説明

パーキングロック装置

【課題】アクチュエータを駆動してパーキングロックとパーキングロック解除とを行なうと共に手動によりパーキングロックの解除が可能な装置において、手動によりパーキングロックを解除する際の操作性を良好なものとする。
【解決手段】パーキングポール24のパーキングギヤ22への押し付けとその解除とを行なう筒状のカム40をパーキングロッド26にカムスプリング50を介して挿通し、カム40のカムスプリング50が当接された面とは反対側の面にソケット68を当接させ、ソケット68にプッシュロッド66,アクチュエータレバー64,アクチュエータロッド62を介してシフトバイワイヤアクチュエータ61を連結し、パーキングロッド26をディテント機構30とケーブル72とを介して解除レバー70に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを駆動してパーキングロックとパーキングロック解除とを行なうパーキングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパーキングロック装置としては、モータと、モータの駆動力が伝達されるピニオンギヤと、ピニオンギヤの回転によりスライドするスライド部材と、一端のリングがスライド部材のスリットに挿入され他端のリングがパーキングギヤに噛み合うパーキングポールに接続されたプッシュプルケーブルと、を備え、モータを回転駆動してスライド部材をスライドさせることにより、プッシュプルケーブルをスライドさせてパーキングロックとその解除とを行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、スライド部材には先端部を遊嵌させたマニュアルケーブルを介して解除レバーが連結されており、解除レバーを操作してマニュアルケーブルをスライド部材から引き出すことにより、スライド部材をスライドさせてパーキングロックを解除することができる。
【0003】
また、ネジ溝が形成されたボールネジ軸を出力軸として有するモータと、ボールネジ軸にネジ係合されボールネジ軸の回転に伴って軸線方向に移動するスライド部材と、スライド部材の移動に伴って移動するリンクアームと、ボールネジ軸と略平行に配置されリンクアームの移動に伴って移動するロッドと、を備え、モータを回転駆動してスライド部材と共にロッドを押し出すことにより、ロッドに接続されたディテントプレートを回動させてパーキングロックを行なうものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、ロッドにはケーブルを介して手動ロック解除レバーが連結されており、手動ロック解除レバーを手動で引いてロッドを引き戻すことにより、手動によりパーキングロックを解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−85238号公報
【特許文献2】特開2008−174189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したパーキングロック装置では、アクチュエータに故障が生じても手動によりパーキングロックを解除することができるものの、アクチュエータに連結されたスライド部材に解除レバーのケーブルが接続されているから、解除レバーの操作に伴ってアクチュエータも連動する。このため、解除レバーはパーキングロックの解除に必要な荷重に加えてアクチュエータを作動させるための荷重も必要となり、解除レバーの操作性が悪化してしまう。また、アクチュエータが固着してスライド部材が移動不能となった場合には、解除レバーを操作してもパーキングロックを解除することができない。
【0006】
本発明のパーキングロック装置は、アクチュエータを駆動してパーキングロックとパーキングロック解除とを行なうと共に手動によりパーキングロックの解除が可能な装置において、手動によりパーキングロックを解除する際の操作性を良好なものとすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーキングロック装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明のパーキングロック装置は、
アクチュエータを駆動してパーキングロックとパーキングロック解除とを行なうパーキングロック装置であって、
変速機に設けられた回転軸に取り付けられるパーキングギヤと、
前記パーキングギヤとの噛み合いが可能なパーキングポールと、
操作部材に機械的な機構を介して連結され、前記操作部材の操作に伴って第1のポジションと第2のポジションとの間で移動するパーキングロッドと、
