説明

パッケージ化した媒体内部の化学的及び/又は物理的状態変化を光学的に検出するための検知システム

本発明は、本発明は、好ましくはパッケージ内部の、物質あるいは物質混合物を含む試料容量が少ないあるいは高粘性媒体内部の化学的及び/又は物理的状態変化の検出用の検知システムに関する。本発明の目的は、廉価に該物質及びそれらの混合物または異なった媒体の状態をチェックすることを可能とすることにある。本目的のために、本発明の検知システムは、カニューレ(2)に対して交換可能に連結可能としたエレメント(3)の上あるいは内部に膜あるいは感知フィルム(1)を配置可能となるように設計され、それによってエレメント(3)とカニューレ(2)とを測定可能な媒体中に導入し光学センサシステム(4)とにより光学的連結部を形成することを可能とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはパッケージ内部の、物質あるいは物質混合物を含む試料容量が少量のあるいは高粘性の媒体の化学的及び/又は物理的状態変化を光学的に検出するための検知システムに関する。特に、本発明は食料あるいは他の傷みやすい物質の状態をモニターするために適合する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題とするところは、特定の媒体の状態を経済的態様でチェックすることを可能とすることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明に係る検知システムは物質あるいは物質混合物内部の化学的及び/又は物理的状態変化を検出するためのものであって、少なくとも1つの状態変化に敏感な即ち状態のモニターを行う膜あるいは層がエレメント上に設けられている。このような膜あるいは層を有する該エレメントをカニューレの先端上あるいは先端内に交換可能に固定することができ、使用後にエレメントを処分し、システム残部、即ち光学センサシステムを備えたカニューレは複数回使用可能となっている。
【発明の効果】
【0004】
本発明に係るシステムは、その他の場合には閉止されるパッケージを通してあるいは固体あるいは高粘度媒体中に滑動エレメントにより挿入することができるが、この挿入は穿孔することによって行うことができる。その際に媒体内部に配置した膜あるいは層及び光学センサシステムを用いて少なくとも1つの被測定量の特定状態を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
光学検知システムは少なくとも1つの光学検知器と光源とから形成され、媒体中が特定状態となっているかどうかにより、特定層あるいは膜上であるいはまた特定層あるいは層内部における光学的変化を検知することができる。
【0006】
中空カニューレそれ自身が、例えば発光あるいはまた表面プラズモン共鳴を励起する光を層上あるいは膜内に導く光導波路を予め形成するようにすることができる。層あるいは膜から反射あるいは放射された光は該中空カニューレによって再度光学検知装置上に指向させることができ、光検出器はパッケージ内部の特定の状態あるいは状態変化を検知するための光学的な評価を行うのに使用することができる。
【0007】
中空カニューレを通して光導波路をガイドすることも可能であり、それによって該光導波路を少なくとも一本の光ファイバとすることもできる。
【0008】
干渉分光法、分光法あるいは上述の通り表面プラズモン共鳴あるいは発光強度の変化を通して、複数の状態すなわち状態変化を検知することができる。
【0009】
したがって、複数の層の変化を検知することもできる。
【0010】
パッケージ内部の酸素濃度はしばしばパッケージ内部に含まれる食料の状態を示す好適な指標であるが、酸素濃度の他に、炭化水素あるいは水素の濃度あるいは圧力や温度等の物理的パラメータのみならず水が存在しているかどうかも検知することができる。適当な染料あるいは選択性マーカーを膜あるいは層の内部あるいは上に存在させることもできる。したがって、所与の物質の影響下に発光消光効果を有する染料を用いて、光検出器によって検知される発光強度がある物質の特定濃度測定値となるようにすることもできる。
【0011】
また、温度あるいは圧力によって影響を受け色変化をする可能性のあるマーカーあるいは染料を用いることも可能である。好適には、変化可能なエレメントは穿孔保護部、いわゆる鉛筆の先のようなものを備えているべきであり、この穿孔保護部によって検知膜あるいは層を機械的な影響から保護する。
【0012】
本発明で使用される膜あるいは層は、ファイバ系光システムあるいは光学系上に直接用いることもできる。
【0013】
したがって、また接着フィルムの助けを得て複数の膜あるいはエレメントに固定することができ、またエレメント中に直接固定することも可能である。
【0014】
パッケージを閉止しあるいは閉止した較正容器内部に入れ、以下の較正を行うことができる。すなわち、測定値の具体的な変化を例えば真空あるいは過剰圧力により調整することによって、あるいは較正用ガスを供給することによって、あるいは温度を特異的に変化させることによって較正量の特異的な変化を調整することにより較正を行う。
【0015】
また、本発明で使用される膜あるいは層は自身に、光学あるいは化学的保護層を起用することができ、それにより例えば反射を低減し、あるいは湿気の影響を低減することができる。
【0016】
化学薬品保護層によって、酸等の攻撃性媒体の影響も低減することができる。
【0017】
したがって、対応する被測定物質(流体/ガス)の透過性層を形成することができ好都合である。これらの層は対応する厚さを有し、金属層、好ましくは貴金属層、特に好ましくは銀層とすることができる。
【0018】
