説明

パチンコ遊技機

【課題】線材を遊技球に取り付けて不正に入賞を繰り返す不正行為を効果的に防止できるパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】遊技球の経路における所定位置を遊技球が通過したことを検出する検出部と、上記経路において検出部の近傍に配置され、当該経路を順方向に移動する遊技球を通過させ、当該経路を逆方向に移動する遊技球を止める逆止弁とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正行為を防止する機能を有するパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、遊技球が入賞すると所定の抽選(特別図柄抽選等)が実行されると共に賞球が払い出されることとなる始動口や、遊技球が入賞すると賞球が払い出されることとなる入賞口等が備えられている。そして、例えば特許文献1に記載されたように、これらの始動口や入賞口等には、遊技球の入賞を検知するために、遊技球が通過したことを検出するセンサが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−119595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不正な遊技者が、釣り糸等の線材の一端を取り付けた遊技球をパチンコ遊技機の遊技領域に打ち出して始動口等に入賞させ、この線材の他端を手で引っ張ったり戻したり繰り返すことによって、この始動口等に入賞した遊技球を何度もセンサに検出させる不正行為が存在する。しかしながら、従来のパチンコ遊技機では、この様な不正行為を効果的に防止することができなかった。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、線材を遊技球に取り付けて不正に入賞を繰り返す上記した不正行為を効果的に防止できるパチンコ遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0007】
遊技球の経路(73)における所定位置(検出領域X)を遊技球(65)が通過したことを検出する検出部(66)と、前記経路において前記検出部の近傍に配置され、当該経路を順方向に移動する遊技球を通過させ、当該経路を逆方向に移動する遊技球を止める逆止弁(75、85,95)とを備える。
【0008】
また、前記逆止弁は、前記経路を開放して遊技球を順方向に通過可能とする開放姿勢(図9(1)、図14(2))と当該経路を塞いで遊技球を逆方向に通過不能とする閉塞姿勢(図9(2)、図14(3))とに姿勢変化可能であり、当該経路内を順方向に通過する遊技球に押されて当該閉塞姿勢から当該開放姿勢に姿勢変化する弁本体(76、96、97)と、前記弁本体を姿勢変化させて前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に戻す付勢手段(78、98、99)とを有してもよい。
【0009】
また、前記逆止弁は、前記経路において前記検出部の上流側に配置されてもよい(図12、16)。
【0010】
また、前記逆止弁は、前記閉塞姿勢(図12、図16)において、前記経路を順方向に通過した遊技球に取り付けられた線材を挟んで当該遊技球が当該順方向に移動することを妨げる挟持部を有してもよい。
【0011】
また、前記逆止弁は、前記経路において前記検出部の下流側に配置されてもよい(図7、図14)。
【0012】
また、前記弁本体は、回動軸(77)に端部が軸支され、前記経路内において当該回動軸を中心に回動することによって前記開放姿勢と前記閉塞姿勢とに姿勢変化可能であり、
前記付勢手段は、前記回動軸に軸支された前記端部に取り付けられ、自重によって前記弁本体を前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に戻すウエイト(78)であってもよい(図8、図11)。
【0013】
また、前記弁本体は、前記経路の内壁に設けられた収納部(91、92)において、当該収納部に全体が収納される第1位置(図14(2)に示す姿勢)と当該収納部から少なくとも一部が突出する第2位置(図14(1)に示す姿勢)との間で移動することで姿勢変化し、前記付勢手段は、前記収納部に配置される弾性部材(98、99)であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、線材を遊技球に取り付けて不正に入賞を繰り返す不正行為を効果的に防止できるパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機1の一例を示す概略正面図
【図2】パチンコ遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】パチンコ遊技機1が備える遊技盤2の一例を示す図
【図4】通過センサ66の一例を説明するための図
【図5】線材不正行為について詳しく説明するための図
【図6】線材不正行為について詳しく説明するための図
【図7】第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第1の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図
【図8】逆止弁75の形状の一例を説明するための図
【図9】図7及び図8を用いて説明した逆止弁75によって、線材不正行為が防止される仕組みについて説明するための図
【図10】第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第2の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図
【図11】逆止弁85の形状の一例を説明するための図
【図12】図11を用いて説明した逆止弁85によって、線材不正行為が防止される仕組みについて説明するための図
【図13】図11を用いて説明した逆止弁85によって、線材不正行為が防止される仕組みについて説明するための図
【図14】第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第3の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図
【図15】逆止弁95を構成する第2弁本体97の形状の一例を説明するための図
【図16】第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第4の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図
【図17】第3又は第4の実施形態の変形例について説明するための図
