説明

パルス幅変調回路、パルス幅変調方法及びレギュレータ

【課題】レギュレータの出力電圧を誤差電圧に対して線形的に制御できるパルス幅変調回路及びパルス幅変調方法と、出力電圧を簡単に制御可能なレギュレータとを提供する。
【解決手段】レギュレータは、パルス信号に応じてオン/オフを行なうスイッチング素子と、出力電圧と基準電圧Vrefとの差である誤差電圧Verrと基準電圧Vrefとから決定さ
れるデューティ比に応じたパルス信号をスイッチング素子に供給するPWM制御回路20とを備える。このPWM制御回路20は、誤差電圧Verrに応じた電流I1を流す電流源
21と、この電流源21とグランドとの間に設けられたキャパシタ22と、比較器25とを備える。比較器25の非反転入力端子は電流源21とキャパシタ22の接続ノードが接続され、比較器25の反転入力端子には基準電圧Vrefが印加され、比較器25の出力信
号がスイッチング素子に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レギュレータに用いられるパルス幅変調回路、パルス幅変調方法及びレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
入力電圧から希望の出力電圧を得る電源装置として、スイッチング素子を用いたレギュレータが知られている。このレギュレータには、入力電圧よりも低い電圧を出力する降圧レギュレータや入力電圧よりも高い電圧を出力する昇圧レギュレータ(例えば、特許文献1参照。)がある。更に、入力電圧に対して低い電圧〜高い電圧を出力可能な昇降圧レギュレータもある(例えば、特許文献2参照。)。なお、この特許文献2に示される昇降圧レギュレータにおいては、出力を安定させる位相補償回路が複数設けられ、昇圧する場合又は降圧する場合で位相補償回路の切り替えを行なう。
【0003】
特許文献1に記載されている昇圧レギュレータは、パルス幅変調回路によってデューティ比を調整してスイッチング素子を制御している。更に、この昇圧レギュレータは、出力を安定させるため、帰還要素を備えている。この帰還要素は、出力電圧と基準電圧とを比較して誤差電圧Verrの信号(誤差信号)を出力する誤差比較器と、この誤差信号と基準
電圧とを用いてデューティ比を調整するパルス幅変調回路とを備えている。
【0004】
ここで、この昇圧レギュレータに用いられるパルス幅変調回路50の構成について、図4(a)を用いて説明する。この図に示すように、パルス幅変調回路50は、電流源51、キャパシタ52、トランジスタ53及び比較器55を備えている。電流源51は、基準電圧Vrefに応じた電流I1を流す電流源であり、キャパシタ52に接続されている。ま
た、トランジスタ53がキャパシタ52と並列に接続されている。更に、電流源51とキャパシタ52との接続ノードが比較器55の反転入力端子に接続されている。比較器55の非反転入力端子には、誤差電圧Verrが印加されている。比較器55は、電流源51と
キャパシタ52との接続ノードの充電電圧V1と、誤差電圧Verrとを比較して、この比
較した結果に応じたパルス信号を出力する。
【0005】
具体的には、トランジスタ53がオフになると、電流源51からキャパシタ52に電流が流れ、キャパシタ52が充電される。この場合、図4(b)に示すように、電流源51とキャパシタ52との接続ノードの充電電圧V1は比例的に上昇する。そして、比較器55は、充電電圧V1が誤差電圧Verr以下の場合にはハイレベル、充電電圧V1が誤差電
圧Verrより高い場合にはローレベルとなるパルス信号をスイッチング素子に供給する。
なお、この場合、スイッチング素子は、パルス信号がローレベルの場合にはオフ、ハイレベルの場合にはオンとなるように制御される。その後、クロック信号CL1に応じてトランジスタ53がオンになるとキャパシタ52が放電して、充電電圧V1は0Vになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−238640号公報(第1頁及び図6)
【特許文献2】特開2005−110468号公報(第1頁、図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、昇圧レギュレータにおいては、出力電圧Voutを一定にするために、
出力電圧Voutに応じてスイッチング素子を制御している。このため、昇圧レギュレータ
の出力電圧Voutは、入力電圧Vinを用いて以下の(1)式で示される。
【0008】
Vout=Vin/(1−D) …(1)
ここで、Dは、パルス信号のデューティ比であり、図4(a)に示したパルス幅変調回路50においては、図4(b)に示すデューティ比D1である。ここで、パルス幅変調回路50のデューティ比D1は、Verr/Vrefで表わせる。このため、このデューティ比D1=Verr/Vrefを(1)式のDとして代入すると、以下の(2)式になる。
【0009】
Vout=Vin/(1−Verr/Vref) …(2)
