説明

パルス高パワーファイバ増幅器システムを制御し保護するための方法と装置。

パルス光源と高パワーファイバ増幅器とからなるレーザシステムを制御する電子回路が開示される。発振器のパルス幅と繰り返し率とが変えられるとき、増幅された出力パルスが所定のパルスエネルギーを持つように、高パワーファイバ増幅器システムの利得を制御するために、回路は使用される。これは、パルス列が出射しているときパルスエネルギーを一定に保つことを含んでいる。ダイオード電流が変えられるときポンプダイオードの波長がファイバ増幅器の最適吸収波長に保持されるように、高パワーファイバ増幅器のポンプダイオードの温度を制御するためにも、この回路は使用される。パルス光源からの信号の損失による損傷から、或いは不十分な注入エネルギーのパルス光源信号から高パワーファイバ増幅器を保護する手段もこの回路は提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に高パワーファイバ増幅器とパルス種光源とを有するパルスレーザシステムに関する。本発明に関する一実施例は、種光源として電気的に制御された半導体ダイオードレーザを使用している。種光源は、モードロックレーザでも良い。
【背景技術】
【0002】
発振器と高パワーファイバ増幅器とから成るパルスレーザシステムは、開発されたよく知られた技術である。本発明のように譲受人に譲渡され、それらが教える全てのために、ここに参照によって組み込まれている米国特許ナンバー6,208,458;6,181,463及び5,696,782を、たとえば、参照のこと。このタイプの従来のシステムは、通常、固定されたパルス幅と繰り返し率で動作する。しかしながら、可変のパルス幅と繰り返し率を持つシステムも開発されてきた。たとえば、Grubb他の米国特許ナンバー6,347,007と6,433,306を参照のこと。ある応用の場合、これらのタイプのシステムの出力パルスエネルギーは、パルス幅のように一定に保持され、パルス光源の繰り返し率は、変えられるように要望される。
【0003】
増幅器システムの利得は、ドープファイバに蓄えられる及びドープファイバから使いつくされる率に依存する。したがって、出力パルスエネルギーは、増幅器へのエネルギー貯蔵の率及び増幅器からエネルギーを取り出す種の繰り返し率の関数として変化する。種光源パルスエネルギーと繰り返し率の関数としてそのドライブ電流を変えることで増幅器ポンプダイオードのパワーを調整して増幅器の利得を調整することを、既知の方法は含んでいる。ある条件下でふさわしい別の方法は、光源を直接変調するか、或いはパワー増幅器へのその入力を減衰することで、種光源のパルスエネルギーを変えることを含んでいる。
【0004】
これらのシステムのファイバ増幅器の利得は、ポンプダイオードの波長の関数でもあり、ポンプダイオードパワーの関数でもある。最適なポンプダイオード波長は、増幅器ファイバの材料特性の関数である。たとえば、Yb増幅器システムにおいては、最適なポンプ波長は、最も短い増幅器の場合、約976nmである。さらに、ポンプダイオードの波長は、ダイオードの温度の関数である。最も実用的なシステムにおいては、また、特に単一のパッケージにパッケージされた多数のダイオードを含む増幅器ポンプダイオードを使用するシステムにおいては、実際のダイオード温度と放射波長は、パッケージが名目上一定温度に保たれているとしても、ダイオード電流の関数として変化する。これが、まさに、ダイオード温度をモニタするために使用される温度センサーが実際のダイオードから短い距離に置かれる理由である。したがって、出力パルスエネルギーの更なる制御を行うためには、より高精度で能動的な制御メカニズムでポンプダイオードの波長ドリフトに対抗することが必要である。
【0005】
また、ファイバの利得に影響を及ぼすことは、ファイバの温度である。YbとErのような希土類イオンは、4準位レーザ材料よりむしろ実際に擬3準位レーザ材料であるので、この利得を変えるための一つの物理的なプロセスが、可能になる。これは、レーザ波長でいくらかの吸収があることを意味する。吸収の量は、状態のボルツマン分布で決まり、温度に依存する。
【0006】
Waarts他の米国特許ナンバー5,867,305と5,933,271は、パルスを増幅するための二つのファイバ増幅器の間の増幅ノイズの立ち上がりを防止する目的で、ポンプレーザダイオードをパルス化することを開示している。これらのシステムを改良することは、種パルスに同期したゲートの必要性を避けることである。しかしながら、そのようなシステムでの増幅ノイズの立ち上がり時間は、上記二つの文献で述べられたように、10−100nsであるファイバ増幅器の全長を往復する時間であり、蛍光寿命ではない。ポンプレーザダイオードが、10−100nsのためにパルス化されると、通常の条件の下では、十分な利得がファイバ増幅器で得られない。
【発明の開示】
【0007】
パルス幅と繰り返し率が動作中に調整されるとき出力パルスエネルギーが一定であるように、ポンプダイオード電流とファイバ増幅器の利得とを制御するための手段を備える高パワーファイバ増幅器システムを提供することが、本発明の目的である。これは、パルス列の出射の間パルスエネルギーを一定に保つことを含んでいる。
【0008】
ポンプダイオード波長がダイオード電流の変化で固定された値に保持されるように、ファイバ増幅器ポンプダイオードの温度を制御するための方法を提供することが、本発明の別の目的である。
【0009】
注入された発振器パルスの繰り返し率或いは外部信号をモニタし、繰り返し率がこの閾値未満に低下するとポンプダイオード電流を遮断或いは減少させて、利得が増幅器の損傷閾値を超過して増大することによる損傷から、高パワー増幅器を保護するための方法を提供することも本発明の目的である。
【0010】
種パルスの振幅をモニタリングするために提供すること、及び注入されたパルスの振幅が安全な閾値の外に落ち込むなら、ポンプダイオードを遮断して、損傷から高パワーファイバ増幅器を保護することが本発明の目的でもある。
【0011】
パワー増幅器の出力エネルギーが一定であるように、種パルスの振幅を制御するための手段を備える高パワー増幅器システムを提供することが、本発明の目的でもある。
【0012】
本発明の上の及び他の目的は、高パワーファイバ増幅器のポンプダイオードのダイオード電流を制御するためのデバイスと方法を提供することで満たされ、そのデバイスは、ポンプダイオードの電流或いはパワーを調節し、そのような電流或いはパワーをモニタし、且つダイオード電流或いはパワーを一定値に保持するための手段を有する。一般に、ダイオードの電流は、経年劣化による出力の長期減少を補正するために制御される。対照的に、本発明の実施例に関しては、繰り返し率とパルスの時間幅とが変えられるとき、不変のパルスエネルギーを維持するためにパワー増幅器の利得を動的に制御するために、ポンプダイオード電流が制御される。ユニットがターンオンされているときに最初のパルスのために等しいパワーを生成するため、あらかじめポンプダイオードを十分にターンオンすること及び電流を立ち上げることを、これは含んでいる。
【0013】
パルス幅と繰り返し率が変えられるとき、出力パルスのエネルギーが所望の値に維持されるように、システムのパルス幅と繰り返し率の関数として所望のポンプダイオード電流セッティングを計算する及び/或いは蓄えるための手段を、このデバイスは提供する。
【0014】
ポンプダイオード電流が変えられるとき、ファイバ増幅器媒質によるポンプダイオードエネルギの最大吸収をもたらす波長にポンプダイオードの放射波長が保持されるように、ポンプダイオード電流セッティングの関数として適当なポンプダイオード温度調節値を計算し蓄えるための手段を、本発明の実施例に関するデバイスは、与える。
