説明

パッケージ化された医療デバイス

【課題】少なくとも1つの通路を有する医療デバイスを受け入れるためのパッケージであって、該医療デバイスの通路の内側に任意の剤を追加することを簡略化し、かつ剤の追加が無菌の状態で行われることを目的とする、パッケージを提供すること。
【解決手段】パッケージ化された医療デバイスであって、医療デバイスを受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該医療デバイスは、その中に画定された通路を有する、第1の空洞と、該パッケージに配置されたポートであって、該ポートは、該パッケージの外側と該医療デバイス内に画定された該通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするために該通路と流体連通する、ポートとを備えている、パッケージ化された医療デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、医療デバイスのパッケージングに関し、より具体的には、医療デバイス内に画定された通路、および容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間の剤の無菌の通過を可能にするために通路と流体連通するポートを有する医療デバイスを受け入れるように構成された容器を含むパッケージ化された医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
その中に画定された通路を含む医療デバイスの概念は公知であり、ステント、モノフィラメント縫合糸、マルチフィラメント縫合糸、外科用メッシュ、癒着バリア、脈管グラフト、カニューレ、トロカール、カテーテル、ステープル、ねじ、ピン、ロッドなどのような医療デバイスを含む。
【0003】
特に、幾つかの米国特許は、創傷閉鎖デバイス、例えばその中に画定された少なくとも1つの通路を含む縫合糸を開示する。一部の非限定的な例としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4が挙げられる。医療デバイス内に画定される通路は、外科用針の取り付けおよび移植部位へ送達されるべき剤の追加を容易にすること、または縫合糸の取り扱い能力、例えば結び目の結びまたは潤滑を高めることを含む様々な理由で使用される。
【0004】
現在では、医療デバイス内に画定された通路の中への剤の追加は、医療デバイスの製造中に無菌のパッケージ内に密封される前か、または移植処置中に無菌パッケージから除去された後に完成される。各オプションは、限定を有している。パッケージングの前での剤の追加は、医療デバイス内に画定された通路に追加され得る剤の選択を制限するが、そのデバイスの無菌状態を維持する。移植処置中に無菌パッケージからデバイスが取り外された後に剤を追加することは、さらに多くの剤の追加を可能にするが、医療デバイスの汚染の可能性を増加させる。医療デバイスの通路の中に任意の剤を追加することを可能にしながら無菌状態を維持する、その中に画定された通路を有する医療デバイスを受け入れるためのパッケージを有することが有利である。
【0005】
従って、本開示は、その中に画定された少なくとも1つの通路を有する医療デバイスを受け入れるためのパッケージであって、該医療デバイスの通路の内側に任意の剤を追加することを簡略化し、かつ剤の追加が無菌の状態で行なわれることを目的とする、パッケージを記述する。
【特許文献1】米国特許第3,918,455号明細書
【特許文献2】米国特許第4,159,720号明細書
【特許文献3】米国特許第5,984,933号明細書
【特許文献4】米国特許第6,264,600号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本開示による医療デバイスのためのパッケージは、医療デバイスを受け入れるための容器を含む。該医療デバイスは、その中に画定された少なくとも1つの通路、およびパッケージに配置され、かつ容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間での少なくとも1つの剤の通過を可能にするために通路と流体連通するポートを有する。
【0007】
別の実施形態において、本明細書に記述される医療デバイスパッケージは、医療デバイスを受け入れるように構成された容器を含み得る。該医療デバイスは、その中に画定された通路、およびパッケージに配置され、かつ容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間での剤の通過を可能にするために通路と流体連通する複数のポートを有する。
【0008】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0009】
(項目1)
パッケージ化された医療デバイスであって、
医療デバイスを受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該医療デバイスは、その中に画定された通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置されたポートであって、該ポートは、該パッケージの外側と該医療デバイス内に画定された該通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするために該通路と流体連通する、ポートと
を備えている、パッケージ化された医療デバイス。
【0010】
(項目2)
上記医療デバイスは、縫合糸、ステープル、クリップ、ステント、グラフト、メッシュ、胸骨クロージャ、カテーテル、マイクロカテーテル、ピン、ねじ、タック、癒着バリア、バットレス、薬剤送達デバイス、ペースメーカ、カニューレ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0011】
(項目3)
上記医療デバイスは、縫合糸である、項目2に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0012】
