パーツ付紙容器
【課題】漏斗の開口部から外部分への内容物の回り込みを可及的に少なくできるようにしたパーツ付紙容器を提供する。
【解決手段】パーツ3は容器本体2の開口部2Aとほぼ同径の筒状のリング3Aとその上端に外側に張り出すフランジ3Bと、更にリング3Aに設けられた漏斗3Cが備わり、この漏斗3Cの開口3C1と前記フランジ3Bとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツ3はまた前記フランジ3Bが容器本体2の開口部2Aの上面に接合されると共に、前記フランジ3Bの上面にはバリア性を備える蓋材4が貼着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、前記蓋材4を取り除いた後、前記パーツ3の漏斗3Cで内容物を中央部に集めながら、このパーツ3によって内容物を移し替え容器15へその口部15Aから直接注ぎ込めるようにした。
【解決手段】パーツ3は容器本体2の開口部2Aとほぼ同径の筒状のリング3Aとその上端に外側に張り出すフランジ3Bと、更にリング3Aに設けられた漏斗3Cが備わり、この漏斗3Cの開口3C1と前記フランジ3Bとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツ3はまた前記フランジ3Bが容器本体2の開口部2Aの上面に接合されると共に、前記フランジ3Bの上面にはバリア性を備える蓋材4が貼着されて容器本体2の開口部2Aが密封されてなり、前記蓋材4を取り除いた後、前記パーツ3の漏斗3Cで内容物を中央部に集めながら、このパーツ3によって内容物を移し替え容器15へその口部15Aから直接注ぎ込めるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などの詰め替えに用いられるもので、紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えていて、容器本体の開口部に前記パーツが接合されてなるパーツ付紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のパーツ付紙容器では、前記パーツはリングとその外方に張り出したフランジと、更に、例えばインスタントコーヒー等の内容物の移し替えの便に供する漏斗部とを備え、合成樹脂素材、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)や容器本体と同じ紙などによって一体成形されている。
【0003】
ところで、従来このような詰め替え用の容器としては、合成樹脂製フィルムからなる包装袋が多く使用されている。例えば上方に再封用のジッパー部を設けた自立性を有するガゼット袋である。
【0004】
一方、容器本体の開口部の内側にリングを備えた従来の構造としては、主として容器の強度を高めることを意図したものが存在している。具体的には、容器本体の胴部上端を外方へ張り出して形成したフランジ又はカール部の上面に前記リングのフランジを乗せつけ、容器本体のフランジ上面とリングのフランジ下面とを接合するようにしてある。また、このリングのフランジの上面にバリア性を備えるシート状の蓋材を貼着したり、キャップを被せて容器本体の開口部を密封したりしている。
【特許文献1】特開2007―290373号公報
【特許文献2】特公昭63―24464号公報
【特許文献3】特開平08−58764号公報
【特許文献4】特開2002−264918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の構造は、インスタントコーヒーなどの内容物を詰め替える際、ガゼット袋や容器をあらかじめ開封しておく必要があると共に、詰め替えの際に内容物がこぼれ易いことから、詰め替え作業が非常に面倒であるという問題が生じていた。更には、詰め替える際、インスタントコーヒーなどの内容物が外気に触れてしまうために、内容物の持つ香りや風味が損なわれてしまったり、大気中の水分を吸収したりする問題も生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたもので、種々検討の結果、詰め替え作業を容易かつ確実に行えると共に香りや風味が損なわれるおそれを少なくできることは言うまでもなく、特に前記漏斗の開口部から外部分への内容物の回り込みを可及的に少なくできるようにしたパーツ付紙容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1記載のパーツ付紙容器は、紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えたパーツ付紙容器であって、パーツは容器本体の開口部とほぼ同径の筒状のリングを備えると共に、このリングの上端には外側に張り出すフランジが設けられ、また、リングには開口部に向かってテーパーのある漏斗が備わり、この漏斗の開口部と前記フランジとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツはまた前記フランジが容器本体の開口部の上面に接合されると共に、前記フランジの上面にはバリア性を備えるシート状の蓋材が貼着され、この蓋材の上方にアンダーカット部を周縁部に備えたオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、前記オーバーキャップ並びに蓋材を取り除いた後、前記パーツの漏斗で内容物を中央部に集めながら、このパーツによって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とする。
【0008】
このように構成されたパーツ付紙容器では、オーバーキャップを取り外し、次いで図5並びに図6に示すように、容器本体を逆さにし、ホッパの漏斗を補充用の容器の一例であるジャーの口部に内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体内のインスタントコーヒー等の粉体はホッパから漏斗内にも流下してきているが、蓋材によって保持されている。次いで、図7並びに図8に示すように、容器本体に、その漏斗をジャーの口部へ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャーの口部、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋材を押し破るための力として働く。すなわち、このジャーの口部が蓋材を押し上げて、これをホッパのリングと漏斗との間の断面三角形上の空間内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋材は、例えばこの蓋材に予め設けられた強度弱点部である放射状のミシン目やカット線に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗はジャーの口部内に入り込む。その結果、前記ホッパの漏斗の開口が開放され、容器本体内のインスタントコーヒー等の粉体が、ホッパの漏斗によって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー内へ案内流下される。
