パルプモールド構造体
【課題】 紙粉発生を抑制しつつ、パルプモールド構造体に所望の機能材の機能を付加できるパルプモールド構造体を提供する。
【解決手段】 包装材1(パルプモールド構造体)は、パルプモールドよりなり上方が開放された容器形状を有し、内部に内容物83が収納される本体11と、本体11の内面に設置される、緩衝性を有する樹脂発泡シートよりなる機能材12a、12b及び12cと、機能材12a、12b及び12cを含み本体11の内面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルム13とを備える。このように構成すると、機能材12a、12b及び12cは合成樹脂フィルム13を介して本体11に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、包装材1の所望の位置に機能材12a、12b及び12cの緩衝機能を付加でき、包装材1の緩衝機能が向上する。
【解決手段】 包装材1(パルプモールド構造体)は、パルプモールドよりなり上方が開放された容器形状を有し、内部に内容物83が収納される本体11と、本体11の内面に設置される、緩衝性を有する樹脂発泡シートよりなる機能材12a、12b及び12cと、機能材12a、12b及び12cを含み本体11の内面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルム13とを備える。このように構成すると、機能材12a、12b及び12cは合成樹脂フィルム13を介して本体11に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、包装材1の所望の位置に機能材12a、12b及び12cの緩衝機能を付加でき、包装材1の緩衝機能が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパルプモールド構造体に関し、特に包装材や容器等に用いられるパルプモールド構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、特許文献1に示されているような従来のパルプモールド構造体の一つである包装材の斜視図であり、図12は、図11で示したXII−XIIラインの断面模式図である。
【0003】
これらの図を参照して、包装材81は、木材繊維をはじめとする植物繊維から作られたバージンパルプ、古紙パルプ等を原料とするパルプモールドよりなり、上方が開放された容器形状に形成されている。包装材81の内側表面には、バインダー成分である合成樹脂化合物と発泡状態のマイクロカプセル型発泡剤からなる発泡層82が備えられている。このように構成すると、例えば青果物等のような表面に傷が付きやすい内容物83を包装材81の内部に入れた場合でも、発泡層82の部分が発泡スチロール並みに柔らかく、緩衝性を有するため、内容物83に傷が付きにくい。
【0004】
しかし、上記のような従来のパルプモールド構造体では、発泡層82が包装材81より剥がれ落ちて、包装材81の緩衝機能が損なわれる虞がある。
そこで、特許文献2に開示されているような、原料の全パルプ成分中に湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範囲であるカールドファイバーを25〜100重量%含有することにより、柔らかな表面を有し、緩衝性能に優れたパルプモールド包装材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−324400号公報
【特許文献2】特開平10−218245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2で開示されているような従来のパルプモールド包装材料では、内容物がパルプモールド包装材料の表面に直に接するため、内容物とパルプモールド包装材料とが擦れあい、紙粉が発生して内容物を汚す虞があるという別の問題が生じる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、紙粉発生を抑制しつつ、パルプモールド構造体に所望の機能材の機能を付加できるパルプモールド構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、パルプモールド構造体であって、パルプモールドよりなる本体と、本体の一方面に設置された機能材と、機能材を含み一方面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルムとを備えたものである。
【0009】
このように構成すると、機能材は合成樹脂フィルムを介して本体に保持される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、樹脂発泡シートを含むものである。
【0011】
このように構成すると、機能材が緩衝性を有する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、樹脂気泡シートを含むものである。
【0013】
このように構成すると、各気泡の間のスペースに本体と合成樹脂フィルムとの隙間による空気層が生じる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、吸湿材を含み、合成樹脂フィルムは、少なくとも吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有するものである。
【0015】
このように構成すると、機能材が吸湿性を発揮する。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、仕切り材を含むものである。
【0017】
このように構成すると、仕切り材により本体が区分けされる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、本体は容器形状を有し、機能材は本体の内面に設置されるものである。
【0019】
