説明

パンチ装置

【課題】 カム部材72の停止時の振動によりカム部材72の移動距離を誤検知しないようにして、精度良くカム部材72を停止させる。
【解決手段】 カム部材駆動モータ92を駆動して、カム部材HPセンサ56がフラグ101を検知しなくなってからカム部材FGセンサ59のパルスを所定数カウントしたらブレーキを掛けてモータ92の駆動を停止し、カム部材HPセンサ56の出力に基づいてカム部材72の停止した領域を判断する。その後モータ92を低速で駆動してカム部材HPセンサ56の出力が変化するまでののオーバーランの再現動作を行い、モータを停止させた後、次の起動からセンサエッジ検出までのカム部材FGセンサ59のパルス数から停止位置を測定することで、実際の穿孔時のモータのブレーキタイミングを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに穿孔を行うパンチ装置に関し、特に、モータによって稼動されるカム部材の停止位置制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート処理装置に組み込まれ、画像形成装置から排出するシートに穴あけを行う穿孔装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の穿孔装置では、パンチを上下動させるカム部材をモータによって移動させ、パンチをダイ穴に挿入させることでシートに穴をあけている。
【0003】
前記カム部材の位置する領域には、パンチがダイ穴に挿入されている穿孔領域とパンチがダイ穴に挿入されていない停止領域がある。カム部材が穿孔領域にあるときは、パンチが紙パスをふさぐことになり、シートを搬送することができない。その為、次のシートを穿孔装置に搬送するには、シートの穿孔後、カム部材を移動させて停止領域に確実に停止させる必要がある。
【0004】
一方、前記カム部材を駆動するモータは、シートに穴をあける際に発生する突発的な大きいトルクに対応する為、DCモータが用いられている。しかし、DCモータはブレーキを掛けてても慣性によってすぐには停止せず、目標停止位置を所定量オーバーランすることがある。穿孔時のモータの回転速度を速くするほど、慣性力が強くなり、オーバーランは長くなる。その為、従来の穿孔装置では、停止領域に入る前にモータにブレーキをかけて、カム部材を停止領域に停止できるようにしている。
【0005】
一方、オーバーランによるカム部材の移動量は、モータのブレーキ力のばらつき、駆動構成の摩擦力のばらつきによって、穿孔装置ごとに変動する。停止領域に入る前にモータにブレーキをかけた場合、オーバーランが少なすぎれば、停止領域に到達できない惧れがある。また、オーバーランが多すぎれば、カム部材が停止領域に停止できず、他の部材への衝突や、停止領域を通り過ぎ、穿孔領域に飛び出す惧れがある。
【0006】
このような不都合を防止するため、モータの回転量を測定するセンサを用いて、モータにブレーキを掛けてから所定時間経過後までの回転量を計測することで、オーバーランを確認している。そして、測定したオーバーラン量を基にモータのブレーキタイミングを制御することで、パンチ刃の停止位置が所定範囲内に収まるようにしている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−264086
【特許文献2】特開2004−345834
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、モータにブレーキを掛けてから停止するまでの回転量をセンサで計測する従来の方法では、モータの停止した位置がセンサの検出範囲の境界(検出エッジ)付近の場合、停止時の振動によって、オーバーラン量を誤検知することがあった。即ち、カム部材とともに移動する検出部材がセンサの検出エッジを行き来することで、センサの出力が変化し、停止しているにも拘わらず、動いていると誤検知することがあった。オーバーラン量を誤検知した場合、ブレーキタイミングの制御が上手く行かず、パンチ刃が紙パス上に飛び出した状態で停止し、ジャムが発生してしまう。また、誤検知を防止する為、モータの回転方向を検知できるように複数のセンサを用いた場合、センサの追加、及び検知回路の複雑化により、穿孔装置のコストが高くなり、装置も大型化するという問題があった。また、ブレーキタイミングを固定値にした場合、オーバーラン量のばらつきの少ない高価なモータを使用する必要があった。
【0008】
また、モータにブレーキをかけたときに、カム部材がオーバーランしないようにメカ的にカム部材の移動領域を制限する構成とすることも考えられる。しかし、カム部材が制限領域まで達したときの衝撃によりモータの寿命の低下を招いてしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、小型且つ低コストな構成によって、パンチを上下動させるカム部材を、確実にパンチが紙パス上に存在しない停止領域に停止させるモータ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のパンチ装置は、シートに穿孔を行うパンチと、前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、前記カム部材を移動させるモータと、前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域であることが前記位置検知手段により検知されている場合、前記前記カム部材の移動方向を反転させるよう前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域を抜けたことを前記位置検知手段により検知するまでの前記パルス発生手段からのパルス数をカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とする。
【0011】
また本発明のパンチ装置は、シートに穿孔を行うパンチと、前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、前記カム部材を移動させるモータと、前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域まで到達していないことが前記位置検知手段により検知されている場合、前記カム部材の移動方向を維持したまま前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域に到達するまでの前記パルス発生手段からのパルスをカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とする。
【0012】
また本発明のパンチ装置は、シートに穿孔を行うパンチと、前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、前記カム部材を移動させるモータと、前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域を通過していることが前記位置検知手段により検知されている場合、前記前記カム部材の移動方向を反転させるよう前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域に到達したことを前記位置検知手段により検知するまでの前記パルス発生手段からのパルス数をカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のパンチ装置は、シートに穿孔を行うパンチと、前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、前記カム部材を移動させるモータと、前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過してから前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータにブレーキを掛けて停止領域に前記カム部材を停止させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、ブレーキを掛けるタイミングを調整する調整動作を実行する場合に、前記カム部材が前記基準位置を通過してから前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントしたことに応じて前記モータにブレーキを掛けて前記カム部材が停止した後、前記モータを正転駆動又は逆転駆動させてから前記カム部材が前記停止領域の端部に到達するまでの前記パルス発生手段からのパルスのカウント値に基づいて、前記モータにブレーキを掛けるタイミングを調整する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カム部材の停止時の振動の影響を受けず、正確な停止位置を測定することができる。その結果、ブレーキタイミングの調整を正確に行うことができ、カム部材を停止領域に確実に止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明のモータ駆動装置が組み込まれた穿孔装置を搭載した画像形成装置の一例である複写機を図1に基づいて説明する。
