基板200から離型させるときの金型100の移動速度(離型速度)は、5、40、100μm/sとし、それぞれにおいて、金型100を基板200から離型させる際に必要な力(リリース力)を下記の方法で計測した。すなわち、プレス用のDCサーボモータ(モータ52)の電流値を計測し、その値と、予めロードセルを用いて測定して得たリリース力との関係から、リリース力を求めた。
第11図はその結果を示すものである。この第11図に示すように、金型100の離型速度にかかわらず、金型100に超音波振動を加えない場合(振幅0μm)に比較し、金型100に超音波振動を加えることで、リリース力が低下することが確認された。また、超音波振動の振幅が大きいほど、リリース力が低下する傾向も確認された。
例えば、リリース速度を40μm/sや100μm/sとした場合、超音波振動を加えることで、リリース力は、超音波振動を加えずにリリース速度を5μm/sに抑えた場合と同等に近いレベルにまで低下させることができている。
これにより、離型時に金型100に超音波振動を加えることによって、金型100とパターンが形成された基板200との噛み付きが抑制され、離型を円滑に行えることが明らかとなった。
また、第12図の(a)、(b)は、超音波振動を加えず、約0.17μm/30sのリリース速度で金型100を離型させた場合の、基板200の写真、第13図の(a)、(b)は、超音波振動を加えず、約1μm/6sのリリース速度で金型100を離型させた場合の、基板200の写真、第14図の(a)、(b)は、振幅1.6μmの超音波振動を金型100に5秒間加えてから、離型を5μm/1sのリリース速度で行った場合の基板200の写真である。
第12図および第13図を比較すると明らかなように、超音波振動を加えずに離型を行う場合、第12図に示すように離型を低速度で行えば、高いパターン再現性が得られるものの、第13図に示すように離型を速く行うと、パターンの形状が乱れることが確認できる(図中、点線の部分)。これは、離型を速く行った場合、金型100が基板200のパターンに噛み付いているからであると推測できる。
これに対し、第14図に示すように、離型時に超音波振動を加えると、離型を高速度で行っても、高いパターン再現性が得られていることが確認できる。これにより、離型時に金型100に超音波振動を加えることによって、金型100とパターンが形成された基板200との噛み付きが抑制されることが明らかとなった。
なお、第12図の、超音波振動を加えずに離型を行った場合でも、第14図の超音波振動を加えた場合と同等のパターン再現性が得られているが、第10図に示すように、第12図の場合では、離型だけで約30秒(タイミングS6〜S9)を有しており(ちなみに、第14図の場合は約5秒)、高い生産性が要求される工業化に際しては、これが大きな妨げとなる。これに対し、超音波振動を加えた第14図の場合、離型に要する時間は約1秒(タイミングS7〜S8)であり、超音波振動を加える時間である5秒(タイミングS6〜S7)を加味しても、合計約6秒(タイミングS6〜S8)で離型が完了する。これにより、超音波振動を加えることで、高速でしかも高いパターン再現性を得ることができるのが明らかである。
さらに、なお、上記実施の形態では、超音波振動部材70で、金型100を振動させるようにしたが、基板200を保持するテーブル21側に同様の機構を備えるようにしてもよい。
また、離型時に超音波振動を加えるという本願発明の主旨を逸脱しないのであれば、それ以外の部分についてはいかなる構成に変更しても差し支えが無い。
例えばトップヒータ42で金型100に加える温度プロファイルを変更しても良いし、従来と同様に金型100側ではなく基板200側にヒータを備えることで、基板200をガラス転移温度近傍まで加熱するような構成としてもよい。
また、保持ブロック41のトップヒータ42をセラミックヒータとし、冷却ブロック43を冷媒を用いた冷却構造としたが、高速に加熱冷却できるものであれば、特にそれらに限定されることはなく、レーザや超音波による加熱、またペルチェ素子による冷却等を用いてもよい。
さらに、このような冷却ブロック43を備えない構成とすることも可能である。
また、パターン形成装置10では、移動機構30や金型駆動機構50を、ボールネジ34、35、51を用いた機構ではなく、油圧機構や空圧機構等を用いたものとすることもできる。また、移動機構30における位置制御は、所望の位置決めが実現できるものであれば、その方式はいかなるものであっても良い。
加えて、基板200に対し、金型100を相対移動させながら複数回のパターン形成を繰り返す構成としたが、一つの基板200に対し、金型100で一回のパターン形成のみを行うような構成であっても良い。
この他、金型100は、微細パターンが形成できるものであれば材質やその製造法は特に限定されるものではない。一方、基板200は、その表層部の成形素材と基板が一体のもの、例えば樹脂基板やガラス基板、あるいは成形素材が基板上に薄く形成されたもの、例えばシリコン基板やガラス基板上に形成された樹脂膜、等、その組み合わせは特に限定されるのもではない。
さらに加え、基板200の少なくとも表層部に紫外線硬化型樹脂(光硬化型樹脂)を用い、紫外線光源から紫外線を照射するような構成においても本発明を適用することが可能である。このような紫外線光源は、パターン形成装置10とは別に設けても良いが、基板200を紫外線光を透過する材料で形成し、基板200の下側、つまりテーブル21に紫外線光源を備え、この紫外線光源からの光を、基板200の裏側から透過させることで、表層部の紫外線硬化型樹脂を硬化させ、パターンを定着させる構成とすることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、金型によって加工対象物にパターンを形成した後、金型を加工対象物から離型させるに際し、金型に超音波振動等の振動を加えるようにしたので、金型と加工対象物の間の密着力を低減させることができ、これにより金型と加工対象物の噛み付きの発生を抑制して離型をスムーズに行うことが可能となる。その結果、アスペクト比の高いパターンを形成するような場合であっても、金型によって加工対象物に形成されたパターンの崩れ、金型に対する加工対象物の材料の付着等を防止することができ、パターン再現精度の向上、および金型等のメンテナンス頻度を抑えることによる高スループット化、メンテナンス費用の抑制を図ることができる。
加えて、潤滑剤を塗布したり酸化被膜を形成する必要もないので、加工対象物が、特に薬液を流したり化学反応を生じさせるためのパターンを有するものである場合、薬液や化学反応への影響が生じることもなく、非常に有効である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物に所定のパターンを形成するための金型と、
前記加工対象物を保持する対象物保持部と、
