説明

パネル型入力装置、パネル型入力装置の製造方法、及びパネル型入力装置を備えた電子機器

【課題】導電膜に導電性ポリマーを用いたパネル型入力装置において、パネル厚みを削減でき、かつ所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できるようにする。
【解決手段】パネル型入力装置は、一対の電極板16、22の各々の導電膜14、20が導電性ポリマーを用いて形成される。各導電膜14、20は、タッチ入力を検出する単一の検出領域36と、検出領域36に隣接して配置され、検出領域36の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域38とを備える。そして検出領域36に、導電膜14、20に電圧を印加するための平行電極対24、26が形成されるとともに、非動作領域38に、平行電極対24、26に接続される導線28、30が形成される。非動作領域38は、検出領域36と導線28、30とを互いに絶縁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル型入力装置に関する。本発明はまた、パネル型入力装置の製造方法に関する。本発明はまた、パネル型入力装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル型入力装置は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、現金自動預払機(ATM)等の、表示装置を備えた電子機器において、パネル表面の所望位置にオペレータがペンや指を触接させることにより、表示装置における二次元座標データを指示する入力装置(又は座標検出装置)として知られている。特に、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示装置の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するパネル型入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されており、近年、携帯電話機能を有する携帯型端末装置への搭載も実現されている。
【0003】
パネル型入力装置の一形態である抵抗膜式タッチパネルは、透明な絶縁基板とその表面に設けられる透明な導電膜とを各々に有する一対の透明な電極板を、導電膜同士が導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で、互いに組み合わせて構成される。抵抗膜式タッチパネルの入力座標検出方式としては、各電極板の導電膜が基板表面の略全体に一様に形成される構成を有するアナログ方式と、各電極板の導電膜が基板表面上で複数の帯状部分に分割される構成を有するデジタル方式とが知られている。アナログ方式の場合、一般に各電極板には、その外縁に沿った領域に、正負一対の短冊状電極(本願で平行電極対と称する)が互いに平行に離隔して導電膜の上に形成されるとともに、平行電極対に接続される導線が導電膜上の絶縁層の上に形成される。両電極板の導電膜には、導線及び平行電極対を介して互いに直交する方向へ電圧が印加され、その状態で、オペレータが一方の電極板の所望位置を押圧(すなわちタッチ入力)して両電極板の導電膜同士を局所的に導通接触させると、押圧点で個々の導電膜の抵抗値に応じた分圧が測定されて、押圧点の座標が検出される。また、デジタル方式の場合、一対の電極板が、それぞれの導電膜の複数の帯状部分が互いに直交する方向へ延びるように、位置合せされて組み合わされる。両電極板の導電膜には、複数の帯状部分に電圧が印加され、オペレータが一方の電極板の所望位置を押圧(すなわちタッチ入力)して両電極板の導電膜の帯状部分同士をそれらの交差点で導通接触させると、交差点での入力が検出される。
【0004】
また、パネル型入力装置の他の一形態である静電容量式タッチパネルは、透明な絶縁基板とその表面に設けられる透明な導電膜とを有する1枚の透明な電極板を備えて構成される。静電容量式タッチパネルの入力座標検出方式としては、電極板の導電膜が基板表面の略全体に一様に形成される構成を有する表面容量結合(サーフェイスキャパシティブ)方式と、電極板の導電膜が基板表面上で複数の帯状部分に分割される構成を有する投影型容量結合(プロジェクテッドキャパシティブ)方式とが知られている。表面容量結合方式の場合、基本的に1枚の電極板のみを有して構成される。導電膜には、その四隅の電極から全体に一様な電位が与えられ、オペレータが指で電極板の所望位置に触れる(すなわちタッチ入力する)と、タッチ点で電流が生じ、四隅の電極における電流値の比率によりタッチ点の座標が検出される。また、投影型容量結合方式の場合、1枚の電極板の両面又は2枚の電極板の対向面に、それぞれが複数の帯状部分に分割された一対の導電膜が、両者の帯状部分が互いに直交する方向へ延びるように、互いに絶縁して対面配置される。個々の導電膜には、複数の帯状部分に電圧が印加され、オペレータが指で電極板の所望位置に触れる(すなわちタッチ入力する)と、タッチ点で両導電膜の間の静電容量が変化し、容量変化を生じた帯状部分の位置からタッチ点の座標が検出される。
【0005】
上記した従来のパネル型入力装置では、導電膜は一般に、酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物を用いて、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成技術により、基板の表面に形成される。これに対し、近年、導電性ポリマーを用いて形成された導電膜を有するパネル型入力装置が提案されている。例えば特許文献1は、導電膜に透明な導電性ポリマーを使用したアナログ方式の抵抗膜式タッチパネルを開示する。また、特許文献2は、導電膜に透明な導電性ポリマーを使用した静電容量式タッチパネルを開示する。なお特許文献2には、表面容量結合方式と投影型容量結合方式との両構成が記載されている。いずれのパネル型入力装置においても、導電性ポリマーからなる導電膜は、ITO皮膜に比べて、耐衝撃性、筆記耐久性等に優れるとともに、塗布等の簡便な方法により形成できる利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−182737号公報
【特許文献2】特表2005−527048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来のパネル型入力装置では、基板の表面に設けられる導電膜に対し、同じ基板の表面又は導電膜の表面に、所定輪郭の絶縁領域が形成される。例えば、アナログ方式の抵抗膜式タッチパネルでは、基板の外縁に沿って、対向電極対に接続される導線やコネクタを配置するための絶縁層が、導電膜の上に、例えば塗布法や印刷法により所定輪郭に形成されている。或いは、基板の外縁に沿って、導電膜をエッチング等により局部的に除去することにより、導線やコネクタを配置するための絶縁領域を形成する場合もある。また、デジタル方式の抵抗膜式タッチパネルや投影型容量結合方式の静電容量式タッチパネルでは、基板の表面上に一様に形成された導電膜をエッチング等により局部的に除去することにより、導電膜の複数の帯状部分とそれら帯状部分同士を絶縁する絶縁領域とが形成されている。
【0008】
導電膜の上に塗布法や印刷法により絶縁層を形成する手法では、絶縁層の材料が必要になることに加えて、絶縁層の厚みの分だけパネル型入力装置の厚みが増加することになる。また、導電膜をエッチング等により局部的に除去することにより絶縁領域を形成する手法では、エッチング処理設備等の膜除去装置を用意する必要があり、工程数も増加するので、パネル型入力装置の製造コストが上昇する傾向がある。特に、表示装置の画面に重ねて設置されるタッチパネルにおいて、画面に重なる範囲内に、導電膜の局部的除去により形成した絶縁領域が存在する構成では、導電膜の帯状部分(つまり検出領域)と絶縁領域(つまり非動作領域)との厚みや光透過率の差により、帯状部分と絶縁領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりすることで、タッチパネルを通した表示画面の視認性が低下する場合がある。
