パルス電圧供給回路
【課題】液晶パネルのバックライト光源などに使用される放電管に適切なパルス電圧供給回路を提供する。
【解決手段】本発明によるパルス電圧供給回路PS1は、第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2とを直列接続し、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体素子Q1、負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体素子Q2、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体素子Q3、負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体素子Q4を備え、これら半導体素子を順次パルス駆動し、さらに、これら半導体素子の負荷側に誘導性回路素子L1と、容量性回路素子C1を備えることにより、正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給するパルス電圧供給回路において、エネルギーの効率的利用を可能とした。
【解決手段】本発明によるパルス電圧供給回路PS1は、第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2とを直列接続し、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体素子Q1、負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体素子Q2、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体素子Q3、負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体素子Q4を備え、これら半導体素子を順次パルス駆動し、さらに、これら半導体素子の負荷側に誘導性回路素子L1と、容量性回路素子C1を備えることにより、正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給するパルス電圧供給回路において、エネルギーの効率的利用を可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパルス電圧供給回路に関する。詳しくは、主として液晶のバックライトとして用いる放電管を放電させるためのパルス電圧供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルのバックライト光源としては、冷陰極放電管が使用されて来た。しかし、冷陰極放電管は内部に水銀蒸気を封入しており、環境負荷上好ましくない。これに対してキセノン放電管は内部に不活性ガスであるキセノンガスを封入しており、環境に悪影響を及ぼすことはない。ところで、放電管の放電には、交流電圧が供給されるが、放電の安定化、均一化のために正負パルス電圧が交互に供給される例もある(特許文献1参照)。
【0003】
図15にパルス電圧を、図16にパルス電圧を供給するための供給回路PS11の例を示す。図15において、パルス電圧の特性として、例えば、パルス電圧±Vp=800〜1500V、パルス周期T=25〜100μs、パルス幅Tp=0.5〜10μsが適用される。図16において、Lpは負荷であるキセノン放電管、X1,X2はパルス電圧供給回路PS11から負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子、第2の出力端子、E1,E2は負荷Lpに電力を供給するための第1の直流電源、第2の直流電源で、基準電位線V0を挟んで直列に接続されており、E1=略800〜1500V、E2=略800〜1500Vで可変である。Csは負荷Lpに並列に存在する浮遊容量で、通常100〜500pFである。Q5〜Q8は半導体素子で例えばパワーMOSFET(金属−酸化物−半導体型電界効果トランジスタ)、バイポーラトランジスタ又はIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)で構成される。Q5は第1の直流電源E1から負荷側に正極性のパルスを供給するためのスイッチングを行う第5の半導体素子、Q6は第2の直流電源E2から負荷側に負極性のパルスを供給するためのスイッチングを行う第6の半導体素子、Q7及びQ8は浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電するためのスイッチングを行う第7、第8の半導体素子である。第7、第8の半導体素子Q7,Q8は、その一方がオンすると、他方のダイオードと協働して電荷を放電する。R8は浮遊容量Cs及び半導体素子Q5〜Q8にピーク電流が流れるのを防止する抵抗器である。
【0004】
第5〜第8の半導体素子Q5〜Q8は信号線g5〜g8を通してスイッチ制御手段CTLに接続され、スイッチ制御手段CTLは半導体素子Q5〜Q8をパルス信号によりオンオフ制御して出力端子X1,X2にパルス電圧を出力する。半導体素子Q5を時間幅Tpオンすると、放電管Lpに電圧+Vp,幅Tpの正極性のパルスが印加され、次に半導体素子Q7を時間幅te(=T/2−Tp)オンして浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電し、次に半導体素子Q6を時間幅Tpオンすると、放電管Lpに電圧−Vp,幅Tpの負極性のパルスが印加され、次に半導体素子Q8を時間幅te(=T/2−Tp)オンして浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電する。このサイクルを周期Tで繰り返すことにより、放電管Lpには図15に示すようなパルス電圧が供給され、放電管Lpは安定した放電を持続できる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−115483号公報(段落0009、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図16に示すようなパルス電圧供給回路では、放電管に存在する浮遊容量Csを充放電するためのエネルギーが回路損失となり、電力効率が低くなる。例えば、浮遊容量Csを500pF、放電管の駆動電圧±Vpを1500V、駆動パルス周波数を20kHzとすると、浮遊容量Csを充放電する電力は500pF×(1500V)2×20kHz=22.5Wとなり、この電力が抵抗R8で全て消費されてしまう。またこのような大きな電力を発生する抵抗器は大型になる。また、液晶パネルのバックライト光源全体としては、多数本の放電管が必要であり、32インチ程度の液晶パネルでは、例えば、20本程度の放電管が使用される。この場合に全体の電力損失は22.5W×20=450Wとなり、非常に大きな電力を消費することとなり、この熱処理が困難になる。
【0007】
本発明は、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のパルス電圧供給回路PS1は、例えば図1に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、前記第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcの負荷側に接続された第1の誘導性回路素子L1と、第1の誘導性回路素子L1の負荷側に接続された第1の出力端子X1と基準電位線V0に接続された第2の出力端子X2との間に接続された第1の容量性回路素子C1を備え、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。
【0009】
ここにおいて、誘導性回路素子とは実質的に誘導性の回路素子をいい、例えばインダクタに非常に小さな抵抗が直列に又は非常に大きな抵抗が並列に接続されていても良い。容量性回路素子とは、実質的に容量性の回路素子をいい、例えばキャパシタに非常に小さな抵抗が直列に又は非常に大きな抵抗が並列に接続されていても良い。また、基準電位線V0と第2の出力端子X2間に基準電位線V0の電位に実質的に影響を与えない小さな抵抗又は小さなインダクタンスが挿入されていても良い。また、パルス電圧供給回路は必ずしも一体的に構成されなくても良く、例えば、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とからなる回路部分を切り離し可能に構成し、切り離された回路部分を交換して使用しても良く、別途負荷に取り付けて使用しても良い。また、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とを個別に切り離し可能に構成し、これら切り離された回路素子を交換して使用しても良く、個別に負荷に取り付けて使用しても良い。このように構成すると、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。
【0010】
また、請求項2に記載のパルス電圧供給回路PS2は、例えば図3に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcと第1の双方向スイッチ回路SW1との間に接続された第2の誘導性回路素子L2及び接続点Xcと第2の双方向スイッチ回路SW2との間に接続された第3の誘導性回路素子L3と、接続点Xcに接続された第1の出力端子X1と基準電位線V0に接続された第2の出力端子X2との間に接続された第2の容量性回路素子C2とを備え、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に供給する。
【0011】
ここにおいて、第2の誘導性回路素子L2と第3の誘導性回路素子L3との接続点Xcから負荷側に第7の誘導性回路素子L7(図6参照)があっても良い。この場合には、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3のインダクタンスをそれぞれ、L2+L7,L3+L7とみなし、第7の誘導性回路素子L7の出力側端子を接続点Xcとみなした場合の、本実施の形態の構成と等価となるので、このようにみなし、本請求項の範囲に含まれるものとする。このように構成すると、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。
【0012】
また、請求項3に記載のパルス電圧供給回路PS3は、例えば図4に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源E2側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcと負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第4の誘導性回路素子L4と、負荷Lpの第1の電極P1と基準電位線V0に接続された負荷Lpの第2の電極P2との間に接続された第3の容量性回路素子C3とを備え、負荷Lpの第1の電極P1と負荷Lpの第2の電極P2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。なお、図1に示すような、接続点Xcと第1の電極P1の間に第1の出力端子X1があり、基準電位線V0と第2の電極P2の間に第2の出力端子X2がある場合にも、本請求項を適用可能である。このように構成すると、請求項1と実質的に同様の回路構成を実現できる。
【0013】
また、請求項4に記載のパルス電圧供給回路PS4は、例えば図5に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第5の誘導性回路素子L5と、第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側と負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第6の誘導性回路素子L6と、負荷Lpの第1の電極P1と基準電位線V0に接続された負荷Lpの第2の電極P2との間に接続された第4の容量性回路素子C4とを備え、負荷Lpの第1の電極P1と負荷Lpの第2の電極P2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。なお、図2に示すような、接続点Xcと第1の電極P1の間に第1の出力端子X1があり、基準電位線V0と第2の電極P2の間に第2の出力端子X2がある場合にも、本請求項を適用可能である。このように構成すると、請求項2と実質的に同様の回路構成を実現できる。
【0014】
