説明

パラチノースを含有した低アルコールビールまたはビールに似た清涼飲料

本発明は、パラチノースを使用した低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料の製造方法、ならびにこの方法を使用して製造される低アルコールもしくはノンアコールのビールまたはビールに似た清涼飲料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料の製造方法、ならびにこの方法を使用して製造される低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
数年前からビールの消費傾向は、従来の純ビールから離れ、アルコール度数が格段と低い飲料に移っている。これは例えば、ドイツ国内においてビール売上高が減少する一方、ビール混合飲料、レモネード入りのラードラ飲料、および低アルコール度数の飲料、特にノンアルコールビールの売上高の上昇となって表れている。
【0003】
一般にビール混合飲料は、相応に香り付けした砂糖シロップをビールに混合することにより得られるが、それにより極めて高カロリーの飲料となっている。ビール混合飲料の一部には、甘味料を含有するシロップを使用して製造されるものもある。もっとも試飲してみれば、甘味料を含有するシロップを使用したビール混合飲料が、糖質を含有するビール混合飲料の後塵を拝するのは明らかである。しかしながら、砂糖シロップをビール混合飲料の製造に使用することは、不利である。なぜなら、ビール製造工程において投入される発酵性糖質のせいで、極端に厳しい濾過条件、ならびに飲料の低温殺菌処理やその他の保蔵処理が必要となるからである。しかし低温殺菌処理は、設備投資の増大およびエネルギーや水の消費量の増大に直結すると同時に、味覚面でも悪化を来たしてしまう。
【0004】
現在、麦汁エキス濃度が7%から8%までのノンアルコールビールは主に、発酵を早目に、体積分率で0.5%のアルコール度数で停止することにより製造されるか、またはアルコール度数が体積分率で0.5%となるまで、ビールからアルコール分を取り除くことにより製造される。発酵停止法では、0℃に冷却することにより発酵が停止され、酵母が取り除かれる。しかしそのようなビールは、身体には余り良いとは言えず、他にもまろやかなビールの風味が完全に失われてしまう。
【0005】
アルコール除去法では、主に真空蒸発設備または膜濾過設備が使用される。しかしこの方法だと多くの場合、飲料に低温殺菌の味としても知られる典型的なパンの味が付いてしまう。またアルコール除去法によっては、香りも失われてしまうために、ビールは味わいのない特色を欠いたものとなる。それ以外にもこれらの方法は、通常の醸造費用に加え、蒸留および真空の発生のためにもさらに費用がかかるために、コスト高でもある点が短所となっている。
【0006】
ドイツ特許第2225270 B2号およびオーストリア特許第300698号明細書に説明される方法も、同様の短所を有している。ドイツ特許第2225270 B2号に説明される方法では、酸素または酸素含有ガスを、穀物や麦芽の原汁から調製した麦汁に送り込むことによって、発酵が、少なくとも部分的に好気的な酵母発酵として行われるようになっている。オーストリア特許第300698号に説明される方法では、主発酵時に様々な発酵温度を導入し、ジアスターゼ溶液を添加して、さらに古い酵母を新しい酵母と入れ換えることによって、主発酵の第1段階において、麦汁の約1/3を4℃から8℃までの温度で発酵率が40%から85%となるまで発酵させた後、アルコール度数を煮沸により重量分率で約1%に下げるようにしている。第2段階では、リミットデキシトリナーゼを豊富に含んだジアスターゼ溶液の添加後に、完全発酵が行われる。上述のいずれの方法によっても、同様に一風変わったビール味が飲料にもたらされてしまう。
【0007】
現在導入されている、ビールのアルコール分を逆浸透により取り除く方法でも、ノンアルコールまたは低アルコールのビールが得られるが、その風味は伝統的な純ビールの品質に及びもつかないものである。
【0008】
それ以外にもドイツ特許第2344252 C3号明細書で、低アルコールのビールに似た飲料の製造方法が知られている。そこでは麦汁が、6-α-グルコシドフルクトフラノース(6-α-Glucosidofructofuranose)(パラチノース)と混合して発酵されるようになっており、その際に麦汁エキス対パラチノースの混合比は、2:1〜1:2の範囲とされている。しかしいずれにせよこの方法を使用して製造されるビールにも同様に、芳醇な香りに富んだ豊かな風味は、十分には備わっていない。
【0009】
