説明

パレット用荷崩れ防止ベルト

【課題】
荷物表面のうちベルトで覆われている部分を透視できる透視性と、覆われている部分に冷風等を確実に当てることができる通風性を有し、更には冷所から外に出したときのベルトの結露を防止できるようにした荷崩れ防止用ベルトを提供する。
【解決手段】
荷物運搬用パレット上の荷物の荷崩れの防止のために、荷物の透視性と通風性を発揮でき、安定に固定して荷物の荷崩れ防止用ベルトにおいて、一方の端に掴み部とベルト両端に面ファスナー部、長手方向に伸縮することのできる二重の網目状のたて編み織りのポリオレフィン樹脂製ネット部と、長手方向の伸縮が起こらず、少なくとも幅方向のみ伸縮できるからみ織りのポリオレフィン樹脂製ネット部とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上荷物の荷崩れ防止ベルトに関するものである。詳しくは、荷物の崩れを防止できる十分な強度と弾力性と操作上容易にする伸縮性を持つ部分を有するとともに、荷物表面のうちベルトで覆われている部分を透視できる透視性と、覆われている部分に冷風等を確実に当てることができる通風性を有し、更には冷所から外に出したときのベルト部分の結露を防止できるとともにベルトのネット表面をプリントできる表面状態にしたパレット用荷崩れ防止ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷室への荷物の搬入や搬出及び管理倉庫、冷凍室等への搬入や搬出には、荷物を載せる台として樹脂性、木製のパレットが主に使用されている。パレットに載せられた荷物は、荷崩れせず、さらに荷物のはみ出しもしないように、荷物の一部または全部が互いに固定される。内容物の確認ができるようにされている。
【0003】
以前は、積まれた荷物をラップフィルム(ストレッチフィルムともいう)で巻いて固定していた。この方法にはラップフィルムを巻き付けるのに大変な手間がかかること、荷物が冷蔵や冷凍品であるときにラップフィルムで覆われて、冷気が利きにくく冷却効率が悪いこと、及び使用後のラップフィルムが再使用できないために処分に多大な手間と費用がかかることなど環境面で大きな問題があった。
【0004】
このため、近年においては、繰り返し使用できて処分のための手間や費用がかからない荷崩れ防止用ベルトが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたものは、伸縮性部材でつくられた帯体の両端側に面ファスナーを有し、帯体のうち各面ファスナーが取り付けられている部分は非伸縮性部材でつくられており、面ファスナーが波打つなどの変形をしないようにして結着部の結着性を高めたものである。パレット上のすべての荷物にベルトを面ファスナーによってかけるもの(特許文献2参照)、あるいは部分的に面ファスナーによって荷物を固定するもの(特許文献3参照)、帯状シートによってパレット上の荷物を固定するベルト(特許文献4、特許文献5参照)が提案されている。上記の目的にそうものは少なかった。本発明者は先にこれらを解決するために特願2005−89648号において提案を行っているが(特許文献6参照)、伸縮性、固定方法、プリント性で若干問題を残している。
【0005】
【特許文献1】特許第3551247号
【特許文献2】特開平11−11481号
【特許文献3】特開平10−324364号
【特許文献4】特開2001−122265号
【特許文献5】特開2002−179132号
【特許文献6】特願2005−89648号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の荷崩れ防止用ベルトは、上記のように面ファスナーの結着と固定性に関しては十分な有用性を備えるものであるが、次の点で課題を生じていた。
【0007】
まず、帯体の材料は樹脂製の繊維からなる伸縮性織布であるが、透視性や通風性を備えているものではない。このため、荷物表面のうちベルトで覆われている部分を透視することはできないので、荷物表面に表示されている品名、重量、ロット番号などの各種情報を確認する必要が生じた場合に表示部が覆われていると、その度にベルトをずらしたり外したりしなければならず手間がかかった。
【0008】
また、覆われている部分には、冷風を当てることができないので、冷気の利きが悪く冷凍状態にムラを生じるおそれがある。ベルト自体が冷風の通気性を要していることが重要である。