【0015】
増幅器システムに注入されるパルスの繰り返し率をモニタするための、それを所定の最小繰り返し率と比較するための、この最小繰り返し率より低いと、損傷からそれを防ぐために増幅器ポンプダイオードへの電流を阻止或いは減らすための、手段も提供される。
【0016】
ファイバ増幅器に注入されているパルスの振幅を所定の最小振幅値と比較する手段と、この所定の最小値より低いと、損傷からそれを防ぐために増幅器ポンプダイオードへの電流を阻止或いは減らすための手段とを、上で議論された模範的なデバイスは提供もする。本発明の実施例に関するデバイスは、増幅された出力パルスが不変のエネルギーであるように、種パルスを選択し減衰する手段も提供する。
【0017】
発振器の繰り返し率をモニタすること、低い繰り返し率を得るために必要な所望の降下カウンター分割比を計算するための手段を提供すること、が本発明のさらなる目的でもある。
【0018】
発振器の繰り返し率が、ユニットからユニットまで或いは時間及び/或いは温度の関数として変わるとしても、固定された繰り返し率を出力できることが、本発明の目的でもある。
【0019】
発振器を外部の参照信号と同調させることが、本発明の目的でもある。この外部参照をしばしば変えること、従って発振器の繰り返し率を変化させることが、本発明の目的でもある。
【0020】
この外部参照をしばしば変えること、従って発振器の繰り返し率を変化させること及び降下カウントされた繰り返し率を変化させることが、本発明の目的でもある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の目的と特徴が、添付図と共に取り入れられた好ましい実施例の以下の詳細説明から容易に明確になるであろう。
【0022】
図1は、本発明の実施例を示す基本的なブロック図である。
【0023】
図2a−2eは、マスタ−発振器パワー増幅器(MOPA)として知られたレーザシステムのブロック図であり、本発明の実施例に従っている。
【0024】
図3a−3eは、不変振幅の種パルス入力(3a)と、パワー増幅器から望ましくない非不変出力パルス(3e)をもたらすそれらの対応する増幅器利得(3b−3d)とを示す。
【0025】
図4a−4eは、減衰された種パルス入力(4a)と、パワー増幅器から望ましい不変出力パルスをもたらす本発明の実施例に従うそれらの対応する増幅器利得(3b−3d)とを示す。
【0026】
図5a−5eは、種パルス入力の結合された選択と減衰(5a−5c)、及びパワー増幅器から“降下カウントされた”不変出力パルスをもたらす本発明の実施例に従うそれらの対応する増幅器利得(5e)を示す。
【0027】
図6は、本発明の実施例に従う位相ロックループを示す。
【0028】
図7は、本発明の実施例に従う様々な光学的及び電気的パラメータの制御を検証するブロック図である。
【0029】
図8は、本発明に従う発振器のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一般的なブロック図が図1に示されている。図示するように、本発明に従うシステムは、発振器、増幅器及びコントローラを含む。コントローラは、発振器と増幅器の両方の様々なパラメータを制御しモニタする能力をもっている。図8は、模範的なコントローラ及びそのモニタリングと制御機能を示す。発振器のポンプダイオードの電流、光パワー及び温度が、モニタされ制御される。これは、ダイオードの温度をモニタするためのサーミスタのような温度センサと、ダイオードの温度を調整するための熱電クーラのような冷却デバイスと、を使用して達成される。レーザダイオードの光パワーは、通常裏面のフォトダイオードを使ってモニタされる。
【0031】
発振器の温度、電流、波長、及び繰り返し率が、モニタされ、制御される。これらの特性は、システムに対してよりよい安定性を与えるために制御される。発振器の波長の変化は、出力パルス幅とパルスエネルギーを変えることができる。発振器の波長は、出力端でモニタされる。波長は、その後、幾つかの方法で調節される。レーザの放射波長は、エタロン伝達関数に基づく波長ロッカーでモニタされる。エタロンの透過は、検出器で測定され、光電流が、参照検出器からのそれと比較される。これらの素子は、ロッカーパッケージに集積化される。
【0032】
エタロン伝達関数、すなわち波長に対するエタロン透過曲線の勾配での目標波長セットに対して、二つの光電流の差を測定することで、波長のドリフト或いはシフトがモニタされる。そのような波長ロッカーは、例えば、1550nmの波長でサブナノメートルの精度で容易に利用できる。ピコ秒モードロックレーザの場合、サブナノメートルの波長安定性は、潜在的に重要である。何故なら、例えば、時間−バンド幅制限パルスのスペクトル幅が、1060nmで1.6psの場合、たった1nmであるからである。
【0033】
波長の調整と安定化に関係のある最初のデバイスは、ファイバブラッグ格子(FBG)である。波長の関数として反射を変えることで、共振器のQが望ましい波長に対して調節される。本発明の好ましい実施例において、格子の温度が、熱電クーラで変えられる。数ミリメートルの典型的な格子セクションをもつ短周期格子の調整範囲は、石英ガラスの機械的な膨張に基づく10pm/℃の温度係数をもつ。ポリマーコーティングを適用することで、ポリマーの高膨張係数により、係数は、20pm/℃の高さに達することができる。50℃の温度変化で、1nm以内の波長調整と安定化が可能である。別の実施例では、格子セクションをピエゾエキスパンダに取り付けることで、機械的な張力が付加される。
【0034】
素子の調整と安定化の別の実施例は、共振器内の可飽和吸収体のチップ温度を制御することを含んでいる。その反射は、吸収体のバンドギャップの関数であり、バンドギャップは、また半導体チップの温度に強く依存する。チップの温度を変えることで、共振器のQが、好ましい波長に対して調節される。 InP型半導体の温度依存バンドギャップシフトは、0.4と0.5nm/℃の範囲にある。従って、熱電クーラでのチップ温度の±10℃の変化は、ピコ秒パルスの安定化に対して十分な波長適用範囲を与えるであろう。
【0035】
本発明に従って波長を制御するための方法は、ポンプダイオードの電流を調節して発振器パワーを変えることである。
【0036】
光パルスを電気信号に変換するために、フォトダイオードと電気増幅器のような素子を使って、発振器の繰り返し率がモニタされる。その電気パルス信号は、その後、繰り返し率が計算されるコントローラに入力される。図7は、システムの増幅器部分に組み入れられたモニタリングと制御機能を示す。増幅器のポンプダイオードの制御は、発振器のための上記したことに類似している。ダイオードの電流と温度とが、増幅器の利得を制御するために調節される。
【0037】
増幅器に注入されるパルスの繰り返し率は、コントローラで確定され、発振器の繰り返し率と同じ或いは異なる繰り返し率である。発振器の繰り返し率と出力端での望ましい繰り返し率とに基づいて、コントローラは、降下カウンターとも呼ぶ光シャッターの開閉に必要なタイミングを計算する。このシャッターは、音響光学変調器(AOM)のような素子でも良い。シャッターの開閉を電気的に制御することで、増幅器に注入されるパルスの繰り返し率は、望ましい率になる。
【0038】
