説明

パーソナルケア装置用の離散的な量の流体を分注するシステム

流体分注システムは、電動歯ブラシ等のパーソナルケア器具に用いられる。分注システムは、離散的な流体入りパケットのストリップ、圧縮可能なシーリング部材及びパケットに穴をあけるための中空針とを含み、中空針は結合路を介してブラシヘッド等のワークピースに結合される。アクチュエーションアセンブリが、連続したパケットをシーリング部材に対して動かし、先ずはシーリング部材にパケットを密閉するピストンを含む。さらなる圧力により、シーリング部材が圧縮され、針によりパケットに穴があけられ、流体が、ピストン圧により、パケットから中空針内に押し出され、次いでワークピースへの送り出しのために結合路に押し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には例えば電動歯ブラシ等の流体分注パーソナルケア器具に関し、特には流体が離散的な既知の量で分注される斯かるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の種類及び構造の流体分注パーソナルケア器具が一般的によく知られている。例えば、流体分注構造を含む多くの歯ブラシが知られている。特定の流体は前記器具に依存して変わるであろう。例えば、歯みがきもしくは経口薬等のオーラルケア用流体、または肌用ローションなどがありうる。大抵の流体分注システムはポンプを使用し、ユーザは機械的作用を通じて流体を分注するが、自動流体分注装置も知られている。ある構成では、ピストン又は同様の素子が、ワークピース素子に延びる結合路へ流体を動かすためにリザーバ内に配置される。他の構成では、ローラ又は他の機構が流体と直に接触することなくカートリッジから流体を搾り出すように作動するペリスタルティックタイプのポンプ設備が用いられる。さらに他の構成では、ワークピース自体の作用により、流体をリザーバから当該ワークピースへ動かす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら既知の流体分注装置の多くは著しく不利な点を持つ。これらの不利な点は、とりわけポンプ構造自体を含むシステムの種々の構成要素を清潔且つ機能的に維持する困難さを含む。時には、ポンプの継ぎ手又は他の部分が乾ききる、及び/又は流体がポンプ内若しくはポンプとワークピースとの間の路内で部分的に乾き、システムが洗浄されるまで適切な動作を妨げるであろう。さらに、既知の流体分注機構の多くはかなり複雑であり、多くの場合歯ブラシのコストに対してかなり高価である。斯かる既知の流体分注装置の大抵は、とりわけ長期の動作に対して信頼性がない。さらに、汲み上げられる流体の量には著しいばらつきがあり、且つポンプシステムの適切な密閉はしばしば複雑であり、確実に実現することが困難である。
【0004】
このように、電動歯ブラシ等のパーソナルケア器具用の流体分注ケイパビリティは確かに有益であることが分かっているものの、非常に多くの試みがなされているにもかかわらず、あっても斯かる装置の非常に僅かしか成功に至っていない。
【0005】
ある場合には、非常に特定した量の流体(典型的には薬剤)のみが特定の使用イベントのために分注されるべきことが重要である。上述した既存の装置は概して、選択した量の流体を分注する精度が高くない。
【0006】
さらに、時には、リザーバ内で一緒に混合されることができない2つ以上の薬剤を一度の使用イベントで所定の予め選択した量分注することが望まれる。本願出願人が知っている限りでは、現在知られているシステムで斯様なケイパビリティを持つものはない。
【0007】
このように、離散的な量の流体を確実に分注するケイパビリティを持ち、また2つ以上の流体を同時に口等の対象領域に分注する一方、分注前はこれら流体を別個に保持するケイパビリティを持つパーソナルケア器具用の流体分注構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえ、本願第1の発明は、パーソナルケア装置用の離散的な量の流体を分注するシステム(discrete-amount fluid-dispensing system)であって、電動歯ブラシ等のワークピース部材を持つパーソナルケア器具と、連続した複数の離散的な流体入りパケットを含むストリップと、圧縮可能なシーリング部材であって、前記ストリップ上の各パケットが前記シーリング部材に対して順次密閉されることができるようなシーリング部材と、各パケットが順次針の前に移動された場合に前記パケットに穴をあけるための中空針構造と、前記シーリング部材に対して前記ストリップを動かし、次いで前記シーリング部材に対して各パケットを密閉し、それから前記シーリング部材を圧縮し、前記パケットが前記針により穴があけられるように前記針を露呈させるためのアクチュエーションアセンブリであって、前記アクチュエーションアセンブリによる継続的な圧力が前記パケット内の流体を前記ワークピース部材に向けて前記針を介して結合路内に排出するようなアクチュエーションアセンブリとを有することを特徴とするシステムである。
