説明

パルプの製造方法

本発明は、そのつどotroパルプに対して、針葉樹に関しては少なくとも15%のリグニン含有率を有するパルプ、広葉樹に関しては少なくとも12%のリグニン含有率を有するパルプ、または一年草に関しては少なくとも10%のリグニン含有率を有するパルプを製造する方法であって、以下の工程を有する製造方法に関する:そのつどotro木材の量に対して、針葉樹に関して薬品を5%より多く(NaOHとして計算)含有するか、または広葉樹に関して薬品を3.5%より多く(NaOHとして計算)含有するか、または一年草に関して薬品を2.5%より多く含有する薬品溶液を製造する工程、該薬品溶液を、規定の浴比で木材もしくは一年草と混合する工程、薬品溶液と、木材もしくは一年草とを、室温を上回る温度に加熱する工程、および引き続き、(第一の変法)自由に流れる薬品溶液を除去する工程および木材もしくは一年草を蒸気相中で蒸解する工程、または(第二の変法)木材もしくは一年草を液相中で薬品溶液の存在下に蒸解する工程および自由に流れる薬品溶液と木材もしくは一年草とを分離する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材または一年草からパルプを製造する方法であって、そのつど得られたotroパルプに対して、針葉樹の場合には15%を上回る、広葉樹の場合には12%を上回る、および一年草の場合には10%を上回るリグニン含有率を有し、その際、規定の強度特性を有するパルプの製造方法に関する。
【0002】
針葉樹の場合には15%を上回り、かつ広葉樹の場合には12%を上回る、比較的高いリグニン含有率を有するパルプを製造する方法は公知である。これらの方法によれば、使用された原料に対して70%以上の収率がもたらされる。これらの方法は、木材の化学的および/または機械的分解に基づいている。
【0003】
木材を機械的にフィブリル化する場合には、木材は多くの場合、叩解装置中で前蒸解後に繊維の束へと分解される。次いで該繊維束は、その後の叩解により個々の繊維へとフィブリル化される。収率は極めて高いが、しかし適用すべき叩解エネルギーもまた極めて高い。木材繊維の強度は叩解後でも極めて低く、それというのも該繊維は大量の天然リグニンを含有しており、従って結合力が低いからである。木材繊維はさらに、機械的なフィブリル化により著しく分解され、このことによってそのリサイクル性は損なわれる。
【0004】
木材を化学的に蒸解する場合、薬品はたいてい高めた圧力および高めた温度下で木材に作用する。高収率パルプのための典型的な方法として、NSSC法が挙げられる。あるいはまたその他の方法、たとえばクラフト法またはソーダ法も、高収率のパルプを製造するために変更することができる("Choosing the best brightening process"、N.LiebergottおよびT.Joachimides、Pulp&Paper Canada、Vo.80、No.12、1979年12月を参照のこと)。本来使用される木材の分解を最大で30%に限定すべき場合には、必要とされる薬品量はるかに少なく、これはリグニンが完全に除去されるべきパルプの製造の際に使用されるよりも少ない。高収率パルプを製造するための薬品量は、所望の収率に依存して供給される。
【0005】
otro木材使用量に対して約70%の収率を達成するために、従来技術では、出発材料に対して最大10%の薬品を使用することが推奨される。全パルプの場合、薬品使用量は、otro木材に対してしばしば薬品30%か、またはそれ以上である。
【0006】
薬品はプロセスコストを決定するので、その使用量はできる限り節約される。CTMPパルプは通常、3%〜5%の薬品量で製造される。高収率パルプを製造するための工業的に確立された公知法、たとえばNSSC法では、出発材料に対して10%までの薬品が使用される。このようにして限定された薬品使用量の場合、さらに薬品を回収するためのリカバリーは設置されない。比較的少ない薬品量にも関わらず、この種のパルプの製造は、薬品の導入によってのみならず、特に受け器に放出される有機物に基づいて、著しい環境負荷、特に水資源の負荷につながる。
【0007】
コストの状況に関して、機械的に製造されるパルプの場合には、エネルギー価格の著しい上昇は、製造コストの負担になることに留意すべきである。化学的に製造される高収率パルプの場合、その製造は、薬品の損失に関するコストが負担となる。
【0008】
高収率パルプは、目下の使用目的のために高い叩解度まで叩解される。パルプは、そのような場合にのみ認容可能な強度レベルに達するにすぎない。ここでは、41°SR(ショッパー・リーグラー、下記を参照のこと)に相応する約300mlCSF(Canadian Standard Freeness)および26°SRに相応する500mlCFSの値を、高い叩解度とみなすことができ、これらは針葉樹からの高収率パルプに関して、たとえば"Choosing the best brightening process"、N.Liebergott und T.Joachimides、Pulp&Paper Canada、Vo.80、No.12、1979年12月に記載されている。高い叩解度は、機械的エネルギーの使用によって達成される。繊維は互いに、または叩解装置もしくは叩解体によって磨砕され、こうしてその表面特性においてより良好な結合特性へと変化する。