【図18】第2の実施形態の変形例について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機1ついて説明する。なお、以下では、パチンコ遊技機1を、単に、遊技機1という場合がある。
【0017】
[パチンコ遊技機1の概略構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機1の一例を示す概略正面図である。以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機1の概略構成について説明する。
【0018】
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、遊技盤2に対して着脱自在に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。
【0019】
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。図3を用いて後述するが、遊技領域20は、下方(発射装置211;図2参照)から発射された遊技球を、遊技盤2の主面に沿って上昇させて遊技領域20の上部位置へ案内する通路62を形成するガイドレール60及び61を備えている。
【0020】
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示器21が配設されている。画像表示器21は、遊技者による遊技の進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって特別図柄抽選(大当たり抽選)の結果を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したり、特別図柄抽選結果報知の実行が保留されている回数を示す保留画像を表示したりする。なお、画像表示器21は、液晶表示装置やEL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。
【0021】
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
【0022】
第1始動口25aおよび第2始動口25bは、それぞれ遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または表示器3の所定部分を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。また、第2始動口25bは、上記特別電動役物(大入賞口28)および/または後述する表示器3の所定部分を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(下記電動チューリップ26の開閉抽選)が始動する。
【0023】
第2始動口25bは、第1始動口25aの下部に設けられ、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26は、一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が極めて狭いため、遊技球が第2始動口25bへ入らない状態となる。一方、電動チューリップ26は、一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過して普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間開き、規定回数だけ開閉する。
【0024】
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球9個の入賞)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数だけ繰り返す。なお、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
【0025】
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。
【0026】
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞する)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aおよび第2始動口25bに遊技球が1個入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が1個入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が1個入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは無い。
【0027】
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
【0028】
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計回りに回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置211(図2参照)が遊技球を電動発射する。皿59は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置211に供給される。
【0029】
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計回りに回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
【0030】
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。
【0031】
また、遊技機1の背面側には、払出用の遊技球を溜めておく球タンクや遊技球を皿59に払い出す払出装置(払出駆動部311)が設けられ、各種の基板等が取り付けられている。例えば、遊技盤2の後面には、メイン基板およびサブ基板等が配設されている。具体的には、メイン基板には、内部抽選および当選の判定等を行うメイン制御部100(図2参照)が構成されたメイン制御基板が配設されている。サブ基板には、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する発射制御部200(図2参照)が構成された発射制御基板、賞球の払出を制御する払出制御部300が構成された払出制御基板、演出を統括的に制御する演出制御部400が構成された演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像音響制御部500が構成された画像制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御するランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等が配設されている。また、遊技盤2の後面には、遊技機1の電源オン/オフを切り替えるとともに、遊技機1に供給された24V(ボルト)の交流電力を各種電圧の直流電力に変換して、それぞれの電圧の直流電力を上述した各種の基板等に出力するスイッチング電源が配設されている。