【0009】
本発明の目的は、導電膜に導電性ポリマーを用いたパネル型入力装置において、パネル厚みを削減できるとともに、所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できるパネル型入力装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、導電膜に導電性ポリマーを用いたパネル型入力装置の製造方法において、パネル厚みを削減できるとともに、所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、導電膜に導電性ポリマーを用いたパネル型入力装置を備える電子機器において、パネル厚みを削減できるとともに、所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できるパネル型入力装置を備える電子機器を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、タッチパネルとして使用されるパネル型入力装置において、検出領域と非動作領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりする問題を解決でき、パネル型入力装置を通した表示画面の視認性を向上させることができるパネル型入力装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板及び基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備える一対の電極板を具備し、一対の電極板の各々の導電膜が導電性ポリマーを用いて形成され、一対の電極板が、それぞれの導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされるパネル型入力装置において、一対の電極板の各々の導電膜は、タッチ入力を検出する単一の検出領域と、検出領域に隣接して配置され、検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域とを備え、検出領域に、導電膜に電圧を印加するための平行電極対が形成されるとともに、非動作領域に、平行電極対に接続される導線が形成され、非動作領域が、検出領域と導線とを互いに絶縁すること、を特徴とするパネル型入力装置を提供する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、基板及び基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備える一対の電極板を具備し、一対の電極板の各々の導電膜が導電性ポリマーを用いて形成され、一対の電極板が、それぞれの導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされるパネル型入力装置において、一対の電極板の各々の導電膜は、タッチ入力を検出する複数の検出領域と、複数の検出領域に隣接して配置され、複数の検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有して、複数の検出領域を互いに絶縁する非動作領域とを備え、複数の検出領域が、一対の電極板の各々の導電膜において互いに平行に延長される一方、一対の電極板の双方の導電膜の間で互いに交差する方向へ延長されること、を特徴とするパネル型入力装置を提供する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のパネル型入力装置において、導電膜を形成する導電性ポリマーが、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有する、パネル型入力装置。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、一対の電極板がいずれも透明である、パネル型入力装置を提供する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、互いに絶縁して対面配置される一対の導電膜を具備し、一対の導電膜の各々が導電性ポリマーを用いて形成されるパネル型入力装置において、一対の導電膜の各々は、タッチ入力を検出する複数の検出領域と、複数の検出領域に隣接して配置され、複数の検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有して、複数の検出領域を互いに絶縁する非動作領域とを備え、複数の検出領域が、一対の導電膜の各々において互いに平行に延長される一方、一対の導電膜の間で互いに交差する方向へ延長されること、を特徴とするパネル型入力装置を提供する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のパネル型入力装置において、一対の導電膜が、対面配置される一対の基板の互いに対向する表面に設けられ、一対の導電膜の間に絶縁層が介在する、パネル型入力装置を提供する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のパネル型入力装置において、一対の導電膜が、単一の基板の両面に設けられる、パネル型入力装置を提供する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載のパネル型入力装置において、一対の導電膜の各々の複数の検出領域と基板の表面との間に、無機系導電性物質からなる補助導電層が設けられる、パネル型入力装置。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、導電膜を形成する導電性ポリマーが、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有する、パネル型入力装置。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項5〜9のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、一対の導電膜がいずれも透明である、パネル型入力装置を提供する。
【0021】
請求項11に記載の発明は、表示装置と、表示装置の画面に重ねて設置されるパネル型入力装置とを具備する電子機器において、パネル型入力装置が、請求項4又は10に記載のパネル型入力装置であることを特徴とする電子機器を提供する。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパネル型入力装置の製造方法であって、一対の電極板を用意し、一対の電極板の各々の導電膜の上に、遮蔽部及び透過部を有するマスクを配置し、マスクの透過部を通して、導電膜に、紫外線を照射するか、或いは酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を接触させて、透過部に対応する導電膜の一領域の表面抵抗率を、遮蔽部に対応する導電膜の他領域の表面抵抗率よりも増加させることにより、一対の電極板の各々の導電膜に検出領域と非動作領域とを形成すること、を特徴とする製造方法を提供する。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項5〜10のいずれか1項に記載のパネル型入力装置の製造方法であって、一対の導電膜を用意し、一対の導電膜の各々の上に、遮蔽部及び透過部を有するマスクを配置し、マスクの透過部を通して、導電膜に、紫外線を照射するか、或いは酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を接触させて、透過部に対応する導電膜の一領域の表面抵抗率を、遮蔽部に対応する導電膜の他領域の表面抵抗率よりも増加させることにより、一対の導電膜の各々に検出領域と非動作領域とを形成すること、を特徴とする製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
