パティキュレート帯電装置の故障診断装置
【課題】排気ガス中のパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができるパティキュレート帯電装置の故障診断装置を提供する。
【解決手段】排気ガスG中のパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置4は、制御ユニット15によって故障診断が行われ、この故障診断では、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路3に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出装置20を用いて、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出装置によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出装置によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かが判断される。
【解決手段】排気ガスG中のパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置4は、制御ユニット15によって故障診断が行われ、この故障診断では、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路3に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出装置20を用いて、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出装置によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出装置によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かが判断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば希薄燃焼ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンなどを備えた車両においては、エンジンから排出される排気ガス中に炭素成分を含む粒子状物質(PM:パティキュレート)が含有されているため、パティキュレートを捕集するためのフィルタ部材を排気通路内に設けてパティキュレートの排出量を抑制することが行われている。
【0003】
また、排気ガス中のパティキュレートを負に帯電させ、正に帯電されたフィルタ部材を用いて静電気力によってパティキュレートを捕集し、パティキュレートの排出量を抑制することも知られている。これに関し、例えば特許文献1には、内燃機関の排気ガスに含まれるPMをコロナ放電により帯電させて凝集し、捕集する内燃機関用の排気浄化装置において、印加電圧の電流値を測定することにより排気浄化装置の故障の有無を判断する内燃機関用排気浄化装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006ー194116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両から外部に排出される排気ガス中のパティキュレートについて、パティキュレートの環境に与える影響等から、パティキュレートの排出量に加えて、マイクロメートルオーダーの粒子からナノメートルオーダーの粒子まで、排出されるパティキュレートの粒子数自体が問題となっている。
【0005】
パティキュレート帯電装置とパティキュレート捕集装置とを用いて、排気ガス中のパティキュレートを帯電させ、静電気力によってパティキュレートを捕集させ、パティキュレートの排出を抑制する場合、微小なパティキュレートが外部に排出されることを抑制する上で有用であるが、かかる場合には、パティキュレート帯電装置が、高温の排気ガスによって次第に熱劣化したり、長期使用によってその電源部が故障したりする畏れがある。
【0006】
このようなパティキュレート帯電装置の故障時には、パティキュレート帯電装置によって排気ガス中のパティキュレートを正常に帯電することができず、排気ガス中のパティキュレートがパティキュレート捕集装置を通過して外部に放出され得るので、パティキュレート帯電装置の故障を的確に検出することが望まれる。
【0007】
そこで、この発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができるパティキュレート帯電装置の故障診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与された状態で、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、を備えていることを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の請求項4に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、前記パティキュレート帯電装置が作動された状態で、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与した場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与しない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、を備えていることを特徴としたものである。
【0012】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴としたものである。
【0013】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係る発明において、前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本願の請求項1に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置によれば、パティキュレート排出量検出手段により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。詳細には、パティキュレート帯電装置を作動させていない場合、パティキュレートは排気通路内を流れている際に互いに接触することで極弱く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出手段に比較的少量が堆積し、一方、パティキュレート帯電装置を作動させている場合、パティキュレートは強く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出手段に比較的多く堆積する。したがって、パティキュレート帯電装置に故障が生じている場合には、前記パティキュレート排出量検出手段に堆積するパティキュレートの堆積量はパティキュレート帯電装置を作動させていない場合と比べてそれらの差が少なくなる又は極度に大きくなる、あるいはそれらの比率が1に近づく又は極度に大きくなるという現象が捉えられる。これを基にすれば、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0015】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、故障状態検出手段によってパティキュレート帯電装置の故障状態を検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断をより的確に行うことができる。前記故障状態検出手段によって検出されるパティキュレート帯電装置の故障状態から、パティキュレート帯電装置に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0016】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、パティキュレート排出量検出手段によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層の表面に堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0017】
また更に、本願の請求項4に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置によれば、パティキュレート排出量検出手段により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0018】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、故障状態検出手段によってパティキュレート帯電装置の故障状態を検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断をより的確に行うことができる。前記故障状態検出手段によって検出されるパティキュレート帯電装置の故障状態から、パティキュレートを帯電させるためにパティキュレート帯電装置に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0019】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、パティキュレート排出量検出手段によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層の表面に堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。図1に示すように、例えば希薄燃焼ガソリンエンジンなどのエンジン2から排出される排気ガスGを車両外部に放出するための排気通路3に、排気ガスG中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置(以下、適宜「PM帯電装置」を用いる)4と、排気ガスG中のパティキュレートを捕集するパティキュレート捕集装置(以下、適宜「PM捕集装置」を用いる)5とが排気ガスGの流れ方向に沿って順次配設されている。
【0021】
PM帯電装置4は、排気通路3の外形形状と略同等の外径を有し筒状に形成された外部電極4aと、外部電極4aの内部に設けられた内部電極(不図示)とを備え、外部電極4aと前記内部電極とはともに電源部16に接続され、後述する制御ユニット15によって、外部電極4aと前記内部電極との間で放電を生じさせるようにPM帯電装置4に電圧が印加されるようになっている。これにより、PM帯電装置4では、PM帯電装置4が作動した状態で、すなわちPM帯電装置4に電圧が印加された状態で外部電極4a内を通過する排気ガスG中のパティキュレートを帯電させることができるようになっている。
【0022】
なお、PM帯電装置4は、外部電極4aと前記内部電極とによって放電を生じさせて排気ガスG中のパティキュレートを帯電させているが、これに限定されるものでなく、例えば、筒状の誘電体の内側に棒状の電極が挿入されるとともに前記誘電体の外周面にコイルが巻き付けられたPM帯電装置を用いて、前記電極と前記コイルとの間に放電用電圧を印加して放電させ、排気ガス中のパティキュレートを帯電させるようにしてもよい。
【0023】
PM捕集装置5は、排気ガスG中のパティキュレートを捕集するためのフィルタ部材(不図示)を備え、前記フィルタ部材は電源部16に接続され、制御ユニット15によって、PM帯電装置4によって帯電されるパティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与されるように電源部16から前記フィルタ部材に電圧が印加されるようになっている。前記フィルタ部材は、PM帯電装置4によってパティキュレートが負に帯電される場合には正の電位が付与され、PM帯電装置4によってパティキュレートが正に帯電される場合には負の電位が付与されるようになっている。これにより、PM捕集装置5では、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレートを静電気力によって前記フィルタ部材に捕集することができるようになっている。
【0024】
図1に示すように、第1の実施形態に係るPM帯電装置4の故障診断装置10は、PM帯電装置4より下流側の排気通路3に、排気ガスG中に含まれるパティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出装置(以下、適宜「PM排出量検出装置」を用いる)20を備えており、このPM排出量検出装置20は、排気ガスGの流れ方向においてPM帯電装置4より下流側でPM捕集装置5より上流側の排気通路3に設けられている。