総括して、低アルコールまたはノンアルコールのビールの現在知られている製造方法は、工程が非常に複雑であり、またそのためにコスト高でもある。アルコール除去設備の調達費用だけでなく、必要とされる大量の水とそれに付随する排水処理費用およびエネルギー費用も製造原価を押し上げている。それ以外にも、周知のノンアルコールビールの風味は、従来のビールの足元に辛うじて達するかといった程度である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、以上の背景から、設備投資の追加を不要として、特にアルコール除去設備の追加を不要として通常の醸造所に導入することができる、純ビールにふさわしい芳醇な香りと豊かな風味を備えた、糖尿病患者にも適している、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料の製造方法を提供するという技術課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の発明が解決しようとする技術課題は、本発明により、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料の製造方法であって、第1工程において醸造水、ホップおよび炭水化物源を混合することにより麦汁が製造され、第2工程においてこの麦汁が煮沸され、第3工程においてこの麦汁が発酵プロセスにかけられる方法において、パラチノースを含有した混合物またはパラチノースを、発酵プロセスの前、発酵プロセスの間、または発酵プロセスの後に添加し、発酵のために、下面発酵のサッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する菌株、上面発酵のサッカロミセスセレビシエに属する菌株、サッカロミセスカールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセスジアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)およびブレタノミセスインテルメジウス(Brettanomyces intermedius)から成る群の中から選択される少なくとも1種類の微生物を使用することを特徴とする方法を提供することにより解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に従った方法は、製造される低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料のアルコール度数が、複数の異なる工程により低下されることを特徴とする。一方では、発酵プロセスの前、発酵プロセスの間、または発酵プロセスの後に、パラチノースまたはパラチノースを含有した混合物が麦汁に添加される。パラチノースは、サッカロースとして官能特性に優れるだけでなく、むしろサッカロミセスセレビシエやサッカロミセスカールスベルゲンシス等の微生物によっても消化吸収および代謝が不可能な、または可能であってもことのほか困難な低糖類でもある。このため、発酵の前または間にパラチノースの添加が行われるようになっている本発明に従った方法の実施形態においては特に、麦汁の一部がパラチノースにより置換されることによって、発酵プロセスにおいて、製造される飲料のアルコール度数は、通常のビールよりも低くなる。
【0013】
他方では、ビール製造に一般に導入されている微生物であるサッカロミセスセレビシエ(例えばMJJ 25)やサッカロミセスカールスベルゲンシス(例えばMJJ 9またはMJJ 11)だけでなく、むしろサッカロミセスジアスタティクスやブレタノミセスインテルメジウス等のように発酵力が弱いものも、発酵のために投入されるようになっている。純ビールを製造するための伝統的な醸造法においては、培養酵母だけ、すなわちサッカロミセスセレビシエや、時にはサッカロミセスカールスベルゲンシスとも呼ばれるその下面発酵用の菌株だけが使用されるのに対し、本発明に従った方法の好ましい実施形態においては、様々な微生物の混合物が使用されるようになっている。他にも本発明は、さらに別の好ましい実施形態において、上述の各微生物、特に酵母類の他にも、発酵性の糖質をアルコールに発酵させるのではなく、むしろ例えば乳酸に発酵させるような微生物、もしくは酵母発酵により得られるアルコールを分解することができる微生物についても企図している。本発明においてはこれによってもまた、本発明に従った方法を使用して製造される飲料のアルコール度数の低下がもたらされるようになっている。
【0014】
さらに本発明においては、好ましくは、投入されるパラチノースが、投入される微生物により発酵されない、または非常に緩慢に発酵される、もしくは発酵を遅れて開始することによって、アルコールの生成を少量もしくは皆無とすることが企図される。
【0015】
本発明に従った方法には特に、次に特徴を説明する試験法において、11日以内に使用に供されたパラチノースの最大10乃至30%を代謝するような微生物、特に酵母が適している。本発明に従った特に好ましい酵母を突き止めるために使用した試験法では、被験酵母がpH5.1のビール麦汁100ml中で24時間、30℃で培養される。培養後、細胞を遠心分離(10分、4,000×g)にかけ、細胞ペレットを、67g/Lのイーストニトロジェンベース(Yeast Nitrogen Base)(ディフコ(Difco)社)、およびpH5.1のパラチノース50g/Lから成るパラチノース培養基10mL中で再懸濁させる。細胞を同じ培養基で2度洗浄し、続いて培養基5mL中で再懸濁させる。この細胞懸濁液を100μL、パラチノース培養基1Lに接種し、11日間30℃で培養する。11日間の育種後に、残留パラチノース含有率をHPAEC(高速陰イオン交換クロマトグラフィー)法により決定する。
【0016】
製造される飲料のアルコール度数のさらなる低減は、それ以外にも本発明に従った方法の好ましい実施形態においては、麦汁が、ローグレイン(raw grain)と呼ばれる生の穀物、すなわち未発芽の穀物を一部含有することにより達成されるようになっている。ビール製造に使用される出発材料は、発酵の前になって初めて糖化させることが必要であり、そのために必要な酵素は製麦の間に生成されるために、生の穀物を使用することにより、発酵後には糖度の低下がもたらされ、またそれに応じてアルコール度数の低下がもたらされる。