導電性ポリマーを用いて形成した導電膜を基板の表面に設けてなる一対の電極板を具備する本発明に係るパネル型入力装置は、一対の電極板の各々の導電膜自体が、検出領域と非動作領域とを有する。したがって、絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去が行われないから、パネル厚みを削減できるとともに、基板上の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる。
【0025】
上記パネル型入力装置は、一対の電極板をいずれも透明な構成とすることにより、比較的安価で単純構成のアナログ方式又はデジタル方式の抵抗膜式タッチパネルとして実現できる。この場合にも、絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去が行われないから、検出領域と非動作領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりする問題が解決され、パネル型入力装置を通した表示画面の視認性を向上させることができる。また、導電膜を形成する導電性ポリマーに、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有させておけば、導電膜に紫外線を照射することで所要パターンの非動作領域を迅速に形成できる。
【0026】
また、導電性ポリマーを用いて形成した一対の導電膜を互いに絶縁して配置した本発明に係るパネル型入力装置は、互いに絶縁された一対の導電膜自体が、検出領域と非動作領域とを有する。したがって、絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去が行われないから、パネル厚みを削減できるとともに、導電膜の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる。
【0027】
上記パネル型入力装置は、一対の導電膜をいずれも透明な構成とすることにより、透過性及び耐久性に優れた投影型容量結合方式の静電容量式タッチパネルとして実現できる。この場合にも、絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去が行われないから、検出領域と非動作領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりする問題が解決され、パネル型入力装置を通した表示画面の視認性を向上させることができる。また、導電膜の複数の検出領域と基板表面との間に設けられる補助導電層の導電機能により、それら検出領域の導電性が実質的に向上する。さらに、導電膜を形成する導電性ポリマーに、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有させれば、導電膜に紫外線を照射することで所要パターンの非動作領域を迅速に形成できる。
【0028】
上記パネル型入力装置を表示装置の画面上に設置した本発明に係る電子機器は、パネル型入力装置の厚みが少なく、低コストで製造可能なものとなる。
【0029】
本発明に係る製造方法によれば、導電性ポリマーの特性を利用して、一対の電極板の各々の導電膜に対し、マスクを介して紫外線又は導電性制御剤を作用させるだけで、検出領域と非動作領域とを形成することができる。したがって、従来のパネル型入力装置において基板上に絶縁領域を形成するために行われていた手法、すなわち絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去等の手法を行なう必要がなくなる。その結果、パネル型入力装置のパネル厚みを削減できるとともに、基板上の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる。また、検出領域と非動作領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりする問題を解決できる。
【0030】
また、本発明に係る製造方法によれば、導電性ポリマーの特性を利用して、一対の導電膜の各々に対し、マスクを介して紫外線又は導電性制御剤を作用させるだけで、検出領域と非動作領域とを形成することができる。したがって、従来のパネル型入力装置において絶縁領域を形成するために行われていた手法、すなわち絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去等の手法を行なう必要がなくなる。その結果、パネル型入力装置のパネル厚みを削減できるとともに、導電膜の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる。また、検出領域と非動作領域との境界線が視認できたり検出領域と非動作領域とが視覚的に識別できたりする問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態によるパネル型入力装置を模式図的に示す平面図である。
【図2】図1のパネル型入力装置を備えた本発明の一実施形態による電子機器を、図1の線II−IIに沿って模式図的に示す断面図である。
【図3】図1のパネル型入力装置の構成要素の平面図で、(a)第1電極板、及び(b)第2電極板をそれぞれ示す。
【図4】図1のパネル型入力装置の一部分を拡大して模式図的に示す断面図である。
【図5】図1のパネル型入力装置を製造するための本発明の一実施形態による製造方法の主要ステップを説明する図である。
【図6】図5のステップを含む製造方法のフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態によるパネル型入力装置を模式図的に示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるパネル型入力装置を模式図的に示す斜視図である。
【図9】図8のパネル型入力装置を製造するための本発明の他の実施形態による製造方法の主要ステップを説明する図である。
【図10】図9のステップを含む製造方法のフローチャートである。
【図11】図8のパネル型入力装置の変形例の構成を示す図で、その製造方法の主要ステップを説明する図である。
【図12】紫外線照射による導電膜の表面抵抗率の変化態様を示す図である。
【図13】図12の実験で用いた紫外線のスペクトルを示す図である。
【図14】塩基性試薬の接触時間と導電膜の表面抵抗率との関係を示す図である。
【図15】紫外線照射による導電膜の表面抵抗率の変化態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態によるパネル型入力装置10を模式図的に示す平面図、図2は、パネル型入力装置10の模式図的な断面図、図3は、パネル型入力装置10の構成部品を模式図的に示す平面図、図4は、パネル型入力装置10の一部分を拡大して模式図的に示す断面図である。パネル型入力装置10は、アナログ方式の抵抗膜式タッチパネルに適用可能な構成を有する。
【0033】
パネル型入力装置10は、絶縁性の第1基板12及び第1基板12の一表面12aに設けられる第1導電膜14を有する第1電極板16と、絶縁性の第2基板18及び第2基板18の一表面18aに設けられる第2導電膜20を有する第2電極板22とを備える(図2)。第1電極板16の第1基板12及び第1導電膜14と第2電極板22の第2基板18及び第2導電膜20とは、それぞれ、平面視で互いに略同一の矩形輪郭を有する。
【0034】
第1電極板16の第1導電膜14上には、その矩形輪郭の一対の対向辺に沿って、第1導電膜14に電気的に接続される正負一対の短冊状の第1電極(すなわち第1平行電極対)24が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(a))。同様に、第2電極板22の第2導電膜20上には、その矩形輪郭の、第1平行電極対24とは位置が異なる一対の対向辺に沿って、第2導電膜20に電気的に接続される正負一対の短冊状の第2電極(すなわち第2平行電極対)26が、例えばスクリーン印刷法により直接に積層してパターン形成される(図3(b))。
