説明

パネル装置およびディスク装置

【課題】コストアップを招くことなく容易に製造可能かつリサイクル可能なディスク装置の提供。
【解決手段】ディスク装置のフロントパネル500に、ディスクトレイに係脱自在に取り付け可能な第1〜第4のパネル係合部521〜524を有するパネル本体510と、このパネル本体510に係脱自在に取り付けられる操作部材570と、を設けた。第2,第3のパネル係合部522,523の係合リブ部522A、第3のパネル係合基部523Aに、ディスクトレイに係合する第2,第3のパネル係合爪部522D,523Cと、操作部材570に係合するパネル係止孔部522B、パネル係止切欠部523Bと、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル装置およびディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器などの筐体の一面を略覆うように略板状のパネル装置を設ける構成が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、電子機器の筐体のパネルに操作部材を取り付ける構成が知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、ハウジングと、このハウジングに着脱自在なスカートと、を備えている。そして、スカートのスナップ嵌合部材をハウジングの凹部に嵌合するとともに、スカートのすべりフックをハウジングの孔に摺動係合させることで、スカートをハウジングに取り付ける構成が採られている。
特許文献2に記載のものは、上部筐体と、下部筐体と、パネル部材と、係止部材と、を備えている。そして、これらを組み立てる際には、上部筐体と下部筐体とを組み付けた後に、パネル部材の爪を上部筐体の凹部に宛がいながらパネル部材を回動させ、パネル部材の係止片を下部筐体の凹部に嵌入させる。次に、係止部材を下部筐体の凹部の穴部内に差し込み、係止部材をパネル部材の係止片方向へ移動させて係止片を挟み込む。そして、係止部材の突起部を係止片の穴に嵌入して係止する構成が採られている。
【0004】
特許文献3に記載のものは、筐体と、操作ボタンと、を備えている。そして、操作ボタンのフック部を筐体の係止部に係止することで、操作ボタンを筐体に取り付ける構成が採られている。
特許文献4に記載のものは、パネルと、押釦と、を備えている。そして、押釦の上係止孔にパネルの上係止爪を挿入し係止し、さらに押釦の舌片をパネルの下係止爪とパネル裏面との間へ下側から嵌入するとともに、下係止爪の内側に設けられた突部を舌片の下係止孔に嵌合することで押釦をパネルに取り付ける構成が採られている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−320739号公報
【特許文献2】特開2004−87946号公報
【特許文献3】特開平7−141961号公報
【特許文献4】特開平9−82170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、筐体と、パネル本体と、操作部材とを別体で形成して、その後に組み立てる構成において、パネル本体に特許文献1,2に記載のような筐体に係合する爪部を設けるとともに、特許文献3,4に記載のような操作部材と係合する爪部や孔部を設けることで、各部材を着脱可能にすることが考えられる。しかしながら、このような構成では、パネル本体に筐体との係合部分と、操作部材との係合部分と、を形成するために、金型の形状が複雑になり、製造が困難になったり金型のコストが上がったりしてしまうおそれがある。また、例えば操作部材をパネル本体に溶着することも考えられるが、リサイクルに工数が掛かるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点などに鑑みて、コストアップを招くことなく容易に製造可能かつリサイクル可能なパネル装置およびディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、処理部を収納する筐体に取り付けられるパネル装置であって、前記筐体の一面を略覆うパネル本体と、前記パネル本体に取り付けられ前記処理部を動作させる際に操作される操作部材と、を具備し、前記パネル本体の一面には、前記筐体に係脱自在に係合するパネル係合部が設けられ、このパネル係合部は、前記パネル本体の一面から略板状に延出し面方向と略直交する方向に弾性変形可能なパネル係合基部と、このパネル係合基部の延出先端側の一面から前記パネル係合基部の厚さ方向に突出し前記筐体に係合するパネル係合突部と、前記パネル係合基部に設けられ前記操作部材が係脱自在に係止されるパネル係止部と、を備えたことを特徴とするパネル装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、ディスク状記録媒体に対する処理を実施する処理部と、この処理部を収納する筐体と、この筐体に取り付けられる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のパネル装置と、を具備したことを特徴とするディスク装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るディスク装置の正面側からの斜視図である。図2は、ディスク装置の背面側からの斜視図である。図3は、フロントパネルの分解斜視図である。図4は、フロントパネルの要部の斜視図である。
