説明

パーツフィーダ

【課題】移送途中の損傷を極減しながら、騒音レベルを著しく低減する。
【解決手段】パーツフィーダは、内側円盤1と、内側円盤1の外側に内側円盤1に対して傾斜する姿勢に配設されてなる外側リング板2と、外側リング板2と内側円盤1を回転させる駆動機構3とを備える。外側リング板2は、内側円盤1と同一平面に配設されて、内側円盤1からパーツPが供給される供給部5と、内側円盤1よりも上昇位置に配設されてなる上昇落下部6とを備え、内側円盤1から供給されるパーツPを供給部5から上昇落下部6に移送する。内側円盤1と外側リング板2の両方が水平面に対して傾斜しており、外側リング板2は供給部5から上昇落下部6に向かって上り勾配に傾斜し、内側円盤1は供給部5から外側リング板2の上昇落下部6に向かって下り勾配に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性のあるパーツの方向を揃えて排出するパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
方向性のあるパーツの方向を揃えて排出する装置として、パーツフィーダが使用される。パーツフィーダは、パーツに振動を与えて一定の方向に移送する。この構造のパーツフィーダは、効率よくパーツを移送するように設計するのが非常に難しい。パーツを入れて移送するホッパーの振動が、部分的に異なる状態となったり、あるいは全ての部分でパーツを効率よく移送するように振動できないことがあるからである。このため、パーツの種類や大きさを考慮して、振動するホッパーを専用に設計し、さらに各々のホッパーの振動機構を細かく調整して製作しているのが実状である。このため、ホッパーに重量や大きさが異なるパーツを入れて移送すると、パーツによっては必ずしもスムーズに移送できなくなる。
【0003】
さらに、振動でパーツを移送するパーツフィーダの最大の欠点は、振動される衝撃でパーツに損傷を与えることである。たとえば、鍔付のベアリングを振動式のパーツフィーダで移送すると、振動の衝撃でボールと転動面の表面に損傷を受けることがある。損傷を受けたベアリングは、使用状態で騒音を発生して不良品となってしまう。このため、完成されたベアリングをパーツフィーダで移送すると、最後の移送工程で不良品となることがある。
【0004】
さらにまた、振動式のパーツフィーダは、振動による騒音の発生を皆無にはできない。また、パーツの移送速度に制限を受けて、速く移送するのが難しい。移送速度を速くするために、振動を強くすると騒音がさらに大きくなる。にもかかわらず、必ずしもパーツを速く移送できない。また、振動を強くするほど、パーツの損傷も甚だしくなる。
【0005】
また、振動でパーツを移送するパーツフィーダも、方向性のあるパーツの方向を揃えて排出するには特別な機構を必要とする。このため、鍔付ベアリングのように方向性のあるパーツを方向を揃えて排出するパーツフィーダは、その構造や機構が相当に複雑になってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来のパーツフィーダが有する欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、種々のパーツを速やかに効率よく移送できると共に、移送途中の損傷を極減しながら、騒音レベルを著しく低減できるパーツフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーツフィーダは、水平ないしほぼ水平面内に回転できるように配設されてなる内側円盤1と、この内側円盤1の外側に内側円盤1に対して傾斜する姿勢に配設されてなる外側リング板2と、外側リング板2と内側円盤1を回転させる駆動機構3とを備える。このパーツフィーダは、外側リング板2で逆方向の姿勢で移送される逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させる姿勢選別機構4とを備えることができる。外側リング板2は、内側円盤1と同一平面に配設されて、内側円盤1から方向性のあるパーツPが供給される供給部5と、内側円盤1よりも上昇位置に配設されてなる上昇落下部6とを備える。この外側リング板2は、内側円盤1から供給されたパーツPを供給部5から上昇落下部6に移送する。姿勢選別機構4は、パーツPの方向を検出して、上昇落下部6において逆方向の姿勢にある逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下して、正常な姿勢にある正方向パーツP’のみを選別して回転する外側リング板2でもって外部に排出する。