また、請求項5に記載のパルス電圧供給回路PS7は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、例えば図8に示すように、第1の誘導性回路素子L1、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3、第4の誘導性回路素子L4、第5の誘導性回路素子L5又は第6の誘導性回路素子L6のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsを含む。
【0015】
また、請求項6に記載のパルス電圧供給回路PS8は、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、例えば図9に示すように、第3の容量性回路素子C3又は第4の容量性回路素子C4のキャパシタンスが負荷Lpの浮遊容量のキャパシタンスCsを含む。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、第1の半導体スイッチ回路SS1乃至第4の半導体スイッチ回路SS4は、パワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBT(Q1〜Q4)と逆流防止用のダイオードD1〜D4とを直列接続して構成される。このように構成すると、小型で精度の良い各半導体スイッチ回路を構成できる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2は、商用交流電源から整流された直流電力よりDC−DC変換されて供給された電力を供給する(図14参照)。ここにおいて、DC−DC変換とは、直流電圧レベルの変換をいうが、同じレベルに変換される場合も含むものとする。このように構成すると商用交流を電源として使用でき、利用の機会が増える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。なお、キセノン放電管は環境に悪影響を及ぼすことはないので、負荷がキセノン放電管の場合に本発明を用いると好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS1の回路構成例を示す。図16との大きな差異は、抵抗器R8が無くなり、インダクタL1とコンデンサC1が挿入されている点である。図1において、Lpは負荷であるキセノン放電管、X1,X2はパルス電圧供給回路PS1から負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子、第2の出力端子、P1,P2は負荷Lpの第1の電極、第2の電極、E1,E2は負荷Lpに電力を供給するための第1の直流電源、第2の直流電源で、基準電位線V0を挟んで直列に接続されており、略500〜1000Vで可変である。第1の直流電源E1は正極側に、第2の直流電源E2は負極側に配置される。Csは負荷Lpに並列に存在する浮遊容量で、通常100〜500pFである。本実施の形態では、第1の出力端子X1と第1の電極P1間、第2の出力端子X2と第2の電極P2間には何も挿入されていないので、第1、第2の出力端子X1,X2間に出力される電圧がそのまま、第1、第2の電極P1,P2間に印加される。
【0021】
Q1〜Q4は第1〜第4の半導体素子で例えばパワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBTで構成される。D1〜D4は逆流防止用の第1〜第4のダイオードである。第1の半導体素子Q1と第1のダイオードD1は直列に接続され、第1の直流電源E1から負荷側に電流を供給するための第1の半導体スイッチ回路SS1を構成し、第1、第2の出力端子X1、X2間、すなわち、負荷Lpの第1、第2の電極P1、P2間に正極性のパルスを供給する。第2の半導体素子Q2と第2のダイオードD2は直列に接続され、負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2を構成し、負荷側の正電圧エネルギーを第1の直流電源E1に回収する。第1の半導体スイッチ回路SS1と第2の半導体スイッチ回路SS2は並列接続されて、第1の直流電源E1と負荷Lp間に流れる電流の方向を制御する第1の双方向スイッチ回路SW1を構成する。第3の半導体素子Q3と第3のダイオードD3は直列に接続され、第2の直流電源E2から負荷側に電流を供給するための第3の半導体スイッチ回路SS3を構成し、第1、第2の出力端子X1、X2間、すなわち、負荷Lpの第1、第2の電極P1、P2間に負極性のパルスを供給する。第4の半導体素子Q4と第4のダイオードD4は直列に接続され、負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS4を構成し、負荷側の負電圧エネルギーを第2の直流電源E2に回収する。第3の半導体スイッチ回路SS3と第4の半導体スイッチ回路SS4は並列接続されて、第2の直流電源E2と負荷Lp間に流れる電流の方向を制御する第2の双方向スイッチ回路SW2を構成する。
【0022】
第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4のそれぞれの制御電極(ゲート電極、ベース電極等)は信号線g1〜g4を通してスイッチ制御手段CTLに接続される。信号線g1〜g4は、例えば図示しないパルストランス等により互いに絶縁されてスイッチ制御手段CTLに接続される。スイッチ制御手段CTLは第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4をパルス信号によりオンオフ制御して、第1の双方向スイッチ回路SW1及び第2の双方向スイッチ回路SW2を流れる電流の方向とタイミングを制御する。第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とが接続され、その接続点Xcと第1の出力端子X1間に第1の誘導性回路素子としての第1のインダクタL1が接続され、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に第1の容量性回路素子としての第1のコンデンサC1が接続され、また、第2の出力端子X2は基準電圧線V0に接続される。
【0023】
図2に第1の実施の形態における第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す。半導体素子Q1〜Q4を駆動するパルスはスイッチ制御手段CTLにより生成され、信号線g1〜g4から供給される。図1のパルス電圧供給回路PS1の動作を図2の動作波形に基づいて説明する。図2の(a)〜(d)にそれぞれ、第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4のオンオフタイミングの例を示す。また、図2の(e),(f)に第1、第2の双方向スイッチ回路SW1,SW2を流れる電流、すなわち半導体素子Q1〜Q4それぞれに流れる電流IQ1〜IQ4の波形を示す。さらに、図2の(g)に第1、第2の出力端子X1,X2間に供給される出力電圧の波形の例を示す。
【0024】
まず、第1の半導体素子Q1を時間幅tdの間オンすると、第1の半導体素子Q1、第1のダイオードD1及び第1のインダクタL1を通して第1の直流電源E1側から負荷Lp側に電流が流れる。この時、L1とC1+Csの直列共振作用が発生して、第1、第2の出力端子X1,X2間には正極性のパルス電圧+Vpとして第1の直流電源E1の略2倍の電圧が発生する。例えば、L1=10μH,C1=2000pF,Cs=500pF,E1=750Vの場合、出力波形最大値は+Vp=1500Vとなる。更に詳しく述べると、L1=10μH,C1+Cs=2500pFの場合その直列共振周波数は約1MHzとなり、その半周期0.5μsで第1のコンデンサC1にかかる電圧は最大値1500Vに達する。この時、第1の半導体素子Q1には図2の(e)に示す電流が第1の直流電源E1から直列共振電流IQ1として流れ出す。電流IQ1の時間幅は0.5μsであり、従ってtd=0.5μs以上となる。次に、第1の半導体素子Q1を所定の時間td後にオフにし、第1の半導体素子Q1をオンにしてから所定の時間Tp経過後に第2の半導体素子Q2を時間幅td(Tp≧td)の間オンにすると、第2の半導体素子Q2、第2のダイオードD2を通して負荷側から第1の直流電源E1側に図2の(e)に示す電流IQ2が流れ、負荷側の第1のコンデンサC1および浮遊容量Csに充電された正電荷が第1のインダクタL1を通して第1の直流電源E1に回収される。この時電流IQ2の時間幅も0.5μsとなり、第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csの電荷は第1のインダクタL1との直列共振作用により理想的には全て第1の直流電源E1に回収されるので、電力損失は発生しない。
【0025】
第1の半導体素子Q1のオンから時間T/2経過後に、第3の半導体素子Q3を時間幅tdオンすると、第3の半導体素子Q3、第3のダイオードD3及び第1のインダクタL1を通して第2の直流電源E2側から負荷Lp側に電流が流れ、第1、第2の出力端子X1,X2間に電圧−Vpの負極性のパルスが発生する。この時、L1とC1+Csの直列共振作用が発生して、第1、第2の出力端子X1,X2間には直流電源E2の略2倍の電圧が発生する。この時、第3の半導体素子Q3には図2の(f)に示す電流が第2の直流電源E2から直列共振電流IQ3として流れ出す。電流IQ3の時間幅は0.5μsであり、従ってtd=0.5μs以上となる。次に、第3の半導体素子Q3を所定の時間td後にオフにし、第3の半導体素子Q3をオンにしてから所定の時間Tp経過後に第4の半導体素子Q4を時間幅td(Tp≧td)の間オンにすると、第4の半導体素子Q4、第4のダイオードD4を通して負荷側から第2の直流電源E2側に図2の(f)に示す電流IQ4が流れ、負荷側の第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csに充電された負電荷が第1のインダクタL1を通して第2の直流電源E2に回収される。この時電流IQ4の時間幅も0.5μsとなり、第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csの電荷は第1のインダクタL1との直列共振作用により理想的には全て第2の直流電源E2に回収されるので、電力損失は発生しない。
【0026】
第3の半導体素子Q3のオンから時間T/2経過後に、第1の半導体素子Q1を時間幅tdオンする。以下、図2の(a)〜(d)に示すパルス駆動が繰り返される。ここにおいて、第1の半導体素子Q1をオンにしてから第3の半導体素子Q3をオンにするまでのサイクルと第3の半導体素子Q3をオンにしてから第1の半導体素子Q1をオンにするまでのサイクルとはそれぞれT/2である。
【0027】
第1、第2の出力端子X1,X2間に出力されるパルスの特性として、例えば、パルス電圧±Vp=800〜1500V、パルス周期T=25〜100μs、パルス幅Tp=0.5μs〜10μsが供給される。このサイクルを周期Tで繰り返すことにより、キセノン放電管Lpにはパルス電圧が周期的に供給される。ここでTpをtdに等しくとれば、Tp=0.5μsとなる。なお、典型的には第1、第2の直流電源E1,E2の起電力を等しくし、負荷Lpに対し正負のパルス電圧を対称的に供給するが、これらの起電力を異ならせ、或は第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4に供給するパルス信号のバランスを変えることにより、負荷Lpに供給するパルス電圧を非対称的にすることも可能である。
【0028】
これにより、キセノン放電管Lpは安定した放電を持続できる。また、浮遊容量Csを充放電するエネルギーは理想的には全て電源側に回収されるので、電力効率が格段に改善される。また、回路内部に損失を発生する抵抗器が無くなるので、多数本の放電管を使用する場合にも熱処理の問題が生じない。また、大型の抵抗器が不要になるので、装置全体の小型化が可能となる。
【0029】
[第2の実施の形態]
図3に第2の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS2の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子として第1のインダクタL1が第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2との接続点Xcの負荷側に接続される例を説明したが、本実施の形態では、接続点Xcと第1の双方向スイッチ回路SW1との間に第2の誘導性回路素子としての第2のインダクタL2が接続され、接続点Xcと第2の双方向スイッチ回路SW2との間に第3の誘導性回路素子としての第3のインダクタL3が接続される例について説明する。また、第1の容量性回路素子としての第1のコンデンサC1に代えて第2の容量性回路素子としての第2のコンデンサC2が用いられるが、実質的には第1のコンデンサC1と同様である。第1の実施の形態では第1、第2の直流電源E1,E2から第1の容量性回路素子C1及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第1の容量性回路素子C1及び浮遊容量Csから第1、第2の直流電源E1,E2への電荷の回収に第1のインダクタL1が寄与したが、本実施の形態では、第1の直流電源E1から第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csから第1の直流電源E1への電荷の回収に第2のインダクタL2が寄与し、第2の直流電源E2から第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csから第2の直流電源E2への電荷の回収に第3のインダクタL3が寄与する。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。