本発明に関連するレーザシステムは、図2a-2eに示すようなマスター発振器、パワー増幅器(MOPA)を含む。マスター発振器(しばしば、“シーダー”或いはパルス光源と呼ばれる)は、パルスエネルギーを増大させるパワー増幅器に供給される(挟まる矢印で示される)比較的低パワーレベルのパルス或いはパルス列を生成する。低パワーの”種“パルス或いはパルスの発生は、限定されないが、持続時間、時間プロフィール、中心波長、スペクトルバンド幅のようなパルスパラメータの容易な変更と操作を楽に行う。個々のパルスパラメータの詳細は、MOPAを通してパルスの忠実度を維持することが一般的に望ましいということを別にすれば、この発明に関係しないし、MOPA形態の選定のために合理的なものを示唆するため、ここで簡単に触れられている。
【0039】
この発明の場合、繰り返しパルス列を生成するシーダーを使用することが好ましいが、時間的に不変な列を必要としない。この開示に関しては、図2aに示すように、シーダー後の単一ステージ増幅のみがしばしば説明されるが、限定されない。たとえば、図2bに描かれているように、シーダーとレーザの最終出力端との間に置かれる多数の増幅ステージがしばしばある。本発明は、増幅のどのステージにも適用されるが、好ましい実施例は、最終増幅器の直前にそれを配置する。
【0040】
全体のレーザシステムからのパルス出力を消失させる手段を保持するが、その出力が時間的且つエネルギー的に安定であるように、シーダーを連続的に動作させることがしばしば望ましいし、また時々必要である。シーダーが相対的に高い繰り返し率で動作する受動モードロック発振器であるとき、これは特に本当である。このケースでは、シーダーは、最高の増幅に適する繰り返し率より高い繰り返し率で動作する。時々“降下カウンター”と呼ばれるパルス選択器が、透過パルスを選択するために使用される。最終出力端にパルス選択器を提供することは、この場所に存在する高いパワーレベルのデバイスへの損傷の可能性により、或いはスイッチング手段が幾つかの重要なパルス特性を破壊するので、しばしば支持されない。また、出力端でのパルス選択器は、増幅器に蓄えられたエネルギーを有効に使用しない。レーザシステムの最終出力端にパルス選択手段(たとえば、スイッチ)を置くことが可能でない或いは望ましくないこれらのケースでは、図2cに示すように、中間のパルス選択器が採用されると良い。
【0041】
MOPAは、定常状態で動作するとき高いパルス対パルス繰り返し性を生じるので、そのような動作は多くの応用で許容されない。たとえば、手順或いは繰り返し率或いはパルス特性が変更される間、レーザ出力が停止されて開始されることを応用はしばしば必要とする。また、レーザ出力が与えられたパルスで開始するように命じられ、特定のパルスが定常状態の間に生成されたパルスと実質上同じであることを、プロセスはしばしば必要とする。しかしながら、幾つかのシステムでは、最終のパワー増幅ステージ後のパルスをスイッチングすることは、支持されない。
【0042】
パワー増幅器へのエネルギー注入率を開始する或いは変えることは、一般的に出力パルスエネルギー繰り返し性に有害な過渡的影響を与える。本発明は、最終増幅器の出力端で不変な振幅を持つパルスを生成するために増幅器ステージに注入する前に、選択的に減衰させる、すなわち、パルスの振幅を減らすことができる。そのような実施例は、図2dに示すような入力パルスを減衰させるための付加的な手段、或いは図2eに示すような合同手段を、含んでも良い。これは、音響光学変調器(AOM)、リチウムニオブ酸塩変調器のような電気光学変調器、或いは電気吸収変調器、のような素子でもよい。
【0043】
一定のパルスエネルギーを維持するためには、増幅器の動作条件を考えることが必要である。早期の増幅器ステージは、“前置増幅器”と呼ばれるが、一般的にパワー増幅器と呼ばれる最終増幅器は、飽和近くで正常に動作する。最終増幅器を飽和モードで動作させることは、大多数のシステムパワーバジェットが最後のステージで消費されるので、システムのエネルギー抜き取り効率を最大化するのに役立つ。増幅器を飽和で動作させることは、パルスフラックス(すなわち、単位面積当たりのパワー)が飽和フラックスIsatと等しいか或いはそれより大きいことを意味する。飽和フラックスは、有効利得が小信号利得の半分に減少するフラックスと定義される。小信号利得g0は、ゼロ抜き取りフラックスの限界での利得であり、非本質的なポンプ率と本質的なレーザ媒質特性、すなわち蛍光寿命、誘導放出断面積、準位の縮退、レーザ材料濃度の関数である。
【0044】
パルス化抜き取りを条件としてのレーザパワー増幅器の力学の詳細な説明は、ポンプ率、分布反転、寄生的損失、準位の縮退、非輻射遷移、熱的レーザ準位の抑制、抜き取りフラックス、繰り返し率、準位の寿命、その他のパラメータの知識を必要とする。しかしながら、発見的なモデルは、この発明に隠れる動機を与えることに幾つかの識見を与えることができる。レーザの蛍光寿命がパルス抜き取り周期に比べて長く、ポンプ率が抜き取りパルス間の初期分布を再貯蔵するのに十分である条件下では、このモデルは特に有効である。
【0045】
発振器のパルスが増幅器からエネルギーを抜き取らないとき、利得は、小信号利得ケースに相当する最大値であり、実際はポンプ率と寄生損失に制限される。ポンプより早いパルス抜き取り結果は上部レーザ準位を補充することができるので、有効(或いは飽和)利得は、g=g0/(1+Iavg/Isat)のように減少する。ここで、通常、瞬時値と考えられるIaveとIsatは、パルス率に比べて長い時間に渡って適切に積分される。自由動作中のシーダーからのスイッチパルス、図3a、b、cは、可飽和パワー増幅器エネルギーを抜き取り始めるので、有効利得は図3dのように時間と共に減少し、パルス出力は図3eのように振舞う。そのような初期のエネルギーパルスは、多くの応用に受け入れられない。
【0046】
初期パルスの振幅が後続パルスの振幅と同じであるように、増幅器からのパルスの振幅を制御する沢山の方法がある。最初の方法は、図2c、2d或いは2eに示すパルス選択器を制御することである。この実施例に関する模範的なパルス選択器は、光スイッチである。しかしながら、多くのタイプのスイッチがレーザシステムに使用される。最も早い機械的なシャッターは、約1ミリ秒の間開き、それにより1KHzより大きくない繰り返し率のレーザシステムに利用できる。さらに、機械的なシャッターは、シーダーを変調するために快く作られていないので、ここで使用されそうもない。液晶(LC)光バルブは、変調されるが、開くのに数ミリ秒必要とするので、機械的なスイッチより通常遅い。さらに、LCバルブは、損傷を受けやすく、その本質的な複屈折によりパルスを歪ませる。微細電子機械的(MEMs)デバイスは、早くスイッチできるが、ここで関心のある典型的なビーム径を処理するためには制限を持つ。
【0047】
関心のある殆ど全てのレーザシステムは、数ミリ秒より短い蛍光寿命を持つので、ミリ秒より長いスイッチング時間を持つデバイスは、この発明では殆ど価値がない。現在利用できる光スイッチング技術を使用するとして、電気光学及び音響光学デバイスは、1KHzより非常に早い繰り返し率での単一パルス選定にとって最善の選択である。電気光学セルの高電圧ドライバの必要性と電気光学結晶の本質的な複屈折とは、数ナノ秒より短いスイッチング時間が必要とされない限り、これらのスイッチを考慮から除外する。したがって、音響光学変調器(AOM)スイッチが、本発明の好ましい実施例に考慮されるが、そのようなことは限定しない。
【0048】