【0035】
第1電極板16には、第1平行電極対24に個別に接続される一対の第1導線28が、第1導電膜14から絶縁された状態で、例えばスクリーン印刷法により所定輪郭にパターン形成される。同様に、第2電極板22には、第2平行電極対26に個別に接続される一対の第2導線30が、第2導電膜20から絶縁された状態で、例えばスクリーン印刷法により所定輪郭にパターン形成される。これら第1及び第2導線28、30は、各電極板16、22上で所定箇所に集結されて、図示しない制御回路への接続部を構成するコネクタ(例えばフレキシブル印刷基板)32(図1、図2、図4)に接続される。
【0036】
第1電極板16と第2電極板22とは、第1及び第2導電膜14、20が互いに導通接触可能に対向かつ離間する相対配置で組み合わされ、両導電膜14、20の外縁に沿って帯状(図示実施形態では矩形枠状)に設置される電気絶縁性の粘着剤層(例えば両面粘着テープ)34(図4)により、互いに重ね合わせた状態で固定される。このとき、第1及び第2導電膜14、20は、互いの輪郭が実質的に整合する位置に配置され、第1及び第2導電膜14、20に接続される第1及び第2平行電極対24、26は、互いに90度異なる位置に配置される。
【0037】
パネル型入力装置10では、第1及び第2電極板16、22の第1及び第2導電膜14、20が、いずれも導電性ポリマーを用いて形成される。第1及び第2導電膜14、20に好適に使用できる導電性ポリマーは、例えば既述の特許文献1に記載されるポリチオフェン系の導電性ポリマーである。特に、パネル型入力装置10を、それ自体透明な構造を有するタッチパネルとして構成する場合、ポリチオフェン系ポリマーは優れた透明度を有する点で好適である。パネル型入力装置10で使用できる他の導電性ポリマーとして、ポリアニリン、ポリビロール、ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。また、導電性ポリマーからなる導電膜14、20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。厚みが0.01μm未満であると、導電膜14、20の抵抗が不安定になることがあり、厚みが10μmを超えると、基板12、18との密着性が低下することがある。
【0038】
本発明の特徴的構成として、導電性ポリマーからなる第1及び第2導電膜14、20の各々は、タッチ入力を検出する単一の検出領域36と、検出領域36に隣接して配置され、検出領域36の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域38とを備える。図示実施形態では、各導電膜14、20の外縁に沿って矩形枠状(すなわち額縁状)の非動作領域38が形成され、非動作領域38の内側に、各導電膜14、20の大部分を占める矩形輪郭の検出領域36が形成される。そして、検出領域36に、各導電膜14、20に電圧を印加するための平行電極対24、26が形成されるとともに、非動作領域38に、平行電極対24、26に接続される導線28、30が形成される。この構成で、非動作領域38は、検出領域36と導線28、30とを互いに絶縁するように作用する。なお、このような絶縁作用を確保するためには、各導電膜14、20の検出領域36の表面抵抗率(例えばJISK6911に準拠)を、例えば500Ω/□(ohm/square)〜1000Ω/□に設定し、各導電膜14、20の非動作領域38の表面抵抗率を、例えば10000Ω/□以上に設定すれば良い。
【0039】
粘着剤層34は、各電極板16、22の導電膜14、20の非動作領域38に沿って配置され、補助的な絶縁層40と共に、第1及び第2電極板16、22の外縁に沿って帯状(図示実施形態では矩形枠状)に延びる中間層42を構成する(図4)。中間層42は、第1及び第2電極板16、22の導電膜14、20同士の離間距離Dを規定して確保するスペーサとしても機能する(図2)。また、いずれか一方の電極板16、22(図では第1電極板16)の導電膜14、20(図では第1導電膜14)上には、検出領域36内に、電気絶縁性の複数のドットスペーサ44が、適当な分散配置で設けられる(図4)。それらドットスペーサ44は、個々の電極板16、22の自重等による意図しない凹状の撓みを抑制して導電膜14、20間の隙間を保持する一方で、いずれかの電極板16、22が押圧力下で変形したときには押圧点における導電膜14、20同士の局所的接触を許容するように作用する。
【0040】
パネル型入力装置10は、制御回路(図示せず)による制御下で、第1電極板16の第1導電膜14及び第2電極板22の第2導電膜20に対し、交互に、それぞれの第1及び第2平行電極対24、26の間に所定電圧が印加されることにより作動する。この状態で、オペレータが例えば第2電極板22の第2基板18の外面所望位置をペンや指等で押圧(すなわちタッチ入力)すると、押圧点で両導電膜14、20が互いに導通接触し、電圧を印加していない側の導電膜14、20において、押圧点の位置によって決まる各導電膜14、20の抵抗値に応じた分圧が出力される。制御回路に設けられる処理部(図示せず)は、両導電膜14、20にこのようにして交互に生じる分圧を測定することにより、押圧点の二次元座標を検出する。
【0041】
パネル型入力装置10は、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等の表示装置46の画面に重ねて設置可能な、それ自体透明な構造を有するタッチパネルとして構成できる(図2)。或いは、パネル型入力装置10を、ポインティングデバイスとして知られている不透明ないし半透明な構造とすることもできる。パネル型入力装置10を透明なタッチパネルとして構成する場合、例えば、第1電極板16を、接着層48を介して表示装置46の画面に隣接配置される下側電極板とし、その第1基板12を透明なガラス板や樹脂板又は樹脂フィルムから形成するとともに、第1導電膜14を透明な導電性ポリマーから形成する。また、第2電極板22を、オペレータによって押圧操作される上側電極板とし、その第2基板18を可撓性に富む透明樹脂フィルムから形成するとともに、第2導電膜20を透明な導電性ポリマーから形成する。第1及び第2基板12、18の好適な樹脂材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。
【0042】
なお、タッチパネルとして構成されるパネル型入力装置10は、第2電極板22の第2基板18の外面に、樹脂フィルム素材の保護や表示画面の視認性向上等のための補助機能層50を配置することもできる(図4)。また、透明樹脂フィルム製の第2基板18を、紫外線カット効果を有するPETフィルムから形成したり、補助機能層50を、紫外線カット効果を有する材料から形成したりすることで、製品としての使用時に第1及び第2導電膜14、20(特に各々の検出領域36)を太陽光等の紫外線から保護できる耐紫外線性能に優れたタッチパネルが実現される。このような紫外線カット効果は、オキシベンゼン、メトキシケイヒ酸オクチル、メキゾリル、オクトクリレン等の、紫外線吸収剤の添加により確保される。
【0043】
次に、図5の模式図及び図6のフローチャートを参照して、パネル型入力装置10の製造方法の一例を説明する。まず、第1基板12の表面12aに第1導電膜14を成膜した第1電極板16と、第2基板18の表面18aに第2導電膜20を成膜した第2電極板22とを用意する(ステップP1及びP2)。導電性ポリマーからなる導電膜14、20の成膜方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法等の塗布法や、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法等の印刷法を採用できる。
【0044】
