説明

パネル固定装置

【課題】 嵌め殺し窓に可及的に簡易な構造にして確実且つ外観よくパネルの固定を行なうパネル固定装置を提供する。
【解決手段】 無目1の上枠11と無目材12の凹溝13に、先付部材3をスナップイン状に係止して、先付部材3に嵌着した先付ビート4と後付した後付ビート5によって透明パネル6を挟持して、その固定を行なう。先付部材3はアルミ押出材によって形成し、無目1から起立した起立壁31に先付ビート4の受条32を、パネル6の厚さ分離れた位置の凹溝13内に後付ビート5の受条37をそれぞれ配置して安定且確実なビート4、5の支持を行なう。起立壁31の起立高さを後付ビート5の高さと同等として透明パネル6を介した外観を良好にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口の窓乃至これに設置した建具にパネルを嵌着するに用いるパネル固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパネル嵌着は、例えば、窓枠や建具框枠の開口枠外側における一体の立上り壁にビート基部を嵌着してその内側に突出配置した外側ビートと、該外側ビートと対面して開口枠に後付配置することによって上記外側ビートとパネルを挟持した内側ビートを一体成形した押縁材とを備えたものとされ、このとき開口枠は、例えば框組みした樹脂サッシとし、また内側ビートを一体成形した押縁材も樹脂製のものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−209481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、開口枠にパネルを確実に固定することができるが、開口枠が立上り壁を一体に備えているため、該開口枠の断面が複雑化するとともに開口枠から立上がり壁が突出するため搬送や取付けに際して、該立上り壁が変形するといったトラブルを招き易く、例えば屋外構築物の窓を設置する場合には、該立上り壁が物体に衝接することによる変形トラブルの可能性が増大する。また、押縁材はビートを一体成形したものとされるところ、開口枠をアルミ押出材とする場合にビートを一体成形することはできないから、アルミ製の窓として上記構造のものを使用することができないことになる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、可及的に簡易な構造にして確実且つ外観よくパネルの固定をなし得るとともに屋外構築物やアルミ製の窓に用い得るようにしたパネル固定装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は、開口枠に対して先行配置する先付部材と、この先付部材に配置した先付ビートと、この先付ビートとともにパネルを挟持する後付ビートを用いてパネルの固定をなし得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、開口枠に形成した凹溝に嵌合固定して該開口枠に先行配置した先付部材と、該先付部材の起立壁にビート基部を嵌着してその内側に突出配置した先付ビートと、該先付ビートと対面して開口枠に後付配置することによって先付ビートとパネルを挟持した後付ビートを備えてなることを特徴とするパネル固定装置としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、先付部材に先付ビート及び後付ビートの双方の受条を備えた押出材によって形成して、これらビートの保持と該これらビートによるパネルの挟持を安定且つ確実になし得るものとするように、これを、上記先付部材を、上記起立壁と、該起立壁の内側に配置した断面C字状の先付ビート受条と、該先付ビート受条からパネル厚さ分離れた内側に開口枠凹溝側に凹陥して配置した後付ビート受条を備えて、押出成形した押出材によって形成してなることを特徴とする請求項1に記載のパネル固定装置としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、先付部材の開口枠凹溝への嵌合固定を可及的容易且つ確実になし得るものとするように、これを、上記先付部材の上記開口枠の凹溝への嵌合固定を、上記起立壁下位と後付ビート受条先端に配置した係止条を開口枠の凹溝に形成した係止条にスナップイン係止することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル固定装置としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、先付部材の起立壁によって後付ビートの面内露出を可及的に抑制して、パネル固定の外観を可及的に良好とするように、これを、上記先付部材の起立壁を後付ビートの高さと同等乃至これより高くしてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパネル固定装置としたものである。