【0009】
以上の構成において、リングのフランジと漏斗の開口とはほぼ同じ高さレベルに位置するので、その上に存在する蓋材によって漏斗の開口は押圧されて封止され、この蓋材を更にオーバーキャップによって押圧するようにすることによって、蓋材と漏斗の開口との密着性が高まり、蓋材と漏斗の開口との間に無用な隙間が生じるのを上手く予防できる。また、パーツはそのフランジが容器本体の開口部上に載置されて接合されるから、常に容器本体に対する取り付け位置が一定になる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
本発明のパーツ付紙容器は、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、容器本体を詰め替え容器の口部に押し付けて押圧することによって蓋材を押し破るようにしてあるので、簡単に容器本体と詰め替え容器とを直に連通させるものであるから、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、内容物を外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味も損なわれることも少ない。
【0011】
特に本発明においては、漏斗の開口が蓋材とオーバーキャップでしっかりと押圧されて蓋材との間に無用な隙間が生じにくいので、内容物である粉体がこの漏斗の開口と蓋材との間から漏斗の外へ回り込むおそれを可及的に少なくできる。従って、詰め替えの際に、この回り込んだ粉体によって詰め替え容器の口部や周辺を不用意に汚してしまうおそれも少なくなり、衛生的に用いることができる。併せて、パーツはフランジによって容器本体に対して常に一定の位置に取り付けられるので、安定した取り付け状態を確保でき、的確な充填作業を可能にすると共に、粉体の前記の回り込みを一層的確に予防できる。
【0012】
以上の構成において、本発明は請求項2に記載のように、漏斗にはその開口部の端縁から一体に筒状の案内ダクトが備わっているのが望ましい。
漏斗は傾斜壁が詰め替え容器の口部に当接して、その当接姿勢が安定しにくい傾向があるのに比べて、漏斗に連なる筒状の案内ガイドは詰め替え容器の口部内に確実に挿入できる。そのため、詰め替え容器の口部に対する粉体の案内並びに充填中の粉体の容器外への飛散、更には大気や湿気との接触を少なくでき、併せて芳香を失わせるおそれを少なくできるからである。特に、空気や水分の影響を受けやすい粉体に使用するのには一層有効である。
【0013】
又、請求項3に記載のように、容器本体の開口部の上端には外側に張り出すフランジ又はカール部が備わっているのが望ましい。
容器本体の開口部の強度を高めて変形を少なくできるので、パーツの設置位置が所期通り正しく保たれてパーツをしっかりと保持し、漏斗の開口と蓋材の隙間を一層生じ難くするからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明のパーツ付紙容器を、インスタントコーヒーの詰め替え用容器1に適用した場合の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
【0015】
尚、本発明は、基本的には、漏斗を備えたパーツが開口部に接合されて、内容物の詰め替えを効率的に行うことができる態様のもの全般に適用できる。したがって、以下の実施例に記載の例に限定されるものでないことは改めて言うまでもない。
【0016】
先ず、詰め替え用容器1は、図1、2に示すように、容器本体2、ホッパ3、バリア性を有するシート状の蓋材4、オーバーキャップ5からなる。
【0017】
容器本体2は有底の円筒形で、基材には矩形の紙片が用いられる。この紙製の円筒はその外側から順に、紙層、アルミニウム箔層、ポリエチレンテレフタレート層、更に低密度ポリエチレン層が積層されて、高いガスバリア性(酸素、水蒸気、内容物由来揮発成分)を備えた複合材が採用される。積層手段は公知の技術が採用される。例えば、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。容器本体2を作製するには、前記のような高いガスバリア性を備えた矩形の紙片を筒状に丸め、左右両サイドを重合させ、この重合部を糊代として適宜に接合される。接合手段は、接着剤を使用したり、熱融着させたり、適宜公知の手段が採用される。そして、上端は、図1、2に示すように、外方に向かって環状に巻込んでカール部6が一体に形成されている。
【0018】
この容器本体2の開口部2A内には、図1〜3に示すように、パーツの一例であるホッパ3(以下単にホッパと言う)が嵌め込まれている。具体的には、このホッパ3は前記容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mmに設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂素材で形成されている。このホッパ3は周囲にリングとしての立ち上がり壁3A(以下単にリングという)を備える。このリング3Aは、その上端に外側に張り出すフランジ3Bを一体に備えていて、その下面が容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部6の上端面6A上に載置されて、適宜に接合されてこの開口部2A内に嵌め込まれている。また、このリング3Aの下端縁から一体に、上方かつ中央に向かって順次傾斜した壁からなる漏斗3Cが備わっている。そしてこの漏斗3Cのテーパ角は、少なくとも20°、更に好ましくは40〜45°に設定される。また、ホッパ3の漏斗3Cの上端、つまり開口3C1は前記フランジ3Bの上端面とほぼ同じ高さ位置、即ちほぼ同一平面上に配置されるように設計されている。尚、接合の手段は熱融着、高周波溶着、接着剤使用など、適宜最も好ましい手段が採用される。
尚、図中6Bはカール部6に生じる段差であるが、前記シート状の蓋材4の最内層に形成されているシーラント層7(後述)によって上手く封止される。
【0019】
前記ホッパ3の上端にはバリア性を有する前記蓋材4がシールされている。
このバリア性を有する蓋材4は、図4に示すように、最内層7はポリエチレンのシーラント層、このシーラント層7の外側にポリエチレンテレフタレート層8、その外側に接着剤層9を介して金属箔層10が貼着された高いガスバリア性を備えた複合シートが採用され、更に前記最内層のシーラント層7にはその中央から放射状に複数本の強度弱点部11が設けられていて、この強度弱点部11によって前記シーラント層7を含み金属箔層10も容易に破れて、開封し易くしてある。