【0009】
本願第2の発明は、パーソナルケア装置に用いられる離散的な量の流体を分注するシステムであって、ワークピース部材を持つパーソナルケア器具と、連続した複数の離散的な流体入りパケットを含むストリップと、前記ワークピース部材上の針構造であって、順次前記ストリップが前記針構造の前に移動され、圧力が前記針構造に対して前記ストリップにかけられた場合に前記パケットに穴をあけるための針構造であり、穴をあけられたパケット内の流体は前記ワークピース部材の付近に流れていく針構造と、前記器具におけるガイド構造であって、前記ストリップを保持し、前記器具に沿って前記ワークピース部材の付近に前記ストリップを案内し、それから前記機器の外に前記ストリップを案内するためのガイド構造とを有することを特徴とするシステムである。
【0010】
本願第3の発明は、歯ブラシ用の離散的なタブレットを分注するシステムであって、開口を備えるブラシヘッドを持つ歯ブラシと、オーラルケア用の複数の歯みがき/薬剤タブレットを受け入れるための前記歯ブラシの後方に沿って延びる受け入れカートリッジであって、前記受け入れカートリッジの前端は前記ブラシヘッドの前記開口と実質的に一致する開口を持つ受け入れカートリッジと、前記受け入れカートリッジに関連付けられたイジェクタ機構であって、作動された場合に前記受け入れカートリッジから前記ブラシヘッドの前記開口にタブレットを排出するイジェクタ機構とを有することを特徴とするシステムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の基本構造が、電動歯ブラシの応用例との関連において、図1乃至4に示されている。電動歯ブラシは全体的に10で示され、ハンドル部分12及び取り外し可能なヘッド部分14を有する。ヘッド部分は細長いアーム16を含み、このアームの端部には可動ブラシヘッド18がある。ブラシヘッド18は、ハンドル12に位置付けられる駆動ユニット20により作動される。駆動アセンブリは、電磁アクチュエータ又はDCモータを含むがこれに限定されるものではない、種々の構造及び構成をもつことができる。他の構成も用いられ得る。
【0012】
駆動ユニット20は内蔵電池によって又は壁から電源供給されることができる。図1は電動歯ブラシの応用例を示しているが、本発明の流体分注システムは他のパーソナルケア器具でも用いられ得ることが理解されるべきである。これらは、例えば、シェーバ、フェイスクリーナ/ブラシ、ホットワックスヘアリムーバ、流体分注バックブラシ及び流体分注ヘアブラシをとりわけ包含する。
【0013】
本発明の流体分注システムは、担体部材28上の個別のパケット又はブリスタ26−26のストリップ又はウェブ25を含む。担体部材28は、可撓性材料からなり、トリオフェン(triophane)、ポリプロピレン又は繊維質ウェブ等の形成、充填、密封包装(form, fill and seal packaging)と現在呼ばれ、各連続したパケット26間にミシン目(perforation lines)30−30を含む。流体はパケット26内に入れられている。ここで“流体”は、ゲルを含む粘度に幅を持った種々の物質を含む広義語であることが意図されている。流体は歯みがき、薬剤及び種々のローションを含むであろう。
【0014】
流体のタイプは特定の応用例に応じて変わるであろう。例えば電動歯ブラシの応用例のための従来の歯みがきや、歯周病又は他の口腔疾患の処置のための口腔に有効な特定の薬剤があり得る。特定の流体は、シェービング処理を補助する流体又は肌に関連する他の応用例のための肌を鎮静させる流体等の装置の作用を助けるようなものがあり得る。図示の実施例におけるストリップ25は、一連の並列した2つのパケット26の行を示している。これらパケットは、例えば、1つのリザーバ内又は1つのパケット内で混ぜ合わせられないが、同一の処置イベントのために分注される必要がある2つ以上の異なった薬剤を含んでもよい。しかしながら、典型的には、各行は1つのパケットしか含まないであろう。
【0015】
パケットストリップ25は、典型的には、蛇行するようにして例えば図3に示されるようなカートリッジ34内で折りたたまれるか、円形パック内で丸められるであろう。送り開始つまみ(start feed tab)36がカートリッジ34の前端38の外に伸びている。ストリップ25の後端近傍には、当該ストリップの終わりが近いことを示す視覚目印27が設けられ得る。
【0016】