【0017】
本発明に従った方法を使用して、低アルコールまたはノンアルコールのビールを比較的簡単に製造することができる。このビールは、発酵のために投入される1つまたは複数の微生物の種類に応じて、下面発酵または上面発酵のノンアルコールまたは低アルコールのビールとなりうる。発酵のために仕込まれる麦汁には、様々な炭水化物源を含ませることができるために、本発明に従った方法を使用して、ノンアルコールまたは低アルコールのライトビールまたはダークビールを製造することができる。本発明に従って製造されるビールのアルコール度数は、場合によりアルコール除去法を用いてさらに低減させることができる。
【0018】
「麦汁」とは、本発明との関連においては、例えば麦芽等の炭水化物源から不溶性成分を除去した抽出物に、水とホップを加えて煮沸したものであると理解されたい。ホップを加え煮沸した後には、高温の麦芽汁であるいわゆるホットウォート(hot wort)が得られる。煮沸後の麦汁は、冷却後に本来の麦芽汁、すなわちオリジナルウォート(original wort)となる。麦汁は、もろみ作り、濾過、麦汁煮沸および麦汁処理を経て製造される。麦汁の製造は、最初に炭水化物源、特に麦芽の不溶性成分を可溶性の発酵性物質に変換し、続いて残留固形成分を分離して、最後に薬味、すなわちホップを添加することを目的とする。もろみ作りでは、まず粉砕した炭水化物源、特に麦芽が、醸造水と混合される。続いていわゆるマッシング法により、特殊な温度-時間プログラムを使用して、炭水化物源の成分の適切な酵素変換が行われる。その際、最重要反応プロセスは、グルコース、マルトースまたはマルトトリオース等の発酵性糖質、および非発酵性デキストリンへの、澱粉の完全な分解である。マルトース生成の最適温度は60℃〜65℃であり、デキストリン生成の最適温度は70℃〜75℃である。温度により、ビールの種類別麦汁最終発酵度が決まる。高温の醸造水(78℃)を加え糖化し、もろみを濾過して粕を取り除いた後、麦汁にホップを添加して60分から100分間煮沸する。その際には、製造するビールの種類により、約150乃至500g/hlのホップを添加する。当初量の約6〜10%を蒸発させることにより、麦汁エキス濃度を調整する。煮沸では、それに加え除根が行われ、タンパク質が凝固し、ホップの苦味成分が異性化し、香気成分が生成されて、さらに一部が蒸発される。煮沸後のホップを利かせた麦汁は、続いて攪拌槽および/または濾過槽でホットブレークが除去される。続いて麦汁を冷却するが、これは、一般にはプレート熱交換器で行われる。その後、コールドブレークが部分的に除去され、発酵のために投入される微生物に酸素を送り込むために、強力な通気が行われる。その直後に麦汁には、例えば酵母等、高い発酵力を持つ適切な微生物が仕込まれる。
【0019】
「炭水化物源」とは、麦汁の製造時に炭水化物を少なくとも部分的に、グルコース、マルトースまたはマルトトリオース等の発酵性の可溶性糖質に遷移可能な炭水化物を含有した材料であると理解されるものであって、これらは遷移後に、微生物、特に酵母による発酵プロセスにおいて、炭水化物源として利用されるようになっている。本発明の好ましい実施形態において、投入される炭水化物源は、モルト化された穀物、生の穀物またはその混合物である。
【0020】
モルト化された穀物としては、好ましくは製麦工程に送られた大麦、小麦、ライ麦、オート麦、キビ、ライ小麦、米、モロコシ、および/またはトウモロコシの穀粒および種子が対応する。したがって「モルト化された穀物」の概念には、麦芽も含まれる。生の穀物としては、粉砕後ではあるが未発芽の大麦、小麦、ライ麦、オート麦、キビ、モロコシ、ライ小麦、米、および/またはトウモロコシの穀粒および種子が好ましい。
【0021】
麦芽の製造、すなわち製麦工程では、当初の固形穀粒組織が破壊され、ビール製造に必要な生化学反応プロセスを可能にする酵素が生成される。伝統的なビール製造工程では、発酵の前に出発材料を糖化することが必要である。そのために、澱粉を、非発酵性デキストリンと、発酵性のグルコース、マルトースおよびマルトトリオースとに変換させる、アミラーゼやマルターゼ等の加水分解作用を有する麦芽自体の酵素が利用される。発芽の準備段階において、水に漬けてふやかした穀物は12℃から18℃で発芽し、酵素の生成および分解プロセスが所望の度合に達すると直ちに発芽プロセスは停止される。発芽プロセスにおいては特に、細胞壁を低分子炭水化物に分解するグルカナーゼ、タンパク質を分解するタンパク質分解酵素、澱粉を分解するアミラーゼ、およびリン酸エステルを分解するホスファターゼが生成される。これらの反応プロセスは、水分と酸素を吸収することにより開始される。酵素活性の結果、穀粒内の細胞壁は分解され、次から次へとぼろぼろになっていく。発芽プロセスは、浸麦度、すなわち原麦中の水分含量と発芽温度の2つのパラメータにより制御され、その際に温度制御は気温を介して行われるようになっている。これに対し、発芽時間および空気比は重要ではない。若麦芽または緑麦芽内の生化学的変換反応は、所定の度合に達すると直ちに停止される。これは、昇温と同時に空気流量を増大することによって行われ、麦芽は水分が除去されることにより、呼吸と分解を停止する。40乃至50℃での予備乾燥(緑麦芽を乾かすこと)により、水分含量は50%超から、10乃至12%まで低減する。その後で温度を約80乃至85℃に上昇して、麦芽の水分含量を約4乃至5%に低減する。この工程は、焙燥と呼ばれる。この発芽および焙燥工程では、温度-時間制御を通じて、夫々の麦芽の種類、すなわち淡色モルト、中間色モルト、濃色モルト、濃淡カラメルモルト、カラーモルト、およびローストモルトが決定される。
