説明

パネル状音波生成器

パネル状音波生成器(1A;1B;101)は一つ又は複数の平面プレート(2,3;102;103)を備えている。実施の一形態において、二つの平面プレート(2,3;102;103)は互いに所定の距離(D)を隔てて略平行に配置され、一方、音波生成器(1A;1B;101)は、少なくとも一方のプレートを振動させる音響トランスデューサユニット(4;110A)と、動きフィードバックユニット(10:110B)とを更に有している。動きフィードバックユニット(10;110B)は一体型のモーションセンサ(9)を備えており、モーションセンサ(9)は、第1のプレート(2;102)に対して機械的に結合された第1のセンサ部品(11;111B)と、第2のプレート(3;103)に対して機械的に結合された第2のセンサ部品(12;112B)とを備えている。特定の実施の形態においては、音波生成器がディスプレイ装置(100)として実施される。この場合、フィードバック手段は、ディスプレイ装置の少なくとも一つの表示セル(110B)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、パネル状音波生成器に関する。特に、本発明は、ディスプレイ装置自体がラウドスピーカの機能を果たすことができ、それにより、別個のラウドスピーカを省くことができるように音響トランスデューサ手段が設けられた携帯電話、コンピュータ、テレビ等の電子装置において使用できるタイプの画像ディスプレイ装置に関する。しかしながら、本発明は、そのような装置に限定されず、装飾パネルも考えられる。
【背景技術】
【0002】
パネル状音波生成器自体は既知である。これらの音波生成器は、少なくとも一つの平面プレートと、上記プレートを振動させることができる音響トランスデューサ手段とを備えている。そのような装置は、例えば米国特許第6,198,831号(特許文献1)に開示されるように、パネル状ラウドスピーカとして設計することができる。
【0003】
また、例えば米国特許第5,828,768号(特許文献2)に開示されるように、ラップトップコンピュータにおける例えばLCD等の画像ディスプレイ装置をパネル状音波生成器として使用し、それにより、それがラウドスピーカの機能を果たすことができるようにすることも考えられる。この場合、音響トランスデューサ手段は、パネルの外側にあり、パネルのプレートのうちの一つに対して取り付けられた圧電素子を備えている。
【0004】
国際公開第WO02/082858号(特許文献3)は、一体型の音響トランスデューサ手段を有する画像ディスプレイ装置を開示している。参照することによって本願に組み込まれるこの文献は、特定のタイプの画像ディスプレイ装置の詳細なリストを与えている。上記文献において説明されているように、ディスプレイ装置は、互いに所定の距離を隔てて略平行に配置された二つの平面プレートと、表示セルからなる配列とを備えており、各表示セルは、前面プレートに対して接続された第1の電極と、背面プレートに対して接続された第2の電極とを備え、上記二つの電極間に誘電媒体が配置されている。上記電極に対して電圧が印加されると、これらの電極は互いに静電力を及ぼし合う。この電圧が交流電圧である場合、パネルディスプレイ装置の前面パネル及び背面パネルに振動が引き起こされる。音響範囲(約20Hz乃至20kHz)において振動を引き起こす場合、必要な駆動周波数は、画像を表示するために必要な信号周波数よりもかなり低い。
【0005】
一般に、音響再生システムにおいては、フィードバック機能を有していることが望ましい。音響ドライバは、生成される音波を表す入力信号を受けて、音響トランスデューサ手段を駆動するための駆動信号を生成する。フィードバック手段は、音波生成器の性能を示すフィードバック信号を生成し、このフィードバック信号は、音響ドライバに送り戻される。音響ドライバは、フィードバック信号と期待される性能とを比較し、それに応じて駆動信号を調整する。
【0006】
米国特許第5,828,768号に記載されたシステムは、そのようなフィードバック機能を備えている。この場合、フィードバック信号を生成するフィードバック手段は、音波生成器によって形成される音を拾い上げる別個のマイクロフォンを備えている。そのような実施は不利である。
【特許文献1】米国特許第6,198,831号公報
【特許文献2】米国特許第5,828,768号公報