さらに冷凍・冷蔵室などの冷所から外に出したときにベルト部分に結露が生じやすいので、ベルトを地面に落としたりすると、土や砂が簡単に付着してしまい、洗わなければ再使用できなくなるなど、外したときの取り扱いがしにくい。あるいはベルト自身若干の収縮する部分を持っていないと結着、固定するときの締めに力を要する。
【0009】
本発明の目的は、荷崩れを防止するための荷崩れ防止用ベルトにおいて、荷物表面のうちベルトで覆われている部分を透視できる透視性と、覆われている部分に冷風等を確実に当てることができる通風性を有するネット部分で、さらに温度に対しての対候性を有し、冷所から外に出したときのベルトの結露を防止でき、また引っ張り、衝撃に対してある程度な強度をもち、さらにネット部分にプリント、印刷などが容易にできる形状の材料からなるようにした荷崩れ防止用ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
荷物運搬用パレット上の荷物の荷崩れの防止のために、荷物の透視性と通風性を発揮でき、安定に固定できる荷物の荷崩れ防止用ベルトにおいて、一方の端に掴み部とベルト両端に面ファスナー部、一方の面ファスナーに隣接する長手方向に伸縮することのできるたて編み織りの二重の網目状ポリオレフィン樹脂製ネット部と、長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りのポリオレフィン樹脂製ネット部とからなっている。
本発明はパレット用荷崩れ防止ベルトは幅50〜1500mm、全長は3000〜8000mmであって、両端の面ファスナー部の長さは100〜700mmであり、長手方向に伸縮することのできるたて編み織りの二重の網目状ポリプロピレン樹脂製ネット部は200〜1000mmである。一般にパレットは種々存在するが荷物の周囲が3m〜8m程度である。この長さで固定部の面ファスナーは短くて強力な固定できるものが望ましい。したがって面ファスナーの長さは両端にそれぞれ100〜700mmであり、それ以上では透視で悪くなり、また短いとベルトの固定と操作性が十分でなくなる。またたて編み織りの二重網目状のポリプロピレン製ネット部分はベルトの弾力性と収縮性により作業の効率をよくするために使用されるが、この部分が長いと反って固定が十分でなくなる。短いと作業性がわるくなる。また材料としてポリオレインの樹脂が有効であるが、強度、価格の点からポリプロピレンが望ましい。
ポリオレフィン樹脂製ネット部の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレンであって、この合成樹脂の糸の太さが0.05〜1mmのモノフラメントであり、さらに網の目(ネットの目合い)の幅は1〜10mmの範囲であり、中心部の長手方向の伸縮が起こらないポリオレフィン樹脂製たて編み織りのネット部では、ネット状帯体がポリエチレン樹脂製モノフラメトの糸からできた繊維状ネットでなって、ネット目の目合いが1〜10mmの範囲内であり、ネット部分の比重が0.1〜0.8である。ネット部分は全体の重さに影響することになり、荷造りの作業性からすると軽くて強靭なものが要求される。そのためにネットの比重は0.1〜0.8であって、0.2〜0.6程度が強度を加味すると望ましい。ネット目の目合いが1mm以下であると通気性、透視性が悪い、10m以上の場合にはネットとしての強度が低下する。したがって2〜6mm程度が好ましい。
本発明において、ベルトの固定操作には種々の方法はあるが、簡便性からすると面ファスナーが適している。面ファスナーはフックテープ型、ループテープ型、および両者の混合型であって、面ファスナー内のフックとループはナイロン、およびナイロンとエステル混合系を主成分としたものであり、面ファスナーの裏地が通気性を有する合成樹脂の材料である。パレット用荷崩れ防止ベルトでの面ファスナーについてはベルトの強固な固定のためであり、ある長さと特性が重要である。ナイロン樹脂を主体性のフックテープ型が好ましい。この面ファスナーは通気性をよくした織り方である。
長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りのポリエチレン樹脂製ネット部はネット表面に印刷、プリントできるような表面形状である。この中心部分の透視性たて編み織りネットに会社名、製品名、宣伝文などをプリントできるようにネットの糸形状の均一、しかもネットの網の目についても適切な表面状態にしている。