【0022】
「発酵」または「発酵プロセス」とは、酸素を完全または部分的に排除した状況下で微生物により行われる炭水化物の酵素分解であると理解されるものである。アルコール発酵では、グルコース等のヘキソースがエタノールと二酸化炭素に分解される。ビール製造における発酵プロセスは、通常2つの段階で行われる。主発酵は、微生物、特に酵母、例えば下面発酵酵母や上面発酵酵母を添加することにより開始される。主発酵の終了時には、酵母が発酵タンクの底または円錐容器内に沈殿する。主発酵で得た若ビールは、再び冷却された後、後発酵にかけられる。後発酵では、残留抽出物が発酵され、ビールから濁りが取り除かれて透き通ったビールとなる。発酵では麦芽臭も消え去り、特に後発酵においては純粋なビール香味が引き出される。このプロセスは、熟成とも呼ばれる。発酵には、例えば様々な発酵温度、上面発酵および下面発酵プロセス、開放型または密封型の発酵等により、影響を与えることができる。
【0023】
本発明の一実施形態においては、本発明に従った方法が、低アルコールもしくはノンアルコールのダークビールまたは低アルコールもしくはノンアルコールのライトビールの製造に導入されるようになっている。「ノンアルコールビール」とは、本発明との関連においては、麦汁エキス濃度が好ましくは約7〜8%である、アルコール度数が約0.5%のビールであると理解されたい。本明細書の技術開示における%表示は、別途指摘しない限り体積分率を示す。「低アルコールビール」とは、本発明においては、アルコール度数が6%未満、特に5%未満、好ましくは4%未満、特に好ましくは3%未満、最も好ましくは1%未満から2%未満のビールであると理解されるものである。
【0024】
さらに別の実施形態においては、本発明に従った方法を使用して、上面発酵または下面発酵ビールが製造されるようになっている。下面発酵ビールは、下面発酵により得られ、そこでは酵母が発酵後にタンクの底に沈殿し、そこでこれを分離できるようになっている。上面発酵ビールは、上面発酵により得られるビールであり、そこでは酵母が発酵の終了時に上面に浮上し、上面で可能な限り分離されるようになっている。
【0025】
さらに別の実施形態においては、麦汁に、発酵工程の前、間、または後に、パラチノースを含有した混合物またはパラチノースが、炭水化物源、特に麦芽対パラチノースの比を2:1〜1:1として、混合されるようになっている。特に本発明においては、パラチノースを含有した混合物またはパラチノースが、シロップとして溶液に溶かして、または結晶性固体の形態で添加されるようになっている。
【0026】
パラチノース(6-O-α-D-グルコピラノシルフルクトース(Gluccopyranosylfructose);イソマルツロース(Isomaltulose))は、例えば蜂蜜に含まれている天然産の二糖類ケトースである。パラチノースは、ドイツ特許第4414185 C1号に従って、例えば、特に細菌種プロタミノバクタールブルム(Protaminobacter rubrum)、エルウィニアラポンティシ(Erwinia rhapontici)、およびセラチアプリムチカ(Serratia plymuthica)の固定化したバクテリア細胞、またはそこから単離されたサッカロースの異性化酵素を使用した、単純な酵素組換えにより、サッカロースから大量に生成することができる。パラチノースは、例えばサッカロミセスセレビシエ、サッカロミセスカールスベルゲンシス、サッカロミセスジアスタティクス、またはブレタノミセスインテルメジウスによっては発酵させることが不可能な、またはごく僅かだけしか発酵させることができない低糖類である。パラチノースの水溶度は、水1g当たりパラチノースが0.49gである。パラチノースの糖化力は、サッカロースの約1/3である。
【0027】
パラチノースを含有した混合物は、パラチノースに、少なくともさらにもう1種類の炭水化物、例えばフルクトース、グルコース、サッカロース、トレハルロース、イソマルトース、イソメリジトース(Isomelizitose)、重合度が3、または4、またはさらにそれ以上であるオリゴ糖類、もしくはこれらの混合物を混合したものである。好ましい実施形態において、パラチノースを含有した混合物は、サッカロースのグルコースとの交換反応を利用して、好ましくはプロタミノバクタールブルムの死んだ細胞または生きた細胞、もしくはそこから生成される酵素反応抽出物を使用して得られる、サッカロースの異性化生成物である。このため、本発明に従った好ましいパラチノースを含有した混合物は、本発明の1つの構成例として、約79〜85%のパラチノース、8〜10%のトレハルロース、0.5〜2%のサッカロース、1〜1.5%のイソマルトース、重合度が3またはそれ以上のオリゴ糖類、2.5〜3.5%のフルクトース、および2.0〜2.5%のグルコースを含有するとよい。記載の数値は、固形物の含有率をパーセントで示す。
【0028】