前記パーキングロッドに対して相対移動が可能に構成され、前記パーキングポールの前記パーキングギヤへの押し付けと該押し付けの解除とを行なうカム部材と、
前記パーキングロッドに支持され、前記カム部材を付勢するカムスプリングと、
を備え、
前記カム部材は、前記パーキングロッドが前記第1のポジションに移動しているときには前記カムスプリングの付勢力により前記パーキングポールを前記パーキングギヤへ押し付け、前記パーキングロッドが前記第2のポジションに移動しているときには前記押し付けを解除する部材であり、
前記アクチュエータは、前記パーキングロッドが前記第1のポジションに移動している状態で前記カムスプリングの収縮を伴って前記押し付けを解除する方向に前記カム部材を移動させる部材である
ことを要旨とする。
【0009】
この本発明のパーキングロック装置では、第1のポジションと第2のポジションとの間で移動するパーキングロッドを機械的な機構を介して操作部材に連結し、パーキングポールのパーキングギヤへの押し付けとその解除とを行なうカム部材をパーキングロッドに対して相対移動が可能に構成し、カムスプリングをパーキングロッドに支持されてカム部材を付勢するよう構成する。そして、カム部材を、パーキングロッドが第1のポジションに移動しているときにはカムスプリングの付勢力によりパーキングポールをパーキングギヤへ押し付け、パーキングロッドが第2のポジションに移動しているときには押し付けを解除するよう構成し、アクチュエータを、パーキングロッドが第1のポジションに移動している状態でカムスプリングの収縮を伴って押し付けを解除する方向にカム部材を移動させるよう構成する。これにより、パーキングロッドが第1のポジションに移動している状態でアクチュエータを駆動してカム部材を移動させることによりパーキングロックとその解除とを行なうことができると共にアクチュエータに代えて操作部材を操作してパーキングロッドを第2のポジションに移動させることによりパーキングロックを解除することができる。また、操作部材の動作とアクチュエータの動作とは互いに独立しているから、操作部材の操作性を良好なものとすることができると共にアクチュエータの故障のパターンに拘わらず操作部材を操作させてパーキングロックを解除することができる。
【0010】
こうした本発明のパーキングロック装置において、前記カム部材に当接する当接部材と、前記当接部材に先端部が回動自在に連結されたプッシュロッドと、回動支軸を中心に回動自在に支持され、前記回動支軸から第1の距離離間した位置で前記プッシュロッドの基端部が回動自在に連結されたアクチュエータレバーと、前記アクチュエータにより駆動され、前記回動支軸から前記第1の距離よりも長い第2の距離離間した位置で前記アクチュエータレバーに回動自在に連結されたアクチュエータロッドと、を備えるものとすることもできる。こうすれば、カム部材を移動させるためにアクチュエータに必要な駆動力を小さくすることができるため、アクチュエータをコンパクトにすることが可能である。
【0011】
また、本発明のパーキングロック装置において、前記カム部材は、前記パーキングロッドに挿通される筒状部材であり、前記パーキングポールと当接した状態で該パーキングポールを前記パーキングギヤへ押し付ける大径部と、テーパ面により前記大径部と連続するよう形成され前記パーキングポールと当接した状態で該パーキングポールの前記パーキングギヤへ押し付けを解除する小径部と、該小径部に隣接し筒端面で前記アクチュエータからの押力を受ける受力部とが形成されてなるものとすることもできる。この場合、前記受力部は、前記小径部の隣接する部位の径よりも大きな径に形成されてなるものとすることもできる。こうすれば、パーキングポールとの干渉を防止しながら、受力部の受力面積を大きくとることができる。
【0012】
さらに、本発明のパーキングロック装置において、ディテントスプリングに係合可能な複数の溝部が形成され、前記操作部材の操作に伴って回動するディテントレバーを備え、前記パーキングロッドは、前記ディテントレバーに連結されて該ディテントレバーの回動に伴って移動する部材であるものとすることもできる。こうすれば、操作部材を操作してパーキングロッドを第2のポジションに移動させることによりパーキングロックを解除した後に、パーキングロッドが車両振動などにより第1のポジションに移動するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例としてのパーキングロック装置20の外観斜視図である。
【図2】パーキングロック時における実施例のパーキングロック装置20の上面図および側面図である。