(項目4)
少なくとも1つの剤をさらに備えている、項目1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0013】
(項目5)
上記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗転移増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目4に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0014】
(項目6)
上記ポートは、上記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、項目1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0015】
(項目7)
上記ポートは、上記医療デバイスに取り外し可能に取り付けられる、項目6に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0016】
(項目8)
上記ポートは、射出ポートである、項目1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0017】
(項目9)
パッケージ化された医療デバイスであって、
医療デバイスを受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該医療デバイスは、その中に画定された複数の通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置された複数のポートであって、該複数のポートは、該パッケージの外側と該医療デバイス内に画定された該複数の通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするために該複数の通路と流体連通する、複数のポートと
を備えている、パッケージ化された医療デバイス。
【0018】
(項目10)
上記医療デバイスは、縫合糸、ステープル、クリップ、グラフト、ステント、メッシュ、胸骨クロージャ、ピン、ねじ、タック、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0019】
(項目11)
上記医療デバイスは、外科用メッシュである、項目10に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0020】
(項目12)
少なくとも1つの剤をさらに備えている、項目9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0021】
(項目13)
上記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸;ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗転移増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目12に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0022】
(項目14)
上記複数のポートは、上記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、項目9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0023】
(項目15)
上記複数のポートは、上記医療デバイスに取り外し可能に取り付けられる、項目9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【0024】
(項目16)
パッケージ化された縫合糸であって、
縫合糸を受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該縫合糸は、その中に画定された通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置されたポートであって、該ポートは、該パッケージの外側と該縫合糸内に画定された該通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするために該通路と流体連通する、ポートと
を備えている、パッケージ化された縫合糸。
【0025】
(項目17)
少なくとも1つの剤をさらに備えている、項目16に記載のパッケージ化された縫合糸。
【0026】
(項目18)
上記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗転移増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目17に記載のパッケージ化された縫合糸。
【0027】
(項目19)
上記ポートは、上記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、項目16に記載のパッケージ化された縫合糸。
【0028】
(項目20)
上記ポートは、上記縫合糸に取り外し可能に取り付けられる、項目16に記載のパッケージ化された縫合糸。
【0029】
(摘要)
本開示は、医療デバイスを受け入れる容器を含むパッケージ化された医療デバイスを提供する。該医療デバイスは、その中に画定された通路、および容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間での剤の無菌の通過を可能にするため、ポートを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
様々な実施形態が、図面を参照して本明細書において記述される。
【0031】
(詳細な記述)