サッカロミセスセレビシエ、サッカロミセスカールスベルゲンシス、サッカロミセスジアスタティクス、またはブレタノミセスインテルメジウス等の微生物は、パラチノースの消化吸収および代謝を行わないか、行うとしても極めて困難であるために、パラチノースまたはパラチノースを含有した混合物を発酵の前または間に添加することにより、発酵プロセスにおいて、製造される飲料のアルコール度数を通常のビールよりも低減することが達成され、それによりノンアルコールまたは低アルコールのビールが得られるようになる。発酵後にパラチノースまたはパラチノースを含有した混合物を添加することにより、特に糖化効果が得られるために、発酵プロセスにおいて製造されたノンアルコールまたは低アルコールのビールは、ノンアルコールまたは低アルコールのビールに似た清涼飲料、特にビール混合飲料に変換される。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態においては、発酵プロセスが、様々な微生物の投入下で混合発酵として実施されるようになっている。混合発酵は、少なくとも2種類の様々な微生物、特に2種類の様々な酵母、例えば、上面発酵および下面発酵のサッカロミセスセレビシエに属する菌株の酵母、または、サッカロミセスセレビシエに属する菌株の酵母とサッカロミセスジアスタティクスに属する菌株の酵母、または、サッカロミセスセレビシエに属する菌株の酵母とブレタノミセスインテルメジウスに属する菌株の酵母を使用して行われると、特に好ましい。当然ながら、3種類、4種類、またはさらにそれ以上の様々な種類の微生物を混合発酵に投入してもかまわない。
【0030】
本発明のさらに別の特に好ましい実施形態においては、発酵プロセスが、少なくとも1種類の酵母と、ラクトバシルス種、アセトバクター種、およびグルコノバクター種を代表する菌から成る群の中から選択される少なくとも1種類の酸生成細菌とを使用して、実施されるようになっている。
【0031】
この実施形態の好ましい構成例においては、例えば発酵が、サッカロミセスセレビシエ、および/またはサッカロミセスジアスタティクス、および/またはブレタノミセスインテルメジウスと、ラクトバシルスを代表する菌とを使用して、実施されるようになっている。乳酸菌としても知られるラクトバシルスは、乳酸発酵能力を有している。ラクトバシルスを使用することにより、酵母では余り発酵させることができない糖質を利用できるようになるために、酵母によるアルコール発酵により生成されるアルコールを少量にすることができる。それにより製造される飲料のアルコール度数は、再度低減されるようになる。そのような発酵により製造される低アルコールまたはノンアルコールのビールもしくはビールに似た飲料は、ベルリーナヴァイス(Berliner Weisse)とほとんど変わらないマイルドな酸味を特徴とする。
【0032】
この実施形態のさらにもう1つの好ましい構成例においては、例えば発酵が、サッカロミセスセレビシエ、および/またはサッカロミセスジアスタティクス、および/またはブレタノミセスインテルメジウスと、アセトバクターを代表する菌とを使用して、実施されるようになっている。狭義のアセトバクター菌種には、エタノールの酸化により酢酸を生成することができる酢酸菌が含まれる。アルコール酵母発酵でアセトバクターを使用することにより、生成されるアルコールの分解がもたらされる。したがって酵母とアセトバクターを使用する場合は、一方では酵母発酵で得られたアルコールの低減がもたらされ、他方では製造される低アルコールまたはノンアルコールのビールもしくはビールに似た飲料に、ラクトバシルスを使用して得られる飲料の風味とは明らかに異なる酸味が与えられるようになる。
【0033】
この実施形態のさらに別の好ましい構成例においては、例えば発酵が、サッカロミセスセレビシエ、および/またはサッカロミセスジアスタティクス、および/またはブレタノミセスインテルメジウスと、グルコノバクターを代表する菌とを使用して、実施されるようになっている。グルコノバクターは、一方ではエタノールを酢酸に、他方ではグルコースをグルコン酸に酸化する。このため、少なくとも1種類の酵母と、少なくとも1種類のグルコノバクターを代表する菌を用いた混合発酵プロセスにおいては、グルコノバクターにより、一方では酵母発酵のために必要な出発母材であるグルコースが低減されるために、アルコールの生成が最初から抑制され、他方では酵母発酵で生成されたエタノールが再び分解されるために、製造されるビールに似た飲料のアルコール度数が大幅に低減されるようになる。この混合発酵により製造される低アルコールまたはノンアルコールのビールもしくはビールに似た飲料も同様に、心地良い酸味を有している。
【0034】
本発明においてはまた、本発明に従った方法の発酵プロセスを、1種類の微生物だけ、特に酵母を用いて実施することが企図されている。
【0035】
本発明は他にも、本発明に従った方法を用いて製造される低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料にも関している。好ましい一実施形態において、これは、低アルコールもしくはノンアルコールのライトビールまたはビールに似た飲料、または、低アルコールもしくはノンアルコールのダークビールまたはビールに似た飲料である。低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た飲料は、上面発酵ビールとしても、下面発酵ビールとしても存在することができる。