この(2)式により、出力電圧Voutは、誤差電圧Verrに応じて非線形に変化することがわかる。このため、誤差電圧Verrを用いて出力電圧Voutを制御することが難しい。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、レギュレータの出力電圧を誤差電圧に対して線形的に制御できるパルス幅変調回路及びパルス幅変調方法と、出力電圧を簡単に制御可能なレギュレータとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明によれば、パルス信号のデューティ比に応じたオン/オフ制御されるスイッチング素子を備えて、入力電圧より高い出力電圧を出力するレギュレータにパルス信号を供給するパルス幅制御回路であって、前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差である誤差電圧の大きさに応じた電流を流す電流源と、この電流源に接続されたキャパシタと、前記基準電圧が反転入力端子に印加され、非反転入力端子には前記電流源と前記キャパシタとの接続ノードの電圧が印加され、前記パルス信号を前記スイッチング素子に出力する比較器とを備えることを要旨とする。このため、パルス幅変調回路は、誤差電圧の大きさに応じた電流が供給されるキャパシタの充電電圧が基準電圧以下の場合にはローレベルとなり、充電電圧が前記基準電圧より高い場合にはハイレベルとなるパルス信号を出力する。この場合、出力されるパルス信号は、1からデューティ比を引いた値が誤差電圧の逆数になるデューティ比で生成される。従って、このパルス幅変調回路を入力電圧より高い電圧を出力するレギュレータに用いた場合には、レギュレータの伝達関数は誤差電圧に線形的に比例した値になるので、誤差電圧の大きさに応じて簡単に制御可能することができる。よって、レギュレータの出力をより安定させることができる。
【0012】
本発明のパルス幅変調回路では、前記基準電圧は、前記レギュレータの入力電圧に比例することを要旨とする。このパルス幅変調回路をレギュレータに用いた場合、レギュレータの出力電圧は、入力電圧を基準電圧で除算した値に比例する。このため、基準電圧を入力電圧に比例した基準電圧を用いることにより、出力電圧が入力電圧に依存しない。従って、レギュレータの出力を、入力電圧の変動によらずに、より安定させることができる。
【0013】
本発明によれば、スイッチング素子を備えて入力電圧より高い出力電圧を出力するレギュレータに用いられ、パルス信号がハイレベルのときにはオンになり前記パルス信号がローレベルのときにはオフになる前記スイッチング素子に、前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差に応じた誤差電圧と、前記基準電圧とによって決定されるデューティ比のパルス信号を生成して出力するパルス幅変調方法であって、前記誤差電圧の大きさに応じた電流が供給されるキャパシタの充電電圧が前記基準電圧以下の場合にはローレベルとなり、前記充電電圧が前記基準電圧より高い場合にはハイレベルとなるパルス信号を出力することを要旨とする。この場合、パルス幅変調回路は、1からデューティ比を引いた値が誤差電圧の逆数になるデューティ比のパルス信号を、入力電圧より高い電圧を出力するレギュレータのスイッチング素子に供給して制御することになるので、レギュレータの伝達関数は誤差電圧に線形的に比例した値になる。よって、誤差電圧の大きさに応じて簡
単に制御可能することができ、レギュレータの出力をより安定させることができる。
【0014】
本発明によれば、入力端子及び出力端子に直列に接続されたインダクタンス及び整流素子と、この整流素子のカソードに接続されたキャパシタと、前記インダクタンスと前記整流素子との接続ノードに接続されて、パルス信号のデューティ比に応じてオン/オフを行なうスイッチング素子と、このスイッチング素子にパルス信号を供給するパルス幅変調回路とを備えたレギュレータであって、前記パルス幅変調回路は、前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差である誤差電圧の大きさに応じた電流を流す電流源と、この電流源に接続されたキャパシタと、前記基準電圧が反転入力端子に印加され、非反転入力端子には前記電流源と前記キャパシタとの接続ノードの電圧が印加され、前記パルス信号を出力する比較器とを備えることを要旨とする。このため、レギュレータの伝達関数は誤差電圧に線形的に比例した値になるので、誤差電圧の大きさに応じて簡単に制御可能することができる。従って、レギュレータの出力をより安定させることができる。
【0015】
本発明のレギュレータでは、前記基準電圧は、前記入力電圧に比例することを要旨とする。レギュレータの出力電圧は、入力電圧を基準電圧で除算した値に比例する。このため、基準電圧を入力電圧に比例した基準電圧を用いることにより、出力電圧が入力電圧に依存しない。従って、レギュレータの出力を、入力電圧の変動によらずに、より安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レギュレータの出力電圧を誤差電圧に対して線形的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態のレギュレータの回路構成図。