パネル型入力装置10がタッチパネルである場合、例えばガラス製の第1基板12を有する第1電極板16は、大判の中間成形物の状態で用意され、その第1導電膜14の表面に、複数のドットスペーサ44が、例えばスクリーン印刷法により所定の分散配置で形成される(ステップP3)。他方、透明樹脂フィルム製の第2基板18を有する第2電極板22は、所定のワークサイズに切断され(ステップP4)、次いで、フィルム素材の歪みを除去するためにアニール処理される(ステップP5)。
【0045】
次に、第1及び第2電極板16、22の第1及び第2導電膜14、20の上に、順次に(又は同時並行で)、遮蔽部52及び透過部54を有するマスク56を配置する。そして、マスク56の透過部54を通して、各導電膜14、20に、導電性ポリマーの表面抵抗率を改変することができる抵抗率改変要素58を作用させる。ここで抵抗率改変要素58としては、紫外線(エキシマUV、レーザ光等)、或いは酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を採用できる。抵抗率改変要素58の具体例は、後述する。抵抗率改変要素58の作用により、マスク56の透過部54に対応する導電膜14、20の一領域の表面抵抗率を、遮蔽部52に対応する導電膜14、20の他領域の表面抵抗率よりも増加させる。それにより、第1及び第2電極板16、22の各々の導電膜14、20に、前述した検出領域36と非動作領域38とを形成する(以上、絶縁化処理ステップP6及びP7)。
【0046】
次に、各導電膜14、20の検出領域36及び非動作領域38の所定位置に、平行電極対24、26及び導線28、30を、例えば銀(Ag)ペーストからスクリーン印刷法により所定パターンに形成する(ステップP8及びP9)。そして、例えばガラス製の第1基板12を有する第1電極板16に対し、導線28、30同士及び導線28、30と導電膜14、20との間を空間的に絶縁するための絶縁層40(図4)を、例えばスクリーン印刷法により所定パターンに形成する(ステップP10)。なお、銀ペーストをパターニングする前に、銀イオンマイグレーションを防止するための絶縁層を、各導電膜14、20の非動作領域38に形成することもできる(図4)。他方、透明樹脂フィルム製の第2基板18を有する第2電極板22は、最終製品の形状に型抜きされる(ステップP11)。
【0047】
次に、第1電極板16と第2電極板22とを、前述した所定の相対配置で互いに組み合わせ、粘着剤層34により貼り合わせて固定する(ステップP12)。次いで、例えばガラス製の第1基板12を有する第1電極板16を、レーザスクライビング等により、最終製品の形状に成形する(ステップP13)。そして、フレキシブル印刷基板(FPC)等からなるコネクタ32(図1)を、第1及び第2電極板16、22の導線28、30に接続し(ステップP14)、導通試験を実施する(ステップP15)ことにより、パネル型入力装置10が完成する。
【0048】
上記構成を有するパネル型入力装置10は、導電性ポリマーの特性を利用して、第1及び第2電極板16、22の各々の導電膜14、20に対し、マスク56を介して抵抗率改変要素58を作用させるだけで、検出領域36と非動作領域38とを形成することができる。したがって、従来のパネル型入力装置において基板上に絶縁領域を形成するために行われていた手法、すなわち絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去等の手法を行なう必要がなくなる。したがってパネル型入力装置10では、パネル厚みを削減できるとともに、基板上の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる。
【0049】
特に、パネル型入力装置10は、比較的安価で単純構成のアナログ方式の抵抗膜式タッチパネルとして実現できる。この場合にも、絶縁材料の塗布や印刷、或いは導電膜の局部的除去が行われないから、検出領域36と非動作領域38との境界線が視認できたり検出領域36と非動作領域38とが視覚的に識別できたりする問題が解決され、パネル型入力装置10を通した表示画面の視認性を向上させることができる。なお、抵抗率改変要素58の作用により表面抵抗率が増加した非動作領域38は、隣接する検出領域36に対し、容易には識別できない外観を有している。このようなパネル型入力装置10を、表示装置46の画面上に設置した電子機器59(図2)は、パネル型入力装置10の厚みが少なく、低コストで製造可能なものとなる。
【0050】
図7は、本発明の第2の実施形態によるパネル型入力装置60を、模式図的に示す。パネル型入力装置60は、デジタル方式の抵抗膜式タッチパネルに適用可能な構成を有するものであり、基板上の導電膜の構成が異なる以外は、前述したパネル型入力装置10と同様の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
パネル型入力装置60は、第1基板12及び第1導電膜14を有する第1電極板62と、第2基板18及び第2導電膜20を有する第2電極板64とを備える。第1及び第2電極板62、64の第1及び第2導電膜14、20は、いずれも導電性ポリマーを用いて形成される。第1及び第2電極板62、64は、それぞれの導電膜14、20を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされて、図示しない粘着剤層により相互に固定される。
【0052】
第1及び第2電極板62、64の各々の導電膜14、20は、タッチ入力を検出する複数の検出領域66と、それら検出領域66に隣接して配置され、複数の検出領域66の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域68とを備える。各電極板62、64の導電膜14、20において、複数の検出領域66は、いずれも略同一の矩形帯状の輪郭を有して、等間隔配置で互いに平行に延長される。非動作領域68は、各導電膜14、20の外縁に沿って矩形枠状(すなわち額縁状)に延びる部分と、隣り合う検出領域66の間に介在してそれら検出領域66を互いに絶縁する短冊状部分とを有する。各電極板62、64における導電膜14、20の非動作領域68の矩形枠状部分には、個々の検出領域66に個別に接続される複数の導線70、72が形成される。第1及び第2電極板62、64を適正に組み合わせたときに、それら電極板62、64の複数の検出領域66は、両導電膜14、20の間で、互いに直交する方向へ延長される。
【0053】
パネル型入力装置60は、制御回路(図示せず)による制御下で、第1及び第2電極板62、64の導電膜14、20の複数の検出領域66に、所定電圧が印加されることにより作動する。この状態で、オペレータが例えば第2電極板64の第2基板18の外面所望位置をペンや指等で押圧(すなわちタッチ入力)すると、押圧点が両導電膜14、20の検出領域66同士の交差領域に含まれている場合に、両導電膜14、20の間で交差配置されている検出領域66が当該交差領域で互いに導通接触する。制御回路に設けられる処理部(図示せず)は、導通接触により電流が生じた検出領域66の組み合わせから、押圧点の位置(検出領域66同士の交差領域の位置)を特定し、押圧点におけるON入力を検出する。
【0054】
上記構成を有するパネル型入力装置60は、前述したパネル型入力装置10の製造方法と同様の方法により製造できる。この場合、使用されるマスク56の遮蔽部52及び透過部54は、パネル型入力装置60で要求される検出領域66及び非動作領域68に対応する配置、形状及び寸法を有する。
【0055】
上記構成を有するパネル型入力装置60においても、パネル厚みを削減できるとともに、基板上の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる、という、前述したパネル型入力装置10と同等の作用効果が奏される。特に、パネル型入力装置60は、第1電極板62を下側電極板としてその第1基板12を透明なガラス板や樹脂板又は樹脂フィルムから形成するとともに第1導電膜14を透明な導電性ポリマーから形成し、かつ第2電極板64を上側電極板としてその第2基板18を可撓性に富む透明樹脂フィルムから形成するとともに第2導電膜20を透明な導電性ポリマーから形成することで、比較的安価で単純構成のデジタル方式の抵抗膜式タッチパネルとして実現できる。この場合にも、検出領域66と非動作領域68との境界線が視認できたり検出領域66と非動作領域68とが視覚的に識別できたりする問題が解決され、パネル型入力装置60を通した表示画面の視認性を向上させることができる。
