説明

パーキングブレーキレバーとアームレストを有する自動車

【課題】運転席と助手席の間に配置されて前後方向に移動可能に支持されたアームレストと、そのアームレストの下方に配置されたパーキングブレーキレバーとを有する自動車において、ドライバーがパーキングブレーキレバーを握って、そのパーキングブレーキレバーを、ほぼ水平な姿勢のブレーキ解除位置から、ブレーキ作動位置に持ち上げるとき、ドライバーの肘がアームレストの前端部に当らないようにする。
【解決手段】アームレスト4を後方Bに向けて付勢するアームレストスプリング12と、アームレスト4を支持する支持台8に回動可能に支持された規制部材13とを設け、アームレスト4が最前方位置にあるとき、そのアームレスト4の加圧部17を、規制部材13に当てて、そのアームレスト4を最前方位置に停止させると共に、パーキングブレーキレバー3をブレーキ作動位置に向けて持ち上げるとき、規制部材13を後方Bの側に回動させて、アームレストスプリング12の作用によって、アームレスト4を後方Bに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席と助手席の間に配置されたパーキングブレーキレバーとアームレストとを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキングブレーキレバーとアームレストとを有する自動車は従来より周知である(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図8及び図9は、従来のこの種の自動車のパーキングブレーキレバー3とアームレスト4とを示す概略図であり、これらの図における矢印Frは自動車の前進方向を示している。この自動車の車室内には、前後方向に移動可能に支持された図示していない運転席と助手席が配置され、これらの座席の間にパーキングブレーキレバー3とアームレスト4が設けられている。
【0004】
パーキングブレーキレバー3は、図8に示したほぼ水平な姿勢のブレーキ解除位置と、先端側が上方に持ち上がった図9に示したブレーキ作動位置との間を、矢印C,Dで示した方向に回動可能に車体のフロアパネル(図示せず)に支持されている。
【0005】
一方、アームレスト4は、車体に固定された支持台8の上に、矢印A,Bで示した前後方向に移動可能に支持されている。図8は、アームレスト4が最前方位置を占めた状態を示しているが、このときパーキングブレーキレバー3の回動中心CLは、アームレスト4の下方に位置している。
【0006】
図8に示したブレーキ解除位置を占めていたパーキングブレーキレバー3を、図9に示したブレーキ作動位置に回動させるには、運転席に着座したドライバーが、図8に二点鎖線で示したようにパーキングブレーキレバー3を手で掴み、そのパーキングブレーキレバー3を図9に示したブレーキ作動位置に引き上げる。このとき、パーキングブレーキレバー3の回動中心CLがアームレスト4の下方に位置していて、パーキングブレーキレバー3とアームレスト4の一部が上下に重なった状態で位置しているので、ドライバーの肘がアームレスト4の前端部9に当るおそれがある。ドライバーの肘がアームレスト4に当っても、図9に示したように、アームレスト4は後方に移動できるので、パーキングブレーキレバー3を図9に示したブレーキ作動位置に回動させることは可能であるが、ドライバーの肘がアームレスト4に当れば、パーキングブレーキレバー3を持ち上げる際の操作性が低下する。しかもドライバーに不快感を与えるおそれも免れない。
【0007】
そこで、図8及び図9に破線で示したように、アームレスト4の前端部9を斜めにカットした状態に形成して、パーキングブレーキレバー3を回動させたときに、ドライバーの肘がアームレスト4の前端部に当たり難くすることが考えられる。ところが、アームレスト4をこのように形成すると、運転席に着座したドライバーがアームレスト4の前端部に肘を安定した状態で載せておくことができなくなり、アームレスト4の機能が低下する。しかも、アームレスト4の見栄えが害される欠点も免れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−143550号公報