【0030】
[第3の実施の形態]
図4に第3の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS3の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS1は負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有するが、第3の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS3が負荷Lpと一体的に構成され、第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有せず、直接負荷Lpの第1の電極P1、第2の電極P2間に電力を供給する。この構成では、接続点Xcと負荷Lpの第1の電極P1間に第4の誘導性回路素子としての第4のインダクタL4が接続され、負荷Lpの第1の電極P1と第2の電極P2間に第3の容量性回路素子としての第3のコンデンサC3が接続され、また、負荷Lpの第2の電極P2は基準電圧線V0に接続される。かかる構成は実質的には第1の実施の形態と同様といえ、同様の効果を奏する。
【0031】
[第4の実施の形態]
図5に第4の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS4の回路構成例を示す。第2の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS2は負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有するが、第4の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS4が負荷Lpと一体的に構成され、第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有せず、直接負荷Lpの第1の電極P1、第2の電極P2間に電力を供給する。この構成では、負荷Lpの第1の電極P1と第1の双方向スイッチ回路SW1との間に第5の誘導性回路素子としての第5のインダクタL5が接続され、負荷Lpの第1の電極P1と第2の双方向スイッチ回路SW2との間に第6の誘導性回路素子としての第6のインダクタL6が接続され、また、負荷Lpの第1の電極P1と第2の電極P2との間に第4の容量性回路素子としての第4のコンデンサC4が接続される。かかる構成は実質的には第2の実施の形態と同様といえ、同様の効果を奏する。
【0032】
[第5の実施の形態]
図6に第5の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS5の回路構成例を示す。本実施の形態では、第2の実施の形態の構成に、さらに、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2との接続点Xcの負荷側に第7の誘導性回路素子L7を接続した構成である。この場合には、第2の実施の形態における、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3のインダクタンスをそれぞれ、L2+L7,L3+L7とみなし、第7の誘導性回路素子L7の出力側端子を接続点Xcとみなした場合と等価であり第2の実施の形態と同様の効果を得られる。
【0033】
[第6の実施の形態]
図7に第6の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS6の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子L1及び第1の容量性回路素子C1がパルス電圧供給回路PS1に一体的に接続されている例を説明したが、本実施の形態では第1の誘導性回路素子L1及び第1の容量性回路素子C1がパルス電圧供給回路本体PS30から切り離し可能な例を説明する。図7において、Y1,Y2は第1、第2の接続端子(説明の便宜のため接続される2つの回路について共通の符号で示す)であり、それぞれ接続点Xc、基準電位線V0に接続されている。したがって、第1、第2の接続端子Y1,Y2はパルス電圧供給回路本体PS30の出力端子として機能する。第1の誘導性回路素子L1としての第1のインダクタL1を第1の出力端子X1と第1の接続端子Y1間に有し、第1の容量性回路素子C1としての第1のコンデンサC1を第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に有し、第2の出力端子X2と第2の接続端子Y2とが接続されたインタフェース回路PS31はパルス電圧供給回路本体PS30(パルス電圧供給回路PS6からインタフェース回路PS31を除いた回路)から第1、第2の接続端子Y1,Y2で切り離し可能である。これにより、本実施の形態では、負荷Lpに応じて種々のインタフェース回路PS31から適切なインダクタンスとキャパシタンスの組を選択して使用できる。
【0034】
その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。なお、本構成におけるインタフェース回路PS31の部分を負荷側に有する場合にも、実質的には本実施の形態と変りがないので、同様の効果を得られる。また、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とを個別に切り離し、これら切り離された回路素子を交換して使用したり、個別に負荷に取り付けて使用しても、同様の効果を得られる。なお、第2の実施の形態についてもかかるインタフェース回路を取りつけ可能である。
【0035】
[第7の実施の形態]
図8に第7の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS7の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子L1は個別の回路素子として接続されている例を説明したが、本実施の形態では第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsを含む構成の例を示す。すなわち、第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスは第1の実施の形態における第1の誘導性回路素子L1のインダクタンスと配線の有するインダクタンスLsの和で表され、L4=L1+Lsになる。この場合、配線の有するインダクタンスLsは第1の出力端子X1に対してパルス電圧供給回路PS7側にあっても良く、第1の出力端子X1と負荷Lpの第1の電極P1間にあっても良く、第2の出力端子X2と負荷Lpの第2の電極P2間にあっても良い。第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpまでの回路構成は、実質的に図1に示す第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第4の実施形態における第5、第6の誘導性回路素子L5、L6のインダクタンスが第2の実施形態における、第2、第3の誘導性回路素子L2、L3のインダクタンスと配線の有するインダクタンスLsとの和で表されるような、配線の有するインダクタンスLsを含む場合も、第2の実施形態と実質的に同様である。この場合も、配線の有するインダクタンスLsは第1の出力端子X1に対してパルス電圧供給回路PS4側にあっても良く、第1の出力端子X1と負荷Lpの第1の電極P1間にあっても良く、第2の出力端子X2と負荷Lpの第2の電極P2間にあっても良い。
【0036】
[第8の実施の形態]
図9に第8の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS8の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の容量性回路素子C1は個別の回路素子として接続されている例を説明したが、本実施の形態では容量性回路素子C3のキャパシタンスが、負荷Lpに並列に存在する浮遊容量のキャパシタンスを含む構成の例を示す。図9では、第1の実施の形態における第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスの全部が浮遊容量Csのキャパシタンスで置換されて第3の容量性回路素子C3(第1、第2の電極P1,P2間に接続される)を構成している。この場合でも、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpの第1の電極P1までの回路構成は、実質的に図1の第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスが第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスと浮遊容量Csのキャパシタンスの和C1+Csで表される場合も実質的に第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子のキャパシタンスC3が第1の実施形態における第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスと負荷Lpに並列に存在する浮遊容量Csのキャパシタンスとの和で表されるような、浮遊容量Csを含む場合も、第1の実施形態と実質的に同様である。また、第3の容量性回路素子のキャパシタンスC3が負荷Lpの浮遊容量Csの代わりに、負荷Lpに並列に存在するキャパシタンスを含む場合も同様であり、この場合は、負荷Lpに並列に存在するキャパシタンスは第1の出力端子X1及び第2の出力端子X2に対してパルス電圧供給回路PS8側にあっても良く、第1の出力端子X1及び第2の出力端子X2に対して負荷Lp側にあっても良い。
【0037】
[第9の実施の形態]
図10に第9の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS9の回路構成例を示す。本実施の形態では、第3の実施の形態における第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsのみであり、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスが負荷Lpに並列に存在する浮遊容量のキャパシタンスCsのみで構成される例を示す。第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが全て配線インダクタLsのインダクタンスからなる場合も第3の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスの全部が浮遊容量Csのみのキャパシタンスの場合も第3の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。したがって、本実施の形態の場合も、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpの第1の電極P1までの回路構成は、実質的に図1の第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0038】
[第10の実施の形態]
図11に第10の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS10の回路構成例を示す。第1乃至第9の実施の形態では、半導体素子Q1〜Q4、ダイオードD1〜D4、誘導性回路素子L1〜L6、負荷Lp及び回路配線には損失が無い理想的なものとして説明したが、実際の回路では半導体素子Q1〜Q4、ダイオードD1〜D4、誘導性回路素子L1〜L6、負荷Lp、回路の配線には必ず損失が存在するので、本実施の形態にはこれらの損失がある場合の例を説明する。半導体素子および誘導性回路素子の損失抵抗をR1で代表して表し、負荷Lpの損失抵抗をR2で表した。容量性回路素子の損失は通常非常に小さく、回路動作に影響を与えないので無視できる。その他の構成は図1と同様である。