特に好適な化学薬品保護層としては、PTFE層あるいはPTFE系層、金属層あるいは誘電層であることが立証された。
【0019】
限定はされるが、膜や層を有するエレメントを滅菌あるいは殺菌することもできるが、このような滅菌、殺菌はオートクレーブで処理で行え、あるいはガンマ線照射によって行うことができる。このようにすることによってある制限の下複数回使用することが可能となる。
【0020】
本発明のシステムによって、検知する間に何ら消費することがなく特定の物質の検知を行うことが可能となり、対応する系統的な測定誤差が何らでることがなく長期間に渡って極めて少量の量で測定を行うことが可能となる。
【0021】
小さな時定数及び短い応答時間を達成でき、パッケージから測定下(流体/ガス)に媒体を除去するための新たなエレメントを必要としない。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図面につき、以下に説明をする。
【0024】
図1は、本発明のシステムで用いることができるエレメント3の底部を通る横断面図を示す。
【0025】
ここに、エレメント3は前面が斜めに傾斜して形成され、その対抗面には連結部材10が設けられ、該連結部材10は好適にはルアーロック連結(Luer lock connection)として形成すべきである。
【0026】
カニューレ2またはエレメント3は内部が完全に中空とすることが可能で、中空とした場合には、内表面が電磁波を反射するように形成されるかあるいは電磁波反射に適した被膜を付与することが好適である。
【0027】
図示しない形態では、光エレメントもカニューレ2の内部に配置することができる。ここで使用できるエレメントとしては、異なる光導波路5、例えば光ファイバあるいはまたグリン(Grin)レンズ等の光画像形成エレメント等がある。
【0028】
図2と図3にカニューレに連結可能なエレメント3の2つの実施例を示す。エレメント3の上部を図示する。連結可能なエレメント3は単に上からカニューレ2の周りを摺動可能とされ、その後場合によっては固定することができる。
【0029】
図2と図3に示すエレメント3について、検知膜あるいは層を設けた光エレメント6が各エレメントの上面に設置され、物質固定態様でエレメント3に連結することが好ましい。
【0030】
ここで、光エレメント/部6は、場合によって透明な担体としても良く、該担体は例えば予め検知膜あるいは層1を形成したガラスによって形成する。
【0031】
また、検知膜あるいは層1は、図2と図3に示したのとは対照的に、光エレメントと単一のエレメントを形成してもよく、それによって該エレメントの少なくとも外方に指向する領域は感応性としなければならず、また検知膜あるいは層1の機能を発揮することできるものとする。
【0032】
物質固定連結は異なる態様で形成可能であり、例えば接合あるいは半田付け、あるいはまた溶融結合とすることもできる。
【0033】
図2に示す良好な形態の実施例で材料係止連結部を形成する際に有機成分を完全に除外することが可能であるエレメントを形成することが特に好ましい。ここに、カニューレ2上を滑動するためエレメント3は内部が中空とされ、光エレメント6としてのガラス板がエレメント3上に載置可能となっている。該ガラスを熱処理により加熱し、溶融連結部が形成されるようにする。次に、検知膜あるいは層1を外表面に形成することができる。
【0034】
図3に示す実施例では、光エレメント6はカニューレ2に連結可能なエレメント3の内部に予め収容する。
【0035】
図示しない形態では、光エレメント6を、例えば光ファイバ等の少なくとも1つの光導波路とすることもでき、あるいは光学画像形成エレメントあるいはグリン(GRIN)レンズ等の光学画像形成エレメントシステムとすることもできる。
【0036】
図4は、本発明の検知システムの模式形態の実施例を示す。
【0037】
ここに、カニューレ2は光センサシステム4に連結され、光導波路5はカニューレ2によりガイドされる。
【0038】
2つの部材によって1ピース構造が形成され、複数回使用することが可能となる。
【0039】
少なくとも1回の検知に対し、エレメント3は穿孔保護部8を有し、鉛筆先端形状とすることもでき、該エレメント3はカニューレ2上を滑動させることができるようになっている。
【0040】
また、穿孔保護部8を有するエレメント3は連結部材10を有するものとすることができ、連結部材10は同様にルアーロック連結(Luer lock connection)として形成することもできる。これにより、連結部はエレメント3と光センサシステム4とを連結し、ここでは認識できないが、エレメント3と穿孔保護部8と膜あるいは穿孔保護部内部に配置される層1との固定部を位置決めする。
【0041】
穿孔保護部8は少なくとも1つの開口部9を有し、開口部9を介して測定下の媒体が内部に入り、検知膜あるいは層1によって検知される。図5は穿孔保護部8内部の検知膜あるいは層1の可能な配置を示す。ここに、検知膜あるいは層1は開口部9の下方に設けられ、対応するキャビティが穿孔保護部8の内部で検知膜あるいは層の上方に存在し、物質あるいは物質混合物等の特定の媒体を測定下に収容し、当該物質あるいは物質混合物を検知膜あるいは層1と直接接触可能とする。
【0042】
図6に示す穿孔保護部8の例は、図4と図5にも示すように、本発明の他の部材と連結可能なエレメント3とすることができ、検知膜あるいは層1は測定下の媒体、物質あるいは物質混合物が入ることができる開口部の上方に配置される。
【0043】
検知膜あるいは層1の上方の空間は、本実施例ではフィラーが充填され、デッドスペースができないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のシステムに用いられるエレメントの底部の断面図である。