【0008】
本発明のパーツフィーダは、内側円盤1と外側リング板2の両方を水平面に対して傾斜させる。このパーツフィーダは、外側リング板2を供給部5から上昇落下部6に向かって上り勾配に傾斜し、内側円盤1を供給部5から外側リング板2の上昇落下部6に向かって下り勾配に傾斜させる。
【0009】
駆動機構3は、内側円盤1と外側リング板2を同一方向に同一回転数で回転させることができる。方向性のあるパーツPは、一端または一端部に鍔のあるパーツPとすることができる。方向性のあるパーツPは、鍔付のベアリング、または、鍔付ベアリングの外輪とすることができる。さらに、方向性のあるパーツPは、側面をテーパー面とする円錐台形状のパーツとすることができる。
【0010】
さらに、本発明のパーツフィーダは、外側リング板2の上昇落下部6に、姿勢選別機構4として選別ガイド22を配設することができる。この選別ガイド22は、外側リング板2で移送されるパーツPに接触して選別する選別面22Aを有する。選別ガイド22は、その選別面22Aに、パーツPの外周突出部Tを通過させる非接触部23を設けることができる。この選別ガイド22は、外側リング板2で移送される正方向パーツP’は、外周突出部Tを非接触部23に通過させて外側リング板2から内側円盤1に落下されることなく外側リング板2に載せて外部に排出し、外側リング板2で移送される逆方向パーツP”は、外周突出部Tが選別ガイド22の選別面22Aに押されて外側リング板2から内側円盤1に落下される。選別ガイド22は、外側リング板2から落下させる逆方向パーツP”の大きさを調整できる構造とすることができる。
【0011】
さらに、本発明のパーツフィーダは、外側リング板2で移送されるパーツPの移送路に、パーツPを一列に並べる一列ガイド21を配設して、この一列ガイド21を通過したパーツPを選別ガイド22に通過させることができる。一列ガイド21は、間隔調整可能にすることができる。さらに、本発明のパーツフィーダは、外側リング板2の上昇落下部6と内側円盤1との間に、パーツPを落下させる落下ガイド17を配置することができる。
【0012】
本明細書において、「方向性のあるパーツ」とは、外周面に、外側に突出する外周突出部を有すると共に、この外周突出部によって外周面の中央に対して非対称な形状となっており、かつこの外周突出部によって方向が特定される形状のパーツを意味するものとする。したがって、一端または一端部に鍔のあるパーツにおいては、この鍔が外周突出部に相当し、側面をテーパー面とする円錐台形状のパーツにおいては、広い底面側の外周部が外周突出部に相当する。
さらに、方向性のあるパーツは、外周面に連続して外周突出部を設けたものに特定しない。方向性のあるパーツは、外周面に部分的に外周突出部を設けたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパーツフィーダは、回転する内側円盤と外側リング板とでパーツを移送するので、種々のパーツを速やかに移送して効率よく選別作業できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのパーツフィーダを例示するものであって、本発明はパーツフィーダを下記のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
図1と図2に示すパーツフィーダは、鍔付のベアリングのように、外周突出部によって方向が特定される方向性のあるパーツPを向きを揃えて排出する。本発明のパーツフィーダが移送する方向性のあるパーツPは、鍔付のベアリングに特定されない。本発明のパーツフィーダは、たとえば一端に鍔のあるパーツ等も、方向を揃えて排出できる。
【0017】