このように構成すると、本体の内面は種々の機能を発揮する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、機能材は合成樹脂フィルムを介して本体に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、パルプモールド構造体に機能材の機能を付加できる。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、機能材が緩衝性を有するので、パルプモールド構造体の緩衝機能が向上する。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、各気泡の間のスペースに本体と合成樹脂フィルムとの隙間による空気層が生じるので、機能材の気泡及び空気層により緩衝機能が更に向上する。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、機能材が吸湿性を発揮するので、パルプモールド構造体は吸湿機能を有するものとなる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、仕切り材により本体が区分けされるので、本体は変えずに仕切り材を選定することによって所望に区画されたパルプモールド構造体となる。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、本体の内面は種々の機能を発揮するので、パルプモールド構造体は効率的でかつ付加価値の高い容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの端面図である。
【図3】図1で示した包装材の製造工程を示した模式図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図5】図4で示したV−Vラインの端面図である。
【図6】図5で示した“X”部分の拡大端面図である。
【図7】この発明の第3の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
【図9】この発明の第4の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図10】図9で示した包装材の製造工程を示した模式図であって、第1の実施の形態の図3に対応する図である。
【図11】従来のパルプモールド構造体の一つである包装材の斜視図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であり、図2は、図1で示したII−IIラインの端面図である。
【0028】
これらの図を参照して、包装材1(パルプモールド構造体)は、葦やサトウキビから得られる非木材素材から形成される厚さ0.3mm〜5.0mmのパルプモールドよりなり、上方が開放された容器形状を有する本体11と、本体11の一方面である本体11の内面に設置される機能材12a、12b及び12cと、機能材12a、12b及び12cを含み本体11の内面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルム13とを備える。本体11の内部には、内容物83が収納される。
【0029】
このように構成すると、機能材12a、12b及び12cは合成樹脂フィルム13を介して本体11に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、包装材1の所望の位置に機能材12a、12b及び12cの機能を付加できる。又、本体11の内面は機能材12a、12b及び12cの特性に応じて種々の機能を発揮するので、包装材1は効率的でかつ付加価値の高い容器となる。更に、包装材1の廃棄時に合成樹脂フィルム13を剥がすことで、本体11、合成樹脂フィルム13及び機能材12a、12b及び12cの各々に分けて、各々の素材に応じて分別して廃棄及びリサイクルすることができる。
【0030】
この実施の形態にあっては、機能材12a、12b及び12cは、樹脂発泡シートよりなる。このように構成すると、機能材12a、12b及び12cが緩衝性を有するので、包装材1の緩衝機能が向上する。
【0031】
合成樹脂フィルム13は、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂からなる熱可塑性を有するものであり、本体11の内面側の面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)よりなる図示しない接着層を有する。尚、合成樹脂フィルム13の内面側にアルミ蒸着を施しても良い。
【0032】
図3は、図1で示した包装材の製造工程を示した模式図である。
【0033】
まず、図3の(1)を参照して、本体11の内面の所望の位置に接着剤等を介して機能材12a、12b及び12cを固定して配置する。
【0034】
次に、図3の(2)を参照して、鉄、ステンレス、アルミニウム合金、真鍮又は樹脂よりなる吸引孔62が形成された金型61に図3の(1)で示した本体11を挿入した後、ヒーター63で熱した合成樹脂フィルム13を、吸引孔62を介して本体11の内面全体に向かって吸引する。
【0035】
すると、図3の(3)を参照して、機能材12a、12b及び12cを含み、本体11の内面全体を覆うようにして、上述した本体11の内面側の面に有する接着層を介して、合成樹脂フィルム13が本体11に貼り付く。最後に、合成樹脂フィルム13が貼り付いた本体11の外周を、図示しないトムソン刃やタガネ等で所定の寸法にカットして、包装材1の製造工程を終了する。
【0036】
図4は、この発明の第2の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図5は、図4で示したV−Vラインの端面図であり、図6は、図5で示した“X”部分の拡大端面図である。
【0037】
まず、図4を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、樹脂気泡シートよりなる機能材22a、22b及び22cに置き換えられている。尚、他の部分は図1に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0038】
次に、図5を参照して、機能材22aを含み本体11の内面全体を覆うように合成樹脂フィルム13が貼り付けられている。
