説明

パレットとこれを用いた光学部品の製造方法および光学部品の包装体と収容体

【課題】本発明は、光学部品の位置ずれが起こりにくいパレットとこれを用いた光学部品の製造方法および光学部品の包装体と収容体を提供することを目的とする。
【解決手段】板状の第1のプレート11と板状の第2のプレート12を重ね合わせることにより、それらの間に光学部品14を保持するパレットであって、第1のプレート11は、光学部品14を保持する際にその表面の一部を露出させる第1の透孔15と、この第1の透孔を取り囲む複数の突起からなる第1の支持部とを有し、かつ第2のプレート12は、光学部品14を保持する際にその表面の一部を露出させる第2の透孔16と、この第2の透孔を取り囲む複数の突起からなる第2の支持部18とを有し、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、第1の支持部と第2の支持部18の先端部同士が突き当たらないような位置合わせをして、光学部品14の外周を側面から支持するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学部品の製造または包装に用いるパレットとこのパレットを用いた光学部品の製造方法および光学部品の包装体と収容体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、多数個の光学部品の表面に一括して光学薄膜を形成する場合、図7に示すようなパレット1を用いていた。
【0003】
すなわち、このパレット1は、それぞれ透孔2と収容孔3を有する一対のプレート4を備え、そしてレンズや位相板などの光学部品5を前記収容孔3に収容した状態で一対のプレート4を重ね合わせるようにしていた。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−221902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のパレット1を用いて薄型の光学部品5を収容しようとした場合、取扱い時に加わる外力や光学薄膜形成時に加わる熱によりパレット1が変形して一対のプレート4間に隙間が発生し、そしてこの隙間に光学部品5が収容孔3から逸脱して入り込むといった不具合が生じていた。このような状態で、光学部品5の露出した面に光学薄膜を形成した場合、光学薄膜の形成できる領域がずれてしまい、必要な箇所に光学薄膜が形成できないという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、光学部品の位置ずれが起こりにくいパレットとこれを用いた光学部品の製造方法および光学部品の包装体と収容体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、板状の第1のプレートと板状の第2のプレートを重ね合わせることにより、それらの間に光学部品を保持するパレットであって、前記第1のプレートは、光学部品を保持する際にその表面の一部を露出させる第1の透孔と、この第1の透孔を取り囲む複数の突起からなる第1の支持部とを有し、かつ前記第2のプレートは、光学部品を保持する際にその表面の一部を露出させる第2の透孔と、この第2の透孔を取り囲む複数の突起からなる第2の支持部とを有し、前記第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、前記第1の支持部と第2の支持部の先端部同士が突き当たらないような位置合わせをして、光学部品の外周を側面から支持するようにしたもので、この構成によれば、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、第1の支持部と第2の支持部の先端同士が突き当たらないような位置合わせをして光学部品の外周を側面から支持するようにしているため、外力や光学薄膜形成時に加わる熱によりパレットが変形して第1のプレートと第2のプレート間に隙間が発生したとしても、光学部品がプレートの透孔から逸脱してその隙間に入るということはなくなり、これにより、光学部品を常に所定の収容位置に保持することができるという作用効果を有するものである。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、第1のプレートと第2のプレートのうち、一方のプレートに、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、他方のプレートに設けられた支持部を構成する突起が入り込む凹部を設けたもので、この構成によれば、支持部を構成する突起の高さを光学部品の外周部の高さよりも十分に高くすることができるため、光学部品は収容位置からさらに逸脱しにくくなり、これにより、光学部品を常に所定の収容位置に安定した状態で保持することができるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせることによりそれらの間に光学部品を保持した時、前記第1のプレートと第2のプレートの表面から光学部品が透孔を通して突出しない厚みに第1のプレートと第2のプレートを構成したもので、この構成によれば、取扱いの際または包装した状態で光学部品の表面が外部と接触するのを防止できるため、光学部品の表面に傷が付きにくいという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、第1のプレートおよび第2のプレートにおける複数の突起からなる第1の支持部および第2の支持部において、前記第1の支持部および第2の支持部を構成する複数の突起の間に、光学部品をプレートに載置する際に光学部品を掴むための治具逃げ部を設けたもので、この構成によれば、プレートに光学部品を載置する際に、その載置位置において光学部品をピンセット等の治具により掴むことができるため、所定の載置位置に対して正確に光学部品を載置することができるという作用効果を有するものである。