説明

パネル部品用包装材およびそれを用いたパネル部品包装体

【課題】1つの作業ユニット内で使用する形状の異なる複数種類のパネル部品2・・を、容積の少ない形で1つの包装体として包装できるようにした包装材1を開示する。
【解決手段】外装ケース内に上下方向に配置される垂直支持材10と、外装ケース内にその底部に沿って配置される水平保持材20とからなり、垂直支持材10にはパネル部品2の上縁3係止用の凹部12が上下方向に複数段に形成され、水平保持材20にはその長手方向にパネル部品2の下縁4の保持部21が複数段に形成されている。好ましくは、パネル部品上縁収容用の凹部12の上面部分に、パネル部品押さえ部材40を係脱自在に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きさの異なる2種以上のパネル部品を同時に包装できるようにしたパネル部品用包装材と、該パネル部品用包装材を用いたパネル部品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には形状の異なる多数のパネル部品が使用されており、それら部品は、部品の製造工場から自動車の組み立て工場へ、包装材によって包装された包装体として搬送されまた保管される。パネル部品の例としては、フロントパネル、フローアパネル、バックパネル、あるいはルーフパネルなどを挙げることができるが、当然ながら、それぞれのパネル部品は形状が異なっている。通常、同一形状のパネル部品の複数枚が集められて一つの包装体とされるので、自動車の組み立て工場へは、当該工場での自動車の組み立てに必要とされるパネル部品の種類数に応じた数のパネル部品包装体が搬入され、保管される。
【0003】
概して平板状であるパネル部品の複数枚を包装するために、発泡樹脂成形体からなる包装材を使用することは知られており、特許文献1には、そのような包装材を用いて、同一品種である複数枚のパネル部品を、従来縦置き包装であったものをほぼ水平に支持した状態で段積みし包装体とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−226567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の組み立て工場では、1つの作業ユニット内で、主フレームに対して複数種類のパネル部品を取り付けるのが普通である。また、1つの作業ユニット内で、異なる車種の自動車を組み立てる際に、使用するパネル部品がすべて異なる場合があり、異なる車種に対して共通のパネル部品が用いられることもある。
【0006】
そのような組み立て環境において、現在のパネル部品の包装態様は、前記のように同一種類ごとの包装となっているので、組み立て工場では、使用が予定される複数の種類のパネル部品を、種類ごとに包装された包装体の形で保管するようにしており、保管スペースの増大を招いている。また、多種類のパネル部品を、それぞれに在庫管理することも必要であり、部品管理も困難になっている。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、1つの作業ユニット内で使用する形状の異なる複数種類のパネル部品を、容積の少ない形で1つの包装体として包装できるようにした包装材と、該包装材を用いた包装体を開示することを課題とする。本発明による包装材を用いることにより、組み立て工場での部品保管スペースを節減することができ、また部品の在庫管理も容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるパネル部品用包装材は、パネル部品を立て掛けて包装する包装材であって、立てた姿勢のパネル部品の上縁が収容されるパネル部品上縁収容用の凹部を有し、該凹部に上縁が収容されたパネル部品を支持する垂直支持材と、前記垂直支持材によって支持されたパネル部品の下縁を保持するパネル部品下縁保持部を有する水平保持材とを備え、前記垂直支持材の少なくとも一方向に対して前記凹部が上下方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるパネル部品包装体は、外装ケースと、外装ケース内に配置された請求項1ないし6のいずれか一項に記載のパネル部品用包装材とで構成され、前記外装ケース内において、前記パネル部品用包装材の前記垂直支持材に形成されたパネル部品上縁収容用の凹部に上縁を収容させ、前記水平保持材に形成されたパネル部品下縁保持部に下縁を保持させた傾斜姿勢で、2種以上のパネル部品を包装するパネル部品包装体である。
【0010】