【特許文献3】国際公開第WO02/082858号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一つの欠点は、マイクロフォンに基づくフィードバック信号の遅延が比較的大きいという事実である。
【0008】
他の欠点は、マイクロフォンが付加的な構成部品であり、それにより、スペースを必要とするという事実である。特に例えば携帯電話等の小型の電子装置においては、構成部品の数をできる限り減少させることが望ましい。
【0009】
更なる欠点は、マイクロフォンも望ましくない音響信号(例えばノイズ)を拾い上げてしまう場合があるという事実である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の全体としての目的は、前述した欠点を排除し又は少なくとも低減することである。本発明は、独立請求項によって規定されている。従属請求項は、有利な実施の形態を規定している。
【0011】
本発明の重要な態様において、音波生成器は、少なくとも一つのプレートと、上記プレートに対して機械的に結合された少なくとも一つのセンサ部品を有するモーションセンサを備えるフィードバック手段とを備えている。従って、別個のマイクロフォンを省くことができる。フィードバック手段は、振動するプレートの動きを直接に測定することができる。
【0012】
本発明の更なる重要な態様において、音波生成器は、互いに所定の距離を隔てて略平行に配置された少なくとも二つのプレートを備えるとともに、フィードバック手段は静電モーションセンサを備え、静電モーションセンサは、第1のプレートに接続された第1の電極と、第2のプレートに接続された第2の電極とを備えている。プレートが互いに対して振動すると、上記電極上に電気信号が発生される。
【0013】
本発明の特定の実施の形態において、二つのプレートは例えばLCD等のディスプレイ装置の一部であり、このディスプレイ装置は表示セルからなる配列を備え、各表示セルは、前面電極と背面電極とを備えている。この場合、フィードバック手段は、ディスプレイ装置の表示セルのうちの少なくとも一つを備えている。本発明のこの特定の実施の形態は、平面ディスプレイ装置が一体型の静電モーションセンサとして使用できるセルを備えているという見識に基づいている。この点において、本発明の見識は、電気信号によって機械的な力が生じるという国際公開第WO02/082858号の発明の見識と異なっている。
【0014】
本発明のこれらの態様及び他の態様、特徴、利点を、図面に関連する以下の説明によって更に述べる。図中、同じ参照符号は、同一又は類似の部分を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1Aは、本発明に係るパネル状音波生成器1Aの第1の実施の形態の概略断面である。音波生成器1Aは、互いに僅かな距離Dだけ離間して略平行に配置された第1の平面プレート2及び第2の平面プレート3を備えている。プレートを所望の距離に保持するための装着・分離手段は、簡単のため図示されていない。また、音波生成器1Aは、第1の平面プレート2に対して取り付けられた音響トランスデューサ4、例えば圧電素子を更に備えている。トランスデューサ4は、駆動信号Sを受けると、機械的な力を第1のプレート2に対して及ぼし、それにより、少なくとも第1のプレート2が振動する。
【0016】
音波生成器1Aはフィードバック手段10を更に備えており、このフィードバック手段10は、プレート2,3のそれぞれの互いに対向する平面上に取り付けられた第1の電極11及び第2の電極12を有する一体型のモーションセンサ9を備えている。以下では、これらの平面を内面と称する。また、以下では、反対側の面のそれぞれを外面と称する。
【0017】
図示の実施の形態において、電極11,12は、トランスデューサ4の場所と異なる場所に配置されているが、このようにする必要はない。
【0018】
フィードバック手段10は信号生成器13を更に備えており、この信号生成器13は、電極11,12に対して電気的に結合された入力部を有するとともに、電極11,12の互いに対する相互距離、従って、プレート2,3同士の距離、又は、少なくとも電極が配置されたプレート部位同士の距離に関連する信号Sを生成する出力部を有している。
【0019】
電極11,12は、互いに静電結合されており、電極11,12の互いに対する変位を感知する静電センサ9を協働して形成している。この変位は、電気信号に変換することができるとともに、それ自体既知の方法で信号生成器13により処理することができる。例えば、電極11,12が一定の電圧差に保持されると、プレート2,3の表面に対して垂直な方向での電極の相対的な移動により、電流が生じる。尚、静電モーションセンサはそれ自体既知であるため、ここでは、静電モーションセンサの更に詳細な説明は省略する。