AOMの透過は、その結晶中の音響波の振幅にしたがって変化する。音響波は、結晶の屈折率を周期的に変化させ、光ビームをその周期(すなわち、回折角)と変調深さ(すなわち、回折効率)の関数として回折する。音響波は、結晶に取り付けられたトランスデューサで駆動され、次々にラジオ周波数(RF)回路で励起される。使用されるRF信号の振幅は、外部入力電圧で容易に制御される。したがって、シーダーの出力は、ゼロ近くの値からパワー増幅器への最大パルス注入値まで有効に調整される。適当なサイズの結晶と材料の場合、適切なRF回路を使用することで、音響波の振幅がサブマイクロ秒の解像度で容易に変調される。
【0049】
図4bは、図4aの連続的な列から図4cに示す種パルス入力を生成するランプ(ramped)スイッチ透過を示している。図4cのランプパルスと図4dの減少する有効利得とのコンボリューションは、図4eに示す出力パルスの不変な列をもたらす。同様に、図5a-5eは、増幅器に注入する前にAOMが種パルスの選択と減衰の両方行い、図4eに描かれたような同じ結果、図5e、を持つシステムを描いている。
【0050】
パルスエネルギーを一定に保つ或いは制御するための別の実施は、利得が初期パルスに対して低いように増幅器のポンプ電流を調節すること、及び増幅器利得が後続のパルスに対して高いように電流を増加させることを含んでいる。パルスが多少の時間必要とされないとき、ダイオードのポンプ電流を減少することは、さらに有利でもある。パルス間の時間が利得増幅器の活性イオンの蛍光寿命を超えるなら、ダイオードのポンプ電流を減少させることは、望ましいかも知れない。1msより大きな時間の場合、ダイオード電流を減少させることが望ましいかもしれない。
【0051】
ダイオードの交換は、そのようなレーザの動作コストにおける重要なファクタである。また、ダイオードが完全にターンオフされると、熱の分布は、レーザのための短いウォームアップ期間を必要とするのに十分なだけ、変化する。しかしながら、ダイオードの寿命の増大を達成するために、ダイオードを完全にターンオフすることは必要でない。
【0052】
パワーに対するダイオードの寿命は、しばしばレーザダイオードの出力パワーの逆数に指数関数的に従う(たとえば、Milton Ohring, Reliability and Failure of Electronic Materials and Devices, ( Academic Pres, New York, 1998) p.550-552参照)。したがって、出力パワーをファクタ2だけ減らすことは、高パワー寿命の2乗だけダイオードの寿命を増大させる。したがって、繰り返し率が閾値繰り返し率を下回ると、ダイオードパワーは減少し、最初のパルスのエネルギーをパルス列の全てのパルスと同じに保つ仕方にパルスが再び望まれるとき、ダイオードパワーはランプアップされる。この特徴は、たとえば、レーザが一定の固定された繰り返し率で動作するとき許される。これらの状況下で、ダイオードパワーは、パルスが望まれる前に、活性イオンの蛍光寿命におおよそ等しい1msのオーダの時間以内で、通常ランプアップされる。
【0053】
上述のように、特定の応用のために望ましい方法でパルスエネルギーを制御することが、しばしば望まれる。しかしながら、増幅器を損傷から保護するためにパルスエネルギーを制御することも必要かも知れない。上述のように、増幅器の利得は、入力が停止するときは必ず増加する。もしも、パルスが不注意に停止され、その後、フルパワーで開始されると、増幅器への光損傷が起こりうる。
【0054】
エレクトロニクスの一つの目的は、発振器がモードロックパルスを出力することを停止する或いは一連のモードロック、一層高いパルスエネルギーを持つQスイッチパルス、を出力するとき、増幅器に対する損傷を防止することである。損傷が起きる前に、増幅器を停止することが重要である。コントローラは、また発振器の繰り返し率をモニタする。一つの実施例において、フォトダイオードと増幅器は、光信号を電気パルス列に変換する。コントローラは、その後、パルス間の時間を測定して、この電気信号の繰り返し率を計算する。この率が、名目の発振器繰り返し率のような現在値から所定の量だけ変化すると、システムへの損傷を防止するため、増幅器のポンプダイオードへの電流が減らされるか或いは停止され、エラー信号が発生される。
【0055】
損傷を防止する別の或いは追加の方法は、パルス選択器を不能にするか、或いは増幅器の前の減衰器を高減衰に選択するか或いは増幅器に入射する非常に低いエネルギーの種パルスを選択することである。繰り返し率の名目値から許容できる変量が、調節され、比較のためにコントローラに保存される。
【0056】
本発明の別の実施例では、このパルスファイバシステムの繰り返し率が、外部のタイミング参照に同期されている。このケースでは、タイミング信号の低下とその後の信号の回復とからの被害を防止することが、必要である。繰り返し率が所定の繰り返し率を下回らないことを確実にするためにトリガーパルス間の時間がモニタされる。パルス間の時間が超過すると、増幅器のエネルギーが抜き取られ増幅器への損傷が防止されるように、コントローラは、追加の種パルスを発生させる。これは、レーザシステムが所定の安全な繰り返し率を下回って動作することを防止する。
【0057】
前に議論した本発明の実施例において、パルス光源は、固定されたパルス幅と繰り返し率で動作するモードロックファイバレーザであり、増幅器に注入されるパルスは、外部変調器を制御することで選択され、その開閉率はコントローラで調節され、したがってシステムの繰り返し率が調節される。この方法により、繰り返し率は、モードロックレーザの繰り返し率の倍数である必要がある。たとえば、モードロックレーザの繰り返し率が50MHzで、5MHzが望ましい率であるとき、外部変調器は、10パルスごとに通過させるように開かれる。11パルスごとに通過させると、繰り返し率は、4.54MHzである。しかしながら、4.8MHzのような非倍数繰り返し率が望まれるなら、平均で4.8MHzの繰り返し率を得るための一つの方法は、平均繰り返し率が達成されるように、交互に10パルスごとに通過させ次に11パルスごとに通過させることである。
【0058】
しかしながら、ある応用は、MOPAからのパルスが外部の時間信号に同期していることを必要とする。種光源が外部トリガーされていると、これは困難である。しかしながら、種光源が受動モードロックレーザであると、発振器の繰り返し率は、外部の参照信号に同期されるに違いない。これは、モードロックレーザの光共振器の端部ミラーの一方をピエゾ電気トランスデューサのような可動素子に取り付けることで達成される。繰り返し率を変える付加的な方法は、レーザのファイバをそれが伸長されるように取り付けることである。たとえば、ファイバをピエゾ電気ドラムに取り付けること。参照発振器の位相と周波数が、その後、光発振器の位相と周波数と比べられ、光発振器と参照発振器とが位相と周波数にロックされるように、共振器長が調整される。上記の構築を達成するために使用される電子回路は、通常、位相ロックループと呼ばれる。これが図6に示されている。
【0059】
ある応用では、レーザ動作中に制御された仕方でレーザの繰り返し率を変更することが望まれる。参照発振器の繰り返し率を変えるか、ロックされないときにピエゾ電気トランスデューサを直接制御して、光共振器の端部ミラーを動かして、光発振器の繰り返し率を変えるためにも、上記回路が使用される。今の応用では、共振器長が、端部ミラーを動かして1%変えられる。したがって、繰り返し率が1%変えられる。この段階で、パルス選択器は、異なる数のパルスを選択するために使用され、共振器長が同じ繰り返し率を得るために再調整される。連続する調整は、その後、このやり方で降下した100Hzを得ることを可能にする。
【0060】