図4、5及び6は、説明を簡単且つ明白にするためここでも電動歯ブラシの応用例に関する、本発明の流体分注システムの詳細を示している。電動歯ブラシ38は、ハンドル部分39及び別体の取り外し可能なヘッド部分40を含む。ブラシヘッド(図示せず)に対する駆動シャフト42が、図示の実施例では電磁ドライバであって、駆動シャフトアセンブリ42の後端における磁石45で作用する、駆動ユニットアセンブリ44により駆動される。斯かる構造は米国特許第5,189,751号に詳細に述べられている。流体を内包するパケットのストリップ/ウェブ47を収容したカートリッジ46が、カートリッジ受け入れ部分48に示されている。カートリッジ受け入れ部分48へアクセスするために、ハンドル上のパネル50が、ヒンジ52を中心に持ち上げられ、回転される。
【0017】
当該器具の使用に当たり、カートリッジ46がハンドルに挿入され、ストリップ47の前送りつまみ部分57が、当該ストリップ内の最初のパケット54がヘッド部分40の後方に位置付けられるシーリング部材56に対して位置決めされるように十分にカートリッジ46から引き出される。シーリング部材56は、ゴム又はスプリングにより戻されるプラスチック等の圧縮可能な弾性材料から典型的にはなる中空シリンダである。図示の実施例のシーリング部材56は、略々0.3インチの外径及び略々0.1インチの内径を持ち、略々0.3インチの高さである。中空針58がシーリング部材の中心を介して延びるように装着されている。中空針は、ブラシヘッド等のワークピース(図示せず)に延びる流体路59に結合される。
【0018】
流体分注アセンブリ38はまた、アクチュエーションアセンブリ(actuation assembly)60を含む。アクチュエーションアセンブリ60は、シーリング部材56の後面と実質的に一致する前面64を持つピストン素子62を含む。使用者の親指と合致するようにカーブが付けられた上面68を持つ制御素子66がピストン素子62から後方に延びている。制御素子66はパネル50の外面の僅か上を延びている。パネル50は制御素子を収容し制御素子の前進を許容する開口を持つ。
【0019】
アクチュエーションアセンブリ60は、制御素子66の作用によるシーリング部材56の方向への移動のために歯ブラシ内に装着される。アクチュエーションアセンブリの前進は、前進方向へ制御素子を使用者の親指が押すことにより達成される。使用者が親指で押すのをやめると、リターンスプリング72がアクチュエーションアセンブリをハンドル34内の後方位置へ戻す。
【0020】
図7、8及び9は、図示し説明をしたシステムにより流体を分注するステップを示している。図7は、シーリング部材78とピストン80との間に位置決めされた1つの流体が充填されたパケット76を示している。この位置で、通常ピストン80の前面81とパケット76との間に小さな空間があり、パケット76とシーリング部材78の後面83との間に空間がある。シーリング部材78の中心を介して延びる中空針82は、パケット76の穴あけを容易にするために先端84において角度が付けられ鋭利にされている。シーリング部材78の中央部分は抉られた部分(scooped-out region)86を持ち、針の先端84がこの部分へ延びているが、シーリング部材が弛緩状態(図7)にある場合は表面83を越えない。
【0021】
使用者が図8に示されるような程度まで制御部材66(図5)を押し進めると、パケット76がシーリング部材78とピストン80と間で圧縮される。パケット76が初めシーリング部材78と接触すると、流体密閉(fluid-tight seal)がこれらの間で達成される。シーリング部材78は、固定針82がシーリング部材の表面83を越えて延び、やはり圧縮されるパケット76を突き刺すように圧縮する。
【0022】
図9は、パケット内の略々全ての流体がピストンの作用によりパケットから針82内を通り結合路を介してワークピースに排出された、完全に圧縮されたパケット76を示している。当該システムの個々の構成部品は、ひとたびパケットに穴があけられ、流体を伴うパケットにより始め占められていた空間にシーリング部材が進出していけるような圧力が適当な期間維持された場合にパケットが実質的に完全に空になるように成形され、配設される。
【0023】
分注が完了した後、親指作動制御素子66に対する圧力が開放され、シーリング部材が元の形に戻り、アクチュエーションアセンブリ60が後方位置に戻る。
【0024】
図示の実施例では、1つの針が1つのパケットに穴をあけることについて説明がなされ、図示されている。1つの結合路が針とワークピースとを結合している。2つのパケットが一連の行の各々において並んでいる実施例では、個々のパケットに同時に穴をあける2つの隣接した針が用いられる。これら2つの針は、早期に連結され単一の結合路を形成するような結合路に結合するか、またはワークピースまで延びる2つの別体の結合路もあろう。代替的には、複数のパケットが短いシーケンスで分注されてもよい。2つの連続したアクチュエーション動作が、ワークピースに2つ(又はそれ以上)の流体を分注するために用いられてもよい。