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、第1のプレートおよび第2のプレートを樹脂で構成したもので、この構成によれば、パレットを包装した際にその重量が軽くなるとともに、光学部品の表面にも傷をつけにくいという作用効果を有するものである。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、パレットに、複数個のパレットを積み重ねた時の位置ずれ防止手段を備えたもので、この構成によれば、光学部品を保持したパレットを複数個まとめて包装する場合、位置ずれを確実に防止することができるという作用効果を有するものである。
【0014】
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、請求項1に記載のパレットに光学部品を収容した状態で前記光学部品の露出した面に光学薄膜を形成し、その後、前記光学部品の露出した面を検査するようにしたもので、この光学部品の製造方法によれば、光学薄膜の形成から検査までの間、光学部品の収容治具への移し替え作業が無いため、作業の軽減化が図れるとともに、光学部品の移し替え時に生じる光学面の傷の発生も未然に防止できるという作用効果を有するものである。
【0015】
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、請求項1に記載のパレットに光学部品を収容したもので、この光学部品の包装体によれば、光学部品を専用の包装トレイに移し替える作用を省略できるため、光学部品の移し替え時に生じる光学面の傷の発生も未然に防止できるとともに、専用の包装トレイ等の作製も省略することができるという作用効果を有するものである。
【0016】
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、請求項1に記載のパレットに光学部品を収容したもので、この光学部品の収容体によれば、光学部品をパレットの所定の収容位置に確実に保持することができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明のパレットは、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、第1の支持部と第2の支持部の先端同士が突き当たらないような位置合わせをして光学部品の外周を側面から支持するようにしているため、外力や光学薄膜形成時に加わる熱によりパレットが変形して一対のプレート間に隙間が発生したとしても、光学部品がプレートの透孔から逸脱してその隙間に入るということはなくなり、これにより、光学部品を常に所定の収容位置に保持することができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1と3〜9に記載の発明について説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態1におけるパレットに光学部品を収容した状態の部分拡大断面図、図2は同パレットを構成する第1のプレートの光学部品に接する面を上面とした斜視図、図3は同パレットを構成する第1のプレートの光学部品に接する面を下面とした斜視図、図4は同パレットを構成する第2のプレートの光学部品に接する面を上面とした斜視図、図5は同パレットを構成する第2のプレートの光学部品に接する面を下面とした斜視図である。
【0020】
図1〜図5において、11,12はそれぞれ射出成形により成形されたABS樹脂からなる平板状の第1のプレートおよび第2のプレートで、この第1のプレート11と第2のプレート12を向かい合わせて1組のパレット13を構成し、そしてこの第1のプレート11と第2のプレート12との間に光学部品14を挟み込んで保持するものである。
【0021】
前記第1のプレート11と第2のプレート12には、光学部品14を保持する位置に、光学部品14の表面を露出させる第1の透孔15と第2の透孔16を設けている。そしてこの第1の透孔15と第2の透孔16には、パレットの外側に向かって広がるテーパーを設けている。
【0022】
また、前記第1の透孔15の周囲には、図2に示すように、第1の透孔15を取り囲むように複数の突起からなる第1の支持部17を第1のプレート11における光学部品14が接する側の面に設けている。そしてまた、これと同じように、第2の透孔16の周囲にも、図4に示すように、第2の透孔16を取り囲むように複数の突起からなる第2の支持部18を第2のプレート12における光学部品14が接する側の面に設けている。そして、これらの第1の支持部17を構成する突起と第2の支持部18を構成する突起は、図1に示すように、第1のプレート11と第2のプレート12を重ね合わせて光学部品14を収容した時に、光学部品14の周囲において互いに重ならないように交互に配置され、すなわち、第1の支持部17と第2の支持部18の先端部同士が突き当たらないような位置合わせがなされて、光学部品14の外周を側面から支持するようにしている。