【0056】
また、パネル型入力装置60は、パネル型入力装置10と同様に、表示装置46の画面上に設置されることで、パネル型入力装置60の厚みが少なくかつ低コストで製造可能な電子機器59(図2)を構成することができる。なお、パネル型入力装置80がタッチパネルである場合、パネル型入力装置10と同様に、透明樹脂フィルム製の第2基板18を、紫外線カット効果を有するPETフィルムから形成したり、第2基板18の外面に必要に応じて設けられる補助機能層(図示せず)を、紫外線カット効果を有する材料から形成したりすることで、製品としての使用時に第1及び第2導電膜14、20(特に各々の検出領域66)を太陽光等の紫外線から保護できる耐紫外線性能に優れたタッチパネルが実現される。
【0057】
図8は、本発明の第3の実施形態によるパネル型入力装置80を、模式図的に示す。パネル型入力装置80は、投影型容量結合方式の静電容量式タッチパネルに適用可能な構成を有するものであり、導電膜の構成が異なることと、座標検出手法が異なること以外は、前述したパネル型入力装置10と同様の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
パネル型入力装置80は、互いに絶縁して対面配置される第1及び第2導電膜82、84を有する。第1及び第2導電膜82、84は、いずれも導電性ポリマーを用いて形成される。図示実施形態では、対面配置される一対の基板(すなわち第1及び第2基板)12、18の互いに対向する表面に、第1及び第2導電膜82、84がそれぞれ設けられる。そして、互いに対向する第1及び第2導電膜82、84の間に、別部材としての絶縁層(図示せず)が全体に渡って介在する。なお、異なる構成として、単一の基板12の両面に、第1及び第2導電膜82、84をそれぞれ設けることもできる。この場合、タッチ入力側の導電膜82、84に、例えば紫外線カット効果を有するPETフィルム製の保護シートを被着することができる。
【0059】
第1及び第2導電膜82、84の各々は、タッチ入力を検出する複数の検出領域86と、それら検出領域86に隣接して配置され、複数の検出領域86の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域88とを備える。各導電膜82、84において、複数の検出領域86は、いずれも略同一の矩形帯状の輪郭を有して、等間隔配置で互いに平行に延長される。非動作領域88は、各導電膜82、84の外縁に沿って矩形枠状(すなわち額縁状)に延びる部分と、隣り合う検出領域86の間に介在してそれら検出領域86を互いに絶縁する短冊状部分とを有する。各導電膜82、84の非動作領域88の矩形枠状部分には、個々の検出領域86に個別に接続される複数の導線90、92が形成される。第1及び第2導電膜82、84を適正な相対位置に配置したときに、それら導電膜82、84の複数の検出領域86は、両導電膜82、84の間で、互いに直交する方向へ延長される。
【0060】
パネル型入力装置80は、制御回路(図示せず)による制御下で、第1及び第2導電膜82、84の複数の検出領域86に、所定電圧が印加されることにより作動する。この状態で、オペレータが指で例えば第2基板18の所望位置に触れる(すなわちタッチ入力する)と、タッチ点で両導電膜82、84の検出領域86同士の交差領域86aにおける静電容量が、指先との距離に応じて変化する。制御回路に設けられる処理部(図示せず)は、タッチ入力により両導電膜82、84の間で容量変化を生じた検出領域86の組み合わせ及び静電容量の変化量から、タッチ点の位置(検出領域86同士の交差領域86aの位置)を特定し、タッチ点の二次元座標を検出する。
【0061】
次に、図9の模式図及び図10のフローチャートを参照して、パネル型入力装置80の製造方法の一例を説明する。まず、第1及び第2基板12、18の一表面12a、18aにそれぞれ第1及び第2導電膜82、84を成膜した第1及び第2電極板94、96を用意する(ステップQ1及びQ2)。ここで、パネル型入力装置80がタッチパネルである場合、パネル型入力装置10の製造方法の一例で述べたように、例えばガラス製の第1基板12を有する第1電極板94(中間成形物)と、例えば透明樹脂フィルム製の第2基板18を有する第2電極板96(中間成形物)とが用意される。また、導電性ポリマーからなる導電膜82、84の成膜方法は、パネル型入力装置10の製造方法で述べた方法に準ずる。
【0062】
次に、第1及び第2導電膜82、84の上に、順次に(又は同時並行で)、遮蔽部52及び透過部54を有するマスク56を配置する。そして、マスク56の透過部54を通して、各導電膜82、84に、導電性ポリマーの表面抵抗率を改変することができる抵抗率改変要素58(紫外線(エキシマUV、レーザ光等)又は導電性制御剤)を作用させる。抵抗率改変要素58の作用により、マスク56の透過部54に対応する導電膜82、84の一領域の表面抵抗率を、遮蔽部52に対応する導電膜82、84の他領域の表面抵抗率よりも増加させる。それにより、第1及び第2導電膜82、84の各々に、前述した検出領域86と非動作領域88とを形成する(以上、絶縁化処理ステップQ3及びQ4)。
【0063】
次に、各導電膜82、84の非動作領域88の所定位置に、複数の導線90、92を、例えば銀(Ag)ペーストからスクリーン印刷法により所定パターンに形成する(ステップQ5及びQ6)。次いで、第1導電膜82の上に、全面に渡って、絶縁層(タッチパネル用途の場合は透明絶縁層)を形成する(ステップQ7)。そして、例えばガラス製の第1基板12を有する第1電極板94を、レーザスクライビング等により、最終製品の形状に成形し(ステップQ8)、次いで、フレキシブル印刷基板(FPC)等からなるコネクタ(図示せず)を、導線90に接続する(ステップQ9)。他方、例えば透明樹脂フィルム製の第2基板18を有する第2電極板96は、最終製品の形状に型抜きされる(ステップP10)。次に、第1電極板94と第2電極板96とを、それぞれの検出領域86同士が直角に交差する所定の相対配置で互いに組み合わせ、対面する両導電膜82、84の全面を、粘着剤層(タッチパネル用途の場合は透明粘着剤層)により貼り合わせて固定する(ステップP11)。このとき、第2電極板96に形成した導線92を、コネクタに接続する。そして、導通試験を実施する(ステップQ12)ことにより、パネル型入力装置80が完成する。
【0064】
上記構成を有するパネル型入力装置80においても、パネル厚みを削減できるとともに、基板上の所要位置に所要パターンの絶縁領域を低コストで形成できる、という、前述したパネル型入力装置10と同等の作用効果が奏される。特に、パネル型入力装置80は、第1電極板94を下側電極板としてその第1基板12を透明なガラス板や樹脂板又は樹脂フィルムから形成するとともに第1導電膜82を透明な導電性ポリマーから形成し、かつ第2電極板96を上側電極板としてその第2基板18を可撓性に富む透明樹脂フィルムから形成するとともに第2導電膜84を透明な導電性ポリマーから形成することで、透過性及び耐久性に優れた投影型容量結合方式の静電容量式タッチパネルとして実現できる。この場合にも、検出領域86と非動作領域88との境界線が視認できたり検出領域86と非動作領域88とが視覚的に識別できたりする問題が解決され、パネル型入力装置80を通した表示画面の視認性を向上させることができる。
【0065】
また、パネル型入力装置80は、パネル型入力装置10と同様に、表示装置46の画面上に設置されることで、パネル型入力装置80の厚みが少なくかつ低コストで製造可能な電子機器59(図2)を構成することができる。なお、パネル型入力装置80がタッチパネルである場合、パネル型入力装置10と同様に、透明樹脂フィルム製の第2基板18を、紫外線カット効果を有するPETフィルムから形成したり、第2基板18の外面に必要に応じて設けられる補助機能層(図示せず)を、紫外線カット効果を有する材料から形成したりすることで、製品としての使用時に第1及び第2導電膜82、84(特に各々の検出領域86)を太陽光等の紫外線から保護できる耐紫外線性能に優れたタッチパネルが実現される。