本発明に使用しているポリオレフィン製の糸のネットにおいてはたて編みの織物である。この織物はたて方向に連続したループにより形成した織物で、収縮するネットができるものである。とくにポリオレフィンのモノフラメントのたて糸、よこ糸にクリンプのない高強度のクロスであるものである。
第1の発明にあっては、
パレット上の荷物を十分に固定できるようにして、透視性と通風性を発揮できる網目を有する織り方の網でつくられたベルトの帯体を備えており、この帯体には長手方向に本質的に伸縮性を有さず幅方向に若干伸縮性を有する部分と、
長手方向に伸縮性を有する部分を面ファスナーの近隣部に備えているとともに、ベルトの帯体を巻き付けるときの有効長さを調節して結着・固定できる留着手段を備えている。さらに作業においてペレット用荷崩れ防止ベルトは幅50〜1500mm、全長は3000〜8000mmであって、両端の面ファスナー部の長さは100〜700mmであり、長手方向に伸縮することのできるポリオレフィン糸を二重の網目状の織り(例えば一例としてラッシェル織り機で織ったもの)のたて編みのネット部は200〜1000mmであるベルト帯体である。
【0011】
第2の発明にあっては、樹脂製ネット部の材料として、合成樹脂製の繊維でつくられており、合成樹脂製の繊維はポリオレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレンであって、合成樹脂の糸の太さが0.05〜1mm(100D〜500D程度のモノフラメント糸)であり、さらに網の目(ネットの目合い)の幅は1〜10mmの範囲であることをベルト帯体は合成樹脂製の繊維でつくられており、ネット部分の比重が0.1〜0.8である。
【0012】
第3の発明にあっては、面ファスナーはフックテープ型、ループテープ型、および両者の混合型であって、ファスナー内のフックとループはナイロンおよびエステル繊維を主成分としたものであり、面ファスナーの裏地が通気性を有する。帯体の長手方向の少なくとも一端側には、把手部材と、帯体の幅が変わらないようにする手段が設けてある
【0013】
第4の発明にあっては、長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りのポリエチレン樹脂製ネット部はネット表面に印刷、プリントできるような表面状態である。この中心部分の透視性たて編み織りネットに会社名、製品名、宣伝文などをプリントできるようにネットの糸形状の均一、しかもネットの網の目についても適切な状態になっている。
ベルトの主要の帯体は長手方向には本質的に伸縮性を有さない部分と、面ファスナーに隣接する長手方向に伸縮性を有する部分のそれぞれの長さおよび長さの比は特に限定されるが、長さは200mm〜1000mmである。しかし使用対象となる荷物の種類や大きさの違いによってこの範囲で適宜設定することができる。
【0014】
ベルトの帯体の素材は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂であるが、荷崩れを防止するための強度及び透視性、伸縮性、プリント性などの機能性に問題がなければ、他の素材を採用することもできるが、ポリオレフィンの樹脂が一番有効である。なお、ベルト帯体をつくる繊維は、透明や半透明であってもよいし、着色されていてもよく、更には網目が十分に大きければ不透明体であってもよい。しかし透視性とプリント性からすると透明か半透明が好ましい。
【0015】
ベルトの帯体の幅が変わらないようにする手段は、ベルトの帯体を荷物に巻き付ける際、掴む部の把手部材を持って端部を引っ張ったときに、帯体の幅が収縮しないようにすることができれば、その形状、素材は特に限定しない。一箇所に取り付けることで十分である。
【0016】
(作用)
本発明に係る荷崩れ防止用ベルトの作用を説明する。なお、ここでは、本発明の各構成要件のそれぞれに、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与し説明する。
【0017】