本明細書に記述された医療デバイスパッケージは、医療デバイスを受け入れるように構成されたエリアを有する容器を含む。該医療デバイスは、その中に画定された通路、およびパッケージに配置されたポートであって、該ポートは、容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間での剤の通過を可能にするために通路と流体連通する、ポートを有する。一部の実施形態においては、容器は、複数のポートおよび/または複数の医療デバイスを含み得る。
【0032】
その中に画定された少なくとも1つの通路を有する任意の医療デバイスは、パッケージ内に格納され得ることが想到される。一部の例は、縫合糸、ステープル、クリップ、ステント、グラフト(graft)、メッシュ、胸骨クロージャ(closure)、カテーテル、マイクロカテーテル、ピン、ねじ、タック(tack)、癒着バリア、バットレス(buttress)、薬剤送達デバイス、ペースメーカ、カニューレ、外科用インプラントなどを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態においては、医療デバイスは、縫合糸または外科用メッシュである。
【0033】
医療デバイスは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シルク、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリグリコリド、ポリラクチド、またはポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリグリコール酸またはポリラクチドの混合を含むが、これらに限定されない任意の生体吸収性材料または生体非吸収性材料から作られ得る。医療デバイスは、織ること、編むこと、押し出し成形すること、溶解すること、モールディングすることなどを含むが、これらに限定されない、医療デバイスを形成する任意の公知の方法を使用しても形成され得る。
【0034】
医療デバイスは、その中に画定された少なくとも1つの通路を含む。通路は、剤が、医療デバイスを被覆し、これに染込み、これから押し出され、これと反応し、これによって吸収され、またはこの中に格納されることを可能にする態様で剤を医療デバイスが受け入れることを可能にするように構成される。他の実施形態において、通路は、医療デバイス全体の中に画定され得る(図1を参照)。実施形態において、通路は、医療デバイスの一部分だけの中に画定され得る(図2を参照)。さらに他の実施形態において、医療デバイスは1つ以上の通路を含み得、通路は、少なくとも1つの剤が医療デバイスの様々な部分を通ることを可能にするように構成され、かつ設計される(図3を参照)。
【0035】
医療デバイスに通路を形成する任意の適切な方法が、使用され得る。通路は、医療デバイスの形成の間またはその後に医療デバイスに形成され得る。通路は、任意の形状、サイズ、または大きさに構成され得ることが想到される。実施形態において、通路は、ポート内に適合するような大きさとされる。実施形態において、ポートは通路内に適合するような大きさとされる。
【0036】
一部の実施形態において、通路は、中央の穴の周囲でマルチフィラメントを共に織るか、または編み、編まれたデバイスの中央の近くに画定された通路を作成することによって形成される。一部の実施形態において、通路は、鋭利なブレード、ナイフ、旋盤、レーザー、穴あけデバイスなどを使用して医療デバイスから材料を除去し、そこに画定される通路を作成して医療デバイスの中に彫り込まれる。さらに他の実施形態において、通路は、医療デバイスの中に化学的にエッチングされ得る。
【0037】
一部の実施形態において、通路は、医療デバイス内で、複数の通路に分かれ得る。追加的な通路が、医療デバイスの様々な内側部分、または外側部分につながり得る。通路が医療デバイス内に画定され、外部面につながる実施形態において、医療デバイスは、移植の部位に1つ以上の剤を送達するために使用され得る。本明細書に記述された医療デバイスは、近接照射療法のような放射線治療、塞栓症を含む脈管治療、および血餅膿においても有用であり得ることが想到される。
【0038】
容器は、その中に画定された少なくとも1つの通路を有する1つ以上の医療デバイスを受け入れるような大きさとされ、かつ構成される。容器は、医療デバイスを格納するための任意の従来の筐体であり得、1つより多くの容器が組み合わされ、本明細書に記述された医療デバイスパッケージを形成する。有用な容器の一部の例は、パウチ、紙リテイナー、プラスチックリテイナー、バック、トレイ、エンベロープ、Tyvek(登録商標)バッグ、ホイルパックなどを含むが、これらに限定されない。容器は、密封性、非密封性、通気性、非通気性、剥離性、再密封性があり、およびそれらの組み合わせであり得ることが想到される。
【0039】
容器は、医療デバイスを受け入れ、かつ格納するために適切な、当業者に公知の任意の材料から製造され得る。適切な材料の一部の例は、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、熱硬化性物質、熱可塑性樹脂、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリテトラフルオロエチレン、ε−カプロラクトン、グリコリド、l−ラクチド、d,l−ラクチド、d−ラクチド、メソ−ラクチド、トリメチレンカーボネート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、p−ジオキサノン、ジオキセパノン(dioxepanone)、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン(pivalolactone)、α,α−ジエチルプロピオラクトン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オン、エチレンカーボネート、エチレンオキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリアクリレート、アミノアルキルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシ−メタクリル酸エチル)、ポリメタクリルアミド、デキストラン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、多糖類、ゼラチンおよびコポリマー、ホモポリマー、ならびにそれらのブロックコポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0040】