【図3】パーキングロック解除時における実施例のパーキングロック装置20の上面図および側面図である。
【図4】実施例のパーキングロック装置20におけるカム40を拡大した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は本発明の一実施例としてのパーキングロック装置20の外観斜視図であり、図2はパーキングロック時における実施例のパーキングロック装置20の上面図および側面図であり、図3はパーキングロック解除時における実施例のパーキングロック装置20の上面図および側面図であり、図4は実施例のパーキングロック装置20におけるカム40を拡大した部分拡大図である。
【0016】
実施例のパーキングロック装置20は、シフトバイワイヤシステムにより図示しない車両の駆動輪をロックするための装置として構成されており、図1に示すように、車両に搭載された自動変速機の回転軸(図示せず)に取り付けられたパーキングギヤ22と、パーキングギヤ22との噛み合いが可能なパーキングポール24と、ディテント機構30に連結されディテント機構30の作動により進退移動が可能なパーキングロッド26と、パーキングロッド26に挿通されパーキングロッド26の進退移動に伴ってパーキングポール24をパーキングギヤ22側に押し付けるカム40と、パーキングロッド26に支持されパーキングポール24がパーキングギヤ22側に押し付けられる方向にカム40を付勢するカムスプリング50と、カムスプリング50の付勢力とは逆方向にカム40を押しスプリング50の収縮を伴ってカム40を移動させるシフトバイワイヤユニット60と、ディテント機構30にケーブル72を介して連結されてディテント機構30を作動させる解除レバー70と、を備える。このパーキングロック装置20では、乗員室内に配置された解除レバー70と、ディテント機構30を構成するマニュアルレバー38と、解除レバー70とマニュアルレバー38とを連結するケーブル72とを除いて自動変速機のケース(図示せず)内に配置されている。
【0017】
パーキングポール24は、図1に示すように、基端がポールシャフト25を回動支軸として回動自在に支持されており、基端から離間した位置にパーキングギヤ22の歯溝22aに噛み合う噛み合い歯24aが形成されている。このパーキングポール24は、ポールシャフト25に巻回されたスプリング28と、自動変速機のケースに固定された図示しないボルトに巻回されたスプリング29とがそれぞれ基端寄りの位置と先端寄りの位置とで係止されており、両スプリング28,29の付勢力により噛み合い歯24aがパーキングギヤ22の歯溝22aから離れる方向に付勢されている(図2(b)および図3(b)参照)。
【0018】
ディテント機構30は、図2および図3に示すように、基端がボルト31により自動変速機のケースに固定された板状のディテントスプリング32と、ディテントスプリング32の先端に回転自在に取り付けられたローラー33と、ディテントスプリング32の付勢力によりローラー33が山部および谷部が交互に形成されたカム面34aに圧接されたディテントレバー34と、ディテントレバー34の回動支軸に取り付けられたマニュアルシャフト36と、マニュアルシャフト36を回転駆動するマニュアルレバー38(図1参照)と、を備える。
【0019】
パーキングロッド26は、図2および図3に示すように、基端側がディテントレバー34の回動支軸から離間した位置に回動自在に連結されると共に先端側がパーキングポール24の長手方向に沿った方向に延在しており、ディテントレバー34の回動により進退移動するようになっている。パーキングロッド26の先端側には、基端がストッパ26aに当接されるカムスプリング50と、カムスプリング50の先端が当接するカム40とがこの順に挿通されている。
【0020】
カム40は、図4に示すように、筒状の部材として形成されており、図4に示すように、上底の直径が下底の直径よりも若干小さい円錐台状に形成された大径部42と、大径部42の上底側からテーパ面44aにより連続するように形成された小径部44と、小径部44から連続すると共に小径部44の隣接する部位よりも若干大きい径により形成された受力部46とを有する。カム40は、自動変速機のケースに回転自在に固定されたローラー52と、スプリング28,29により付勢されたパーキングポール24とにより狭持されており、ローラー52とパーキングポール24とに対して摺動自在に支持されている。受力部46は、その筒端面がソケット68の筒端面と当接しており、シフトバイワイヤユニット60によりソケット68に作用する押力を受ける。
【0021】