図に示すパーツフィーダは、ほぼ水平面内に回転できるように配設している内側円盤1と、この内側円盤1の外側に配設している外側リング板2と、この外側リング板2と内側円盤1とを回転する駆動機構3と、外側リング板2で逆方向に移送される逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させる姿勢選別機構4とを備える。
【0018】
外側リング板2は、内側円盤1に対して傾斜する姿勢に配設している。さらに、外側リング板2は、その一部を内側円盤1と同一平面に配設して、内側円盤1から方向性のあるパーツPを供給できるようにしている。この外側リング板2は、内側円盤1からパーツPが供給される供給部5と、内側円盤1よりも上昇位置に配設されてなる上昇落下部6とを備え、内側円盤1から供給されたパーツPを供給部5から上昇落下部6に移送するようにしている。外側リング板2は、内側円盤1に対して相対的に傾斜して配設される。このことを実現するには、図2に示すように、内側円盤と外側リング板の両方を逆方向に傾斜させ、あるいは、内側円盤を水平にして外側リング板のみを傾斜させ、あるいはまた、外側リングを水平にして内側円盤1を傾斜させる。
【0019】
図2に示すように、内側円盤1と外側リング板2の両方を傾斜させるパーツフィーダは、外側リング板2をパーツPの供給部5から上昇落下部6に向かって上り勾配に傾斜して、内側円盤1を供給部5から外側リング板2の上昇落下部6に向かって下り勾配に傾斜させる。このパーツフィーダは、内側円盤1と外側リング板2の傾斜角を小さくして、上昇落下部6における外側リング板2と内側円盤1の落差を大きくできる。
【0020】
内側円盤1と外側リング板2は、1枚の金属板を、レーザーやプレスで円形に切断して製作できる。内側円盤1の外周縁が外側リング板2の内周縁に接近するからである。ただし、内側円盤1と外側リング板2とを別々の金属板で製作できるのはいうまでもない。内側円盤1は、供給される多数のパーツPを蓄えることができるように、たとえば外径を10〜80cmとする。内側円盤1を大きくすると、大きなパーツPを多数に蓄えることができる。外側リング板2は、この上にパーツPを載せて移送できるように、パーツPの外形に比べて充分な幅に設計される。
【0021】
互いに傾斜する内側円盤1と外側リング板2は、一部を同一面に配設して、内側円盤1から外側リング板2にパーツPを供給する供給部5としている。内側円盤1と外側リング板2は、供給部5から離れるにしたがって上下の差が大きくなり、もっとも上下差の大きくなる部分、あるいはその近傍を上昇落下部6としている。外側リング板2の内周縁と内側円盤1の外周縁の間には隙間ができる。外側リング板2を内側円盤1に対して傾斜しているからである。図1と図2に示すパーツフィーダは、この隙間からパーツPが漏れないように、内側円盤1と外側リング板2の隙間を閉塞壁7で閉塞している。閉塞壁7は回転しないように固定される。
【0022】
駆動機構3は、外側リング板2と内側円盤1とを回転させる。図の駆動機構3は、内側円盤1と外側リング板2とを一緒に同じ回転数で回転させる。この駆動機構3は、内側円盤1の中心に固定している回転軸8に連結している減速モーター9を備える。減速モーター9は、内側円盤1を図1の矢印で示す方向に回転させる。外側リング板2は、フレーム10に回転できるように連結している。図の外側リング板2は、連結ロッド11を介して下面に円盤12を固定しており、この円盤12の中心に筒状の回転軸13を固定している。筒状の回転軸13がベアリング14を介してフレーム10に回転できるように連結されて、外側リング板2を回転できるようにフレーム10に連結している。外側リング板2と内側円盤1とは傾斜する姿勢に配設されるので、外側リング板2と内側円盤1の回転中心は相対的に傾斜している。
【0023】
図の駆動機構3は、ひとつの減速モーター9で、内側円盤1と一緒に外側リング板2も回転させる。減速モーター9で内側円盤1と外側リング板2とを一緒に回転させるために、内側円盤1は、下面に突出する駆動ピン15を固定している。この駆動ピン15を案内する一対の平行ピン16を外側リング板2に固定している。平行ピン16は、外側リング板2に固定している円盤12の上面に、中心に向かって固定している。平行ピン16の間に駆動ピン15を出入りできるように、しかも平行ピン16に沿って移動できるように挿入している。この駆動機構3は、減速モーター9が駆動ピン15を回転し、駆動ピン15が平行ピン16を介して外側リング板2を回転させる。内側円盤1と外側リング板2とは回転中心が互いに傾斜しているので、駆動ピン15は平行ピン16の間を摺動しながら、外側リング板2を回転させる。