本発明によれば、上下方向の高さの異なる2種以上のパネル部品を、その上縁を前記垂直支持材側に収容させ、下縁側を前記水平保持材側に保持させて、斜めに傾斜した姿勢で立て掛けて包装するものである。そして、異なる2種以上のパネル部品においては、上下方向の寸法の大小に従い、上下方向寸法のより小さいものが内側位置(垂直支持材に近い位置)となるようにして、一つの包装体として包装することができる。その際に、前記垂直支持材に形成するパネル部品上縁収容用の凹部および水平保持材に形成するパネル部品下縁保持部の形状、位置、大きさ等を適宜設定することにより、2種以上のパネル部品をそれぞれ同じ枚数で包装することもでき、異なった枚数で包装することもできる。
【0011】
組み立て工場での自動車組み立てスケジュールに従い、1つの作業ユニットで必要とされるパネル部品の種類および枚数は決定されるので、それに応じて、前記垂直支持材のパネル部品上縁収容用の凹部および水平保持材のパネル部品下縁保持部を設計し、それを用いて複数種のパネル部品を必要とされる枚数ずつ包装して包装体とし、それを組み立て工場に送る。組み立て工場の各作業ユニットでは、その1個の包装体を開梱することで、組み立てに必要なすべてのパネル部品を入手することができるので、作業ユニットでの作業効率は向上する。また、必要とする複数種類のパネル部品が必要枚数だけ送られてくるので、部品の保管スペースを節減できると共に、部品の在庫管理も容易となる。
【0012】
さらに、本発明によるパネル部品包装体では、パネル部品は斜めに傾斜した姿勢で収容されており、すべてのパネル部品を縦置きする場合と比較して包装体の高さを低くすることができる。また、すべてのパネル部品を平置きする場合と比較して包装体の平面積を小さくすることができる。そのために、一つの包装体の占めるスペースも省スペース化することができ、その点からも、保管スペースの節減が可能となる。
【0013】
本発明におけるパネル部品用包装材の好ましい態様において、前記垂直支持材におけるパネル部品上縁収容用の凹部には、収容されたパネル部品の上縁を押さえるパネル部品押さえ部材が係脱自在に取り付けられる。この態様のパネル部品用包装材では、パネル部品の上縁を前記パネル部品上縁収容用の凹部内に入れ込むときに、前記パネル部品押さえ部材を取り外しておくことで、入れ込み作業は容易となる。また、入れ込んだ後で、パネル部品押さえ部材を垂直支持材の凹部の所定位置に係止することで、取り付けたパネル部品の上縁を押さえ込むことができ、搬送中の振動でパネル部品に位置ずれが生じるのも回避することができる。本発明におけるパネル部品用包装材の好ましい態様において、前記垂直支持部材の上端部には、パネル部品上縁収容用の段差部が形成され、収容された部品の上縁を押さえるパネル部品押さえ部材が係脱自在に取り付けられる。
【0014】
本発明におけるパネル部品用包装材において、前記垂直支持材は前記したパネル部品押さえ部材を除き、一体成形品であってもよく、係脱自在な複数個の垂直支持部材によって構成されていてもよい。包装しようとするパネル部品の大きさや形状あるいは枚数などに応じていずれかを選択すればよい。
【0015】
前記垂直支持材が複数個の垂直支持部材によって構成される場合には、垂直支持材は複数個の垂直支持部材を積み上げて係止されている。この上位の垂直支持部材が下位の垂直支持部材に積み上げられた位置にパネル部品上縁収容用の凹部となる空所を形成するように、上位の垂直支持部材の下端ないし下位の垂直支持部材の上端には、切り欠き部ないし突部が形成されていることが好ましい。これにより、パネル部品押さえ部材を兼ねたパネル部品上縁収容用の凹部を形成することができるため、作業性が良くなる。いずれの場合も、前記パネル部品上縁収容用の凹部は一方向に対してのみ形成されていてもよく、対向する2つの方向に対して前記パネル部品上縁収容用の凹部が形成されていてもよい。もちろん、前記水平保持材は、対向する2つの方向に対して形成された前記凹部に上縁が収容されたパネル部品の下縁を保持するようにそれぞれの方向に配置されている。
【0016】
また、パネル部品包装体は、複数のパネル部品用包装材によって構成されていてもよい。すなわち、複数の垂直支持材および複数の水平保持材を用いる。これにより、寸法の大きな部品を包装する場合であっても、パネル部品の寸法に合わせて垂直支持材および水平保持材を大きくする必要はない。この場合には、パネル部品の両側端に、また必要があれば両側端間に間隔をあけて1または複数のパネル部品用包装材を配置すればよい。
【0017】
好ましくは、垂直支持材間に垂直支持材を支持する支持基材が設置されている。これにより各垂直支持材の姿勢の安定化とともに配置位置のずれ防止を図ることができる。
【0018】
本発明によるパネル部品用包装材は、所要の緩衝性と機械的強度を備えることを条件に任意の材料で作ることができる。好ましくは、成形性および軽量性の観点から発泡樹脂成形品であり、より好ましくは熱可塑性樹脂の型内発泡成形品である。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。発泡体の倍率は、包装しようとするパネル部品の重量や形状等を勘案して適宜設定すればよいが、緩衝性がよく、軽量で経済的である点から、好ましくは20〜50倍程度、より好ましくは30倍(0.025g/L)程度である。