【0032】
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
図2は、パチンコ遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図である。以下、図2を参照して、パチンコ遊技機1における動作制御や信号処理を行う制御装置について説明する。
【0033】
図2に示すように、遊技機1の制御装置は、メイン制御部100、発射制御部200、払出制御部300、演出制御部400、画像音響制御部500、およびランプ制御部600等を備えている。
【0034】
メイン制御部100は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、およびRAM(Random Access Memory)103を備えている。CPU101は、内部抽選および当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM102は、CPU101にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられる。以下、メイン制御部100の主な機能について説明する。
【0035】
メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると特別図柄抽選(大当たり抽選)を行い、特別図柄抽選で当選したか否かを示す判定結果データを演出制御部400に送る。
【0036】
メイン制御部100は、電動チューリップ26の羽根部が開状態となる開時間や羽根部が開閉する回数、さらには羽根部が開閉する開閉時間間隔を制御する。また、メイン制御部100は、遊技球が第1始動口25aへ入賞したときの特別図柄抽選の結果の報知保留回数、遊技球が第2始動口25bへ入賞したときの特別図柄抽選の結果の報知保留回数、および遊技球がゲート27を通過したときの普通図柄抽選の結果の報知保留回数をそれぞれ管理し、これらの保留回数に関連するデータを演出制御部400に送る。
【0037】
メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉動作を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球9個の入賞)を満たすまで、大入賞口28が突出傾斜して開状態となるラウンドを所定回数(例えば15回)だけ繰り返すように制御する。また、メイン制御部100は、大入賞口28が開閉する開閉時間間隔を制御する。
【0038】
メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出数を払出制御部300に対して指示する。なお、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しを払出制御部300に指示しない。払出制御部300がメイン制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払出制御部300から払い出した賞球の個数に関する情報がメイン制御部100へ送られる。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した情報に基づいて、払い出した賞球の個数を管理する。
【0039】
メイン制御部100は、発射制御部200を介して、遊技球を発射する発射装置211を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定の条件に基づいて、発射装置211が遊技球を発射する動作を許可する信号を、払出制御部300を介して発射制御部200へ送信する。
【0040】
上述した機能を実現するために、メイン制御部100には、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111b、電動チューリップ開閉部112、ゲートスイッチ113、大入賞口スイッチ114、大入賞口開閉部115、普通入賞口スイッチ116、表示器3が接続されている。
【0041】
第1始動口スイッチ111aは、第1始動口25aへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。第2始動口スイッチ111bは、第2始動口25bへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部112は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、電動チューリップ26の一対の羽根部を開閉する。ゲートスイッチ113は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口スイッチ114は、大入賞口28へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口開閉部115は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、大入賞口28を開閉する。普通入賞口スイッチ116は、普通入賞口29へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
【0042】
また、メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(以下、第1特別図柄抽選という場合がある)の結果を、表示器3の所定部分に表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(以下、第2特別図柄抽選という場合がある)の結果を、表示器3の所定部分に表示する。メイン制御部100は、第1特別図柄抽選結果報知を保留している保留回数を、表示器3の所定部分に表示する。メイン制御部100は、第2特別図柄抽選結果報知を保留している保留回数を、表示器3の所定部分に表示する。メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選の結果を、表示器3の所定部分に表示する。そして、メイン制御部100は、普通図柄抽選結果報知を保留している保留回数を、表示器3の所定部分に表示する。
【0043】
発射制御部200は、CPU201、ROM202、およびRAM203を備えている。CPU201は、発射装置211に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM202は、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等を記憶しており、RAM203は、CPU201の作業用メモリ等として用いられる。