【0011】
[ディスク装置の構成]
図1に示すように、ディスク装置100は、例えば携帯型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートパソコンと称す)などの電気機器に装着されるいわゆるスリムディスク装置(或いはスリムディスクドライブ)と称されるものである。このディスク装置100は、着脱可能に装着される面状の記録媒体、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)あるいはBD(Blu-ray Disc:ブルーレイディスク)またはHD−DVD(High Definition DVD)などにおける少なくとも一面に設けられた図示しない記録面に記録された情報を読み出す情報処理である読取処理および記録面へ各種情報を記録する情報処理である記録処理の少なくとも一方の処理をする。
そして、ディスク装置100は、筐体を構成する収容部としてのケース体200を備えている。
【0012】
ケース体200は、底部側の下ケース201と天面側の上ケース202とにより構成され、内部に空間を有する略四角箱状に形成されている。このケース体200は、一面側に開口部203を有している。そして、ケース体200には、開口部203を介して筐体を構成するディスクトレイ300が進退自在に設けられている。
ディスクトレイ300は、例えば合成樹脂などにて略板状に形成され、ケース体200の開口部203から進出自在に設けられている。このディスクトレイ300の前面部310には、ディスクトレイ300がケース体200内部に収納された状態で、ケース体200の開口部203を閉塞するパネル装置としてのフロントパネル500が取り付けられている。また、ディスクトレイ300には、図示しない光ピックアップなどを有しトラバースメカと称されるディスク処理部301が一体的に設けられている。
【0013】
次に、ディスクトレイ300の要部の詳細な構成について説明する。
ディスクトレイ300の前面部310は、略長方形状の前面基部311と、この前面基部311の長手方向の一側縁(右側縁)から略長方形状に突出する右側突出部312と、を備えている。また、前面部310には、前面基部311の左側縁側に縦長孔状に形成された第1のトレイ取付係止部321と、この第1のトレイ取付係止部321の右側に縦長孔状に形成された第2のトレイ取付係止部322と、前面基部311の右側端部に切欠き形成された第3のトレイ取付係止部323と、右側突出部312に横長孔状に形成された第4のトレイ取付係止部324と、第1のトレイ取付係止部321の右側に凹状に形成されたボス係合凹部325と、が設けられている。
【0014】
また、第2,第3のトレイ取付係止部322,323の間には、スイッチ部326と、LED327と、強制イジェクト操作部328と、が設けられている。
スイッチ部326は、後述するボタン部573により押圧される。このスイッチ部326が押圧されると、図示しないトレイ排出機構の駆動によりディスクトレイ300が排出される。LED327は、ディスク装置100の駆動状態に応じて点灯する。強制イジェクト操作部328は、強制的にディスクトレイ300を排出させる際にケース体200内に押し込まれる。この強制イジェクト操作部328が押し込まれると、ディスクトレイ300が強制的に排出される。
【0015】
次に、フロントパネル500の要部の詳細な構成について説明する。
フロントパネル500は、図1〜図3に示すように、パネル本体510と、窓閉塞部材としてのLEDレンズ540と、操作部材570と、を備えている。
【0016】
パネル本体510は、若干湾曲した略長方形板状の正面部511と、この正面部511の短手方向の両側縁から正面部511の面方向と略直交する方向に延びる上面部512および下面部513と、正面部511の長手方向の両側縁から上面部512と略等しい方向に延びる右面部514および左面部515と、を備えている。なお、上面部512は、本発明の側縁部として機能する。
正面部511には、LED327に対向する窓部を構成するレンズ開口部511Aと、スイッチ部326に対向するボタン露出孔部511Bと、強制イジェクト操作部328に対向するイジェクト用孔部511Cと、が開口形成されている。また、正面部511には、第1,第2,第3,第4のトレイ取付係止部321,322,323,324にそれぞれ対向する位置に形成された第1,第2,第3,第4のパネル係合部521,522,523,524と、ボス係合凹部325と対向する位置に形成されたトレイ位置決めボス525と、が設けられている。
また、上面部512は、クッション材516を保持するクッション保持部512Aを備えている。
【0017】