本発明の一つの実施例では、パルス光源は、オペレータに設定される振幅、繰り返し率、パルス幅のコントローラで直接変調される半導体ダイオードである。振幅、パルス幅、繰り返し率のセットに基づいて、コントローラは、増幅器のポンプダイオードのために最適なポンプ電流を決める。ポンプ電流のこの値は、繰り返し率とパルス幅の値の範囲のために、計算されるか或いはコントローラのルックアップテーブルに保存される。ポンプダイオードの波長が特定の増幅器のファイバ特性に最適化されるように、最適なポンプ電流に基づいて、最適なポンダイオード温度が計算される。この最適なポンプダイオード温度は、ダイオード特性に依存し、ポンプダイオードからポンプダイオードまでで変わる。温度と電流の関数としての各ポンプダイオードの波長の初期の校正は、システムの集積化の間に実施される。これらの結果は、最適温度を計算するためにコントローラで使用される。コントローラは、その後、これらのセッティングを増幅器のポンプダイオードに適用する。
【0061】
図7に示すように、付加的な光及び電気パラメータがモニタされ、制御される。これらのパラメータの制御は、レーザコントローラに合体されるか、或いはレーザコントローラの外にあり、特定の応用に特有であるシステムコントローラに合体される。RS-232、TCP/IP、CAN他のようなコンピュータ通信に共通の通信プロトコルを使用して、通信リンクによって外部のシステムコントローラと通信する能力を、レーザコントローラは持っている。これは、詳しく後述されるような様々な応用領域で運転を行う際、有利である。
【0062】
微細加工のようなある応用では、出力の偏光のようなパラメータをモニタし、制御することが望ましい。これは、電気的に半波長板を回転させるか、或いは液晶遅延器に印加される電圧を電気的に制御して調整される。グラム/トムソンタイプのような偏光ビームスプリッタ、或いはその他の偏光弁別手段の反射光対透過光をモニタする一対のセンサを使って、出力の偏光比は測定される。
【0063】
微細加工も含む他の応用では、ビーム形状のようなパラメータをモニタし、制御することも望ましい。これは、3つの素子を備える円柱ビーム拡大望遠鏡のようなモータを備えた光サブシステムを使用して、電気的に制御される。各望遠鏡は、倍率を調整する間隔可変の入力及び出力レンズと、ビーム広がりを調整する可動中間レンズとを合体させる。直交配置された2つのそのようなサブシステムは、ビームサイズと形状の不変な或いは非点収差的な制御を行う。付加的なビーム制御は、一つ或いは両方の望遠鏡を光軸の周りに回転させることで達成される。これは、カメラのようなセンサを使って電気的にモニタされる。
【0064】
更なる応用では、ガルバノメータのような外部のビーム位置決めシステムにレーザの出力を同期させることが望ましい。これは、降下カウンターのAOMをガルバノメータに同期させることで達成される。レーザ繰り返し率と、位置決めシステムのトリガ出力を持つAOMシャッターの開とを、以前説明した方法を使用して、同期させるために、レーザコントローラ上の外部トリガ入力が、使用される。これは、レーザイン(in)、たとえば、微細加工システムが位置決めシステムの走査時間差を適応させるためにパルス間の時間を変えることを可能にする。
【0065】
また更なる応用では、微細加工機能はもちろん、度量衡或いはその他の計測機能を実施するためにレーザを使用することが望ましい。レーザが、度量衡に使用するため或いはその他の計測のために低いパルスエネルギー、高繰り返し率パルス列を、微細加工のために低繰り返し率の高パルスエネルギーを、出力するように、以前説明した方法で繰り返し率と出力パワーを変えることで、これは達成される。理想的には、レーザのシャッターは、一定に開くためにターンされ、システムの出力は、計測機能のための光源と同じである。この機能は、発振器のパルス列の一部を直接使用して、同時に高エネルギーパルス列で実施される。特に、高繰り返し率度量衡は、除去された材料の深さを、米国特許No. 5,489,984と5,585,913とに記載された度量衡法を利用して測定するために、使用される。その他の模範的な計測機能は、2光子顕微鏡とオプティカル・コヒーレント・トモグラフィー(OCT)である。そのような機能は、OCT或いは2光子顕微鏡が病気に罹った組織を画像化するために利用される外科手続きに特に有益である。これらの模範的な応用に従って、レーザは低繰り返し率で操作され、ここでは、材料のアブレーションが病気に罹った組織を取り去るために起き、OCT或いは2光子顕微鏡が全ての必要な組織が取り去られるのを保証するために使用される。
【図1】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図2d】

【図2e】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプダイオードの電流とファイバ増幅器の利得とを制御するための手段を有する高パワーファイバ増幅器システムであって、
前記システムの動作中に、出力パルスのパルス幅と繰り返し率とが調整されるとき、出力パルスエネルギーが一定に制御される、高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項2】
パルス列の出射フェーズの間、前記出力パルスエネルギーが一定に保持される請求項1に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項3】
前記ポンプダイオードの電流が変化しても該ポンプダイオードの波長が固定された値に保持されるように、前記ファイバ増幅器のポンプダイオードの温度を制御する手段をさらに有する請求項1に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項4】
利得が前記増幅器の損傷閾値を超えて増大することによる損傷から前記高パワー増幅器を保護するための手段をさらに有する請求項1に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項5】
前記保護手段は、注入された発振器パルスの前記繰り返し率或いは外部信号をモニタするための手段と、前記繰り返し率が損傷閾値未満に低下すると前記ポンプダイオード電流を停止する或いは減らすための手段とを有する請求項2に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項6】
発振器パルスの振幅をモニタするための手段と、
損傷から前記高パワーファイバ増幅器を保護するための手段と、を有し、
前記保護手段は、前記振幅が所定の閾値未満に低下すると前記ポンプダイオードの出力を停止するか減らすかするための手段を有する請求項1に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項7】
高パワーファイバ増幅器と、
ポンプダイオードが出力パルスを発生でき、前記高パワーファイバ増幅器の前記ポンプダイオードのダイオード電流を制御できるコントローラと、
前記ポンプダイオード電流或いはパワーを望ましい値に設定するための手段と、
前記ポンプダイオード電流或いはパワーをモニタするための手段と、
前記望ましい値の前記ポンプダイオード電流或いはパワーを保持するための手段と、を有し、
パルス幅と繰り返し率が変えられるとき、前記望ましい値に従ってポンプダイオードの対応するエネルギーが保持される、高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項8】
最初のパルスに十分先だって前記ポンプダイオードの動作を開始させるための手段と、