【0019】
望ましくは、前記水平保持材に形成されたパネル部品下縁保持部には、荷重受けシートが貼り付けられている。荷重受けシートとしては、合成樹脂発泡シート、繊維シート、不織布、ゴム等、荷重を受けても破壊し難いものであればよい。これにより、包装する部品の下縁が水平保持材の保持部に埋め込まれたり、保持部が破損するのを防ぐことができる。もちろん、荷重受けシートは、保持部の全面に貼ってもよいし、パネル部品が当接する面にのみ貼ってもよい。
【0020】
本発明において、外装ケースは、金属製あるいは木製などで作られた底部と側壁とを備えた任意の外装ケースであってよいが、好ましくは、矩形状の底部の四隅に支柱が起伏自在に取り付けてあり、起立した姿勢の支柱に対して側壁が脱着自在とされているような形態の金属製外装ケースであり、さらに好ましくは、底部の裏面にフォークリフトのフォーク挿入口が備えられた外装ケースである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、組み立て工場での1つの作業ユニット内で使用する、形状の異なる複数種類のパネル部品を、容積の少ない形で1つの包装体として包装できるようにした包装材と、該包装材を用いた包装体が得られる。本発明による包装材を用いることにより、組み立て工場での部品保管スペースを節減することができ、また部品の在庫管理も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるパネル部品用包装材の一例を説明するための斜視図。
【図2】図1に示すパネル部品用包装材を用いてパネル部品包装体としたときの一例を示す側面図。ただし、外装ケースは図示されない。
【図3】本発明によるパネル部品用包装材の他の例を用いて作られたパネル部品包装体の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明によるパネル部品用包装材およびそれを用いたパネル部品包装体の実施の形態を説明する。
【0024】
本実施例のパネル部品用包装材は、5種類の大きさの異なるパネル部品2A,2B,2C,2Dおよび2Eを包装する形態のものである。
【0025】
図1および図2に示す例において、パネル部品用包装材1は、垂直支持材10と、垂直支持材10の底部において両側方に取り付けられる2つの水平保持材20,21とで構成される。パネル部品用包装材1は、包装するパネル部品の大きさやそれを収容する外装ケースとの関係で、1個のみで使用される場合もあるが、図示の例では、2つのパネル部品用包装材1、1を並置して用いている。そして、2つのパネル部品用包装材1、1は、各垂直支持材10の底面部に形成した切り欠き部11内に水平方向に配置した支持棒30に嵌め合わせることにより、姿勢の安定化を図っている。もちろん、他の方法で安定した姿勢が得られる場合には、このような支持棒30を用いなくてもよい。
【0026】
垂直支持材10の一方の側面には、包装しようとするパネル部品2A,2Bの上縁3A,3B(図2参照)をそれぞれ収容するパネル部品上縁収容用の凹部12a,12bが、上下方向に2段に形成されており、他方の側面にも包装しようとするパネル部品2Dの上縁3D(図2参照)を収容するパネル部品上縁収容用の凹部12dが形成されている。また、垂直支持材10の頂部には係止溝14が形成されている。該係止溝14には、図2に示すように、垂直支持材10の頂部を覆う形状の押さえ部材15が係脱自在に取り付けられる。押さえ部材15は、その一方の面は平坦面を有し、他方の面は、係止溝14に嵌め込まれる凸部15aが形成される。また、押さえ部材15が垂直支持材10の頂部に取り付けられたとき、両者の間には収容凹部12c,12eが形成されるように、押さえ部材15の他方の面には押さえ凹部15b,15cが形成されている。この収容凹部12c,12eも、図2に示すように、包装しようとするパネル部品2C,2Eの上縁3C,3Eのための凹部として利用されるとともに、後述する押さえ部材の役割も果たす。押さえ凹部15b,15cの形状は、包装しようとする各パネル部品2C,2Eの上縁3C,3Eの形状、数量に合わせてそれぞれ設定される。
【0027】
水平保持材20,21の上面側には、それぞれ、その長手方向に、包装しようとするパネル部品2A〜2Eの下縁4A〜4E(図2参照)を保持するためのパネル部品下縁保持部22(22a,22b,22c,22d,22e)が、それぞれ形成されている。図示の例で、垂直支持材10は一方の側面に上下方向に3段の凹部12a,12b,12cを有しており、したがって、一方の水平保持材20には、水平方向に3つの保持部22a,22b,22cがそれぞれ形成されている。また、垂直支持材10は他方の側面に上下方向に2段の凹部12d,12cを有しており、したがって、他方の水平保持材21には、水平方向に2つの保持部22d,22eがそれぞれ形成されている。