【特許文献2】特開2010−155488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アームレストの前端部を斜めにカットした状態に形成しなくとも、ドライバーがパーキングブレーキレバーをブレーキ作動位置に持ち上げるとき、ドライバーの肘がアームレストの前端部に当たることを阻止できる自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、前後方向に移動可能に支持されている運転席と助手席との間に配置されたパーキングブレーキレバーとアームレストとを有し、該パーキングブレーキレバーは、ほぼ水平な姿勢のブレーキ解除位置と先端側が上方に持ち上がったブレーキ作動位置との間を回動可能に支持され、前記アームレストは自動車の前後方向に移動可能に支持されていて、該アームレストが最前方位置を占めた状態で、前記パーキングブレーキレバーの回動中心は当該アームレストの下方に位置している自動車において、前記アームレストを自動車の後方に向けて付勢するアームレストスプリングと、前記パーキングブレーキレバーがブレーキ解除位置にあるとき、最前方位置を占めたアームレストに圧接して該アームレストを、前記アームレストスプリングの作用に抗して、その最前方位置に停止させる規制位置と、その規制を解除した規制解除終端位置との間を作動可能に支持された規制部材と、前記パーキングブレーキレバーをブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その動きに連動して、前記規制部材を、前記規制位置から前記規制解除終端位置に向けて作動させる連動手段とを具備し、該規制部材が、その規制位置から規制解除終端位置に向けて作動するとき、該規制部材に圧接したアームレストが、前記アームレストスプリングの作用によって後方に移動することを特徴とする自動車を提案する(請求項1)。
【0011】
また、上記請求項1に記載の自動車において、前記連動手段は、前記パーキングブレーキレバーと規制部材とを連結する連結部材を具備し、該パーキングブレーキレバーをそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置に向けて回動させたとき、前記規制部材が、該規制部材と前記パーキングブレーキレバーとに連結された前記連結部材に引かれて、前記規制位置から規制解除終端位置に向けて作動するように構成されていると有利である(請求項2)。
【0012】
さらに、上記請求項1に記載の自動車において、前記連動手段は、前記パーキングブレーキレバーをそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その回動に連動して、前記規制部材を前記規制位置から前記規制解除終端位置へと作動させるモータを具備していると有利である(請求項3)。
【0013】
また、上記1乃至3のいずれかに記載の自動車において、前記規制部材は、前記規制位置と前記規制解除終端位置との間を回動可能に支持されたレバーより成り、該レバーは、規制スプリングによって、前記規制位置に向けて付勢されていると有利である(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アームレストが最前方位置を占めた状態で、ドライバーがパーキングブレーキレバーを握って、これをブレーキ作動位置に向けて回動させると、これに連動して規制部材が規制解除終端位置に向けて作動し、アームレストがアームレストスプリングの作用によって後方に向けて移動する。このため、アームレストの前端部が斜めにカットされた状態に形成されていなくとも、ドライバーの肘がアームレストの前端部に当たることを阻止できる。これにより、ドライバーに対して不快感を与えることなく、パーキングブレーキレバーを円滑にブレーキ作動位置に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】自動車の車室内に配置された運転席、助手席及びその他の要素を上方から見た概略平面図である。
【図2】図1における矢印II方向に見たときの部分断面概略図であって、アームレストとパーキングブレーキレバーとの位置関係を明らかにした図である。
【図3】パーキングブレーキレバーをブレーキ作動位置に回動させたときの様子を示す、図2と同様な部分断面図である。
【図4】パーキングブレーキレバーをブレーキ解除位置に留めたまま、アームレストを後方に移動させたときの様子を示す、図2と同様な部分断面図である。
【図5】パーキングブレーキレバーをブレーキ作動位置に留めたまま、アームレストを最前方位置に戻したときの様子を示す、図2と同様な部分断面図である。
【図6】規制部材をモータによって規制解除終端位置に回動させる実施形態を示す、図2と同様な部分断面図である。
【図7】規制部材を、前後方向に移動可能に支持された摺動部材によって構成した実施形態を示す、図2と同様な部分断面図である。
【図8】従来の自動車のアームレストとパーキングブレーキレバーを示す概略図である。