【0020】
尚、センサ9は、電極11,12の互いに対する動きを感知し、また、センサ信号は、電極11,12の互いに対する相互の速度及び相互の加速度(即ち、相互距離の一次導関数及び二次導関数)に関する情報を含んでいる。信号生成器13は、例えば速度情報のみを含むような若しくは加速度情報のみを含むような又はこれらの両方の情報を含むような出力信号を選択的に生成すべく形成されていてもよい。
【0021】
尚、電極11,12は互いに電気的に絶縁されていなければならない。プレート2,3が非導電材料によって形成されている場合には、この要件が満たされる。プレート2,3が導電材料によって形成されている場合には、電極とプレート2,3のそれぞれとの間に絶縁手段を設けなければならない。また、プレート2,3は、サイズが同じであることが好ましいが、サイズが異なっていてもよい。
【0022】
図1Bは、平面状音波生成器1Bの第2の実施の形態を示す図1Aに相当する断面図である。音波生成器1Bは、この場合には第2のプレート3の外面に取り付けられた電極14と、第2のプレート3から僅かな距離をおいて第2のプレート3と略平行に配置された第3のプレート5とを備えるモーションセンサ9が設けられている点を除き、第1の音波生成器1Aと類似している。図示の実施の形態において、第3のプレート5自体は、導電性を有しており、電極としての機能を果たす。又は、第3のプレートは、別個の電極を支持していてもよいが、これについては図示しない。
【0023】
尚、第3のプレート5は、上記電極14と協働すべく適切に配置された任意の適当な基準対象物に取って代えられてもよい。また、音波生成器は、必ずしも二つのプレートを有している必要はない。即ち、別個の基準対象物5の場合、音波生成器は、一つのプレート3のみを有していれば十分である。この場合、トランスデューサ4は、この一つのプレート3と係合するように配置されていなければならない。
【0024】
図示の実施の形態において、第3のプレート5は電極14よりも大きいが、このようにする必要はない。また、電極14は、第2のプレート3の外面上に取り付けられている必要はなく、第1のプレート2の外面上即ちトランスデューサ4が配置されている面と同じ面上に配置されていてもよい。これは、第1のプレート2と第2のプレート3との間の機械的な結合が弱く、それにより、トランスデューサ4によって引き起こされる第1のプレート2の振動が第2のプレート3に対して伝わらず又は十分には伝わらず、その結果、第2のプレート3の振動がフィードバック信号のための良好な発生源とならない場合において特に好ましい。
【0025】
図1A,図1Bの実施の形態において、プレートは、基本的に、任意の構造を有していてもよい。特に好ましい実施の形態においては、プレート2,3がそれぞれディスプレイ装置の背面プレート及び前面プレートであり、上記ディスプレイ装置は表示セルの配列を備えるとともに、各表示セルは、上記前面プレートに対して接続された第1の電極と、上記背面プレートに対して接続された第2の電極とを備え、上記二つの電極間には誘電媒体が配置されている。そのような実施の形態において、電極11,12は、ディスプレイ装置の少なくとも一つの表示セルのセル電極を構成している。
【0026】
ディスプレイ装置はそれ自体既知であるため、ここでは、ディスプレイ装置の構造及び動作の詳細な説明を与える必要はない。参照することにより本願に組み込まれる国際公開第WO02/082858号は、様々なタイプのディスプレイ装置のリストを与えており、その総ては、基板プレートの対向面上にセル電極が配置された表示セルを有しており、これらのタイプのディスプレイ装置の総てを本発明に係る音波生成器において使用することができる。
【0027】