【0028】
また、垂直支持材10に形成された凹部12a,12b,12dには、後述する収容されたパネル部品の上縁を押さえるためのパネル部品押さえ材を係止するための係止用溝13a,13b,13cが形成されている。
【0029】
さらに、水平保持材20,21のそれぞれに形成された保持部22a〜22eにおける部品2A〜2Eの下縁端部が当接する面には、荷重受けシート23が貼り付けられている。荷重受けシート23は、合成樹脂発泡シート、不織布、繊維シート、ゴム等、荷重を受けても破壊しがたいものであればよい。これにより、部品2A〜2Eの下縁端部が水平保持材20,21の保持部22a〜22eで埋め込まれたり、水平保持材が破壊されるのを防止できる。
【0030】
なお、凹部12a〜12eおよび保持部22a〜22eの数を幾つにするかは設計事項であり、また、凹部12a〜12eおよび保持部22a〜22eの大きさ、形状等は、実際に包装されるパネル部品2A〜2Eの上端または下端の形状や収容される枚数に応じて適宜設定される。
【0031】
省略可能であるが、このパネル部品用包装材1では、図2に示すように、垂直支持材10におけるパネル部品上縁収容用の凹部12a,12b,12dの上面部分に、垂直支持材10とほぼ同じ厚さのパネル部品押さえ部材40a,40b,40cが、垂直支持材10に対して係脱自在に取り付けられている。押さえ部材40a,40b,40cには、それぞれ、上述した凹部12a,12b,12dに形成した係止用溝13a,13b,13cに嵌め込まれる(挿通される)突状部41a,41b,41cが形成されている。そして、各凹部12a,12b,12cの形状と、各パネル部品押さえ部材40a,40b,40cの形状は、包装しようとする各パネル部品2A,2B,2Dの上縁3A,3B,3Dの形状に合わせて、それぞれ設定される。
【0032】
上記のパネル部品用包装材1を用いて、大きさおよび形状の異なる複数枚のパネル部品2A〜2Eを包装する手順を説明する。
【0033】
最初に、図示しない外装ケース内で、図1に示すように、2つの垂直支持材10、10を所定の間隔を置いて並置する。そのときに、必要な場合には、前記した支持棒30を用いる。次に、各垂直支持材10、10の側方に、水平保持材20,21を取り付ける。その際に、図示しない外装ケースにより、水平保持材20,21が側方に自由移動しないように位置決めするか、あるいは、図示のように、垂直支持材10の下端部に水平保持材20の一部を係着することにより位置決めする。
【0034】
パネル部品用包装材1を組み付けた後で、図2に示すように、多種類のパネル部品2A〜2Eの下縁4A〜4Eをそれぞれ保持部22a〜22eに保持させて、その上縁3A〜4Eを凹部12a〜12eに収容して、または、上縁3A〜4Eを凹部12a〜12eに収容して、下縁4A〜4Eをそれぞれ保持部22a〜22eに保持させて、多種類のパネル部品2A〜2Eを垂直支持材10に立て掛ける。具体的には、最も小型のパネル部品2Aの1枚あるいは1枚以上(図では2枚が示される)を、その上縁3Aを凹部12aに収容し、下縁4Aを保持部22aに保持させた傾斜した姿勢で垂直支持材10に立て掛ける。そして、パネル部品2Aの上縁3Aが運搬時の振動等によって凹部12aから外れないように、凹部12aの上面部分に前記したパネル部品押さえ部材40aを取り付ける。
【0035】
このとき、パネル部品押さえ部材40aを垂直支持材10の正面(前面)または後面(背面、図2において紙面に垂直な方向)から押さえ部材40aの実状部41aを凹部12aの係止用溝13aに挿通させれば、押さえ部材40aを容易に取り付けることができる。押さえ部材40b,40cも以下同様に取り付けられる。
【0036】
次に、2番目に大きいパネル部品2Bの1枚あるいは1枚以上(図では1枚が示される)を、その上縁3Bを凹部12bに収容させ、下縁4Bを保持部22bに保持させて傾斜した姿勢で垂直支持材10に立て掛ける。そして、同様にして凹部12bの上面部分にパネル部品押さえ部材40bを取り付ける。また、凹部12dと保持部22dを利用して、垂直支持材10の右側にも、パネル部品2Dを立て掛ける。
【0037】
次に、最も大きいパネル部品2C、2Eを垂直支持材10の両側に配置する。そのときに、各パネル部品2C、2Eの上縁3C,3Eは、垂直支持材10の頂部に乗った姿勢とし、下縁4Cは、水平保持材20に形成した保持部22cに、下縁4Eは、水平保持材21に形成した保持部22cに保持させる。その状態で、最も大きいパネル部品2C、2Eの姿勢が安定する場合には、ここで、パネル部品2C、2Eの収容作業を終えてもよい。しかし、輸送中の安定を考慮して、図2に示すように、配置したパネル部品2C、2Eの上縁3C,3Eを覆うようにして、前記した押さえ部材15を垂直支持材10の頂部に係止することが好ましい。さらに好ましくは、押さえ部材15の平坦面にバンドを沿わし、バンドの両端を外装ケースに締結する。
