説明

パーティション

【課題】ストレス解消や癒し等の要求に応えることのできるパーティションを提供する。
【解決手段】起立状態で配置されるパーティション本体2と、このパーティション本体2に支持されて上下に間隔をあけて配置され各々が水の流路を有する複数の棚3と、水を貯めておくタンク5と、このタンク5内の水を最上段の棚3上に揚水する揚水装置とを具備してなり、各棚3が、前記流路内の水に触れ得るようにして植栽ポットPを設置するためのポット載置部32と、前記流路内の水を下の棚3又はタンク5に流下させるための水流下部33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや店舗等で好適に使用されるパーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパーティションとして、自立可能な枠状をなすパーティション本体と、このパーティション本体の枠内に嵌め込まれたパネルとを具備してなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなパーティションは、主に空間を間仕切る際に使用されるもので、空間の雰囲気を多様に演出するために、前記パネルを布張りのものにしたり透光材料製のものにしたりするなど、種々の製品が開発されている。
【0004】
しかしながら、近時のオフィスにおいては、ワーカーに対するストレス解消や癒し等がより強く求められる傾向があり、パーティションに対しても更なる工夫が望まれている。
【0005】
このような事情は、オフィスに限らず各種の店舗や家庭その他で使用されるパーティションについても同様であり、植木鉢を複数設置可能な箱型の基台上方に網目からネットを張り、つる状に繁殖する植物によってネット全面を覆うパーティションが提案されている(例えば、特許文献2を参照)が、植物の種類が限定的になるとともにその育成やレイアウト変更が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−7421号公報
【特許文献2】実用新案登録第3152711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、上述した要求に応えることのできるパーティションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るパーティションは、起立状態で配置されるパーティション本体と、このパーティション本体に支持されて上下に間隔をあけて配置され各々が水の流路を有する複数の棚と、水を貯めておくタンクと、このタンク内の水を最上段の棚上に揚水する揚水装置とを具備してなり、前記各棚が、前記流路内の水に触れ得るようにして植栽ポットを設置するためのポット載置部と、前記流路内の水を下の棚又はタンクに流下させるための水流下部とを備えたものであることを特徴とする。
【0009】
ここで、「水」とは、植栽ポットに植えられる植物の培養に必要な液体を意味するものであり、純粋な水には限られない。
【0010】
このようなものであれば、オフィス等にこのパーティションを配置することによって、ストレス解消や癒し等の要求に応えることが可能となる。
【0011】
好適な一態様としては、前記パーティション本体が、左右対をなす側フレームを備えたものであり、前記各棚が、それら側フレーム間に架設されたものであるものが挙げられる。
【0012】
前記各棚が、上方に開放された流路を形成する樋状のものである場合には、その水流下部が、前記流路の底に該流路内の水を雨状に滴下させるための孔を穿設したものであることが好ましい。
【0013】
前記各孔は、前記流路に臨む上端に座繰り部を有したものであることが好ましい。
【0014】
前記タンクが最下段の棚の下に配されるとともに前記棚及びタンクは、前記パーティション本体の厚み内に収まる寸法のものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のような構成であるから、ストレス解消や癒し等の要求に応えることのできるパーティションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すパーティションの背面側から見た概略図。
【図2】同実施形態のパーティションを示す正面側から見た斜視図。
【図3】同実施形態のパーティションを示す正面図。
【図4】同実施形態のパーティションを示す平面図。
【図5】同実施形態のパーティションを示す底面図。
【図6】同実施形態のパーティションを示す側面図。
【図7】同実施形態のパーティションの一部を省略して示す分解斜視図。
【図8】同実施形態のパーティションの一部を拡大して示す拡大斜視図。
【図9】同実施形態のパーティションを示す中央正断面図。
【図10】図9の一部を拡大して示す中央正断面図。
【図11】同実施形態のパーティションを示す中央平断面図。
【図12】図3のX−X線に沿った側断面図。
【図13】同実施形態のパーティションに用いられる植栽ポットを分解して示す説明図。
【図14】同実施形態のパーティションの一使用方法を説明する概略図。
【図15】本発明の他の実施形態を示すパーティションの図1に対応する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図14を参照して説明する。
【0018】