【0066】
図11は、パネル型入力装置80の変形例における第1及び第2電極板94、96の構成を示す。この変形例では、第1及び第2導電膜82、84の各々に形成した複数の検出領域86と、第1及び第2基板12、18の表面12a、18aとの間に、無機系導電性物質(例えば酸化インジウム錫(ITO)、金(Au)、カーボンナノチューブ等)からなる補助導電層98が設けられる(図11(c))。補助導電層98は、例えば従来のタッチパネルにおけるITO膜の形成方法(薄膜形成技術)と同様の方法により、第1及び第2基板12、18の表面12a、18aに、各導電膜82、84の検出領域86と略同一のパターンで薄膜状に形成される。
【0067】
図示変形例の構成によれば、第1及び第2導電膜82、84の複数の検出領域86の導電性が、それら検出領域86の略全体に接触する補助導電層98の導電機能により、実質的に向上する(つまり検出領域86の表面抵抗率が低下する)。したがって、この構成は、個々の検出領域86が比較的細い帯状パターンで形成される場合(例えばパネル型入力装置80を投影型容量結合方式の静電容量式タッチパネルとして使用する場合)に、導電性ポリマーからなる検出領域86の、それ自体の形状に起因する導電性の低下(つまり表面抵抗率の上昇)を防止できるので、特に有利である。
【0068】
図示変形例による第1及び第2電極板94、96を備えたパネル型入力装置80は、図9及び図10を参照して説明した製造方法と略同一の手順によって製造できる。具体的には、まず、第1及び第2基板12、18の一表面12a、18aに、最終的に得られる検出領域86と略同一のパターンで複数の補助導電層98を成膜するとともに、それら補助導電層98を覆うようにして第1及び第2導電膜82、84を成膜してなる第1及び第2電極板94、96(中間成形物)を用意する(図11(a))。ここで、塗布法や印刷法によって成膜した第1及び第2導電膜82、84は、薄膜形成技術によって成膜した補助導電層98よりも十分に大きな厚みを有するから、第1及び第2導電膜82、84の表面は略平坦になる。
【0069】
次に、第1及び第2導電膜82、84の上に、順次に(又は同時並行で)、遮蔽部52及び透過部54を有するマスク56を、遮蔽部52が補助導電層98に両者の輪郭を整合させて正対するように、位置決めして配置する。そして、マスク56の透過部54を通して、各導電膜82、84に、導電性ポリマーの表面抵抗率を改変することができる抵抗率改変要素58(紫外線(エキシマUV、レーザ光等を含む)又は導電性制御剤)を作用させて、マスク56の透過部54に対応する導電膜82、84の一領域の表面抵抗率を、遮蔽部52に対応する導電膜82、84の他領域の表面抵抗率よりも増加させる(図11(b))。それにより、第1及び第2導電膜82、84の各々に、補助導電層98に重なった検出領域86とその周囲の非動作領域88とを形成する(図11(c))。
【0070】
このようにして作製された第1及び第2電極板94、96は、第1及び第2基板12、18の表面12a、18aに局所的に形成された補助導電層98の全体がその周囲の表面12a、18aと共に第1及び第2導電膜82、84によって覆われているから、第1及び第2電極板94、96が透明な場合にも、補助導電層98自体が目立たなくなる。したがって、これら第1及び第2電極板94、96を用いて製造したタッチパネル用途のパネル型入力装置80は、検出領域86(補助導電層98を含む)と非動作領域88との境界線が視認できたり検出領域86と非動作領域88とが視覚的に識別できたりすることがなく、パネル型入力装置80を通した表示画面の視認性に優れたものとなる。
【0071】
本発明の好適な実施形態によるパネル型入力装置10、60、80では、第1導電膜14、82及び第2導電膜20、84を形成する導電性ポリマーが、光(特に紫外線)の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有する構成とすることもできる。この構成によれば、前述した製造方法において、酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を抵抗率改変要素58として使用する代わりに、マスク56の透過部54を通して各導電膜14、20、82、84に光(特に紫外線)を照射することにより、導電性制御剤を使用した場合と同等の抵抗率改変作用の下で、導電膜14、20、82、84に所要パターンの非動作領域38、68、88を一層迅速に形成することができる。
【0072】
上記構成において、光の照射により酸化性物質に変性する添加剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化1−ブチル及び過酸化ジクミル等の、種々の有機過酸化物を採用できる。また、光の照射により塩基性物質に変性する添加剤としては、トリフェニルメタノール、ベンジルカルバメート及びベンゾインカルバメート等のカルバメート類、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタム及びN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド並びにその他のアミド、オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体等を採用できる。特に、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等を用いることが好ましい。
【0073】
本発明に係るパネル型入力装置の作用効果を一層明確にするべく、発明者が行った実験の内容を、図12及び図13を参照して以下に説明する。
【0074】
〔実験1〕
パネル型入力装置10の電極板16、22のサンプルとして、ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)からなる導電膜(厚み100nm)を、PETフィルムからなる基板(厚み188μm)に被着して構成される電極板(50mm×60mm)を用意した。この電極板の導電膜の初期の表面抵抗率(例えばJISK6911に準拠)は、653Ω/□(ohm/square)であった。この電極板に対し、紫外線照射機UVC−02516(ウシオ電機株式会社)を用いて、高圧水銀ランプにより、波長245nmを含むピーク波長365nm、放射照度1000mW/cmの紫外線を、オゾンを0.1ppm〜100ppm含有する空気中で、導電膜の表面に鉛直方向からスキャン速度0.67m/minで照射した。1回のスキャンで照射された紫外線の照射光量(単位光量とする)は、3856mJ/cmであった。図12は、この単位光量を繰り返して照射したときの、導電膜の表面抵抗率の変化態様を示す。また図13は、この実験で使用した紫外線のスペクトルを示す。
【0075】
図12に示すように、紫外線の照射により導電膜の表面抵抗率が増加することが証明された。ここで、パネル型入力装置10の電極板16、22の導電膜14、20は、非動作領域38の表面抵抗率が検出領域36の表面抵抗率の10倍以上であれば、実用上問題が生じない。したがって図12から、照射光量が12000mJ/cm以上の紫外線を、マスク56(図5)を介して第1及び第2導電膜14、20に照射することで、第1及び第2電極板16、22を作製できることが理解される。
【0076】
〔実験2〕
上記した電極板のサンプルに対し、マスク56(図5)を介して、次亜塩素酸、塩素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸等の酸化性試薬、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム等の塩基性試薬を含む群から選択した導電性制御剤を、導電膜に接触させることで、導電膜の所望領域の表面抵抗率を増加させて、パネル型入力装置10の電極板16、22の導電膜14、20として使用可能な、表面抵抗率の異なる2種類の領域を形成できた。特に、10%の水酸化ナトリウム溶液を主成分とする塩基性試薬は、抵抗率増加作用に優れており、導電膜に60秒以上接触させることで、導電膜の所望領域の表面抵抗率を必要十分に増加させることができた。図14は、この塩基性試薬を用いたときの接触時間と導電膜の表面抵抗率との関係を示す。