【0009】
つまり高い叩解度は最終目的ではない。これはむしろ、繊維の強度特性に対する要求から生じる。
【0010】
機械的および/または化学的な方法により製造された高収率パルプは特に、必ずしも高い最終白色度および高い白色度安定性が要求されるとは限らないところで使用される。これらは、その強度レベルを高めることができれば、さらに多数のその他の使用分野を開発することができる。
【0011】
従って本発明の課題は、経済的な方法で、高い強度を有するパルプを製造することができ、針葉樹の場合には15%を上回る、広葉樹の場合には12%を上回る、および一年草の場合には10%を上回るリグニン含有率を有するパルプの製造方法を提案することである。
【0012】
前記課題は、以下の工程を有する、針葉樹の場合には少なくとも15%、および広葉樹の場合には12%、ならびに一年草の場合には10%のリグニン含有率を有するパルプを、木材または一年草から製造する方法により解決される:
そのつど使用されるotro木材の量に対して、針葉樹に関しては5%(NaOHとして計算)を超える薬品を含有するか、または広葉樹に関しては3.5%(NaOHとして計算)を超える薬品を含有するか、または2.5%(NaOHとして計算)を超える薬品を含有する薬品溶液を製造する工程、
該薬品溶液を、規定の浴比で木材もしくは一年草と混合する工程、
薬品溶液と、木材もしくは一年草とを、室温を上回る温度に加熱する工程、および引き続き、
(第一の変法)自由に流れる薬品溶液を除去する工程および
木材もしくは一年草を蒸気相中で蒸解する工程、または
(第二の変法)木材もしくは一年草を液相中で薬品溶液の存在下に蒸解する工程および
自由に流れる薬品溶液と、木材もしくは一年草とを分離する工程。
【0013】
本発明による方法は、高収率パルプを製造するために、従来慣用されている量よりも高い薬品量を使用することに基づいている。針葉樹に関して5%より高い薬品量は、明らかに、工業的なパルプの製造のために従来慣用されていた薬品量を上回っており、広葉樹に関して3.5%より高い薬品量および一年草に関して2.5%より高い薬品量についても同様である。この高い薬品使用量は、良好な収率および優れた強度特性を有するパルプをもたらす。たとえば針葉樹に関しては、わずか12°SR〜15°SRの叩解度で、8kmを上回る裂断長、あるいはまた9kmを上回る、および10kmを上回る裂断長が測定される。広葉樹に関しては、わずか20°SRで、5kmを上回る値、あるいはまた6kmを上回る、および7kmを上回る裂断長が測定される。これにより、所望の高い強度レベルが達成される。
【0014】
従来、高収率パルプに関して得ることができなかったこの強度値はすでに極めて低い叩解度で達成されることが、本発明による方法の優れた利点であるとみなすことができる。従来技術によるパルプは、針葉樹に関して12°SR〜15°SRの叩解度で、または広葉樹に関して20°SRの叩解度では、認容可能な強度レベルを示さない。公知のパルプは、この低い叩解度の場合、従来は、十分な結合力を有しておらず、かつ相応して、このようなパルプの経済的な使用に関して十分な強度特性を提供するような繊維は得られなかった。
【0015】
一年草として、特にタケ、アサ、稲わら、バガス、コムギ、ススキなどが適切である。
【0016】
これに対して本発明による方法により製造されたパルプは、すでに12°SR〜15°SRの範囲の叩解度で、100g/m2の面積質量を基準にして、8kmから11kmの裂断長および70cNから110cNを超える引裂強さを有する。このような低い叩解度はさらに、叩解エネルギーの低い特殊な要求によって達成され、これは針葉樹のパルプの場合は500kWt/tパルプ未満であり、広葉樹のパルプの場合、叩解エネルギーに対する要求はそれどころか、300kWt/tパルプ未満である。高い強度レベルがすでに、針葉樹に関しては12°SR〜15°SRの叩解度で、および広葉樹に関しては20°SR以下の叩解度で達成されるという認識は、本発明の重要な部分である。
【0017】
この高い強度値は、針葉樹のパルプに関して15%より高いリグニン含有率、広葉樹のパルプに関しては12%より高いリグニン含有率、または一年草に関しては10%より高いリグニン含有率を有するパルプに関してはこれまで知られていなかった。あるいはまたこの高い強度レベルを、さらに高いリグニン含有率を有するパルプに関しても維持することができる。本発明による方法は、otroパルプに対して18%より高い、有利には21%より高い、好ましくは24%より高いリグニン含有率を有する針葉樹のパルプを製造するためにも適切である。14%を超える、有利には16%を超える、特に有利には18%を超えるリグニン含有率を有する広葉樹のパルプ、ならびに10%を超える、有利には12%を超える、特に有利には19%を超えるリグニン含有率を有する一年草は、同様に、本発明による方法によって製造することができ、かつ高い強度レベルを示す。
【0018】