容器およびその中に画定された通路を有する医療デバイスに加えて、パッケージは、少なくとも1つのポートを含む。パッケージを開ける必要なくポートへのアクセスを可能にする態様で、ポートはパッケージまたは容器に配置され、それによって、容器内に配置された医療デバイスの無菌状態を維持する。医療デバイス、剤、およびパッケージの無菌の性質を弱めることなく、流体が容器またはパッケージの外側から通路の中に入り、ポートの中を通ることを可能にする態様で、ポートは、医療デバイス、例えば中空の縫合糸内で画定される通路とも流体連通する。ポートは、容器の外側と医療デバイス内に画定された通路との間で少なくとも1つの剤が通ることを可能にするように設計される。
【0041】
ポートは、剤がその中を通ることを可能にすることが知られている任意のタイプのポートまたはハブであり得ることが想到される。ポートは、医療デバイス内に画定された通路に接続されたままでありながら、パッケージに配置されることができる任意のサイズ、形状または大きさから作られ得る。ポートは、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネートおよび金属合金を含む、当業者に公知の、任意のゴム、ゲル、金属性の、重合体の、または熱可塑性の材料から作られ得ることが想到される。ポートは、密封性、非密封性、再密封性、静止性、可動性、剥離性、自己貫通性であり、およびそれらの組み合わせでもあり得る。
【0042】
ポートは、容器の任意の外側、エッジ、またはコーナに沿って配置され得る。パッケージが1つより多くの容器を含むような実施形態において、ポートは、パッケージに含まれる容器のうちの任意のものの任意の側、エッジまたはコーナに沿って配置され得る。さらに、パッケージは、1つ以上のポートを含み得、かつ/または1つ以上の容器は、共通のポートを共有し得る。
【0043】
一部の実施形態において、ポートは、射出可能なハブ、または射出ポートであり得、これは、自己密封作用によって密封のままであり、液体、半固体、または気体媒質が逃れ得ず、従って病原体が容器を突破し得ないようにも設計されている。一部の実施形態において、ポートは、特定のインジェクタだけがポートと嵌合し得るような方法で設計されたハブ(例えば雄/雌またはロック/キータイプのハブ)であり得る。これらのタイプのポートは、ポートのユーザに対してより多くの安全性を提供する。なぜならば、ポートは、尖ったインジェクタまたはニードルの使用を必ずしも必要とするわけではないからである。
【0044】
ポートは医療デバイスに永久的に取り付けられ得るか、または取り外し可能に取り付けられ得ることが想到されている。ポートはパッケージに永久的に取り付けられ得るか、または取り外し可能に取り付けられ得ることがさらに想到される。
【0045】
一部の実施形態において、ポートおよび医療デバイスは、単一のユニットとしてパッケージから除去され、組織の中に移植され得る。医療デバイスは移植されたままでありながら、ポートは、アクセスのために組織の外に配置され得る。これらのような実施形態において、医療デバイスおよびポートは、薬剤送達デバイスとして使用され得る。
【0046】
さらに別の実施形態において、剤が通路に送達された後、ポートは、医療デバイスの通路から分離され、医療デバイスがポートなしで移植され得る。
【0047】
剤は、容器の外から、ポートを介して、医療デバイス内に画定された通路に送達されることが意図される。用語「剤」とは、医療デバイスとの組み合わせに適切な任意の生体活性のまたは生体不活性の物質を含むことが意図される。剤は、例えば固体、液体、半固体、気体、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の形態であり得る。適切な剤は、薬剤、例えば防腐剤、麻酔薬、筋肉弛緩剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗マラリア薬、殺アメーバ剤、うっ血除去剤、抗レトロウイルス剤、抗らい薬、抗原虫薬、駆虫薬、抗菌剤、ステロイド、造血剤、抗血小板剤、抗凝固薬、凝結剤、血栓溶解剤、血流剤(hemorrheologic agents)、止血物質、血漿増量剤、ホルモン、性ホルモン、子宮活動剤、ビスホスホネート、糖尿病治療薬、グルコース上昇剤(glucose−elevating agents)、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、筋収縮剤、抗不整脈薬、カルシウムチャネルブロッカー、血管拡張薬、交換神経遮蔽薬、抗高脂血症剤、登圧薬、アンジオテンシン拮抗剤、硬化薬、抗インポテンス剤、尿アルカリ化剤、尿酸化剤、抗コリン作用薬、利尿剤、気管支拡張薬、界面活性剤、抗うつ剤、抗精神病剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠薬、バルビツレート、制吐薬、鎮痛薬、刺激薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン薬、プロトンポンプ阻害薬、H拮抗薬、鎮痙薬、緩下剤、止瀉薬、抗膨満薬、消化酵素、胆石溶解剤、血圧降下薬、コレステロール低下剤、放射線不透過性剤、免疫グロブリン、単クローン抗体、抗体、抗毒薬、抗毒素、免疫学的薬剤、抗炎症薬、抗新生物薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗有糸分裂剤、放射性医薬品、ビタミン、ハーブ、痕跡元素、アミノ酸、酵素、キレート剤、免疫調節剤および免疫抑制剤;被覆材料、例えば潤滑剤、および生体非吸収性物質、例えばシリコーン、蜜蝋、またはポリテトラフルオロエチレン、ならびに吸収