【0016】
(複写機、シート処理装置の構成説明)
図1において、複写機3は、複写機本体2にシート処理装置1が連結されて構成されている。シート処理装置1は、複写機本体2で画像が形成されたシートに孔をあける孔あけ装置50と、シートを1部(1セット)毎に綴じるシート後処理可能なフィニッシャ4等を備えている。
【0017】
複写機3は、上部に装備された原稿給送装置5から自動給送された原稿を光学部6によって光学的に読み取り、その情報をデジタル信号として画像形成部7へ送信する。光照射部7aは、受信したデジタル信号に基づいてレーザ光を感光ドラム7bに照射して潜像を形成する。この潜像は現像器7cによって現像されてトナー像となる。
【0018】
一方、複写機本体2の下部には、各種サイズのシートPを収納した複数のシートカセット8が装備されている。このシートカセット8から搬送ローラ対9によって搬送されたシートは、画像形成部7において電子写真方式によってトナー像が転写される。シートは、定着器10へ搬送される。トナー像は定着器10の熱および圧力によってシートに定着される。
【0019】
シートの片面に画像を形成するモードの場合、画像が形成されたシートは、シート処理装置1へ搬送される。シートの両面に画像を形成する場合、一方の面に画像が形成されたシートはスイッチバック方式によって再送パス11へ搬送され、再度、画像形成部7に搬送されて他方の面にも画像が形成される。その後、シート処理装置1へと送り込まれる。なお、シートは、手差しトレイ12からも供給することができる。また、複写機本体2内の各部の動作制御は、制御装置14によって行われる。
【0020】
図1において、シート処理装置1の入口ローラ対20は、画像形成装置3の排出ローラ対13から排出されてくるシートPを受け入れる。受け入れられたシートPは、第1搬送ローラ対21で搬送される。シートPの通過はシート検知センサ22によって検知される。
【0021】
その後、シートは、後端部付近に孔あけ装置50によって孔があけられて、比較的大径のバッファローラ23のロール面に、そのローラ23の外部周囲に配した各押し付けコロ24,25,26によって押し付けられて一時的に蓄えられる。
【0022】
第1切換フラッパ27は、ノンソートパス28とソートパス29とを選択的に切り換える。第2切換フラッパ30は、ソートパス29と、シートPを一時的に蓄えるバッファパス31との切り換えを行う。
【0023】
ノンソートパス28内のシートPはセンサ32によって検知される。バッファパス31内のシートPはセンサ33によって検知される。ソートパス29内のシートは、第2搬送ローラ対34によって搬送される。
【0024】
処理トレイユニット35は、シートPを一時的に集積し、整合するようになっている。また、処理トレイユニット35は、ステイプルユニット36のステイプラ37によってステイプル処理を行うため設けられた中間トレイ38を有する。中間トレイ38の排出端側には、束排出ローラ対39を構成する一方の排出ローラ、ここでは、下排出ローラ39aが配置されている。この下排出ローラ39aは中間トレイ38側に固定されている。
【0025】
シートは、ソートパス29の出口に配置された第1排出ローラ対40によって中間トレイ38上に排出される。また、後処理を行わないシートは、ノンソートパス28の出口に配置された第2排出ローラ対41によってサンプルトレイ42上に排出される場合もある。
【0026】
束排出ローラ対39の上排出ローラ39bは、揺動ガイド43に支持されており、該揺動ガイド43が閉じた位置に揺動した時、下排出ローラ39aに加圧的に当接されて中間トレイ38上のシートPをスタックトレイ44上に排出する。束積載ガイド45は、スタックトレイ44、およびサンプルトレイ42上に積載されるシート束の後端(束排出方向に対して後端)縁を受け止める束積載ガイドであり、ここでは、シート処理装置1の外装を兼ねている。なお、シート処理装置1の各部の動作制御は、処理制御装置(作動制御手段)46によって行われる。
【0027】
(パンチャの構成)
次に、フィニッシャ4に搭載された孔あけ装置50の構成を図2に基づいて説明する。図2(a)は図1に示す孔あけ装置50を示す図であり、シートの搬送面を上(図1の紙面右側)から見た図である。図2(b)は孔あけ装置50をシート搬送方向の上流側から見た図である。図2(c)は、カム部材72に沿った断面図である。図3はシート搬送方向における孔あけ装置50の断面図である。図2に示す孔あけ装置50は、シートに2つの孔と3つの孔とを選択的にあけることができるようになっている。
【0028】
孔あけ装置50は、フレーム51と、フレーム51上を図2の左右方向に移動可能なフレーム52とを有している。フレーム52は、フレーム51上を移動する部分である下部フレーム60と、下部フレーム60の上側に複数のスペーサ61を介して固定された上部フレーム62とを有している。スペーサ61は、下部フレーム60と上部フレーム62との間に介在しており、下部フレーム60の上面板63と上部フレーム62の下面板64との間にシートが通過できる隙間Sを形成するために設けてある。下部フレーム60の上面板63と上部フレーム62の下面板64との上流端は、図3に示すように、「ハ」の字状に形成されてシートを隙間Sに案内するようになっている。
【0029】
上部フレーム62は、対向する下面板64、および上面板66と、下面板64、および上面板66板同士を接続する背面板67とによって、断面コ字状に形成してある。下面板64、および上面板66には、5本のパンチ68A,68B,68C,68D,68Eを貫通して上下動するように設けてある。パンチ68A,68B,68C,68D,68Eの下端が対向する下部フレーム60の上面板63には、パンチ68A,68B,68C,68D,68Eと協働してシートに孔をあけるダイ孔70A,70B,70C,70D,70Eを形成してある。したがって、下部フレーム60の上面板63は、ダイでもあり、シート案内板でもある。
【0030】
パンチ68A,68B,68C,68D,68Eは、上部フレームに62に等間隔に配列された3孔用パンチ68A,68B,68Cと、3孔用パンチ68A,68B,68Cの間に配設された2孔用パンチ68D,68Eとに分けられる。また、各パンチ68A,68B,68C,68D,68Eには、カム部材72のカム73A,73B,73C,73D,73Eに係合している係合ピン75をパンチ68A,68B,68C,68D,68Eと直角に立設してある。
【0031】
カム部材72に形成されたカム73A,73B,73C,73D,73Eには、3孔用のカム73A,73B,73Cと、2孔用カム73D,73Eとに分けられる。いずれのカムも、傾斜部と直線部とを有する溝状に形成してある。各パンチ68A,68B,68C,68D,68Eは、係合ピン75がカム73A,73B,73C,73D,73Eに係合している。従って、軸に沿った方向の各パンチの位置は、係合ピン75がカム73A,73B,73C,73D,73Eのどの部分に係合しているかによって決まる。カム部材72が図の左右の方向に移動することにより、各パンチがその穿孔する方向に往復動する。
【0032】
図2において、カム73Aは3孔用のカムであり、3孔用パンチ68Aが係合している。このカム73Aの右側の直線部は、左側の直線部より長く形成してある。カム73B(73D)は、3孔用カムと2孔用カムに兼用されて、3孔用パンチの内、中央の3孔用パンチ68Bと、2孔用パンチの内、左側の2孔用パンチ68Dとが係合している。このカム73B(73D)は、2本のパンチ68B,68Dに共用されているので、カムの数を減らすことができると共に、パンチ68B,68D同士の間隔を狭めることができる。2孔用カム73Eと3孔用カム73Cは、直線部分が互いに連通して形成してある。2孔用のカム73Eには、2孔用パンチの内、右側の2孔用パンチ68Eが係合している。3孔用カム73Cには、3孔用パンチの内、右側の3孔用パンチ68Cが係合している。この2つのカム73E,73Cの外側の直線部は、互いに離れる方向に延びている。
【0033】
3孔用カム73Aの右側直線部の長さと、3孔用・2孔用兼用カム73B(73D)の左右の直線部の長さと、2孔用カム73Eの左側直線部79Eの長さと、3孔用カム73Cの右側直線部の長さは、ほぼ同じ長さに設定してある。また、3孔用カム73Aと、2孔用カム73Eと、3孔用カム73Cは、同じ高さに形成され、3孔用・2孔用兼用カム73B(73D)は、他の3つのカムより図2において高い位置に形成してある。
【0034】