【0025】
このように、本構造は、所望ならば、1つのリザーバへの保存に向かない2つ以上の流体を同時に分注することに対処する。これは、2つ以上の流体が一度の処置イベントの間に使用者に提供されなければならないような状況に有利である。
【0026】
図5及び6は、各使用後にパケットストリップを前送りするための構造を示している。駆動歯車90が、アクチュエーションアセンブリに軸91を中心として回転するように取り付けられている。駆動歯車90は、駆動歯車90の周囲から外側に延び、該駆動歯車が回転されると連続したパケット間のパケットストリップの表面と係合するように設計されている歯93を含む。アクチュエーションアセンブリのラック素子96と噛合うスプロケット部材94が駆動歯車90に取り付けられている。駆動歯車90は、駆動歯車90を時計回りでのみ動くことを可能にするワンウェイクラッチを含む。アクチュエーションアセンブリが、シーリング部材56に対しパケットを圧縮するように順方向に動かされる場合、ラック96はスプロケット部材94と係合するが、駆動歯車の回転はない。アクチュエーションアセンブリが戻る場合、駆動歯車90にクラッチが係合して回転し、歯93でもってパケットストリップと係合し、次のパケットをピストンとシーリング部材との間の位置へ運び、空となったパケットを当該器具の外へ移動する。
【0027】
次いで、当該器具の外側に来ている空となったパケットは各々、空となったパケットと分注のための位置に目下あるパケットとの間のミシン目で切り離される。代替的には、空となったパケットは、カートリッジ等に蓄積されることができる。
【0028】
このように、連続したパケットがピストンとシーリング部材との間の位置に運ばれた場合、各パケット内の流体の量は制御される即ち知られているので、歯みがき等の流体が離散的な既知の量で正確に分注されることができる。穴あけ前にパケットとシーリング部材との間に密閉(seal)を作り出すことにより、パケット内の流体は針を通ってワークピースまで行き、いかなる流体もシーリング部材と空とされるパケットとの間で漏れることがなく、流体の清浄な送達がもたらされる。図示され説明された機械的構造により、拡大した数の使用者に対し確実な穴あけ及び分注作用がもたらされる。アクチュエーションアセンブリはまた、1つのパケット内の流体の分注がなされた後アクチュエーションアセンブリを後方(休止)位置に戻すスプリング構造を含む。戻り時間中、駆動機構は、ピストンとシーリング部材との間の位置へ次のパケットを運ぶように作動される。モータが、自動的にストリップを動かし、ピストンでもってパケット及びシーリング部材を圧縮し、液体を分注するために用いられてもよい。
【0029】
上述の実施例の変形例では、(ストリップと関連付けられない)個別の別体の流体含有パケットが、使用者によって、密閉し、穴をあけ、当該個別のパケットからブラシヘッド等のワークピースに流体を送達するために上述したものと同様の構造を持つチャンバに装填されてもよい。
【0030】
図10A乃至Dは、図1乃至9のシステムの代替的な実施例の1つを示している。流体は、作成済みホイルストリップ(prefabricated foil strip)110におけるパケット106に保存され、これらパケット間はホットシール(hot seal)107が施されている。ホイルストリップ110は、歯ブラシのガイド部分111に挿入される。図10Cに示されるように、ストリップ110は、ブラシの前部113即ちヘッド部分を介してブラシヘッド114まで延び、その後、該ブラシヘッドにおいて後方に180°転換する。ストリップは後方に続き、ハンドルの前端近傍で歯ブラシの外に出る。
【0031】
ストリップ110を動かす又は移送するために、使用者は、露出しているストリップを後方にただ引き出し、矢印の方向へストリップを動かすことしか必要とされない。空となったパケットは、連続したパケット間で、ミシン目においてストリップを千切る手段、切断手段、その他いかなる手段によって切り離されてもよい。ブラシヘッド114は、針又は鋭い刃(sharp edge)117を含み、この針又は鋭い刃を越えてストリップは延びる。この付近でストリップに圧力をかけることにより、パケットに穴があき、ブラシヘッド基部の開口118を介して歯ブラシの毛の中へ歯みがきが排出される。ここでも、その他の実施例と同様に、流体は、トランスポートストリップ上で個別のパケットに入れられた離散的な量で分注される。各パケット内の量は分かっている。
【0032】