第1,第4のパネル係合部521,524は、図3に示すように、左面部515、右面部514にそれぞれ隣接して設けられ、正面部511から略長方形板状に延出する第1,第4のパネル係合基部521A,524Aを備えている。この第1,第4のパネル係合基部521A,524Aの先端には、その厚さ方向に突出し、第1,第4のトレイ取付係止部321,324の端部に係止される第1,第4のパネル係合爪部521B,524Bが設けられている。
【0018】
第2のパネル係合部522は、正面部511から略長方形板状に延出するパネル係合基部を構成する係合リブ部522Aを備えている。この係合リブ部522Aは、面方向が正面部511の上下方向と略一致し、かつ、正面部511と上面部512のクッション保持部512Aとを接続する状態で設けられ、正面部511および上面部512を補強する。また、係合リブ部522Aの上下方向略中央には、この係合リブ部522Aを貫通する略四角孔状のパネル係止部としてのパネル係止孔部522Bが開口形成されている。さらに、係合リブ部522Aの延出先端には、略長方形板状に延出するパネル係合基部を構成する係合延出部522Cが設けられている。そして、この係合延出部522Cの先端には、その厚さ方向に突出し、第2のトレイ取付係止部322の端部に係止されるパネル係合突部としての第2のパネル係合爪部522Dが設けられている。
第3のパネル係合部523は、正面部511から略長方形板状に延出する第3のパネル係合基部523Aを備えている。この第3のパネル係合基部523Aには、上側縁の基端側が略四角形状に切り欠かれることで形成されたパネル係止部としてのパネル係止切欠部523Bが設けられている。さらに、第3のパネル係合基部523Aの延出先端には、その厚さ方向に突出し、第3のトレイ取付係止部323の端部に係止されるパネル係合突部としての第3のパネル係合爪部523Cが設けられている。
【0019】
さらに、第2のパネル係合部522の右側には、レンズ開口部511Aの周縁から略四角筒状に延びる窓部を構成するレンズ取付筒部526が設けられている。このレンズ取付筒部526の先端における下側部分には、略四角形状に切り欠かれたレンズ位置決め切欠部526Aと、レンズ位置決めボス526Bと、が設けられている。また、レンズ取付筒部526の上側には、第1のボタン位置決めボス527が設けられている。さらに、レンズ取付筒部526の右斜め上側には、レンズボタン位置決めボス528が設けられている。
また、レンズ取付筒部526の右側には、ボタン露出孔部511Bの周縁から略四角筒状に延びるボタン取付筒部530が設けられている。このボタン取付筒部530の右側には、イジェクト用孔部511Cの周縁から略円柱状に延びるイジェクト用筒部531が設けられている。これらイジェクト用孔部511Cおよびイジェクト用筒部531の内部に針金などの線状部材が挿通されることで、強制イジェクト操作部328が押し込まれる。また、イジェクト用筒部531の左斜め上側には、第2のボタン位置決めボス532が設けられている。さらに、第3のパネル係合部523の右側および左側には、下面部513から上方向に突出する突出部533,534が設けられている。
【0020】
LEDレンズ540は、LED327の光を外部に放出できるように半透明あるいは透明な材料により形成されている。そして、LEDレンズ540は、レンズ取付筒部526に嵌合する略四角柱状のレンズ本体部541を備えている。
このレンズ本体部541の軸方向の一端側には、外側に向けて鍔状に突出する位置決め鍔部542が設けられている。位置決め鍔部542の一隅部には、外側に向けて舌片状に突出する被挟持舌片部543が設けられている。この被挟持舌片部543には、レンズボタン位置決めボス528が係合する第1のレンズボス係合孔部543Aが設けられている。
また、位置決め鍔部542における被挟持舌片部543の対角にある隅部には、図4にも示すように、レンズ位置決めボス526Bが係合する第2のレンズボス係合孔部544が設けられている。さらに、位置決め鍔部542には、下方に向けて舌片状に突出し、レンズ位置決め切欠部526Aに係合するレンズ係合舌片部545が設けられている。このレンズ係合舌片部545は、その一面が位置決め鍔部542の一面よりもレンズ本体部541側に位置する形状に形成されている。
【0021】
操作部材570は、図3に示すように、略長方形板状の操作基部571を備えている。この操作基部571の長手方向略中央には、略N字状に屈曲した2個のばね部572を介して操作部としてのボタン部573が保持されている。このボタン部573は、ボタン取付筒部530に嵌合し、その先端がボタン露出孔部511Bから外部に露出される状態で設けられる。また、ボタン部573には、スイッチ押圧ピン573Aが設けられている。このスイッチ押圧ピン573Aは、ばね部572が弾性変形してボタン部573がディスク装置100内部側に移動したときに、スイッチ部326を押圧する。
【0022】
また、操作基部571の長手方向の一側縁には、その面方向と略直交する方向に延びる右端延出部574が設けられている。この右端延出部574は、操作基部571の面方向と略直交する板状に形成されている。右端延出部574には、第1の操作係合部575が設けられている。この第1の操作係合部575は、右端延出部574の面方向と略直交する方向に略長方形板状に延出する第1の操作係合基部575Aと、この第1の操作係合基部575Aの先端からその厚さ方向に突出し、パネル係止切欠部523Bに係止される操作係合突部としての第1の操作係合爪部575Bと、を備えている。