【0025】
図2は、パティキュレート排出量検出装置を示す図であり、図2の(a)は、PM排出量検出装置の上面図、図2の(b)は、PM排出量検出装置の正面図、図2の(c)は、PM排出量検出装置の側面図である。なお、図2(c)では、PM排出量検出装置の一部を切り欠いて断面図で示している。
【0026】
図2に示すように、PM排出量検出装置20は、検出素子31と、検出素子31を収容するハウジング21と、検出素子31を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ43とを備えている。
【0027】
図3は、パティキュレート排出量検出装置の検出素子を示す概略断面図であり、図4は、前記検出素子の分解斜視図である。図3及び図4に示すように、PM排出量検出装置20の検出素子31は、酸素イオン伝導性を有する第1の固体電解質層32及び第2の固体電解質層33と、第1の固体電解質層32と第2の固体電解質層33との間に埋設される第1の電極40と、第2の固体電解質層33において第1の電極40が設けられる表面と反対側の表面33aに、第1の電極40に対向して設けられる第2の電極41と、第2の電極41を挟むようにして固体電解質層33の表面33aに隣接して設けられる絶縁体層34とを備えている。
【0028】
また、検出素子31では、絶縁体層34において第2の電極41が設けられる表面と反対側の表面34aに、検出素子31の温度を検出する温度検出手段としての熱電対42が設けられている。固体電解質層32、33が、加熱ヒータ43により加熱される際には、熱電対42によって検出素子31の温度を測定することができるようになっている。
【0029】
第1及び第2の固体電解質層32、33は、例えばZrとNdとを含む複合酸化物(Zr−Nd−O)、ZrとYとを含む複合酸化物(Zr−Y−O)、ZrとYbとを含む複合酸化物(Zr−Yb−O)、ZrとLaとを含む複合酸化物(Zr−La−O)、ZrとCaとを含む複合酸化物(Zr−Ca−O)、ZrとCeとを含む複合酸化物(Zr−Ce−O)、及びZrとPrとを含む複合酸化物(Zr−Pr−O)などの酸素イオン伝導性を有する固体電解質を用いて形成され、第1及び第2の電極40、41は、例えばPt、Pt−Rhなどの熱耐久性を有する材料を用いて形成され、絶縁体層34は、例えば多孔質アルミナ及び多孔質スピネルなどの電気的に絶縁性を有する材料を用いて形成される。また、絶縁体層34は、電気的に絶縁性を有するとともに、酸素ガスが通過可能であるように微細連通孔を有する材料を用いて形成される。
【0030】
図5は、前記検出素子の検出原理を説明するための説明図である。検出素子31では、第1の固体電解質層32において第1の電極40が設けられる表面と反対側の表面32aにパティキュレート45が堆積した状態で固体電解質層32、33が加熱されると、第1の固体電解質層32の表面32aにおいて、パティキュレート45の主成分であるカーボン(C)が、第1の固体電解質層32内の酸素イオン(O2−)と反応して燃焼し、二酸化炭素(CO2)を生成するとともに第1の固体電解質層32に電子(e−)を与える(下記、化学式(1)参照)。
【0031】
【化1】
【0032】
一方、第2の固体電解質層33において第2の電極41が設けられる表面33aでは、絶縁体層34を通じて第2の固体電解質層33の表面33aに供給される雰囲気中の酸素(O2)が、電子(e−)を受け取りイオン化して、酸素イオン(O2−)として第2の固体電解質層33内に取り込まれる(下記、化学式(2)参照)。そして、この酸素イオンは、第2の固体電解質層33及び第1の固体電解質層32内を拡散して第1の固体電解質層32の表面32aに供給される。
【0033】
【化2】
【0034】
これにより、検出素子31では、パティキュレート45、具体的にはカーボンの燃焼に伴って第1の電極40と第2の電極41との間に酸素イオン濃度差が生じ、第1の電極40がマイナス極、第2の電極41がプラス極となり、第1の電極40と第2の電極41との間に起電力が生じる。この起電力は、後述するようにパティキュレートの堆積量に対応しているので、検出素子31では、かかる起電力に基づいて、パティキュレートの堆積量を検出することができる。
【0035】
次に、検出素子31において、パティキュレート45の堆積量と、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力との関係について説明する。
本実施形態では、検出素子31において、第1の固体電解質層32の表面32aに所定量のパティキュレート45を堆積させ、固体電解質層32、33を加熱してパティキュレート45を燃焼させ、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力を測定する試験を行った。
【0036】
第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力の測定では、第1及び第2の電極40、41としてPtを用い、第1及び第2の固体電解質32、33としてZrとNdとを含む複合酸化物(金属としてのZrとNdとのモル比は、Zr:Nd=79:21)を用い、パティキュレート堆積量1mg、3mg、4mgの3種類について大気雰囲気中において前記起電力を測定した。また、検出素子31を昇温速度10℃/minで昇温させ、パティキュレート45を燃焼させた。
【0037】
図6は、前記検出素子に堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力を示すグラフである。図6では、検出素子31の温度を横軸にとり、第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力を縦軸にとって表示し、パティキュレート堆積量1mg、3mg、4mgについて、パティキュレート45の燃焼時に第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力をそれぞれ実線、破線、一点鎖線で示している。
【0038】
図6に示すように、検出素子31においてパティキュレート45を燃焼させると、パティキュレート堆積量が1mg、3mg、4mgのいずれの場合においても、約450℃から起電力が生じ、約540℃から約620℃の間において起電力が大きくなることが分かった。また、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力は、パティキュレート堆積量が大きいほど大きくなることが分かった。
【0039】
図7は、前記検出素子に堆積されるパティキュレート堆積量と第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力との関係を示すグラフである。図7では、第1の固体電解質層32の表面32aに堆積させたパティキュレート堆積量を横軸にとり、PM堆積量検出素子31の温度560℃において第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力を縦軸にとって表示している。
【0040】
図7に示すように、検出素子31の温度560℃において第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力は、パティキュレート堆積量1mgでは約22mV、パティキュレート堆積量3mgでは約33mV、パティキュレート堆積量4mgでは約44mVであり、パティキュレート堆積量に応じて大きくなることが分かった。これにより、検出素子31では、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力に基づいて、固体電解質層32の表面32aに堆積されるパティキュレート堆積量を検出することができることが分かる。
【0041】
このような検出素子31を収容するハウジング21は、図2に示すように、上面部21a、下面部21b、側面部21c、正面部21d及び背面部21eによって箱状に形成され、ハウジング21内には、第1の固体電解質層32の表面32aがハウジング21の正面部21dに対向するようにして検出素子31が配設されている。
【0042】
ハウジング21の正面部21dには、第1の固体電解質層32の表面32aに対応して四角状に形成される第1の開口部22が設けられるとともに、平板状のシャッタ部材25が備えられている。シャッタ部材25は、ハウジング21に取り付けられた軸部材26に対し、図示しない駆動機構によって、矢印Rに示すように回動可能に支持され、第1の固体電解質層32の表面32aを開閉可能に覆うことができるようになっている。
【0043】
また、ハウジング21の背面部21eには、第2の開口部23が設けられ、第2の開口部23を通じて酸素ガスがハウジング21内に取り込まれ、この酸素ガスが絶縁体層4を通じて第2の固体電解質層33の表面33aに供給されるようになっている。なお、ハウジング21、シャッタ部材25及び軸部材26は、例えばステンレスなど耐熱性を有する材料を用いて成形される。
【0044】
検出素子31を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ43は、シャッタ部材25に取り付けられ、シャッタ部材25が閉じられた状態で、すなわちシャッタ部材25が第1の固体電解質層32の表面32aを覆った状態で、検出素子31、具体的には固体電解質層32、33を加熱することができるようになっている。
【0045】
PM排出量検出装置20はまた、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力を検出する起電力検出手段(不図示)を備えるとともに、PM帯電装置4によって帯電されるパティキュレート45の極性と逆の極性の電位(以下、適宜「逆電位」という)が付与されるようになっている。PM排出量検出装置20、具体的には検出素子31は、PM帯電装置4によってパティキュレート45が負に帯電される場合には正の電位が付与され、PM帯電装置4によってパティキュレート45が正に帯電される場合には負の電位が付与されるように電力が印加されるようになっている。
【0046】
このようにして構成されるPM排出量検出装置20は、図1に示すように、エンジン2の排気系に関係する構成を制御するために設けられた制御ユニット15によって制御される。この制御ユニット15は、シャッタ部材25の開閉駆動、加熱ヒータ43の作動並びにPM帯電装置4、PM捕集装置5及びPM排出量検出装置20への電力印加などを制御するととともに、前記起電力検出手段によって検出される起電力に基づいて、具体的には、熱電対12によって検出される検出素子31の温度と前記起電力検出手段によって検出される起電力に基づいて、検出素子31に堆積されるパティキュレートの堆積量、ひいてはパティキュレートの排出量を検出するとともに、後述するようにPM帯電装置4の故障診断処理を行う。なお、前記制御ユニットは、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。
【0047】
PM排出量検出装置20を用いて排気ガスG中のパティキュレートの排出量を検出する際には、PM排出量検出装置20は、好ましくは、検出素子31の第1の固体電解質層32の表面32aが排気ガスGの流れ方向に対向するようにしてエンジン2の排気通路3内に設けられる。
【0048】
図8は、パティキュレート排出量検出装置の動作を説明するための図であり、図8の(a)は、PM排出量検出装置20においてシャッタ部材25が開いた状態を示し、図8の(b)は、PM排出量検出装置20においてシャッタ部材25が閉じた状態を示している。
【0049】
排気ガスG中のパティキュレート排出量を検出する際には、図8(a)に示すように、排気通路3内に第1の固体電解質層32の表面32aを露出させて第1の固体電解質層32の表面32aに排気ガスG中のパティキュレート45が堆積されるように、シャッタ部材25を開いてシャッタ部材25を開状態にする。
【0050】
PM排出量検出装置20では、シャッタ部材25を、例えば60秒など所定時間開状態にした後に、図8(b)に示すように、第1の固体電解質層32の表面32aに排気ガス中のパティキュレート45が堆積しないように、シャッタ部材25を閉じてシャッタ部材25を閉状態にする。
【0051】