【0036】
本発明は他にも、薬草成分、香気成分、カフェイン成分、着色成分、アミノ酸成分、食用酸成分、酸および/または果実成分と、
(a)本発明に従った方法を用いて製造される低アルコールまたはノンアルコールのビールもしくはビールに似た清涼飲料、および、糖成分、特にサッカロースを含有した糖成分、
(b)ビール、ノンアルコール、低アルコールまたは高アルコールのビールもしくはビールに似た清涼飲料、および、パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物、または
(c)本発明に従った低アルコールまたはノンアルコールのビールもしくはビールに似た清涼飲料、および、パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物、
とを含有したビール混合飲料にも関する。
【0037】
パラチノースを含有した添加物は、本発明においてはパラチノースを含有した混合物、すなわちパラチノースに、少なくともさらにもう1種類の炭水化物、例えばフルクトース、グルコース、サッカロース、トレハルロース、イソマルトース、イソメリジトース、重合度が3、または4、またはさらにそれ以上であるオリゴ糖類、もしくはこれらの混合物を混合したものである。そこではパラチノースを含有した添加物が、サッカロースのグルコースとの交換反応を利用して、好ましくはプロタミノバクタールブルムの死んだ細胞または生きた細胞、もしくはそこから生成される酵素反応抽出物を使用して得られるようになっている、サッカロースの異性化生成物であると好ましい。このため、本発明に従った好ましいパラチノースを含有した混合物は、本発明の1つの構成例として、約79〜85%のパラチノース、8〜10%のトレハルロース、0.5〜2%のサッカロース、1〜1.5%のイソマルトース、重合度が3またはそれ以上のオリゴ糖類、2.5〜3.5%のフルクトース、および2.0〜2.5%のグルコースを含有するとよい。記載の数値は、固形物の含有率をパーセントで示す。
【0038】
「薬草成分」とは特に、例えばアニス、吉草根、イラクサ、キイチゴの葉、イチゴの葉、ウイキョウ、ハゴロモグサ、エゾツルキンバイ、チョウセンニンジン、ノバラの実、ハイビスカスの花、ラズベリーの葉、ニワトコ、ホップ、ショウガ、オトギリソウ、カミツレ、コリアンダー、ミドリハッカ、ラパーチョ(植物)、ラベンダー、レモンソウ、マヨラナ、ゼニアオイ、メリッサ、ヤドリギ、ペパーミント、キンセンカ、ローズマリー、リンドウ、セイヨウノコギリソウ、タイム、ヤナギハッカ、シナモン等、植物の一部からの抽出物、溶液、エキスまたはエッセンスであると理解されるものである。
【0039】
「果実成分」とは、本発明においては特に、リンゴ、バナナ、ナシ、パイナップル、オレンジ、グレープフルーツ、サクランボ、酸果サクランボ、レモン、シトロン、パッションフルーツ、桃、ヒッポファエ、ラズベリー、イチゴ、キイチゴ、スグリ、セイヨウスグリ、キーウィーフルーツ等の果実からの抽出物であると理解されるものである。
【0040】
同じく本発明においては、ビール混合飲料に、天然産のまたは天然産と同一の嗅覚および/または味覚物質を香気成分として含ませることができるようになっている。これは特に、天然産の出発材料から製造される生成物、人工的に合成される生成物、またはその混合物、例えば、植物または果実から製造される柑橘油、ペパーミント油、またはクローブ油等の芳香油、フルーツエッセンス、香り付け用のフルーツジュース、アニス、メンソール、ユーカリ等であるとよい。
【0041】
着色成分は、本発明に従ったビール混合飲料の色を補正するために、および/またはアピールする外観を醸し出すために投入されるような化合物や物質であり、天然または人工的に合成される着色料が使用されるとよい。本発明に従って投入される着色成分は、例えばカロチノイド、フラボノイド、またはアントシアン等の植物性着色料、動物性着色料、ベンガラ等の無機系の顔料、酵素反応によるまたは酵素反応によらない褐色化の生成物、カラメル等の加熱生成物、もしくは、アゾフェニルメタン、トリフェニルメタン、インジゴイド、キサンチン、またはキノリンの化合物等の合成着色料であるとよい。適切な合成着色料は、例えばエリトロシン、インジゴカルミン、またはタートラジンである。
【0042】
アミノ酸成分は、本発明においては特に必須アミノ酸の混合物である。必須アミノ酸は、人体組織が自ら合成することができないか、または満足できる合成速度で人体の使用に供することができないために、飲食物と一緒に人体に取り込まなければならない。必須アミノ酸は特にヒスチシンHis、イソロイシンIle、ロイシンLeu、リジンLys、スレオニンThr、トリプトファンTrp、およびバリンValである。
【0043】
本発明において使用される酸成分は特に、本発明に従った飲料に酸味成分を添加する酸、および/または保存性の改善に寄与する酸である。
【0044】
非常に好ましい食用酸は特に、柑橘酸、リンゴ酸、乳酸、ワイン酸およびその類の酸である。食用酸成分により、本発明に従ったビール混合飲料には、酸味成分以外にもさらに別の典型的な味覚成分が添加される。例えば柑橘酸により、本発明に従ったビール混合飲料に、柑橘類の風味がもたらされるようになる。リンゴ酸により、本発明に従った飲料に、リンゴの味覚成分がもたらされるようになる。
【0045】