【0039】
図12に誘導性回路素子に損失抵抗がある場合の半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す。まず、回路に直列に存在する損失抵抗R1の効果について説明する。この場合、損失抵抗R2は十分大きく無視できるものと仮定する。回路に直列に抵抗R1が存在する場合の半導体素子を駆動するパルスを図12の(a)〜(d)に、出力端子X1、X2間の出力電圧波形を図12の(e)〜(f)に示す。図12の(a)〜(d)は図2の(a)〜(d)と同じであるが、図12の(e)〜(f)は図2の(g)とは少し異なる。先ず、第1の半導体素子Q1がオンした時、正極性のパルス電圧+Vpは回路に損失が無い理想状態の場合は、第1の電源の電源電圧をE1とすると、2×E1まで上昇するが、抵抗R1の損失により図12の(e)に示すように2×E1よりΔE1だけ低くなる。正極性のパルス電圧+Vpが2×E1より低いと、次に第2の半導体素子Q2がオンしたとき正極性のパルス電圧は0まで放電されないで残留電圧ΔE2が残る。この電圧ΔE2は次に第3の半導体素子Q3がオンする時、第2の電源の電源電圧E2に加算される極性となるので、負極性のパルス電圧−Vpの絶対値は2×E2近くまで上昇する。損失の値によっては2×E2を越える値まで上昇する事もある。第4の半導体素子Q4がオンすると負極性のパルス電圧−Vpは0まで放電されないで、ΔE3の残留電圧が残る。この残留電圧ΔE3は第1の半導体素子Q1が再びオンする時、電源電圧E1に加算される極性となり、正極性のパルス電圧+Vpは2×E1近くまで上昇する。損失の値によっては2×E1を越える値まで上昇する事もある。このように半導体素子Q2、Q4がオンして+Vpあるいは−Vpを放電するとき残る残留電圧ΔE2及びΔE3は次の半導体素子Q3、Q1のオンの時、反対極性のVpの電圧(絶対値)を上昇させる成分となり、直列抵抗成分による回路損失を補償する作用を生じ、パルスの繰り返しにより、最終的にはパルス出力電圧の高さは、ほぼ損失抵抗R1がないときのパルス電圧+Vp、−Vpに漸近し、最終的な出力パルス波形は図12の(f)に示すような波形となる。ここで+Vp≒2E1、−Vp≒2E2となる。すなわち、回路に直列損失があっても出力パルス電圧波形は、ほぼ2Eまたは−2Eとなる。
【0040】
図13に容量性回路素子に損失抵抗がある場合の出力電圧波形の例を示す。すなわち、回路に並列に存在する損失抵抗R2の効果について説明する。この場合、出力波形にサグδVを生じる効果として説明される。負荷Lpに並列の容量性素子C1および浮遊容量Csが正極性のパルス電圧+Vpまたは負極性のパルス電圧−Vpに充電されると、損失抵抗R2に電流が流れ、容量性素子(C1+Cs)から放電が始まる。パルス幅Tpの間に出力パルス波形は+Vpまたは−Vpから絶対値でδV低下する。δVは通常損失抵抗R2が十分大きければ、ごく僅かでありキセノン放電管の動作に影響を与えない。以上より、第10の実施の形態においても第1の実施の形態と殆ど同様の効果を奏するといえる。
【0041】
[第11の実施の形態]
第11の実施の形態では、交流電源から第1及び第2の直流電源を作成する例について説明する。
【0042】
図14に交流電源EACから第1、第2の直流電源E1,E2に変換する交流−直流変換回路EXの例を示す。EACは交流電源、DBはダイオードブリッジからなる整流回路で交流電源EACからの電流の流れを一方向に整流する。C5は第5のコンデンサで整流された電圧を平滑化する。第5のコンデンサC5以降トランスTNを経て接続端子Y3〜Y5に至る構成は一般的なフライバック形のDC−DC変換器の一例である。Q9は第9の半導体素子であり、オン期間のみにトランスTNに電流を供給してエネルギーを蓄積し、オフ期間にトランスTNの2次巻線より蓄えたエネルギーを放出し2次側に出力電圧を得る。トランスTNは、2次側が巻数が等しい上下2段のトランスで、上下2段の等しい電圧を出力する。第5のダイオードD5と第7のコンデンサC7の組、第6のダイオードD6と第8のコンデンサC8の組はそれぞれ電圧を平滑化する。これにより、第3、第4の接続端子Y3,Y4間に第1の直流電圧が、第4、第5の接続端子Y4,Y5間に第2の直流電圧が供給され、第1の直流電源E1と第2の直流電源E2が直列接続された場合と等価になる。この時Y3,Y4間の電圧を抵抗R5,R6により検出し、抵抗R5,R6の中間の電位を基準電圧VREFと比較し誤差信号を演算増幅器OPによって増幅し、ホトカプラPCを経て1次側の第10の半導体素子(トランジスタ)Q10をコントロールして、Y3,Y4間の電圧を一定に保つ。
【0043】
フライバック形のDC−DC変換器の特性として、2次側出力の巻線の巻数が等しいとき出力電圧はほぼ等しくなる。すなわち接続端子Y3,Y4間の電圧とY4,Y5の電圧はほぼ等しく、その結果第1の直流電源E1と第2の直流電源E2はほぼ等しくなる。
また、VREFを可変にすることによって接続端子Y3,Y4間、Y4,Y5間の出力電圧を可変にすることが可能となり、また、パルス出力電圧の出力振幅を可変にすることもできる。
【0044】
第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2として交流電源EACから当該交流−直流変換回路EXで変換した直流電力を使用でき、これにより、商用の交流電源を放電管用のパルス電圧供給回路に利用でき、使用の機会が大幅に向上する。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
【0046】
例えば、以上の実施の形態では、放電管がキセノン放電管の場合を説明したが、本発明をその他の放電管にも適用可能であり、放電管以外にも正負のパルスを交互に必要とする回路や装置に使用できる。また、第1の実施の形態においては、パルス電圧供給回路が一体的に構成される例を説明したが、スイッチ制御手段や第1、第2の直流電源を切り離して構成しても良い。また、第1、第2の双方向スイッチ回路は、以上の実施の形態で説明した回路に限定されず、例えば双安定スイッチ回路を用いて構成しても良い。また、以上の実施の形態では、第1〜第4の半導体素子を駆動するパルスを、或る半導体素子についてオフした後時間を空けて次の半導体素子をオンする態様について説明したが、或る半導体素子についてオフにすると同時に、次の半導体素子をオンにする駆動方式としても良い。さらに半導体素子(ダイオードを含む)、誘導性回路素子、容量性回路素子は適当な性能のものを選択可能である。また、交流−直流変換回路は第11の実施の形態で説明した例に限定されず、第1、第2の直流電圧を別の交流電源から変換しても良く、三相交流から生成しても良い。また、DC−DC変換器はフライバック形に限らず例えばフォーワード形の変換器で構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、液晶パネルのバックライト用放電管の電源として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図4】第3の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図5】第4の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図6】第5の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図7】第6の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図8】第7の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図9】第8の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図10】第9の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図11】第10の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図12】誘導性回路素子に損失抵抗がある場合の半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す図である。
【図13】容量性回路素子に損失抵抗がある場合の出力電圧波形の例を示す図である。
【図14】第11の実施の形態における交流−直流変換回路の例を示す図である。
【図15】放電管を放電させるためのパルス電圧の例を示す図である。
【図16】パルス電圧供給回路の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
C1〜C8 第1〜第8のコンデンサ
Cs 浮遊容量
CTL スイッチ制御手段
D1〜D6 第1〜第6のダイオード
DB 整流回路
E1,E2 第1、第2の直流電源
EAC 交流電源
EX 交流−直流変換回路
g1〜g8 信号線
L1〜L7 第1〜第7のインダクタ
Lp 負荷(キセノン放電管)
Ls 配線インダクタ
OP 演算増幅器
P1,P2 第1、第2の電極
PS1〜PS10 パルス電圧供給回路
PS30 パルス電圧供給回路本体
PS31 インタフェース回路
PC ホトカプラ
Q1〜Q10 第1〜第10の半導体素子
R1〜R8 抵抗
SS1〜SS4 第1〜第4の半導体スイッチ回路
SW1,SW2 第1、第2の双方向スイッチ回路
T パルス周期
Tp パルス幅
TN トランス
V0 基準電位線
Vp パルス電圧
VREF 基準電圧
X1,X2 第1,第2の出力端子
Xc 接続点
Y1〜Y5 第1〜第5の接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明はパルス電圧供給回路に関する。詳しくは、主として液晶のバックライトとして用いる放電管を放電させるためのパルス電圧供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルのバックライト光源としては、冷陰極放電管が使用されて来た。しかし、冷陰極放電管は内部に水銀蒸気を封入しており、環境負荷上好ましくない。これに対してキセノン放電管は内部に不活性ガスであるキセノンガスを封入しており、環境に悪影響を及ぼすことはない。ところで、放電管の放電には、交流電圧が供給されるが、放電の安定化、均一化のために正負パルス電圧が交互に供給される例もある(特許文献1参照)。
【0003】
図15にパルス電圧を、図16にパルス電圧を供給するための供給回路PS11の例を示す。図15において、パルス電圧の特性として、例えば、パルス電圧±Vp=800〜1500V、パルス周期T=25〜100μs、パルス幅Tp=0.5〜10μsが適用される。図16において、Lpは負荷であるキセノン放電管、X1,X2はパルス電圧供給回路PS11から負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子、第2の出力端子、E1,E2は負荷Lpに電力を供給するための第1の直流電源、第2の直流電源で、基準電位線V0を挟んで直列に接続されており、E1=略800〜1500V、E2=略800〜1500Vで可変である。Csは負荷Lpに並列に存在する浮遊容量で、通常100〜500pFである。Q5〜Q8は半導体素子で例えばパワーMOSFET(金属−酸化物−半導体型電界効果トランジスタ)、バイポーラトランジスタ又はIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)で構成される。Q5は第1の直流電源E1から負荷側に正極性のパルスを供給するためのスイッチングを行う第5の半導体素子、Q6は第2の直流電源E2から負荷側に負極性のパルスを供給するためのスイッチングを行う第6の半導体素子、Q7及びQ8は浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電するためのスイッチングを行う第7、第8の半導体素子である。第7、第8の半導体素子Q7,Q8は、その一方がオンすると、他方のダイオードと協働して電荷を放電する。R8は浮遊容量Cs及び半導体素子Q5〜Q8にピーク電流が流れるのを防止する抵抗器である。
【0004】