蒸解のために使用される薬品溶液の組成は、蒸解すべき木材もしくは一年草に、および所望のパルプ特性に合わせて確定することができる。通常、亜硫酸成分のみが使用される。あるいは、または補足的に硫化物成分も用いられる。亜硫酸成分を用いた蒸解は、硫化物成分の存在によって妨げられることはない。技術的には多くの場合、亜硫酸ナトリウムが使用されるが、しかし亜硫酸アンモニウムまたは亜硫酸カリウムまたは重亜硫酸マグネシウムの使用も可能である。特に多量の亜硫酸塩を使用する場合、アルカリ性成分の使用を省略することができる。というのは、アルカリ性成分を添加しなくても、蒸解を促進する高いpH値が調整されるからである。
【0019】
pH値の調整のため、および脱リグニンの促進のために、酸性および/またはアルカリ性の成分を計量供給することができる。アルカリ性成分として、工業的には多くの場合、水酸化ナトリウム(NaOH)が使用される。あるいはまた、カルボン酸塩、特にカルボン酸ナトリウムの使用も可能である。この刊行物中の蒸解法の薬品量に関する全ての記載、たとえば全ての薬品使用量に関する、または亜硫酸成分およびアルカリ性成分の分配に関する記載は、その他の指示がない限り、そのつど水酸化ナトリウム(NaOH)として計算される。
【0020】
所望のpH値を調整するために、酸性成分として酸を計量供給することができる。しかし、SO2を、場合により水溶液として添加することが有利である。消費された、たとえば亜硫酸ナトリウムをベースとする薬品溶液を、蒸解後に、その後の加工のために後処理する場合には特にこれは安価であり、かつ良好に入手可能である。
【0021】
キノン成分を本発明による高収率の蒸解のために使用する利点を認識したことは、本願発明による独自の成果であるとみなすことができる。キノン成分、特にアントラキノンは従来、蒸解の終了時に、炭水化物に対する不所望の攻撃を防止するために、最小のリグニン含有率を有するパルプの製造の際に使用されている。キノン成分の添加により、木材の蒸解を、さらに、リグニンがほぼ完全に分解されるまで継続することが可能である。高収率パルプを製造する際にリグニン分解の速度を著しく高めることは、キノン成分のこれまで知られていなかった予想外の特性であることが判明した。蒸解の継続時間はたとえば針葉樹のパルプを製造する場合には、半分以上、蒸解条件に応じては四分の三以上短縮することができる。この著しい作用は、キノンの最小の使用量で達成される。0.005%〜0.5%の、たとえばアントラキノンの使用が最適である。1%までのアントラキノンの使用もまた、所望の作用をもたらす。3%以上のアントラキノンの使用は最も非経済的である。
【0022】
単独の、または複数の前記の薬品から、薬品溶液が製造される。多くの場合、水性の溶液を製造する。任意の選択肢として、有機溶剤の使用または添加も考えられる。アルコール、特にメタノールおよびエタノールは、水を含有する混合物中で、高品質の高収率パルプを製造するために、特に有効な薬品溶液となる。水とアルコールとの混合比は、そのつどの原料に関して、いくつかの試験で最適化することができる。
【0023】
少なくとも70%の収率でパルプを製造するために本発明により使用される薬品量は、そのつど蒸解すべきotro木材もしくは一年草の質量に対して、針葉樹に関して少なくとも5%、広葉樹に関して少なくとも3.5%、および一年草に関して少なくとも2.5%である。製造されるパルプの品質は、針葉樹に関して15%まで、および広葉樹に関して10%まで、および一年草に関して10%までの薬品使用量の場合に最も良好な結果を示す。有利には、針葉樹の場合、使用されるotro木材に対して、9%〜11%の薬品を添加する。広葉樹に関して、薬品の使用量はむしろより少なく、有利には4%〜10%、特に有利には6%〜8%、および一年草の場合には3〜10%である。
【0024】
すでに前記で記載したように、特定のpH値の調整は全く不要である。蒸解によってパルプの特別な特性(特に高い白色度、裂断長および引裂強さの特定の比率)を達成すべき場合にのみ、酸またはアルカリ性成分を、蒸解の前またはその間に添加することが有意義でありうる。本発明による方法の有利な実施態様によれば、選択される薬品の使用とは無関係に、アルカリ性成分および二酸化硫黄(SO2)の比は、広い範囲で調整することができる。SO2はこの場合、上記の酸性成分の代表例としてあげられる。SO2の代わりに、酸を使用することも可能である。場合により添加されるキノン成分は、最小量でのみ、多くの場合、明らかに1%未満で使用されるので、この比率の調整に関しては無視することができる。4:1〜1.6:1の範囲のアルカリ性成分:SO2の比は、本発明による方法を実施し、かつ高い強度特性を有するパルプを得るために好適である。慣用の、特に適切な範囲は、2:1〜1.6:1である。関与する成分は、蒸解すべき原料およびそのつど選択される方法実施(蒸解温度、蒸解時間、含浸)に依存して適合させる。
【0025】
本発明による方法は、広いpH値範囲で実施することができる。酸性成分に対するアルカリ性成分の比率、もしくは酸性またはアルカリ性の成分の使用は、方法の開始時に、6〜11、有利には7〜11、特に有利には7.5〜10のpH値が調整されるように調整されていてもよい。8〜11の、むしろアルカリ性のpH値は、本発明による方法にとって有利であるが、キノン成分の作用も促進する。本発明による方法は、pH値に関して許容性があり、pH値の調整のために必要とされる薬品はわずかである。このことは、薬品のコストに関しても有利に作用する。
【0026】