【0044】
レバー52は、その位置が中立位置にある場合、信号を出力せずに発射停止状態となる。そして、レバー52は、遊技者によって時計回りに回転操作されると、その回転角度に応じた信号を打球発射指令信号として発射制御部200に出力する。発射制御部200は、打球発射指令信号に基づいて、発射装置211の発射動作を制御する。例えば、発射制御部200は、レバー52の回転角度が増すほど、遊技球が発射される速度が速くなるように、発射装置211の動作を制御する。また、発射制御部200は、メイン制御部100から発射を許可する信号を受信することによって、発射装置211の発射動作が可能となる。一方、発射制御部200は、停止ボタン53が押下された信号が出力されたり、メイン制御部100から発射を停止する制御信号が出力されたりした場合、発射装置211が遊技球を発射する動作を停止させる。
【0045】
払出制御部300は、CPU301、ROM302、およびRAM303を備えている。CPU301は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。ROM302は、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等を記憶しており、RAM303は、CPU301の作業用メモリ等として用いられる。
【0046】
払出制御部300は、メイン制御部100から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。具体的には、払出制御部300は、メイン制御部100から、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部311を制御する。ここで、払出駆動部311は、遊技球の貯留部(球タンク)から遊技球を送り出す駆動モータ等で構成される。
【0047】
演出制御部400は、CPU401、ROM402、RAM403、およびRTC(リアルタイムクロック)404を備えている。また、演出制御部400は、演出ボタン57および演出キー58が接続され、遊技者が押下する操作に応じて演出ボタン57および演出キー58からそれぞれ出力される操作データを取得する。CPU401は、演出を制御する際の演算処理を行う。ROM402は、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等を記憶しており、RAM403は、CPU401の作業用メモリ等として用いられる。RTC404は、現時点の日時を計測する。
【0048】
演出制御部400は、メイン制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。また、演出制御部400は、遊技者によって演出ボタン57または演出キー58が押下操作された場合、当該操作入力や検出結果に応じて演出内容を設定する場合もある。
【0049】
画像音響制御部500は、CPU501、ROM502、およびRAM503を備えている。CPU501は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行う。ROM502は、CPU501にて実行されるプログラムや各種データ等を記憶しており、RAM503は、CPU501の作業用メモリ等として用いられる。
【0050】
画像音響制御部500は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、画像表示器21に表示する画像およびスピーカ55から出力する音響を制御する。
【0051】
ランプ制御部600は、CPU601、ROM602、およびRAM603を備えている。CPU601は、盤ランプ23や枠ランプ56の発光、および可動役物22の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM602は、CPU601にて実行されるプログラムや各種データ等を記憶しており、RAM603は、CPU601の作業用メモリ等として用いられる。
【0052】
ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の点灯/点滅や発光色等を制御する。
【0053】
[本実施形態による特徴的構造]
次に、本実施形態による特徴的構造について説明する。
【0054】
図3は、パチンコ遊技機1が備える遊技盤2の一例を示す図である。まず、図3を用いて、本実施形態によって防止する、釣り糸やピアノ線等の線材を遊技球に取り付けて不正に入賞を繰り返す不正行為(以下、線材不正行為という)の概要について説明する。
【0055】
線材不正行為が行われる場合、不正な遊技者(以下、不正者という)は、遊技球65の一端に線材64を取り付け、線材64の他端を手で持って遊技球65を皿59(図1参照)に入れる。そして、不正者は、レバー52(図1参照)を操作して遊技球65を遊技領域20に打つ出す操作を行う。このことによって、図3に示すように、遊技球65は、発射装置211(図示なし)によって白抜き矢印で示される方向に打ち出される。打ち出された遊技球65は、外側ガイドレール60及び内側ガイドレール61によって形成される経路62を通って、遊技領域20の上部に打ち出される。遊技領域20の上部に打ち出された遊技球65は、図示しない遊技くぎ及び風車等に当たって方向を変えながら遊技領域20を流下する。図3では、一例として、流下する遊技球65が第1始動口25aに入賞する(入る)時点を示している。図3に示すように遊技球65が第1始動口25aに入賞すると、第1始動口25aの内部に配置された第1始動口SW111a(図2参照)は、遊技球65を検出する。この結果として、特別図柄抽選が1回実行され、又、1回の入賞に対応する賞球が払い出されることになる。ここで、不正者は、線材64の他端を手で引っ張った後に戻す動作(以下、不正動作という)を繰り返すことによって、第1始動口25aに入賞して第1始動口SW111aによって一旦検出された遊技球65を、第1始動口25aの内部で往復移動させる。このことによって、不正者は、第1始動口SW111aに何度も遊技球65を検出させて、不正に特別図柄抽選を実行させ、又、不正に賞球を得ることとなる。
【0056】
以下では、図4〜図6を用いて、線材不正行為について詳しく説明する。
【0057】