シフトバイワイヤユニット60は、図2および図3に示すように、シフトバイワイヤアクチュエータ61と、シフトバイワイヤアクチュエータ61の駆動により進退移動が可能なアクチュエータロッド62と、基端がポールシャフト25を回転支軸として回動自在に支持されアクチュエータロッド62の進退移動に伴って回動するアクチュエータレバー64と、アクチュエータレバー64の回動に伴って進退移動するプッシュロッド66と、カム40に当接しプッシュロッド66の進退移動に伴ってカム40を移動させるソケット68と、を備える。アクチュエータレバー64は、先端位置でアクチュエータロッド62の先端が回動自在に係止されており、先端と基端との間の略中間の位置でプッシュロッド66の基端が回動自在に連結されている。これにより、アクチュエータロッド62の押力を増幅してプッシュロッド66側に伝達することができる。シフトバイワイヤアクチュエータ61は、図示しないが、回転軸にボールネジ溝が形成されたモータと、ボールネジ軸にネジ係合されたスライダとにより構成されている。このシフトバイワイヤアクチュエータ61は、スライダにアクチュエータロッド62が連結されており、モータを回転駆動することによりアクチュエータシャフト62を進退移動できるようになっている。ソケット68は、筒状の部材として形成されており、パーキングロッド26の先端側にブッシュ54を介して挿通されてカム40に当接されている(図4参照)。
【0022】
解除レバー70は、パーキングロックを手動操作により解除するためのレバーである。この解除レバー70は、図1に示すように、ケーブル72を介してマニュアルレバー38の回動軸(マニュアルシャフト36の回転軸)から離間した位置に連結されており、レバー操作によりマニュアルレバー38からマニュアルシャフト36を介してディテントレバー34を回動させ、パーキングロッド26を進退移動できるようになっている。
【0023】
次に、こうして構成された実施例のパーキングロック装置20の動作について説明する。パーキングロックは、解除レバー70によりパーキングロッド26を進行移動させた状態でシフトバイワイヤアクチュエータ61によりアクチュエータロッド62を後退移動させることにより行なう。この場合、ソケット68はカムスプリング50の付勢力と同方向に移動するから、カム40はパーキングシャフト26に対してカムスプリング50の付勢力により進行移動し、カム40の大径部42がローラー52とパーキングポール24とに狭持された状態となる(図2参照)。これにより、カム40の大径部42によりパーキングポール24がパーキングギヤ22側に押し付けられて噛み合い歯24aが歯溝22aに噛み合い、パーキングロックされる。一方、パーキングロックの解除は、パーキングロックの状態からシフトバイワイヤアクチュエータ61によりアクチュエータロッド62を進行移動させることにより行なう。この場合、ソケット68にはカムスプリング50の付勢力とは逆方向の押力が作用し、カムスプリング50の収縮を伴ってカム40を後退移動させるから、カム40の小径部44(テーパ面44a)がローラー52とパーキングポール24とに狭持された状態となる(図3参照)。パーキングポール24はスプリング28,29によりパーキングギヤ22から離間する方向に付勢されているから、この付勢力によってパーキングポール24の噛み合い歯24aがパーキングギヤ22の歯溝22aから離間され、パーキングロックが解除される。
【0024】
いま、パーキングロックされている状態でシフトバイワイヤユニット60に何らかの異常が生じてシフトバイワイヤユニット60ではパーキングロックを解除することができなくなった場合を考える。パーキングロッド26はディテント機構30とケーブル72とを介して解除レバー70に連結されているから、解除レバー70を操作してパーキングロッド26を後退移動させると、これに伴ってカム40も後退移動してカム40のテーパ面44aがローラー52とパーキングポール24とに狭持される状態となる。これにより、スプリング28,29の付勢力によりパーキングポール24の噛み合い歯24aがパーキングギヤ22の歯溝22aから離間され、パーキングロックが解除される。
【0025】
本実施例では、シフトバイワイヤアクチュエータ61からアクチュエータロッド62,アクチュエータレバー64,プッシュロッド66,ソケット68を介してカム40を移動させる機構(シフトバイワイヤユニット60)と、解除レバー70からケーブル72,ディテント機構30,パーキングロッド26を介してカム40を移動させる機構とは互いに独立して動作するよう構成しているから、シフトバイワイヤユニット60の状態に拘わらず良好な操作性をもって解除レバー70の操作によりパーキングロックを解除することができる。例えば、シフトバイワイヤアクチュエータ61の故障によりアクチュエータロッド62が後退移動した状態で固着しても、解除レバー70の操作によりパーキングロッド26と共にカム40を移動させてパーキングロックを解除することができる。