【0024】
図1に示すパーツフィーダの閉塞壁7は、上昇落下部6を含む部分に設けている落下壁部7Aと、その両側にあって内側円盤1と外側リング板2の上下差の低い部分に配設しているガイド壁部7Bとからなる。落下壁部7Aは、上昇落下部6でパーツPを外側リング板2から内側円盤1に落下させる落下ガイド17に併用している。落下ガイド17を併用する図の落下壁部7Aは、外側リング板2から内側円盤1に向かって下り勾配の傾斜面としている。この落下ガイド17は、パーツPを衝撃少なく落下して、衝撃による損傷をさらに少なくできる。また、落下ガイド17である落下壁部7Aは、フッ素樹脂等の合成樹脂で製作される。フッ素樹脂製の落下ガイド17は、パーツPを極めてスムーズに落下できる。
【0025】
図に示すパーツフィーダは、外側リング板2の外周縁に沿って外周壁18を配設している。外周壁18のある外側リング板2は、回転速度を速くして、パーツPが遠心力で外側リング板2から外部に飛び出して落下するのを防止できる。このため、このパーツフィーダは、外側リング板2を速く回転して、単位時間に多量のパーツPを排出できる。ただし、外周壁は、必ずしも設ける必要はない。外側リング板2を遅く回転するパーツフィーダは、外側リング板2に載ったパーツPが加速度で外側に落下しないからである。
【0026】
さらに、図1に示すパーツフィーダは、内側円盤1の上に供給されたパーツPを外側リング板2に供給する供給ガイド19を配設している。供給ガイド19は、回転しないように固定される。図のパーツフィーダは、ふたつの供給ガイド19を配設している。第1の供給ガイド19Aは、内側円盤1の中心部分に設けている。第2の供給ガイド19Bは、第1の供給ガイド19Aよりも外側に配設している。供給ガイド19は、内側円盤1の回転でパーツPを外側に移送できるように、内側円盤1の半径方向に対して傾斜させている。すなわち、供給ガイド19は、中心から外周に向かって、内側円盤1の半径方向に対して回転方向に傾斜させている。第2の供給ガイド19Bの先端部分は、外側リング板2の上方まで伸びている。この第2の供給ガイド19Bに沿って外側に移送されるパーツPを、外側リング板2の上に移送するためである。
【0027】
この構造は、もっとも簡単な構造で、内側円盤1のパーツPを外側リング板2に移送できる。ただし、本発明は、内側円盤1のパーツPを外側リング板2に移送する機構を、図に示す供給ガイド19には特定しない。それは、空気流でパーツを内側円盤から外側リング板に移送し、あるいは磁気的な吸引力や反発力を利用して、磁性材であるパーツを内側円盤から外側リング板に移送することもできるからである。
【0028】
内側円盤1から外側リング板2に移送されたパーツPは、複数に積み重なって移送されることがある。図のパーツフィーダは、外側リング板2の移送路に積層解除材20を配設して、パーツPを積層しないで移送するようにしている。積層解除材20は、下端縁と外側リング板2上面との間隔を、一段のパーツPのみが通過できる隙間としている。さらに、積層解除材20は、半径方向に対して傾斜する姿勢として、外側リング板2のパーツPを内側円盤1に移送する。いいかえると、パーツPを外側リング板2から内側円盤1に移送できる方向に、半径方向に対して傾斜させている。したがって、二段以上のパーツPが外側リング板2の上に載って移送されると、一段目のパーツPのみを通過させて、一段目のパーツPの上に載って移送されるパーツPを、外側リング板2から内側円盤1に排出する。したがって、外側リング板2に載って移送されるパーツPは、積層解除材20を通過して必ず一段となる。この機構は、簡単な機構で、外側リング板2の上に積層して移送されるパーツPを一段にできる。ただし、外側リング板の上に積層して移送されるパーツは、このことを光センサーで検出して、空気流等で一段目のパーツに載って移送されるパーツを除去することもできる。
【0029】