図4は、第1始動口SW111a、第2始動口SW111b、ゲートSW113、大入賞口SW116、又は普通入賞口SW116(図2参照)として使用される遊技球の通過を検出する通過センサ(検出部)66の一例を説明するための図である。まず、図4を参照して、通過センサ66の一例について説明する。図4(1)に示すように、通過センサ66は、一例として、直方体形状等の誘導型近接スイッチであり、遊技球を通過させる円筒状の貫通穴を有する。図4(2)は、図4(1)の通過センサ66のA−A’断面である。図4(2)に示すように、通過センサ66は、円筒状の貫通穴の近傍に磁界(点線で示す)を発生させる検出コイルを備えており、電磁誘導作用を利用して遊技球の接近(通過)を検出する。なお、図4(1)及び(2)では、通過する遊技球を点線で示している。図4(3)は、図4(1)に示す通過センサ66のA−A’断面であり、この通過センサ66の検出領域Xについて説明するための図である。通過センサ66は、検出コイルによって発生させた磁界(図4(2)参照)の変化を用いて、図4(3)に示す検出領域X内に遊技球が存在するか否かを検出する。より具体的には、通過センサ66は、図4(3)に示す位置A〜位置Bまでの範囲(領域)に遊技球が存在するか否かを検出する。そして、メイン制御部100(図2参照)は、通過センサ66によって、検出領域Xに遊技球が存在することを検出した後に遊技領域Xに遊技球が存在しないことを検出した場合に、遊技球が通過したと判定する。
【0058】
図5は、第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止できない従来構造を説明するための図であり、この従来構造の縦断面図である。図5に示すように、第1始動口25aに入賞した(入った)遊技球は、この遊技球を通過センサ66の貫通穴に導く経路71(以下、入口側経路71という)と、入口側経路71に貫通穴の入口側が連結された通過センサ66と、この貫通穴の出口側が連結された経路72(以下、出口側経路72という)を通過して、遊技球を遊技機1の外部に排出するための所定位置(図示せず)に落下する。このことによって、第1始動口25aに入賞した遊技球は、検出領域Xを通過して通過センサ66にその通過を検出されることとなる。以下では、入口側経路71と通過センサ66と出口側経路72とで構成される経路を、検出経路73という。なお、入口側経路71及び出口側経路72は、それぞれ、筒形状をしている。また、図5では、検出経路73の内部を通過する遊技球を、点線の円で表している。
【0059】
図6は、図5を用いて説明した従来構造において行われる線材不正行為について詳しく説明するための図である。図3を用いて説明したように、不正者は、線材64の一端を取り付けた遊技球65(以下、不正遊技球65という場合がある)を、線材64の他端を手で持った状態で遊技領域20に打ち出して、第1始動口25aに入賞させる。第1始動口25aに入賞した遊技球65は、検出経路73内の検出領域Xを通過し、検出経路73の出口から一旦出る。図6に示す位置Eの遊技球65は、検出経路73の出口から出た時点の遊技球65を示している。その後、不正者は、手に持った線材64の他端を引っ張ることによって、位置E又はそれよりも下流に在る遊技球65を、検出領域Xよりも上流の位置Cまで引っ張り上げる。そして、不正者は、引っ張り上げた線材64を戻すことによって、検出領域Xよりも下流の位置D又は更にそれより下流に、遊技球65を落下させる。不正者は、この不正動作を繰り返すことによって、遊技球65に検出領域Xを何度も通過させる。この結果として、不正に特別図柄抽選が実行され、又、不正に賞球が払い出されることとなり、不正者は、不正な利益を得ることとなる。
【0060】
図7は、第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第1の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図であり、この特徴的構造の縦断面図である。図7に示す本実施形態の特徴的構造は、図5に示す従来構造と対応している。しかし、図7に示す本実施形態の特徴的構造は、図5に示す従来構造に対して、出口側経路72の内部に逆止弁75を備える点で異なる。
【0061】
図8は、逆止弁75の形状の一例を説明するための図である。図8(1)は、図7と同じ方向から視た逆止弁75を示す図である。図8(2)は、図8(1)のM方向から逆止弁75を視た図である。図8(3)は、図8(1)のN方向から逆止弁75を視た図である。図8に示すように、逆止弁75は、弁本体76と回動軸77とウエイト部78とを備える。回動軸77は、逆止弁75を回動(回転)させるための軸であり、出口側経路72によって回動可能に支持される。弁本体76は、出口側経路72を閉塞できる大きさの板形状であり、回動軸77に固定されている。ウエイト部78は、例えば鉛等の比較的重い重り部材をその内部に有しており、回動軸77に固定されている。ウエイト部78は、重力によって(つまり、自重で)下側に引っ張られることによって逆止弁75の姿勢を、図7に示す弁本体76が出口側経路72を閉塞した姿勢(以下、閉塞姿勢という)に維持する。また、ウエイト部78は、重力によって下側に引っ張られることによって逆止弁75の姿勢を、図9(1)を用いて後述する弁本体76が出口側経路72を開放した姿勢(以下、開放姿勢という)から、閉塞姿勢に戻す。
【0062】
図9は、図7及び図8を用いて説明した逆止弁75によって、線材不正行為が防止される仕組みについて説明するための図である。図9(1)に示すように、検出経路73を上側から下側に(つまり、順方向に)遊技球65(又は不正遊技球65)が通過する際に、逆止弁75は、弁本体76が遊技球65に押されることによって回動軸77を中心軸として回動して、図7に示す閉塞姿勢から、開放姿勢に変化する。その後、ウエイト部78が重力によって引っ張られて下側方向に移動することによって、逆止弁75は、回動軸77を中心軸として回動して、図9(1)に示す開放姿勢から図7に示す閉塞姿勢に戻る。ここで、不正者が、検出経路73を一旦通過した不正遊技球65を、線材64を引っ張ることによって再び検出領域Xまで引き上げようとした場合を考える。この場合、図9(2)に示すように、不正遊技球65は、線材64によって検出経路73内で引き上げられるが、閉塞姿勢である逆止弁75の弁本体76に当たって、それ以上引き上げられることはない。なお、図9(1)及び(2)に示すように、逆止弁75の閉塞姿勢において、弁本体76の先端部分は、出口側経路72の内壁に設けられた段部分に当接するので、それ以上上側に移動することはない。このことから、不正遊技球65は、一旦通過した検出領域Xに戻ることはなく、この結果として、不正者は不正な利益を得ることはできない。
【0063】
以上に説明したように、第1の実施形態では、通過センサ66の下流側に逆止弁75を設けることによって、通過センサ66の検出領域Xを一旦通過した不正遊技球65が不正者の不正動作によって検出領域Xに戻ることを防止できる。この結果として、線材不正行為を効果的に防止することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