【図2】実施形態のパルス幅変調回路の回路構成図。
【図3】実施形態のパルス幅変調回路における充電電圧V1の変化を示す図であり、(a)は誤差電圧Verrを一定、(b)は誤差電圧Verrを変更した場合を示す。
【図4】従来のレギュレータのパルス幅変調回路に関する図であり、(a)は回路構成図、(b)は誤差電圧Verr一定の場合の充電電圧V1の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態のPWM制御回路20及びこれを用いたレギュレータ10について、図1〜図3を用いて説明する。
まず、レギュレータ10について、図1を用いて説明する。
【0019】
本実施形態のレギュレータ10の入力端子は、入力電圧Vinを供給する入力電源P1に接続されている。そして、レギュレータ10の出力端子は、負荷L1に接続され、出力電圧Voutを出力する。
【0020】
レギュレータ10は、インダクタンス11、整流素子12、スイッチング素子13及びキャパシタ14を備えている。レギュレータ10の入力端子から出力端子の間には、インダクタンス11及び整流素子12が直列に接続されている。インダクタンス11と整流素子12との接続ノードと、グランドとの間に、スイッチング素子13が設けられている。このスイッチング素子13は、後述するPWM制御回路20から供給されるパルス信号S1に応じてオン/オフを行なう。更に、整流素子12と出力端子との接続ノードと、グランドとの間に、キャパシタ14が設けられている。
【0021】
更に、出力端子と整流素子12との接続ノードと、グランドとの間に、抵抗16,17
が直列に設けられている。抵抗16,17の接続ノードは、誤差比較器18の反転入力端子に接続されている。
【0022】
基準電圧回路19は、基準電圧Vrefを生成して、誤差比較器18及びPWM制御回路
20に供給する。本実施形態では、基準電圧回路19は、入力電圧Vinに比例する基準電圧Vrefを生成する。
【0023】
誤差比較器18の非反転入力端子は、基準電圧回路19に接続されている。この誤差比較器18の出力端子は、PWM制御回路20に接続されている。誤差比較器18は、出力電圧Voutと基準電圧Vrefとを比較し、これらの電圧差に応じた誤差電圧Verrを出力す
る。
【0024】
次に、PWM制御回路20の構成について、図2を用いて説明する。
本実施形態のPWM制御回路20は、電流源21、キャパシタ22、トランジスタ23及び比較器25を備えている。
【0025】
電流源21は、キャパシタ22に電流を供給する。本実施形態では、この電流源21は、誤差比較器18からの誤差電圧Verrに比例した大きさの電流I1を供給する。
電流源21に接続されるキャパシタ22の他方の端子はグランドに接続されている。
【0026】
更に、トランジスタ23がキャパシタ22の両端子に接続するように設けられている。具体的には、このトランジスタ23は、nチャンネルのMOSトランジスタであり、ゲート端子にはクロック信号CL1が供給される。このため、クロック信号CL1に応じてトランジスタ23がオンすると、キャパシタ22に蓄積された電荷がトランジスタ23を介して放電される。なお、トランジスタ23がオフの場合には、キャパシタ22には、電流源21から供給された電荷が蓄積される。
【0027】
電流源21とキャパシタ22との接続ノードは、比較器25の非反転入力端子に接続されている。なお、図2においては、この接続ノードの電圧を充電電圧V1として表わす。比較器25の反転入力端子には、基準電圧Vrefが印加されている。比較器25は、充電
電圧V1とVrefとを比較する。比較器25は、充電電圧V1が基準電圧Vrefより低い場合にはローレベルとし、充電電圧V1が基準電圧Vrefより高い場合にはハイレベルとす
るパルス信号S1を出力する。なお、比較器25で生成されたパルス信号S1がPWM制御回路20の出力信号として、図1のスイッチング素子13に供給される。なお、このパルス信号S1が供給されるスイッチング素子13は、パルス信号S1がローレベルの場合にはオフとなり、ハイレベルの場合にはオンとなる。
【0028】
次に、以上の構成を有するレギュレータ10の動作について説明する。
スイッチング素子13がオンになっている場合には、このスイッチング素子13を介して入力電源P1からの電流がグランドに流れる。この場合、整流素子12のアノードの電圧がカソードの電圧より低くなるので、整流素子12はオフになり、キャパシタ14に蓄積されていた電荷が負荷L1に供給される。
【0029】