このことによって、3孔用カム73Aの右側直線部の端部と、3孔用・2孔用兼用カム73B(73D)の左側直線部の端部とが、上下方向で対向して形成することができる。また、3孔用・2孔用兼用カム73B(73D)の右側直線部78Eと、2孔用カム73Eの左側直線部はほぼ全体が対向するよう形成することができ、各パンチ68A,68B,68C,68D,68E同士の間隔を規格の間隔に配列することができる。
【0035】
また、カム73A,73B,73C,73D,73Eを、パンチ68A,68B,68C,68D,68Eの移動方向に位置をずらして、カム同士が連続しないようにすることによって、必要の無いパンチまでが作動するようなことはない。
【0036】
さらに、3孔用パンチ68A,68B,68Cの同士の間隔は等間隔であるが、3孔用カム73Aと、3孔用・2孔用兼用カム73B(D)と、3孔用カム73Cとにおいてカム同士の間隔は異なっている。しかも、3孔用パンチ同士の間隔は、3孔用カム同士の間隔と異なっている。同様に、2孔用パンチ68D,68Eの間隔は、2孔用カム73D,73Eの間隔と異なっている。これは、カム部材72の移動によって、3孔用パンチ、あるいは2孔用パンチがシートに孔をあけるとき、3本の3孔用パンチ、あるいは2本の2孔用パンチが、それぞれ時間差をおいて作動してシートに孔をあけるためである。この結果、後述するカム部材駆動モータ92に過負荷が加わることなく、カム部材駆動モータ92は、円滑な孔あけ動作ができる。
【0037】
カム部材72の右端部には、ラック91を形成してある。このラック91には、フレーム52に設けられたカム部材駆動モータ92によって回転するピニオン94が噛合している。
【0038】
また、カム部材72の右端部には、上向きに3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103を突設してある。上部フレーム62の上面板66には、この3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103を検知するカム部材ホームポジション検知センサ56を設けてある。3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103とカム部材ホームポジションセンサ56は、カム部材72の位置を検知する位置検知手段として機能する。言い換えれば、パンチ68A,68B,68C,68D,68Eが、シートに孔をあける前の位置にいるか孔をあけている位置にいるかを検知するようになっている。なお、以下、ホームポジションを、「HP」と略称する。
【0039】
さらに、カム部材72の右端部には、水平に1つのカム部材状態検知フラグ105を突設してある。上部フレーム62の背面板67には、カム部材状態検知フラグ105を検知するカム部材移動方向検知センサ57、およびカム部材領域検知センサ58とをカム部材72の移動方向に離して設けてある。
【0040】
カム部材領域検知センサ58は、カム部材状態検知フラグ105を検知するか否かによって、カム部材72が、3孔パンチを作動させる領域にいるのか、2孔パンチを作動させる領域にいるのかを検知するようになっている。
【0041】
また、カム部材移動方向検知センサ57は、カム部材72を動作させてパンチ68A,68B,68C,68D,68Eに孔あけ動作をさせるため、カム部材状態検知フラグ105を検知するか否かによって、カム部材72の駆動方向を決定するためのセンサである。
【0042】
(制御ブロック)
次に、フィニッシャ4に搭載される孔あけ装置50を制御するコントローラ110の構成を図4に基づいて説明する。コントローラ110は、図1の処理制御装置46内に組み込まれて、CPU111,ROM112,RAM113を内蔵し、ROM112に格納されている制御プログラムにより総括的に孔あけ装置50を制御するようになっている。RAM113は制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いる。
【0043】
コントローラ110には、カム部材HPセンサ56と、カム部材移動方向検知センサ57と、カム部材領域検知センサ58とを接続してある。
【0044】
これらの各種センサ56,57,58により検出された信号は、コントローラ110に入力され、孔あけ装置50の制御に使用される。カム部材駆動モータ92は、孔あけ装置50のカム部材72を左右に往復移動させて、シートに孔をあけるための駆動源である。
【0045】
モータドライバ114は、コントローラ110からの制御信号によりカム部材駆動モータ92を制御するようになっている。カム部材FGセンサ59は、エンコーダとしての機能を有し、カム部材駆動モータ92の回転軸に設置されたスリット付円盤93のスリットを検出するセンサである。このカム部材FGセンサ59により検出された信号をコントローラ110に入力することにより、コントローラ110がカム部材駆動モータ92の回転数やカム部材72の移動距離を算出するようになっている。即ち、カム部材FGセンサ59は、カム部材72の移動量に応じたパルスを発生するパルス発生手段として機能する。
【0046】
(動作の説明)
図5はカム部材72の動作状態を示した図である。図6は、カム部材72の位置に対応したカム部材HPセンサ56,カム部材移動方向検知センサ57,カム部材領域検知センサ58のON,OFFの論理状態を示した図である。図6に示す様に、カム部材HPセンサ56,カム部材移動方向検知センサ57,カム部材領域検知センサ58のそれぞれの論理状態に応じて、カム部材72の位置する領域をAからGにわけている。Aが2孔の停止領域、BとCが2孔の穿孔領域、Dが中央の停止領域、EとFが3孔の穿孔領域、Gは3孔の停止領域となっている。穿孔装置50がフィニッシャ4に装着された時において、カム部材72が手前側から奥側へ移動することによって、領域がAからGへと順に変化していくことになる。
【0047】
図6の領域A〜Gのそれぞれは、図5の(a)〜(g)に示す状態に対応する。
【0048】
孔あけ装置50の孔あけ動作を説明する。
【0049】
図7は孔あけ装置50の動作を説明するフローチャートである。図7のフローチャートはコントローラ110内のCPU11により実行される。CPU111は、複写機本体2の制御装置14から動作開始の制御信号を受信すると、孔あけ装置50の初期化動作を実行する(S602)。
【0050】
(初期化動作の説明)
ステップS602の初期化動作の詳細を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
この初期化動作は、孔あけ動作を確実に行うため、カム部材72をホームポジションに移動するための動作である。CPU111は、カム部材HPセンサ56,カム部材移動方向検知センサ57、カム部材領域検知センサ58の入力状態(ON,OFF)を確認する(S701)。CPU111は、その各信号の入力状態によりカム部材72が図6に示すAからGのどこの領域に位置するかを判断する。
【0052】
例えば、カム部材HPセンサ56の入力状態がOFF、カム部材移動方向検知センサ57の入力状態がON、カム部材領域検知センサ58の入力状態がONであった場合は、図6から、穿孔領域Eにカム部材72がいることが判る。このときの孔あけ装置50は図5(f)に示す状態になっている。CPU111は、判別されたカム部材72の初期位置により初期化動作におけるカム部材72の移動先を決定する(S702)。
【0053】
カム部材HPセンサ56、カム部材移動方向検知センサ57、カム部材領域検知センサ58の入力状態による移動先のマトリクスを図9に示す。例えば、判別されたカム部材72の初期位置が停止領域A、或いは穿孔領域Bである場合は移動先は停止領域Dとなる。また、初期位置が穿孔領域Cである場合、移動先は停止領域Aとなる。また、初期位置が停止領域D、或いは穿孔領域Eである場合、移動先は停止領域Gとなり、初期位置が穿孔領域F、或いは停止領域Gである場合、移動先は停止領域Dとなる。
【0054】
このように、図9に示すマトリクスに従って初期化動作の移動先が確定される。移動先が確定すると、CPU111は、カム部材駆動モータ92を駆動するためのモータドライバ114に制御信号を送る(S703)。
【0055】
カム部材駆動モータ92を駆動する制御信号としては、具体的には、モータON信号、モータ正転/反転信号、モータ反転信号がある。カム部材72の初期位置より移動先の領域のアルファベットが前である場合(例えば、領域Cから領域Aへ移動)、カム部材72は図5における左から右に移動する。この時、モータ正転/反転信号は、1(Hレベル)となり、CPU111は、モータ軸を時計方向に回転させる。また、初期位置より移動先の領域のアルファベットが後である場合(例えば、領域Dから領域Gへ移動)、カム部材72は図5における右から左に移動することになる。この時、モータ正転/反転信号は、0(Lレベル)となり、CPU111は、モータ軸を反時計方向に回転させる。