図2は、ディスプレイ装置100内に設けられるパネル状音波生成器101の好ましい実施の形態の図1Aに相当する断面図であり、ディスプレイ装置100は、適当な材料、例えばガラス等の硬質材料からなり且つ僅かな相互距離Dを隔てて互いに略平行に配置された背面プレート102及び前面プレート103を備えている。プレート102,103間には誘電材料104が配置されている。この誘電材料104は、空気を含む任意の適当な材料であってよい。典型的な実施の形態においては、ディスプレイ装置100がLCDであってもよく、その場合、誘電材料104は液晶を構成している。ディスプレイ装置100は複数の表示セル110を備えており、各表示セル110はプレート102,103のそれぞれの内面上に配置された一対の電極111,112を備えている。各電極は透明な導電膜によって形成されている。異なるセル110の二つ以上の電極111又は112が組み合わされることにより、一つの共通の電極が形成されてもよいが、これについては図示しない。個々のセル110をアドレス指定するための導電トラックは、同様に透明な導電膜によって形成されており、参照符号113により概略的に示されている。各セル110には、関連する切り換え手段、例えば薄膜トランジスタが設けられていてもよいが、これは簡単のため図面に示されていない。
【0028】
尚、ディスプレイ装置はそれ自体既知であるため、ここでは、様々なタイプのディスプレイ装置の構成及び動作の更に詳細な説明については省略する。図2には、そのような表示セルのうちの二つが、対応する参照符号に添字A又はBを付け加えることにより互いに区別して示されている。表示機能を果たすために総ての表示セルが使用されてもよいが、これについては図示しない。しかしながら、総ての表示セルがその光表示機能のために実際に使用される必要はなく、表示セルのいずれもが光学活性されないことも考えられる。その場合には、ディスプレイがラウドスピーカとしての機能を果たす。
【0029】
図2の好ましい音波生成器101は、一体型の音響トランスデューサ140を備えており、この音響トランスデューサ140は、表示セル110からなる第1のグループ141を備えている。以下、この第1のグループ141に属するセル110をトランスデューサセル110Aとも称する。トランスデューサセル110Aには、電気的な駆動信号Sが印加される。総てのトランスデューサセル110Aが同じ駆動信号Sを受信してもよいが、トランスデューサセル110Aがサブグループに編成され、各サブグループ内のセルは同じ駆動信号を受けるが、異なるサブグループ内のセルは異なる駆動信号を受け、それにより、音波ビームの収束及び方向等の特定の所望の音響特性を得ることも考えられる。尚、表示セルを音響トランスデューサとして使用すること自体は既知であり、これに関して国際公開第02/082858号を参照されたい。従って、この態様についてはここでは更に詳しく説明しない。
【0030】
図2の好ましい音波生成器101は、一体型のモーションセンサ9を備えており、このモーションセンサ9は表示セル110からなる第2のグループ119を備えている。以下、この第2のグループ119に属するセル110をセンサセル110Bとも称する。モーションセンサ9は、セル電極111B,112B同士の相対的な動きを表すフィードバック信号Sを生成するための図1A及び図1Bに関連して説明したものと同様のフィードバック手段10の一部である。尚、トランスデューサセルとしても使用されず、センサセルとしても使用されない表示セル110が存在していてもよいが、特定の実施の形態においては、総ての表示セルがトランスデューサセル又はセンサセルのいずれかとして使用され、それにより、トランスデューサセル110Aからなる第1のグループ141とセンサセル110Bからなる第2のグループ119とが互いに補完し合う。
【0031】
図3は、本発明に係る平面音波生成器101を備える音響再生システム等の電子装置200を概略的に示すブロック図である。図は、トランスデューサセル110Aからなる少なくとも一つのサブグループ241とセンサセル110Bからなる少なくとも一つのサブグループ219とを有するディスプレイ100の一部を概略的に示している。コントローラCは、センサセル110Bからフィードバック信号Sを受けるとともに、予測信号Sを計算する。例えばオペアンプ等の差動増幅器として設けられる音響ドライバADは、入力信号SINを受ける信号入力部と、コントローラCから予測信号Sを受けるフィードバック入力部とを有している。音響ドライバADは、入力信号SINと予測信号Sとの間の差を計算するようになっており、上記差は、トランスデューサセル110Aを駆動するための駆動信号Sとして使用される。
【0032】
必要に応じて、例えば、パネルの複雑な振動パターン等に起因してセンサセル110Bからの出力信号Sがプレート102,103の対応する領域の動きを十分に良く表していない場合、コントローラCには、予測信号Sを修正するためのルックアップテーブル(図示せず)等が設けられていてもよい。
【0033】