その後、スイッチング素子13がオフになると、電流が流れなくため、インダクタンス11は、逆起電力を発生する。この発生した逆起電力は、整流素子12をオンさせ、これを介して、キャパシタ14及び負荷L1に流れる。このため、レギュレータ10は、入力電圧Vinよりも昇圧された出力電圧Voutを出力することができる。
【0030】
一方、帰還要素の誤差比較器18は、常に、出力電圧Voutの分圧と基準電圧Vrefとの差に応じた誤差電圧VerrをPWM制御回路20に供給している。
図3(a)に示すように、PWM制御回路20では、クロック信号CL1が供給された場合、トランジスタ23はオンし、キャパシタ22が放電されて、充電電圧V1が0Vになる。クロック信号CL1の供給が停止すると、トランジスタ23はオフになる。この場合、キャパシタ22には、電流源21から電流が供給されて、充電電圧V1が0Vから徐々に上昇する。ここで、電流源21は、誤差電圧Verrが一定の場合には一定の電流I1
を出力するので、キャパシタ22は時間に比例して充電され、充電電圧V1は時間に比例して上昇する。
【0031】
この場合、比較器25は、充電電圧V1が基準電圧Vref以下の場合には、パルス信号
S1をローレベルにし、充電電圧V1が基準電圧Vrefより高くなった場合には、パルス
信号S1をハイレベルにする。そして、パルス信号S1のハイレベル及びローレベルに応じて、スイッチング素子13はオン/オフを行なう。
【0032】
次に、本実施形態のレギュレータ10の伝達関数について説明する。
本実施形態のPWM制御回路20においては、図3(b)に示すように、誤差電圧Verrの大きさに応じた電流I1が出力されている。このため、クロック信号CL1を取得し
てから次のクロック信号CL1を取得するまでの間、充電電圧V1は、0Vから誤差電圧Verrまで上昇する。この場合、比較器25に供給される基準電圧Vrefは一定である。ここで、本実施形態のデューティ比D2は、以下の(3)式で示される。
【0033】
1−D2=Vref/Verr …(3)
また、レギュレータ10の出力電圧Voutを示す上記(1)式のDに、この(3)式の
デューティ比D2を代入すると、以下の(4)式が導ける。
【0034】
Vout=Vin×Verr/Vref …(4)
ここで、α=Vin/Vrefとすると、Vout=α×Verrとなる。すなわち、入力電圧Vin及び基準電圧がVref一定であれば、出力電圧Voutは、誤差電圧Verrに応じて比例的に(線形で)変化する。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、レギュレータ10のPWM制御回路20は、電流源21と比較器25を備えている。電流源21は、誤差電圧Verrの大きさに応じた大きさの電流I1を供給する。比較器25は、基準電圧Vrefが反転入力端子に供給され、電流源21とキャパ
シタ22との接続ノードの充電電圧V1が非反転入力端子に供給される。このため、PWM制御回路20は、誤差電圧Verrの大きさに応じた電流I1が供給されるキャパシタ2
2の充電電圧V1が基準電圧Vref以下の場合にはローレベルとなり、充電電圧V1が基
準電圧Vrefより高い場合にはハイレベルとなるパルス信号を出力する。この場合、デュ
ーティ比D2を1から減算した値が誤差電圧Verrの逆数に比例するデューティ比D2の
パルス信号S1が出力される。従って、このPWM制御回路20から出力されるパルス信号S1を用いてスイッチング素子13を制御した場合、レギュレータ10の出力電圧Voutは、誤差電圧Verrに比例した値となる。よって、誤差電圧Verrの大きさに応じて簡単
に制御可能することができるので、レギュレータ10の出力をより安定させることができる。
【0036】
・ 本実施形態では、基準電圧回路19は、レギュレータ10の入力電圧Vinに比例する基準電圧Vrefを生成する。この場合、(4)式から明らかなように、出力電圧Voutは入力電圧Vinの依存がなくなる。このため、レギュレータ10の出力電圧Voutは入力電
圧Vinの変動の影響を受けないため、レギュレータ10の出力がいっそう安定することになる。
【0037】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態のPWM制御回路20の比較器25においては、基準電圧Vrefが反
転入力端子に供給され、電流源21とキャパシタ22との接続ノードの充電電圧V1が非反転入力端子に供給される構成とした。PWM制御回路20は、誤差電圧Verrの大きさ
に応じた電流I1が供給されるキャパシタ22の充電電圧V1が基準電圧Vref以下の場
合にはローレベルとなり、この充電電圧V1が基準電圧Vrefより高い場合にはハイレベ
ルとなるパルス信号を出力することができれば、この構成は限定されるものではない。例えば、上記比較器25の代わりに、比較器とインバータとを組み合わせた構成としてもよい。この比較器の非反転入力端子には、基準電圧Vrefが供給されるように構成する。一