さらに、操作基部571におけるばね部572と右端延出部574との間には、第2のボタン位置決めボス532が係合する略リング状の係合リング部576が設けられている。
【0023】
また、操作基部571の長手方向の他側縁には、右端延出部574と略等しい方向に延びる略棒状の左端延出部577が設けられている。この左端延出部577には、第2の操作係合部578が設けられている。この第2の操作係合部578は、第1の操作係合基部575Aおよび第1の操作係合爪部575Bと略等しい形状に形成された第2の操作係合基部578Aおよび操作係合突部としての第2の操作係合爪部578Bを備えている。第2の操作係合爪部578Bは、パネル係止孔部522Bに係止される。
さらに、操作基部571におけるばね部572と左端延出部577との間には、操作基部571から延び、かつ、操作基部571と略直交する面方向を有する略板状のレンズ挟持部579が設けられている。このレンズ挟持部579には、第1のボタン位置決めボス527、レンズボタン位置決めボス528がそれぞれ係合する第1,第2のボタンボス係合孔部579A,579Bが設けられている。また、レンズ挟持部579の先端には、操作基部571の長手方向と略平行に延びる舌片挟持部579Cが設けられている。
【0024】
[ディスク装置の組立動作]
〔フロントパネルの組立動作〕
まず、ディスク装置100の組立動作として、フロントパネル500の組立動作について説明する。
まず、LEDレンズ540をパネル本体510に取り付ける。具体的には、レンズ本体部541をレンズ取付筒部526に嵌合させる。このとき、第1,第2のレンズボス係合孔部543A,544にレンズボタン位置決めボス528、レンズ位置決めボス526Bが係合するとともに、レンズ位置決め切欠部526Aにレンズ係合舌片部545が係合することで、レンズ取付筒部526に対するLEDレンズ540の左右方向への位置決めがなされる。
【0025】
次に、操作部材570をパネル本体510に取り付ける。具体的には、ボタン部573の先端をボタン取付筒部530に嵌合させた後に、操作部材570を正面部511の方向に押し込む。このとき、係合リング部576、第1,第2のボタンボス係合孔部579A,579Bに第2のボタン位置決めボス532、第1のボタン位置決めボス527、レンズボタン位置決めボス528が係合するとともに、第1,第2の操作係合部575,578が第3,第2のパネル係合部523,522に係止されることで、操作部材570がパネル本体510に固定される。また、第2のボタンボス係合孔部579Bの周縁部および舌片挟持部579Cと、レンズ取付筒部526の端面との間で、被挟持舌片部543およびレンズ係合舌片部545が挟持されることで、LEDレンズ540の前後方向(正面部511に直交する方向)への位置決めがなされる。
また、このとき、第1,第2の操作係合爪部575B,578Bと、第2,第3のパネル係合爪部522D,523Cとの突出方向が左面部515側となる状態で、操作部材570がパネル本体510に固定される。
【0026】
〔フロントパネルのディスクトレイへの取付動作〕
次に、フロントパネル500のディスクトレイ300への取付動作について説明する。
フロントパネル500の第1〜第4のパネル係合部521〜524を、ディスクトレイ300の第1〜第4のトレイ取付係止部321〜324に係止させる。このとき、第1〜第3のパネル係合部521〜523は、第1のパネル係合基部521A、係合延出部522C、第3のパネル係合基部523Aが右面部514側に弾性変形しつつ移動した後に第1〜第3のパネル係合爪部521B,522D,523Cが係止される。また、第1の操作係合爪部575Bが右面部514側からパネル係止切欠部523Bに係止されているので、第3のパネル係合基部523Aが右面部514側に弾性変形しても、第1の操作係合爪部575Bがパネル係止切欠部523Bから外れることがない。
【0027】
[ディスク装置の作用効果]
上述したように、上記実施形態では、以下のような効果を奏することができる。
【0028】
(1)ディスク装置100のフロントパネル500に、ディスクトレイ300に係脱自在に取り付け可能な第1〜第4のパネル係合部521〜524を有するパネル本体510と、このパネル本体510に係脱自在に取り付けられる操作部材570と、を設けている。そして、第2,第3のパネル係合部522,523の係合リブ部522A、第3のパネル係合基部523Aに、ディスクトレイ300に係合する第2,第3のパネル係合爪部522D,523Cと、操作部材570に係合するパネル係止孔部522B、パネル係止切欠部523Bと、を設けている。
このため、スライド式で形状が複雑でない1組の金型を準備するだけで、ディスクトレイ300および操作部材570の両方に係合する機能を備えた第2,第3のパネル係合部522,523を製造できる。また、パネル本体510と操作部材570とを係合させているため、これらを溶着する構成と比べてリサイクルの工数を最小限に抑えることができる。