パレットに、例えば段ボール箱で梱包された荷物を積み重ねる。複数段に積み重ねた荷物は、上部からの荷重がかかっていない上段のものが不安定なので、これらを荷崩れ防止用ベルトによって互いに固定する。上段の荷物が互いに固定されれば、それより下の段の荷物は上部からの荷重で押さえられて安定し、荷崩れを起こしにくくなる。しかし幅広いベルト帯体を使用することは荷物全体をベルトの帯体で固定するので有効である。
【0018】
荷崩れ防止用ベルト帯体によって荷物を囲むように巻き付け、有効長さを調節して各荷物を互いにある程度締め付けて固定できる長さにし、結着・固定手段を結着して装着する。
このとき、ベルトの帯体の長手方向に伸縮性を有する部分により、適当な締め付け力が得られる。
【0019】
また、長手方向に伸縮することのできるたて編み織りの二重の網目状ポリプロピレン樹脂製ネット部はベルトの帯体全体の長手方向には本質的に伸縮性を有さず幅方向には伸縮性を有する部分により、例えば荷物の外形が平面でなく不定形である場合は、その外形に沿うようにベルトの帯体を柔軟に変形させることができ、良好な密着性と保持性を発揮できる。
【0020】
ベルトの帯体はポリオレフィンのモノフラメント糸のたて編み織り(一例としてラッセル機で織ったラッセル織りを使用できる)のネットでつくられており、透視性と通風性、プリント性を発揮できる網目を有している。これにより、ベルト帯体が取り付けられたところの内側の荷物表面に表示された文字などを視認することが可能である。また、ベルトの帯体を冷風が通り抜けることができるので、荷物を急速に冷凍する場合などに全体をむらなく均等に冷却することができる。更には、梱包材に通気口のある荷物であっても通気を邪魔する心配はない。ベルトの帯体の確認と広告・宣伝としてベルト自身にプリントできる。
【0021】
また、ベルトの帯体はネット状網体であり、通風性を有しているので、例えば冷凍庫などの冷所から外へ出したときにも、ほとんど結露が生じない。多少結露したとしても、ごく短時間で発散し乾いてしまう。
【0022】
ベルト帯体の長手方向の少なくとも一端側に、把手部材と、帯体の幅が変わらないようにする手段が設けてあるものは、ベルト帯体を荷物に巻き付ける際、把手部材を持って端部を引っ張ったときに、帯体の幅が収縮しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
(a)本発明によれば、ベルトの帯体は荷物運搬用パレット上の荷物の荷崩れの防止のために、荷物の透視性と通風性を発揮でき、安定に固定できる荷物の荷崩れ防止用ベルトにおいて、一方の端に掴み部とベルト両端に面ファスナー部、長手方向に伸縮することのできる二重の網目状ポリオレフィン樹脂製たて編み織りのネット部と、長手方向の伸縮が起こらないポリオレフィン樹脂製たて編み織りのネット部とからなっている(ラッシェル織りでもよい)のネット網体でつくられ、荷物に巻いて固定したときには、ベルトの帯体の長手方向に伸縮性を有する部分により、適当な締め付け力が得られる。
また、ベルトの帯体の長手方向には本質的に伸縮性を有さない部分により、例えば荷物の外形が平面でなく不定形である場合は、その外形に沿うように帯体を柔軟に変形させることができ、良好な密着性と保持性を発揮できる。
【0024】
(b)主要なベルトの帯体は透視性を有しているので、ベルト帯体が取り付けたところの荷物表面に文字などを確認することが可能であり、例えば表示内容を確認する必要が生じたときも、隠れた部分を見るためにベルト帯体をずらしたり、外す必要はない。
【0025】
(c)ベルトの帯体は通風性を有しているので、帯体を冷風が通り抜けることができ、荷物を急速に冷凍する場合などに全体をむらなく均等に冷却することができる。また、梱包材に通気口のある荷物であっても通気を邪魔する心配はない。
【0026】
(d)荷物を冷凍庫などの冷所から外へ出したときにも、ベルト帯体にはほとんど結露が生じることはなく、多少結露したとしても、ごく短時間で発散し乾いてしまうので、結露して濡れることによる取り扱いが容易になる。
【0027】
(e)帯体の長手方向の少なくとも一端側に、把手部材と、帯体の幅が変わらないようにする手段が設けてあるものは、ベルトの帯体を荷物に巻き付ける際、把手部材を持って端部を引っ張ったときに、帯体の幅が収縮しないようにすることができる。これにより、帯体に設けられる結着手段を変形させてしまうことがなく、結着が簡単にかつ確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0029】