前記対象物保持部に保持された前記加工対象物に、前記金型を押し付けるプレス機構と、
前記金型または前記対象物保持部に振動を加える加振機構と、
前記対象物保持部に保持された前記加工対象物に、前記金型を押し付けた後、当該金型と前記加工対象物とを離間するときに、前記加振機構により前記金型または前記対象物保持部に振動を加えさせる制御部と、
を備えることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記加振機構は、前記金型または前記対象物保持部に超音波振動を加えることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記加振機構は、前記金型を前記加工対象物に押し付ける方向に沿った方向の超音波振動を加えることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項4】
前記加振機構は、前記プレス機構と前記金型の間に設けられ、当該金型の部分で最大の振幅となるように振動を生じさせることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項5】
前記金型を加熱する加熱部をさらに備え、
前記加熱部で加熱された前記金型を、前記プレス機構で前記加工対象物に押し付けることで、当該加工対象物をガラス転移温度近傍またはそれ以上に加熱して、当該加工対象物に前記金型で所定のパターンを形成することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項6】
前記加工対象物が、ガラス転移温度を有する樹脂またはガラスからなる基板、あるいは基板本体上にガラス転移温度を有する樹脂膜を有したものであることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項7】
前記加工対象物は、その表層部が、光が照射されることで硬化する光硬化型樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項8】
前記加振機構は、前記金型または前記対象物保持部に加える超音波振動の周波数を切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項9】
加工対象物に所定のパターンを形成するための金型と、
前記加工対象物を保持する対象物保持部と、
前記対象物保持部に保持された前記加工対象物に、前記金型を押し付けるプレス機構と、
前記金型または前記対象物保持部に振動を加える加振機構と、
前記金型を加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部で加熱された前記金型を、前記プレス機構で前記加工対象物に押し付けることで、当該加工対象物をガラス転移温度近傍またはそれ以上に加熱して、当該加工対象物に前記金型で所定のパターンを形成することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項10】
前記加振機構では、前記対象物保持部に保持された前記加工対象物に、前記金型を押し付けた後、当該金型と前記加工対象物と離間させるときのみ、前記金型または前記対象物保持部に振動を加えることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成装置。
【請求項11】
前記加振機構は、前記金型が前記加工対象物から離間する方向に沿った振動を発生させることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成装置。
【請求項12】
前記加振機構は、前記金型または前記加工対象物に対し、当該金型で前記加工対象物に形成するパターンの高さ方向の寸法より小さな振幅の振動を与えることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成装置。
【請求項13】
金型で加工対象物上に所定のパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記金型を、前記加工対象物のガラス転移温度を基準とした所定の温度に加熱する加熱工程と、
前記金型を前記加工対象物に押し付けた後、前記金型に超音波振動を加える加振工程と、
超音波振動が加えられた前記金型を前記加工対象物から引き離す離型工程と、
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
前記加振工程では、前記金型を前記加工対象物に押し付ける方向に沿った方向の超音波振動を加えることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記加振工程で、前記金型に超音波振動を加える時間が10秒以内であることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記加振工程では、前記金型に対し、前記金型で前記加工対象物に形成するパターンの高さ方向の寸法より小さな振幅の振動を与えることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記金型に加える超音波振動の振幅が、前記パターンの高さ方向の寸法の1/5未満であることを特徴とする請求項16に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記加振工程では、前記金型を前記加工対象物に押し付けた後、前記金型を冷却し、この後に前記金型に超音波振動を加えることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記加振工程では、前記金型の冷却が完了した後、一定時間前記金型に超音波振動を加え、前記一定時間が経過した後、超音波振動を停止させ、前記離型工程に移行することを特徴とする請求項18に記載のパターン形成方法。
【請求項20】
前記離型工程では、前記超音波振動を前記金型に加えながら、前記金型を前記加工対象物から引き離すことを特徴とする請求項18に記載のパターン形成方法。

【国際公開番号】WO2004/093171
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505367(P2005−505367)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004995
【国際出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【出願人】(504097823)SCIVAX株式会社 (31)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】