そして、シャッタ部材25を閉状態にした後に、加熱ヒータ43からの伝熱によって固体電解質層32、33を加熱して第1の固体電解質層32の表面32aに堆積しているパティキュレート45を燃焼させる。このパティキュレート45の燃焼に伴って、第1の固体電界質層32の表面32aでは、パティキュレート45が第1の固体電解質層32内の酸素イオンと反応して二酸化炭素を生成するとともに第1の固体電解質層32に電子を与え、第2の固体電解質層33の表面33aでは、絶縁体層34を通じて供給される酸素が電子を受け取り酸素イオンとして取り込まれ、第1の電極40と第2の電極41との間に起電力が生じる。
【0052】
PM排出量検出装置20では、一対の電極40、41の間に生じる起電力が前記起電力検出手段によって検出され、パティキュレート45の燃焼時における検出素子31の温度が熱電対12によって検出され、制御ユニット15では、検出素子31の温度及び前記起電力に基づいてパティキュレートの堆積量が検出される。これにより、PM排出量検出装置20では、このパティキュレートの堆積量から前記所定時間に排出されるパティキュレートの排出量が検出される。
【0053】
なお、PM排出量検出装置20のシャッタ部材25は、パティキュレート45が固体電解質層32の表面32aを覆うように開閉可能な機能を有していればよく、ハウジング21と離間し、且つ固体電解質層32の表面32aの排気ガス上流部において別部材として設けられる構造を採用してもよい。
【0054】
次に、PM排出量検出装置20を用いたPM帯電装置4の故障診断処理について説明する。
前述したように、制御ユニット15は、PM排出量検出装置20によって検出されるパティキュレート堆積量、ひいてはパティキュレート排出量に基づいて、PM帯電装置4が故障しているか否かについての診断処理を行う。また、制御ユニット15は、PM帯電装置4が故障している場合に、PM帯電装置4の故障状態を検出するようになっている。
【0055】
図9は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第1のフローチャートである。PM帯電装置4の故障診断を行う際には、先ず、シャッタ部材25を閉じた状態で、加熱ヒータ43を作動させてPM排出量検出装置20に残留するパティキュレート45を燃焼させて除去する(ステップ#1)。そして、PM帯電装置4の作動を開始し(ステップ#2)、排気ガスG中のパティキュレート45を帯電させる。
【0056】
次に、PM排出量検出装置20に逆電位を付与する(ステップ#3)。PM排出量検出装置20、具体的にはPM堆積量検出素子31に、PM帯電装置4によってパティキュレート45が帯電される極性と逆の極性の電位を付与するようにPM排出量検出装置20に電圧が印加される。そして、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#4)、PM排出量検出装置20にパティキュレート45を取り込む。排気ガスGに固体電解質層32の表面32aを露出させ、該表面32aにパティキュレート45を堆積させる。排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質層32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるとともに、帯電されたパティキュレート45が静電気力によって引き寄せられて堆積される。その後に、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#5)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#6)。
【0057】
ここで、エンジン2の運転状態とエンジン2から排出されるパティキュレート45の排出量との関係について説明する。
図10は、種々の運転状態においてエンジンから排出されるパティキュレートの粒径分布を示すグラフである。図10では、パティキュレート45の粒径を横軸にとり、パティキュレート45の個数を縦軸にとり、アイドリング時、40km、60km、80km及び100km走行時について、エンジン2から排出されるパティキュレート45の粒径分布を示している。
【0058】
この図に示すように、アイドリング状態では、走行状態に比して小さい粒径のパティキュレート45が排出され、走行状態では、高速運転時は、低速運転時に比して多くのパティキュレート45が排出され、運転状態に応じてパティキュレートの排出量が大きく異なっている。そのため、故障診断処理では、エンジン2の運転状態とパティキュレート排出量との相関関係を示すマップを予め作成しておき、PM排出量検出装置20によって検出されるパティキュレート排出量を運転状態に応じて補正する。
【0059】
ステップ#6で運転状態を読み込むと、次に、加熱ヒータ43を作動させ、固体電解質層32の表面32aに堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出する。そして、このパティキュレート排出量を、ステップ#6で読み込んだ運転状態に応じて補正してパティキュレート排出量(A)(PM排出量(A))を算出する(ステップ#7)。
【0060】
その後に、PM帯電装置4の作動を停止し(ステップ#8)、かかる状態で、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#9)、PM排出量検出装置20にパティキュレート45を取り込む。排気ガスGに固体電解質層32の表面32aを露出させ、固体電解質層32の表面32aにパティキュレート45を堆積させる。排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質層32の表面32aに衝突して物理的に堆積される。その後に、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#10)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#11)。
【0061】
ステップ#11で運転状態を読み込むと、次に、加熱ヒータ43を作動させ、固体電解質層32の表面32aに堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出する。そして、このパティキュレート排出量をステップ#11で読み込んだ運転状態に応じて補正してパティキュレート排出量(B)(PM排出量(B))を算出する(ステップ#12)。
【0062】
次に、ステップ#7で算出されたPM排出量(A)とステップ#12で算出されたPM排出量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#13)、このPM排出量(A)とPM排出量(B)との差(A−B)(PM排出量の差(A−B))が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断される(ステップ#14)。PM排出量の差(A−B)は、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量に対応するので、ステップ#14においてPM帯電装置4が正常に作動しているか否かが判断される。所定値X、Yは、PM帯電装置4の作動が正常である範囲を設定するものであり、例えば所定値Xは所定値Yの90%など運転状態に応じて好適に設定される。
【0063】
ステップ#14での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下である場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了する。一方、ステップ#14での判定結果がNOの場合、すなわち、PM排出量の差(A−B)が、所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、例えばPM帯電装置異常などの警告を発し(ステップ#15)、運転者にPM帯電装置4が故障していることを知らせる。なお、ステップ#7及びステップ#12において、PM排出量検出装置20によってパティキュレートを燃焼させてパティキュレート排出量を検出する際にはPM排出量検出装置20への電圧印加は一時的に停止される。
【0064】
本実施形態では、PM排出量(A)とPM排出量(B)との差(A−B)に基づいてPM帯電装置4が故障しているか否かを判断しているが、PM排出量(A)とPM排出量(B)との比率に基づいてPM帯電装置4が故障しているか否かを判断するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、PM排出量検出装置20は、第1の固体電解質層32の表面32aにパティキュレート45を堆積させるようにしているが、第1の固体電解質層32を設けることなく、第1の電極40が設けられる固体電解質層33の表面にパティキュレート45を堆積させるようにしてもよい。
【0066】
このように、第1のフローチャートに示す故障診断処理によれば、PM排出量検出装置20により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。詳細には、パティキュレート帯電装置4を作動させていない場合、パティキュレート45は排気通路3内を流れている際に互いに接触することで極弱く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出装置20に比較的少量が堆積し、一方、パティキュレート帯電装置4を作動させている場合、パティキュレート45は強く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出装置20に比較的多く堆積する。したがって、パティキュレート帯電装置4に故障が生じている場合には、パティキュレート排出量検出装置20に堆積するパティキュレート45の堆積量はパティキュレート帯電装置4を作動させていない場合と比べてそれらの差が少なくなる又は極度に大きくなる、あるいはそれらの比率が1に近づく又は極度に大きくなるという現象が捉えられる。これを基にすれば、パティキュレート帯電装置4におけるパティキュレート45の帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置4の故障診断を的確に行うことができる。
【0067】
また、PM排出量検出装置20によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層32の表面32aに堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0068】
図11は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第2のフローチャートである。前記第2のフローチャートは、図9に示す第1のフローチャートとステップ#1からステップ#13までは同様のステップを備えているため、ステップ#1からステップ#13までについては省略して示している。
【0069】
図11に示すフローチャートにおいても、ステップ#7で算出されたPM排出量(A)とステップ#12で算出されたPM排出量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#13)、このPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断される(ステップ#14)。第2のフローチャートでは、ステップ#14での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値X以上且つ所定値Y以下である場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了するのに対し、ステップ#14での判定結果がNOの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が、所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、次に、PM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きいか否かが判断される(ステップ#25)。
【0070】
ステップ#25での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量が多すぎるのでPM帯電装置4への印加電圧が増加していると判断し、警告「PM帯電装置印加電圧増加」を発し、運転者にPM帯電装置4への印加電圧が増加していることを知らせる(ステップ#26)。
【0071】
一方、ステップ#25での判定結果がNOの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値Y以下、ひいては所定値Xより小さい場合には、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量が少なすぎるのでPM帯電装置4への印加電圧が低下していると判断し、警告「PM帯電装置印加電圧低下」を発し、運転者にPM帯電装置4への印加電圧が低下していることを知らせる(ステップ#27)。