【0056】
CPU111は、カム部材駆動モータ92の駆動速度が目標速度V1になるように、モータON信号をPWM(Pulse Width Modulation、パルス幅制御)制御することで速度制御を行う。カム部材駆動モータ92の速度の検知は、カム部材FGセンサ59のパルスに基づいて行う。なお、ラック91とピニオン94との歯車比が1:1であるので、カム部材駆動モータ92の目標速度はカム部材72の目標移動速度でもある。
【0057】
カム部材駆動モータ92を駆動開始に同期して、CPU111は、タイマカウントT1でカウントを開始する(S704)。次に、CPU111は、タイマカウントT1がT1<300msecかどうかを判断する(S705)。もし、T1<300msecならば、CPU111は、カム部材HPセンサ56がONしたどうかを判断する(S706)。ここで、カム部材HPセンサ56がONすれば、カム部材72が何れかの停止領域(HP領域)に移動したことになる。カム部材HPセンサ56がONしている場合、CPU111はカム部材駆動モータ92を駆動するための制御信号をモータドライバ114に送信することを停止して、カム部材駆動モータ92を停止させる(S707)。カム部材HPセンサ56がOFFのままの場合は、S705に戻り、CPU111は、T1の監視を再度行う。
【0058】
また、S705でタイマカウントT1がT1≧300msecであった場合、カム部材駆動モータ92の作動、あるいはカム部材72の移動に何らかの異状が発生して、カム部材72が停止領域に到達できなかったことになる。その場合、CPU111は、カム部材駆動モータ92を停止させ、カム部材駆動モータ92の駆動エラーとする(S709)。CPU111は、更に、シート処理装置1あるいは複写機本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S710)。孔あけ装置50の動作が停止することによって、孔あけ装置50の損傷が防止される。コントローラ110は、このようにして初期化動作を完了する(S708)。
【0059】
ここでは、停止領域が図7で示すA、D、Gの3箇所から構成される孔あけ装置の初期化動作を説明したが、停止領域が2箇所から構成される孔あけ装置の初期化動作についても同様である。すなわち、停止領域が2箇所から構成される孔あけ装置は、図7に示す領域で説明すると、カム部材72は、停止領域Aから停止領域Dまでの範囲、または停止領域Dから停止領域Gまでの範囲を移動する。この場合も図10に示すマトリクスを当てはめることができる。
【0060】
具体的には、カム部材72が停止領域Aから停止領域Dまでの範囲を移動する孔あけ装置の場合、カム部材72は、最初、停止領域Aまたは穿孔領域Bにいるとき、停止領域Dへ移動し、穿孔領域Cまたは停止領域Dにいるとき、停止領域Aへ移動する。
【0061】
カム部材72が停止領域Dから停止領域Gまでの範囲を移動する孔あけ装置の場合、カム部材72は、最初、停止領域D、または穿孔領域Eにいるとき、停止領域Gへ移動し、穿孔領域F、または停止領域Gにいるとき、停止領域Dへ移動する。
【0062】
なお、図9に示すマトリクスによると、停止領域が3箇所から構成される孔あけ装置の初期化動作においては、カム部材72は、初期領域が停止領域A、穿孔領域Bの場合は停止領域Dへ移動する。また、初期領域が穿孔領域C、停止領域Dの場合は停止領域Aへ、初期領域が停止領域D、穿孔領域Eの場合は停止領域Gへ、初期領域が穿孔領域F、停止領域Gの場合は停止領域Dへ、すなわち、遠い方の領域へ移動するようになっている。停止領域が3箇所から構成される孔あけ装置の初期化動作においても同様である。
【0063】
図7に戻り、初期化動作(S602)が完了した後、複写機本体2の制御装置14(図1参照)から孔あけ装置50の処理制御装置46にジョブ(JOB)開始の信号が送信される。それと同時に、複写機本体2から孔あけ装置50に搬送されるシートに対してのシートサイズ情報が1枚ごとに送信される。CPU111は、シートサイズ情報を受け取り(S604)、そのシートサイズデータがパンチ可能なパンチ対応シートサイズであるかどうかの判断をする(S605)。シートサイズデータとは、具体的には、シート長さデータLとシート幅データWである。CPU111は、例えば、ここで得られたシート長さデータLがL=200mm、シート幅データWがW=148mmであれば、このサイズのシートはパンチ対応シートサイズではないので、CPU111は、穿孔動作を不許可とし、穿孔動作を行わない。そして、次のシートサイズデータの取得を行う。
【0064】
S605で得られたシートサイズデータがパンチ対応シートサイズである場合、CPU111は、カム部材72のカム部材領域判断を行う。前述の初期化動作(S602)において、カム部材72は、図6の停止領域A,停止領域D,停止領域Gのいずれかの領域に移動しているはずである。つまり、CPU111は、カム部材72が図6の停止領域A,停止領域D,停止領域Gのいずれかに存在しているのを判断する。この判断には、カム部材HPセンサ56のON,OFF状態を検知して行う(S606)。
【0065】
ここで、図6の停止領域A,停止領域D,停止領域Gのいずれかにカム部材72があることが判断できなかった場合、CPU111は、孔あけ動作の保証ができないので、カム部材駆動モータ92の駆動エラーと判断する(S617)。駆動エラーであると、CPU111は、更に、孔あけ装置50の動作を停止させ、シート処理装置1あるいは複写機本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S618)。S606で図6の停止領域A,停止領域D,停止領域Gのいずれかにカム部材72があることが判断できた場合、CPU111は、次のシート幅判定(S607)に移行する。
【0066】
S607のシート幅判定では、S604で取得したシートサイズデータのうち、シート幅データWが266mm<W<298mmの範囲にあるか、否かを不図示のセンサで検知する。CPU111は、もし、シート幅データWが266<W<298の場合、3つの孔をあけるシートサイズであると判断し、それ以外の場合、2つの孔をあけるシートであると判断する。なお、シート幅データWが、266<Wであっても3つの孔をあけるようにしてもよい。即ち、シートのサイズに応じて2穴或いは3穴の先行を行うかが決定される。
【0067】
次に、S607のシート幅判定で、シート幅データWが266<W<298の範囲であった場合、CPU111はカム部材72が3孔をあけることが可能な領域にいるかどうかを判断する(S608)。具体的には、CPU111は、図6の停止領域Dもしくは停止領域Gにカム部材があると判断された場合は3孔穿孔動作を行う(S610)。この3孔穿孔動作は後述する。また、S608において、CPU111は、カム部材72が図6の停止領域Aにあると判断した場合、3孔をあけることができないので、2孔3孔領域切換動作を行い、カム部材72を3穴が穿孔できる停止領域Dに移動する(S609)。さらに、S607のシート幅判定で、シート幅データWが266<W<298の範囲外であった場合も同様に、CPU111はカム部材72が2孔(第1の孔数(または、第2の孔数)をあけることが可能な領域にいるかどうかを判断する(S612)。具体的には、CPU111は、図6の停止領域Aもしくは停止領域Dにカム部材があると判断した場合、2孔穿孔動作を行う(S614)。この2孔穿孔動作も後述する。また、S612において、CPU111は、カム部材72が図6の停止領域Gにあると判断した場合は、2孔をあけることができないので、3孔2孔領域切換動作を行う(S614)。この3孔2孔領域切り換え動作も後述する。
【0068】
穿孔動作を終えたら、CPU111は、複写機本体2の制御装置14からジョブ継続の信号を受信したかどうかを判断する(S615)。CPU111は、ジョブ継続信号を受信している場合には、S604に戻り、次のシートに対してのシートサイズデータの取得に移行する(S604)。S615でジョブの継続が無い場合には、CPU111はジョブ終了と判断し、一連の穿孔動作を終了する(S616)。
【0069】
(3孔穿孔動作)
図7のS610の3孔穿孔動作の詳細を、図10のフローチャートを用いて説明をする。
【0070】
(3孔正転制御)
シートが送られてくると、シートは、隙間Sに案内される。その後、シートPの搬送が停止し、シートの上流側端部がパンチ68A,68B,68C,68D,68Eとに対向される。この時、CPU111は、カム部材72が図6の停止領域Gにあるか否かを判断する(S900)。カム部材72が停止領域Gにある場合、カム部材72は、図5(g)に示すように右に寄っていることになる。シートに孔をあけるためには、カム部材72を右から左に移動させる必要がある。CPU111は、カム部材72が図5(g)において、右から左に移動するようにカム部材駆動モータ92を制御する。このようにカム部材72を停止領域Gから停止領域Dの方向に移動させることを3孔正転制御と言う。