【0020】
また、蓋材4の全体形状は、図1、2、5示すように、前記容器本体2の開口部2Aとほぼ同径、具体的には約90mmφの円形を呈し、その周縁部4Aが前記パーツ3のフランジ3Bの上面に適宜に貼着される。一般的には熱融着手段が採用される。但し、この場合、前記漏斗3Cの上端縁、つまり開口3C1の上縁に対しては、単に接触するのみとしてある。この漏斗3Cの開口部3C1の開放を迅速で、且つ、容易にするためである。
【0021】
更に、このバリア性を有する蓋材4には、図1、4、5に示すように、中央から放射状に複数本の前記強度弱点部11としてのミシン目又はカット線(図例ではミシン目)が最内層のシーラント層7並びに前記ポリエチレンテレフタレート層8に達するようにして設けられている。この強度弱点部11であるミシン目又はカット線によって前記最内層のシーラント層7を含み金属箔層10も容易に破れて、開封し易くしてある。ミシン目又はカット線は、図2に示すように、中央で互いに交差する3本の直線状で、ミシン目の長さは9mm、つなぎは1mmに設定されている。尚、3本という本数は、本発明の所期の目的を達成するための最低限の本数である。また、蓋材4の大きさにもよるが、望ましい上限は10本である。10本以上であると逆にこの蓋材4の強度を弱めるおそれが生じ、好ましくない。理想的には3〜8本(8本の例を図13に示す)である。
【0022】
オーバーキャップ5は、前記保容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mm程度に設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂が採用され、図1〜3に示すように、前記容器本体2の開口部2Aに外嵌合し、前記蓋材4を保護し、併せて内部を衛生的に保つように働く。特に周縁の垂下壁5Aの下端部にはアンダーカット5Bを備えている。このアンダーカット5Bは容器本体2のカール部6に下面に弾性的に係合されて嵌着状態を維持する。
【0023】
この発明による前記詰め替え用容器1の器内部に粉状のインスタントコーヒーPを収容する作業は、一般に、ホッパ3の開口3C1を介して行われる。
【0024】
次に、このように構成された詰め替え用容器1の使用の仕方について説明する。
先ず、オーバーキャップ5を取り外し、次いで図6並びに図7に示すように、容器本体2を逆さにし、ホッパ3の漏斗3Cを補充用の容器の一例であるジャー15の円筒状の口部15Aに内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体2内のインスタントコーヒーPはホッパ3から漏斗3C内にも流下してきているが、蓋材4によって保持されている。次いで、図8並びに図9に示すように、容器本体2に、その漏斗3Cをジャー15の口部15Aへ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャー15の口部15A、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋材4を押し破るための力として働く。すなわち、このジャー15の口部15Aが蓋材4を押し上げて、これをホッパ3のリング3Aと漏斗3Cとの間の断面三角形上の空間S内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋材4は、強度弱点部11であるミシン目が放射状に設けられているために、たちまちの内に極めて容易にこのミシン目に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗3Cはジャー15の口部15A内に入り込む。その結果、前記ホッパ3の漏斗3Cの開口3C1が開放され、容器本体2内のインスタントコーヒーPが、ホッパ3の漏斗3Cによって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー15内へ案内流下される。ジャー15へ補充を終えたこの詰め替え用容器1は廃棄される。図中2Bは容器本体2の底部である。
【0025】
容器本体2内のインスタントコーヒーPは開封されるまでは、この蓋材4によって完全に密閉され、大気と接触することがないので、この詰め替え用容器1内の気密を高度に保つ。また、ジャー15の口部15Aに内嵌合された漏斗3CはインスタントコーヒーPをジャー15の外部へ零れ落とすことも無く、また、外気に必要以上触れさせるおそれもなく、したがって香りや風味が損なわれるおそれも可及的に少なくできるようになった。
【0026】
そして、重要な点は、詰め替えが行われるまでは、前記漏斗3の開口3C1の口縁は蓋材4が密着している。更にその上のオーバーキャップ5の押圧力によって、一層しっかりと密着している。その結果、この漏斗3の開口3C1と蓋材4との間に無用な隙間が生じ難く、仮に生じても僅かであり、容器本体2内のインスタントコーヒーPが漏斗3の外方へ回り込むおそれを上手く防止できる。その結果、詰め替えの際に、この回り込んだインスタントコーヒーPによってジャー15の口部15Aや周辺を不用意に汚してしまうおそれも少なくなり、衛生的に用いることができる。併せて、ホッパ3はフランジ3Bによって容器本体2に対して常に一定の位置に取り付けられるので、安定した取り付け状態を確保でき、的確な充填作業を可能にすると共に、インスタントコーヒーPの前記の回り込みを一層的確に防止できる。
【0027】
また、容器本体2の開口部2Aのカール部6は開口部2Aの強度を高めて変形を少なくできるので、ホッパ3の設置位置が所期通り正しく保たれてホッパ3をしっかりと保持し、漏斗3Cの開口3C1と蓋材4の隙間を一層生じ難くできる。
【0028】
出来上がった蓋材4の性能試験を行った結果、中央部分が上手く押し破られた。因みに押し破り強度は100N以下であった。尚、紙カップを用いた開口部2Aの段差6B(図1参照)における浸透液のチェック試験では、漏れの発生が全く見られなかった。更に、高温保存時にも蓋材4が紙カップの開口部2Aから剥離する例は見られなかった。また、蓋材4全体のバリア性はアルミ蓋材と遜色なく好ましい結果を得た。ホットメルト蓋材と比較して臭気の発生は全くなかった。
【0029】
以上に説明した実施形態にあって、以下に説明するような、部分的に異なる構成にした構造も採用できる。
【0030】
具体的には、図10、11に示すように、開口部2Aにカール部6を備えない容器本体2に適用するケースである。
この構成では、前記ホッパ3のフランジ3Bの張り出し寸法は、カール部6を備えた容器本体2に適用する場合と同じにしておく。オーバーキャップ5の垂下壁5Aの垂下寸法をカール部6の上下寸法分短くすることで、アンダーカット5Bがフランジ3Bの下面に弾性的に係合されるようにしてある。