酸またはアルカリ性成分をそれ以上添加することなく、たとえば針葉樹に関しては、蒸解の終了時に8〜10、多くの場合8.5〜9.5のpH値が、自由に流れる薬品溶液中で、ならびに蒸解により液状化され、該溶液中に溶解している有機成分中で調整される。溶解した有機成分には、特にリグノスルホネートが挙げられる。
【0027】
浴比、つまりotro木材もしくは一年草対薬品溶液の量の比率は、1:1.5〜1:6の間で調整される。有利には浴比は1:3〜1:5である。この範囲で、蒸解すべき材料の良好かつ簡単な混合および含浸が保証される。針葉樹に関しては、1:4の浴比が有利である。大きな表面積を有する木材チップに関して、浴比は、迅速な湿潤および含浸を可能にするために、これより明らかに高くてもよい。同時に薬品の濃度は、転動される液体量が大きくなりすぎないような高さに維持することができる。
【0028】
木材もしくは一年草の蒸解生成物の混合および含浸は、有利には高めた温度で行う。チップおよび薬品溶液の110℃までの、有利には120℃までの、特に有利には130℃までの加熱は、木材の迅速かつ均一な蒸解につながる。チップの混合または含浸のために、30分までの時間、有利には60分まで、特に有利には90分までの時間が有利である。そのつど最適な継続時間は特に、薬品の量と浴比、ならびに蒸解の種類(液状であるか、気相であるか)に依存する。
【0029】
薬品溶液と混合される、または該溶液によって含浸されるリグノセルロース材料の蒸解は、有利には120℃〜190℃、好ましくは150℃〜180℃の温度で行われる。多くの木材に関して、蒸解温度は155℃〜170℃に調整される。これより高いか、または低い温度を調整することができるが、しかしこの温度範囲で、加熱および蒸解の促進のためのエネルギー消費は、相互に経済的な比率にある。さらに、比較的高い温度はパルプの強度および白色度に否定的な影響を与えうる。高い温度によって生じる圧力は、相応してボイラを敷設することによって容易に吸収することができる。通常、加熱の時間は、特に蒸気により加熱する場合には、わずか数分であり、多くの場合、30分まで、有利には10分までである。加熱の時間は、たとえば液相中で蒸解すべき場合、および薬品溶液をチップと共に加熱する場合には、90分まで、有利には60分まで継続してもよい。
【0030】
蒸解の継続時間は特に所望のパルプの特性に依存して選択される。蒸解の継続時間は、たとえば低いリグニン含有率を有する広葉樹の蒸気相蒸解の場合には、2分にまで短縮することができる。あるいはまた、この時間は、たとえば蒸解温度が低く、かつ蒸解すべき木材の天然のリグニン含有率が高い場合には、180分までであってもよい。蒸解の開始時のpH値が中性の範囲に存在する場合にも、長い蒸解時間が必要とされる場合がある。有利には蒸解時間は、特に針葉樹の場合には90分までである。特に有利には、蒸解時間は60分まで、有利には30分までである。60分までの蒸解時間が特に広葉樹の場合には考慮される。
【0031】
一年草の場合には、蒸解時間は90分までである。キノン成分、特にアントラキノンの使用によって、アントラキノンを添加しない場合に必要とされる時間の25%までの蒸解時間の短縮が可能となる。キノン成分の使用を断念する場合、比較可能な蒸解結果に関して、蒸解時間は、1時間以上、たとえば45分から180分へと延長される。
【0032】
本発明による方法の有利な実施態様によれば、蒸解の時間は、選択される浴比に依存して調整される。浴比が小さいほど、プロセス時間を短く調整することができる。
【0033】
針葉樹に関して5%以上、広葉樹に関して3.5%以上、および一年草に関して少なくとも2.5%の高い薬品使用量での高収率パルプの製造は最初は非経済的であると思われる。しかし試験によれば、薬品の一部のみがリグノセルロース材料の部分的な蒸解の間に消費されることが判明した。薬品の主要部は、蒸解前に(蒸気相蒸解の場合)または蒸解後(液相蒸解の場合)に、消費されずに排出される。薬品の本来の消費量は、蒸解溶液中で使用される量を下回る。
【0034】
薬品の消費量は、本来使用される薬品の量に対する、薬品溶液の除去または分離後の、ならびに場合により蒸解後に、または薬品溶液の把握との関連で測定される薬品溶液を把握した後の薬品の量として捉えられる。薬品消費量は、蒸解すべきotro木材の質量に対して、蒸解のために使用される薬品の絶対量に依存する。蒸解薬品の使用量が高い程、薬品の直接的な反応率が低くなる。otro木材質量に対して27.5%の薬品の使用量の場合、たとえば使用される薬品の約30%が消費される。しかし、otro木材に対して15%の薬品の使用量の場合、使用される薬品の60%が消費される。このことは実験室での試験において証明することができた。本発明による方法のための薬品消費量は、方法の有利な実施態様によれば、蒸解の間に、蒸解の開始時に使用される薬品使用量の80%まで、有利には60%まで、特に有利には40%まで、好ましくは20%まで、特に好ましくは10%までである。
【0035】