【0072】
このように、第2のフローチャートに示す故障診断処理によれば、制御ユニット15によってPM帯電装置4の故障状態を検出することができ、PM帯電装置4の故障診断をより的確に行うことができる。制御ユニット15によって検出されるPM帯電装置の故障状態から、PM帯電装置4に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0073】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。第2の実施形態に係るPM帯電装置の故障診断装置50は、PM帯電装置4とPM捕集装置5との間の排気通路3に2つのPM排出量検出装置60、70が設けられていること以外は、図1に示したPM帯電装置の故障診断装置10と同様の構成を備えているため、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
前記故障診断装置50は、エンジン2の排気通路3に、排気ガスGの流れ方向に沿って設けられたPM帯電装置4とPM捕集装置5との間に、排気ガスGの流れ方向上流側に設けられる第1のPM排出量検出装置60と排気ガスGの流れ方向下流側に設けられる第2のPM排出量検出装置70とを備え、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70はそれぞれ、前述したPM排出量検出装置20と同様の構成を備えている。
【0075】
第1及び第2のPM排出量検出装置60、70はそれぞれ、制御ユニット55に接続され、制御ユニット55は、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25や加熱ヒータ43の作動及びPM排出量検出装置60、70への印加電圧などを制御するとともに、固体電界質層32の表面32aに堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に一対の電極40、41間に生じる起電力に基づいて、パティキュレートの堆積量、ひいてはパティキュレートの排出量を検出し、PM帯電装置4の故障診断処理を行う。
【0076】
図13は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第3のフローチャートである。前記故障診断装置50を用い、第3のフローチャートによるPM帯電装置4の故障診断処理についても、先ず、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を閉じた状態で加熱ヒータ43を作動させて第1及び第2のPM排出量検出装置60、70に残留するパティキュレート45を燃焼させて除去する(ステップ#31)。そして、PM帯電装置4の作動を開始し(ステップ#32)、排気ガスG中のパティキュレート45を帯電させる。
【0077】
次に、第1のPM排出量検出装置60にのみ逆電位を付与する(ステップ#33)。PM排出量検出装置60、具体的にはPM排出量検出装置60の検出素子31に、PM帯電装置4によってパティキュレート45が帯電される極性と逆の極性の電位を付与するようにPM排出量検出装置60に電圧が印加される。そして、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#34)、パティキュレート45を取り込む。第1及び第2のPM排出量検出装置60、70について、排気ガスGに固体電解質32の表面32aを露出させ、該表面32aにパティキュレート45を堆積させる。
【0078】
第1のPM排出量検出装置60では、該PM排出量検出装置60に逆電位が付与されているので、排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるとともに、帯電されたパティキュレート45が静電気力の作用によって引き寄せられて堆積される。一方、第2のPM排出量検出装置70では、該PM排出量検出装置70に逆電位が付与されていないので、排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるのみである。その後に、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#35)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#36)。
【0079】
ステップ#36で運転状態を読み込むと、次に、第1のPM排出量検出装置60について、加熱ヒータ43を作動させ、PM排出量検出装置60に堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出し、このパティキュレート排出量をステップ#36で読み込んだ運転状態に応じて補正してPM排出量(A)を算出する(ステップ#37)。
【0080】
また、第2のPM排出量検出装置70についても、加熱ヒータ43を作動させ、PM排出量検出装置70に堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、パティキュレート排出量を検出し、このパティキュレート排出量をステップ#36で読み込んだ運転状態に応じて補正してPM排出量(B)を算出する(ステップ#38)。尚、パティキュレートの排出量を検出する際は、固体電解質32および表面32aへの印加電圧は停止されている。
【0081】
そして、ステップ#37で算出されたPM排出量(A)とステップ#38で算出されたPM堆積量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#39)、このPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断され(ステップ#40)、PM帯電装置4が正常に作動しているか否かが判断される。ステップ#40での判定結果がYESの場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了する一方、ステップ#40での判定結果がNOの場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、例えばPM帯電装置異常などの警告を発し(ステップ#41)、運転者にPM帯電装置4が故障していることを知らせる。
【0082】
本実施形態では、PM帯電装置4を作動させた状態で、逆電位が付与されるPM排出量検出装置60と逆電位が付与されないPM排出量検出装置70とを用いて、PM帯電装置4の故障診断を行っているが、1つのPM排出量検出装置を用いて、このPM排出量検出装置に逆電位を付与した場合に検出されるパティキュレートの排出量と逆電位を付与しない場合に検出されるパティキュレートの排出量からPM帯電装置4の故障診断を行うようにしてもよい。
【0083】
このように、第3のフローチャートに示す故障診断処理においても、PM排出量検出装置20により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0084】
また、PM帯電装置4より下流側の排気通路3に設けられた2つのPM排出量検出装置60、70によりPM帯電装置4の故障診断を行うことができるので、1つのPM排出量検出装置を用いてPM帯電装置の故障診断を行う場合に比して、PM帯電装置4の故障診断を素早く行うことができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0085】
図13に示す第3のフローチャートにおいても、図11に示す第2のフローチャートのように、PM排出量の差(A−B)が所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合に、PM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きいか否かを判断することにより、PM帯電装置4への印加電圧が増加しているのか低下しているのかを判断することができ、運転者にPM帯電装置4の故障状態を知らせることができる。
【0086】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、本発明では、PM排出量検出装置に逆電位を印加し、パティキュレートとPM排出量検出装置間に静電気力による引力を発生しているが、PM排出量検出装置に同じ電位を印加し、パティキュレートとPM排出量検出装置間に静電気力による斥力を発生させて同じような制御を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、自動車等の車両を含み、エンジンの排気通路にパティキュレート帯電装置を備えたものであれば、如何なるものにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】パティキュレート排出量検出装置を示す図である。
【図3】パティキュレート排出量検出装置の検出素子を示す概略断面図である。
【図4】前記検出素子の分解斜視図である。
【図5】前記検出素子の検出原理を説明するための説明図である。
【図6】前記検出素子に堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力を示すグラフである。
【図7】前記検出素子に堆積されるパティキュレート堆積量と第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力との関係を示すグラフである。
【図8】パティキュレート排出量検出装置の動作を説明するための図である。
【図9】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第1のフローチャートである。
【図10】運転状態に応じて排出されるパティキュレートの粒径分布を示すグラフである。
【図11】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第2のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。
【図13】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第3のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
2 エンジン
3 排気通路
4 パティキュレート帯電装置
10、50 故障診断装置
15、55 制御ユニット
20、60、70 パティキュレート排出量検出装置
32、33 固体電解質層
40、41 電極
43 加熱ヒータ
45 パティキュレート
G 排気ガス
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば希薄燃焼ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンなどを備えた車両においては、エンジンから排出される排気ガス中に炭素成分を含む粒子状物質(PM:パティキュレート)が含有されているため、パティキュレートを捕集するためのフィルタ部材を排気通路内に設けてパティキュレートの排出量を抑制することが行われている。
【0003】
また、排気ガス中のパティキュレートを負に帯電させ、正に帯電されたフィルタ部材を用いて静電気力によってパティキュレートを捕集し、パティキュレートの排出量を抑制することも知られている。これに関し、例えば特許文献1には、内燃機関の排気ガスに含まれるPMをコロナ放電により帯電させて凝集し、捕集する内燃機関用の排気浄化装置において、印加電圧の電流値を測定することにより排気浄化装置の故障の有無を判断する内燃機関用排気浄化装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006ー194116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両から外部に排出される排気ガス中のパティキュレートについて、パティキュレートの環境に与える影響等から、パティキュレートの排出量に加えて、マイクロメートルオーダーの粒子からナノメートルオーダーの粒子まで、排出されるパティキュレートの粒子数自体が問題となっている。
【0005】
パティキュレート帯電装置とパティキュレート捕集装置とを用いて、排気ガス中のパティキュレートを帯電させ、静電気力によってパティキュレートを捕集させ、パティキュレートの排出を抑制する場合、微小なパティキュレートが外部に排出されることを抑制する上で有用であるが、かかる場合には、パティキュレート帯電装置が、高温の排気ガスによって次第に熱劣化したり、長期使用によってその電源部が故障したりする畏れがある。