【図9】図8に示したパーキングブレーキレバーをブレーキ作動位置に回動させたときの様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は自動車の車室内の様子を示した概略平面図であり、この図と他の図における矢印Frは自動車の前進方向を示し、図1における矢印Wは車幅方向を示している。本明細書及び特許請求の範囲における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
【0018】
図1に示すように、車室内には、車幅方向Wに間隔をあけて配置された運転席1と助手席2が設けられ、これらの座席1,2は、矢印A,Bで示すように、前後方向に移動可能に、車体の床面を構成するフロアパネル(図示せず)上に支持されている。
【0019】
運転席1と助手席2の間にはパーキングブレーキレバー3とアームレスト4が配置されていて、図に一例として示したパーキングブレーキレバー3は、図2に示すように、レバー本体5と、そのレバー本体5に固定されたラッチ6とから構成されている。かかるパーキングブレーキレバー3は、その基端側が支軸7に固定支持され、その支軸7がフロアパネルに回動可能に支持されている。これによって、パーキングブレーキレバー3は、図2に示したほぼ水平な姿勢のブレーキ解除位置と、先端側が上方に持ち上がった図3に示したブレーキ作動位置との間を、支軸7の中心軸線を回動中心CLとして矢印C,D方向に回動可能に車体に支持されている。パーキングブレーキレバー3の基端側は、該レバー3の後端側であり、当該パーキングブレーキレバー3の先端側は、該レバー3の前端側である。
【0020】
自動車を駐車させるときは、運転席1に着座したドライバー(図1には示さず)が、図2に二点鎖線で示したように、ブレーキ解除位置を占めたパーキングブレーキレバー3を握って、そのパーキングブレーキレバー3を矢印C方向に回動させて、図3に示したブレーキ作動位置にもたらし、そのパーキングブレーキレバー3をロックする。これにより、自動車にブレーキがかかり、自動車の移動が禁止される。自動車を走行させるときは、ドライバーがパーキングブレーキレバー3のロックを解除すると共に、当該パーキングブレーキレバー3を図2に示したブレーキ解除位置に回動させる。これにより、自動車に対するブレーキが解除され、自動車を走行させることができる。
【0021】
一方、アームレスト4は、従来と同様に、車体に固定された支持台8の上に、図2及び図3に矢印A,Bで示した前後方向に移動可能に支持されている。支持台8の上面には、図示していないロアレールが固定され、アームレスト4の下面には同じく図示していないアッパレールが固定されていて、そのアッパレールが支持台8に固定されたロアレールに前後方向に摺動自在に嵌合しており、これによって、アームレスト4が支持台8上で前後方向に移動することができる。このように、本例のアームレスト4は、支持台8を介して、車体に対して自動車の前後に移動可能に支持されている。運転席1に着座したドライバーは、アームレスト4の上に肘や腕を載せて楽な姿勢で自動車を運転することができる。
【0022】
図2は、アームレスト4が最前方位置を占めたときの様子を示し、図3はアームレスト4が最後方位置を占めたときの様子を示しており、アームレスト4が、図2に示した最前方位置を占めた状態で、パーキングブレーキレバー3の回動中心CLは、そのアームレスト4の下方に位置している。また、アームレスト4は、図2及び図3に示すように、内部が中空に形成されている。
【0023】
以上説明した自動車の構成は、従来の自動車と実質的に異なるところはない。その際、先に説明したように、従来の自動車においては、アームレスト4が最前方位置を占めた状態で、運転席に着座したドライバーが、パーキングブレーキレバー3を、ブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ回動させたとき、ドライバーの肘がアームレスト4の前端部9に当るおそれがあった。本例の自動車においては、かかる不具合を回避するために次の構成が採用されている。
【0024】
図2に示すように、支持台8は、内部が中空な箱状に形成されており、かかる支持台8に突設された突起10と、アームレスト4の内部に突設された突起11には、引張ばねより成るアームレストスプリング12の各端部がそれぞれ係止されている。かかるアームレストスプリング12によって、アームレスト4は後方Bに向けて付勢されている。このように、本例の自動車は、アームレスト4をその自動車の後方Bに向けて付勢するアームレストスプリング12を有しているのである。
【0025】