前記システムがターンオンされるとき、前記最初のパルスに対して等しいパルスエネルギをもたらすために、前記ポンプダイオード電流をランピングアップ(ramping up)するための手段と、をさらに有する請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項9】
システムのパルス幅と繰り返し率との関数としての前記望ましいポンプダイオード電流セッティングを保存するための手段を、さらに有し、
前記パルス幅と繰り返し率とが変えられるとき、前記出力パルスの前記エネルギーが前記望ましい値に保持される、請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項10】
システムのパルス幅と繰り返し率との関数としての前記望ましいポンプダイオード電流セッティングを計算するための手段を、さらに有する請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項11】
前記ポンプダイオード電流セッティングの関数として適切なポンプダイオード温度を計算するための手段を、さらに有し、
前記ポンプダイオード電流が変えられるとき、前記ポンプダイオードの放射波長は、前記ファイバ増幅器の媒質による前記ポンプダイオードエネルギの最大吸収をもたらす波長に、保持される請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項12】
前記ポンプダイオード電流セッティングの関数として適切なポンプダイオード温度セッティングを蓄えるための手段を、さらに有し、
前記ポンプダイオード電流が変えられるとき、前記ポンプダイオードの放射波長は、前記ファイバ増幅器の媒質による前記ポンプダイオードエネルギの最大吸収をもたらす波長に、保持される請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項13】
前記増幅器システムに注入されるパルスの繰り返し率をモニタするための手段と、
前記注入されるパルスの前記繰り返し率を所定の最小繰り返し率と比較するための手段と、
前記注入されるパルスが前記最小繰り返し率より低い繰り返し率をもつとき、前記増幅器ポンプダイオードへの電流を無力にするか減らすかするための手段と、を有する請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項14】
前記増幅器システムに注入されるパルスの振幅を測定するための手段と、
前記ファイバ増幅器に注入される前記パルスの前記振幅を所定の最小振幅値と比較するための手段と、
前記ファイバ増幅器に注入される前記パルスの前記振幅が前記所定の最小値より低いとき、前記増幅器のポンプダイオードへの電流を無力にするか減らすかするための手段と、をさらに有する請求項7に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項15】
発振器の繰り返し率をモニタするための手段と、
低い繰り返し率を得るために必要とされる必修降下カウンター分割比を計算するための手段と、を有し、
たとえ発振器の繰り返し率が時間或いは温度の関数として変化するとしても、望ましい繰り返し率をもつパルスが出力される高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項16】
発振器を外部参照信号と同期させるための手段と、
前記外部参照信号の周波数を変えるための手段と、をさらに有し、
前記発振器の繰り返し率が前記外部参照信号に従って変化する請求項15に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項17】
降下カウントされる繰り返し率が前記外部参照信号に従って変えられる請求項16に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項18】
高パワーファイバ増幅器システムを運転する方法であって、該方法は、
出力パルスのパルス幅と繰り返し率との一つ或いはそれ以上を変えるステップと、
前記出力パルスの前記パルス幅と前記繰り返し率の一つ以上が変えられるとき、前記パワー増幅器の利得を動的に制御して不変のパルスエネルギーを保持するために、ポンプダイオード電流を制御するステップと、を有する。
【請求項19】
パルス列の出射フェーズの間、前記出力パルスエネルギーを一定値に保持するステップをさらに有する請求項18に請求された方法。
【請求項20】
前記ポンプダイオードの電流を変えるステップと、
前記ポンプダイオードの電流が変化しても該ポンプダイオードの波長が固定された値に保持されるように、前記ファイバ増幅器のポンプダイオードの温度を制御するステップと、をさらに有する請求項18に請求された方法。
【請求項21】
注入される発振器パルスの繰り返し率或いは外部信号を測定するステップと、
前記繰り返し率が所定の最小繰り返し率未満に低下すると前記ポンプダイオード電流を停止するか或いは減らすステップと、をさらに有する請求項18に請求された方法。
【請求項22】
発振器パルスの振幅を測定するステップと、
前記発振器の前記振幅が所定の閾値未満に低下すると前記ポンプダイオードを停止するか或いは減らすステップと、をさらに有する請求項18に請求された方法。
【請求項23】
高パワーファイバ増幅器システムを運転する方法であって、該方法は、
前記高パワーファイバ増幅器システムのポンプダイオードのダイオード電流を制御するステップと、
前記ポンプダイオード電流とパワーの一方或いは両方を望ましい値にセッティングするステップと、
前記ポンプダイオード電流とパワーの一方或いは両方を測定するステップと、
前記ポンプダイオード電流とパワーの一方或いは両方を前記望ましい値に保持するステップと、を有し、
出力パルスのパルス幅と繰り返し率の一つ以上のように、不変出力エネルギーが達成される。
【請求項24】
最初のパルスに十分先だって前記ポンプダイオードの動作を開始させステップと、
前記システムが作動させられるとき、前記最初のパルスに対して等しいパルスエネルギーをもたらすために前記ポンプダイオード電流をランピングアップ(ramping up)するステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項25】
システムのパルス幅と繰り返し率との関数としての前記望ましいポンプダイオード電流セッティングを保存するステップを、さらに有し、
前記パルス幅と繰り返し率とが変えられるとき、前記出力パルスの前記エネルギーが前記望ましい値に保持される、請求項23に請求された方法。
【請求項26】
システムのパルス幅と繰り返し率との関数としての前記望ましいポンプダイオード電流セッティングを計算するステップを、さらに有し、
前記パルス幅と繰り返し率とが変えられるとき、前記出力パルスの前記エネルギーが前記望ましい値に保持される、請求項23に請求された方法。
【請求項27】
前記ポンプダイオード電流セッティングの関数として適切なポンプダイオード温度を計算するステップと、
前記ポンプダイオード電流を変えるステップと、
前記ポンプダイオードの放射波長を保持するステップと、をさらに有し、
前記ポンプダイオード電流が変えられるとき、前記保持するステップで、前記ファイバ増幅器媒質による前記ポンプダイオードエネルギの最大吸収が達成される、請求項23に請求された方法。
【請求項28】
前記ポンプダイオード電流セッティングの関数として適切なポンプダイオード温度を保存するステップと、
ポンプダイオード電流を変えるステップと、
前記ポンプダイオードの放射波長を保持するステップと、をさらに有し、