【0071】
シートPの搬送が停止した後、CPU111はカム部材駆動モータ92を駆動するためのモータドライバ114に制御信号を送る(S901)。カム部材駆動モータ92を駆動するための制御信号としては、具体的には、モータON信号、モータ正転/反転信号、モータ反転信号がある。正転制御の場合、モータ正転/反転信号は1(Hレベル)となり、モータ軸を時計方向に回転させる。
【0072】
その後、CPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V2になるように、カム部材駆動モータ92の駆動信号(モータON信号)をPWM制御する(S902)。なお、カム部材駆動モータ92の速度の検出は、カム部材FGセンサ59からのパルスに基づいて行う。
【0073】
カム部材駆動モータ92が回転すると、CPU111は、タイマカウンタT2でカウントを開始する(S905)。このタイマカウンタT2はカム部材駆動モータ92の動作不良を検知するためのものであり、S905以降の処理を継続するにあたって、CPU111は常にカム部材駆動モータ92を監視している。CPU111は、T2>200msecになったか否かを判断し(S906)、T2>200になると、カム部材駆動モータ92のエラーとする(907)。即ち、CPU111は、カム部材駆動モータ92の作動、あるいはカム部材72の移動に何らかの異状が発生して、カム部材駆動モータ92が動かなかったと判断する。モータ駆動エラーとした場合、CPU111は、孔あけ装置50を停止することによって、孔あけ装置の損傷を防止して、シート処理装置あるいは複写機本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S914)。
【0074】
この状態の時、カム部材72は、ピニオン93とラック91によって、図5(g)(f)(e)(d)の順に右から左に移動する。この間に、3孔用パンチ68A,68B,68Cが3孔用カム73A,73B,73Cによって下降し、シートに3つの孔をあけてから上昇する。
【0075】
次にCPU111は、カム部材HPセンサ56がOFFになるのを待つ(S908)。カム部材HPセンサ56がOFFになると、CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P1をカウント開始する(S909)。その後、CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P1がブレーキタイミングB3になったか否かを判断し(S910)、P1=B3になると、カム部材駆動モータ92の駆動制御信号を停止し、カム部材駆動モータ92を停止する(S911)。
【0076】
ブレーキタイミングB3とは3孔穿孔時のブレーキタイミングである。ブレーキタイミングB3は、機体差によるカム部材のオーバーラン量のばらつきを補完する為、シート処理装置1の電源投入時に補正する。ブレーキタイミングB3の補正方法は後述する。このように機体差によるオーバーランのばらつきを補完することにより、図6の停止領域D内でカム部材72が確実に停止できる。このときのカム部材HPセンサ56の出力は以下のように変化する。3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103の内、左端のパンチ作動状態検知フラグ101によって、「ON」になっていた状態から、一旦「OFF」になり、その後、中央のパンチ作動状態検知フラグ102によって「ON」状態に戻る。このフラグ102を検知している範囲は停止領域に相当する。
【0077】
カム部材駆動モータ92が停止しても、カム部材72は、カム部材駆動モータ92や、カム部材72自身等の慣性によりカム部材HPセンサ56が中央のパンチ作動状態検知フラグ102に完全に対向して(図6の停止領域D)停止することになる。
【0078】
(3孔逆転制御)
S900でカム部材72が図6の停止領域Gになく、停止領域Dにある場合、カム部材72は、図5(d)に示すように中央に位置していることになる。
【0079】
シートに孔をあけるためには、カム部材72を中央から右に移動させる必要がある。CPU111は、カム部材72が図5(d)において、中央から右に移動するようにカム部材駆動モータ92を制御する。このようにカム部材72の領域を停止領域Dから停止領域Gの方向に移動させることを3孔逆転制御と言う。その後の動作は上述した3孔正転制御と同様である。但し、3孔正転制御の場合と逆に、カム部材72は、ピニオン93とラック91によって、図5(d)(e)(f)(g)の順に左から右に移動する。
【0080】
また、停止領域G内でカム部材72が停止する際に、カム部材HPセンサ56の出力は以下のように変化する。即ち、3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103の内、中央のパンチ作動状態検知フラグ102によって、「ON」になっていた状態から、一旦「OFF」になり、その後、左端のパンチ作動状態検知フラグ101によって「ON」状態に戻る。
【0081】
また、カム部材駆動モータ92が停止した際、カム部材HPセンサ56が、左端のパンチ作動状態検知フラグ101に完全に対向して(図6の停止領域G)停止する。
【0082】
(2孔穿孔動作)
図7のS614の2孔穿孔動作の詳細を、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0083】
(2孔正転制御)
シートが送られてくると、シートは、隙間Sに案内される。その後、シートPの搬送が停止し、シートの上流側端部がパンチ68A,68B,68C,68D,68Eとに対向される。CPU111はこの時、カム部材72が図6の停止領域Dにあるか否かを判断する(S1000)。カム部材72が停止領域Dにある場合、カム部材72は、図5(d)に示すように中央に位置していることになる。
【0084】
シートに孔をあけるためには、カム部材72を中央から左に移動させる必要がある。CPU111は、カム部材72が図5(d)において、中央から左に移動するようにカム部材駆動モータ92を制御する。このようにカム部材72の領域を停止領域Dから停止領域Aの方向に移動させることを2孔正転制御と言う。
【0085】
シートPの搬送が停止すると、CPU111はカム部材駆動モータ92を駆動するためのモータドライバ114に制御信号を送る(S1001)。カム部材駆動モータ92を駆動するための制御信号としては、具体的には、モータON信号、モータ正転/反転信号、モータ反転信号がある。正転制御の場合、モータ正転/反転信号は1(Hレベル)となり、モータ軸を時計方向に回転させる。
【0086】
CPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V2になるように、モータON信号をPWM制御するモータ(S1002)。
【0087】
カム部材駆動モータ92が回転すると、CPU111は、タイマカウンタT2でカウントを開始する(S1005)。モータCPU111はT2>200msecになったか否かを判断し(S1006)は、T2>200msecになると、カム部材駆動モータ92のエラーとする(1007)。駆動エラーになると、CPU111は、孔あけ装置50を停止し、シート処理装置、あるいは複写機本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S1014)。
【0088】
この状態の時、カム部材72は、ピニオン93とラック91によって、図6(d)(c)(b)(a)の順に右から左に移動する。この間に、2孔用パンチ68D,68Eが2孔用カム73D,73Eによって下降し、シートに2つの孔をあけてから上昇する。
【0089】
次にCPU111は、カム部材HPセンサ56がOFFになるのを待つ(S1008)。S1008で、カム部材HPセンサ56がOFFになると、CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P2をカウント開始する(S1009)。その後、CPU111はカム部材FGセンサ59のパルス数P2ブレーキタイミングB2になったか否かを判断し(S1010)、P1=B2となると、カム部材駆動モータ92の駆動制御信号を停止し、カム部材駆動モータ92を停止する(S1011)。
【0090】