【0039】
更に、図6を参照して、合成樹脂フィルム13は機能材22aを覆って貼り付けられているが、機能材22aを構成する気泡23において、隣り合う気泡23と対向する部分については、合成樹脂フィルム13が貼り付いていない。これは、図3の(2)で示した合成樹脂フィルム13の貼り付け工程において、合成樹脂フィルム13と本体11との間の空気が機能材22aの周囲から吸引されていき、機能材22aはその端部から徐々に中心に向かって合成樹脂フィルム13に覆われるため、気泡23同士の間の空気が完全に抜け切らないからである。このため、気泡23同士の間のスペースに、本体11と合成樹脂フィルム13との隙間による空気層24が生じる。このように構成すると、気泡23及び空気層24により包装材1の緩衝機能が更に向上する。
【0040】
図7は、この発明の第3の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図8は、図7で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
【0041】
まず、図7を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、吸湿材よりなる機能材32に、合成樹脂フィルム13が、開口33を有するものに、それぞれ置き換えられている。尚、他の部分は図1に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0042】
次に、図8を参照して、機能材32を被覆する部分において、合成樹脂フィルム13に複数の開口33が設けられており、機能材32が包装材1の内面側に露出している。このように構成すると、機能材32が吸湿性を発揮するので、包装材1は吸湿機能を有するものとなる。尚、開口33は合成樹脂フィルム13を本体11の内面全体に貼り付けた後に形成される。
【0043】
ところで、パルプモールドは、上述のように水と葦やサトウキビ等から得られる非木材素材とを攪拌したものからなる懸濁液を金型に流し込んで、抄き上げたものを加熱プレス或いは直接乾燥することにより形成される。そこで、パルプモールドにおいては、所望の形状を得るためには、その形状に応じた金型を個別に用意する必要があり、コスト高となるという問題があった。そこで、このような課題を解決するものとして、以下のパルプモールド構造体が考えられる。
【0044】
図9は、この発明の第4の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図10は、図9で示した包装材の製造工程を示した模式図であって、第1の実施の形態の図3に対応する図である。
【0045】
これらの図を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、仕切り材よりなる機能材42に置き換えられている。このように構成すると、機能材42の形状により本体11が区分けされるので、本体11の形状は変えずに機能材42を選定することによって所望に区画された包装材1となる。又、本体11を変えずに区画を変更できるため、小ロット多品種の生産が容易であり、包装材1の形状に応じた金型の準備が不要となるので、低コストとなる。
【0046】
機能材42は側面視逆V字形状を有する。このように構成すると、図10の(1)で示す、機能材42の本体11の内面の所望の位置への配置時、及び図10の(2)で示す、合成樹脂フィルム13の吸引時に機能材42が倒れにくく、機能材42の配置状態が安定する。尚、他の部分は図1及び図3に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0047】
尚、上記の各実施の形態では、本体は容器形状を有するものであったが、平板形状等、他の形状を有するものであってもよい。
【0048】
又、上記の各実施の形態では、機能材は、樹脂発泡シート、樹脂気泡シート、吸湿材又は仕切り材よりなるとしていたが、例えば、立体模様、ICチップ、冷却剤や発泡スチロール等の他の機能を有するものであってもよい。
【0049】
更に、上記の各実施の形態では、合成樹脂フィルムは熱可塑性を有するものであったが、熱可塑性を有さない合成樹脂フィルムをそのまま貼り付けるようにしてもよい。
【0050】
更に、上記の第3の実施の形態では、合成樹脂フィルムは複数の開口を有するものであったが、少なくとも吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有するものであればよい。
【0051】
更に、上記の第4の実施の形態では、機能材は、側面視逆V字形状を有するものであったが、他の形状を有するものであってもよい。
【0052】
更に、上記の各実施の形態では、包装材は、その本体の内面に設置された機能材により一つの機能が付加されたものであったが、機能の異なる複数の機能材を本体の内面に備えることにより、複数の機能が付加されたものであってもよい。
【0053】
更に、上記の各実施の形態では、本体の内面のみに機能材を配置したが、外面に機能材を設置してもよい。このようにすると、外からの衝撃に対しても更に効果的である。
【符号の説明】
【0054】
1…包装材
11…本体
12a、12b、12c…機能材
13…合成樹脂フィルム
22a、22b、22c…機能材
32…機能材
33…開口
42…機能材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明はパルプモールド構造体に関し、特に包装材や容器等に用いられるパルプモールド構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、特許文献1に示されているような従来のパルプモールド構造体の一つである包装材の斜視図であり、図12は、図11で示したXII−XIIラインの断面模式図である。
【0003】