【0006】
このようなパティキュレート帯電装置の故障時には、パティキュレート帯電装置によって排気ガス中のパティキュレートを正常に帯電することができず、排気ガス中のパティキュレートがパティキュレート捕集装置を通過して外部に放出され得るので、パティキュレート帯電装置の故障を的確に検出することが望まれる。
【0007】
そこで、この発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができるパティキュレート帯電装置の故障診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与された状態で、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、を備えていることを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の請求項4に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、前記パティキュレート帯電装置が作動された状態で、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与した場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与しない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、を備えていることを特徴としたものである。
【0012】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴としたものである。
【0013】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係る発明において、前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本願の請求項1に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置によれば、パティキュレート排出量検出手段により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。詳細には、パティキュレート帯電装置を作動させていない場合、パティキュレートは排気通路内を流れている際に互いに接触することで極弱く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出手段に比較的少量が堆積し、一方、パティキュレート帯電装置を作動させている場合、パティキュレートは強く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出手段に比較的多く堆積する。したがって、パティキュレート帯電装置に故障が生じている場合には、前記パティキュレート排出量検出手段に堆積するパティキュレートの堆積量はパティキュレート帯電装置を作動させていない場合と比べてそれらの差が少なくなる又は極度に大きくなる、あるいはそれらの比率が1に近づく又は極度に大きくなるという現象が捉えられる。これを基にすれば、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0015】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、故障状態検出手段によってパティキュレート帯電装置の故障状態を検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断をより的確に行うことができる。前記故障状態検出手段によって検出されるパティキュレート帯電装置の故障状態から、パティキュレート帯電装置に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0016】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、パティキュレート排出量検出手段によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層の表面に堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0017】
また更に、本願の請求項4に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置によれば、パティキュレート排出量検出手段により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0018】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、故障状態検出手段によってパティキュレート帯電装置の故障状態を検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断をより的確に行うことができる。前記故障状態検出手段によって検出されるパティキュレート帯電装置の故障状態から、パティキュレートを帯電させるためにパティキュレート帯電装置に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0019】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、パティキュレート排出量検出手段によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層の表面に堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。図1に示すように、例えば希薄燃焼ガソリンエンジンなどのエンジン2から排出される排気ガスGを車両外部に放出するための排気通路3に、排気ガスG中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置(以下、適宜「PM帯電装置」を用いる)4と、排気ガスG中のパティキュレートを捕集するパティキュレート捕集装置(以下、適宜「PM捕集装置」を用いる)5とが排気ガスGの流れ方向に沿って順次配設されている。
【0021】
PM帯電装置4は、排気通路3の外形形状と略同等の外径を有し筒状に形成された外部電極4aと、外部電極4aの内部に設けられた内部電極(不図示)とを備え、外部電極4aと前記内部電極とはともに電源部16に接続され、後述する制御ユニット15によって、外部電極4aと前記内部電極との間で放電を生じさせるようにPM帯電装置4に電圧が印加されるようになっている。これにより、PM帯電装置4では、PM帯電装置4が作動した状態で、すなわちPM帯電装置4に電圧が印加された状態で外部電極4a内を通過する排気ガスG中のパティキュレートを帯電させることができるようになっている。
【0022】
なお、PM帯電装置4は、外部電極4aと前記内部電極とによって放電を生じさせて排気ガスG中のパティキュレートを帯電させているが、これに限定されるものでなく、例えば、筒状の誘電体の内側に棒状の電極が挿入されるとともに前記誘電体の外周面にコイルが巻き付けられたPM帯電装置を用いて、前記電極と前記コイルとの間に放電用電圧を印加して放電させ、排気ガス中のパティキュレートを帯電させるようにしてもよい。
【0023】
PM捕集装置5は、排気ガスG中のパティキュレートを捕集するためのフィルタ部材(不図示)を備え、前記フィルタ部材は電源部16に接続され、制御ユニット15によって、PM帯電装置4によって帯電されるパティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与されるように電源部16から前記フィルタ部材に電圧が印加されるようになっている。前記フィルタ部材は、PM帯電装置4によってパティキュレートが負に帯電される場合には正の電位が付与され、PM帯電装置4によってパティキュレートが正に帯電される場合には負の電位が付与されるようになっている。これにより、PM捕集装置5では、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレートを静電気力によって前記フィルタ部材に捕集することができるようになっている。
【0024】
図1に示すように、第1の実施形態に係るPM帯電装置4の故障診断装置10は、PM帯電装置4より下流側の排気通路3に、排気ガスG中に含まれるパティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出装置(以下、適宜「PM排出量検出装置」を用いる)20を備えており、このPM排出量検出装置20は、排気ガスGの流れ方向においてPM帯電装置4より下流側でPM捕集装置5より上流側の排気通路3に設けられている。
【0025】
図2は、パティキュレート排出量検出装置を示す図であり、図2の(a)は、PM排出量検出装置の上面図、図2の(b)は、PM排出量検出装置の正面図、図2の(c)は、PM排出量検出装置の側面図である。なお、図2(c)では、PM排出量検出装置の一部を切り欠いて断面図で示している。
【0026】
図2に示すように、PM排出量検出装置20は、検出素子31と、検出素子31を収容するハウジング21と、検出素子31を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ43とを備えている。
【0027】
図3は、パティキュレート排出量検出装置の検出素子を示す概略断面図であり、図4は、前記検出素子の分解斜視図である。図3及び図4に示すように、PM排出量検出装置20の検出素子31は、酸素イオン伝導性を有する第1の固体電解質層32及び第2の固体電解質層33と、第1の固体電解質層32と第2の固体電解質層33との間に埋設される第1の電極40と、第2の固体電解質層33において第1の電極40が設けられる表面と反対側の表面33aに、第1の電極40に対向して設けられる第2の電極41と、第2の電極41を挟むようにして固体電解質層33の表面33aに隣接して設けられる絶縁体層34とを備えている。
【0028】
また、検出素子31では、絶縁体層34において第2の電極41が設けられる表面と反対側の表面34aに、検出素子31の温度を検出する温度検出手段としての熱電対42が設けられている。固体電解質層32、33が、加熱ヒータ43により加熱される際には、熱電対42によって検出素子31の温度を測定することができるようになっている。
【0029】
第1及び第2の固体電解質層32、33は、例えばZrとNdとを含む複合酸化物(Zr−Nd−O)、ZrとYとを含む複合酸化物(Zr−Y−O)、ZrとYbとを含む複合酸化物(Zr−Yb−O)、ZrとLaとを含む複合酸化物(Zr−La−O)、ZrとCaとを含む複合酸化物(Zr−Ca−O)、ZrとCeとを含む複合酸化物(Zr−Ce−O)、及びZrとPrとを含む複合酸化物(Zr−Pr−O)などの酸素イオン伝導性を有する固体電解質を用いて形成され、第1及び第2の電極40、41は、例えばPt、Pt−Rhなどの熱耐久性を有する材料を用いて形成され、絶縁体層34は、例えば多孔質アルミナ及び多孔質スピネルなどの電気的に絶縁性を有する材料を用いて形成される。また、絶縁体層34は、電気的に絶縁性を有するとともに、酸素ガスが通過可能であるように微細連通孔を有する材料を用いて形成される。
【0030】
図5は、前記検出素子の検出原理を説明するための説明図である。検出素子31では、第1の固体電解質層32において第1の電極40が設けられる表面と反対側の表面32aにパティキュレート45が堆積した状態で固体電解質層32、33が加熱されると、第1の固体電解質層32の表面32aにおいて、パティキュレート45の主成分であるカーボン(C)が、第1の固体電解質層32内の酸素イオン(O2−)と反応して燃焼し、二酸化炭素(CO2)を生成するとともに第1の固体電解質層32に電子(e−)を与える(下記、化学式(1)参照)。
【0031】
【化1】
【0032】
一方、第2の固体電解質層33において第2の電極41が設けられる表面33aでは、絶縁体層34を通じて第2の固体電解質層33の表面33aに供給される雰囲気中の酸素(O2)が、電子(e−)を受け取りイオン化して、酸素イオン(O2−)として第2の固体電解質層33内に取り込まれる(下記、化学式(2)参照)。そして、この酸素イオンは、第2の固体電解質層33及び第1の固体電解質層32内を拡散して第1の固体電解質層32の表面32aに供給される。
【0033】
【化2】
【0034】