さらに、図1のパーツフィーダは、外側リング板2で移送されるパーツPを一列に並べる一列ガイド21を配設している。一列ガイド21は、外側リング板2で移送されるパーツPの移送路に配設されて、2列以上に並べて移送されるパーツPを、一列に並べて移送する。一列ガイド21は、その先端で2列以上に並べて移送されるパーツPを、外側リング板2から内側円盤1に排出する。したがって、一列ガイド21は、その先端縁と外側リング板2の内周縁との間隔が、一列のパーツPのみを移送できる間隔に調整している。
【0030】
図のパーツフィーダは、内側円盤1から外側リング板2に供給されたパーツPを、積層解除材20に通過させて一段とし、さらに一列ガイド21に通過させて一列として上昇落下部6に移送する。上昇落下部6において、姿勢選別機構4がパーツPの方向を検出して、逆方向の姿勢にある逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させる。姿勢選別機構4は、正常な姿勢にある正方向パーツP’を、外側リング板2から落下させることなく通過させて、外部に排出する。
【0031】
図のパーツフィーダは、外側リング板2の上昇落下部6に、姿勢選別機構4として選別ガイド22を配設している。選別ガイド22は、図3ないし図6に示すように、外側リング板2で移送されるパーツPに接触して正方向パーツP’と逆方向パーツP”とを選別する選別面22Aを有する。これ等の図に示す選別ガイド22は、正方向パーツP’の外周突出部Tを通過させる非接触部23を選別面22Aに設けている。図3と図4の選別ガイド22は、外側リング板2との間にパーツPの外周突出部Tである鍔を通過させる非接触部23を設けており、図5と図6の選別ガイド22は、上方に非接触部23を設けている。図4の選別ガイド22は、鍔を下にして外側リング板2に載って移送される正方向パーツP’を、外側リング板2から内側円盤1に落下させることなく外側リング板2に載せて外部に排出する。図6の選別ガイド22は、鍔を上にして外側リング板2に載って移送される正方向パーツP’を、外側リング板2から内側円盤1に落下させることなく外側リング板2に載せて外部に排出する。外周突出部Tが非接触部23を通過するからである。図3の選別ガイド22は、外周突出部Tである鍔を上にして外側リング板2で移送される逆方向パーツP”を、選別ガイド22の選別面22Aで押して外側リング板2から内側円盤1に落下させる。図5の選別ガイド22は、外周突出部Tである鍔を下にして外側リング板2で移送される逆方向パーツP”を、選別ガイド22の選別面22Aで押して外側リング板2から内側円盤1に落下させる。
【0032】
選別ガイド22が、逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させるのは、図3と図5の拡大図に示すように、選別ガイド22の選別面22Aが外周突出部Tである鍔を押し出すので、パーツPの重心が外側リング板2の内周縁よりも内側にあって外側リング板2の上方にはないからである。また、正方向パーツP’が外側リング板2から内側円盤1に落下しないのは、図4と図6の拡大図に示すように、正方向パーツP’の外周突出部Tである鍔が選別ガイド22の選別面22Aに設けている非接触部23を移動するので、パーツPの重心が外側リング板2の内周縁と外周縁の間であって、外側リング板2の上方に位置するからである。
【0033】
この構造の姿勢選別機構4は、極めて簡単な機構で、逆方向パーツP”を外側リング板2から内側円盤1に落下させて、正方向パーツP’のみを選別できる。それは、逆方向パーツP”の鍔を押して、パーツPの重心位置を外側リング板2の上方より内側として落下させ、正方向パーツP’の鍔を押さないで、その重心を外側リング板2の上方に位置させて、外側リング板2から内側円盤1に落下させないからである。
【0034】
図3ないし図6に示す姿勢選別機構4は、方向性のあるパーツPとして、外周突出部Tである鍔を一端に有するパーツPを選別している。ただ、方向性のあるパーツは、図7と図8に示すように、側面の中央から端にずれた位置に外周突出部Tである鍔を有するパーツPとすることもできる。これらの図に示す姿勢選別機構4も、外側リング板2で移送される正方向パーツP’は外周突出部Tを選別面22Aの非接触部23に通過させて、内側円盤1に落下させることなく外側リング板2に載せて外部に排出し、逆方向パーツP”の外周突出部Tを選別ガイド22の選別面22Aで押して外側リング板2から落下させる。この姿勢選別機構4は、パーツPの鍔の位置に応じて、選別ガイド22の上下位置と非接触部23の間隔とを調整する。