第5〜第8の半導体素子Q5〜Q8は信号線g5〜g8を通してスイッチ制御手段CTLに接続され、スイッチ制御手段CTLは半導体素子Q5〜Q8をパルス信号によりオンオフ制御して出力端子X1,X2にパルス電圧を出力する。半導体素子Q5を時間幅Tpオンすると、放電管Lpに電圧+Vp,幅Tpの正極性のパルスが印加され、次に半導体素子Q7を時間幅te(=T/2−Tp)オンして浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電し、次に半導体素子Q6を時間幅Tpオンすると、放電管Lpに電圧−Vp,幅Tpの負極性のパルスが印加され、次に半導体素子Q8を時間幅te(=T/2−Tp)オンして浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電する。このサイクルを周期Tで繰り返すことにより、放電管Lpには図15に示すようなパルス電圧が供給され、放電管Lpは安定した放電を持続できる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−115483号公報(段落0009、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図16に示すようなパルス電圧供給回路では、放電管に存在する浮遊容量Csを充放電するためのエネルギーが回路損失となり、電力効率が低くなる。例えば、浮遊容量Csを500pF、放電管の駆動電圧±Vpを1500V、駆動パルス周波数を20kHzとすると、浮遊容量Csを充放電する電力は500pF×(1500V)2×20kHz=22.5Wとなり、この電力が抵抗R8で全て消費されてしまう。またこのような大きな電力を発生する抵抗器は大型になる。また、液晶パネルのバックライト光源全体としては、多数本の放電管が必要であり、32インチ程度の液晶パネルでは、例えば、20本程度の放電管が使用される。この場合に全体の電力損失は22.5W×20=450Wとなり、非常に大きな電力を消費することとなり、この熱処理が困難になる。
【0007】
本発明は、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のパルス電圧供給回路PS1は、例えば図1に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、前記第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcの負荷側に接続された第1の誘導性回路素子L1と、第1の誘導性回路素子L1の負荷側に接続された第1の出力端子X1と基準電位線V0に接続された第2の出力端子X2との間に接続された第1の容量性回路素子C1を備え、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。
【0009】
ここにおいて、誘導性回路素子とは実質的に誘導性の回路素子をいい、例えばインダクタに非常に小さな抵抗が直列に又は非常に大きな抵抗が並列に接続されていても良い。容量性回路素子とは、実質的に容量性の回路素子をいい、例えばキャパシタに非常に小さな抵抗が直列に又は非常に大きな抵抗が並列に接続されていても良い。また、基準電位線V0と第2の出力端子X2間に基準電位線V0の電位に実質的に影響を与えない小さな抵抗又は小さなインダクタンスが挿入されていても良い。また、パルス電圧供給回路は必ずしも一体的に構成されなくても良く、例えば、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とからなる回路部分を切り離し可能に構成し、切り離された回路部分を交換して使用しても良く、別途負荷に取り付けて使用しても良い。また、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とを個別に切り離し可能に構成し、これら切り離された回路素子を交換して使用しても良く、個別に負荷に取り付けて使用しても良い。このように構成すると、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。
【0010】
また、請求項2に記載のパルス電圧供給回路PS2は、例えば図3に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcと第1の双方向スイッチ回路SW1との間に接続された第2の誘導性回路素子L2及び接続点Xcと第2の双方向スイッチ回路SW2との間に接続された第3の誘導性回路素子L3と、接続点Xcに接続された第1の出力端子X1と基準電位線V0に接続された第2の出力端子X2との間に接続された第2の容量性回路素子C2とを備え、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に供給する。
【0011】
ここにおいて、第2の誘導性回路素子L2と第3の誘導性回路素子L3との接続点Xcから負荷側に第7の誘導性回路素子L7(図6参照)があっても良い。この場合には、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3のインダクタンスをそれぞれ、L2+L7,L3+L7とみなし、第7の誘導性回路素子L7の出力側端子を接続点Xcとみなした場合の、本実施の形態の構成と等価となるので、このようにみなし、本請求項の範囲に含まれるものとする。このように構成すると、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。
【0012】
また、請求項3に記載のパルス電圧供給回路PS3は、例えば図4に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源E2側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とを接続する接続点Xcと負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第4の誘導性回路素子L4と、負荷Lpの第1の電極P1と基準電位線V0に接続された負荷Lpの第2の電極P2との間に接続された第3の容量性回路素子C3とを備え、負荷Lpの第1の電極P1と負荷Lpの第2の電極P2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。なお、図1に示すような、接続点Xcと第1の電極P1の間に第1の出力端子X1があり、基準電位線V0と第2の電極P2の間に第2の出力端子X2がある場合にも、本請求項を適用可能である。このように構成すると、請求項1と実質的に同様の回路構成を実現できる。
【0013】
また、請求項4に記載のパルス電圧供給回路PS4は、例えば図5に示すように、基準電位線V0を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源E1及び負極側の第2の直流電源E2と、第1の直流電源E1の正極側に接続され、第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路SS1と負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路SW1と、第2の直流電源E2の負極側に接続され、第2の直流電源側から負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路SS3と負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路SS4とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路SW2と、第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第5の誘導性回路素子L5と、第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側と負荷Lpの第1の電極P1との間に接続された第6の誘導性回路素子L6と、負荷Lpの第1の電極P1と基準電位線V0に接続された負荷Lpの第2の電極P2との間に接続された第4の容量性回路素子C4とを備え、負荷Lpの第1の電極P1と負荷Lpの第2の電極P2間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する。なお、図2に示すような、接続点Xcと第1の電極P1の間に第1の出力端子X1があり、基準電位線V0と第2の電極P2の間に第2の出力端子X2がある場合にも、本請求項を適用可能である。このように構成すると、請求項2と実質的に同様の回路構成を実現できる。
【0014】
また、請求項5に記載のパルス電圧供給回路PS7は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、例えば図8に示すように、第1の誘導性回路素子L1、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3、第4の誘導性回路素子L4、第5の誘導性回路素子L5又は第6の誘導性回路素子L6のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsを含む。
【0015】
また、請求項6に記載のパルス電圧供給回路PS8は、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、例えば図9に示すように、第3の容量性回路素子C3又は第4の容量性回路素子C4のキャパシタンスが負荷Lpの浮遊容量のキャパシタンスCsを含む。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、第1の半導体スイッチ回路SS1乃至第4の半導体スイッチ回路SS4は、パワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBT(Q1〜Q4)と逆流防止用のダイオードD1〜D4とを直列接続して構成される。このように構成すると、小型で精度の良い各半導体スイッチ回路を構成できる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路において、第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2は、商用交流電源から整流された直流電力よりDC−DC変換されて供給された電力を供給する(図14参照)。ここにおいて、DC−DC変換とは、直流電圧レベルの変換をいうが、同じレベルに変換される場合も含むものとする。このように構成すると商用交流を電源として使用でき、利用の機会が増える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液晶パネルのバックライト光源に使用される放電管等に、電力効率が良く、熱処理の問題がなく、小型化が可能なパルス電圧供給回路を提供できる。なお、キセノン放電管は環境に悪影響を及ぼすことはないので、負荷がキセノン放電管の場合に本発明を用いると好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS1の回路構成例を示す。図16との大きな差異は、抵抗器R8が無くなり、インダクタL1とコンデンサC1が挿入されている点である。図1において、Lpは負荷であるキセノン放電管、X1,X2はパルス電圧供給回路PS1から負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子、第2の出力端子、P1,P2は負荷Lpの第1の電極、第2の電極、E1,E2は負荷Lpに電力を供給するための第1の直流電源、第2の直流電源で、基準電位線V0を挟んで直列に接続されており、略500〜1000Vで可変である。第1の直流電源E1は正極側に、第2の直流電源E2は負極側に配置される。Csは負荷Lpに並列に存在する浮遊容量で、通常100〜500pFである。本実施の形態では、第1の出力端子X1と第1の電極P1間、第2の出力端子X2と第2の電極P2間には何も挿入されていないので、第1、第2の出力端子X1,X2間に出力される電圧がそのまま、第1、第2の電極P1,P2間に印加される。
【0021】
Q1〜Q4は第1〜第4の半導体素子で例えばパワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBTで構成される。D1〜D4は逆流防止用の第1〜第4のダイオードである。第1の半導体素子Q1と第1のダイオードD1は直列に接続され、第1の直流電源E1から負荷側に電流を供給するための第1の半導体スイッチ回路SS1を構成し、第1、第2の出力端子X1、X2間、すなわち、負荷Lpの第1、第2の電極P1、P2間に正極性のパルスを供給する。第2の半導体素子Q2と第2のダイオードD2は直列に接続され、負荷側から第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS2を構成し、負荷側の正電圧エネルギーを第1の直流電源E1に回収する。第1の半導体スイッチ回路SS1と第2の半導体スイッチ回路SS2は並列接続されて、第1の直流電源E1と負荷Lp間に流れる電流の方向を制御する第1の双方向スイッチ回路SW1を構成する。第3の半導体素子Q3と第3のダイオードD3は直列に接続され、第2の直流電源E2から負荷側に電流を供給するための第3の半導体スイッチ回路SS3を構成し、第1、第2の出力端子X1、X2間、すなわち、負荷Lpの第1、第2の電極P1、P2間に負極性のパルスを供給する。第4の半導体素子Q4と第4のダイオードD4は直列に接続され、負荷側から第2の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路SS4を構成し、負荷側の負電圧エネルギーを第2の直流電源E2に回収する。第3の半導体スイッチ回路SS3と第4の半導体スイッチ回路SS4は並列接続されて、第2の直流電源E2と負荷Lp間に流れる電流の方向を制御する第2の双方向スイッチ回路SW2を構成する。