これにより、検出素子31では、パティキュレート45、具体的にはカーボンの燃焼に伴って第1の電極40と第2の電極41との間に酸素イオン濃度差が生じ、第1の電極40がマイナス極、第2の電極41がプラス極となり、第1の電極40と第2の電極41との間に起電力が生じる。この起電力は、後述するようにパティキュレートの堆積量に対応しているので、検出素子31では、かかる起電力に基づいて、パティキュレートの堆積量を検出することができる。
【0035】
次に、検出素子31において、パティキュレート45の堆積量と、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力との関係について説明する。
本実施形態では、検出素子31において、第1の固体電解質層32の表面32aに所定量のパティキュレート45を堆積させ、固体電解質層32、33を加熱してパティキュレート45を燃焼させ、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力を測定する試験を行った。
【0036】
第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力の測定では、第1及び第2の電極40、41としてPtを用い、第1及び第2の固体電解質32、33としてZrとNdとを含む複合酸化物(金属としてのZrとNdとのモル比は、Zr:Nd=79:21)を用い、パティキュレート堆積量1mg、3mg、4mgの3種類について大気雰囲気中において前記起電力を測定した。また、検出素子31を昇温速度10℃/minで昇温させ、パティキュレート45を燃焼させた。
【0037】
図6は、前記検出素子に堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力を示すグラフである。図6では、検出素子31の温度を横軸にとり、第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力を縦軸にとって表示し、パティキュレート堆積量1mg、3mg、4mgについて、パティキュレート45の燃焼時に第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力をそれぞれ実線、破線、一点鎖線で示している。
【0038】
図6に示すように、検出素子31においてパティキュレート45を燃焼させると、パティキュレート堆積量が1mg、3mg、4mgのいずれの場合においても、約450℃から起電力が生じ、約540℃から約620℃の間において起電力が大きくなることが分かった。また、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力は、パティキュレート堆積量が大きいほど大きくなることが分かった。
【0039】
図7は、前記検出素子に堆積されるパティキュレート堆積量と第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力との関係を示すグラフである。図7では、第1の固体電解質層32の表面32aに堆積させたパティキュレート堆積量を横軸にとり、PM堆積量検出素子31の温度560℃において第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力を縦軸にとって表示している。
【0040】
図7に示すように、検出素子31の温度560℃において第1の電極40と第2の電極41との間に生じた起電力は、パティキュレート堆積量1mgでは約22mV、パティキュレート堆積量3mgでは約33mV、パティキュレート堆積量4mgでは約44mVであり、パティキュレート堆積量に応じて大きくなることが分かった。これにより、検出素子31では、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力に基づいて、固体電解質層32の表面32aに堆積されるパティキュレート堆積量を検出することができることが分かる。
【0041】
このような検出素子31を収容するハウジング21は、図2に示すように、上面部21a、下面部21b、側面部21c、正面部21d及び背面部21eによって箱状に形成され、ハウジング21内には、第1の固体電解質層32の表面32aがハウジング21の正面部21dに対向するようにして検出素子31が配設されている。
【0042】
ハウジング21の正面部21dには、第1の固体電解質層32の表面32aに対応して四角状に形成される第1の開口部22が設けられるとともに、平板状のシャッタ部材25が備えられている。シャッタ部材25は、ハウジング21に取り付けられた軸部材26に対し、図示しない駆動機構によって、矢印Rに示すように回動可能に支持され、第1の固体電解質層32の表面32aを開閉可能に覆うことができるようになっている。
【0043】
また、ハウジング21の背面部21eには、第2の開口部23が設けられ、第2の開口部23を通じて酸素ガスがハウジング21内に取り込まれ、この酸素ガスが絶縁体層4を通じて第2の固体電解質層33の表面33aに供給されるようになっている。なお、ハウジング21、シャッタ部材25及び軸部材26は、例えばステンレスなど耐熱性を有する材料を用いて成形される。
【0044】
検出素子31を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ43は、シャッタ部材25に取り付けられ、シャッタ部材25が閉じられた状態で、すなわちシャッタ部材25が第1の固体電解質層32の表面32aを覆った状態で、検出素子31、具体的には固体電解質層32、33を加熱することができるようになっている。
【0045】
PM排出量検出装置20はまた、第1の電極40と第2の電極41との間に生じる起電力を検出する起電力検出手段(不図示)を備えるとともに、PM帯電装置4によって帯電されるパティキュレート45の極性と逆の極性の電位(以下、適宜「逆電位」という)が付与されるようになっている。PM排出量検出装置20、具体的には検出素子31は、PM帯電装置4によってパティキュレート45が負に帯電される場合には正の電位が付与され、PM帯電装置4によってパティキュレート45が正に帯電される場合には負の電位が付与されるように電力が印加されるようになっている。
【0046】
このようにして構成されるPM排出量検出装置20は、図1に示すように、エンジン2の排気系に関係する構成を制御するために設けられた制御ユニット15によって制御される。この制御ユニット15は、シャッタ部材25の開閉駆動、加熱ヒータ43の作動並びにPM帯電装置4、PM捕集装置5及びPM排出量検出装置20への電力印加などを制御するととともに、前記起電力検出手段によって検出される起電力に基づいて、具体的には、熱電対12によって検出される検出素子31の温度と前記起電力検出手段によって検出される起電力に基づいて、検出素子31に堆積されるパティキュレートの堆積量、ひいてはパティキュレートの排出量を検出するとともに、後述するようにPM帯電装置4の故障診断処理を行う。なお、前記制御ユニットは、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。
【0047】
PM排出量検出装置20を用いて排気ガスG中のパティキュレートの排出量を検出する際には、PM排出量検出装置20は、好ましくは、検出素子31の第1の固体電解質層32の表面32aが排気ガスGの流れ方向に対向するようにしてエンジン2の排気通路3内に設けられる。
【0048】
図8は、パティキュレート排出量検出装置の動作を説明するための図であり、図8の(a)は、PM排出量検出装置20においてシャッタ部材25が開いた状態を示し、図8の(b)は、PM排出量検出装置20においてシャッタ部材25が閉じた状態を示している。
【0049】
排気ガスG中のパティキュレート排出量を検出する際には、図8(a)に示すように、排気通路3内に第1の固体電解質層32の表面32aを露出させて第1の固体電解質層32の表面32aに排気ガスG中のパティキュレート45が堆積されるように、シャッタ部材25を開いてシャッタ部材25を開状態にする。
【0050】
PM排出量検出装置20では、シャッタ部材25を、例えば60秒など所定時間開状態にした後に、図8(b)に示すように、第1の固体電解質層32の表面32aに排気ガス中のパティキュレート45が堆積しないように、シャッタ部材25を閉じてシャッタ部材25を閉状態にする。
【0051】
そして、シャッタ部材25を閉状態にした後に、加熱ヒータ43からの伝熱によって固体電解質層32、33を加熱して第1の固体電解質層32の表面32aに堆積しているパティキュレート45を燃焼させる。このパティキュレート45の燃焼に伴って、第1の固体電界質層32の表面32aでは、パティキュレート45が第1の固体電解質層32内の酸素イオンと反応して二酸化炭素を生成するとともに第1の固体電解質層32に電子を与え、第2の固体電解質層33の表面33aでは、絶縁体層34を通じて供給される酸素が電子を受け取り酸素イオンとして取り込まれ、第1の電極40と第2の電極41との間に起電力が生じる。
【0052】
PM排出量検出装置20では、一対の電極40、41の間に生じる起電力が前記起電力検出手段によって検出され、パティキュレート45の燃焼時における検出素子31の温度が熱電対12によって検出され、制御ユニット15では、検出素子31の温度及び前記起電力に基づいてパティキュレートの堆積量が検出される。これにより、PM排出量検出装置20では、このパティキュレートの堆積量から前記所定時間に排出されるパティキュレートの排出量が検出される。
【0053】
なお、PM排出量検出装置20のシャッタ部材25は、パティキュレート45が固体電解質層32の表面32aを覆うように開閉可能な機能を有していればよく、ハウジング21と離間し、且つ固体電解質層32の表面32aの排気ガス上流部において別部材として設けられる構造を採用してもよい。
【0054】
次に、PM排出量検出装置20を用いたPM帯電装置4の故障診断処理について説明する。
前述したように、制御ユニット15は、PM排出量検出装置20によって検出されるパティキュレート堆積量、ひいてはパティキュレート排出量に基づいて、PM帯電装置4が故障しているか否かについての診断処理を行う。また、制御ユニット15は、PM帯電装置4が故障している場合に、PM帯電装置4の故障状態を検出するようになっている。
【0055】
図9は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第1のフローチャートである。PM帯電装置4の故障診断を行う際には、先ず、シャッタ部材25を閉じた状態で、加熱ヒータ43を作動させてPM排出量検出装置20に残留するパティキュレート45を燃焼させて除去する(ステップ#1)。そして、PM帯電装置4の作動を開始し(ステップ#2)、排気ガスG中のパティキュレート45を帯電させる。
【0056】
次に、PM排出量検出装置20に逆電位を付与する(ステップ#3)。PM排出量検出装置20、具体的にはPM堆積量検出素子31に、PM帯電装置4によってパティキュレート45が帯電される極性と逆の極性の電位を付与するようにPM排出量検出装置20に電圧が印加される。そして、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#4)、PM排出量検出装置20にパティキュレート45を取り込む。排気ガスGに固体電解質層32の表面32aを露出させ、該表面32aにパティキュレート45を堆積させる。排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質層32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるとともに、帯電されたパティキュレート45が静電気力によって引き寄せられて堆積される。その後に、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#5)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#6)。
【0057】
ここで、エンジン2の運転状態とエンジン2から排出されるパティキュレート45の排出量との関係について説明する。
図10は、種々の運転状態においてエンジンから排出されるパティキュレートの粒径分布を示すグラフである。図10では、パティキュレート45の粒径を横軸にとり、パティキュレート45の個数を縦軸にとり、アイドリング時、40km、60km、80km及び100km走行時について、エンジン2から排出されるパティキュレート45の粒径分布を示している。
【0058】
