説明

パネル支持装置

【課題】
パネルを躯体側に設けた支柱の側面部で支持することができ、容易に上下前後左右方向の3次元方向に位置調整が可能であり、取付が簡単で、体裁の良いパネル支持装置を提供する。
【解決手段】
パネル支持装置2は、板ガラス1の固定ボルト5に螺着され支柱側面部4方向に延びる連結杆10を有する支持ブラケット7と、支柱側面部4にねじ着される基部19と該連結杆10方向に延びる腕部20を有する支柱ブラケット8を具備している。該基部19には上下方向に延びる上下長孔21が設けられ、該腕部20には左右方向に延びる位置調整用長孔22が形成されている。上記支持ブラケット7のねじ込み量を調整して板ガラス1と支柱3との前後方向の位置関係を定め、上記支柱ブラケット8を上下方向に調整して上記連結杆10と上記腕部20を重ね合わせ、両者を左右方向に微調整して連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルを躯体側に設けた支柱に支持するためのパネル支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばDPG構法などパネルを躯体側に設けた支柱に支持するパネル支持構造が種々知られているが、パネルに固定されたボルトと支持装置の位置が上下前後左右方向にずれてしまうので、取付作業が難しかった。そこで、3次元方向に位置調整可能な構成を有するパネル取付構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、該特許文献1に記載されているような従来のパネル支持構造は、構成が複雑であり、例えばパネルと対向しない支柱側面部でパネルを支持することもできないし、体裁もよくなく、取付作業も面倒だった。
【特許文献1】特開平9−60174号公報(特許請求の範囲、段落0023、0026、0046、図1〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、パネルを躯体側に設けた支柱の側面部で支持することができ、容易に上下前後左右方向の3次元方向に位置調整が可能であり、取付が簡単で、体裁の良いパネル支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、パネルを躯体側に設けた支柱で支持するパネル支持装置において、上記支柱の側面部方向に延びる連結杆を有し上記パネルに取り付けられる支持ブラケットと、該支持ブラケット方向に延びる腕部を有し上記支柱の側面部に取り付けられる支柱ブラケットを形成し、上記支柱ブラケットの上記連結杆が該支柱ブラケットに対向する位置に存するよう該支持ブラケットを上記パネルに固定されたボルトに前後方向に調整して螺着し、上記支柱ブラケットの上記腕部が上記支持ブラケットの上記連結杆の位置に対応するよう上下方向に調整して該支柱ブラケットを上記支柱側面部にねじ着し、上記支持ブラケットの連結杆と上記支柱ブラケットの腕部を左右方向に調整して連結したことを特徴とするパネル支持装置が提供され、上記課題が解決される。なお、本発明においては、例えば床面から垂直に起立する断面略矩形状の支柱でパネルを支持する場合に、支柱の起立する方向を上下方向、該支柱からみてパネルの存する方向を前後方向、該支柱の側面部の方向を左右方向というものとする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、上記のように構成され、パネルを躯体側に設けた支柱で支持するパネル支持装置において、上記支柱の側面部方向に延びる連結杆を有し上記パネルに取り付けられる支持ブラケットと該支持ブラケット方向に延びる腕部を有し上記支柱の側面部に取り付けられる支柱ブラケットを形成し、上記パネルに固定されたボルトに上記支持ブラケットを螺着し、上記支柱ブラケットを上下方向に調整して支柱にねじ着し、上記支持ブラケットの連結杆と上記支柱ブラケットの腕部を重ね合わせて連結するようにしたので、まずパネルに固定されているボルトに上記支持ブラケットを螺着して該支持ブラケットの連結杆が上記支柱ブラケットに対向する位置に存するよう前後方向に位置調整し、次いで該支持ブラケットの連結杆と該支柱ブラケットの腕部がうまく重なり合うよう該支柱ブラケットを支柱側面部に取り付ける高さを上下方向に調整し、最後に該連結杆と該腕部の連結位置を左右方向に微調整して連結すれば、3次元方向で取付位置の調整を行いつつパネルを容易に支柱側面部(パネルと対向しない支柱面)に取り付けることができ、体裁も良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、パネルを支柱側面部、すなわちパネルと対向しない支柱面で支持する各種のパネル支持構造に適用することができるが、図1は、板ガラス1を、本発明のパネル支持装置2によって、断面略矩形状に形成された支柱3の側面部4に支持するようにした本発明の一実施例を示している。なお、上記パネルは板ガラスに限定されるものではなく、その他適宜のパネル部材を支持することができる。また、支柱の断面形状は、図1に示す断面形状のほか、例えば断面略多角形状などに形成されたものであってもよい。
【0007】
また、公知のように、上記板ガラス1には、上記支柱3側へ突出する固定ボルト5が設けられており、該固定ボルト5の根元部には該板ガラス1と密着するよう固定部材6が螺着されている(図2)。パネル支持装置2は、該固定ボルト5の先端部に螺着される支持ブラケット7と該支持ブラケット7に連結される支柱ブラケット8を具備している。
【0008】
上記支持ブラケット7は、平面視略L字状に形成され、上記固定ボルト5に螺着される支持ブラケット本体9と該支持ブラケット本体9の側方に延出して設けられる連結杆10を有する。該支持ブラケット本体9には上記固定部材6を嵌入可能な嵌入口11が設けられ、該嵌入口11の底部12には上記固定ボルト5にねじ係合するねじ孔13が形成されている。該支持ブラケット本体9の裏面側にはビス孔14が設けられ(図3)、該ビス孔14にビス15をねじ込んで固定ボルト5に締着させることにより上記支持ブラケット7は回り止めされる。本実施例においては、上記支持ブラケットは平面視略L字状に設けられているが、パネルと支柱側面部の位置関係や意匠性などの観点から適宜の形状に形成することができる。
【0009】