ブレーキタイミングB2とは2孔穿孔時のブレーキタイミングである。ブレーキタイミングB2は、機体差によるカム部材のオーバーラン量のばらつきを補完する為、シート処理装置1の電源投入時に補正する。ブレーキタイミングB2の補正方法は後述する。このように機体差によるオーバーランのばらつきを補完することにより、図6の停止領域A内でカム部材72が確実に停止できる。このときカム部材HPセンサ56の出力は以下のように変化する。即ち、3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103の内、中央のパンチ作動状態検知フラグ102によって、「ON」になっていた状態から、一旦「OFF」になり、その後、右端のパンチ作動状態検知フラグ103によって「ON」状態に戻る。
【0091】
カム部材駆動モータ92が停止しても、カム部材72は、カム部材駆動モータ92や、カム部材72自身等の慣性によりカム部材HPセンサ56が右端のパンチ作動状態検知フラグ103に完全に対向して(図6の停止領域A)停止する。
【0092】
(2孔逆転制御)
S1000で、カム部材72が図6の停止領域Dになく停止領域Aにある場合、カム部材72は、図5(a)に示すように左に寄っていることになる。
【0093】
この場合、シートに孔をあけるためには、カム部材72を左から右に移動させる必要がある。CPU111は、カム部材72が図5(a)において、左から右に移動するようにカム部材駆動モータ92を制御する。このようにカム部材72の領域を停止領域Aから停止領域Dの方向に移動させることを2孔逆転制御と言う。その後の動作は上述した2孔正転制御と同様である。但し、2孔正転制御の場合と逆に、モータ正転/反転信号は0(Lレベル)となり、モータ軸を反時計方向に回転させる。
【0094】
また、カム部材72は、ピニオン93とラック91によって、図5(a)(b)(c)(d)の順に左から右に移動する。図6の停止領域D内でカム部材72が停止する際、カム部材HPセンサ56の出力は以下のように変化する。即ち、3つのパンチ作動状態検知フラグ101,102,103の内、右端のパンチ作動状態検知フラグ103によって、「ON」になっていた状態から、一旦「OFF」になり、その後、中央のパンチ作動状態検知フラグ102によって「ON」状態に戻る。
【0095】
また、カム部材駆動モータ92が停止する際、カム部材HPセンサ56が中央のパンチ作動状態検知フラグ102に完全に対向して(図6の停止領域D)停止する。
【0096】
(ブレーキタイミング調整処理)
次にブレーキタイミングの調整処理について、図12を用いて説明する。
【0097】
ブレーキタイミング調整処理はシート処理装置1の電源投入時に実行する。まず、CPU111は、前述した初期動作を行い、カム部材を停止領域に移動する(S200)。次に、CPU111は、初期動作後のカム部材72が停止領域Aにあるか否かを判断する(S201)。カム部材72が停止領域Aにある場合、CPU111は、2孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S202)。ブレーキタイミング調整の詳細は後述する。次に、CPU111は、2孔領域のブレーキタイミング調整が終了した時のカム部材72が停止領域Aにあるか否かを確認する(S203)。カム部材72が停止領域Aにある場合、CPU111は、カム部材72を停止領域Dに移動させ(S204)、3孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S205)。一方、カム部材が停止領域Aにない場合、CPU111は、カム部材72の移動をせずに、3孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S205)。
【0098】
一方、ステップS201でカム部材が停止領域Aにない場合、CPU111は、3孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S206)。次に、CPU111は、3孔領域のブレーキタイミング調整が終了した時のカム部材72が停止領域Gにあるか否かを判断する(S207)。カム部材72が停止領域Gにある場合、CPU111は、カム部材72を停止領域Dに移動させ(S208)、2孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S209)。一方、カム部材72が停止領域Gにない場合、CPU111は、カム部材72の移動をせずに、2孔領域のブレーキタイミング調整を行う(S209)。
【0099】
(ブレーキタイミング調整の詳細フロー)
次に3孔領域のブレーキタイミング調整の処理について図13、図14を用いて説明する。
【0100】
まず、CPU111は、カム部材72が停止領域Gにあるか否かを判断する(ステップS100)。カム部材が停止領域Gにある場合、CPU111は、カム部材駆動モータ92の回転方向設定を1(正転)に設定し、モータ92を起動する(S101)。一方、ステップS100で、カム部材72が停止領域Gにない場合、CPU111は、カム部材駆動モータ92の回転方向設定を0(逆転)に設定し、モータ92を起動する(S113)。
【0101】
その後、CPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V2になるように、カム部材駆動モータ92の駆動信号(モータON信号)をPWM制御する(S102)。なお、カム部材駆動モータ92の速度の検出は、カム部材FGセンサ59からのパルスに基づいて行う。
【0102】
カム部材駆動モータ92が回転すると、CPU111は、タイマカウンタT2でカウントを開始する(S105)。このタイマカウンタT2はカム部材駆動モータ92の動作不良を検知するためのものであり、S905以降の処理を継続するにあたって、CPU111は常にカム部材駆動モータ92を監視している。CPU111は、T2>200msecになったか否かを判断し(S106)、T2>200になると、カム部材駆動モータ92のエラーとする(107)。即ち、CPU111は、カム部材駆動モータ92の作動、あるいはカム部材72の移動に何らかの異状が発生して、カム部材駆動モータ92が動かなかったと判断する。モータ駆動エラーとした場合、CPU111は、孔あけ装置50を停止することによって、孔あけ装置の損傷を防止して、シート処理装置あるいは複写機本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S114)。
【0103】
次にCPU111は、カム部材HPセンサ56がOFFになるのを待つ(S108)。ここでは、カム部材HPセンサ56がフラグ101の後端即ち、基準位置の通過を検知する。カム部材HPセンサ56がOFFになると、CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P1をカウント開始する(S109)。その後、CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P1がブレーキタイミングの初期値D3になったか否かを判断し(S110)、P1=D3になると、カム部材駆動モータ92の駆動制御信号を停止し、カム部材駆動モータ92を停止する(S111)。以上のステップS100からS109及びS113の処理は、図10で説明した実際のシートへの穿孔時の動作とほぼ同じ処理となる。即ち、カム部材駆動モータ92にブレーキを掛けたときの停止状態を再現していることになる。なお、ステップS109、S110でカム部材FGセンサ59のパルスをカウントする代わりに、時間(一定周期のクロック)を測定し、所定時間経過後にモータ92の駆動を停止するようにしてもよい。
【0104】
次にステップS109でカム部材FGセンサ59のパルス数P1をカウント開始した後CPU111は、カム部材FGセンサ59のパルス数P1が初期値D3になったか否かを判断する(S110)。P1=D3となると、CPU111は、カム部材駆動モータ92の駆動制御信号を停止し、カム部材駆動モータ92を停止する(S111)。以上のステップS100からS111までの処理及びS113の処理が停止位置調整のための第1の駆動処理に相当する。
【0105】
次に、CPU111は、タイマカウンタT3でカウントを開始し(S112)、カム部材HPセンサ56がONしているか否かを判断する(S115)。ここでは、カム部材HPセンサ56がフラグ102の先端の通過を検知する。このタイマカウンタT3は、S111でカム部材駆動モータ92に対し、停止動作を行ってから、カム部材駆動モータ92が確実に停止するまでの時間である200msをカウントする。
【0106】
S115でカム部材HPセンサ56がONしている場合、CPU111は、タイマカウンタT3のカウント値が200msに到達するのを待ち、再度、カム部材HPセンサ56がONしているか否かを判断する(S117)。S117でカム部材HPセンサ56がONしている場合、ブレーキタイミング調整時にカム部材72が停止領域(目標停止位置を含む領域)で停止できたことになる。
【0107】