【0077】
〔実験3〕
上記した電極板のサンプルにおいて、ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)に過酸化ベンゾイルを3%含有させてなる導電膜を有するものを用意した。この電極板の導電膜の初期の表面抵抗率(例えばJISK6911に準拠)は、698Ω/□(ohm/square)であった。この電極板に対し、実験1と同じ装置を用いて、高圧水銀ランプにより、ピーク波長365nm、放射照度1000mW/cmの紫外線を、導電膜の表面に鉛直方向からスキャン速度5m/minで照射した。1回のスキャンで照射された紫外線の照射光量(単位光量とする)は、500mJ/cmであった。図15は、この単位光量を繰り返して照射したときの、導電膜の表面抵抗率の変化態様を示す。図15に示すように、紫外線の照射により導電膜の表面抵抗率が増加することが証明された。
【符号の説明】
【0078】
10、60、80 パネル型入力装置
12 第1基板
14、82 第1導電膜
16、62、94 第1電極板
18 第2基板
20、84 第2導電膜
22、64、96 第2電極板
24 第1平行電極対
26 第2平行電極対
28 第1導線
30 第2導線
36、66、86 検出領域
38、68、88 非動作領域
52 遮蔽部
54 透過部
56 マスク
58 抵抗率改変要素
59 電子機器
70、72、90、92 導線
98 補助導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及び該基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備える一対の電極板を具備し、該一対の電極板の各々の該導電膜が導電性ポリマーを用いて形成され、該一対の電極板が、それぞれの前記導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされるパネル型入力装置において、
前記一対の電極板の各々の前記導電膜は、タッチ入力を検出する単一の検出領域と、該検出領域に隣接して配置され、該検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有する非動作領域とを備え、
前記検出領域に、前記導電膜に電圧を印加するための平行電極対が形成されるとともに、前記非動作領域に、該平行電極対に接続される導線が形成され、
前記非動作領域が、前記検出領域と前記導線とを互いに絶縁すること、
を特徴とするパネル型入力装置。
【請求項2】
基板及び該基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備える一対の電極板を具備し、該一対の電極板の各々の該導電膜が導電性ポリマーを用いて形成され、該一対の電極板が、それぞれの前記導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされるパネル型入力装置において、
前記一対の電極板の各々の前記導電膜は、タッチ入力を検出する複数の検出領域と、該複数の検出領域に隣接して配置され、該複数の検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有して、該複数の検出領域を互いに絶縁する非動作領域とを備え、
前記複数の検出領域が、前記一対の電極板の各々の前記導電膜において互いに平行に延長される一方、前記一対の電極板の双方の前記導電膜の間で互いに交差する方向へ延長されること、
を特徴とするパネル型入力装置。
【請求項3】
前記導電膜を形成する前記導電性ポリマーが、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有する、請求項1又は2に記載のパネル型入力装置。
【請求項4】
前記一対の電極板がいずれも透明である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル型入力装置。
【請求項5】
互いに絶縁して対面配置される一対の導電膜を具備し、該一対の導電膜の各々が導電性ポリマーを用いて形成されるパネル型入力装置において、
前記一対の導電膜の各々は、タッチ入力を検出する複数の検出領域と、該複数の検出領域に隣接して配置され、該複数の検出領域の表面抵抗率よりも高い表面抵抗率を有して、該複数の検出領域を互いに絶縁する非動作領域とを備え、
前記複数の検出領域が、前記一対の導電膜の各々において互いに平行に延長される一方、前記一対の導電膜の間で互いに交差する方向へ延長されること、
を特徴とするパネル型入力装置。
【請求項6】
前記一対の導電膜が、対面配置される一対の基板の互いに対向する表面に設けられ、前記一対の導電膜の間に絶縁層が介在する、請求項5に記載のパネル型入力装置。
【請求項7】
前記一対の導電膜が、単一の基板の両面に設けられる、請求項5に記載のパネル型入力装置。
【請求項8】
前記一対の導電膜の各々の前記複数の検出領域と前記基板の表面との間に、無機系導電性物質からなる補助導電層が設けられる、請求項6又は7に記載のパネル型入力装置。
【請求項9】
前記導電膜を形成する前記導電性ポリマーが、紫外線の照射により酸化性物質及び塩基性物質のいずれかに変性する添加剤を含有する、請求項5〜8のいずれか1項に記載のパネル型入力装置。
【請求項10】
前記一対の導電膜がいずれも透明である、請求項5〜9のいずれか1項に記載のパネル型入力装置。
【請求項11】
表示装置と、該表示装置の画面に重ねて設置されるパネル型入力装置とを具備する電子機器において、
前記パネル型入力装置が、請求項4又は10に記載のパネル型入力装置であることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパネル型入力装置の製造方法であって、
前記一対の電極板を用意し、
前記一対の電極板の各々の前記導電膜の上に、遮蔽部及び透過部を有するマスクを配置し、
前記マスクの前記透過部を通して、前記導電膜に、紫外線を照射するか、或いは酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を接触させて、前記透過部に対応する前記導電膜の一領域の表面抵抗率を、前記遮蔽部に対応する前記導電膜の他領域の表面抵抗率よりも増加させることにより、前記一対の電極板の各々の前記導電膜に前記検出領域と前記非動作領域とを形成すること、
を特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項5〜10のいずれか1項に記載のパネル型入力装置の製造方法であって、
前記一対の導電膜を用意し、
前記一対の導電膜の各々の上に、遮蔽部及び透過部を有するマスクを配置し、
前記マスクの前記透過部を通して、前記導電膜に、紫外線を照射するか、或いは酸化性物質及び塩基性物質のいずれかを含む導電性制御剤を接触させて、前記透過部に対応する前記導電膜の一領域の表面抵抗率を、前記遮蔽部に対応する前記導電膜の他領域の表面抵抗率よりも増加させることにより、前記一対の導電膜の各々に前記検出領域と前記非動作領域とを形成すること、
を特徴とする製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−142016(P2012−142016A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62707(P2012−62707)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2008−155984(P2008−155984)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】