これらの図を参照して、包装材81は、木材繊維をはじめとする植物繊維から作られたバージンパルプ、古紙パルプ等を原料とするパルプモールドよりなり、上方が開放された容器形状に形成されている。包装材81の内側表面には、バインダー成分である合成樹脂化合物と発泡状態のマイクロカプセル型発泡剤からなる発泡層82が備えられている。このように構成すると、例えば青果物等のような表面に傷が付きやすい内容物83を包装材81の内部に入れた場合でも、発泡層82の部分が発泡スチロール並みに柔らかく、緩衝性を有するため、内容物83に傷が付きにくい。
【0004】
しかし、上記のような従来のパルプモールド構造体では、発泡層82が包装材81より剥がれ落ちて、包装材81の緩衝機能が損なわれる虞がある。
そこで、特許文献2に開示されているような、原料の全パルプ成分中に湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範囲であるカールドファイバーを25〜100重量%含有することにより、柔らかな表面を有し、緩衝性能に優れたパルプモールド包装材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−324400号公報
【特許文献2】特開平10−218245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2で開示されているような従来のパルプモールド包装材料では、内容物がパルプモールド包装材料の表面に直に接するため、内容物とパルプモールド包装材料とが擦れあい、紙粉が発生して内容物を汚す虞があるという別の問題が生じる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、紙粉発生を抑制しつつ、パルプモールド構造体に所望の機能材の機能を付加できるパルプモールド構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、パルプモールド構造体であって、パルプモールドよりなる本体と、本体の一方面に設置された機能材と、機能材を含み一方面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルムとを備えたものである。
【0009】
このように構成すると、機能材は合成樹脂フィルムを介して本体に保持される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、樹脂発泡シートを含むものである。
【0011】
このように構成すると、機能材が緩衝性を有する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、樹脂気泡シートを含むものである。
【0013】
このように構成すると、各気泡の間のスペースに本体と合成樹脂フィルムとの隙間による空気層が生じる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、吸湿材を含み、合成樹脂フィルムは、少なくとも吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有するものである。
【0015】
このように構成すると、機能材が吸湿性を発揮する。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、機能材は、仕切り材を含むものである。
【0017】
このように構成すると、仕切り材により本体が区分けされる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、本体は容器形状を有し、機能材は本体の内面に設置されるものである。
【0019】
このように構成すると、本体の内面は種々の機能を発揮する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、機能材は合成樹脂フィルムを介して本体に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、パルプモールド構造体に機能材の機能を付加できる。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、機能材が緩衝性を有するので、パルプモールド構造体の緩衝機能が向上する。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、各気泡の間のスペースに本体と合成樹脂フィルムとの隙間による空気層が生じるので、機能材の気泡及び空気層により緩衝機能が更に向上する。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、機能材が吸湿性を発揮するので、パルプモールド構造体は吸湿機能を有するものとなる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、仕切り材により本体が区分けされるので、本体は変えずに仕切り材を選定することによって所望に区画されたパルプモールド構造体となる。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、本体の内面は種々の機能を発揮するので、パルプモールド構造体は効率的でかつ付加価値の高い容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの端面図である。
【図3】図1で示した包装材の製造工程を示した模式図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図5】図4で示したV−Vラインの端面図である。
【図6】図5で示した“X”部分の拡大端面図である。
【図7】この発明の第3の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
【図9】この発明の第4の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図10】図9で示した包装材の製造工程を示した模式図であって、第1の実施の形態の図3に対応する図である。
【図11】従来のパルプモールド構造体の一つである包装材の斜視図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であり、図2は、図1で示したII−IIラインの端面図である。
【0028】