【0035】
さらに、方向性のあるパーツPは、図9と図10に示すように、側面をテーパー面とする円錐台形状のパーツPとすることもできる。このパーツPは、円錐台の外径の大きい底面側の外周部を、外径の小さい底面側の外周部よりも外側に突出させて外周突出部Tとしている。これらの図に示す姿勢選別機構4は、この外周突出部Tを下側にして外側リング板2で移送される正方向パーツP’を、内側円盤1に落下させることなく外側リング板2に載せて外部に排出し、外周突出部Tを上側にして移送される逆方向パーツP”を、選別ガイド22で押して外側リング板2から落下させる。
【0036】
図に示す選別ガイド22は、パーツPの側面と接触する面を、パーツPのテーパー面に沿う傾斜面22Aとしている。この選別ガイド22は、図9に示すように、逆方向パーツP”が供給されると、外周突出部Tを傾斜面22Aの上部で押して、パーツPの重心位置を外側リング板2の上方より内側として落下させる。また、正方向パーツP’が供給されると、側面のテーパー面を傾斜面22Aに沿う状態として、その重心を外側リング板2の上方に位置させたまま外側リング板2に載せて外部に排出する。ただ、円錐台形状のパーツを選別する姿勢選別機構は、必ずしも選別ガイドの先端面を傾斜面とする必要はない。それは、図3と図4に示すように、選別ガイドを外側リング板から上方に離して非接触部を設け、正方向パーツが供給されると、外周突出部をこの非接触部に通過させて、逆方向パーツが供給されると、外周突出部を選別ガイドで押して外側リング板から落下させることもできるからである。
【0037】
さらに、方向性のあるパーツは、図示しないが、円形以外の形状のパーツ、たとえば、正方形、長方形、多角形、楕円等の形状のパーツとすることもできる。これらの形状のパーツを選別するパーツフィーダは、好ましくは、一列ガイドで、あるいは、一列ガイドとは別に設けてなる方向ガイドでパーツの水平方向の姿勢を特定し、所定の姿勢で移送されるパーツの向きを選別ガイドで選別する。たとえば、長方形のパーツでは、長辺側の側面を選別ガイドに対向する姿勢で移送すして、前述の選別ガイドを使用してパーツの向きを選別できる。
【0038】
以上の実施例は、姿勢選別機構4として選別ガイド22を使用している。この姿勢選別機構4は、極めて簡単な機構で、逆方向パーツP”と正方向パーツP’を選別できる特長がある。ただ、本発明のパーツフィーダは、逆方向パーツと正方向パーツの姿勢を、カメラとマイコンでパターン認識し、逆方向パーツであると判別されたパーツを、空気流で外側リング板から内側円盤に落下させて排除することもできる。
【0039】
以上のパーツフィーダは、簡単な機構で方向性のあるパーツの向きを揃えて排出できる特長がある。とくに、以上のパーツフィーダは、種々のパーツを速やかに効率よく移送できると共に、移送途中の損傷を極減しながら、騒音レベルを著しく低減できる特長がある。それは、パーツフィーダが、互いに傾斜する姿勢で配設されてなる内側円盤と外側リング板とを回転させて方向性のあるパーツを移送しており、外側リング板で供給部から上昇落下部に移送されたパーツの方向を姿勢選別機構で検出して、逆方向の姿勢にある逆方向パーツを外側リング板から内側円盤に落下させ、正常な姿勢にある正方向パーツのみを選別して排出しているからである。この構造のパーツフィーダは、従来のように振動を与えることなく方向性のあるパーツを移送して向きを揃えるので、移送途中の損傷を極減できると共に、騒音レベルを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例にかかるパーツフィーダの平面図
【図2】図2に示すパーツフィーダの垂直断面図