その他の構成は、前記実施の形態と同様である。
【0031】
また、別の構成として、図12に示すように、前記ホッパー3の開口3C1の開口縁から上方に一体に筒状、望ましくは上端まで同じ径の円筒形のガイド3Dを設けることもできる。この筒状のガイド3Dの上端と前記フランジ3Bの高さレベルは同じに形成されることは言うまでもない。
【0032】
このガイド3Dは、ジャー15の口部15Aに的確に挿入されるのに役立つ。テーパーのみを備えたホッパ3ではこのジャー15の口部15Aへの開口3C1の当り位置がややもすればずれ易く、インスタントコーヒーPをジャー15の外へ不用意に零してしまう傾向があるが、筒状のガイド3Dであれば、このガイド3Dを口部15Aからジャー15の内側にまで入り込ませることができるので、インスタントコーヒーPをジャー15の外へ不用意に零してしまうおそれがなくなる。
【0033】
また、以上の実施形態では内容物としてインスタンの粉コーヒーを対象としているが、その他にも食品、非食品の他の分流体に適用できる。例えば、水溶性のミルク(粉ミルク)、ココア、茶、又はこれらの組み合わせの粉など。更には乾燥マッシュポテトや他の乾燥食品、ソースまたはグレービー粉、スープ粉などの他に複写機のトナーなどである。
【0034】
また、ジャー15に替わるものとして、コーヒー作成装置のコーヒー粉タンク、更には複写機のトナー補充容器などにも適用できる。
【0035】
(実施例)
まず、ラミネート加工法によって、容器本体用として、〔容器外側〕紙層(坪量300g/m2 )/接着剤層/アルミニウム箔層(7.0μm)/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。また、ボトム部材として、〔容器外側〕低密度ポリエチレン層(20μm)/紙層(坪量230g/m2 )/低密度ポリエチレン層(20μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。これらの積層材料を用い、PMC社製カップ成形機で、胴部上端の外周にカール部をもつカップ状容器本体を作製した。次に、高密度ポリエチレン(三井化学 2100K)を用いて射出成形により、リング3A、フランジ3B、そして漏斗3Cを備えたホッパ3を作製した。リング3A、フランジ3B並びに漏斗3Cは共にほぼ0.8mm厚となるよう成形した。更に、〔上側〕金属箔層10としてのアルミニウム箔層(15μm)/接着剤層9/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)8/シーラント層7としての低密度ポリエチレン層(40μm)〔下側〕からなる積層材料を作製し、この積層材料を用いて蓋材を作製した。
【0036】
次に、上述のカップ状容器本体をアンビルに挿着して、胴部上端のカール部を下側から支えると共に胴部を固定し、胴部上端内側の開口部に、ホッパーをリングの上端がカール部上端から上方へ突出しないようにして挿入して挿着し、溶着機を用い、開口部の内面にリングの外面を接合した。
【0037】
次いで、前記パーツの漏斗の開口を介してインスタントコーヒーを容器本体に充填した。最後に、前記カール部の上面に、ヒートシール法で前述の蓋材を熱融着して容器上端側を密封し、更にこの蓋材の上からオーバーキッャプを嵌着することでパーツ付紙容器を作製した。
【0038】
また、カール部を備えない容器本体を上記の手法、手段で作製した。
【0039】
更に、ホッパーとして筒状のガイドを一体に備えたものを上記の手法、手段で作製した。
【0040】
得られた製品は何れも、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、インスタントコーヒーPを外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が保たれていることが判明した。
特に、漏斗3Cの開口3C1が蓋材4とオーバーキャップ5でしっかりと押圧されていて、インスタントコーヒーPがこの漏斗3Cの外部へ回り込んだ形跡は見られなかった。併せて、複数個の試験体の何れも、ホッパ3は所期どおり容器本体2に対して常に一定の位置にあり、安定した取り付け状態が確保されていた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のパーツ付紙容器の一実施形態を示し、容器の一部を取り出して拡大表示した拡大図を含む全体分解斜視図である。
【図2】図1の容器が閉まっているときのこの容器の一端の断面図である。
【図3】図2に示される断面図の要部の拡大図である。
【図4】図5中A−A線に沿った断面図である。
【図5】図1の蓋材の底面図である。
【図6】図1のバリア性を有する蓋材の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する前の蓋材と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図7】図6に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図8】図1のバリア性を有する蓋材の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する途中の蓋材と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図9】図8に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図10】カール部を備えない容器本体に適用した別の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図11】図10に示される断面図の要部の拡大図である。
【図12】筒状のガイドを供えたホッパを用いた別の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図13】強度弱点部を8本にした場合の図2に対応する蓋の底面である。
【符号の説明】
【0042】
1…詰め替え用容器
2…容器本体
2A…開口部
3…ホッパ
3A…リング
3B…フランジ
3C…漏斗
3C1…開口
3D…ガイド
4…蓋材
5…オーバーキャップ
5B…アンダーカット
6…カール部
6A…上端面
7…シーラント層
8…接着剤層
9…接着層
10…金属箔層
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などの詰め替えに用いられるもので、紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えていて、容器本体の開口部に前記パーツが接合されてなるパーツ付紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のパーツ付紙容器では、前記パーツはリングとその外方に張り出したフランジと、更に、例えばインスタントコーヒー等の内容物の移し替えの便に供する漏斗部とを備え、合成樹脂素材、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)や容器本体と同じ紙などによって一体成形されている。