図11は、歯ブラシ120がカートリッジ121を含む他の実施例を示し、カートリッジ121は、ハンドル123からブラシヘッド124へ延びる歯ブラシの後面122に取り付けられる。ブラシヘッド124は、カートリッジ121の前端における開口127と一致する中央開口125を持つ。複数の個別タブレット129−129がカートリッジ内に与えられ、スプリング131によりバネ押しされる。スプリング131はタブレットをカートリッジの前端へ押す。この装置は分注アクチュエータ133を含む。分注アクチュエータ133は、部分135における下向きの作用等による該アクチュエータの動作により、カートリッジの前端にあるタブレットがカートリッジの開口127及びブラシヘッドの開口125を介して押し出されるように機械的に構成される。タブレットは重力によりブラシヘッドを介して使用者の口内に移動する。ここでも、タブレット内の歯みがき/薬剤は、離散的な既知の量で個別に分注される。この実施例では、別体のタブレットが連続的に配置され、別々である、すなわち、トランスポートウェブによって連結されていない。
【0033】
斯くして、既知の量の流体が所与の処置イベントのために分注される流体分注システムが開示されている。制御は、上記量の流体が使用者に提供され終わるまで維持される。また無菌(sterility)が、無菌パケット及び流体分注時のシーリング部材の使用によって維持される。パケットストリップを収容したカートリッジは、器具のハンドルのカバー部分を開けることにより該器具から簡単に取り除かれ、且つ簡単に挿入されることができる。個々の離散的な量の流体を分注することは、使用者等による手動式か、またはある種のモータを用いた自動式にできる。さらに、複数のパケットがストリップ上で単一の行に配設され、一回の処置イベントに対して2つ以上の流体/薬剤が分注されるように構成することもできる。このようにして、高い制御が、図示の構成を用いて流体の分注が終わるまで維持される。
【0034】
上述したように、流体分注システムは、電動歯ブラシ、電気シェーバ及びその他の上述した装置を含む種々のパーソナルケア衛生機器で用いられることができる。
【0035】
上述の流体含有パケットストリップの変形例では、ストリップが個別の部分に分割され、各ストリップ部分がそのまま消耗品であってよい。歯みがき/薬剤は、個別の部分を有してもよいし、流体−薬剤コンテナに加えて消耗品であるストリップ部分を伴う各部分に含められてもよい。図14に示される斯かる構成では、残留するストリップ要素がないか、空となったパッケージが捨てられる。完全に摂取可能な要素が、歯ブラシ137内でストリップ135、ロッド又はその他の形態であって、既知の歯みがき/薬剤の量の断片がそこから切り取られ、用いられる/分注されてもよい。個別のセクションは、図示のように使用者に手動的に提供されることができ、またブラシヘッド138の付近に誘導されることもできる。
【0036】
図12及び13は、本発明の他の実施例を示し、この実施例では、ストリップ上の流体が充填された離散的パケットを用い、各パケットは既知の量の流体を持つ流体分注システムが、例えば歯ブラシである器具と別体となっている。この実施例においては、流体分注システムが、当該器具の一部に対向する別体ユニット140を有する。これは、当該器具用の充電ユニットの一部であってもよい。
【0037】
ユニット140は、電動歯ブラシ器具のブラシヘッド142等のワークピース部分を受け入れるための開口141を含む。流体が充填されたパケットのストリップ146は、開口141の上方の、ユニット140のスロット148内に位置決めされる。プランジャ149がストリップ146の上方に位置付けられている。針154がストリップの下方に配置されている。ブラシヘッド142が開口141に挿入されると、ブラシヘッド142はスプリング158と係合し、スプリング158はレバー160を介してプランジャ149を作動させ、これにより、プランジャ149の下方に位置付けられているパケット161を針154に対して下方に押し付ける。プランジャはノブ153によって又は小モータによって作動されてもよい。穴があけられたパケット内の流体が、前記ユニットの開口を介してブラシ142上に落下する。プランジャ149がブラシヘッドを取り除くことにより開放されると、レバー162及び関連するカム164が、次の分注イベントのためにストリップを1パケット分移送する。空となったパケットはユニット140を出て行く。その他の実施例と同様に、複数のパケットを用いる等、特定のイベントのために2つ以上の流体が分注されてもよい。
【0038】
本発明の好ましい実施例が例示を目的として述べられたが、種々の変更、変形及び置換が特許請求の範囲に規定される本発明の精神から逸脱することなく実施例に組み込まれてもよいことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】電動歯ブラシとの関連において示された本発明の流体分注システムの斜視図である。
【図2】本発明の分注システムで用いられる流体を含有したパッケージ化ストリップを示す。