本発明に従った飲料は、好ましい実施形態においては、スパークリング飲料、すなわち炭酸または二酸化炭素を含有した炭酸飲料としても存在することができる。
【0046】
本発明に従ったビール混合飲料は、特に好ましい実施形態においては、カフェイン成分も含有することができる。カフェイン成分として、本発明においては特に、コーヒー豆、茶(植物)またはその部分、マテ茶(植物)またはその部分、コーラナッツ、カカオ豆からの抽出物、精製物またはエキス、もしくはガラナペーストが投入される。本発明に従ったビール混合飲料は、カフェイン成分をこれに添加することにより、大脳皮質および呼吸/循環中枢の興奮作用をもたらすようになる。
【0047】
本発明は他にも、微生物とパラチノースとを含有した、ビールに似た機能性飲料にも関している。すなわち本発明により、好ましくは本発明による方法を使用して製造されるビールに似たノンアルコールまたは低アルコールの飲料に、パラチノースと、少なくとも1種類のプロビアチカの培養微生物、例えば乳酸菌、ビフィジス菌、いわゆる「シンビオチカ(Synbiotika)」等を添加して製造される、ビールに似た機能性飲料が提供される。夫々の用途に応じて、添加されるプロビアチカの培養微生物は、生きた培養物として、または乾燥培養物もしくは連続培養物として、実施されるようになっている。
【0048】
本発明は他にも、パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物の、場合により砂糖シロップを伴う、ビール混合飲料の製造のための使用、また砂糖シロップの、ビール混合飲料の製造のための使用にも関する。
【実施例】
【0049】
次に本発明を実施例に基づき詳しく説明する。
【0050】
(実施例1)
パラチノースを用いた麦芽飲料の製造
a)発酵を行わず、培養組織を添加しないで、冷却、濾過し瓶詰めされるシャンクビール(Schankbier)の醸造。パラチノースを含有したシロップまたはパラチノースを含有した溶液の添加は、濾過工程の前または瓶詰めの直前の煮沸工程で行われる。
b)酵母コールドコンタクト製法またはこれに準じた製法による、パルチノースを用いた麦芽飲料または麦芽ビールの製造。
任意の麦汁エキス濃度のホットウォートを0℃に冷却し、生物学的な酸性化によりpH値を調整した後、約30×106の酵母細胞を添加する。酵母-麦汁混合物への通気は行わない。CO2の供給により、酸素含有率をさらに低減する。酵母の麦汁との接触時間は、0℃前後の温度で24〜28hである。それによりアルコール度数が体積分率で0.5%〜1.5%未満の飲料が得られ、これに味覚向上のためにパラチノースを添加する。パラチノースは、結晶または融解した形態で添加される。
【0051】
(実施例2)
パラチノースを用いた、あっさりしたノンアルコール飲料の製造
伝統的な製法で製造したビールを、例えば透析、逆浸透、真空蒸発等の従来の方法により脱アルコール化する。官能的な印象を向上させるために、脱アルコール化工程の前または後に、この飲料に、パラチノースまたはパラチノース溶液を、仕上がる飲料100mlにつき1g〜5gのパラチノースという微小な濃度で添加する。それにより飲料のコクが深まり量感が増す。
【0052】
(実施例3)
パラチノースを用いた低アルコールビールの製造
従来の製法で製造したビールを、実施例2に記載した方法を使用して脱アルコール化する。しかし脱アルコール化は、完全にではなく、残留アルコール度数が体積分率で約1%〜3%となるまでだけ行う。このビールにも、パルチノースの最終濃度が100ml当たり約1gから5gとなるように、微量のパルチノースを結晶または予め融解した形態で添加する。
【0053】
(実施例4)
パラチノースを用いた低アルコール飲料の製造
100%麦芽仕込み、あるいは最大40%まで生の穀物(例えば、トウモロコシ、米、大麦、小麦、オート麦、キビ、モロコシ等の未発芽の穀物)を仕込んだ、任意のモルツバリエーションで醸造したビールにおいて、従来の原料から予想される抽出成分の一部をパラチノースにより置換する。
置換は、麦汁煮沸釜または攪拌槽において、麦汁エキス濃度が低い(約5〜10%)ビールに結晶性のパラチノースを添加することによって行われる。パラチノース対仕込みからの抽出物の比は、1:4から2:1の間とする。ビールは従来の方法で発酵させ、貯蔵し、濾過後または濾過せずに瓶詰めされる。しかしそのアルコール度数は、従来の製法で醸造したビールにおいて期待されるアルコール度数の1/3から2/3までだけとなる。
置換は他にも、任意の時点で100hlのビールに100hlのパラチノースを含有した溶液を混ぜ合わせることによって行うこともできる。この溶液のパラチノース含有量は、ビール製造に使用されるビール麦汁エキスの約0.5乃至2倍である。混合は、醸造室から瓶詰めまでの間のどの任意のプロセス工程において行われてもかまわない。
【0054】
(実施例5)
パラチノースを用いたビール混合飲料の製造
a)任意のビールを製造し、これに醸造プロセスの任意の時点でパラチノースを添加する。このビールに、瓶詰めの前に濃縮香料を混合する。ビールにはパラチノース成分により十分な甘味が残るために、香料を含有した砂糖シロップの混合は不要である。