【0023】
そしてまた、前記第1の支持部17と第2の支持部18は、図2、図4に示すように、それぞれ4個の突起により構成されているもので、これらの個々の突起の平面形状は、円形の光学部品14の周囲を8分割した円弧形状としている。そして、これらのそれぞれの突起の高さは光学部品14の外周部14aの厚みよりも僅かに高くして、光学部品14の外周部14aに第1のプレート11と第2のプレート12の圧力が加わらないようにしている。また、これらの突起の先端は、光学部品14の載置や対面する第1のプレート11と第2のプレート12の重ね合わせをスムーズに行うために面取りを施している。
【0024】
前記第1のプレート11と第2のプレート12の厚みは、第1のプレート11と第2のプレート12を重ね合わせることによりそれらの間に光学部品14を収容した時、第1の透孔15と第2の透孔16から露出した光学部品14の表面がパレット13の表面から突出して外部の物体と接触しないように、余裕を持たせた厚みとしている。
【0025】
また、前記第1のプレート11と第2のプレート12における光学部品14が接する側の面には、図2、図4に示すように、光学部品14を収容した後、第1のプレート11と第2のプレート12を重ね合わせる位置を位置決めする位置決め手段19,20を設けている。なお、この位置決め手段19,20はお互いに嵌合する突起と凹部により構成されている。そしてまた、前記第1のプレート11と第2のプレート12における光学部品14が接する面と反対側の面には、図2、図3、図4、図5に示すように、複数のパレット13を積み重ねた時に、個々のパレット13がずれたり崩れたりしないように、位置ずれ防止手段21,22を設けている。
【0026】
上記した第1のプレート11と第2のプレート12に光学部品14を収容する場合は、第1のプレート11と第2のプレート12の一方、例えば第1のプレート11を図1に示すように光学部品14が接する面が上面となるようにして置き、そして複数個の第1の支持部17で囲まれた所定の収容位置に光学部品14を載置し、その後、第1のプレート11における第1の支持部17と第2のプレート12における第2の支持部18の先端部同士が突き当たらないように位置合わせをして第2のプレート12を第1のプレート11に向かい合わせることにより、光学部品14を挟み込んで収容するようにしている。
【0027】
次に、上記したパレット13に光学部品14を収容して光学部品14を製造する方法および包装する方法について説明する。
【0028】
上記したパレット13に収容される光学部品14が例えばプラスチックレンズの場合は、射出成形およびゲートカットされた後にこのパレット13に多数個収容し、そしてこのままの状態で、多数個の光学部品14に一括して反射防止膜を形成する工程を行う。一方、ガラスレンズの場合は、プレス成形された後に本発明のパレット13に多数個収容し、そしてこのままの状態で、多数個の光学部品14に一括して反射防止膜を形成する工程を行う。
【0029】
なお、この反射防止膜は光学部品14の光透過効率を上げる目的の光学薄膜であって、パレット13から露出した光学部品14の表面に所望の被膜材料を真空蒸着、CVD、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法により形成する。
【0030】
上記反射防止膜の形成装置は、光学部品14に一様に被膜を形成するために、被膜材料の照射源に対してパレット13の角度を変化させつつパレット13を回転させながら被膜を形成する。
【0031】
そして上記パレット13における片面側の光学部品14が露出した面に被膜を形成した後は、パレット13を反転させて反対側の面にも同様に被膜を形成する。
【0032】
この反射防止膜を形成した後の光学部品14は、パレット13に収容した状態で仕掛かり品としてストックする。
【0033】
次に、光学部品14の光学特性や外観を光学検査機や拡大鏡を用いて検査する検査工程を行う。この検査工程では、光学薄膜形成のときに使用したパレット13に光学部品14を収容したままの状態で、一括して検査機にかけて順次検査していく。また、外観検査においても、光学部品14をパレット13に収容した状態で拡大鏡を用いて順次光学部品14を検査する。
【0034】
次に、光学部品14を需要家に届けるために、光学部品14を包装する工程を行う。この包装工程では、前記光学薄膜形成および検査の工程で使用したパレット13に光学部品14を収容したままで包装を行うもので、光学部品14を収容した複数のパレット13を、その外表面に設けた位置ずれ防止手段21,22を互いに係合させて、相互の位置ずれを防止しつつ上下に積み重ね、ゴムバンド等で固定する。そしてこれをビニール袋に入れて封止し、緩衝材と共にダンボール箱に梱包し、出荷する。
【0035】
以上のようにして構成された本発明のパレット13を使用して光学部品14を製造、検査および包装したときの作用効果について、以下に説明する。
【0036】
上記工程において、光学薄膜である反射防止膜を形成する際には、パレット13は熱にさらされるため、変形して第1のプレート11と第2のプレート12との間の隙間が拡大することがある。また、パレット13の取扱いの際においても、外力が加わって変形する場合や、取扱いの際に誤って第1のプレート11と第2のプレート12との間の隙間が開いてしまうことがある。
【0037】