【0038】
図2示した状態のパネル部品収容体を適宜の外装ケース(不図示)で囲い込むことにより、本発明によるパネル部品包装体とされる。
【0039】
上記のように、本発明によるパネル部品用包装材1を用いたパネル部品包装体では、上下方向の高さの異なる2種以上のパネル部品2A〜2Eを、斜めに傾斜した姿勢で、上下方向の寸法の大小に従い、上下方向の寸法のより小さいものが内側位置となるようにして、一つの包装体として包装することができる。その際に、垂直支持材10に形成するパネル部品上縁収容用の凹部12a〜12eおよび水平保持材に形成するパネル部品下縁保持部22a〜22eの形状を適宜設定することにより、2種以上のパネル部品2A〜2Eをそれぞれ同じ枚数でも、異なった枚数でも包装することもできる。また、パネル部品押さえ部材40a〜40cを用いることにより、包装後のパネル部品2A,2B,2Dの姿勢を安定させることができる。
【0040】
図3は、パネル部品包装体の他の例を示している。ここでは、5種類のパネル部品2F,2G,2H,2I,2Jを一方側で包装する形態を示す。垂直支持部材100は、一方側にパネル部品上縁収容用の凹部112a,112b,112cと、後述する収容段差104が形成されている。垂直支持材100の他方側は外装ケース50に支持されている。これにより、片側からパネル部品2F〜2Jを立て掛けた場合であっても垂直支持材100が倒れることはない。したがって、パネル部品2F〜2Jの下縁を保持する保持部122a,122b,122c,122d,122eが形成された水平保持材120も垂直支持材100の一方側にのみ配置されている。もちろん、水平保持材120の保持部122a〜122eには荷重受けシート123が貼り付けられている。また、この例では、垂直支持材100は、係脱できる2つ垂直支持部材100a,100bが上下に積み上げて構成されている。下方(下位)の垂直支持部材100aには2つの凹部112a,112bが形成され、各凹部の上面には前記したパネル部品押さえ部材140a,140bが係脱自在に取り付けられている。
【0041】
前記した実施例と同様に、凹部112a,112bには、押さえ部材140a,140bを係止する係止用溝が形成され、押さえ部材140a,140bには、係止用溝に嵌め込まれる突状部が形成されている。この実施例では、垂直支持材100は、2つの垂直支持部材100aおよび100bの積み上げる構成されている。この積み重ね部(下位の垂直支持部材100aの上端部分と上位の垂直支持部材100bの下端部分)に空所101が形成されている。具体的には、垂直支持部材100aの上端部分には切り欠き101aが形成され、垂直支持部材100bの下端部分には切り欠き部101bおよび突部102が形成されて空所101がつくられる。この空所101がパネル部品上縁収容用の凹部112cとなり、垂直支持部材100bの突部102がパネル部品押さえ部材の役割を果たす。
【0042】
したがって、包装手順として、垂直支持部材100aと水平保持材120を配置してパネル部品2F,2Gを立て掛けた後、パネル部品2Hの上縁を垂直支持部材100aの上端に形成された切り欠き部101aに載置して立て掛ける。もちろん、パネル部品2Hの下縁は水平保持材120の保持部122cに保持させる。
【0043】
所望枚数のパネル部品2Hを立て掛けた後、垂直支持部材100aの上に垂直支持部材100bを積み上げる。これにより、パネル部品2Hの上縁は垂直支持部材100bの突部102に押さえ付けられる。
【0044】
また、上位の垂直支持部材100bの頂面には、パネル部品上縁収容用の収容段差104が形成され、その中間部にパネル部品押さえ部材140dを係止する係止用溝が形成されている。したがって、パネル部品押さえ部材140dが係脱自在に取り付けられる。これにより、収容段差104の下面とパネル部品押さえ部材140dとにより、凹部112dが形成されるとともに、凹部112dに収容されたパネル部品2Iの上縁が押さえ付けられる。また、パネル部品押さえ部材140dの上面はパネル部品2Jの上縁3Jを支持する支持部112eとして利用できるようになっている。
【0045】
よって、所望枚数のパネル部品2Iを立て掛けた後、パネル部品得さえ部材140dを取り付け、その上面に所望枚数のパネル部品2Jの上縁3Jを支持させる。そして、一端部を外装ケース50の一方の上部に締結したバンド51を垂直支持部材100bの頂面に沿わせて、他端部を外装ケース50の他方の下部に締結してバンド51を調節すれば、パネル部品2F〜2Jが包装材から外れなくなる。
【0046】