【図3】流体を含有したストリップ用のカートリッジである。
【図4】電動歯ブラシの応用例における本発明の流体分注システムの断面図である。
【図5】図4の構造の一部を示す断面図である。
【図6】図5の6−6線に沿った断面図である。
【図7】本発明の流体分注システムの動作順序を示す断面図である。
【図8】本発明の流体分注システムの動作順序を示す断面図である。
【図9】本発明の流体分注システムの動作順序を示す断面図である。
【図10A】図1乃至9の構造の代替的な実施例の断面図である。
【図10B】図1乃至9の構造の代替的な実施例の断面図である。
【図10C】図1乃至9の構造の代替的な実施例の断面図である。
【図10D】図1乃至9の構造の代替的な実施例の断面図である。
【図11】図1乃至9の構造の他の代替的な実施例を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す。
【図13】本発明の他の実施例を示す。
【図14】本発明の他の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア装置に用いられる離散的な量の流体を分注するシステムであって、
ワークピース部材を持つパーソナルケア器具と、
連続した複数の離散的な流体入りパケットを含むストリップと、
圧縮可能なシーリング部材であって、前記ストリップ上の各パケットが前記シーリング部材に対して順次密閉されることができるようなシーリング部材と、
各パケットが順次針の前に移動された場合に前記パケットに穴をあけるための中空針構造と、
前記シーリング部材に対して前記ストリップを動かし、次いで前記シーリング部材に対して各パケットを密閉し、それから前記シーリング部材を圧縮し、前記パケットが前記針により穴があけられるように前記針を露呈させるためのアクチュエーションアセンブリであって、前記アクチュエーションアセンブリによる継続的な圧力が前記パケット内の流体を前記ワークピース部材に向けて前記針を介して結合路内に排出するようなアクチュエーションアセンブリとを有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
各パケットは既知の量の流体を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ストリップにおいて連続した行内で並んでいる2つのパケット、及びこれら2つのパケットの流体を同時に分注するための2つの隣接した針を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ストリップは連続したパケット間にミシン目を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
作動された場合に前記ストリップを1パケット分前送りし、次のパケットを前記シーリング部材の前に移動するイジェクタ機構を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シーリング部材は圧縮可能で弾性的な部材であり、抉られた中央セクションを持っていて、このセクション内に中空針の先端が延びていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アクチュエーションアセンブリはピストン素子を含み、前記ピストン素子は、前記アクチュエーションアセンブリの動作時、前記パケットと前記シーリング部材との間を密閉するために前記パケットを前記シーリング部材に対して押圧し、次いで、前記シーリング部材が有するような前記パケットに穴をあけるための前記針に対して押圧し、前記アクチュエーションアセンブリはさらに、都合のよい手動操作用に前記器具の表面の僅か上を延びる制御部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記パーソナルケア器具が電動歯ブラシであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記パケットのストリップを収容するカートリッジ部材を含み、前記器具が前記カートリッジ部材を受け入れるための受け入れ部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
パーソナルケア装置に用いられる離散的な量の流体を分注するシステムであって、
ワークピース部材を持つパーソナルケア器具と、
連続した複数の離散的な流体入りパケットを含むストリップと、
前記ワークピース部材上の針構造であって、順次前記ストリップが前記針構造の前に移動され、圧力が前記針構造に対して前記ストリップにかけられた場合に前記パケットに穴をあけるための針構造であり、穴をあけられたパケット内の流体は前記ワークピース部材の付近に流れていく針構造と、