性物質、例えばコラーゲン、キトサン、キチン、カルボキシメチルセルロース、およびポリアルキレングルコールのホモポリマーおよび/またはコポリマー、および高級脂肪酸またはその塩もしくはエステル、グリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、p−ジオキサノン、バレロラクトンおよび鎖状脂肪族ヒドロキシカルボン酸から生じた他のラクトン、α−ヒドロキシ酪酸、エチレンカーボネート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、プロピレンカーボネート、リンゴ酸エステルラクトン、琥珀酸、アジピン酸および他の鎖状脂肪族ジカルボン酸、および鎖状脂肪族ジオール、例えばジタンジオールおよびヘキサンジオール;創傷治癒剤;癒着剤;密閉剤;血液生成物;血液成分;保存剤;着色剤;染料;紫外線吸収剤;紫外線安定薬;フォトクロミック剤(photochromic agent);抗癒着剤;蛋白質;多糖類;ペプチド;遺伝物質;ウイルスベクター;核酸;ヌクレオチド;プラスミド;リンフォカイン;放射性薬剤;金属;合金;塩;成長因子;成長因子拮抗剤;細胞;疎水性剤;親水性剤;免疫学的薬剤;抗転移増殖剤;診断用薬剤;画像化剤;希釈剤、例えば水、食塩水、ブドウ糖;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0048】
ここで図1を参照して、医療デバイス30を受け入れるように構成された容器20むパッケージ10が、示されている。該医療デバイス30は、その中に画定された通路35、およびパッケージ10に配置され、かつ容器20の外側と通路35との間での剤の通過を可能にするため、医療デバイス30内に画定された通路35に接続されたポート60を有する。一部の実施形態において、医療デバイス30が容器20内に受け入れられ、格納される前に、剤が、医療デバイス30、例えば縫合糸の通路35内に配置され得る。ポート60は、容器20の外側エッジに配置され、かつ通路35を介して医療デバイス30の内部に接続される。
【0049】
送達デバイスがポート60に接続され、剤をポート60を通して、医療デバイス30内に画定された通路35の中に送達し得ることが想到される。通路35は、医療デバイス30の少なくとも一部分内に画定されるので、剤は、医療デバイス30を被覆し、これに染込み、これと反応し、またはこれによって吸収され得る。一部の実施形態において、通路35は、医療デバイス30内に剤を格納し、剤を移植の部位に送達するために使用され得る。
【0050】
別の実施形態において、図2に示されるとおり、容器20、ポート60、およびその中に画定されている通路35を有する医療デバイス30を含むパッケージ10が、示されている。図示のように、通路35は、医療デバイス30の一部分だけの中に画定される。他の実施形態において、図1に示されるように、通路35は、医療デバイス30の全体の長さの中に画定され得る。
【0051】
ここで図3を参照して、その中に画定された1つより多くの通路35aおよび35b、ならびにパッケージ10に配置された1つより多くのポート60a、60b、60c、60dを有する医療デバイス30を受け入れるように構成された容器20が、示されている。ポート60a〜60bおよび60c〜60dは、多くの位置において、通路35aおよび35bにそれぞれ接続され、それによって容器20の外側と通路35との間で少なくとも1つの剤の通過を可能にする。一部の実施形態において、異なる剤が、異なるポート間で通され、医療デバイス30の異なる部分を被覆し、これらに染込み、これらと反応し、またはこれらによって吸収され得る。医療デバイス、例えば外科用メッシュが、第1の剤、例えば抗癒着剤で、医療デバイスの第1の部分を被覆され、第2の剤、例えば癒着剤で、医療デバイスの第2の部分が被覆され得ることが想到される。移植後に、第1の剤および第2の剤は、医療デバイスの外部に到着し、それによってそのデバイスの1つの側での組織の付着を強め、そのデバイスの別の側での組織の付着を妨げる。
【0052】
さらに別の実施形態において、本開示によるパッケージは、医療デバイスを受け入れるための容器を含む。該医療デバイスは、その中に画定された通路、およびパッケージに配置され、かつ容器の外側と医療デバイス内に画定された通路内の複数の位置との間での剤の通過を可能にするため、通路における複数の位置に接続される単一のポートを有する。
【0053】
本明細書に開示された実施形態には、様々に変更がなされ得ることは十分に理解される。従って、上記の記述は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、特に有用な実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲および精神内で他の変更を想到する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本明細書に記述されるとおりの医療デバイスパッケージの上面図である。
【図2】図2は、本明細書に記述されるとおりの医療デバイスパッケージの上面図である。
【図3】図3は、本明細書に記述されるとおりの医療デバイスパッケージの側面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 パッケージ
20 容器
30 医療デバイス
35 通路
60 ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ化された医療デバイスであって、
医療デバイスを受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該医療デバイスは、その中に画定された通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置されたポートであって、該ポートは、該パッケージの外側と該医療デバイス内に画定された該通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするため、該通路と流体連通する、ポートと