このとき、図7に示した従来のパレット1を使用した場合は、光学部品5の外周部5aの厚み以上の隙間が開いてしまうと、光学部品5が所定の収容位置から逸脱し、その隙間に嵌まり込んでしまう。この場合、特に厚みの薄い光学部品5に対して位置ずれが起こり易い。このような状態で光学薄膜である反射防止膜を形成すると、反射防止膜形成領域がずれてしまい必要な箇所に形成できないものである。
【0038】
しかるに、本発明の実施の形態1におけるパレット13を使用した場合には、当初から第1、第2の支持部17,18の高さだけ第1のプレート11と第2のプレート12との間に隙間があるが、第1の支持部17の突起と第2の支持部18の突起が互い違いに光学部品14の周囲を支持しているために、第1、第2の支持部17,18の高さと光学部品14の外周部14aの厚みの合計以上に第1のプレート11と第2のプレート12との間の隙間が開いてしまわないと、光学部品14は逸脱することはできないものである。
【0039】
上記のように、本発明の実施の形態1においては、光学部品14がパレット13内で所定の収容位置から逸脱するのを効果的に防止しているもので、光学薄膜である反射防止膜の形成時、検査時、包装時に光学部品14の位置ずれによる不具合は生じにくいものである。
【0040】
また、パレット13から光学部品14を取り出す場合、どちらの面を上にして第1のプレート11と第2のプレート12を開いても、光学部品14が下側のプレートの支持部によりその位置が保持されているため、光学部品14の整列状態が崩れることはなく、そのため、再び第1のプレート11と第2のプレート12を重ね合わせて収容する場合も容易に行えるものである。
【0041】
そしてまた、パレット13を開いた状態で、光学部品14をその収容位置に載置する場合も、第1、第2の支持部17,18を形成する複数個の突起の間の空間が光学部品14を掴むための治具逃げ部の空間を形成しているため、ピンセットなどの治具を用いて光学部品14をその載置位置で掴んだり離したりでき、これにより、光学部品14を正確な位置に載置することができるものである。さらに、第1のプレート11と第2のプレート12を重ね合わせた時、前述した治具逃げ部の空間はそれぞれに設けた第1の支持部17と第2の支持部18により塞がれる配置となっている。
【0042】
また、本発明の実施の形態1におけるパレット13は、光学薄膜である反射防止膜の形成から包装および出荷まで、一貫して同一のパレット13に収容して行うことができるため、光学部品14を移し替える作業を無くすることができるとともに、移し替え時の傷の発生も防止することができ、さらには別途包装用のパレットを準備する必要もなくなるものである。
【0043】
以上のように本発明の実施の形態1におけるパレット13は、光学薄膜である反射防止膜の形成工程から包装工程において、光学部品14が所定の位置から逸脱するのを効果的に防止することができるものである。
【0044】
なお、上記本発明の実施の形態1においては、第1のプレート11と第2のプレート12の材料としてABS樹脂を用いているが、ポリカーボネートやPPEなどの他の樹脂材料または金属材料でも同じ結果が得られるものである。この場合、樹脂材料を使用した場合には、光学部品14を傷つけにくいという利点と、包装して輸送する際に軽いという利点がある。また、樹脂材料の耐熱温度を超える温度で光学薄膜である反射防止膜を形成する必要がある場合には金属材料などを使う必要がある。そしてまた、光学部品14と熱膨張率が近い材質を使用した場合には、光学部品14の光学薄膜である反射防止膜の形成領域の熱膨張による寸法変化に、第1の透孔15と第2の透孔16の寸法変化を追随させることができるため、光学薄膜である反射防止膜を形成する位置精度が向上するものである。
【0045】
また、上記本発明の実施の形態1においては、第1の支持部17を構成する突起と第2の支持部18を構成する突起の形状を、光学部品14の外周を8分割する円弧形状としているが、その分割数は8分割に限定されるものではない。
【0046】
例えば、光学部品14の外周を4分割する突起とした場合には、第1の支持部17と第2の支持部18は、それぞれ向かい合う一対の突起から構成される。この場合は、パレット13を開いたときに、それぞれの治具逃げ部の幅が8分割の場合に比べて大きく取れるため、光学部品14の寸法が微細な場合に有効であるが、この場合は、この治具逃げ部を通って光学部品14が水平方向に逸脱しないような寸法設計にする必要がある。
【0047】
また、光学部品14の外周を6分割する突起とした場合には、第1の支持部17と第2の支持部18は、それぞれ、光学部品14の外周を3方向から支持する3つの突起から構成される。この場合は、光学部品14が水平方向に逸脱するおそれがないため、光学部品14の位置固定のためには、光学部品14の外周を6分割以上にする突起とすれば良い。
【0048】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0049】
図6は本発明の実施の形態2におけるパレットに光学部品を収容した状態の部分拡大断面図である。
【0050】
本発明の実施の形態2においては、上記した本発明の実施の形態1と同一部品については同一番号を付してその説明は省略し、上記本発明の実施の形態1と異なる点のみを説明する。
【0051】
すなわち、本発明の実施の形態2におけるパレットは、図6に示すように、第2のプレート12に設けられた第2の支持部18を構成する突起と対向するように、第1のプレート11に凹部23を設け、そして第2のプレート12における第2の支持部18を構成する突起の先端部を第1のプレート11における凹部23の内部まで延伸させて入り込ませているものである。