前記ポンプダイオード電流が変えられるとき、前記保持するステップで、前記ファイバ増幅器媒質による前記ポンプダイオードエネルギの最大吸収が達成される、請求項23に請求された方法。
【請求項29】
前記増幅器システムに注入されるパルスの繰り返し率を測定するステップと、
前記注入されるパルスの前記繰り返し率を所定の最小繰り返し率と比較するステップと、
前記注入されるパルスが前記最小繰り返し率より低い繰り返し率をもつとき、前記増幅器のポンプダイオードへの電流を無力にするか減らすかするステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項30】
前記増幅器システムに注入されるパルスの振幅を測定するステップと、
前記ファイバ増幅器に注入される前記パルスの前記振幅を所定の最小振幅値と比較するステップと、
前記ファイバ増幅器に注入される前記パルスの前記振幅が前記所定の最小値より低いとき、前記増幅器のポンプダイオードへの電流を無力にするか減らすかするステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項31】
前記システムの発振器の繰り返し率を測定するステップと、
低い繰り返し率を得るために必要とされる必修降下カウンター分割比を計算するステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項32】
時間或いは温度の関数として前記システムの発振器の前記繰り返し率を変えるステップと、
前記発振器の前記繰り返し率が変えられるとしても望ましい繰り返し率をもつパルスを出力するステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項33】
前記システムの発振器の出力を外部参照信号と同期させるステップと、
前記外部参照信号の周波数を変えるステップと、
前記発振器の繰り返し率を前記外部参照信号に従って自動的に変化させるステップと、をさらに有する請求項23に請求された方法。
【請求項34】
降下カウントされる繰り返し率を前記外部参照信号の変化に従って変えるステップをさらに有する請求項33に請求された方法。
【請求項35】
ポンプダイオード電流を制御でき且つさらにファイバ増幅器の利得を制御できる第1コントローラを有する高パワーファイバ増幅器システムであって、
前記システムが運転中に、システムの出力パルスのパルス幅と繰り返し率とが調整されるとき、出力パルスエネルギーが一定に制御される。
【請求項36】
パルス列の出射フェーズの間、前記出力パルスエネルギーが一定値に保持される請求項35に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項37】
前記ポンプダイオードの電流が変化しても該ポンプダイオードの波長が固定された値に保持されるように、前記ファイバ増幅器のポンプダイオードの温度を制御できる第2コントローラをさらに有する請求項36に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項38】
注入される発振器パルスの繰り返し率或いは外部信号を測定できる第1測定デバイスと、
前記繰り返し率が所定の繰り返し率閾値未満に低下すると前記ポンプダイオード電流を停止するか或いは減らすことができる停止デバイスと、をさらに有する請求項37に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項39】
前記発振器パルスの振幅を測定できる第2測定デバイスをさらに有し、
前記振幅が所定の振幅閾値未満に低下すると、前記停止デバイスが前記ポンプダイオードをさらに停止するか或いは減らすことができる、請求項38に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項40】
種パルスを発生できる種光源と、
前記種光源からの前記種パルスを受けて減衰できる減衰デバイスと、
前記減衰デバイスから前記減衰された種パルスを受けて増幅できる高パワー増幅器と、を有し、
前記種パルスの繰り返し率と振幅の一つ或いは両方が変えられとき、前記増幅された種パルスが不変のエネルギーを保持する、高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項41】
前記減衰デバイスは、降下カウンティング機能を有する40に請求されたシステム。
【請求項42】
前記種光源は、前記減衰デバイスと異なる連合減衰手段を有する40に請求されたシステム。
【請求項43】
高パワーファイバ増幅器システムであって、
前記システムは、レーザ増幅器システムであり、
前記レーザの放射波長をモニタできるモニタリングデバイスと、
前記レーザの波長を調節できる調節デバイスと、を有し、
前記レーザ出力の増加した安定性が達成される。
【請求項44】
前記モニタリングデバイスは、波長ロッカーを有し、
前記波長ロッカーは、エタロンの伝達関数に基づいて前記レーザの出力をモニタし、さらに前記エタロンの透過が測定され、前記エタロン透過の光電流が参照検出器からの光電流と比較される、請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項45】
前記システムはレーザ増幅器システムであり、さらに発振器内にファイバブラッグ格子を有し、前記発振器の前記波長はモニタされ且つ前記ファイバブラッグ格子の温度を制御することで制御される、請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項46】
前記システムはレーザ増幅器システムであり、さらに発振器内にファイバブラッグ格子を有し、前記発振器の波長はモニタされ且つ前記ファイバブラッグ格子に機械的な応力を加えることで制御される、請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項47】
前記システムはレーザ増幅器システムであり、さらに半導体可飽和吸収体を有し、前記発振器の波長はモニタされ且つ前記可飽和吸収体の温度を変えることで制御される、請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項48】
前記システムはレーザ増幅器システムであり、前記発振器の波長はモニタされ且つ前記レーザ光源の共振器内パワーを変えこととポンプダイオード出力を調節することとで制御される請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項49】
前記システムはレーザ増幅器システムであり、前記増幅された高パワーパルスの前記波長はモニタされ且つポンプダイオードの電流を変えることで制御される、請求項43に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項50】
複数の不変レーザパルスを発生できるマスタ発振器と、
前記マスタ発振器から前記複数の不変レーザパルスを受けて、前記複数の不変パルスから選ばれた一つ以上の選択パルスを出力することができるパルス選択器と、
前記パルス選択器から前記選択パルスを受けて、前記選択パルスのそれぞれの振幅を選択的に減衰できるパルス減衰器と、
前記パルス減衰器から前記選択パルスを受けて、前記それぞれの振幅が減衰された前記選択パルスを選択的に増幅するパワー増幅器と、を有する高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項51】
前記パルス選択器と前記パルス減衰器とは一つのデバイスに結合される請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項52】