この図に示すように、アイドリング状態では、走行状態に比して小さい粒径のパティキュレート45が排出され、走行状態では、高速運転時は、低速運転時に比して多くのパティキュレート45が排出され、運転状態に応じてパティキュレートの排出量が大きく異なっている。そのため、故障診断処理では、エンジン2の運転状態とパティキュレート排出量との相関関係を示すマップを予め作成しておき、PM排出量検出装置20によって検出されるパティキュレート排出量を運転状態に応じて補正する。
【0059】
ステップ#6で運転状態を読み込むと、次に、加熱ヒータ43を作動させ、固体電解質層32の表面32aに堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出する。そして、このパティキュレート排出量を、ステップ#6で読み込んだ運転状態に応じて補正してパティキュレート排出量(A)(PM排出量(A))を算出する(ステップ#7)。
【0060】
その後に、PM帯電装置4の作動を停止し(ステップ#8)、かかる状態で、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#9)、PM排出量検出装置20にパティキュレート45を取り込む。排気ガスGに固体電解質層32の表面32aを露出させ、固体電解質層32の表面32aにパティキュレート45を堆積させる。排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質層32の表面32aに衝突して物理的に堆積される。その後に、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#10)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#11)。
【0061】
ステップ#11で運転状態を読み込むと、次に、加熱ヒータ43を作動させ、固体電解質層32の表面32aに堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出する。そして、このパティキュレート排出量をステップ#11で読み込んだ運転状態に応じて補正してパティキュレート排出量(B)(PM排出量(B))を算出する(ステップ#12)。
【0062】
次に、ステップ#7で算出されたPM排出量(A)とステップ#12で算出されたPM排出量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#13)、このPM排出量(A)とPM排出量(B)との差(A−B)(PM排出量の差(A−B))が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断される(ステップ#14)。PM排出量の差(A−B)は、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量に対応するので、ステップ#14においてPM帯電装置4が正常に作動しているか否かが判断される。所定値X、Yは、PM帯電装置4の作動が正常である範囲を設定するものであり、例えば所定値Xは所定値Yの90%など運転状態に応じて好適に設定される。
【0063】
ステップ#14での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下である場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了する。一方、ステップ#14での判定結果がNOの場合、すなわち、PM排出量の差(A−B)が、所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、例えばPM帯電装置異常などの警告を発し(ステップ#15)、運転者にPM帯電装置4が故障していることを知らせる。なお、ステップ#7及びステップ#12において、PM排出量検出装置20によってパティキュレートを燃焼させてパティキュレート排出量を検出する際にはPM排出量検出装置20への電圧印加は一時的に停止される。
【0064】
本実施形態では、PM排出量(A)とPM排出量(B)との差(A−B)に基づいてPM帯電装置4が故障しているか否かを判断しているが、PM排出量(A)とPM排出量(B)との比率に基づいてPM帯電装置4が故障しているか否かを判断するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、PM排出量検出装置20は、第1の固体電解質層32の表面32aにパティキュレート45を堆積させるようにしているが、第1の固体電解質層32を設けることなく、第1の電極40が設けられる固体電解質層33の表面にパティキュレート45を堆積させるようにしてもよい。
【0066】
このように、第1のフローチャートに示す故障診断処理によれば、PM排出量検出装置20により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。詳細には、パティキュレート帯電装置4を作動させていない場合、パティキュレート45は排気通路3内を流れている際に互いに接触することで極弱く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出装置20に比較的少量が堆積し、一方、パティキュレート帯電装置4を作動させている場合、パティキュレート45は強く(−)に帯電し、パティキュレート排出量検出装置20に比較的多く堆積する。したがって、パティキュレート帯電装置4に故障が生じている場合には、パティキュレート排出量検出装置20に堆積するパティキュレート45の堆積量はパティキュレート帯電装置4を作動させていない場合と比べてそれらの差が少なくなる又は極度に大きくなる、あるいはそれらの比率が1に近づく又は極度に大きくなるという現象が捉えられる。これを基にすれば、パティキュレート帯電装置4におけるパティキュレート45の帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置4の故障診断を的確に行うことができる。
【0067】
また、PM排出量検出装置20によってパティキュレート排出量を検出する毎に、固体電解質層32の表面32aに堆積されるパティキュレートが燃焼除去されるので、パティキュレート排出量をより精度良く検出することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0068】
図11は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第2のフローチャートである。前記第2のフローチャートは、図9に示す第1のフローチャートとステップ#1からステップ#13までは同様のステップを備えているため、ステップ#1からステップ#13までについては省略して示している。
【0069】
図11に示すフローチャートにおいても、ステップ#7で算出されたPM排出量(A)とステップ#12で算出されたPM排出量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#13)、このPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断される(ステップ#14)。第2のフローチャートでは、ステップ#14での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値X以上且つ所定値Y以下である場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了するのに対し、ステップ#14での判定結果がNOの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が、所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、次に、PM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きいか否かが判断される(ステップ#25)。
【0070】
ステップ#25での判定結果がYESの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きい場合には、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量が多すぎるのでPM帯電装置4への印加電圧が増加していると判断し、警告「PM帯電装置印加電圧増加」を発し、運転者にPM帯電装置4への印加電圧が増加していることを知らせる(ステップ#26)。
【0071】
一方、ステップ#25での判定結果がNOの場合、すなわちPM排出量の差(A−B)が所定値Y以下、ひいては所定値Xより小さい場合には、PM帯電装置4によって帯電されたパティキュレート45の排出量が少なすぎるのでPM帯電装置4への印加電圧が低下していると判断し、警告「PM帯電装置印加電圧低下」を発し、運転者にPM帯電装置4への印加電圧が低下していることを知らせる(ステップ#27)。
【0072】
このように、第2のフローチャートに示す故障診断処理によれば、制御ユニット15によってPM帯電装置4の故障状態を検出することができ、PM帯電装置4の故障診断をより的確に行うことができる。制御ユニット15によって検出されるPM帯電装置の故障状態から、PM帯電装置4に付与される印加電圧の異常状態を診断することも可能である。
【0073】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。第2の実施形態に係るPM帯電装置の故障診断装置50は、PM帯電装置4とPM捕集装置5との間の排気通路3に2つのPM排出量検出装置60、70が設けられていること以外は、図1に示したPM帯電装置の故障診断装置10と同様の構成を備えているため、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
前記故障診断装置50は、エンジン2の排気通路3に、排気ガスGの流れ方向に沿って設けられたPM帯電装置4とPM捕集装置5との間に、排気ガスGの流れ方向上流側に設けられる第1のPM排出量検出装置60と排気ガスGの流れ方向下流側に設けられる第2のPM排出量検出装置70とを備え、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70はそれぞれ、前述したPM排出量検出装置20と同様の構成を備えている。
【0075】
第1及び第2のPM排出量検出装置60、70はそれぞれ、制御ユニット55に接続され、制御ユニット55は、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25や加熱ヒータ43の作動及びPM排出量検出装置60、70への印加電圧などを制御するとともに、固体電界質層32の表面32aに堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に一対の電極40、41間に生じる起電力に基づいて、パティキュレートの堆積量、ひいてはパティキュレートの排出量を検出し、PM帯電装置4の故障診断処理を行う。
【0076】
図13は、パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第3のフローチャートである。前記故障診断装置50を用い、第3のフローチャートによるPM帯電装置4の故障診断処理についても、先ず、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を閉じた状態で加熱ヒータ43を作動させて第1及び第2のPM排出量検出装置60、70に残留するパティキュレート45を燃焼させて除去する(ステップ#31)。そして、PM帯電装置4の作動を開始し(ステップ#32)、排気ガスG中のパティキュレート45を帯電させる。
【0077】
次に、第1のPM排出量検出装置60にのみ逆電位を付与する(ステップ#33)。PM排出量検出装置60、具体的にはPM排出量検出装置60の検出素子31に、PM帯電装置4によってパティキュレート45が帯電される極性と逆の極性の電位を付与するようにPM排出量検出装置60に電圧が印加される。そして、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を所定時間開き(ステップ#34)、パティキュレート45を取り込む。第1及び第2のPM排出量検出装置60、70について、排気ガスGに固体電解質32の表面32aを露出させ、該表面32aにパティキュレート45を堆積させる。
【0078】