パルプ1トンを製造するための薬品消費量は、otroパルプ(広葉樹および針葉樹もしくは一年草)に対して、亜硫酸塩および/または硫化物成分、並びに場合によりアルカリ性および/または酸性の成分、ならびに場合によりキノン成分約6%〜14%である。本発明によれば、この量の薬品で、前記の特性を有するパルプを製造するために十分である。しかし均一な方法結果を保証し、かつ場合により特別な、所望のパルプ特性を得るためには、蒸解のために、たとえば前記の、otro木材もしくは一年草の質量に対して薬品30%までより高い薬品量を使用することが有意義でありうることが判明した。
【0036】
蒸解の開始時におけるこの薬品量の使用は、有利な作用を示す。というのも、このようにして得られたパルプは、これまで得られなかった特性、特に高い強度特性および高い白色度を有しているからである。特に従来、中性からアルカリ性の範囲の広いpH値範囲にわたって高い強度を有するパルプを製造する蒸解法は存在していなかった。本発明により製造されるパルプは、公知のパルプよりもはるかに低いエネルギー需要で、規定の叩解度に叩解されていることが経済的に特に魅力的であることが判明した。さらに、高い強度はすでに、針葉樹に関しては12°SR〜15°SRの、および広葉樹に関しては20°SRの極めて低い叩解度で生じる。
【0037】
薬品の過剰量は、木材と薬品溶液とを混合し、かつ含浸した後に、もしくは自由に流れる液体中で蒸解した後に存在している。この過剰量は、蒸解の前に(第一の変法)または蒸解後に(第二の変法)除去される。方法の有利な実施態様によれば、除去される薬品溶液の組成を把握し、かつ引き続き改めて繊維の製造のために使用するために、規定の組成に調整する。木材もしくは一年草の蒸解の前または後に除去される薬品溶液は、当初に調整された組成をもはや有していない。蒸解のために使用される薬品の少なくとも一部は、前記のとおり、蒸解すべき材料中に浸透し、かつ/または蒸解の際に消費される。消費されなかった薬品は、次の蒸解のために容易に再使用することができる。しかし本発明によれば、除去された薬品溶液の組成をまず決定し、かつ次いで消費された割合の、たとえば亜硫酸塩、アルカリ性成分、キノン成分または水もしくはアルコールも補充して、再度、次の蒸解のために規定された組成を作る。この補充工程は、強化(Aufstaerken)とも呼ばれる。
【0038】
薬品溶液をまず、蒸解前に除去する際に、あるいはまた蒸解後に除去する際にも、次の蒸解のために強化された薬品を改めて使用する際に妨げとなることが明らかな物質を全く含まないか、またはわずかに含むにすぎないことは、この措置の著しい利点であるとみなされる。従って、含浸の際に、蒸解用薬品の供給過剰が提供されるように調整されている本発明による方法は、まずは非経済的であると思われる高い薬品使用量の方法であるにもかかわらず、極めて経済的に実施される。というのも、薬品溶液の除去もしくは分離および強化は、簡単かつ安価に実施することができるからである。
【0039】
本発明による方法は、使用される出発材料ができる限りわずかに分解または溶解されるように制御される。otroパルプに対して、針葉樹に関しては少なくとも15%、有利には少なくとも18%、特に有利には21%、とりわけ少なくとも24%のリグニン含有率を有するパルプが所望される。広葉樹に関しては、otroパルプに対して、少なくとも12%、有利には少なくとも14%、特に有利には少なくとも16%、とりわけ少なくとも18%のリグニン含有率が所望される。一年草の場合、リグニン含有率は有利には10〜28%、特に12〜26%である。
【0040】
本発明による方法の収率は、そのつど使用される木材に対して少なくとも70%、有利には75%以上、好ましくは80%以上である。この収率は、前記のパルプのリグニン含有率と相関する。木材の当初のリグニン含有率は、その種類に関して特異的である。本発明による方法の場合、収率の損失は主としてリグニンの損失である。非特異的な蒸解法の場合、炭化水素の割合は、たとえば蒸解用薬品自体が、望ましくないことであるが、セルロースまたはヘミセルロール中も溶解するために明らかに高まる。
【0041】
別の有利な措置は、リグノセルロース材料をフィブリル化および場合により叩解した後にも、なお残留する薬品溶液を除去し、かつその後の使用に供給することである。この更なる使用は、有利な実施態様では2つの側面を含んでいる。一方では、部分的な蒸解の間に分解されるか、または溶解される有機材料、主としてリグニンをさらに利用する。これはたとえばプロセスエネルギーを得るために燃焼される。あるいはその他の方法で利用するために後処理される。他方、消費された、および消費されなかった薬品は、リグノセルロース材料を改めて部分的に蒸解するために使用することができるように後処理される。これには消費された薬品の後処理が属する。
【0042】
本発明による方法の特に有利な変法によれば、使用される薬品溶液は極めて効率的に利用される。フィブリル化および場合により叩解の後で、パルプを洗浄して薬品溶液を水によりできる限り排除する。この洗浄もしくは排除工程の際に生じる濾液は、著量の薬品溶液および有機材料を含有している。本発明によれば、この濾液を、除去された、または分離された薬品溶液に供給し、次いで該薬品溶液を強化し、かつ次の蒸解に供給する。濾液中に含有されている薬品および有機成分は、蒸解を妨げない。次の蒸解の間の脱リグニン化のためにまだ貢献する限り、薬品溶液中のその含有率を把握し、かつこの蒸解のために必要とされる薬品量の測定の際に考慮する。さらに濾液中に含まれる薬品は、次の蒸解の間、不活性である。これらが妨げとなることはない。濾液中に含有されている有機成分は、同様に不活性である。該成分は次の蒸解の後に、プロセスエネルギーを生じるか、またはその他の方法で、薬品溶液の後処理の際にさらに使用される。