【0003】
ところで、従来このような詰め替え用の容器としては、合成樹脂製フィルムからなる包装袋が多く使用されている。例えば上方に再封用のジッパー部を設けた自立性を有するガゼット袋である。
【0004】
一方、容器本体の開口部の内側にリングを備えた従来の構造としては、主として容器の強度を高めることを意図したものが存在している。具体的には、容器本体の胴部上端を外方へ張り出して形成したフランジ又はカール部の上面に前記リングのフランジを乗せつけ、容器本体のフランジ上面とリングのフランジ下面とを接合するようにしてある。また、このリングのフランジの上面にバリア性を備えるシート状の蓋材を貼着したり、キャップを被せて容器本体の開口部を密封したりしている。
【特許文献1】特開2007―290373号公報
【特許文献2】特公昭63―24464号公報
【特許文献3】特開平08−58764号公報
【特許文献4】特開2002−264918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の構造は、インスタントコーヒーなどの内容物を詰め替える際、ガゼット袋や容器をあらかじめ開封しておく必要があると共に、詰め替えの際に内容物がこぼれ易いことから、詰め替え作業が非常に面倒であるという問題が生じていた。更には、詰め替える際、インスタントコーヒーなどの内容物が外気に触れてしまうために、内容物の持つ香りや風味が損なわれてしまったり、大気中の水分を吸収したりする問題も生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたもので、種々検討の結果、詰め替え作業を容易かつ確実に行えると共に香りや風味が損なわれるおそれを少なくできることは言うまでもなく、特に前記漏斗の開口部から外部分への内容物の回り込みを可及的に少なくできるようにしたパーツ付紙容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1記載のパーツ付紙容器は、紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えたパーツ付紙容器であって、パーツは容器本体の開口部とほぼ同径の筒状のリングを備えると共に、このリングの上端には外側に張り出すフランジが設けられ、また、リングには開口部に向かってテーパーのある漏斗が備わり、この漏斗の開口部と前記フランジとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツはまた前記フランジが容器本体の開口部の上面に接合されると共に、前記フランジの上面にはバリア性を備えるシート状の蓋材が貼着され、この蓋材の上方にアンダーカット部を周縁部に備えたオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、前記オーバーキャップ並びに蓋材を取り除いた後、前記パーツの漏斗で内容物を中央部に集めながら、このパーツによって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とする。
【0008】
このように構成されたパーツ付紙容器では、オーバーキャップを取り外し、次いで図5並びに図6に示すように、容器本体を逆さにし、ホッパの漏斗を補充用の容器の一例であるジャーの口部に内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体内のインスタントコーヒー等の粉体はホッパから漏斗内にも流下してきているが、蓋材によって保持されている。次いで、図7並びに図8に示すように、容器本体に、その漏斗をジャーの口部へ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャーの口部、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋材を押し破るための力として働く。すなわち、このジャーの口部が蓋材を押し上げて、これをホッパのリングと漏斗との間の断面三角形上の空間内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋材は、例えばこの蓋材に予め設けられた強度弱点部である放射状のミシン目やカット線に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗はジャーの口部内に入り込む。その結果、前記ホッパの漏斗の開口が開放され、容器本体内のインスタントコーヒー等の粉体が、ホッパの漏斗によって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー内へ案内流下される。
【0009】
以上の構成において、リングのフランジと漏斗の開口とはほぼ同じ高さレベルに位置するので、その上に存在する蓋材によって漏斗の開口は押圧されて封止され、この蓋材を更にオーバーキャップによって押圧するようにすることによって、蓋材と漏斗の開口との密着性が高まり、蓋材と漏斗の開口との間に無用な隙間が生じるのを上手く予防できる。また、パーツはそのフランジが容器本体の開口部上に載置されて接合されるから、常に容器本体に対する取り付け位置が一定になる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
本発明のパーツ付紙容器は、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、容器本体を詰め替え容器の口部に押し付けて押圧することによって蓋材を押し破るようにしてあるので、簡単に容器本体と詰め替え容器とを直に連通させるものであるから、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、内容物を外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味も損なわれることも少ない。
【0011】
特に本発明においては、漏斗の開口が蓋材とオーバーキャップでしっかりと押圧されて蓋材との間に無用な隙間が生じにくいので、内容物である粉体がこの漏斗の開口と蓋材との間から漏斗の外へ回り込むおそれを可及的に少なくできる。従って、詰め替えの際に、この回り込んだ粉体によって詰め替え容器の口部や周辺を不用意に汚してしまうおそれも少なくなり、衛生的に用いることができる。併せて、パーツはフランジによって容器本体に対して常に一定の位置に取り付けられるので、安定した取り付け状態を確保でき、的確な充填作業を可能にすると共に、粉体の前記の回り込みを一層的確に予防できる。