図4は、本発明の音波生成器101の好ましい実施の形態を示すためのディスプレイ100の概略正面図である。この好ましい実施の形態において、ディスプレイ100は、複数の表示セクション150に分割されている。図4の実施の形態においては、表示セクションの数が四つであり、これらの表示セクションには、それぞれ参照符号150A,150B,150C,150Dが付されている。各表示セクション150は、対応するトランスデューサ、例えば圧電素子、又は、好ましくは図2に関連して説明したトランスデューサセル110Aからなるグループを備える一体型の音響トランスデューサ140を有している。各表示セクション150は、表示セル110がセンサセル110Bとして使用される比較的小さい領域151を有している。以下、この小さな領域151をセンサ領域と称する。駆動信号は、各表示セクション150毎に対応する音響ドライバAD乃至ADにより個別に生成される。各表示セクション150A,150B,150C,150Dにおいて、センサ領域151A,151B,151C,151Dは、対応する入力信号Sin,A乃至Sin,Dに基づいて、対応する音響トランスデューサ140A,140B,140C,140Dのそれぞれのための個々の駆動信号SD,A,SD,B,SD,C,SD,Dをそれぞれ生成するために使用される個々のセクションフィードバック信号SA,A,SA,B,SA,C,SA,Dをそれぞれ生成する。
【0034】
図4においては、異なる表示セクション150における入力信号SINが異なるように示されているが、これらの信号は互いに同一であってもよい。
【0035】
尚、図4では、明確にするため、一体型の音響トランスデューサ140が対応する表示セクション150の僅かな部分だけを占めるように示されている。しかしながら、一体型の音響トランスデューサ140は、実際には、対応するセンサ領域151と補完し合っていてもよい。
【0036】
簡単のため図示されていない変形例において、各表示セクション150は、対応する表示セクション内の異なる位置から動き情報を得るために、複数のセンサセル領域151を備えていてもよい。動作時、表示セクション150の個々のセンサセル領域151からのフィードバック信号は、表示セクション150全体の動きの良好な尺度を得るために平均化されてもよい。
【0037】
当業者に知られているように、ディスプレイ装置100のプレート102,103は、プレート102,103間に配置されたスペーサ105により、相互距離を隔てて保持されている。図2には、これらのスペーサ105がバーで示されている。好ましい実施の形態においては、センサセル領域151の剛性を低下させるため、センサセル領域151は、スペーサ105の数が減少させられており、又は、そのようなスペーサを有さない。
【0038】
当業者であれば分かるように、本発明は、前述した典型的な実施の形態に限定されず、添付の請求項に規定された本発明の保護範囲内においていくつかの変形及び改良が可能である。
【0039】
例えば、静電モーションセンサ9の電極は、互いに対向してプレート表面上に配置されている必要はないが、そのようにすることが好ましい。例えば、図1Aに関して、電極11,12は、プレート2,3の外面上に配置されていてもよい。また、図1Bに関して、電極14は、プレート3の内面上に配置されていてもよい。
【0040】
また、プレートは任意の構造を有していてもよい。プレートは平坦であることが好ましいが、これは本発明との関連では絶対不可欠なことではない。更に、プレートは、等しいサイズを有していてもよく、また、パネル状音波生成器が矩形状の外形をなすように矩形状の外形を有していてもよい。しかしながら、プレートは、例えば三角形等の異なる外形を有していてもよく、又は、湾曲した辺を有していてもよく、円形であっても構わない。また、プレートは、ガラス等の硬質材料からなっていてもよいが、パネル状音波生成器を折り曲げたり丸めたりすることができるように薄いプラスチック等のごとく柔軟であってもよい。
【0041】
前述したように、好ましい実施の形態においては、パネル状音波生成器がディスプレイ装置内に組み込まれる。ディスプレイ装置は、液晶材料を備える液晶ディスプレイ装置であってもよく、その液晶層は、例えば、撓電液晶材料(フレキソエレクトリック液晶材料)、又は、コレスティック液晶材料、又は、強誘電性液晶材料を含んでいてもよい。
【0042】