図1は本発明に係る荷崩れ防止用ベルトの実施の形態を示す斜視図、
図2は把手部材側の構造を示す拡大説明図である。
【0030】
荷崩れ防止用ベルトBは、網でつくられたベルト帯体、留着手段である面ファスナ、把手部材及び幅固定部材を備えている。
【0031】
ベルトの帯体1は、ポリエチレン(PE)の透明な繊維を使用し、たて編み織りをした網(タテ糸、ヨコ糸:300D:約0・2mmのモノフィラメント、目合い:3mm)とポリプロピレン(PP)の透明な繊維を使用し、たて編み織りをした網(タテ糸、ヨコ糸:300D:約0・2mmのモノフィラメント、目合い:2mm)でつくられている。
ベルト帯体1は、荷崩れを防止するための十分な強度(引っ張り強度など)を備えている。
【0032】
ベルトの帯体1は、所要長さの伸縮帯6(PP製ネット)で構成されており、非伸縮帯7(PE製ネット)が大部分を占める。
伸縮帯6は、二重編みにされており、厚みが厚い。伸縮帯6は、長手方向へ伸縮が可能であり、幅方向へは実質的に伸縮しない。
【0033】
また、非伸縮帯7は、一重編みにされており、厚みが薄い。非伸縮帯7は、長手方向へは実質的に伸縮せず、幅方向へは伸縮可能である。
【0034】
伸縮帯6と非伸縮帯7は、上記素材でつくられていることにより、それぞれ透視性と通風性を有している。つまり、帯体1はそれを通して裏側にあるものを視認することが可能であり、また、それを通して裏側にある荷物に冷風などを直接当てることが可能である。
【0035】
面ファスナー3は、ナイロン製のフックテープ型であって、ベルト帯体1を荷物に巻き付ける時の有効長さを調節するためにやや長く設定されている。
【0036】
ベルトの帯体1の非伸縮帯7の先端部には、平紐でつくられた把手部材4が両端部を非伸縮帯7の幅方向両端部に縫い付けて設けてある。非伸縮帯7の先端部には、幅方向と平行に、幅が変わらないようにする手段である金属製で直棒状の幅固定部材5が折り込まれて取り付けてある(図2参照)。幅固定部材5は、非伸縮帯7の幅とほぼ同じ長さに形成されている。
【0037】
また、非伸縮帯7のうち上記面ファスナー3が設けられている側と反対側の面には面ファスナー2が縫い付けてある。面ファスナー2はそれぞれ面ファスナー3に対し留着と剥がしが可能である。
【0038】
荷崩れ防止用ベルトBの寸法は、本実施の形態では帯体1の幅が250mm、帯体1の長さが4300mm、伸縮帯6の長さが500mm、非伸縮帯7の長さが3150mm、面ファスナー3の長さが500mm、面ファスナー2の長さが150mmであるが、これに限定するものではなく、荷物の形状や大きさなどに合わせて適宜設定が可能である。このベルト帯体の比重は0・3程度であった。
【0039】
(作用)
図3は荷崩れ防止用ベルトを使用しパレット上の荷物を緊締している状態を示す斜視説明図である。図1ないし図3を参照して荷崩れ防止用ベルトの使用方法及び作用を説明する。
【0040】
まず、パレットPに、例えば段ボール箱で梱包された荷物を積み重ねる。三段に積み重ねた荷物(L1:下段、L2:中段、L3:上段、各段は5個組み)は、上部からの荷重がかかっていない上段の荷物L3と荷重が小さい中段の荷物L2が不安定なので、これらを荷崩れ防止用ベルトBによって互いに固定する。上段の荷物L3と中段の荷物L2が互いに固定されれば、それより下の下段の荷物L1は上部からの荷重で押さえられて安定し、荷物全体として荷崩れを起こしにくくなる。
【0041】
荷崩れ防止用ベルトBを荷物L2、L3の両方にかかるようにして、それらを囲むように巻き付け、有効長さを調節して各荷物L2、L3を互いにある程度締め付けて固定できる長さにし、面ファスナー3に面ファスナー2を留着して荷締めを行う。このとき、帯体1の長手方向に伸縮性を有する伸縮帯6により、適当な締め付け力が得られる。
【0042】
また、帯体1の把手部材4が設けてある一端側に幅固定部材5を有しているので、帯体1を荷物に巻き付ける際、把手部材4を持って端部を引っ張ったときに、帯体1の幅が収縮しないようにすることができる。これにより、帯体1に設けられている面ファスナー2を変形させてしまうことがなく、面ファスナー3との留着が簡単にかつ確実にできる。
【0043】
また、本例では荷物の表面が平面であるが、例えば荷物の外形が平面でなく凹凸のある不定形である場合は、帯体1の長手方向には本質的に伸縮性を有さない非伸縮帯7は、その外形に沿うように帯体1を柔軟に変形させることができるので、良好な密着性と保持性を発揮できる。