【0052】
また、図示はしていないが、上記とは逆に、第1のプレート11に設けられた第1の支持部17を構成する突起と対向するように、第2のプレート12に凹部を設け、そして第1のプレート11における第1の支持部17を構成する突起の先端部を第2のプレート12における凹部の内部まで延伸させて入り込ませても良いものである。
【0053】
上記のように構成することにより、第1の支持部17と第2の支持部18を構成する突起の高さを光学部品14の外周部14aの高さよりも十分に高くすることができるため、光学部品14は収容位置からさらに逸脱しにくくなるものである。また、第1のプレート11と第2のプレート12間の隙間は当初の状態から、突起の高さと凹部23の深さと光学部品14の外周部14aの厚みの合計以上に増加しなければ光学部品14が逸脱することはないため、光学部品14の収容位置からの逸脱をさらに効果的に防止することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るパレットは、外力や光学薄膜形成時に加わる熱によりパレットが変形して一対のプレート間に隙間が発生したとしても、光学部品がプレートの透孔から逸脱してその隙間に入るということはなくなり、これにより、光学部品を常に所定の収容位置に保持することができるという効果を有し、各種光学部品を製造および包装する際に有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパレットに光学部品を収容した状態の部分拡大断面図
【図2】同パレットを構成する第1のプレートの光学部品に接する面を上面とした斜視図
【図3】同パレットを構成する第1のプレートの光学部品に接する面を下面とした斜視図
【図4】同パレットを構成する第2のプレートの光学部品に接する面を上面とした斜視図
【図5】同パレットを構成する第2のプレートの光学部品に接する面を下面とした斜視図
【図6】本発明の実施の形態2におけるパレットに光学部品を収容した状態の部分拡大断面図
【図7】従来のパレットに光学部品を収容した状態の部分拡大断面図
【符号の説明】
【0056】
11 第1のプレート
12 第2のプレート
13 パレット
14 光学部品
15 第1の透孔
16 第2の透孔
17 第1の支持部
18 第2の支持部
19,20 位置決め手段
21,22 位置ずれ防止手段
23 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1のプレートと板状の第2のプレートを重ね合わせることにより、それらの間に光学部品を保持するパレットであって、前記第1のプレートは、光学部品を保持する際にその表面の一部を露出させる第1の透孔と、この第1の透孔を取り囲む複数の突起からなる第1の支持部とを有し、かつ前記第2のプレートは、光学部品を保持する際にその表面の一部を露出させる第2の透孔と、この第2の透孔を取り囲む複数の突起からなる第2の支持部とを有し、前記第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、前記第1の支持部と第2の支持部の先端部同士が突き当たらないような位置合わせをして、光学部品の外周を側面から支持するようにしたパレット。
【請求項2】
第1のプレートと第2のプレートのうち、一方のプレートに、第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせた時、他方のプレートに設けられた支持部を構成する突起が入り込む凹部を設けた請求項1記載のパレット。
【請求項3】
第1のプレートと第2のプレートを重ね合わせることによりそれらの間に光学部品を保持した時、前記第1のプレートと第2のプレートの表面から光学部品が透孔を通して突出しない厚みに第1のプレートと第2のプレートを構成した請求項1記載のパレット。
【請求項4】
第1のプレートおよび第2のプレートにおける複数の突起からなる第1の支持部および第2の支持部において、前記第1の支持部および第2の支持部を構成する複数の突起の間に、光学部品をプレートに載置する際に光学部品を掴むための治具逃げ部を設けた請求項1記載のパレット。
【請求項5】
第1のプレートおよび第2のプレートを樹脂で構成した請求項1記載のパレット。
【請求項6】
パレットに、複数個のパレットを積み重ねた時の位置ずれ防止手段を備えた請求項1記載のパレット。
【請求項7】
請求項1に記載のパレットに光学部品を収容した状態で前記光学部品の露出した面に光学薄膜を形成し、その後、前記光学部品の露出した面を検査するようにした光学部品の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のパレットに光学部品を収容した状態で前記光学部品に光学薄膜を形成し、かつこの状態で包装を行うようにした光学部品の包装体。
【請求項9】
請求項1に記載のパレットに光学部品を収容した光学部品の収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−161278(P2007−161278A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357412(P2005−357412)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】