また、支持台8には、規制部材13が、図2に示した位置と図3に示した位置との間を回動可能に枢軸14を介して支持され、かかる規制部材13と支持台8には、引張ばねより成る規制スプリング15の各端部がそれぞれ係止されている。このように、本例の規制部材13は、支持台8に回動可能に支持されたレバーにより構成され、かかる規制部材13が、規制スプリング15の引張作用によって、図2における反時計方向に回動付勢されている。
【0026】
パーキングブレーキレバー3が図2に示したブレーキ解除位置にあり、かつアームレスト4が図2に示した最前方位置を占めているとき、規制スプリング15によって回動付勢された規制部材13は、支持台8に突設されたストッパ16に当接して、図2に示した位置に停止している。このとき、アームレストスプリング12によって後方Bに向けて付勢されたアームレスト4の加圧部17が、規制部材13に圧接して、アームレスト4はその最前方位置に止められている。図2に示した位置を占めた規制部材13が、最前方位置を占めたアームレスト4に圧接して、そのアームレスト4を、アームレストスプリング12の作用に抗して、当該アームレスト4の最前方位置に停止させるのである。このように、アームレスト4を規制する規制部材13の位置が、当該規制部材13の規制位置である。
【0027】
一方、規制部材13とパーキングブレーキレバー3には、連結部材の一例である可撓性を持ったワイヤー18の各端部がそれぞれ係止されていて、そのワイヤー18は、車体に回転可能に支持されたガイドローラ19,20,21に巻き掛けられて案内されている。
【0028】
ここで、アームレスト4が図2に示した最前方位置を占めた状態で、先にも説明したように、運転席1(図1)に着座したドライバーが、図2に示したブレーキ解除位置にあるパーキングブレーキレバー3を握って、そのパーキングブレーキレバー3を図3に示したブレーキ作動位置に向けて矢印C方向に回動させると、そのパーキングブレーキレバー3の動きによって、ワイヤー18が、図2に矢印Eで示した方向に引かれる。これにより、規制部材13が、規制スプリング15の引張作用に抗して、図3に示した位置に向けて回動し、パーキングブレーキレバー3が図3に示したブレーキ作動位置に至ったとき、規制部材13も図3に示した終端位置に至って停止する。
【0029】
上述のように、規制部材13が図2に示した規制位置から図3に示した終端位置に移動するとき、アームレストスプリング12によって後方Bに向けて付勢されたアームレスト4は、その加圧部17が規制部材13に圧接しながら、後方Bに移動し、規制部材13が図3に示した終端位置に至ったとき、アームレスト4も図3に示した最後方位置に至って停止する。
【0030】
上述のように、規制部材13が図2に示した規制位置にあるときは、その規制部材13は、アームレスト4の動きを規制して、該アームレスト4を、その最前方位置に停止させているが、パーキングブレーキレバー3を図2に示したブレーキ解除位置から図3に示したブレーキ作動位置に向けて回動させると、その動きに連動して、規制部材13は、図2に示した規制位置から、その規制を解除した図3に示した終端位置に作動する。このときの規制部材13の終端位置が、当該規制部材13の規制解除終端位置である。その際、ワイヤー18として構成された連結部材は、パーキングブレーキレバー3の動きに連動して、規制部材13を、図2に示した規制位置から図3に示した規制解除終端位置に向けて作動させる連動手段としての用をなす。
【0031】
上述のように、ドライバーがパーキングブレーキレバー3を握って、これをブレーキ作動位置に向けて回動させると、これに連動して、規制部材13が規制解除終端位置に向けて作動し、これに伴ってアームレスト4が最後方位置へと移動するので、図3から判るようにドライバーの肘がアームレスト4の前端部9に当ることはない。アームレスト4の前端部9が斜めにカットされた状態に形成されてはいないが、ドライバーがパーキングブレーキレバー3をブレーキ作動位置に回動させるとき、そのドライバーの肘がアームレスト4に当ることはないのである。これにより、ドライバーに対して不快感を与えることはなく、パーキングブレーキレバー3を円滑にブレーキ作動位置に回動させることができる。しかもアームレスト4の見栄えが低下する不具合も阻止できる。
【0032】