これらの図を参照して、包装材1(パルプモールド構造体)は、葦やサトウキビから得られる非木材素材から形成される厚さ0.3mm〜5.0mmのパルプモールドよりなり、上方が開放された容器形状を有する本体11と、本体11の一方面である本体11の内面に設置される機能材12a、12b及び12cと、機能材12a、12b及び12cを含み本体11の内面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルム13とを備える。本体11の内部には、内容物83が収納される。
【0029】
このように構成すると、機能材12a、12b及び12cは合成樹脂フィルム13を介して本体11に保持されるので、紙粉発生を抑制しつつ、包装材1の所望の位置に機能材12a、12b及び12cの機能を付加できる。又、本体11の内面は機能材12a、12b及び12cの特性に応じて種々の機能を発揮するので、包装材1は効率的でかつ付加価値の高い容器となる。更に、包装材1の廃棄時に合成樹脂フィルム13を剥がすことで、本体11、合成樹脂フィルム13及び機能材12a、12b及び12cの各々に分けて、各々の素材に応じて分別して廃棄及びリサイクルすることができる。
【0030】
この実施の形態にあっては、機能材12a、12b及び12cは、樹脂発泡シートよりなる。このように構成すると、機能材12a、12b及び12cが緩衝性を有するので、包装材1の緩衝機能が向上する。
【0031】
合成樹脂フィルム13は、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂からなる熱可塑性を有するものであり、本体11の内面側の面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)よりなる図示しない接着層を有する。尚、合成樹脂フィルム13の内面側にアルミ蒸着を施しても良い。
【0032】
図3は、図1で示した包装材の製造工程を示した模式図である。
【0033】
まず、図3の(1)を参照して、本体11の内面の所望の位置に接着剤等を介して機能材12a、12b及び12cを固定して配置する。
【0034】
次に、図3の(2)を参照して、鉄、ステンレス、アルミニウム合金、真鍮又は樹脂よりなる吸引孔62が形成された金型61に図3の(1)で示した本体11を挿入した後、ヒーター63で熱した合成樹脂フィルム13を、吸引孔62を介して本体11の内面全体に向かって吸引する。
【0035】
すると、図3の(3)を参照して、機能材12a、12b及び12cを含み、本体11の内面全体を覆うようにして、上述した本体11の内面側の面に有する接着層を介して、合成樹脂フィルム13が本体11に貼り付く。最後に、合成樹脂フィルム13が貼り付いた本体11の外周を、図示しないトムソン刃やタガネ等で所定の寸法にカットして、包装材1の製造工程を終了する。
【0036】
図4は、この発明の第2の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図5は、図4で示したV−Vラインの端面図であり、図6は、図5で示した“X”部分の拡大端面図である。
【0037】
まず、図4を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、樹脂気泡シートよりなる機能材22a、22b及び22cに置き換えられている。尚、他の部分は図1に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0038】
次に、図5を参照して、機能材22aを含み本体11の内面全体を覆うように合成樹脂フィルム13が貼り付けられている。
【0039】
更に、図6を参照して、合成樹脂フィルム13は機能材22aを覆って貼り付けられているが、機能材22aを構成する気泡23において、隣り合う気泡23と対向する部分については、合成樹脂フィルム13が貼り付いていない。これは、図3の(2)で示した合成樹脂フィルム13の貼り付け工程において、合成樹脂フィルム13と本体11との間の空気が機能材22aの周囲から吸引されていき、機能材22aはその端部から徐々に中心に向かって合成樹脂フィルム13に覆われるため、気泡23同士の間の空気が完全に抜け切らないからである。このため、気泡23同士の間のスペースに、本体11と合成樹脂フィルム13との隙間による空気層24が生じる。このように構成すると、気泡23及び空気層24により包装材1の緩衝機能が更に向上する。
【0040】
図7は、この発明の第3の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図8は、図7で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
【0041】
まず、図7を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、吸湿材よりなる機能材32に、合成樹脂フィルム13が、開口33を有するものに、それぞれ置き換えられている。尚、他の部分は図1に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0042】
次に、図8を参照して、機能材32を被覆する部分において、合成樹脂フィルム13に複数の開口33が設けられており、機能材32が包装材1の内面側に露出している。このように構成すると、機能材32が吸湿性を発揮するので、包装材1は吸湿機能を有するものとなる。尚、開口33は合成樹脂フィルム13を本体11の内面全体に貼り付けた後に形成される。
【0043】
ところで、パルプモールドは、上述のように水と葦やサトウキビ等から得られる非木材素材とを攪拌したものからなる懸濁液を金型に流し込んで、抄き上げたものを加熱プレス或いは直接乾燥することにより形成される。そこで、パルプモールドにおいては、所望の形状を得るためには、その形状に応じた金型を個別に用意する必要があり、コスト高となるという問題があった。そこで、このような課題を解決するものとして、以下のパルプモールド構造体が考えられる。
【0044】
図9は、この発明の第4の実施の形態によるパルプモールド構造体からなる包装材の概略形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の図1に対応する図であり、図10は、図9で示した包装材の製造工程を示した模式図であって、第1の実施の形態の図3に対応する図である。