前記器具におけるガイド構造であって、前記ストリップを保持し、前記器具に沿って前記ワークピース部材の付近まで前記ストリップを案内し、それから前記機器の外に前記ストリップを案内するためのガイド構造とを有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記器具が電動歯ブラシであることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ストリップがホイルパッケージであり、前記ホイルパッケージは、別個の流体のパケットを当該パッケージに沿って含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
歯ブラシに用いられる離散的なタブレットを分注するシステムであって、
開口を備えるブラシヘッドを持つ歯ブラシと、
オーラルケア用の複数の歯みがき/薬剤タブレットを受け入れるための前記歯ブラシの後方に沿って延びる受け入れカートリッジであって、前記受け入れカートリッジの前端は前記ブラシヘッドの前記開口と実質的に一致する開口を持つ受け入れカートリッジと、
前記受け入れカートリッジに関連付けられたイジェクタ機構であって、作動された場合に前記受け入れカートリッジから前記ブラシヘッドの前記開口にタブレットを排出するイジェクタ機構とを有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
タブレットが常に前記受け入れカートリッジから前記ブラシヘッドの前記開口に排出されるべき位置にあるように前記受け入れカートリッジ内で前記タブレットに対して圧力をかけるスプリング部材を含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
パーソナルケア装置に流体を分注するための離散的な量の流体を分注するシステムであって、
パーソナルケア器具のワークピース部分を受け入れるためのワークピース開口を持つ流体分注ユニットと、
連続した複数の離散的な流体入りパケットを含むストリップと、
前記ストリップの移送を可能にするような前記ユニットを介すストリップ開口と、
前記ストリップ開口と前記ワークピース開口とをつなぐチャネルであって、穴があけられたパケットから前記ワークピース開口に流体が移動することを可能にするチャネルと、
前記チャネル上に位置決めされた場合に前記ストリップのパケットに穴をあけるための穴あけ素子と、
前記ストリップを前記穴あけ素子に対して押圧し、前記パケット内の流体を前記チャネルを介して前記ワークピース部分上に放出するためのプランジャと、
前記ワークピース部分が、穴があけられるべきパケットの下方に前記ワークピース開口内で位置決めされた状態で、前記パケットに対して前記プランジャを押圧し、前記パケットに穴をあけるためのアクチュエーションシステムとを有することを特徴とするシステム。
【請求項16】
各パケットが既知の量の流体を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記アクチュエーションシステムは、前記ワークピース部分が前記ユニットから取り除かれた場合に、空となったパケットに後続する前記ストリップ上の次のパケットを前記チャネル上の位置に移動するための機構を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
スプリング機構を前記ワークピース開口内に含み、且つ前記スプリング機構と関連付けられるレバーを含み、前記ワークピース部分が前記ワークピース開口に挿入され、前記スプリング機構に対して十分な力で押圧された場合に、前記レバーが前記プランジャを下げて前記パケットに対して力を加え、前記パケットに穴をあけるように構成されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
ブラシヘッドを含む電動歯ブラシ用の離散的な量の薬剤分注システムであって、
オーラルケア用の薬剤を含む完全に消費可能な連続したセクションの一連と、
前記一連の連続した離散的セクションを使用者に又は前記ブラシヘッドの付近に提供するための前記電動歯ブラシ内の分注構造とを有するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−510432(P2006−510432A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561777(P2004−561777)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005643
【国際公開番号】WO2004/056287
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】