【0022】
第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4のそれぞれの制御電極(ゲート電極、ベース電極等)は信号線g1〜g4を通してスイッチ制御手段CTLに接続される。信号線g1〜g4は、例えば図示しないパルストランス等により互いに絶縁されてスイッチ制御手段CTLに接続される。スイッチ制御手段CTLは第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4をパルス信号によりオンオフ制御して、第1の双方向スイッチ回路SW1及び第2の双方向スイッチ回路SW2を流れる電流の方向とタイミングを制御する。第1の双方向スイッチ回路SW1の負荷側と第2の双方向スイッチ回路SW2の負荷側とが接続され、その接続点Xcと第1の出力端子X1間に第1の誘導性回路素子としての第1のインダクタL1が接続され、第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に第1の容量性回路素子としての第1のコンデンサC1が接続され、また、第2の出力端子X2は基準電圧線V0に接続される。
【0023】
図2に第1の実施の形態における第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す。半導体素子Q1〜Q4を駆動するパルスはスイッチ制御手段CTLにより生成され、信号線g1〜g4から供給される。図1のパルス電圧供給回路PS1の動作を図2の動作波形に基づいて説明する。図2の(a)〜(d)にそれぞれ、第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4のオンオフタイミングの例を示す。また、図2の(e),(f)に第1、第2の双方向スイッチ回路SW1,SW2を流れる電流、すなわち半導体素子Q1〜Q4それぞれに流れる電流IQ1〜IQ4の波形を示す。さらに、図2の(g)に第1、第2の出力端子X1,X2間に供給される出力電圧の波形の例を示す。
【0024】
まず、第1の半導体素子Q1を時間幅tdの間オンすると、第1の半導体素子Q1、第1のダイオードD1及び第1のインダクタL1を通して第1の直流電源E1側から負荷Lp側に電流が流れる。この時、L1とC1+Csの直列共振作用が発生して、第1、第2の出力端子X1,X2間には正極性のパルス電圧+Vpとして第1の直流電源E1の略2倍の電圧が発生する。例えば、L1=10μH,C1=2000pF,Cs=500pF,E1=750Vの場合、出力波形最大値は+Vp=1500Vとなる。更に詳しく述べると、L1=10μH,C1+Cs=2500pFの場合その直列共振周波数は約1MHzとなり、その半周期0.5μsで第1のコンデンサC1にかかる電圧は最大値1500Vに達する。この時、第1の半導体素子Q1には図2の(e)に示す電流が第1の直流電源E1から直列共振電流IQ1として流れ出す。電流IQ1の時間幅は0.5μsであり、従ってtd=0.5μs以上となる。次に、第1の半導体素子Q1を所定の時間td後にオフにし、第1の半導体素子Q1をオンにしてから所定の時間Tp経過後に第2の半導体素子Q2を時間幅td(Tp≧td)の間オンにすると、第2の半導体素子Q2、第2のダイオードD2を通して負荷側から第1の直流電源E1側に図2の(e)に示す電流IQ2が流れ、負荷側の第1のコンデンサC1および浮遊容量Csに充電された正電荷が第1のインダクタL1を通して第1の直流電源E1に回収される。この時電流IQ2の時間幅も0.5μsとなり、第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csの電荷は第1のインダクタL1との直列共振作用により理想的には全て第1の直流電源E1に回収されるので、電力損失は発生しない。
【0025】
第1の半導体素子Q1のオンから時間T/2経過後に、第3の半導体素子Q3を時間幅tdオンすると、第3の半導体素子Q3、第3のダイオードD3及び第1のインダクタL1を通して第2の直流電源E2側から負荷Lp側に電流が流れ、第1、第2の出力端子X1,X2間に電圧−Vpの負極性のパルスが発生する。この時、L1とC1+Csの直列共振作用が発生して、第1、第2の出力端子X1,X2間には直流電源E2の略2倍の電圧が発生する。この時、第3の半導体素子Q3には図2の(f)に示す電流が第2の直流電源E2から直列共振電流IQ3として流れ出す。電流IQ3の時間幅は0.5μsであり、従ってtd=0.5μs以上となる。次に、第3の半導体素子Q3を所定の時間td後にオフにし、第3の半導体素子Q3をオンにしてから所定の時間Tp経過後に第4の半導体素子Q4を時間幅td(Tp≧td)の間オンにすると、第4の半導体素子Q4、第4のダイオードD4を通して負荷側から第2の直流電源E2側に図2の(f)に示す電流IQ4が流れ、負荷側の第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csに充電された負電荷が第1のインダクタL1を通して第2の直流電源E2に回収される。この時電流IQ4の時間幅も0.5μsとなり、第1のコンデンサC1及び浮遊容量Csの電荷は第1のインダクタL1との直列共振作用により理想的には全て第2の直流電源E2に回収されるので、電力損失は発生しない。
【0026】
第3の半導体素子Q3のオンから時間T/2経過後に、第1の半導体素子Q1を時間幅tdオンする。以下、図2の(a)〜(d)に示すパルス駆動が繰り返される。ここにおいて、第1の半導体素子Q1をオンにしてから第3の半導体素子Q3をオンにするまでのサイクルと第3の半導体素子Q3をオンにしてから第1の半導体素子Q1をオンにするまでのサイクルとはそれぞれT/2である。
【0027】
第1、第2の出力端子X1,X2間に出力されるパルスの特性として、例えば、パルス電圧±Vp=800〜1500V、パルス周期T=25〜100μs、パルス幅Tp=0.5μs〜10μsが供給される。このサイクルを周期Tで繰り返すことにより、キセノン放電管Lpにはパルス電圧が周期的に供給される。ここでTpをtdに等しくとれば、Tp=0.5μsとなる。なお、典型的には第1、第2の直流電源E1,E2の起電力を等しくし、負荷Lpに対し正負のパルス電圧を対称的に供給するが、これらの起電力を異ならせ、或は第1〜第4の半導体素子Q1〜Q4に供給するパルス信号のバランスを変えることにより、負荷Lpに供給するパルス電圧を非対称的にすることも可能である。
【0028】
これにより、キセノン放電管Lpは安定した放電を持続できる。また、浮遊容量Csを充放電するエネルギーは理想的には全て電源側に回収されるので、電力効率が格段に改善される。また、回路内部に損失を発生する抵抗器が無くなるので、多数本の放電管を使用する場合にも熱処理の問題が生じない。また、大型の抵抗器が不要になるので、装置全体の小型化が可能となる。
【0029】
[第2の実施の形態]
図3に第2の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS2の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子として第1のインダクタL1が第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2との接続点Xcの負荷側に接続される例を説明したが、本実施の形態では、接続点Xcと第1の双方向スイッチ回路SW1との間に第2の誘導性回路素子としての第2のインダクタL2が接続され、接続点Xcと第2の双方向スイッチ回路SW2との間に第3の誘導性回路素子としての第3のインダクタL3が接続される例について説明する。また、第1の容量性回路素子としての第1のコンデンサC1に代えて第2の容量性回路素子としての第2のコンデンサC2が用いられるが、実質的には第1のコンデンサC1と同様である。第1の実施の形態では第1、第2の直流電源E1,E2から第1の容量性回路素子C1及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第1の容量性回路素子C1及び浮遊容量Csから第1、第2の直流電源E1,E2への電荷の回収に第1のインダクタL1が寄与したが、本実施の形態では、第1の直流電源E1から第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csから第1の直流電源E1への電荷の回収に第2のインダクタL2が寄与し、第2の直流電源E2から第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csへの電荷の集積及び第2の容量性回路素子C2及び浮遊容量Csから第2の直流電源E2への電荷の回収に第3のインダクタL3が寄与する。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。
【0030】
[第3の実施の形態]
図4に第3の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS3の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS1は負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有するが、第3の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS3が負荷Lpと一体的に構成され、第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有せず、直接負荷Lpの第1の電極P1、第2の電極P2間に電力を供給する。この構成では、接続点Xcと負荷Lpの第1の電極P1間に第4の誘導性回路素子としての第4のインダクタL4が接続され、負荷Lpの第1の電極P1と第2の電極P2間に第3の容量性回路素子としての第3のコンデンサC3が接続され、また、負荷Lpの第2の電極P2は基準電圧線V0に接続される。かかる構成は実質的には第1の実施の形態と同様といえ、同様の効果を奏する。
【0031】
[第4の実施の形態]
図5に第4の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS4の回路構成例を示す。第2の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS2は負荷Lpに電力を供給するための第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有するが、第4の実施の形態では、パルス電圧供給回路PS4が負荷Lpと一体的に構成され、第1の出力端子X1、第2の出力端子X2を有せず、直接負荷Lpの第1の電極P1、第2の電極P2間に電力を供給する。この構成では、負荷Lpの第1の電極P1と第1の双方向スイッチ回路SW1との間に第5の誘導性回路素子としての第5のインダクタL5が接続され、負荷Lpの第1の電極P1と第2の双方向スイッチ回路SW2との間に第6の誘導性回路素子としての第6のインダクタL6が接続され、また、負荷Lpの第1の電極P1と第2の電極P2との間に第4の容量性回路素子としての第4のコンデンサC4が接続される。かかる構成は実質的には第2の実施の形態と同様といえ、同様の効果を奏する。
【0032】
[第5の実施の形態]
図6に第5の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS5の回路構成例を示す。本実施の形態では、第2の実施の形態の構成に、さらに、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2との接続点Xcの負荷側に第7の誘導性回路素子L7を接続した構成である。この場合には、第2の実施の形態における、第2の誘導性回路素子L2、第3の誘導性回路素子L3のインダクタンスをそれぞれ、L2+L7,L3+L7とみなし、第7の誘導性回路素子L7の出力側端子を接続点Xcとみなした場合と等価であり第2の実施の形態と同様の効果を得られる。
【0033】
[第6の実施の形態]