方、反転入力端子には、電流源21とキャパシタ22との接続ノードの充電電圧V1が供給されるように構成する。この比較器の出力端子を、インバータの入力端子に接続し、このインバータから出力されるパルス信号をスイッチング素子13に供給する。この場合にも、レギュレータの出力電圧Voutを誤差電圧Verrに応じて線形的に制御することができる。
【0038】
○ 上記実施形態においては、入力電圧より高い電圧を出力するレギュレータ10にPWM制御回路20を用いた。本発明のPWM制御回路20は、これに限らず、入力電圧より低い電圧〜高い電圧を出力する昇降圧レギュレータに用いてもよい。この場合、入力電圧より低い電圧を出力する場合(降圧する場合)には、線形である従来と同じ構成のパルス幅変調回路50を用いる。そして、入力電圧より高い電圧を出力する場合には、本願発明のPWM制御回路20の構成になるように、比較器25に供給される電圧(基準電圧Vrefと充電電圧V1)と電流源21に供給される誤差電圧Verrを変更すればよい。これにより、入力電圧に対して低い電圧〜高い電圧を出力する場合であっても、レギュレータの出力電圧をより安定することができる。
【0039】
○ 上記実施形態のレギュレータ10は、基準電圧回路19を備えた。これに限らず、PWM制御回路20に、誤差電圧Verr及び基準電圧Vrefが供給されれば、レギュレータ10内に基準電圧回路を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
CL1…クロック信号、D2…デューティ比、I1…電流、L1…負荷、P1…入力電源、S1…パルス信号、Vin…入力電圧、Verr…誤差電圧Vout…出力電圧Vref…基準
電圧、V1…充電電圧、10…レギュレータ、11…インダクタンス、12…整流素子、13…スイッチング素子、14,22…キャパシタ、16,17…抵抗、18…誤差比較器、19…基準電圧回路、20…PWM制御回路、21…電流源、23…トランジスタ、25…比較器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号のデューティ比に応じたオン/オフ制御されるスイッチング素子を備えて、入力電圧より高い出力電圧を出力するレギュレータにパルス信号を供給するパルス幅制御回路であって、
前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差である誤差電圧の大きさに応じた電流を流す電流源と、
この電流源に接続されたキャパシタと、
前記基準電圧が反転入力端子に印加され、非反転入力端子には前記電流源と前記キャパシタとの接続ノードの電圧が印加され、前記パルス信号を前記スイッチング素子に出力する比較器とを備えることを特徴とするパルス幅変調回路。
【請求項2】
前記基準電圧は、前記レギュレータの入力電圧に比例することを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変調回路。
【請求項3】
スイッチング素子を備えて入力電圧より高い出力電圧を出力するレギュレータに用いられ、パルス信号がハイレベルのときにはオンになり前記パルス信号がローレベルのときにはオフになる前記スイッチング素子に、前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差に応じた誤差電圧と、前記基準電圧とによって決定されるデューティ比のパルス信号を生成して出力するパルス幅変調方法であって、
前記誤差電圧の大きさに応じた電流が供給されるキャパシタの充電電圧が前記基準電圧以下の場合にはローレベルとなり、前記充電電圧が前記基準電圧より高い場合にはハイレベルとなるパルス信号を出力することを特徴とするパルス幅変調方法。
【請求項4】
入力端子及び出力端子に直列に接続されたインダクタンス及び整流素子と、
この整流素子のカソードに接続されたキャパシタと、
前記インダクタンスと前記整流素子との接続ノードに接続されて、パルス信号のデューティ比に応じてオン/オフを行なうスイッチング素子と、
このスイッチング素子にパルス信号を供給するパルス幅変調回路と
を備えたレギュレータであって、
前記パルス幅変調回路は、
前記レギュレータの前記出力電圧と基準電圧との差である誤差電圧の大きさに応じた電流を流す電流源と、
この電流源に接続されたキャパシタと、
前記基準電圧が反転入力端子に印加され、非反転入力端子には前記電流源と前記キャパシタとの接続ノードの電圧が印加され、前記パルス信号を出力する比較器とを備えることを特徴とするレギュレータ。
【請求項5】
前記基準電圧は、前記入力電圧に比例することを特徴とする請求項4に記載のレギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−183335(P2010−183335A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24785(P2009−24785)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】