【0012】
以上の構成において、本発明は請求項2に記載のように、漏斗にはその開口部の端縁から一体に筒状の案内ダクトが備わっているのが望ましい。
漏斗は傾斜壁が詰め替え容器の口部に当接して、その当接姿勢が安定しにくい傾向があるのに比べて、漏斗に連なる筒状の案内ガイドは詰め替え容器の口部内に確実に挿入できる。そのため、詰め替え容器の口部に対する粉体の案内並びに充填中の粉体の容器外への飛散、更には大気や湿気との接触を少なくでき、併せて芳香を失わせるおそれを少なくできるからである。特に、空気や水分の影響を受けやすい粉体に使用するのには一層有効である。
【0013】
又、請求項3に記載のように、容器本体の開口部の上端には外側に張り出すフランジ又はカール部が備わっているのが望ましい。
容器本体の開口部の強度を高めて変形を少なくできるので、パーツの設置位置が所期通り正しく保たれてパーツをしっかりと保持し、漏斗の開口と蓋材の隙間を一層生じ難くするからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明のパーツ付紙容器を、インスタントコーヒーの詰め替え用容器1に適用した場合の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
【0015】
尚、本発明は、基本的には、漏斗を備えたパーツが開口部に接合されて、内容物の詰め替えを効率的に行うことができる態様のもの全般に適用できる。したがって、以下の実施例に記載の例に限定されるものでないことは改めて言うまでもない。
【0016】
先ず、詰め替え用容器1は、図1、2に示すように、容器本体2、ホッパ3、バリア性を有するシート状の蓋材4、オーバーキャップ5からなる。
【0017】
容器本体2は有底の円筒形で、基材には矩形の紙片が用いられる。この紙製の円筒はその外側から順に、紙層、アルミニウム箔層、ポリエチレンテレフタレート層、更に低密度ポリエチレン層が積層されて、高いガスバリア性(酸素、水蒸気、内容物由来揮発成分)を備えた複合材が採用される。積層手段は公知の技術が採用される。例えば、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。容器本体2を作製するには、前記のような高いガスバリア性を備えた矩形の紙片を筒状に丸め、左右両サイドを重合させ、この重合部を糊代として適宜に接合される。接合手段は、接着剤を使用したり、熱融着させたり、適宜公知の手段が採用される。そして、上端は、図1、2に示すように、外方に向かって環状に巻込んでカール部6が一体に形成されている。
【0018】
この容器本体2の開口部2A内には、図1〜3に示すように、パーツの一例であるホッパ3(以下単にホッパと言う)が嵌め込まれている。具体的には、このホッパ3は前記容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mmに設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂素材で形成されている。このホッパ3は周囲にリングとしての立ち上がり壁3A(以下単にリングという)を備える。このリング3Aは、その上端に外側に張り出すフランジ3Bを一体に備えていて、その下面が容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部6の上端面6A上に載置されて、適宜に接合されてこの開口部2A内に嵌め込まれている。また、このリング3Aの下端縁から一体に、上方かつ中央に向かって順次傾斜した壁からなる漏斗3Cが備わっている。そしてこの漏斗3Cのテーパ角は、少なくとも20°、更に好ましくは40〜45°に設定される。また、ホッパ3の漏斗3Cの上端、つまり開口3C1は前記フランジ3Bの上端面とほぼ同じ高さ位置、即ちほぼ同一平面上に配置されるように設計されている。尚、接合の手段は熱融着、高周波溶着、接着剤使用など、適宜最も好ましい手段が採用される。
尚、図中6Bはカール部6に生じる段差であるが、前記シート状の蓋材4の最内層に形成されているシーラント層7(後述)によって上手く封止される。
【0019】
前記ホッパ3の上端にはバリア性を有する前記蓋材4がシールされている。
このバリア性を有する蓋材4は、図4に示すように、最内層7はポリエチレンのシーラント層、このシーラント層7の外側にポリエチレンテレフタレート層8、その外側に接着剤層9を介して金属箔層10が貼着された高いガスバリア性を備えた複合シートが採用され、更に前記最内層のシーラント層7にはその中央から放射状に複数本の強度弱点部11が設けられていて、この強度弱点部11によって前記シーラント層7を含み金属箔層10も容易に破れて、開封し易くしてある。
【0020】
また、蓋材4の全体形状は、図1、2、5示すように、前記容器本体2の開口部2Aとほぼ同径、具体的には約90mmφの円形を呈し、その周縁部4Aが前記パーツ3のフランジ3Bの上面に適宜に貼着される。一般的には熱融着手段が採用される。但し、この場合、前記漏斗3Cの上端縁、つまり開口3C1の上縁に対しては、単に接触するのみとしてある。この漏斗3Cの開口部3C1の開放を迅速で、且つ、容易にするためである。
【0021】
更に、このバリア性を有する蓋材4には、図1、4、5に示すように、中央から放射状に複数本の前記強度弱点部11としてのミシン目又はカット線(図例ではミシン目)が最内層のシーラント層7並びに前記ポリエチレンテレフタレート層8に達するようにして設けられている。この強度弱点部11であるミシン目又はカット線によって前記最内層のシーラント層7を含み金属箔層10も容易に破れて、開封し易くしてある。ミシン目又はカット線は、図2に示すように、中央で互いに交差する3本の直線状で、ミシン目の長さは9mm、つなぎは1mmに設定されている。尚、3本という本数は、本発明の所期の目的を達成するための最低限の本数である。また、蓋材4の大きさにもよるが、望ましい上限は10本である。10本以上であると逆にこの蓋材4の強度を弱めるおそれが生じ、好ましくない。理想的には3〜8本(8本の例を図13に示す)である。
【0022】
オーバーキャップ5は、前記保容器本体2と同一の素材或いは厚みを0.8mm程度に設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂が採用され、図1〜3に示すように、前記容器本体2の開口部2Aに外嵌合し、前記蓋材4を保護し、併せて内部を衛生的に保つように働く。特に周縁の垂下壁5Aの下端部にはアンダーカット5Bを備えている。このアンダーカット5Bは容器本体2のカール部6に下面に弾性的に係合されて嵌着状態を維持する。
【0023】