以下では、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第2の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図であり、この特徴的構造の縦断面図である。図10に示す第2の実施形態の特徴的構造は、図7に示す第1の実施形態の特徴的構造と対応している。しかし、図10に示す本実施形態の特徴的構造は、図7に示す第1の実施形態の特徴的構造に対して、検出経路73の内部において逆止弁が備えられる位置等が異なる。以下では、第1の実施形態と異なる内容について説明する。
【0065】
図10に示すように、図7に示す第1の実施形態では逆止弁75が出口側経路72に備えられるのに対して、第2の実施形態では逆止弁85が入口側経路71に備えられる。つまり、第2の実施形態では、逆止弁は、検出経路73内部において通過センサ66の上流側(上側)に備えられる。
【0066】
図11は、逆止弁85の形状の一例を説明するための図である。図11(1)は、図10と同じ方向から視た逆止弁85を示す図である。図11(2)は、図11(1)のM方向から逆止弁85を視た図である。図11(3)は、図11(1)のN方向から逆止弁85を視た図である。図11に示すように、逆止弁85は、図8に示す逆止弁75の弁本体76の先端面に、当該先端面の長手方向全体に細長く形成された突起である突起部86(挟持部の一例)を追加した形状である。
【0067】
図12は、図11を用いて説明した逆止弁85によって、線材不正行為が防止される仕組みについて説明するための図である。図9(1)を用いた説明と同様に、検出経路73を上側から下側に遊技球65(又は不正遊技球65)が通過する際に、逆止弁85は、弁本体76が遊技球65に押されることによって回動軸77を中心軸として回動して、閉塞姿勢から開放姿勢に変化する。その後、ウエイト部78が重力によって引っ張られて下側方向に移動することによって、逆止弁75は、回動軸77を中心軸として回動して、開放姿勢から図12に示す閉塞姿勢に戻る。
【0068】
ここで、不正者が、検出経路73を一旦通過した不正遊技球65を、線材64を引っ張ることによって再び検出領域Xまで引き上げようとした場合を考える。この場合、図12(1)に示すように、線材64は、弁本体76と入口側経路71の内壁との間に挟まれる。以下、詳しく説明する。図12(2)は、図12(1)の楕円(破線部分)で示す突起部86周辺を拡大した図である。図12(2)に示すように、線材64は、不正者によって引っ張られることによって、弁本体76の先端面の突起部86と入口側経路71の内壁との間に挟まれる(つまり、噛み込まれる)。このことによって、原則として、線材64は固定されて不正者はそれ以上線材64を引き上げることができない。なお、図12(2)に示すように、逆止弁85の閉塞姿勢において、弁本体76の先端部分は、入口側経路71の内壁に設けられた段部分に当接するので、それ以上上側に移動することはない。以上のことから、図12(1)に示すように、不正遊技球65は原則としてそれ以上引き上げられることはないので一旦通過した検出領域Xに戻ることはなく、この結果として、不正者は不正な利益を得ることはできない。
【0069】
図13は、図12(1)に示した状態において不正者が線材64を強力に引っ張った結果、上記の例外として、不正遊技球65が逆止弁85の直下まで引き上げられてしまった場合を示している。しかし、この場合、図12(2)に示すように線材64は入口側経路71の内壁と弁本体76の突起部86との間に挟まれているので、不正者が線材64を緩めても不正遊技球65の重さでは不正遊技球65は下側には移動しない。このことから、不正者が線材64を引っ張っても緩めても、不正遊技球65は図13の位置から動かないこととなり、この結果として、不正者は不正な利益を得ることはできない。
【0070】
以上に説明したように、第2の実施形態では、通過センサ66の上流側に逆止弁85を設けることによって、通過センサ66の検出領域Xを一旦通過した不正遊技球65が不正者の不正行為によって検出領域Xに戻ることを原則として防止できる。また、不正者が強力に線材64を引っ張ったことによって、例外として不正遊技球65が検出領域Xに戻った場合であっても、不正遊技球65は再び下流側(下側)に移動することはない。この結果として、第2の実施形態よれば、線材不正行為を効果的に防止することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
以下では、本発明の第3の実施形態について説明する。図14は、第1始動口25a周辺の線材不正行為を防止する第3の実施形態の特徴的構造の一例を説明するための図であり、この特徴的構造の縦断面図である。図14に示す第3の実施形態の特徴的構造は、図7に示す第1の実施形態の特徴的構造と対応している。しかし、図14に示す本実施形態の特徴的構造は、図7に示す第1の実施形態の特徴的構造に対して、逆止弁の構造が異なる。以下では、第1の実施形態と異なる内容について説明する。
【0072】
図14(1)に示すように、第3の実施形態では、図7に示す第1の実施形態の逆止弁75の代わりに、逆止弁95を備える。逆止弁95は、第1弁本体96と、第2弁本体97と、第1バネ98と、第2バネ99とを備える。第1バネ98及び第2バネ99は、コイルバネである。図15は、第2弁本体97の形状の一例を説明するための図である。なお、第1弁本体96の形状は第2弁本体97の形状と同じである。図15(1)は、図14(1)と同じ方向から視た第2弁本体97を示す図である。図15(2)は、図15(1)のM方向から第2弁本体97を視た図である。図15(3)は、図15(1)のN方向から第2弁本体97を視た図である。図15に示すように、第2弁本体97は、直方体(又は立方体)を、その2つの頂点を切り取るように平面でカットした形状であり、このカットによって底面と上面とが同形状の直角三角形である三角柱が切り取られた形状である。以下、このカットによって形成された平面を、押し込み面という。また、第2弁本体97には帯状の当接面(挟持部の一例)があり、この当接面は、第1弁本体96の当接面と当接する(図14(1)参照)。図14(1)に示すように、出口側経路72には、第1弁本体96及び第1バネ98を収容する第1収容部91と、第2弁本体97及び第2バネ99を収容する第2収容部92とが形成される。そして、図14(1)に示すように、第1バネ98の反発力によって第1弁本体96が出口側経路72内に押し出され、第2バネ99の反発力によって第2弁本体97が出口側経路72内に押し出され、第1弁本体96の当接部と第2弁本体97の当接部とが当接する。以下、この様な検出経路73を閉塞した逆止弁95の姿勢を、閉塞姿勢という。
【0073】
次に、図14(1)に示した閉塞姿勢の逆止弁95が、検出経路73を開放した開放姿勢となる仕組みについて説明する。図14(2)に示すように、上流側(上側)から下流側(下側)に落下する遊技球65(又は不正遊技球65)は、第1弁本体96の押し込み面及び第2弁本体97の押し込み面(図15参照)を押し、これによって、第1弁本体96は左方向に押し込まれて移動し、第2弁本体97は右方向に押し込まれて移動する。その結果、図14(2)に示すように、逆止弁95は開放姿勢となって、遊技球65(又は不正遊技球65)は検出経路73を通過することとなる。