図7に第6の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS6の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子L1及び第1の容量性回路素子C1がパルス電圧供給回路PS1に一体的に接続されている例を説明したが、本実施の形態では第1の誘導性回路素子L1及び第1の容量性回路素子C1がパルス電圧供給回路本体PS30から切り離し可能な例を説明する。図7において、Y1,Y2は第1、第2の接続端子(説明の便宜のため接続される2つの回路について共通の符号で示す)であり、それぞれ接続点Xc、基準電位線V0に接続されている。したがって、第1、第2の接続端子Y1,Y2はパルス電圧供給回路本体PS30の出力端子として機能する。第1の誘導性回路素子L1としての第1のインダクタL1を第1の出力端子X1と第1の接続端子Y1間に有し、第1の容量性回路素子C1としての第1のコンデンサC1を第1の出力端子X1と第2の出力端子X2間に有し、第2の出力端子X2と第2の接続端子Y2とが接続されたインタフェース回路PS31はパルス電圧供給回路本体PS30(パルス電圧供給回路PS6からインタフェース回路PS31を除いた回路)から第1、第2の接続端子Y1,Y2で切り離し可能である。これにより、本実施の形態では、負荷Lpに応じて種々のインタフェース回路PS31から適切なインダクタンスとキャパシタンスの組を選択して使用できる。
【0034】
その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。なお、本構成におけるインタフェース回路PS31の部分を負荷側に有する場合にも、実質的には本実施の形態と変りがないので、同様の効果を得られる。また、第1の誘導性回路素子L1と第1の容量性回路素子C1とを個別に切り離し、これら切り離された回路素子を交換して使用したり、個別に負荷に取り付けて使用しても、同様の効果を得られる。なお、第2の実施の形態についてもかかるインタフェース回路を取りつけ可能である。
【0035】
[第7の実施の形態]
図8に第7の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS7の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の誘導性回路素子L1は個別の回路素子として接続されている例を説明したが、本実施の形態では第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsを含む構成の例を示す。すなわち、第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスは第1の実施の形態における第1の誘導性回路素子L1のインダクタンスと配線の有するインダクタンスLsの和で表され、L4=L1+Lsになる。この場合、配線の有するインダクタンスLsは第1の出力端子X1に対してパルス電圧供給回路PS7側にあっても良く、第1の出力端子X1と負荷Lpの第1の電極P1間にあっても良く、第2の出力端子X2と負荷Lpの第2の電極P2間にあっても良い。第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpまでの回路構成は、実質的に図1に示す第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第4の実施形態における第5、第6の誘導性回路素子L5、L6のインダクタンスが第2の実施形態における、第2、第3の誘導性回路素子L2、L3のインダクタンスと配線の有するインダクタンスLsとの和で表されるような、配線の有するインダクタンスLsを含む場合も、第2の実施形態と実質的に同様である。この場合も、配線の有するインダクタンスLsは第1の出力端子X1に対してパルス電圧供給回路PS4側にあっても良く、第1の出力端子X1と負荷Lpの第1の電極P1間にあっても良く、第2の出力端子X2と負荷Lpの第2の電極P2間にあっても良い。
【0036】
[第8の実施の形態]
図9に第8の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS8の回路構成例を示す。第1の実施の形態では、第1の容量性回路素子C1は個別の回路素子として接続されている例を説明したが、本実施の形態では容量性回路素子C3のキャパシタンスが、負荷Lpに並列に存在する浮遊容量のキャパシタンスを含む構成の例を示す。図9では、第1の実施の形態における第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスの全部が浮遊容量Csのキャパシタンスで置換されて第3の容量性回路素子C3(第1、第2の電極P1,P2間に接続される)を構成している。この場合でも、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpの第1の電極P1までの回路構成は、実質的に図1の第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスが第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスと浮遊容量Csのキャパシタンスの和C1+Csで表される場合も実質的に第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子のキャパシタンスC3が第1の実施形態における第1の容量性回路素子C1のキャパシタンスと負荷Lpに並列に存在する浮遊容量Csのキャパシタンスとの和で表されるような、浮遊容量Csを含む場合も、第1の実施形態と実質的に同様である。また、第3の容量性回路素子のキャパシタンスC3が負荷Lpの浮遊容量Csの代わりに、負荷Lpに並列に存在するキャパシタンスを含む場合も同様であり、この場合は、負荷Lpに並列に存在するキャパシタンスは第1の出力端子X1及び第2の出力端子X2に対してパルス電圧供給回路PS8側にあっても良く、第1の出力端子X1及び第2の出力端子X2に対して負荷Lp側にあっても良い。
【0037】
[第9の実施の形態]
図10に第9の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS9の回路構成例を示す。本実施の形態では、第3の実施の形態における第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが配線の有するインダクタンスLsのみであり、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスが負荷Lpに並列に存在する浮遊容量のキャパシタンスCsのみで構成される例を示す。第4の誘導性回路素子L4のインダクタンスが全て配線インダクタLsのインダクタンスからなる場合も第3の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。また、第3の容量性回路素子C3のキャパシタンスの全部が浮遊容量Csのみのキャパシタンスの場合も第3の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。したがって、本実施の形態の場合も、第1の双方向スイッチ回路SW1と第2の双方向スイッチ回路SW2の接続点Xcから負荷Lpの第1の電極P1までの回路構成は、実質的に図1の第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0038】
[第10の実施の形態]
図11に第10の実施の形態におけるパルス電圧供給回路PS10の回路構成例を示す。第1乃至第9の実施の形態では、半導体素子Q1〜Q4、ダイオードD1〜D4、誘導性回路素子L1〜L6、負荷Lp及び回路配線には損失が無い理想的なものとして説明したが、実際の回路では半導体素子Q1〜Q4、ダイオードD1〜D4、誘導性回路素子L1〜L6、負荷Lp、回路の配線には必ず損失が存在するので、本実施の形態にはこれらの損失がある場合の例を説明する。半導体素子および誘導性回路素子の損失抵抗をR1で代表して表し、負荷Lpの損失抵抗をR2で表した。容量性回路素子の損失は通常非常に小さく、回路動作に影響を与えないので無視できる。その他の構成は図1と同様である。
【0039】
図12に誘導性回路素子に損失抵抗がある場合の半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す。まず、回路に直列に存在する損失抵抗R1の効果について説明する。この場合、損失抵抗R2は十分大きく無視できるものと仮定する。回路に直列に抵抗R1が存在する場合の半導体素子を駆動するパルスを図12の(a)〜(d)に、出力端子X1、X2間の出力電圧波形を図12の(e)〜(f)に示す。図12の(a)〜(d)は図2の(a)〜(d)と同じであるが、図12の(e)〜(f)は図2の(g)とは少し異なる。先ず、第1の半導体素子Q1がオンした時、正極性のパルス電圧+Vpは回路に損失が無い理想状態の場合は、第1の電源の電源電圧をE1とすると、2×E1まで上昇するが、抵抗R1の損失により図12の(e)に示すように2×E1よりΔE1だけ低くなる。正極性のパルス電圧+Vpが2×E1より低いと、次に第2の半導体素子Q2がオンしたとき正極性のパルス電圧は0まで放電されないで残留電圧ΔE2が残る。この電圧ΔE2は次に第3の半導体素子Q3がオンする時、第2の電源の電源電圧E2に加算される極性となるので、負極性のパルス電圧−Vpの絶対値は2×E2近くまで上昇する。損失の値によっては2×E2を越える値まで上昇する事もある。第4の半導体素子Q4がオンすると負極性のパルス電圧−Vpは0まで放電されないで、ΔE3の残留電圧が残る。この残留電圧ΔE3は第1の半導体素子Q1が再びオンする時、電源電圧E1に加算される極性となり、正極性のパルス電圧+Vpは2×E1近くまで上昇する。損失の値によっては2×E1を越える値まで上昇する事もある。このように半導体素子Q2、Q4がオンして+Vpあるいは−Vpを放電するとき残る残留電圧ΔE2及びΔE3は次の半導体素子Q3、Q1のオンの時、反対極性のVpの電圧(絶対値)を上昇させる成分となり、直列抵抗成分による回路損失を補償する作用を生じ、パルスの繰り返しにより、最終的にはパルス出力電圧の高さは、ほぼ損失抵抗R1がないときのパルス電圧+Vp、−Vpに漸近し、最終的な出力パルス波形は図12の(f)に示すような波形となる。ここで+Vp≒2E1、−Vp≒2E2となる。すなわち、回路に直列損失があっても出力パルス電圧波形は、ほぼ2Eまたは−2Eとなる。
【0040】
図13に容量性回路素子に損失抵抗がある場合の出力電圧波形の例を示す。すなわち、回路に並列に存在する損失抵抗R2の効果について説明する。この場合、出力波形にサグδVを生じる効果として説明される。負荷Lpに並列の容量性素子C1および浮遊容量Csが正極性のパルス電圧+Vpまたは負極性のパルス電圧−Vpに充電されると、損失抵抗R2に電流が流れ、容量性素子(C1+Cs)から放電が始まる。パルス幅Tpの間に出力パルス波形は+Vpまたは−Vpから絶対値でδV低下する。δVは通常損失抵抗R2が十分大きければ、ごく僅かでありキセノン放電管の動作に影響を与えない。以上より、第10の実施の形態においても第1の実施の形態と殆ど同様の効果を奏するといえる。
【0041】
[第11の実施の形態]
第11の実施の形態では、交流電源から第1及び第2の直流電源を作成する例について説明する。
【0042】
図14に交流電源EACから第1、第2の直流電源E1,E2に変換する交流−直流変換回路EXの例を示す。EACは交流電源、DBはダイオードブリッジからなる整流回路で交流電源EACからの電流の流れを一方向に整流する。C5は第5のコンデンサで整流された電圧を平滑化する。第5のコンデンサC5以降トランスTNを経て接続端子Y3〜Y5に至る構成は一般的なフライバック形のDC−DC変換器の一例である。Q9は第9の半導体素子であり、オン期間のみにトランスTNに電流を供給してエネルギーを蓄積し、オフ期間にトランスTNの2次巻線より蓄えたエネルギーを放出し2次側に出力電圧を得る。トランスTNは、2次側が巻数が等しい上下2段のトランスで、上下2段の等しい電圧を出力する。第5のダイオードD5と第7のコンデンサC7の組、第6のダイオードD6と第8のコンデンサC8の組はそれぞれ電圧を平滑化する。これにより、第3、第4の接続端子Y3,Y4間に第1の直流電圧が、第4、第5の接続端子Y4,Y5間に第2の直流電圧が供給され、第1の直流電源E1と第2の直流電源E2が直列接続された場合と等価になる。この時Y3,Y4間の電圧を抵抗R5,R6により検出し、抵抗R5,R6の中間の電位を基準電圧VREFと比較し誤差信号を演算増幅器OPによって増幅し、ホトカプラPCを経て1次側の第10の半導体素子(トランジスタ)Q10をコントロールして、Y3,Y4間の電圧を一定に保つ。
【0043】
フライバック形のDC−DC変換器の特性として、2次側出力の巻線の巻数が等しいとき出力電圧はほぼ等しくなる。すなわち接続端子Y3,Y4間の電圧とY4,Y5の電圧はほぼ等しく、その結果第1の直流電源E1と第2の直流電源E2はほぼ等しくなる。
また、VREFを可変にすることによって接続端子Y3,Y4間、Y4,Y5間の出力電圧を可変にすることが可能となり、また、パルス出力電圧の出力振幅を可変にすることもできる。