【0043】
濾液をこのように案内することによって、蒸解のために使用される新鮮水および薬品が少なくなることが特別な利点であるとみなされる。同時に溶解した有機材料の最大量を把握する。溶解した有機材料のこの改善された利用は、本発明による方法の経済性を改善する。
【0044】
本発明による方法および装置の詳細を、実施例に基づいて以下に詳細に記載する。
【0045】
以下の試験は、以下の規定により評価される:
収率は、使用される原料および蒸解後に得られたパルプを、そのつど105℃で、質量が一定になるまで乾燥させて秤量することによって計算される。
【0046】
リグニン含有率は、TAPPT T222 om−98によりクラーソン・リグニンとして測定した。
【0047】
酸可溶性リグニンは、TAPPI UM 250によって測定した。
【0048】
製紙工業上の特性は、Zellchemingの説明書のV/8/76により製造した試験紙を用いて測定した。
【0049】
叩解度は、Zellchemingの説明書のV/3/62により把握した。
【0050】
かさ密度は、Zellchemingの規定のV/11/57により測定した。
【0051】
裂断長は、Zellchemingの規定のV/12/57により測定した。
【0052】
引裂強さは、DIN53128のElmendorfにより確認した。
【0053】
比引張強さ、比引裂強さおよび比破裂強さの測定は、TAPPI 220 sp96により行った。
【0054】
白色度は、Zellchemingの説明書のV/19/63の記載により試験紙の製造により確認し、Datacolor elrepho 450×Photometerを用いてSCAN C11:75により測定し、白さはISO基準2470によりパーセントで記載した。
【0055】
粘度はZellstoff− und Papier−Chemiker und −Ingenieure(パルプおよび紙の化学者および技術者)(Zellcheming)協会の説明書のIV/36/61により測定した。
【0056】
この書類中の全ての%の記載は、個別的にその他の指示がない限り、質量%として読むべきである。この刊行物における「otro」の記載は、105℃で質量が一定になるまで「炉中で乾燥させた」材料に関するものである。
【0057】
蒸解のための薬品は、その他の記載がない限り、水酸化ナトリウムとして質量%で記載されている。
【0058】
例1:液相中での針葉樹の蒸解
トウヒおよび米マツのチップからなる混合物に、スチーミング(105℃の飽和蒸気で30分)後に、亜硫酸ナトリウム蒸解溶液を、木材:蒸解溶液の浴比1:3で添加した。薬品の全使用量は、otroチップに対して15%未満である。蒸解の開始時のpH値は、SO2の添加によりpH6に調整した。
【0059】
薬品溶液に含浸したトウヒチップを、170℃で90分の時間にわたり加熱し、かつこの最大温度で60分間蒸解した。
【0060】
引き続き、自由に流れる液体を遠心分離により除去し、容器に収容し、かつ返送のための装置中で、消費されなかった液体を分析し、強化し、かつこうして次の蒸解のために準備した。
【0061】
蒸解したチップをフィブリル化する。こうして製造されたパルプの部分量を、異なった叩解度における強度を測定するために、異なった時間、叩解した。部分的に蒸解されたチップをフィブリル化するためのエネルギーコストは、300kWt/tパルプ未満であった。
【0062】
この試験における収率は、使用した木材材料に対して77%であった。
【0063】
これは、20%をはるかに上回るリグニン含有率を有するパルプに相応する。トウヒに関する平均的なリグニン含有率は、otro木材材料に対して28%である(Wagenfuehr、Anatomie des Holzes、VEB Fachbuchverlag Leipzig、1980年)。パルプの実際のリグニン含有率は20%よりも高い。というのも、蒸解の間に主として(ただしもっぱらではないが)リグニンが分解されるからである。炭水化物(セルロースおよびヘミセルロース)もまた、少量溶解する。記載された値は、蒸解が、リグニンおよび炭水化物の分解を鑑みて良好な選択率を有することを示している。
【0064】
白色度は、ISOにより55%を上回る値であり、これは予想以上に高く、かつ場合によりその後に行う漂白のための良好な出発ベースであり、ここではISOにより75%の白色度が達成されている。
【0065】
12°SRの出発叩解度の場合、これらの物質はすでに、1.87cm3/gの比重で6kmの裂断長を有している。
【0066】
パルプを15°SRの叩解度に叩解するために、20分〜30分の叩解時間が必要である。20分までの叩解時間(叩解度12°SR〜15°SR)で、叩解度は蒸解の開始時のpH値(pH6〜pH9.4)とは無関係に狭い範囲で生じる。
【0067】
同様に、蒸解の初期pH値および叩解度を達成するために必要とされる叩解時間とは無関係に、15°SRの叩解度で、高い強度レベルが達成される。
【0068】
例2
パルプは、トウヒのチップから製造し、その際、蒸解の開始時のpH値は9.4であった。