【0074】
次に、不正者が、検出経路73を一旦通過した不正遊技球65を、線材64を引っ張ることによって再び検出領域Xまで引き上げようとした場合を考える。この場合、図14(3)に示すように、不正遊技球65は閉塞姿勢の逆止弁95(つまり、第1弁本体96及び第2弁本体97)に当たって、それ以上引き上げられることはない。このことから、不正遊技球65は、一旦通過した検出領域Xに戻ることはなく、この結果として、不正者は不正な利益を得ることはできない。
【0075】
以上に説明したように、第3の実施形態では、通過センサ66の下流側に逆止弁95を設けることによって、通過センサ66の検出領域Xを一旦通過した不正遊技球65が不正者の不正動作によって検出領域Xに戻ることを防止できる。この結果として、線材不正行為を効果的に防止することができる。
【0076】
(第4の実施形態)
以下では、本発明の第4の実施形態について説明する。図16に示すように、第4の実施形態は、図14を用いて説明した第3の実施形態に対して、逆止弁95を通過センサ66の上流側(上側)に備えた構成である。
【0077】
この構成において、不正者が、検出経路73を一旦通過した不正遊技球65を、線材64を引っ張ることによって再び検出領域Xまで引き上げた場合を考える。この場合、図16に示すように線材64は第1弁本体96の当接面と第2弁本体97の当接面との間に挟まれているので、不正者が線材64を緩めても不正遊技球65の重さでは不正遊技球65は下側には移動しない(落下しない)。なお、この様に不正遊技球65が落下しないために、例えば、第1弁本体96の当接面及び第2弁本体97の当接面には凹凸形状が形成されてもよい。このことから、不正者が線材64を引っ張っても緩めても、不正遊技球65は図16の位置から動かないこととなり、この結果として、不正者は不正な利益を得ることはできない。
【0078】
以上に説明したように、第4の実施形態では、通過センサ66の上流側に逆止弁95を設けることによって、不正者が線材64を引っ張ったことによって一旦検出領域Xを通過した不正遊技球65が検出領域Xに戻った場合に、不正遊技球65が再び下流側(下側)に移動することを防止できる。この結果として、第4の実施形態よれば、線材不正行為を効果的に防止することができる。
【0079】
[変形例]
なお、上記した第2の実施形態では、弁本体76の先端面と入口側経路71の内壁との間に線材64を挟み込むために突起部86を設けた(図12参照)。しかし、突起部86を設けなくても弁本体76の先端面と入口側経路71の内壁との間に線材64を挟み込めればよい。例えば、逆止弁85の閉塞姿勢において、突起部86を設けない弁本体76の先端面と入口側経路71の内壁との隙間がない構成にして、線材を挟み込むこととしてもよい。
【0080】
また、上記した第2の実施形態では、図11に示すように、弁本体76の先端面にのみ突起部86を設けた。しかし、弁本体76の先端面だけではなく外周側面全体に突起部86を設けてもよい。このことによって、より確実に線材64を挟み込むことができる。
【0081】
更には、上記した第2の実施形態のように弁本体76の先端部分に突起部86(図12(2)参照)を設けるのではなく、図18に示すように、弁本体76の先端部分に切れ込みを設けることによって線材64を挟み込んでもよい。以下、具体的に説明する。図18(1)は、図12(2)に対応し、この切れ込みを設ける位置を説明するための図である。図18(1)に示すように、点線の楕円Fで示す弁本体76の先端部分に、切れ込みが設けられる。図18(2)は、弁本体76の先端部分に設けられる切れ込みを示す図である。図18(1)及び(2)に示すように、この切れ込みは、弁本体76の先端面、上側の面、及び下側の面が開口した切れ込みであり、弁本体76の基端方向に徐徐に幅が小さくなる形状をしている。このことによって、線材64が切れ込みに挟み込まれて、第2の実施形態と同様の効果が得られる。なお、図18では、弁本体76の先端部分に複数の切れ込みが設けられているが、切れ込みの数は1つ以上であればよい。また、この切れ込みは、図18(2)の点線の楕円Fで示す弁本体76の先端部分ではなく、点線の楕円Gで示す入口側経路71の部分(段形状の部分)に設けられてもよい。更には、この切れ込みは、点線の楕円F及びGの両方の部分に設けられてもよい。
【0082】
また、上記した第1及び第2の実施形態では、ウエイト部78(図8及び図11参照)によって、逆止弁75(85)を開放姿勢から閉塞姿勢に戻し、又、閉塞姿勢を維持した。しかし、開放姿勢から閉塞姿勢に戻し閉塞姿勢を維持するための手段は、これには限られず、例えば、バネ等の弾性部材であってもよい。
【0083】
また、上記した第3及び第4の実施形態では、第1バネ98及び第2バネ99によって、逆止弁95を開放姿勢から閉塞姿勢に戻し、又、閉塞姿勢を維持した。しかし、開放姿勢から閉塞姿勢に戻し閉塞姿勢を維持するための手段は、これには限られず、例えば、ゴム等の弾性部材であってもよい。
【0084】
また、上記した第3及び第4の実施形態では、一対の弁本体(96、97)及び一対のバネ(98、99)によって逆止弁95を構成した。しかし、例えば、図17に示すように、第2弁本体97及び第2バネ99によって逆止弁95を構成してもよい。
【0085】
また、上記した第1〜第4の実施形態では、入口側経路71及び出口側経路72の内周形状を四角形であるものとして説明したために、逆止弁75、85及び95の形状を、この経路を閉塞できる図8、図11及び図15に示す形状として説明した。しかし、逆止弁75、85及び95の形状は、上記経路を閉塞できる形状であればよく、上記経路の内周形状が例えば円形の場合、その形状に応じて適宣変更されることは言うまでもない。なお、ここで言う「閉塞」とは、上記した第1〜第4の実施形態の作用効果が得られる程度の閉塞であればよく、隙間なく完全に塞ぐという意味ではない。
【0086】
また、上記した第1〜第4の実施形態では、第1始動口25aに逆止弁が備えられる場合を、一例に挙げて説明した。しかし、逆止弁は、第2始動口25b、普通入賞口29、大入賞口28、ゲート27等の、遊技球の通過を検知する他の部分に設けられてもよい。つまり、逆止弁は、遊技球の通過によって遊技者が利益を得ることとなる部分に設けられればよい。
【0087】
また、上記した第1〜第4の実施形態では、図8等に示すように、通過センサ66は、一例として、真下に落下する遊技球を検出する構成として説明した。しかし、通過センサ66は、検出経路73を上流から下流に向けて移動する遊技球を検出する構成であればよく、例えば、斜め下方向に転がり落ちる遊技球を検出する構成であってもよい。