【0010】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、開口枠に対して先行配置する先付部材と、この先付部材に配置した先付ビートと、この先付ビートとともにパネルを挟持する後付ビートを用いてパネルの固定をなし得るようにして、可及的に簡易な構造にして確実且つ外観よくパネルの固定をなし得るとともに屋外構築物やアルミ製の窓に用い得るようにしたパネル固定装置を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、先付部材に先付ビート及び後付ビートの双方の受条を備えた押出材によって形成して、これらビートの保持と該これらビートによるパネルの挟持を安定且つ確実になし得るものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、先付部材の開口枠凹溝への嵌合固定を可及的容易且つ確実になし得るものとすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、先付部材の起立壁によって後付ビートの面内露出を可及的に抑制して、パネル固定の外観を可及的に良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】パネル固定の状態を示す無目部分の縦断面図である。
【図2】パネル固定の状態を示す縦枠部分の横断面図である。
【図3】図1における要部の分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図中1は、例えば、門周りの門袖、サンルーム、テラス等の窓の開口枠をなすように、上枠11に無目材12を一体化して形成した無目、2は縦枠であり、該無目1及び縦枠2は、上記上枠11と同一断面形状の無目1と対向する図示省略の上枠、上記上枠11と対向する下枠とともに上下2段に枠組みすることによって、これら無目1、縦枠2、図示省略の上枠、下枠の各開口枠によって嵌め殺し窓の窓枠を形成してあり、該窓枠には、上記無目1を挟んでその上下にパネル6、例えばポリカーボネート、アクリル等の透明樹脂パネルを固定して、上記屋外構築物の嵌め殺し窓をなすものとしてある。
【0017】
このとき、無目1は、該無目1に形成した凹溝13に嵌合固定して該無目1に先行配置した先付部材3と、該先付部材3の起立壁31にビート基部41を嵌着してその内側に突出配置した先付ビート4と、該先付ビート4と対面して上記無目1に後付配置することによって先付ビート4とパネル6を挟持した後付ビート5を備えたものとしてあり、本例にあって上記先付部材3は、上記起立壁31と、該起立壁31の内側に配置した断面C字状の先付ビート受条32と、該先付ビート受条32からパネル厚さ分離れた内側に開口枠、即ち無目1の凹溝13側に凹陥して配置した後付ビート受条37を備えて、押出成形した押出材によって形成したものとし、また、本例にあって、該先付部材3の上記無目1の凹溝13への嵌合固定を、上記起立壁31下位と後付ビート受条37先端に配置した係止条34、38を無目1の凹溝13に形成した係止条14にスナップイン係止することによって行ったものとしてある。
【0018】
本例にあって無目1の凹溝13、即ち、上枠11の下面及び無目材12上面の各凹溝は、何れも溝開口端部に対向する突条による係止条14を備えて、上記先付部材3を受入れ自在としてあり、このとき係止条14は、先付部材3との間でスナップイン一方のものとして、スナップイン他方の上記起立壁31下位と後付ビート受条37の係止条38とのスナップイン係止によって該先付部材3を嵌合固定するものとしてある。
【0019】
即ち、先付部材3は、上記上枠11及び無目材12に共通に使用するものとして、本例にあって、例えば無目1に対して直交するように該無目1、即ち上枠11及び無目材12から起立した上記起立壁31と、その内側の内側に開口した上記断面C字状の先付ビート受条32と、起立壁31乃至先付ビート受条32から凹溝13側に突出して、その突出方向中間に、上記凹溝13の一方、即ち、外側の上記突条の係止条14を受ける細溝の溝条とした係止条34を配置した脚条33と、上記先付ビート受条32からやや段差をなして内側に突出したパネル受条35と、該パネル受条35の先端突条36を残して該パネル受条35の下面から突出して後付ビート5を受入れ自在の形状、本例にあってはやや転倒した断面C字状溝をなす後付ビート受条37と、該後付ビート受条37の先端を溝方向に突出して、上記凹溝13の他方、即ち、内側の上記突条の係止条14に、その下面において弾発的に圧接して係止する折返しの係止条38を備えて、押出成形したアルミ押出材によるものとしてある。
【0020】