を備えている、パッケージ化された医療デバイス。
【請求項2】
前記医療デバイスは、縫合糸、ステープル、クリップ、ステント、グラフト、メッシュ、胸骨クロージャ、カテーテル、マイクロカテーテル、ピン、ねじ、タック、癒着バリア、バットレス、薬剤送達デバイス、ペースメーカ、カニューレ、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項3】
前記医療デバイスは、縫合糸である、請求項2に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの剤をさらに備えている、請求項1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項5】
前記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗転移増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項4に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項6】
前記ポートは、前記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項7】
前記ポートは、前記医療デバイスに取り外し可能に取り付けられる、請求項6に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項8】
前記ポートは、射出ポートである、請求項1に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項9】
パッケージ化された医療デバイスであって、
医療デバイスを受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該医療デバイスは、その中に画定された複数の通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置された複数のポートであって、該複数のポートは、該パッケージの外側と該医療デバイス内に画定された該複数の通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするため、該複数の通路と流体連通する、複数のポートと
を備えている、パッケージ化された医療デバイス。
【請求項10】
前記医療デバイスは、縫合糸、ステープル、クリップ、グラフト、ステント、メッシュ、胸骨クロージャ、ピン、ねじ、タック、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項11】
前記医療デバイスは、外科用メッシュである、請求項10に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの剤をさらに備えている、請求項9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項13】
前記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗転移増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項12に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項14】
前記複数のポートは、前記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、請求項9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項15】
前記複数のポートは、前記医療デバイスに取り外し可能に取り付けられる、請求項9に記載のパッケージ化された医療デバイス。
【請求項16】
パッケージ化された縫合糸であって、
縫合糸を受け入れるように構成され、かつ受け入れるような大きさとされた該パッケージにおける第1の空洞であって、該縫合糸は、その中に画定された通路を有する、第1の空洞と、
該パッケージに配置されたポートであって、該ポートは、該パッケージの外側と該縫合糸内に画定された該通路との間での少なくとも1つの剤の無菌の通過を可能にするため、該通路と流体連通する、ポートと
を備えている、パッケージ化された縫合糸。
【請求項17】
少なくとも1つの剤をさらに備えている、請求項16に記載のパッケージ化された縫合糸。
【請求項18】
前記剤は、薬剤、被覆剤、創傷治癒剤、癒着剤、密閉剤、血液生成物、血液成分、保存剤、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定薬、フォトクロミック剤、抗癒着剤、蛋白質、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性薬剤、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗剤、細胞、疎水性剤、親水性剤、免疫学的薬剤、抗移転増殖剤、診断用薬剤、画像化剤、放射線不透過性剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項17に記載のパッケージ化された縫合糸。
【請求項19】
前記ポートは、前記パッケージに取り外し可能に取り付けられる、請求項16に記載のパッケージ化された縫合糸。
【請求項20】
前記ポートは、前記縫合糸に取り外し可能に取り付けられる、請求項16に記載のパッケージ化された縫合糸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−272494(P2008−272494A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121692(P2008−121692)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】