図15は上述したブレーキタイミング調整時にカム部材72が停止領域に停止できた時のタイミングチャートである。501はカム部材HPセンサ56の出力の波形であり、Hレベルはカム部材72が停止領域にいることを示している。本例では、カム部材HPセンサ56がフラグ101を検知している状態からカム部材駆動モータ92の駆動が開始され、カム部材HPセンサ56がフラグ102を検知している(信号501の2番目のHレベル)。502はカム部材駆動モータ92のON信号波形であり、Hレベルはモータ92が駆動されていることを示している。503はカム部材FGセンサ59の出力波形を表している。504の時間の経過する方向を示している。505はカム部材72の停止時の振動によってカム部材FGセンサ59の出力信号がON、OFFしている部分の波形である。この部分のパルスをカウントすると停止位置を誤検知することになる。506はカム部材駆動モータ92の回転方向を表わす信号(CW/CCW)であり、Hレベル(CW/CCW=1)が正転方向を示している。
【0108】
次にカム部材駆動モータ92を停止させた後に逆方向に回転させる為、CPU111は、回転方向設定を確認、即ち、CW/CCW=1か否かを判断し(S118)、1の場合、CW/CCW=0に設定してカム部材駆動モータ92を起動する(S120)。一方、CW/CCW=0である場合、CPU111は、CW/CCW=1に設定して、カム部材駆動モータ92を起動する(S119)。
【0109】
次にCPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V1になるように、モータON信号をPWM制御する(S121)。
【0110】
次にCPU111は、カム部材FGセンサ59の出力であるカム部材FGセンサパルスのカウントを開始する(S122)。そしてCPU111は、カム部材駆動モータ92が起動してからカム部材HPセンサ56がOFF(図15では2回目のOFF)になるまでのカム部材FGセンサのパルス数P3をカウントする(S123、S124)。ここでは、カム部材HPセンサ56がフラグ102の先端即ち、目標停止領域の端部に到達したことを検知する。以上のステップS119からS124の処理が第2の駆動処理に相当する。
【0111】
次にCPU111は、3穴領域のブレーキタイミングB3を式400にて求める。
B3=D3+M3−P3・・・(400)
D3:3孔領域のブレーキタイミング初期値、
M3:3孔領域における停止領域内のカム部材72の目標停止位置(カム部材HPセンサ56がONになってからカム部材72が停止するまでの距離に対応したカウントの目標値)、
P3:カム部材72が停止位置に到達するまでのパルス測定値
なお、図15において、信号501の2番目のHレベルの区間の立ち上がりから目標値M3の位置は停止領域の中心となる。
【0112】
次にCPU111は、カム部材HPセンサ56がオンしたか否かを判断し(126)、オンになるとカム部材駆動モータ92を停止し(S128)、処理を終了する。以上のステップS119からS124の処理が第2の駆動処理に相当する。
【0113】
図15で示すように、カム部材駆動モータ92の起動からカム部材HPセンサ56がオフするまでのカム部材FGセンサ59のパルスをカウントによって、カム部材72の停止位置を測定している。その結果、図15の505で示すようなモータの停止時の振動によって発生するパルスの誤カウントを防止することができる。図15において、モータ92を一旦停止してから逆回転させる理由は、カム部材72停止領域A、Gで停止している状態から前と同じ回転方向に再起動した場合、カム部材HPセンサ56をOFFすることができず、停止位置を測定できないためである。
【0114】
ステップS115において、カム部材HPセンサ56がオンしていない場合、CPU111は、タイマカウンタT3が200msに到達したか否かを判断する(S138)。タイマカウンタT3が200msに到達してもカム部材72が停止領域に到達できなかった場合、CPU111は、カム部材駆動モータ92の前回動作時の回転方向を判断する(S139)。そしてCPU111は、前回と回転方向を変更せずに再度、カム部材駆動モータ92を起動する(S140、S141)。即ち、カム部材72の移動方向は停止前の移動方向と同じ方向に維持される。
【0115】
図16は上述したブレーキタイミング調整時にカム部材72が停止領域に停止できなかった時のタイミングチャートである。本例では、カム部材HPセンサ56がフラグ101を検知している状態からカム部材駆動モータ92が回転し、カム部材HPセンサ56がフラグ102を検知している(信号501の2番目のHレベル)。本例でもカム部材72の停止時の振動によって、信号503がON、OFFしている(505)。信号506に示すように、カム部材駆動モータ92再駆動時の回転方向は変化していない。
【0116】
次にCPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V1になるように、モータON信号をPWM制御する(S142)。目標速度V1は目標速度V2より遅く、カム部材HPセンサ56がONしてからブレーキをかけても、停止領域内に停止できる速度である。
【0117】
次にCPU111は、カム部材FGセンサパルスのカウントを開始し(S143)、カム部材駆動モータ92が起動してから、カム部材HPセンサ56がONするまでのカム部材FGセンサパルスの数P3をカウントする(S144、S145)。カム部材HPセンサ56がフラグ102の先端即ち、目標停止領域の端部に到達したことを検知する。以上のステップS140からS145の処理が第2の駆動処理に相当する。このようにカム部材駆動モータ92の起動時からパルス数をカウントすると、モータ92の停止時の振動による誤カウントを防止することができる。
【0118】
次にCPU111は、3穴領域のブレーキタイミングB3を式401にて求める(S146)。
B3=D3+M3+P3・・・(401)
ここで、D3、M3、P3の定義は式400の場合と同じである。
【0119】
なお、図16において、信号501の2番目のHレベルの区間の立ち上がりから目標値M3の位置は停止領域の中心となる。
【0120】
CPU111は、カム部材駆動モータ92を停止し(S128)、処理を終了する。
【0121】
図16で示すように、カム部材駆動モータ92の起動からカム部材HPセンサ56のONまでのカム部材FGセンサパルスのカウント値P3によって、カム部材72の停止位置を測定している。その結果、図16の505で示すようなカム部材駆動モータ92の停止時の振動によって発生するパルスの誤カウントを防止することができる。
【0122】
ステップS117において、カム部材HPセンサ56がOFFしていた場合、カム部材駆動モータ92のオーバーランが大きく、カム部材72が停止領域Dを通過し、再び、穿孔領域に移動してしまったことになる。こうした場合、CPU111はカム部材駆動モータ92の前回動作時の回転方向を判断し(S129)、前回と逆の回転方向に再度、カム部材駆動モータ92を起動する(S130、S131)。
【0123】
図17は上述したブレーキタイミング調整時にカム部材72が停止領域を通り過ぎてしまった時のタイミングチャートである。この例では、カム部材HPセンサ56がフラグ101を検知している状態からカム部材駆動モータ92の駆動をスタートし、その後カム部材HPセンサ56がフラグ102を検知している(信号501の2番目のHレベル)。その後更にカム部材HPセンサ56が反対方向からフラグ102を検知している(信号501の3番目のHレベル)。この例でも、505に示すようにカム部材72の停止時の振動によって、信号503がON、OFFしている。
【0124】
次にCPU111は、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V1になるように、モータON信号をPWM制御するモータ(S132)。次にCPU111は、カム部材FGセンサパルスのカウントを開始し(S133)、カム部材駆動モータ92が起動してから、カム部材HPセンサ56がONするまでのカム部材FGセンサ59のパルス数P3をカウントする(S134、S135)。ここでは、カム部材HPセンサ56がフラグ102の後端即ち、目標停止領域の端部に到達したことを検知する。以上のステップS130からS135の処理が第2の駆動処理に相当する。このようにモータ92の起動からカム部材HPセンサ56のONまでのカム部材FGセンサパルスのカウント値P3によって、カム部材72の停止位置を測定することで、モータ92の停止時の振動による誤カウントを防止することができる。次に、CPU111は、3穴領域のブレーキタイミングB3を式402にて求める(S136)。
B3=D3+M3−(P3+H)・・・(402)
ここで、D3、M3、P3の定義は式400の場合と同じである。一方、Hは停止領域Dの通過に要するパルス数である。
【0125】