【0045】
これらの図を参照して、第1の実施の形態による包装材1において、機能材12a、12b及び12cが、仕切り材よりなる機能材42に置き換えられている。このように構成すると、機能材42の形状により本体11が区分けされるので、本体11の形状は変えずに機能材42を選定することによって所望に区画された包装材1となる。又、本体11を変えずに区画を変更できるため、小ロット多品種の生産が容易であり、包装材1の形状に応じた金型の準備が不要となるので、低コストとなる。
【0046】
機能材42は側面視逆V字形状を有する。このように構成すると、図10の(1)で示す、機能材42の本体11の内面の所望の位置への配置時、及び図10の(2)で示す、合成樹脂フィルム13の吸引時に機能材42が倒れにくく、機能材42の配置状態が安定する。尚、他の部分は図1及び図3に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0047】
尚、上記の各実施の形態では、本体は容器形状を有するものであったが、平板形状等、他の形状を有するものであってもよい。
【0048】
又、上記の各実施の形態では、機能材は、樹脂発泡シート、樹脂気泡シート、吸湿材又は仕切り材よりなるとしていたが、例えば、立体模様、ICチップ、冷却剤や発泡スチロール等の他の機能を有するものであってもよい。
【0049】
更に、上記の各実施の形態では、合成樹脂フィルムは熱可塑性を有するものであったが、熱可塑性を有さない合成樹脂フィルムをそのまま貼り付けるようにしてもよい。
【0050】
更に、上記の第3の実施の形態では、合成樹脂フィルムは複数の開口を有するものであったが、少なくとも吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有するものであればよい。
【0051】
更に、上記の第4の実施の形態では、機能材は、側面視逆V字形状を有するものであったが、他の形状を有するものであってもよい。
【0052】
更に、上記の各実施の形態では、包装材は、その本体の内面に設置された機能材により一つの機能が付加されたものであったが、機能の異なる複数の機能材を本体の内面に備えることにより、複数の機能が付加されたものであってもよい。
【0053】
更に、上記の各実施の形態では、本体の内面のみに機能材を配置したが、外面に機能材を設置してもよい。このようにすると、外からの衝撃に対しても更に効果的である。
【符号の説明】
【0054】
1…包装材
11…本体
12a、12b、12c…機能材
13…合成樹脂フィルム
22a、22b、22c…機能材
32…機能材
33…開口
42…機能材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプモールド構造体であって、
パルプモールドよりなる本体と、
前記本体の一方面に設置された機能材と、
前記機能材を含み前記一方面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルムとを備えた、パルプモールド構造体。
【請求項2】
前記機能材は、樹脂発泡シートを含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項3】
前記機能材は、樹脂気泡シートを含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項4】
前記機能材は、吸湿材を含み、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも前記吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有する、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項5】
前記機能材は、仕切り材を含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項6】
前記本体は容器形状を有し、
前記機能材は前記本体の内面に設置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載のパルプモールド構造体。
【請求項1】
パルプモールド構造体であって、
パルプモールドよりなる本体と、
前記本体の一方面に設置された機能材と、
前記機能材を含み前記一方面全体を覆うように貼り付けられた合成樹脂フィルムとを備えた、パルプモールド構造体。
【請求項2】
前記機能材は、樹脂発泡シートを含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項3】
前記機能材は、樹脂気泡シートを含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項4】
前記機能材は、吸湿材を含み、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも前記吸湿材を被覆する部分において少なくとも1つの開口を有する、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項5】
前記機能材は、仕切り材を含む、請求項1記載のパルプモールド構造体。
【請求項6】
前記本体は容器形状を有し、
前記機能材は前記本体の内面に設置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載のパルプモールド構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−250441(P2012−250441A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124855(P2011−124855)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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