【図3】姿勢選別機構が逆方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図4】姿勢選別機構が正方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図5】姿勢選別機構が逆方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図6】姿勢選別機構が正方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図7】姿勢選別機構が他の形状の逆方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図8】姿勢選別機構が他の形状の正方向パーツを選別する状態を示す拡大図
【図9】姿勢選別機構が他の形状の逆方向パーツを選別する状態を示す一部断面斜視図
【図10】姿勢選別機構が他の形状の正方向パーツを選別する状態を示す一部断面斜視図
【符号の説明】
【0041】
1…内側円盤
2…外側リング板
3…駆動機構
4…姿勢選別機構
5…供給部
6…上昇落下部
7…閉塞壁 7A…落下壁部
7B…ガイド壁部
8…回転軸
9…減速モーター
10…フレーム
11…連結ロッド
12…円盤
13…回転軸
14…ベアリング
15…駆動ピン
16…平行ピン
17…落下ガイド
18…外周壁
19…供給ガイド 19A…第1の供給ガイド
19B…第2の供給ガイド
20…積層解除材
21…一列ガイド
22…選別ガイド 22A…選別面
23…非接触部
P…パーツ P’…正方向パーツ
P”…逆方向パーツ
T…外周突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ないしほぼ水平面内に回転できるように配設されてなる内側円盤(1)と、この内側円盤(1)の外側に内側円盤(1)に対して傾斜する姿勢に配設されてなる外側リング板(2)と、外側リング板(2)と内側円盤(1)を回転させる駆動機構(3)とを備え、
外側リング板(2)は、内側円盤(1)と同一平面に配設されて、内側円盤(1)から方向性のあるパーツ(P)が供給される供給部(5)と、内側円盤(1)よりも上昇位置に配設されてなる上昇落下部(6)とを備え、
内側円盤(1)と外側リング板(2)の両方が水平面に対して傾斜しており、外側リング板(2)は供給部(5)から上昇落下部(6)に向かって上り勾配に傾斜し、内側円盤(1)は供給部(5)から外側リング板(2)の上昇落下部(6)に向かって下り勾配に傾斜しており、
外側リング板(2)が、内側円盤(1)から供給されたパーツ(P)を供給部(5)から上昇落下部(6)に移送して、回転する外側リング板(2)でもってパーツ(P)を外部に排出するようにしてなるパーツフィーダ。
【請求項2】
外側リング板(2)で移送されるパーツ(P)の移送路に、パーツ(P)を一列に並べる一列ガイド(21)を配設しており、この一列ガイド(21)を通過したパーツ(P)を選別ガイド(22)に通過させる請求項1に記載されるパーツフィーダ。
【請求項3】
一列ガイド(21)が間隔調整可能である請求項2に記載されるパーツフィーダ。
【請求項4】
駆動機構(3)が、内側円盤(1)と外側リング板(2)を同一方向に同一回転数で回転する請求項1に記載されるパーツフィーダ。
【請求項5】
外側リング板(2)の移送路に積層解除材(20)を配設して、パーツ(P)を積層しないで移送するようにしている請求項1に記載されるパーツフィーダ。
【請求項6】
外側リング板(2)の上昇落下部(6)と内側円盤(1)との間に、パーツ(P)を落下させる落下ガイド(17)を配置している請求項1に記載されるパーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−27909(P2006−27909A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298232(P2005−298232)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【分割の表示】特願2002−167707(P2002−167707)の分割
【原出願日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願人】(597070149)有限会社ナカミチ (9)
【Fターム(参考)】