なお、図17において、信号501の2番目のHレベルの区間の立ち上がりから目標値M3の位置は停止領域の中心となる。
【0126】
CPU111は、カム部材駆動モータ92を停止し(S128)、処理を終了する。
【0127】
図17で示すように、モータ92の起動からカム部材HPセンサ56のONまでのカム部材FGセンサパルスのカウント値P3によって、カム部材72の停止位置を測定している。その結果、図17の505で示すようなモータ92の停止時の振動によって発生するパルスの誤カウントを防止することができる。
【0128】
また、2孔領域におけるブレーキタイミング調整は、3孔領域と同様の方法で行われる。
【0129】
図15、図16、図17の何れの場合においても、ブレーキタイミング調整を終了した後のカム部材72の停止位置は、カム部材HPセンサ56がオンしている状態となる位置となっている。従って、CPU111がカム部材72の位置を把握している状態となっている。
【0130】
本実施の形態によれば、カム部材駆動モータ92のブレーキタイミングを調整する場合に、停止領域を表わすフラグ102の中心からの停止位置のずれ量を測定している。これにより、シートへの実際の穿孔動作を行う際に、カム部材駆動モータ92の駆動停止にばらつきが生じても、停止領域内でカム部材72を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施形態のシート処理装置を備えた画像形成装置である複写機の概略正面断面図である。
【図2】孔あけ装置の構成を示す図である。
【図3】孔あけ装置を右側から見た図である。
【図4】孔あけ装置を制御するコントローラの構成を示す図である。
【図5】カム部材の動作状態を示す図である。
【図6】カム部材検知センサのON,OFF論理を示した図である。
【図7】孔あけ装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】孔あけ装置の初期化動作を示すフローチャートである。
【図9】孔あけ装置の初期化動作時のカム部材の移動先を示す図である。
【図10】孔あけ装置の3孔穿孔動作を示すフローチャートである。
【図11】孔あけ装置の2孔穿孔動作を示すフローチャートである。
【図12】孔あけ装置のブレーキタイミング調整の動作を示したフローチャートである。
【図13】孔あけ装置の3孔領域のブレーキタイミング調整の動作を示すフローチャートである。
【図14】孔あけ装置の3孔領域のブレーキタイミング調整の動作を示すフローチャートである。
【図15】ブレーキタイミング調整動作時にカム部材が停止領域に停止できた時の動作タイミングチャートである。
【図16】ブレーキタイミング調整動作時にカム部材が停止領域に停止できなかった時の動作タイミングチャートである。
【図17】ブレーキタイミング調整動作時にカム部材が停止領域を通り過ぎてしまった時の動作タイミングチャートである。
【符号の説明】
【0132】
1 シート処理装置
50 孔あけ装置
56 カム部材HPセンサ
57 カム部材移動方向検知センサ
58 カム部材領域検知センサ
59 カム部材FGセンサ
92 カム部材駆動モータ
110 コントローラ
111 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに穿孔を行うパンチと、
前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、
前記カム部材を移動させるモータと、
前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、
前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、
前記モータの駆動を制御する制御手段と、
を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域であることが前記位置検知手段により検知されている場合、前記前記カム部材の移動方向を反転させるよう前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域を抜けたことを前記位置検知手段により検知するまでの前記パルス発生手段からのパルス数をカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とするパンチ装置。
【請求項2】
シートに穿孔を行うパンチと、
前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、
前記カム部材を移動させるモータと、
前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、
前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、
前記モータの駆動を制御する制御手段と、
を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域まで到達していないことが前記位置検知手段により検知されている場合、前記カム部材の移動方向を維持したまま前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域に到達するまでの前記パルス発生手段からのパルスをカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とするパンチ装置。
【請求項3】
シートに穿孔を行うパンチと、
前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、
前記カム部材を移動させるモータと、
前記カム部材の位置を検知する位置検知手段と、
前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、
前記モータの駆動を制御する制御手段と、
を有し、前記制御手段は、前記カム部材の停止位置の調整のために、前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過したことを前記位置検知手段により検知してからの前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータの駆動を停止させる第1の駆動処理を実行し、前記第1の駆動処理における前記カム部材の停止位置が所定の領域を通過していることが前記位置検知手段により検知されている場合、前記前記カム部材の移動方向を反転させるよう前記モータを駆動し、その駆動開始から前記カム部材が前記所定の領域に到達したことを前記位置検知手段により検知するまでの前記パルス発生手段からのパルス数をカウントする第2の駆動処理を実行し、前記第2の駆動処理におけるパルス数のカウント値に基づいて、シートに穿孔を行うときの前記モータの駆動を停止するタイミングを決定することを特徴とするパンチ装置。
【請求項4】
前記第2の駆動処理における前記モータの駆動速度は前記第1の駆動処理における前記モータの駆動速度よりも遅いことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のパンチ装置。
【請求項5】
前記モータはDCモータであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のパンチ装置。
【請求項6】
シートに穿孔を行うパンチと、
前記パンチを穿孔する方向に往復動させるカム部材と、
前記カム部材を移動させるモータと、
前記モータの駆動に同期したパルスを発生するパルス発生手段と、
前記モータの駆動により移動される前記カム部材が基準位置を通過してから前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントすると前記モータにブレーキを掛けて停止領域に前記カム部材を停止させる制御手段と、
を有し、前記制御手段は、ブレーキを掛けるタイミングを調整する調整動作を実行する場合に、前記カム部材が前記基準位置を通過してから前記パルス発生手段からのパルスを所定数カウントしたことに応じて前記モータにブレーキを掛けて前記カム部材が停止した後、前記モータを正転又は逆転で駆動させてから前記カム部材が前記停止領域の端部に到達するまでの前記パルス発生手段からのパルスのカウント値に基づいて、前記モータにブレーキを掛けるタイミングを調整することを特徴とするパンチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−82743(P2010−82743A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254002(P2008−254002)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】