第1のPM排出量検出装置60では、該PM排出量検出装置60に逆電位が付与されているので、排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるとともに、帯電されたパティキュレート45が静電気力の作用によって引き寄せられて堆積される。一方、第2のPM排出量検出装置70では、該PM排出量検出装置70に逆電位が付与されていないので、排気ガスG中のパティキュレート45は、排気ガスGの流れに沿って固体電解質32の表面32aに衝突して物理的に堆積されるのみである。その後に、第1及び第2のPM排出量検出装置60、70についてそれぞれ、シャッタ部材25を閉じ(ステップ#35)、シャッタ部材25を開いてパティキュレート45を取り込んでいる際の運転状態を読み込む(ステップ#36)。
【0079】
ステップ#36で運転状態を読み込むと、次に、第1のPM排出量検出装置60について、加熱ヒータ43を作動させ、PM排出量検出装置60に堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、かかる起電力に基づいてパティキュレート排出量を検出し、このパティキュレート排出量をステップ#36で読み込んだ運転状態に応じて補正してPM排出量(A)を算出する(ステップ#37)。
【0080】
また、第2のPM排出量検出装置70についても、加熱ヒータ43を作動させ、PM排出量検出装置70に堆積したパティキュレートを燃焼させ、パティキュレートが燃焼される際に一対の電極40、41間に生じる起電力を測定し、パティキュレート排出量を検出し、このパティキュレート排出量をステップ#36で読み込んだ運転状態に応じて補正してPM排出量(B)を算出する(ステップ#38)。尚、パティキュレートの排出量を検出する際は、固体電解質32および表面32aへの印加電圧は停止されている。
【0081】
そして、ステップ#37で算出されたPM排出量(A)とステップ#38で算出されたPM堆積量(B)との差(A−B)を算出し(ステップ#39)、このPM排出量の差(A−B)が、所定値X以上且つ所定値Y以下であるか否かが判断され(ステップ#40)、PM帯電装置4が正常に作動しているか否かが判断される。ステップ#40での判定結果がYESの場合には、PM帯電装置4が正常に作動していると判断し、PM帯電装置4の故障診断を終了する一方、ステップ#40での判定結果がNOの場合には、PM帯電装置4の作動が異常であり、PM帯電装置4が故障していると判断し、例えばPM帯電装置異常などの警告を発し(ステップ#41)、運転者にPM帯電装置4が故障していることを知らせる。
【0082】
本実施形態では、PM帯電装置4を作動させた状態で、逆電位が付与されるPM排出量検出装置60と逆電位が付与されないPM排出量検出装置70とを用いて、PM帯電装置4の故障診断を行っているが、1つのPM排出量検出装置を用いて、このPM排出量検出装置に逆電位を付与した場合に検出されるパティキュレートの排出量と逆電位を付与しない場合に検出されるパティキュレートの排出量からPM帯電装置4の故障診断を行うようにしてもよい。
【0083】
このように、第3のフローチャートに示す故障診断処理においても、PM排出量検出装置20により帯電されたパティキュレートを静電気力によって引き寄せて検出することができるので、パティキュレート帯電装置におけるパティキュレートの帯電状態を的確に検出することができ、パティキュレート帯電装置の故障診断を的確に行うことができる。
【0084】
また、PM帯電装置4より下流側の排気通路3に設けられた2つのPM排出量検出装置60、70によりPM帯電装置4の故障診断を行うことができるので、1つのPM排出量検出装置を用いてPM帯電装置の故障診断を行う場合に比して、PM帯電装置4の故障診断を素早く行うことができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0085】
図13に示す第3のフローチャートにおいても、図11に示す第2のフローチャートのように、PM排出量の差(A−B)が所定値Xより小さい又は所定値Yより大きい場合に、PM排出量の差(A−B)が所定値Yより大きいか否かを判断することにより、PM帯電装置4への印加電圧が増加しているのか低下しているのかを判断することができ、運転者にPM帯電装置4の故障状態を知らせることができる。
【0086】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、本発明では、PM排出量検出装置に逆電位を印加し、パティキュレートとPM排出量検出装置間に静電気力による引力を発生しているが、PM排出量検出装置に同じ電位を印加し、パティキュレートとPM排出量検出装置間に静電気力による斥力を発生させて同じような制御を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置は、自動車等の車両を含み、エンジンの排気通路にパティキュレート帯電装置を備えたものであれば、如何なるものにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】パティキュレート排出量検出装置を示す図である。
【図3】パティキュレート排出量検出装置の検出素子を示す概略断面図である。
【図4】前記検出素子の分解斜視図である。
【図5】前記検出素子の検出原理を説明するための説明図である。
【図6】前記検出素子に堆積されるパティキュレートを燃焼させる際に第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力を示すグラフである。
【図7】前記検出素子に堆積されるパティキュレート堆積量と第1の電極と第2の電極との間に生じた起電力との関係を示すグラフである。
【図8】パティキュレート排出量検出装置の動作を説明するための図である。
【図9】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第1のフローチャートである。
【図10】運転状態に応じて排出されるパティキュレートの粒径分布を示すグラフである。
【図11】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第2のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るパティキュレート帯電装置の故障診断装置の構成を概念的に示す図である。
【図13】パティキュレート帯電装置の故障診断処理についての第3のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
2 エンジン
3 排気通路
4 パティキュレート帯電装置
10、50 故障診断装置
15、55 制御ユニット
20、60、70 パティキュレート排出量検出装置
32、33 固体電解質層
40、41 電極
43 加熱ヒータ
45 パティキュレート
G 排気ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、
前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、
前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与された状態で、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、
を備えていることを特徴とするパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項2】
前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項3】
前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項4】
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、
前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、
前記パティキュレート帯電装置が作動された状態で、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与した場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与しない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、
を備えていることを特徴とするパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項5】
前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項6】
前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴とする請求項4又は5に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項1】
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、
前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、
前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位が付与された状態で、前記パティキュレート帯電装置を作動させた場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と前記パティキュレート帯電装置を作動させない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、
を備えていることを特徴とするパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項2】
前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項3】
前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項4】
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中に含まれるパティキュレートを帯電させるパティキュレート帯電装置の故障診断装置であって、
前記パティキュレート帯電装置より下流側の排気通路に設けられ、前記パティキュレートの排出量を検出するパティキュレート排出量検出手段と、
前記パティキュレート帯電装置が作動された状態で、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与した場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量と、前記パティキュレート排出量検出手段に前記パティキュレート帯電装置によって帯電される前記パティキュレートの極性と逆の極性の電位を付与しない場合に前記パティキュレート排出量検出手段によって検出される前記パティキュレートの排出量との差又は比率に基づいて前記パティキュレート帯電装置が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、
を備えていることを特徴とするパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項5】
前記故障判断手段によって前記パティキュレート帯電装置が故障していると判断された場合に、前記パティキュレート帯電装置の故障状態を検出する故障状態検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【請求項6】
前記パティキュレート排出量検出手段は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電界質層を挟んで設けられる一対の電極と、前記固体電解質層を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段によって前記固体電解質層を加熱して前記固体電界質層の表面に堆積される前記パティキュレートを燃焼させる際に前記一対の電極間に生じる起電力に基づいて、前記パティキュレートの排出量を検出することを特徴とする請求項4又は5に記載のパティキュレート帯電装置の故障診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−41416(P2009−41416A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206145(P2007−206145)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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