【0088】
また、上記した第1〜第4実施形態では、通過センサ66の一例として、図4を用いて説明した誘導型近接スイッチを用いる構成とした。しかし、通過センサ66は、検出経路73を通過する遊技球を検出できるものであれば他の検出方式のものであってもよい。例えば、通過センサ66は、検出経路73を通過する遊技球に光が遮られることを利用して遊技球の通過を検出する光センサであってもよい。また例えば、通過センサ66は、検出経路73を通過する遊技球にスイッチ部材が当たることによってこのスイッチ部材が移動することを利用して遊技球の通過を検出する機械的なセンサであってもよい。
【0089】
また、上記した本実施形態において、通過センサ66の検出領域Xの大きさは、図8等に示される大きさには限られない。
【0090】
また、上述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置等であっても、本発明の範囲を逸脱しなければ本発明を実現できることは言うまでもない。
【0091】
以上、本発明を実施形態を用いて詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。
【0092】
[以上の実施形態の効果例]
上記した実施形態では、遊技球の検出経路73における検出領域Xを遊技球65が通過したことを検出する通過センサ66の近傍に、逆止弁(75、85,95)を配置した。このことによって、不正者は線材64を引っ張っても逆止弁(75、85,95)より上流に不正遊技球65引き上げることはできないので、通過センサ66に不正遊技球65を何度も検出させる線材不正行為を効果的に防止できる。
【0093】
また、逆止弁(75、85,95)は、検出経路73内を順方向に通過する遊技球65に押されて閉塞姿勢から開放姿勢に姿勢変化し、付勢手段(78、98、99)は、弁本体(76、96、97)を姿勢変化させて開放姿勢から閉塞姿勢に戻す。このことによって、逆止弁(75、85,95)は、確実に、遊技球を順方向には通過させ逆方向には通過させないという機能を果たすこととなる。
【0094】
また、逆止弁(85、95)は、検出経路73において通過センサ66の上流側に配置されてもよい(図12、16)。このことによって、通過センサ66に不正遊技球65を何度も検出させる線材不正行為を効果的に防止できる。
【0095】
更には、通過センサ66の上流側に逆止弁(85、95)が配置される構成において、当該逆止弁(85、95)には、検出経路73を順方向に通過した不正遊技球65に取り付けられた線材64を挟んで当該不正遊技球65が順方向に移動することを妨げる挟持部(図11の突起部86、図15の当接面)が設けられることが望ましい。このことによって、不正者によって引き上げられた不正遊技球65が再び下流に移動することを防止できるので、より確実に線材不正行為を防止できる。
【0096】
また、逆止弁(75、95)は、検出経路73において通過センサ66の下流側に配置されてもよい(図7、図14)。このことによって、通過センサ66に不正遊技球65を何度も検出させる線材不正行為を効果的に防止できる。
【0097】
また、逆止弁(75、85)は、ウエイト部78が自重で下がることによって、開放姿勢から閉塞姿勢に戻される(図9等)。このことによって、簡易な構造で確実に機能する逆止弁を構成することができる。
【0098】
また、弁本体(96、97)は、収納部(91、92)において、全体が収納される第1位置(図14(2)に示す姿勢)と、当該収納部から少なくとも一部が突出する第2位置(図14(1)に示す姿勢)との間で移動することで姿勢変化し、逆止弁95はバネ(98、99)によって閉塞姿勢に戻される構成としてもよい。このことによって、確実に機能する逆止弁を構成することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…遊技機
25a…第1始動口
71、72、73…経路
65…遊技球
66…通過センサ
75、85、95…逆止弁
77…回動軸
76、96、97…弁本体
78…ウエイト部
25a…第1始動口
64…線材
86…突起部
98、99…バネ
91、92…収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の経路における所定位置を遊技球が通過したことを検出する検出部と、
前記経路において前記検出部の近傍に配置され、当該経路を順方向に移動する遊技球を通過させ、当該経路を逆方向に移動する遊技球を止める逆止弁とを備える、パチンコ遊技機。
【請求項2】
前記逆止弁は、
前記経路を開放して遊技球を順方向に通過可能とする開放姿勢と当該経路を塞いで遊技球を逆方向に通過不能とする閉塞姿勢とに姿勢変化可能であり、当該経路内を順方向に通過する遊技球に押されて当該閉塞姿勢から当該開放姿勢に姿勢変化する弁本体と、
前記弁本体を姿勢変化させて前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に戻す付勢手段とを有する、請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記逆止弁は、前記経路において前記検出部の上流側に配置される、請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記逆止弁は、前記閉塞姿勢において、前記経路を順方向に通過した遊技球に取り付けられた線材を挟んで当該遊技球が当該順方向に移動することを妨げる挟持部を有する、請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記逆止弁は、前記経路において前記検出部の下流側に配置される、請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記弁本体は、回動軸に端部が軸支され、前記経路内において当該回動軸を中心に回動することによって前記開放姿勢と前記閉塞姿勢とに姿勢変化可能であり、
前記付勢手段は、前記回動軸に軸支された前記端部に取り付けられ、自重によって前記弁本体を前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に戻すウエイトである、請求項2〜5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記弁本体は、前記経路の内壁に設けられた収納部において、当該収納部に全体が収納される第1位置と当該収納部から少なくとも一部が突出する第2位置との間で移動することで姿勢変化し、
前記付勢手段は、前記収納部に配置される弾性部材である、請求項2〜5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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