このように形成した先付部材3は、例えば、断面倒T字状のビート基部41を長手方向端部からスライド嵌合することによって、予め先付ビート4を嵌着して、該先付ビート4を備えた先付部材3を、上記無目1の上下面、即ち上枠11と無目材12の凹溝13に対して、該先付部材3の脚条33と後付ビート受条37を圧入するように嵌合し、双方の係止条14、34、38をそれぞれスナップイン状に係止して、該凹溝13に先行配置し、該先付ビート4を嵌着した先付部材3の配置後にパネル6を嵌め込んで、上記パネル受条35に上記パネル6の端部を対接し、その後に、後付ビート5を上枠11及び無目材12の内側の空隙から後付ビート受条37に圧入するように後付配置して、その内外面に形成した嵌着溝51に、先付部材3におけるパネル受条の先端突条36と開口溝13の突条及び先付部材3の折返しの係止条38を受入れるように係止することによって、先付部材3の先付ビート4と後付ビート5間に上記パネル6を挟持し、その固定を行なうようにしてある。これによって、上枠11及び無目材12に対する先付部材3、パネル6及び後付ビート5の設置作業は、いずれも上記窓の開口枠における内側から、これを行なうことができるようにしてある。
【0021】
このとき本例の先付部材3は、その無目1に直交して起立した起立壁31を、後付ビート5の高さと同等乃至これより高く、本例にあっては同等としてあり、これによって本例にあってパネル6を上記透明樹脂パネルとしたことによって、該パネル6を介して後付ビート5が外側に露見することによる外観不良を解消したものとしてある。
【0022】
一方、縦枠2は、該縦枠2に形成した凹溝に嵌入した、断面L字状と断面ブロック状2種のビート21、22を用いて、上記パネル6の幅方向両端を挟持するとともに該ビート21、22が縦枠2から面内に露出しないように該縦枠2と面一に配置してあり、このときビート21、22は、上記上枠11及び無目材12における先付部材3、後付ビート5の設置作業に合せて、これと同様に、ビート21、パネル6、ビート22の順に、いずれも窓の開口枠の内側から、その装着を行なうようにしてある。
【0023】
このように縦枠2に面一にパネル6を配置した本例の嵌め殺し窓にあっては、パネル6は、これを、上記無目1乃至図示省略の上枠及び下枠に先付部材3を装着する前に該縦枠2の凹溝にパネル6を慳貪状に嵌めて上記2種のビート21、22によって固定した後に、無目1、上記図示省略の上枠及び下枠に先付部材3、先付ビート4及び後付ビート5による固定を行なうようにすればよく、従って、本例の嵌め殺し窓は、無目1乃至図示省略の上枠及び下枠にあってその上記先付部材3の起立壁31と、縦枠2が面内を区画するように連続して、好ましいパネル納まりと良好な外観を呈するものとしてある。
【0024】
図示した例は以上のとおりとしたが、パネル固定を建具、特に引違戸、開き戸、シャッター等に適用し、また、例えばドア、間仕切り等の窓に適用することを含めて、本発明の実施に当って、開口枠、先付部材、先付ビート、後付ビートの各具体的構造、形状、材質、これらの関係、これらに対する付加等は上記発明の要旨に反しない限り様々な形態とすることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 無目
11 上枠
12 無目材
13 凹溝
14 係止条
2 縦枠
21 ビート
22 ビート
3 先付部材
31 起立壁
32 先付ビート受条
33 脚条
34 係止条
35 パネル受条
36 先端突条
37 後付ビート受条
38 折返しの係止条
4 先付ビート
41 ビート基部
5 後付ビート
51 嵌着溝
6 パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口枠に形成した凹溝に嵌合固定して該開口枠に先行配置した先付部材と、該先付部材の起立壁にビート基部を嵌着してその内側に突出配置した先付ビートと、該先付ビートと対面して開口枠に後付配置することによって先付ビートとパネルを挟持した後付ビートを備えてなることを特徴とするパネル固定装置。
【請求項2】
上記先付部材を、上記起立壁と、該起立壁の内側に配置した断面C字状の先付ビート受条と、該先付ビート受条からパネル厚さ分離れた内側に開口枠凹溝側に凹陥して配置した後付ビート受条を備えて、押出成形した押出材によって形成してなることを特徴とする請求項1に記載のパネル固定装置。
【請求項3】
上記先付部材の上記開口枠の凹溝への嵌合固定を、上記起立壁下位と後付ビート受条先端に配置した係止条を開口枠の凹溝に形成した係止条にスナップイン係止することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル固定装置。
【請求項4】
上記先付部材の起立壁を後付ビートの高さと同等乃至これより高くしてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパネル固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−236219(P2010−236219A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84020(P2009−84020)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(594034005)ホッティーポリマー株式会社 (4)
【出願人】(000222130)東洋エクステリア株式会社 (102)
【Fターム(参考)】