したがって、コストアップを招くことなく容易に製造可能かつリサイクル可能なフロントパネル500、および、いわゆるスリムディスク装置と称されるディスク装置100を提供できる。
【0029】
(2)操作部材570の第2の操作係合部578が係止する構成として、係合リブ部522Aを貫通するパネル係止孔部522Bを適用している。
このため、係合リブ部522Aを貫通しない凹状の構成を適用する場合と比べて、係合リブ部522Aを厚くすることなく、より確実に第2の操作係合部578を係止させることができる。
【0030】
(3)パネル本体510の正面部511および上面部512を補強する係合リブ部522Aに、パネル係止孔部522Bを設けている。
このため、係合リブ部522Aに、補強機能と操作部材570が係止する機能とを設けることができ、構成を複雑にすることなく第2のパネル係合部522の多機能化を図ることができる。また、弾性変形し難い係合リブ部522Aに操作部材570を係止させるので、フロントパネル500をディスクトレイ300へ取り付ける際に操作部材570がフロントパネル500から外れることを防止できる。
【0031】
(4)操作部材570の第1の操作係合部575が係止する構成として、第3のパネル係合基部523Aを切り欠くことで形成したパネル係止切欠部523Bを適用している。
ここで、第2のパネル係合部522の左面部515側には、金型の左側(図3の右側)への移動を規制する突起などがない。このため、1組のスライド式の金型のうち一方を左側へ移動させることで、係合リブ部522Aを貫通するパネル係止孔部522Bと、係合延出部522Cから左面部515側に突出する第2のパネル係合爪部522Dと、を形成することができる。これに対して、第3のパネル係合部523の右側および左側には突出部533,534があり金型を左右方向に移動させることができないが、パネル係止切欠部523Bを切欠き形状にしているため、一方の金型を上側へ移動させることで、パネル係止切欠部523Bと、第3のパネル係合爪部523Cと、を形成することができる。
【0032】
(5)第1の操作係合爪部575Bと、第3のパネル係合爪部523Cとの突出方向が左面部515側となる状態で、操作部材570をパネル本体510に固定している。
このため、フロントパネル500をディスクトレイ300に取り付けるときに、第3のパネル係合基部523Aが右面部514側に弾性変形しても、第1の操作係合爪部575Bがパネル係止切欠部523Bから外れることを防止できる。
【0033】
(6)操作部材570の舌片挟持部579Cと、レンズ取付筒部526と、によりLEDレンズ540を挟持している。
このため、LEDレンズ540を取り付けるための接着剤などを用いる必要がなく、組み立てを容易にできるとともに、リサイクルの工数を最小限に抑えることができる。
【0034】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0035】
すなわち、パネル係止孔部522Bやパネル係止切欠部523Bの代わりに、係合リブ部522Aや第3のパネル係合基部523Aを貫通しない凹状の係止部を適用してもよい。
また、第3のパネル係合基部523Aにパネル係止孔部522Bと同様の構成を設けてもよいし、係合リブ部522Aにパネル係止切欠部523Bと同様の構成を設けてもよい。
さらに、第1の操作係合爪部575Bと、第3のパネル係合爪部523Cとの突出方向を略反対の方向にしてもよい。
また、操作部材570にLEDレンズ540を挟持する機能を設けなくてもよい。
【0036】
そして、本発明のパネル装置を、ボタン部などの操作部材を有する家電製品や電子機器などに適用してもよい。また、パネル装置の取付け対象の筐体が大きい場合、パネル係合部を筐体に係合させるとともに、ねじ止めを併用してもよい。このような構成の場合、ねじ止めだけで取り付ける構成と比べて取付けの作業性を向上できる。
【0037】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0038】
[実施形態の作用効果]
上述したように、フロントパネル500に設けた第2,第3のパネル係合部522,523の係合リブ部522A、第3のパネル係合基部523Aに、ディスクトレイ300に係合する第2,第3のパネル係合爪部522D,523Cと、操作部材570に係合するパネル係止孔部522B、パネル係止切欠部523Bと、を設けている。
このため、スライド式で形状が複雑でない1組の金型を準備するだけで、ディスクトレイ300および操作部材570の両方に係合する機能を備えた第2,第3のパネル係合部522,523を製造できる。また、パネル本体510と操作部材570とを係合させているため、これらを溶着する構成と比べてリサイクルの工数を最小限に抑えることができる。
したがって、コストアップを招くことなく容易に製造可能かつリサイクル可能なフロントパネル500を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置の正面側からの斜視図である。