この発明による前記詰め替え用容器1の器内部に粉状のインスタントコーヒーPを収容する作業は、一般に、ホッパ3の開口3C1を介して行われる。
【0024】
次に、このように構成された詰め替え用容器1の使用の仕方について説明する。
先ず、オーバーキャップ5を取り外し、次いで図6並びに図7に示すように、容器本体2を逆さにし、ホッパ3の漏斗3Cを補充用の容器の一例であるジャー15の円筒状の口部15Aに内嵌合出来る位置に宛がう。容器本体2内のインスタントコーヒーPはホッパ3から漏斗3C内にも流下してきているが、蓋材4によって保持されている。次いで、図8並びに図9に示すように、容器本体2に、その漏斗3Cをジャー15の口部15Aへ向かって押し込むように押圧力を負荷する。この押圧力は、ジャー15の口部15A、一般的には本体から円筒状に立ち上がる筒上部分が蓋材4を押し破るための力として働く。すなわち、このジャー15の口部15Aが蓋材4を押し上げて、これをホッパ3のリング3Aと漏斗3Cとの間の断面三角形上の空間S内に押し込む力として機能する。この押圧力が付加された蓋材4は、強度弱点部11であるミシン目が放射状に設けられているために、たちまちの内に極めて容易にこのミシン目に沿って複数の分割片に破断分割される。同時にこの漏斗3Cはジャー15の口部15A内に入り込む。その結果、前記ホッパ3の漏斗3Cの開口3C1が開放され、容器本体2内のインスタントコーヒーPが、ホッパ3の漏斗3Cによって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー15内へ案内流下される。ジャー15へ補充を終えたこの詰め替え用容器1は廃棄される。図中2Bは容器本体2の底部である。
【0025】
容器本体2内のインスタントコーヒーPは開封されるまでは、この蓋材4によって完全に密閉され、大気と接触することがないので、この詰め替え用容器1内の気密を高度に保つ。また、ジャー15の口部15Aに内嵌合された漏斗3CはインスタントコーヒーPをジャー15の外部へ零れ落とすことも無く、また、外気に必要以上触れさせるおそれもなく、したがって香りや風味が損なわれるおそれも可及的に少なくできるようになった。
【0026】
そして、重要な点は、詰め替えが行われるまでは、前記漏斗3の開口3C1の口縁は蓋材4が密着している。更にその上のオーバーキャップ5の押圧力によって、一層しっかりと密着している。その結果、この漏斗3の開口3C1と蓋材4との間に無用な隙間が生じ難く、仮に生じても僅かであり、容器本体2内のインスタントコーヒーPが漏斗3の外方へ回り込むおそれを上手く防止できる。その結果、詰め替えの際に、この回り込んだインスタントコーヒーPによってジャー15の口部15Aや周辺を不用意に汚してしまうおそれも少なくなり、衛生的に用いることができる。併せて、ホッパ3はフランジ3Bによって容器本体2に対して常に一定の位置に取り付けられるので、安定した取り付け状態を確保でき、的確な充填作業を可能にすると共に、インスタントコーヒーPの前記の回り込みを一層的確に防止できる。
【0027】
また、容器本体2の開口部2Aのカール部6は開口部2Aの強度を高めて変形を少なくできるので、ホッパ3の設置位置が所期通り正しく保たれてホッパ3をしっかりと保持し、漏斗3Cの開口3C1と蓋材4の隙間を一層生じ難くできる。
【0028】
出来上がった蓋材4の性能試験を行った結果、中央部分が上手く押し破られた。因みに押し破り強度は100N以下であった。尚、紙カップを用いた開口部2Aの段差6B(図1参照)における浸透液のチェック試験では、漏れの発生が全く見られなかった。更に、高温保存時にも蓋材4が紙カップの開口部2Aから剥離する例は見られなかった。また、蓋材4全体のバリア性はアルミ蓋材と遜色なく好ましい結果を得た。ホットメルト蓋材と比較して臭気の発生は全くなかった。
【0029】
以上に説明した実施形態にあって、以下に説明するような、部分的に異なる構成にした構造も採用できる。
【0030】
具体的には、図10、11に示すように、開口部2Aにカール部6を備えない容器本体2に適用するケースである。
この構成では、前記ホッパ3のフランジ3Bの張り出し寸法は、カール部6を備えた容器本体2に適用する場合と同じにしておく。オーバーキャップ5の垂下壁5Aの垂下寸法をカール部6の上下寸法分短くすることで、アンダーカット5Bがフランジ3Bの下面に弾性的に係合されるようにしてある。
その他の構成は、前記実施の形態と同様である。
【0031】
また、別の構成として、図12に示すように、前記ホッパー3の開口3C1の開口縁から上方に一体に筒状、望ましくは上端まで同じ径の円筒形のガイド3Dを設けることもできる。この筒状のガイド3Dの上端と前記フランジ3Bの高さレベルは同じに形成されることは言うまでもない。
【0032】
このガイド3Dは、ジャー15の口部15Aに的確に挿入されるのに役立つ。テーパーのみを備えたホッパ3ではこのジャー15の口部15Aへの開口3C1の当り位置がややもすればずれ易く、インスタントコーヒーPをジャー15の外へ不用意に零してしまう傾向があるが、筒状のガイド3Dであれば、このガイド3Dを口部15Aからジャー15の内側にまで入り込ませることができるので、インスタントコーヒーPをジャー15の外へ不用意に零してしまうおそれがなくなる。
【0033】
また、以上の実施形態では内容物としてインスタンの粉コーヒーを対象としているが、その他にも食品、非食品の他の分流体に適用できる。例えば、水溶性のミルク(粉ミルク)、ココア、茶、又はこれらの組み合わせの粉など。更には乾燥マッシュポテトや他の乾燥食品、ソースまたはグレービー粉、スープ粉などの他に複写機のトナーなどである。
【0034】
また、ジャー15に替わるものとして、コーヒー作成装置のコーヒー粉タンク、更には複写機のトナー補充容器などにも適用できる。
【0035】
(実施例)
まず、ラミネート加工法によって、容器本体用として、〔容器外側〕紙層(坪量300g/m2 )/接着剤層/アルミニウム箔層(7.0μm)/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。また、ボトム部材として、〔容器外側〕低密度ポリエチレン層(20μm)/紙層(坪量230g/m2 )/低密度ポリエチレン層(20μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。これらの積層材料を用い、PMC社製カップ成形機で、胴部上端の外周にカール部をもつカップ状容器本体を作製した。次に、高密度ポリエチレン(三井化学 2100K)を用いて射出成形により、リング3A、フランジ3B、そして漏斗3Cを備えたホッパ3を作製した。リング3A、フランジ3B並びに漏斗3Cは共にほぼ0.8mm厚となるよう成形した。更に、〔上側〕金属箔層10としてのアルミニウム箔層(15μm)/接着剤層9/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)8/シーラント層7としての低密度ポリエチレン層(40μm)〔下側〕からなる積層材料を作製し、この積層材料を用いて蓋材を作製した。