【0069】
15%の全薬品(規定の比率での亜硫酸塩およびNaOH)に加えて、薬品溶液には、使用される木材量に対して0.1のアントラキノンを添加した。
【0070】
蒸解の時間は、60分であった。
【0071】
その際に、以下の値が生じた:
収率(%):81.1
リグニン含有率:22.7
白色度(% ISO):53.7
裂断長(km):9.6
引裂強さ(cN;100g/m2):75.0
アントラキノン0.1%の添加により、蒸解の時間は、その他の蒸解条件を変更することなく、約180分から60分へと短縮することができる。この時間の利益はとりわけ、パルプを製造するための装置の寸法を小さくすることができるために貴重である。その他の節約の可能性は、蒸解のために必要とされる温度を、極めて短い時間にわたって維持する必要があるにすぎないことにある。
【0072】
さらに、全薬品の使用量が、ほぼ同等の良好な特性で、針葉樹のパルプの場合に5〜15%の値にまで著しく低減することが確認された。これらの結果は、アントラキノンの使用に依存するものではない。アントラキノンは、蒸解の促進をもたらすが、しかしアントラキノンを添加しなくても所望のパルプを蒸解することができる。
【0073】
例3:液相中での広葉樹の蒸解
ユーカリの木のチップに、スチーミング処理後に1:3の木材−蒸解溶液の浴比で亜硫酸ナトリウム蒸解溶液を添加した。薬品の使用量はこの場合、otroチップあたり10.5%(NaOHとして)であった。
【0074】
90分の時間内に、蒸解生成物を含浸し、かつ煮沸産物を170℃の最大蒸解温度に加熱した。煮沸時間は50分であった。
【0075】
ユーカリの木の蒸解は、該物質が250KWh/tより小さいフィブリル化のための比エネルギー入力で製造することができることを示している。
【0076】
この試験における収率は、使用した木材材料に対して77%であった。14°SRの出発叩解度の場合、これらの物質はすでに、2.05cm3/gの比重で3.5kmの裂断長を有している。これらの物質は、その後の漂白において、ISOにより79.6%の漂白度に漂白される。
【0077】
試験により、蒸気相における蒸解は、低い全時間要求を示すことが明らかとなった。液相での蒸解に対して、最大の蒸解温度への加熱ははるかに迅速に行われる。この場合、本来の蒸解は、液相中での煮沸と同様に時間を必要とする。蒸気相での蒸解の間に、自由に流れる薬品溶液は存在していない。該溶液は含浸後および蒸解前に除去される。従って該溶液は、液相での蒸解後に除去される薬品溶液よりも少ない有機材料が添加されている。しかしこのことが、生じたパルプの品質に対して顕著な影響を与えることはない。
【0078】
蒸気相での蒸解の間、収率において同様の値が達成可能である一方で、蒸気による蒸解の際に生じるパルプの白色度は、明らかに低い。最大の蒸解温度が170℃から155℃へと低下することによって著しい効果がもたらされる。白色度が向上する。
【0079】
蒸気相で製造されたパルプは、優れた強度を有している。裂断長さはたとえば15°SRで10kmおよび11kmで測定された。引裂強さはたとえば82.8cNおよび91.0cNで測定された。これらの値は、液相での蒸解に関して達成された、高いリグニン含有率を有するパルプに関する最善の値に相応するか、またはこれを上回る。従来技術からの高いリグニン含有率を有するパルプに関して比較可能な強度の値は知られていない。
【0080】
これらの実施例から特に、引裂強さを低下させることなく高い裂断長を得るために、本発明によるパルプは叩解の際にわずかなエネルギーコストを必要とするのみであることが明らかに見て取れる。12°SRの叩解度は、そのつど0〜10分で達成され、13°SRの叩解度は、5〜30分、多くの場合、10〜20分で達成される。14°SRの叩解度に達するためには、Jokroミルを30〜40分運転する必要があり、かつ15°SRの叩解度は、35〜40分を必要とする。40°SR前後の叩解度までの叩解は、著しい叩解エネルギーコストを必要とするであろうことは明らかである。従って本発明による方法の特別な利点は、叩解すべきパルプの低いエネルギーコストで高い強度が得られることに見られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
そのつどotro(炉中で乾燥させた)木材の量に対して、針葉樹に関して薬品を5%より多く(NaOHとして計算)含有するか、または広葉樹に関して薬品を3.5%より多く(NaOHとして計算)含有するか、または一年草に関して薬品を2.5%より多く含有する薬品溶液を製造する工程、
該薬品溶液を、規定の浴比で木材もしくは一年草と混合する工程、
該薬品溶液と、木材もしくは一年草とを、室温を上回る温度に加熱する工程、および引き続き、
(第一の変法)自由に流れる薬品溶液を除去する工程および
木材もしくは一年草を蒸気相中で蒸解する工程、または
(第二の変法)木材もしくは一年草を液相中で蒸解する工程および
自由に流れる薬品溶液と木材もしくは一年草とを分離する工程
を有する、針葉樹の場合には少なくとも15%、広葉樹の場合には少なくとも12%、および一年草の場合には少なくとも10%のリグニン含有率を有するパルプを、木材または一年草から製造する方法。
【請求項2】