この形態でも、前記したように、凹部112a〜112cおよび保持部122a〜122cの数を幾つにするかは設計事項であり、凹部112a〜112c、収容段差104,保持部122a〜122c、押さえ部材140a,140b,140dの形状、大きさは、適宜設定される。
【0047】
このパネル部品用包装材を用いる場合であっても、図示されるように、上下方向の高さの異なる複数種(図示のものでは5種)のパネル部品を斜めに傾斜した姿勢で、上下方向の寸法の大小に従い、上下方向の寸法より小さいものが内側位置となるようにして、一つの包装体として包装することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…パネル部品用包装材、
2…パネル部品、
3…パネル部品の上縁、
4…パネル部品の下縁、
10,100(100a,100b)…垂直支持材、
12,112…パネル部品上縁収容用の凹部、
14…垂直支持材頂部の係止溝、
15…垂直支持材の頂部を覆う押さえ部材、
20,21,120…水平保持材、
22,122…パネル部品下縁保持部、
23,123…荷重受けシート
40,140…パネル部品押さえ部材、
50…外装ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部品を立て掛けて包装する包装材であって、
立てた姿勢のパネル部品の上縁が収容されるパネル部品上縁収容用の凹部を有し、該凹部に上縁が収容されたパネル部品を支持する垂直支持材と、
前記垂直支持材によって支持されたパネル部品の下縁を保持するパネル部品下縁保持部を有する水平保持材とを備え、
前記垂直支持材の少なくとも一方向に対して前記凹部が上下方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とするパネル部品用包装材。
【請求項2】
前記垂直支持材におけるパネル部品上縁収容用の凹部には、収容されたパネル部品の上縁を押さえるパネル部品押さえ部材が係脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル部品用包装材。
【請求項3】
前記垂直支持材は対向する2つの方向に対して前記パネル部品上縁収容用の凹部が形成され、前記水平保持材は、対向する2つの方向に対して形成された前記凹部に上縁が収容されたパネル部品の下縁を保持するようにそれぞれの方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパネル部品用包装材。
【請求項4】
前記垂直支持材は係脱自在な複数個の垂直支持部材によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパネル部品用包装材。
【請求項5】
前記垂直支持材は、複数個の垂直支持部材を積み上げて係止され、上位の垂直支持部材が下位の垂直支持部材に積み上げられた位置にパネル部品上縁収容用の凹部となる空所を形成するように、上位の垂直支持部材の下端ないし下位の垂直支持部材の上端には、切り欠き部ないし突部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のパネル部品用包装材。
【請求項6】
垂直支持部材の上端部には、パネル部品上縁収容用の段差部が形成され、収容された部品の上縁を押さえるパネル部品押さえ部材が係脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパネル部品用包装材。
【請求項7】
前記水平保持材に形成されたパネル部品下縁保持部には荷重受けシートが貼り付けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のパネル部品用包装材。
【請求項8】
外装ケースと、外装ケース内に配置された請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパネル部品用包装材とで構成され、前記外装ケース内において、前記パネル部品用包装材の前記垂直支持材に形成されたパネル部品上縁収容用の凹部に上縁を収容させ、前記水平保持材に形成されたパネル部品下縁保持部に下縁を保持させた傾斜姿勢で、2種以上のパネル部品を包装するパネル部品包装体。
【請求項9】
前記パネル部品包装体において、複数のパネル部品包装材が用いられていることを特徴とする請求項8に記載のパネル部品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−235173(P2010−235173A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86654(P2009−86654)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】