上記連結杆10は、支柱ブラケット8の腕部20と重ね合わせることができるように設けられている。この重ね合わせは、前後方向に重ね合わせる構成でもよいが、図に示す実施例では上下方向に重ね合わせる構成にしてある。そして、該腕部20と重ね合わせたとき連結杆10が上側に位置するよう形成してある。図3に示すように、該連結杆10の下面には、該連結杆10と上記腕部20を連結する連結ボルト16に対応するボルト孔17が該連結杆10の上面に貫通しないように設けられている。また、該連結杆10には、上記腕部20に重ね合わせたとき該腕部20を覆い隠すよう側壁部18が形成されているので、連結杆10と腕部20の連結部分が外部に露出せず体裁がよい。本実施例においては、上記連結杆は上記腕部と重ね合わせたとき上側に位置するよう設けられているが、下側に位置するよう形成してもよい。また、本実施例では、上記連結杆の下面にボルト孔が設けられているが、上面に形成することもできる。さらに、本実施例において、上記側壁部は上記連結杆に設けられているが、該連結杆と上記腕部の連結部分を覆い隠すよう形成されていればよく、該腕部に設けることもできる。所望により、該側壁部を設けずに、別体に形成したカバーにより上記連結部分を被覆してもよい。
【0010】
上記支柱ブラケット8は、上記支柱3の側面部4に沿う形状に形成された基部19と該基部19の側方に延出して設けられる上記腕部20を有する。図4に示すように、該基部19には上記支柱側面部4に固定するためのねじ21を挿通するよう上下方向に延びる上下長孔22が設けられ、該支柱側面部4には該ねじ21に対応するねじ孔23が形成されている。上記腕部20には、上記連結杆10と重ね合わせて左右方向に位置調整しつつ上記ボルト孔17に連結ボルト16をねじ込んで両者を連結できるよう、該腕部20の長手方向に沿って左右に延びる位置調整用長孔24が形成されている。本実施例において、上記位置調整用長孔は支柱ブラケットの腕部に設けられているが、上記支持ブラケット側から連結ボルトを挿入するようにした場合には上記連結杆に形成してもよい(図示略)。また、本実施例では、上記腕部は上記基部に対し垂直方向に延出して設けられているが、上記支持ブラケットの連結杆の構成に応じて適宜斜方向等に延出して設けることができる。
【0011】
図5は他の実施例を示し、断面略多角形状に形成された支柱の側面部で板ガラスを支持する場合の実施例である。このように形成された支柱であっても、図1ないし図4に示す上記実施例と同じように板ガラスを支持することができる。
【0012】
而して、上記支持ブラケット7のねじ込み量を調整して板ガラス1と支柱3の前後方向の位置関係を定め、上下長孔24を用いて上下方向に調整して上記支持ブラケット7の連結杆10と上記支柱ブラケット8の腕部20がうまく重なり合う高さで該支柱ブラケット8の基部19を支柱側面部4にねじ着し、上記連結杆10と上記腕部20の重ね合わせ位置を上記位置調整用長孔24を用いて左右方向に微調整して連結ボルト16で両者を連結すれば、容易に板ガラス1を支柱3の側面部4に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明におけるパネル支持装置の一実施例であってその取付状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施例においてA−A断面で切断した説明図である。
【図3】図2に示す実施例においてB−B断面で切断した説明図である。
【図4】図2に示す実施例においてC−C断面で切断した説明図である。
【図5】他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 板ガラス
2 パネル支持装置
3 支柱
4 側面部
7 支持ブラケット
8 支柱ブラケット
10 連結杆
20 腕部
22 上下長孔
24 位置調整用長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを躯体側に設けた支柱で支持するパネル支持装置において、上記支柱の側面部方向に延びる連結杆を有し上記パネルに取り付けられる支持ブラケットと、該支持ブラケット方向に延びる腕部を有し上記支柱の側面部に取り付けられる支柱ブラケットを形成し、上記支柱ブラケットの上記連結杆が該支柱ブラケットに対向する位置に存するよう該支持ブラケットを上記パネルに固定されたボルトに前後方向に調整して螺着し、上記支柱ブラケットの上記腕部が上記支持ブラケットの上記連結杆の位置に対応するよう上下方向に調整して該支柱ブラケットを上記支柱側面部にねじ着し、上記支持ブラケットの連結杆と上記支柱ブラケットの腕部を左右方向に調整して連結したことを特徴とするパネル支持装置。
【請求項2】
上記支柱ブラケットは上記支柱の側面部に沿う形状の基部を有し、該基部には支柱の側面部に固定するためのねじを挿通するよう上下方向に延びる上下長孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル支持装置。
【請求項3】
上記支持ブラケットの連結杆と上記支持ブラケットの腕部のうちいずれか一方の部材には、該部材と他方の部材を連結するための連結ボルトを挿通し左右方向に調整してねじ着できるよう左右方向に延びる位置調整用長孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネル支持装置。
【請求項4】
上記位置調整用長孔は、上記支持ブラケットの連結杆と上記支柱ブラケットの腕部を重ね合わせたとき下側に位置する方の部材に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のパネル支持装置。
【請求項5】
上記支持ブラケットの連結杆と上記支柱ブラケットの腕部のうちいずれか一方の部材には、両者を重ね合わせたとき上側に位置する方の部材が下側に位置する方の部材を覆い隠すよう側壁部が形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のパネル支持装置。
【請求項6】
上記支持ブラケットは平面視略L字状に設けられ、上記位置調整用長孔は上記腕部の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のパネル支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−249878(P2009−249878A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97660(P2008−97660)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000138613)株式会社ユニオン (42)
【Fターム(参考)】