【図2】本発明の検知システムで用いられるエレメント(上部)の実施例の断面図である。
【図3】本発明のシステムで用いられるエレメント(上部)の別の実施例である。
【図4】本発明の検知システムの模式図である。
【図5】本発明のシステムに用いることができる穿孔保護部材の例の断面図である。
【図6】穿孔保護部の別の実施例である。
【符号の説明】
【0045】
1 検知膜または層
2 カニューレ
3 エレメント
4 光センサシステム
5 光導波路
6 光エレメント
7 フィラー
8 穿孔保護部材
9 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質あるは物質混合物の化学的及び/又は物理的状態あるいは状態変化を検知するための検知システムにおいて、カニューレ(2)に交換可能に連結可能とされたエレメント(3)上あるいは中に検知膜あるいは層(1)が配置され、カニューレ(2)とともにエレメントが測定下の媒体に導入され、光センサシステム(4)に対して光学的連結部を形成することを特徴とする、検知システム。
【請求項2】
前記光学的検知システムは少なくとも1つの光学検知器と光源とを有する、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記カニューレは内部に渡って中空とされ、光導波路を形成するか、あるいは少なくとも1つの光導波路(5)が中を通されている、請求項1または2のシステム。
【請求項4】
表面プラズモン共鳴、分光法あるいは発光強度変化を用いて、干渉分光法によってパッケージ内部の状態変化を前記膜あるいは層により検知可能となっている、請求項1乃至3のいずれかのシステム。
【請求項5】
層の厚さの変化、発光変化、屈折率変化、吸光度、透過率、反射率の変化、層/膜(1)の色の変化によって、化学物質濃度、特に炭化水素濃度、水素濃度、酸素濃度、含水量及び/または物理的パラメータ、特に圧力あるいは温度が検知可能となっている、請求項1乃至4のいずれかのシステム。
【請求項6】
1種あるいは2種以上の染料または選択性マーカーが前記膜あるいは層に含有されている、請求項1乃至5のいずれかのシステム。
【請求項7】
前記染料またはマーカーは濃度、温度または圧力に依存して影響を受ける、請求項6のシステム。
【請求項8】
前記連結可能なエレメントは穿孔保護部材(8)と少なくとも1つの開口部(9)を有する、請求項1乃至7のいずれかのシステム。
【請求項9】
前記連結可能なエレメント(3)は少なくとも1つの光エレメント(6)からなる、請求項1乃至8のいずれかのシステム。
【請求項10】
光エレメント(6)は光ファイバシステム、グリン(GRIN)レンズ、光学ロッド、ディスクあるいは光学レンズである、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記膜/層(1)は光ファイバシステム/光学システム上にあるいは中に直接形成されている、請求項1乃至10のいずれかのシステム。
【請求項12】
前記膜/層(1)は直接中空カニューレ/ニードル(2)に組み込まれている、請求項1乃至11のいずれかのシステム。
【請求項13】
前記膜/層(1)は直接中空エレメント(3)に組み込まれている、請求項1乃至12のいずれかのシステム。
【請求項14】
前記膜/層(1)は光ファイバシステム/光学システムに対して光学的に接触している、請求項1乃至13のいずれかのシステム。
【請求項15】
前記膜/層はフィラー(7)に適用されている、請求項1乃至14のいずれかのシステム。
【請求項16】
前記膜/層は接着フィルム上に固定されている、請求項1乃至15のいずれかのシステム。
【請求項17】
測定量が一定の変化をすること、例えば真空あるいは過剰圧力、ガスの供給あるいは温度変化によって、閉鎖された状態で較正を行うことが可能となる、請求項1乃至17のいずれかのシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの光学的あるいは化学的保護層が前記膜/層(1)に適用されている、請求項1乃至17のいずれかのシステム。
【請求項19】
少なくとも一層の透過性金属及び/又は誘電層、特に合成樹脂ラッカーあるいはアクリルラッカーからなるラッカー層、PTFEあるいはPTFE系保護層が形成されている、請求項18のシステム。
【請求項20】
前記膜/層(1)及び/又はエレメント(3)が滑動自在とされ、滅菌あるいは殺菌されている、請求項1乃至19のシステム。
【請求項21】
前記エレメント(3)はカニューレ(2)上に滑動可能とされ、あるいは螺合可能とされている、請求項1乃至20のいずれかの方法。
【請求項22】
システムがルアーロック連結(Luer lock connection)を含むことを特徴とする、請求項21乃至1のいずれかのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−514150(P2007−514150A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543362(P2006−543362)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002732
【国際公開番号】WO2005/057192
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506196959)セントロニック ゲーエムベーハー ゲゼルシャフト ファー オプティーシェ メスシステーメ (2)
【Fターム(参考)】