前記パルス減衰器は、音響光学変調器を有する請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項53】
前記パルス減衰器は、電気光学変調器を有する請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項54】
前記パルス減衰器は、電気吸収変調器を有する請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項55】
前記パルス選択器は、光スイッチを有する請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項56】
前記パルス減衰器からの前記減衰されたパルス出力は、漸進的に増加する振幅をもつ請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項57】
前記パワー増幅器からの出力パルスは、不変振幅をもつ請求項56に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項58】
レーザの種パルスを発生できる半導体ダイオードであって、それぞれの種パルスの振幅が前記ダイオードへの入力ドライブ電流の対応する振幅に基づいている、半導体ダイオードと、
前記ダイオードのドライブ電流を制御できるコントローラであって、前記種パルスの繰り返し率が第1閾値未満のとき前記ドライブ電流が非ゼロ値に減らされる、コントローラと、を有する高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項59】
前記ドライブ電流が前記非ゼロ値に減らされた後、前記ドライブ電流の振幅は、前記種パルスの前記繰り返し率が第2閾値より高いとき再び増やされ、前記第1と第2閾値とは等しい、請求項58に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項60】
複数の望ましい種パルスの各々の振幅それぞれが不変で且つ望ましい値に等しいことを確実にするために、前記ドライブ電流の前記増加が制御される請求項59に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項61】
一つ以上の初期種パルスの各々の前記振幅それぞれは、前記非ゼロ値と前記望ましい値の間である請求項60に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項62】
前記初期種パルスが与えられている間中の時間周期は、前記レーザ増幅器の活性イオンの蛍光寿命におおよそ等しい請求項61に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項63】
前記ダイオードは、前記種パルスの前記繰り返し率が第3閾値未満であるとき補足パルスを出力するために制御される請求項58に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項64】
前記マスタ発振器の前記不変レーザパルスの繰り返し率を決定でき、且つさらに前記パワー増幅器のポンプダイオードへ供給される電流をゼロ或いは非ゼロ値に減らせるコントローラをさらに有する請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項65】
前記コントローラは、前記不変レーザパルスの前記繰り返しり率が名目値と違うとき前記ポンプダイオードへ供給される前記電流を減らす請求項64に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項66】
前記コントローラは、前記不変レーザパルスと前記名目値との間に差があるとき前記ポンプダイオードへ供給される前記電流を減らす請求項65に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項67】
参照タイミング信号を発生できる外部タイミング源をさらに有し、前記マスタレーザからの前記不変パルスが前記参照タイミング信号に同期される請求項50に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項68】
少なくとも一つの端部ミラーを有する光学レーザ共振器をさらに有し、前記少なくとも一つの端部ミラーの位置が前記参照タイミング信号と前記不変レーザパルスとの同期を達成するために制御される請求項67に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項69】
モードロックファイバ発振器をさらに有し、前記ファイバ発振器のファイバが前記参照タイミング信号と前記不変レーザパルスとの同期を達成するために伸長される請求項67に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項70】
前記参照タイミング信号の対応する位相及び周波数を前記不変レーザパルスの対応する位相及び周波数と比較できる位相ロックループをさらに有し、前記ファイバが前記比較に基づいて伸長される請求項69に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項71】
モードロックファイバ発振器をさらに有し、前記モードロックレーザの光学共振器の少なくとも一つの端部ミラーが前記参照タイミング信号と前記不変レーザパルスとの同期を達成するために可動素子に取り付けられている請求項67に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項72】
前記可動素子は、ピエゾ電気トランスデューサを有する請求項71に請求された高パワーファイバ増幅器システム。
【請求項73】
パルスファイバ増幅器システムの保護システムであって、
前記パルスファイバ増幅器システムの出力に同期される出力を発生できる外部タイミング参照デバイスと、
トリガーパルス間の時間周期をモニタするためのモニタリング手段と、
前記時間周期が所定の限界を超えているという決定時に付加的種パルスの付加を開始するための開始手段と、とを有し、
前記開始手段で増幅器のエネルギーが抜き取られ、前記増幅器の損傷が防止される。
【請求項74】
複数の不変レーザパルスを発生できるマスタ発振器と、
前記パルス選択器から前記選択されたパルスを受けて、前記選択されたパルスのそれぞれの振幅を減衰できるパルス減衰器と、
前記パルス減衰器から前記選択されたパルスを受けて、前記選択されたパルスの前記減衰されたそれぞれの振幅を選択的に増幅できるパワー増幅器と、
前記マスタ発振器の前記不変レーザパルスの繰り返し率を決定でき、さらに前記パワー増幅器のポンプダイオードへ供給される電流をゼロ或いは非ゼロ値に減らせるコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記不変レーザパルスの前記繰り返し率が名目値と異なるとき前記ポンプダイオードへ供給される電流を減らす、高パワーファイバ増幅器システム。

【公表番号】特表2007−531314(P2007−531314A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506209(P2007−506209)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/008625
【国際公開番号】WO2005/101705
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】