【0044】
ベルトの帯体1を構成する伸縮帯6及び非伸縮帯7はたて編み織り(一例としてラッシェル織り)の網でつくられており、透視性と通風性を発揮できる網目を有している。これにより、ベルトの帯体1が被さったところの荷物表面に表示された文字などを視認することが可能である。また、ベルトの帯体1を冷風が通り抜けることができるので、荷物を急速に冷凍する場合などに全体をむらなく均等に冷却することができる。
【0045】
更には、梱包材に通気口のある荷物(野菜や果物など)であっても通気を邪魔する心配はない。なお、帯体1は網であるので、例えば荷物を冷凍庫などの冷所から外へ出したときにも、ほとんど結露が生じることがなく、多少結露したとしても、ごく短時間で発散し乾くので支障はない。
【0046】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る荷崩れ防止用ベルトの実施の形態を示す斜視図。
【図2】把手部材側の構造を示す拡大説明図。
【図3】荷崩れ防止用ベルトを使用しパレット上の荷物を緊締している状態を示す斜視説明図。
【図4】二重の網目状のたて編み織りの樹脂製ネットの織り方の一例図
【符号の説明】
【0048】
B 荷崩れ防止用ベルト
1 帯体
6 伸縮帯
7 非伸縮帯
2、3 面ファスナー
4 把手部材
5 幅固定部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物運搬用パレット上の荷物の荷崩れの防止のために、荷物の透視性と通風性を発揮でき、安定に固定できる荷物の荷崩れ防止用ベルトにおいて、一方の端に掴み部と、ベルト両端に面ファスナー部と、一方の面ファスナーに隣接している長手方向に伸縮することのできるたて編み織り網目状ポリオレフィン樹脂製ネット部と、長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りポリオレフィン樹脂製ネット部とからなっていることを特徴とするパレット用荷崩れ防止ベルト
【請求項2】
請求項1においてペレット用荷崩れ防止ベルトは幅50〜1500mm、全長は3000〜8000mmであって、両端の面ファスナー部の長さは100〜700mmであり、長手方向に伸縮することのできるたて編み織り二重の網目状ポリプロピレン樹脂製ネット部は200〜1000mmであることを特徴とするパレット用荷崩れ防止ベルト。
【請求項3】
請求項1において、ポリオレフィン樹脂製ネット部の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレンであって、この合成樹脂の糸の太さが0.05〜1mmのモノフラメントであり、さらに網の目(ネットの目合い)の幅は1〜10mmの範囲であり、中心部の長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りのポリオレフィン樹脂製ネット部では、ネット状帯体がポリエチレン樹脂製モノフラメトの糸からできた繊維状ネットでなっており、ネット目の目合いが1〜10mmの範囲内であり、ネット部分の比重が0.1〜0.8であることを特徴とするパレット用荷崩れ防止ベルト。
【請求項4】
請求項1において面ファスナーはフックテープ型、ループテープ型、および両者の混合型であって、面ファスナー内のフックとループはナイロン、およびナイロンとエステル混合系を主成分としたものであり、面ファスナーの裏地が通気性を有する合成樹脂の材料であることを特徴とするパレット用荷崩れ防止ベルト。
【請求項5】
請求項1において長手方向の伸縮が起こらないたて編み織りのポリエチレン樹脂製ネット部はネット表面に印刷、プリントできる表面状態であることを特徴とするパレット用荷崩れ防止ベルト


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−230626(P2007−230626A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55702(P2006−55702)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(394009304)
【Fターム(参考)】