また、ディスプレイ装置は、上記二つのプレート間に配置されたエレクトロクロミック材料を備えるエレクトロクロミックディスプレイ装置であってもよい。上記エレクトロクロミック材料は、所定の電流又は電位に応じて色を切り換えることができるという特性を有している。
【0043】
また、ディスプレイ装置は、上記二つのプレート間に配置された電気泳動材料を備える電気泳動ディスプレイ装置であってもよい。
【0044】
また、ディスプレイ装置は、上記二つのプレート間に配置された発光材料を備える発光ディスプレイ装置であってもよい。
【0045】
また、ディスプレイ装置は、上記二つのプレート間に配置された有機発光材料を備える有機ディスプレイ装置であってもよい。
【0046】
また、ディスプレイ装置は、電界放出ディスプレイ装置であってもよい。
【0047】
また、ディスプレイ装置は、ホイルディスプレイ装置であってもよい。
【0048】
また、ディスプレイ装置は、プラズマディスプレイ装置であってもよい。
【0049】
また、ディスプレイ装置はプラズマアドレス液晶ディスプレイ装置であってもよい。
【0050】
本発明の音波生成器は、電子装置の一部であることが有益である。そのような電子装置は、例えば、音響再生システム又は携帯電話又は映像スクリーン又は装飾パネル又はラウドスピーカ装置であってもよい。
【0051】
尚、前述した実施の形態は、本発明を限定するものではなく例示的なものであり、当業者であれば、添付の請求項の範囲から逸脱することなく多くの他の実施の形態を構成することができる。請求項中において、括弧内の任意の参照符号は、請求項を限定するものと解釈すべきではない。動詞「備える、含む(comprise)」及びその活用形の使用は、請求項中に記載された要素又は過程以外の要素又は過程の存在を排除するものではない。要素に先行する冠詞「一つの(a)」は、そのような要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの異なる要素を備えるハードウェアによって、また、適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの一つの同一のアイテムによって具現化されていてもよい。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを都合良く使用できないことを示唆するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】本発明に係るパネル状音波生成器の第1の実施の形態の概略断面図である。
【図1B】本発明に係るパネル状音波生成器の第2の実施の形態の概略断面図である。
【図2】ディスプレイパネルにおいて設けられる本発明に係るパネル状音波生成器の好ましい実施の形態の概略断面図である。
【図3】音波生成器のフィードバック機能を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明の音波生成器が設けられるディスプレイの概略正面図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプレートと、
前記プレートを振動させるための音響トランスデューサ手段と、
フィードバック信号を生成するとともに、前記プレートに対して機械的に結合された少なくとも一つのセンサ部品を有するモーションセンサを備えるフィードバック手段と、
を備えることを特徴とするパネル状音波生成器。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプレートは、互いに所定距離を隔てて略平行に配置された第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記モーションセンサは、前記第1のプレートに対して機械的に結合された第1のセンサ部品と、前記第2のプレートに対して機械的に結合された第2のセンサ部品とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の音波生成器。
【請求項3】
前記モーションセンサは、前記一つのセンサ部品と協働する基準部品を備え、前記基準部品は、好ましくは、前記一つのプレートから所定の距離を隔てて当該プレートと略平行に配置された第3のプレートであることを特徴とする請求項1に記載の音波生成器。
【請求項4】
前記少なくとも一つのセンサ部品は、対応するプレートに組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の音波生成器。
【請求項5】