b)従来の製法で醸造したビールに、香り付けしたフルーツシロップを濾過して、または濾過せずに混合する。現在の従来技術とは異なり、このシロップに含まれる砂糖または甘味料は、パラチノースにより完全にまたは部分的に置換される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料の製造方法であって、第1工程において、醸造水、ホップ、および炭水化物源を混合することにより麦汁が製造され、第2工程において前記麦汁が煮沸され、第3工程において前記麦汁が発酵プロセスにかけられる、方法において、
パラチノースを含有した混合物またはパラチノースを、前記発酵プロセスの前、発酵プロセスの間、または発酵プロセスの後に添加し、下面発酵のサッカロミセスセレビシエに属する菌株、上面発酵のサッカロミセスセレビシエに属する菌株、サッカロミセスカールスベルゲンシス、サッカロミセスジアスタティクスおよびブレタノミセスインテルメジウスから成る群の中から選択される少なくとも1種類の微生物を発酵のために使用することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記炭水化物源が、モルト化された穀物、または生の穀物にモルト化された穀物を加えた形態で投入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ダークビールまたはライトビールが製造される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上面発酵ビールまたは下面発酵ビールが製造される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記麦汁に、前記パラチノースを含有した混合物またはパラチノースが、炭水化物源、特に麦芽対パラチノースの比を2:1〜1:1として混合される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記パラチノースを含有した混合物またはパラチノースが、シロップとして溶液に溶かして、または結晶性固体の形態で添加される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記発酵プロセスが、様々な微生物の投入下で混合発酵として実施される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2種類の微生物が投入される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発酵プロセスが、少なくとも1種類の酵母および少なくとも1種類の酸生成菌の投入下で実施される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸生成菌が、ラクトバシルス種、アセトバクター種、およびグルコノバクター種から成る群の中から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記発酵プロセスが、1種類の微生物だけを用いて実施される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の方法のいずれか1つに従って製造される、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料。
【請求項13】
ライトもしくはダークビールまたはビールに似た飲料である、請求項12に記載の低アルコールビールもしくはビールに似た清涼飲料。
【請求項14】
薬草成分、香気成分、カフェイン成分、着色成分、アミノ酸成分、食用酸成分、酸および/または果実成分と、
(a) 請求項1〜11のいずれかに記載の方法に従って製造される、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料、および、糖成分、特にサッカロースを含有した糖成分、あるいは
(b) ビール、ノンアルコール、低アルコールもしくは高アルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料、および、パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物、あるいは、
(c) 請求項1〜11のいずれかに記載の、低アルコールもしくはノンアルコールのビールまたはビールに似た清涼飲料、および、パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物、
とを含有したビール混合飲料。
【請求項15】
パラチノースまたはパラチノースを含有した添加物の、場合により砂糖シロップを伴う、ビール混合飲料を製造するための使用、または砂糖シロップの、ビール混合飲料を製造するための使用。
【請求項16】
微生物およびパラチノースを含有した、ビールに似た機能性飲料。

【公表番号】特表2007−514428(P2007−514428A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544356(P2006−544356)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014402
【国際公開番号】WO2005/061690
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(500175772)ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (47)
【Fターム(参考)】