【0036】
次に、上述のカップ状容器本体をアンビルに挿着して、胴部上端のカール部を下側から支えると共に胴部を固定し、胴部上端内側の開口部に、ホッパーをリングの上端がカール部上端から上方へ突出しないようにして挿入して挿着し、溶着機を用い、開口部の内面にリングの外面を接合した。
【0037】
次いで、前記パーツの漏斗の開口を介してインスタントコーヒーを容器本体に充填した。最後に、前記カール部の上面に、ヒートシール法で前述の蓋材を熱融着して容器上端側を密封し、更にこの蓋材の上からオーバーキッャプを嵌着することでパーツ付紙容器を作製した。
【0038】
また、カール部を備えない容器本体を上記の手法、手段で作製した。
【0039】
更に、ホッパーとして筒状のガイドを一体に備えたものを上記の手法、手段で作製した。
【0040】
得られた製品は何れも、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、インスタントコーヒーPを外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が保たれていることが判明した。
特に、漏斗3Cの開口3C1が蓋材4とオーバーキャップ5でしっかりと押圧されていて、インスタントコーヒーPがこの漏斗3Cの外部へ回り込んだ形跡は見られなかった。併せて、複数個の試験体の何れも、ホッパ3は所期どおり容器本体2に対して常に一定の位置にあり、安定した取り付け状態が確保されていた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のパーツ付紙容器の一実施形態を示し、容器の一部を取り出して拡大表示した拡大図を含む全体分解斜視図である。
【図2】図1の容器が閉まっているときのこの容器の一端の断面図である。
【図3】図2に示される断面図の要部の拡大図である。
【図4】図5中A−A線に沿った断面図である。
【図5】図1の蓋材の底面図である。
【図6】図1のバリア性を有する蓋材の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する前の蓋材と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図7】図6に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図8】図1のバリア性を有する蓋材の作用の説明図で、ジャーへ内容物を補充する途中の蓋材と容器とジャーの関係を示す斜視図である。
【図9】図8に示される作用の説明図で、要部の断面図である。
【図10】カール部を備えない容器本体に適用した別の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図11】図10に示される断面図の要部の拡大図である。
【図12】筒状のガイドを供えたホッパを用いた別の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図13】強度弱点部を8本にした場合の図2に対応する蓋の底面である。
【符号の説明】
【0042】
1…詰め替え用容器
2…容器本体
2A…開口部
3…ホッパ
3A…リング
3B…フランジ
3C…漏斗
3C1…開口
3D…ガイド
4…蓋材
5…オーバーキャップ
5B…アンダーカット
6…カール部
6A…上端面
7…シーラント層
8…接着剤層
9…接着層
10…金属箔層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えたパーツ付紙容器であって、パーツは容器本体の開口部とほぼ同径の筒状のリングを備えると共に、このリングの上端には外側に張り出すフランジが設けられ、また、リングには開口部に向かってテーパーのある漏斗が備わり、この漏斗の開口部と前記フランジとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツはまた前記フランジが容器本体の開口部の上面に接合されると共に、前記フランジの上面にはバリア性を備えるシート状の蓋材が貼着され、この蓋材の上方にアンダーカット部を周縁部に備えたオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、前記オーバーキャップ並びに蓋材を取り除いた後、前記パーツの漏斗で内容物を中央部に集めながら、このパーツによって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とするパーツ付紙容器。
【請求項2】
漏斗にはその開口部の端縁から一体に筒状の案内ダクトが備わっている請求項1記載のパーツ付紙容器。
【請求項3】
容器本体の開口部の上端には外側に張り出すフランジ又はカール部が備わっている請求項1又は2の何れかに記載のパーツ付紙容器。
【請求項1】
紙を主体としたカップ状の容器本体、リング付のパーツ、シール状の蓋材、更にはオーバーキャップを備えたパーツ付紙容器であって、パーツは容器本体の開口部とほぼ同径の筒状のリングを備えると共に、このリングの上端には外側に張り出すフランジが設けられ、また、リングには開口部に向かってテーパーのある漏斗が備わり、この漏斗の開口部と前記フランジとがほぼ同等の高さレベル位置にあるように設定されてなり、このパーツはまた前記フランジが容器本体の開口部の上面に接合されると共に、前記フランジの上面にはバリア性を備えるシート状の蓋材が貼着され、この蓋材の上方にアンダーカット部を周縁部に備えたオーバーキッャプが嵌着されて容器本体の開口部が密封されてなり、前記オーバーキャップ並びに蓋材を取り除いた後、前記パーツの漏斗で内容物を中央部に集めながら、このパーツによって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とするパーツ付紙容器。
【請求項2】
漏斗にはその開口部の端縁から一体に筒状の案内ダクトが備わっている請求項1記載のパーツ付紙容器。
【請求項3】
容器本体の開口部の上端には外側に張り出すフランジ又はカール部が備わっている請求項1又は2の何れかに記載のパーツ付紙容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−262957(P2009−262957A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114578(P2008−114578)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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