【0026】
以上説明した実施例のパーキングロック装置20によれば、パーキングポール24のパーキングギヤ22への押し付けとその解除とを行なう筒状のカム40をパーキングロッド26にカムスプリング50を介して挿通し、カム40のカムスプリング50が当接された面とは反対側の面にソケット68を当接させ、ソケット68にプッシュロッド66,アクチュエータレバー64,アクチュエータロッド62を介してシフトバイワイヤアクチュエータ61を連結し、パーキングロッド26をディテント機構30とケーブル72とを介して解除レバー70に連結する。これにより、パーキングロッド26を進行移動させた状態でシフトバイワイヤアクチュエータ61によりカム40を移動させることにより、パーキングロックとパーキングロック解除とを行なうことができ、解除レバー70によりパーキングロッド26を後退移動させることにより手動によりパーキングロックを解除することもできる。この結果、シフトバイワイヤユニット60の故障によりパーキングロックを解除することができないときでも、解除レバー70の手動操作によりパーキングロックを解除することができる。しかも、シフトバイワイヤアクチュエータ61からアクチュエータロッド62,アクチュエータレバー64,プッシュロッド66,ソケット68を介してカム40を移動させる機構と、解除レバー70からケーブル72,ディテント機構30,パーキングロッド26を介してカム40を移動させる機構とは互いに独立して動作するよう構成しているから、シフトバイワイヤユニット60の状態に拘わらず良好な操作性をもって解除レバー70の操作によりパーキングロックを解除することができる。さらに、カム40の受力部46を小径部44の隣接する部位よりも大きな径により形成したから、パーキングポール24との干渉を防止しながらカム40の受力面積を大きくとることができ、カム40の耐久性を確保することができる。
【0027】
実施例のパーキングロック装置20では、シフトバイワイヤアクチュエータ61を、回転軸にボールネジ溝が形成されたモータと、ボールネジ軸にネジ係合されると共にアクチュエータロッド62が連結されたスライダとにより構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、モータの回転軸に取り付けられるピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛合されると共にピニオンギヤの回転に伴ってスライド移動するスライダとにより構成するなど、如何なるタイプのアクチュエータを用いるものとしてもよい。
【0028】
実施例のパーキングロック装置20では、シフトバイワイヤユニット60として、シフトバイワイヤアクチュエータ61からの押力をアクチュエータロッド62とアクチュエータレバー64とプッシュロッド66とからなるリンク機構を介してソケット68に伝達してカム40を進退移動させるものとしたが、これに限定されるものではなく、シフトバイワイヤアクチュエータ61からの押力をリンク機構を介さずに直接にソケット68に伝達するものなど、シフトバイワイヤアクチュエータ61からの押力を用いてカム40を進退移動できるものであれば、如何なるタイプのシフトバイワイヤユニットを用いるものとしてもよい。
【0029】
実施例のパーキングロック装置20では、カム40の受力部46を小径部44の隣接する部位よりも若干大きな径により形成するものとしたが、同じ径に形成するものとしてもよい。
【0030】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例のシフトバイワイヤアクチュエータ61が「アクチュエータ」に相当し、パーキングギヤ22が本発明の「パーキングギヤ」に相当し、パーキングポール24が「パーキングポール」に相当し、パーキングロッド26が「パーキングロッド」に相当し、カム40が「カム部材」に相当し、カムスプリング50が「カムスプリング」に相当する。また、ソケット68が「当接部材」に相当し、プッシュロッド66が「プッシュロッド」に相当し、アクチュエータレバー64が「アクチュエータレバー」に相当し、アクチュエータロッド62が「アクチュエータロッド」に相当する。また、ディテントスプリング32が「ディテントスプリング」に相当し、ディテントレバー34が「ディテントレバー」に相当する。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、パーキングロック装置の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