以上のように、本例の自動車は、パーキングブレーキレバー3がブレーキ解除位置にあるとき、最前方位置を占めたアームレスト4に圧接して該アームレスト4を、アームレストスプリング12の作用に抗して、その最前方位置に停止させる図2に示した規制位置と、その規制を解除した図3に示した規制解除終端位置との間を作動可能に支持された規制部材13と、パーキングブレーキレバー3をブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その動きに連動して、規制部材13を、その規制位置から規制解除終端位置に向けて作動させる連動手段とを具備し、該規制部材13が、その規制位置から規制解除終端位置に向けて作動するとき、該規制部材13に圧接したアームレスト4が、アームレストスプリング12の作用によって後方に移動するように構成されている。しかも、本例の連動手段は、パーキングブレーキレバー3と規制部材13とを連結する連結部材の一例であるワイヤー18を具備し、パーキングブレーキレバー3をそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置に向けて回動させたとき、規制部材13が、その規制部材13とパーキングブレーキレバー3とに連結された連結部材に引かれて、規制位置から規制解除終端位置に向けて作動するように構成されている。ワイヤー18に代えて、例えば棒材より成るリンクによって連結部材を構成することもできる。
【0033】
また、図4に示すように、パーキングブレーキレバー3をブレーキ解除位置に留めたまま、ドライバーが手操作によって、最前方位置にあったアームレスト4に対して後方Bに向けて力を加えると、その加圧部17が規制部材13を加圧して、その規制部材13が規制解除終端位置へと回動するので、アームレスト4を支障なく最後方位置まで移動させることができる。
【0034】
さらに、パーキングブレーキレバー3を図3に示したブレーキ作動位置に回動させて、そのパーキングブレーキレバー3をブレーキ作動位置にロックさせた後、アームレストスプリング12の作用に抗して、アームレスト4に対して、手操作によって前方Aに向けて力を加えれば、図5に示したように、規制部材13をその規制解除終端位置に留めたまま、アームレスト4を前方Aに移動させることができる。
【0035】
以上説明した実施形態においては、パーキングブレーキレバー3をブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ回動させたときのパーキングブレーキレバー3の動きに連動して、規制部材13を規制位置から規制解除終端位置に向けて作動させる連動手段を、ワイヤー18によって構成したが、この連動手段をモータによって構成することもできる。
【0036】
図6はその一例を示す概略図である。図6において、規制部材13を固定支持した枢軸14は、図示していない電磁クラッチを介して、同じく図示していないモータに駆動連結されている。また、車体のフロアパネルには、スイッチ22が設けられている。図6に示した自動車には、図2に示したワイヤー18と、ガイドローラ19,20,21は設けられていない。また、図6は、図2と同様に、パーキングブレーキレバー3がブレーキ解除位置を占めていると共に、規制部材13が規制位置を占め、従ってアームレスト4が最前方位置を占めたときの様子を示している。このとき、スイッチ22はパーキングブレーキレバー3によって押圧され、これによって上述した電磁クラッチがオフし、枢軸14は回転することなく停止している。
【0037】
ここで、ドライバーが、図6に示したパーキングブレーキレバー3を握って、そのパーキングブレーキレバー3を、図3に示したブレーキ作動位置に向けて回動させると、パーキングブレーキレバー3がスイッチ22から離れて、そのスイッチ22が作動する。これにより上述した電磁クラッチがオンし、回転するモータと枢軸14が所定時間の間だけ直結され、モータの回転が枢軸14に伝えられる。これにより、規制部材13は図6における時計方向に回転し、図3に示した規制解除終端位置に至る。このとき、電磁クラッチがオフされ、枢軸14の回転が停止するので、規制部材13は、その規制解除終端位置で一旦停止した後、規制スプリング15の作用によって、図6に示した規制位置に回動する。このように規制部材13が図6に示した規制位置から規制解除終端位置に移動するとき、アームレスト4はアームレストスプリング12の作用で、最前方位置から最後方位置に移動するので、パーキングブレーキレバー3を回動操作するドライバーの肘がアームレスト4に当ることはない。
【0038】
規制部材13が規制解除終端位置に至った後、電磁クラッチがオフされて、規制部材13が規制スプリング15の作用によって規制位置に回動するので、アームレスト4は、その規制部材13によって加圧されて、支障なく図6に示した最前方位置に戻ることができる。しかも、アームレスト4が図6に示した最前方位置にあるとき、電磁クラッチはオフされているので、そのアームレスト4を、手操作によって支障なく最後方位置まで移動させることができる。図6に示した自動車の他の構成は、図1乃至図5に示した構成と変わりはない。
【0039】