前記フィードバック手段は、前記第2のプレートの少なくとも一部に対する前記第1のプレートの少なくとも一部の相対的な動きを表すフィードバック信号を生成するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の音波生成器。
【請求項6】
前記フィードバック手段は、前記基準部品に対する前記プレートの少なくとも一部の相対的な動きを表すフィードバック信号を生成するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の音波生成器。
【請求項7】
前記モーションセンサが静電センサであることを特徴とする請求項2に記載の音波生成器。
【請求項8】
前記第1及び第2のプレートがディスプレイ装置の前面プレート及び背面プレートをそれぞれ構成し、前記ディスプレイ装置が表示セルの配列を備え、前記各表示セルは、前記背面プレートに対して接続された第1の電極と、前記前面プレートに対して接続された第2の電極とを備え、前記二つの電極間に誘電媒体が配置され、前記モーションセンサは、前記ディスプレイ装置の少なくとも一つの表示セルの少なくとも一部を備える一体型のセンサであることを特徴とする請求項2に記載の音波生成器。
【請求項9】
前記音響トランスデューサ手段は、前記ディスプレイ装置の少なくとも一つの表示セルの少なくとも一部を備える一体型のトランスデューサ手段であることを特徴とする請求項8に記載の音波生成器。
【請求項10】
前記一体型のモーションセンサは、前記表示セルからなる第1のグループを備え、前記一体型のトランスデューサ手段は、前記表示セルからなる第2のグループを備え、前記第1及び第2のグループが互いに異なっていることを特徴とする請求項9に記載の音波生成器。
【請求項11】
前記ディスプレイ装置は、前記プレート間に複数のスペーサを備え、前記センサセルに対応する表示領域内における前記スペーサの密度は、前記表示領域外の部位内における前記スペーサの密度よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の音波生成器。
【請求項12】
前記ディスプレイ装置は、前記二つのプレート間に配置された液晶層を備える液晶ディスプレイ装置であることを特徴とする請求項8に記載の音波生成器。
【請求項13】
複数のセクションに分割され、前記各セクションは、一つの対応する音響トランスデューサ手段と、少なくとも一つの対応するフィードバック手段とを備え、一つの前記セクションの一つの前記音響トランスデューサ手段のための駆動信号は、対応する前記フィードバック手段からのフィードバック信号に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の音波生成器。
【請求項14】
請求項1に記載の音波生成器と、
音響ドライバと、
を備え、前記音響ドライバは、
入力信号を受けるための信号入力部と、
前記フィードバック手段からフィードバック信号を受けるためのフィードバック入力部と、
前記音響トランスデューサ手段の入力部に対して結合された駆動出力部と、
を備え、
前記音響ドライバは、前記入力信号及び前記フィードバック信号に基づいて、修正された駆動信号をその駆動出力部において生成するようになっていることを特徴とする電子装置。
【請求項15】
互いに所定の距離を隔てて略平行に配置された二つのプレートを備えるパネル状音波生成器を使用して音波を生成する方法において、
前記プレートの一方の少なくとも一部の、前記プレートの他方の少なくとも一部に対する相対的な動きを表すフィードバック信号を生成する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記フィードバック信号は、前記プレートに対して機械的に結合されたセンサ部品を有する静電モーションセンサを使用して生成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−519292(P2007−519292A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520070(P2006−520070)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051163
【国際公開番号】WO2005/009074
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】