【図2】前記一実施形態におけるディスク装置の背面側からの斜視図である。
【図3】前記一実施形態におけるフロントパネルの分解斜視図である。
【図4】前記一実施形態におけるフロントパネルの要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
100…ディスク装置
200…筐体を構成する収容部としてのケース体
300…筐体を構成するディスクトレイ
301…ディスク処理部
500…パネル装置としてのフロントパネル
510…パネル本体
511…正面部
511A…窓部を構成するレンズ開口部
512…側縁部としての上面部
522,523…第2,第3のパネル係合部
522A…パネル係合基部を構成する係合リブ部
522B…パネル係止部としてのパネル係止孔部
522C…パネル係合基部を構成する係合延出部
522D,523C…パネル係合突部としての第2,第3のパネル係合突部
523A…第3のパネル係合基部
523B…パネル係止部としてのパネル係止切欠部
526…窓部を構成するレンズ取付筒部
540…窓閉塞部材としてのLEDレンズ
570…操作部材
573…操作部としてのボタン部
575,578…第1,第2の操作係合部
575A,578A…第1,第2の操作係合基部
575B,578B…操作係合突部としての第1,第2の操作係合突部
579…レンズ挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部を収納する筐体に取り付けられるパネル装置であって、
前記筐体の一面を略覆うパネル本体と、
前記パネル本体に取り付けられ前記処理部を動作させる際に操作される操作部材と、を具備し、
前記パネル本体の一面には、前記筐体に係脱自在に係合するパネル係合部が設けられ、
このパネル係合部は、前記パネル本体の一面から略板状に延出し面方向と略直交する方向に弾性変形可能なパネル係合基部と、このパネル係合基部の延出先端側の一面から前記パネル係合基部の厚さ方向に突出し前記筐体に係合するパネル係合突部と、前記パネル係合基部に設けられ前記操作部材が係脱自在に係止されるパネル係止部と、を備えた
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル装置において、
前記パネル係止部は、前記パネル係合基部を貫通する孔状に形成された
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパネル装置において、
前記パネル本体は、略矩形板状に形成され前記筐体の一面に対向する正面部と、この正面部の側縁から前記正面部の面方向と交差する方向に延出する側縁部と、を備え、
前記パネル係合基部は、前記正面部と側縁部とを接続する状態で設けられた係合リブ部と、この係合リブ部から延出する係合延出部と、を備え、
前記パネル係合突部は、前記係合延出部に設けられ、
前記パネル係止部は、前記係合リブ部に形成された
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパネル装置において、
前記パネル係止部は、前記パネル係合基部の側縁の一部が切り欠かれた形状に形成された
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパネル装置において、
前記操作部材は、略板状に形成され面方向と略直交する方向に弾性変形可能な操作係合基部と、この操作係合基部の延出先端側の一面から前記操作係合基部の厚さ方向に突出し前記パネル係止部に係止する操作係合突部と、を備え、
前記操作係合突部は、前記パネル係止部に係止した際に前記パネル係合突部と略等しい方向に突出する状態で前記操作係合基部に設けられた
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のパネル装置において、
前記パネル本体には、その一面と他面とを連通する窓部が設けられ、
透明または半透明な材料により形成され、前記窓部を略閉塞する状態で設けられた窓閉塞部材を具備し、
前記操作部材は、前記操作される操作部と、前記パネル係止部に係合する操作係合部と、この操作係合部が前記パネル係止部と係合した際に前記窓部の周縁とにて前記窓閉塞部材を挟持する挟持部と、を備えた
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項7】
ディスク状記録媒体に対する処理を実施する処理部と、
この処理部を収納する筐体と、
この筐体に取り付けられる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のパネル装置と、
を具備したことを特徴とするディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−188304(P2009−188304A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28747(P2008−28747)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】