上述のように、図6に示した自動車の連動手段は、パーキングブレーキレバー3をそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その回動に連動して、規制部材13を規制位置から規制解除終端位置へと作動させるモータを具備しているのである。
【0040】
以上説明した実施形態においては、規制部材13が、規制位置と規制解除終端位置との間を回動可能に支持されたレバーより成り、そのレバーは、規制スプリング15によって、規制位置に向けて付勢されているが、他の形態の規制部材を用いることもできる。例えば、図7に示すように、ガイドレール(図示せず)を介して前後方向A,Bに摺動可能に支持台8に支持され、規制スプリング15によって前方Aに向けて付勢された摺動部材113によって規制部材を構成することもできる。図7に示した自動車の他の構成は、図1乃至図5に示した構成と変わりはない。
【0041】
また、図示した実施形態においては、アームレスト4が支持台8の上に支持されているが、それ自体周知のように、その支持台8として、上部が開口したコンソールボックスを用い、アームレスト4が最前方位置にあるとき、そのアームレスト4がコンソールボックスの上部開口を覆い、アームレスト4が最後方位置に移動したとき、コンソールボックスの上部開口が解放され、その開口から収納物を出し入れできるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 運転席
2 助手席
3 パーキングブレーキレバー
4 アームレスト
12 アームレストスプリング
13 規制部材
15 規制スプリング
A,B 前後方向
CL 回動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に移動可能に支持されている運転席と助手席との間に配置されたパーキングブレーキレバーとアームレストとを有し、該パーキングブレーキレバーは、ほぼ水平な姿勢のブレーキ解除位置と先端側が上方に持ち上がったブレーキ作動位置との間を回動可能に支持され、前記アームレストは自動車の前後方向に移動可能に支持されていて、該アームレストが最前方位置を占めた状態で、前記パーキングブレーキレバーの回動中心は当該アームレストの下方に位置している自動車において、前記アームレストを自動車の後方に向けて付勢するアームレストスプリングと、前記パーキングブレーキレバーがブレーキ解除位置にあるとき、最前方位置を占めたアームレストに圧接して該アームレストを、前記アームレストスプリングの作用に抗して、その最前方位置に停止させる規制位置と、その規制を解除した規制解除終端位置との間を作動可能に支持された規制部材と、前記パーキングブレーキレバーをブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その動きに連動して、前記規制部材を、前記規制位置から前記規制解除終端位置に向けて作動させる連動手段とを具備し、該規制部材が、その規制位置から規制解除終端位置に向けて作動するとき、該規制部材に圧接したアームレストが、前記アームレストスプリングの作用によって後方に移動することを特徴とする自動車。
【請求項2】
前記連動手段は、前記パーキングブレーキレバーと規制部材とを連結する連結部材を具備し、該パーキングブレーキレバーをそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置に向けて回動させたとき、前記規制部材が、該規制部材と前記パーキングブレーキレバーとに連結された前記連結部材に引かれて、前記規制位置から規制解除終端位置に向けて作動する請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記連動手段は、前記パーキングブレーキレバーをそのブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ向けて回動させたとき、その回動に連動して、前記規制部材を前記規制位置から前記規制解除終端位置へと作動させるモータを具備する請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
前記規制部材は、前記規制位置と前記規制解除終端位置との間を回動可能に支持されたレバーより成り、該レバーは、規制スプリングによって、前記規制位置に向けて付勢されている請求項1乃至3のいずれかに記載の自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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