針葉樹に関して、otroパルプに対して、リグニンを少なくとも15%、有利にはリグニンを少なくとも18%、好ましくはリグニンを少なくとも21%、特にリグニンを少なくとも24%含有するパルプ、または広葉樹に関して、otroパルプに対して、リグニンを少なくとも14%、有利には少なくとも16%、特に有利には少なくとも18%含有するパルプ、または一年草に関して、otroパルプに対して、リグニンを少なくとも10%、有利には少なくとも12%、特に少なくとも19%含有するパルプを製造することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
薬品溶液を製造するために、キノン成分を使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
針葉樹を蒸解するために、薬品を最大で15%、有利には薬品を9〜11%使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
広葉樹を蒸解するために、薬品を最大で10%、有利には薬品を4〜10%、特に薬品を6〜8%使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
一年草を蒸解するために、薬品を最大で10%、有利には薬品を3〜10%使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
薬品溶液を製造するために、亜硫酸塩および硫化物を、単独で、または混合物として使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
薬品溶液を製造するために、酸性成分および/またはアルカリ性成分、特に酸、二酸化硫黄、水酸化ナトリウムおよび/または炭酸塩を使用することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
蒸解のために、アルカリ性成分および酸性成分、特にSO2を使用し、その際、アルカリ性成分:SO2の比を、4:1〜1.6:1、有利には2:1の範囲に調整することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
方法を、6〜11、有利には7〜11、特に有利には7.5〜10のpH値で実施することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
木材:薬品溶液の浴比を、1:1.5〜1:6、有利には1:3〜1:5に調整することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
薬品溶液および木材もしくは一年草を、130℃まで、有利には120℃まで、好ましくは110℃まで加熱することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
木材もしくは一年草の、および場合により薬品溶液の加熱を、90分まで、有利には60分まで、好ましくは30分まで、特に有利には10分まで継続することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
木材もしくは一年草の蒸解を、120℃〜190℃の温度で、有利には150℃〜180℃の温度で、特に有利には160℃〜170℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
木材もしくは一年草の蒸解を、180分まで、有利には90分まで、特に有利には60分まで、好ましくは30分まで、特に有利には2分まで継続することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
蒸解の時間を浴比に依存して選択することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
蒸解の間の薬品の消費が、蒸解の開始時の薬品使用量の80%まで、有利には60%まで、特に有利には40%まで、好ましくは20%まで、特に有利には10%までであることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
除去または分離された薬品溶液の組成を把握し、かつ引き続き改めて繊維の製造のために規定の組成に調整することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
蒸解したリグノセルロース材料をフィブリル化および場合により叩解した後で放出された薬品溶液を除去し、かつ更なる使用のために供給することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2009−540132(P2009−540132A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513554(P2009−513554)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003012
【国際公開番号】WO2007/140837
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】