【0044】
第1の直流電源E1及び第2の直流電源E2として交流電源EACから当該交流−直流変換回路EXで変換した直流電力を使用でき、これにより、商用の交流電源を放電管用のパルス電圧供給回路に利用でき、使用の機会が大幅に向上する。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏する。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
【0046】
例えば、以上の実施の形態では、放電管がキセノン放電管の場合を説明したが、本発明をその他の放電管にも適用可能であり、放電管以外にも正負のパルスを交互に必要とする回路や装置に使用できる。また、第1の実施の形態においては、パルス電圧供給回路が一体的に構成される例を説明したが、スイッチ制御手段や第1、第2の直流電源を切り離して構成しても良い。また、第1、第2の双方向スイッチ回路は、以上の実施の形態で説明した回路に限定されず、例えば双安定スイッチ回路を用いて構成しても良い。また、以上の実施の形態では、第1〜第4の半導体素子を駆動するパルスを、或る半導体素子についてオフした後時間を空けて次の半導体素子をオンする態様について説明したが、或る半導体素子についてオフにすると同時に、次の半導体素子をオンにする駆動方式としても良い。さらに半導体素子(ダイオードを含む)、誘導性回路素子、容量性回路素子は適当な性能のものを選択可能である。また、交流−直流変換回路は第11の実施の形態で説明した例に限定されず、第1、第2の直流電圧を別の交流電源から変換しても良く、三相交流から生成しても良い。また、DC−DC変換器はフライバック形に限らず例えばフォーワード形の変換器で構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、液晶パネルのバックライト用放電管の電源として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図4】第3の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図5】第4の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図6】第5の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図7】第6の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図8】第7の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図9】第8の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図10】第9の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図11】第10の実施の形態におけるパルス電圧供給回路の例を示す図である。
【図12】誘導性回路素子に損失抵抗がある場合の半導体素子を駆動するパルス及び出力電圧波形の例を示す図である。
【図13】容量性回路素子に損失抵抗がある場合の出力電圧波形の例を示す図である。
【図14】第11の実施の形態における交流−直流変換回路の例を示す図である。
【図15】放電管を放電させるためのパルス電圧の例を示す図である。
【図16】パルス電圧供給回路の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
C1〜C8 第1〜第8のコンデンサ
Cs 浮遊容量
CTL スイッチ制御手段
D1〜D6 第1〜第6のダイオード
DB 整流回路
E1,E2 第1、第2の直流電源
EAC 交流電源
EX 交流−直流変換回路
g1〜g8 信号線
L1〜L7 第1〜第7のインダクタ
Lp 負荷(キセノン放電管)
Ls 配線インダクタ
OP 演算増幅器
P1,P2 第1、第2の電極
PS1〜PS10 パルス電圧供給回路
PS30 パルス電圧供給回路本体
PS31 インタフェース回路
PC ホトカプラ
Q1〜Q10 第1〜第10の半導体素子
R1〜R8 抵抗
SS1〜SS4 第1〜第4の半導体スイッチ回路
SW1,SW2 第1、第2の双方向スイッチ回路
T パルス周期
Tp パルス幅
TN トランス
V0 基準電位線
Vp パルス電圧
VREF 基準電圧
X1,X2 第1,第2の出力端子
Xc 接続点
Y1〜Y5 第1〜第5の接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点の負荷側に接続された第1の誘導性回路素子と;
前記第1の誘導性回路素子の負荷側に接続された第1の出力端子と前記基準電位線に接続された第2の出力端子との間に接続された第1の容量性回路素子とを備え;
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項2】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点と前記第1の双方向スイッチ回路との間に接続された第2の誘導性回路素子及び前記接続点と前記第2の双方向スイッチ回路との間に接続された第3の誘導性回路素子と;
前記接続点に接続された第1の出力端子と前記基準電位線に接続された第2の出力端子との間に接続された第2の容量性回路素子とを備え;
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項3】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点と前記負荷の第1の電極との間に接続された第4の誘導性回路素子と;
前記負荷の第1の電極と前記基準電位線に接続された前記負荷の第2の電極との間に接続された第3の容量性回路素子とを備え;
前記負荷の第1の電極と前記負荷の第2の電極間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項4】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記負荷の第1の電極との間に接続された第5の誘導性回路素子と、前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側と前記負荷の第1の電極との間に接続された第6の誘導性回路素子と;
前記負荷の第1の電極と前記基準電位線に接続された前記負荷の第2の電極との間に接続された第4の容量性回路素子とを備え;
前記負荷の第1の電極と前記負荷の第2の電極間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項5】
前記第1の誘導性回路素子、前記第2の誘導性回路素子、前記第3の誘導性回路素子、前記第4の誘導性回路素子、前記第5の誘導性回路素子又は前記第6の誘導性回路素子のインダクタンスが配線の有するインダクタンスを含む;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項6】
前記第3の容量性回路素子又は前記第4の容量性回路素子のキャパシタンスが前記負荷の浮遊容量のキャパシタンスを含む;
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項7】
前記第1の半導体スイッチ回路乃至第4の半導体スイッチ回路は、パワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBTと逆流防止用のダイオードとを直列接続して構成される;
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項8】
前記第1の直流電源及び前記第2の直流電源は交流電源から整流された直流電力からDC−DC変換された電力を供給する;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項1】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点の負荷側に接続された第1の誘導性回路素子と;
前記第1の誘導性回路素子の負荷側に接続された第1の出力端子と前記基準電位線に接続された第2の出力端子との間に接続された第1の容量性回路素子とを備え;
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項2】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点と前記第1の双方向スイッチ回路との間に接続された第2の誘導性回路素子及び前記接続点と前記第2の双方向スイッチ回路との間に接続された第3の誘導性回路素子と;
前記接続点に接続された第1の出力端子と前記基準電位線に接続された第2の出力端子との間に接続された第2の容量性回路素子とを備え;
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項3】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側とを接続する接続点と前記負荷の第1の電極との間に接続された第4の誘導性回路素子と;
前記負荷の第1の電極と前記基準電位線に接続された前記負荷の第2の電極との間に接続された第3の容量性回路素子とを備え;
前記負荷の第1の電極と前記負荷の第2の電極間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項4】
基準電位線を挟んで直列に接続された正極側の第1の直流電源及び負極側の第2の直流電源と;
前記第1の直流電源の正極側に接続され、前記第1の直流電源側から負荷側に電流を供給する第1の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第1の直流電源側に電流を供給する第2の半導体スイッチ回路とを並列接続した第1の双方向スイッチ回路と;
前記第2の直流電源の負極側に接続され、前記第2の直流電源側から前記負荷側に電流を供給する第3の半導体スイッチ回路と前記負荷側から前記第2の直流電源側に電流を供給する第4の半導体スイッチ回路とを並列接続した第2の双方向スイッチ回路と;
前記第1の双方向スイッチ回路の負荷側と前記負荷の第1の電極との間に接続された第5の誘導性回路素子と、前記第2の双方向スイッチ回路の負荷側と前記負荷の第1の電極との間に接続された第6の誘導性回路素子と;
前記負荷の第1の電極と前記基準電位線に接続された前記負荷の第2の電極との間に接続された第4の容量性回路素子とを備え;
前記負荷の第1の電極と前記負荷の第2の電極間に正電圧パルスと負電圧パルスを交互に周期的に供給する;
パルス電圧供給回路。
【請求項5】
前記第1の誘導性回路素子、前記第2の誘導性回路素子、前記第3の誘導性回路素子、前記第4の誘導性回路素子、前記第5の誘導性回路素子又は前記第6の誘導性回路素子のインダクタンスが配線の有するインダクタンスを含む;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項6】
前記第3の容量性回路素子又は前記第4の容量性回路素子のキャパシタンスが前記負荷の浮遊容量のキャパシタンスを含む;
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項7】
前記第1の半導体スイッチ回路乃至第4の半導体スイッチ回路は、パワーMOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBTと逆流防止用のダイオードとを直列接続して構成される;
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【請求項8】
前記第1の直流電源及び前記第2の直流電源は交流電源から整流された直流電力からDC−DC変換された電力を供給する;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のパルス電圧供給回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−117627(P2008−117627A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299496(P2006−299496)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【出願人】(506370272)株式会社エムアイエフピーディー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【出願人】(506370272)株式会社エムアイエフピーディー (1)
【Fターム(参考)】
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