20 パーキングロック装置、22 パーキングギヤ、24 パーキングポール、26 パーキングロッド、26a ストッパ、28,29 スプリング、30 ディテント機構、31 ボルト、32 ディテントスプリング、33 ローラー、34 ディテントレバー、36 マニュアルシャフト、38 マニュアルレバー、40 カム、42 大径部、44 小径部、44a テーパ面、46 受力部、50 カムスプリング、52 ローラー、54 ブッシュ、60 シフトバイワイヤユニット、61 シフトバイワイヤアクチュエータ、62 アクチュエータロッド、64 アクチュエータレバー、66 プッシュロッド、68 ソケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを駆動してパーキングロックとパーキングロック解除とを行なうパーキングロック装置であって、
変速機に設けられた回転軸に取り付けられるパーキングギヤと、
前記パーキングギヤとの噛み合いが可能なパーキングポールと、
操作部材に機械的な機構を介して連結され、前記操作部材の操作に伴って第1のポジションと第2のポジションとの間で移動するパーキングロッドと、
前記パーキングロッドに対して相対移動が可能に構成され、前記パーキングポールの前記パーキングギヤへの押し付けと該押し付けの解除とを行なうカム部材と、
前記パーキングロッドに支持され、前記カム部材を付勢するカムスプリングと、
を備え、
前記カム部材は、前記パーキングロッドが前記第1のポジションに移動しているときには前記カムスプリングの付勢力により前記パーキングポールを前記パーキングギヤへ押し付け、前記パーキングロッドが前記第2のポジションに移動しているときには前記押し付けを解除する部材であり、
前記アクチュエータは、前記パーキングロッドが前記第1のポジションに移動している状態で前記カムスプリングの収縮を伴って前記押し付けを解除する方向に前記カム部材を移動させる部材である
ことを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項2】
請求項1記載のパーキングロック装置であって、
前記カム部材に当接する当接部材と、
前記当接部材に先端部が回動自在に連結されたプッシュロッドと、
回動支軸を中心に回動自在に支持され、前記回動支軸から第1の距離離間した位置で前記プッシュロッドの基端部が回動自在に連結されたアクチュエータレバーと、
前記アクチュエータにより駆動され、前記回動支軸から前記第1の距離よりも長い第2の距離離間した位置で前記アクチュエータレバーに回動自在に連結されたアクチュエータロッドと、
を備えることを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のパーキングロック装置であって、
前記カム部材は、前記パーキングロッドに挿通される筒状部材であり、前記パーキングポールと当接した状態で該パーキングポールを前記パーキングギヤへ押し付ける大径部と、テーパ面により前記大径部と連続するよう形成され前記パーキングポールと当接した状態で該パーキングポールの前記パーキングギヤへ押し付けを解除する小径部と、該小径部に隣接し筒端面で前記アクチュエータからの押力を受ける受力部とが形成されてなる
ことを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項4】
請求項3記載のパーキングロック装置であって、
前記受力部は、前記小径部の隣接する部位の径よりも大きな径に形成されてなる
ことを特徴とするパーキングロック装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載のパーキングロック装置であって、
ディテントスプリングに係合可能な複数の溝部が形成され、前記操作部材の操作に伴って回動するディテントレバーを備え、
前記パーキングロッドは、前記ディテントレバーに連結されて該ディテントレバーの回動に伴って移動する部材である
パーキングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−95251(P2013−95251A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239423(P2011−239423)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】