このパーティション1は、図1ないし図12に示すように、例えばオフィスや店舗等で空間を仕切るために使用されるものであり、起立状態で配置されるパーティション本体2と、このパーティション本体2に支持されて上下に間隔をあけて配置され各々が水の流路31を有する複数の棚3と、最下段の棚3の下に配されたタンク5と、このタンク5内の水を最上段の棚3上に揚水する揚水装置6とを具備してなる。
【0019】
パーティション本体2は、図1ないし図12に示すように、このパーティション本体2を自立可能に保持する左右の脚7と、この脚7の上に設けられる枠状をなすフレーム8と、このフレーム8の外部に取り付けられるカバー9とを備えている。
【0020】
各脚7は、図1ないし図7、図9、図11及び図12に示すように、パーティション本体2の厚み方向に伸びるベース71と、このベース71の下に取り付けられる接地体72とを備えている。
【0021】
フレーム8は、図1、図7ないし図9、図11及び図12に示すように、前記ベース71に取り付けられる下フレーム81と、この下フレーム81の左右両端側に取り付けられる左右対をなす側フレーム82と、これら左右側フレーム82の上端部に取り付けられる上フレーム83と、前記側フレーム82と下フレーム81とを接続する対をなす下コーナー部材85と、前記側フレーム82と上フレーム83とを接続する対をなす上コーナー部材84とを備えている。これら、下フレーム81、各側フレーム82及び上フレーム83はアルミニウム等の金属製のもので、それぞれ一体成形されている。また、上コーナー部材84及び下コーナー部材85は板金素材によりそれぞれ一体成型されている。
【0022】
下フレーム81は、左右方向に伸び、上向きに開口する側断面視コ字状をなすものである。すなわち下フレーム81は、底板811と、この底板811の前後両端部からほぼ直角に立ち上がる起立板812とから構成されている。この下フレーム81における底板811の左右両端部下面側には、前記脚7のベース71が取付具B1を介して取り付けられている。各側フレーム82は、上下方向に伸び、それぞれ内向きに開口する横断面視コ字状をなすものである。すなわち各側フレーム82は、側板821と、この側板821の前後両端部からほぼ直角に伸びる起立板822とから構成されている。一方の側フレーム82の側板821には、下端部に揚水装置6の電力用の配線64を挿通させるための開口823が設けられている。上フレーム83は、左右方向に伸び、下向きに開口する側断面視コ字状をなすものである。すなわち上フレーム83は、天板831と、この天板831の前後両端部からほぼ直角に垂下する垂下板832とから構成されている。
【0023】
各上コーナー部材84は、正面視L字形状をなすもので、前記上フレーム83の端部にビスを介して取り付けられる上取付面841と、前記側フレーム82の側板821にビスを介して取り付けられる側取付面842とを備えている。各下コーナー部材85は、正面視L字形状をなすもので、前記下フレーム81の端部にビスを介して取り付けられる下取付面851と、前記側フレーム82の側板821にビスを介して取り付けられる側取付面852とを備えている。
【0024】
カバー9は、図1ないし図6、図8、図9、図11及び図12に示すように、前記上フレーム83の上側から取り付けられる上カバー91と、前記各側フレーム82の左右外側から取り付けられる側カバー92と、前記下フレーム81の下側から取り付けられる下カバー93とを備えている。これら上カバー91、側カバー92及び下カバー93は、合成樹脂製のもので、それぞれ一体成形されている。一方の側カバー92には、下端部に揚水装置6の電力用の配線64を挿通させるための開口94が、前記側フレーム82の開口823に連通するように設けられている。なお、図7では、上カバー91、側カバー92及び下カバー93を省略して示している。
【0025】
以上のようにしてなるパーティション本体2の側フレーム82間に、複数の棚3、本実施形態では、8つの棚3を上下方向に並べて架設している。
【0026】
各棚3は、図1ないし図3及び図7ないし図12に示すように、前記流路31内の水に触れ得るようにして植栽ポットPを設置するためのポット載置部32と、前記流路31内の水を下の棚3又はタンク5に流下させるための水流下部33とを備えたものである。本実施形態の各棚3は、前記ポット載置部32と水流下部33とを複数ずつ交互に備えている。換言すれば、各棚3は、ポット載置部32を左右方向に間隔をあけて複数箇所備えているとともに、水流下部33を左右方向に間隔をあけて複数箇所備えている。そして、本実施形態では、上下に隣接する2つの棚3のポット載置部32及び水流下部33の形成箇所を相互に異ならせるとともに、1つおきに隣接する2つの棚3のポット載置部32及び水流下部33の形成箇所を同一のものとしている。以下、各棚3の構造について詳述する。
【0027】
各棚3は、図1ないし図3及び図7ないし図12に示すように、前記側フレーム82間に左右方向に伸びる棚本体34と、この棚本体34の左右両端に設けられる対をなす端板36とを備えている。本実施形態においては、棚本体34と端板36とは、合成樹脂により一体に成形されたものであり、棚本体34と端板36との間が水密に接続されている。
【0028】
棚本体34は、上方に開放された流路31を形成する樋状のものであり、側断面視ほぼV字状をなしている。詳述すれば、この棚本体34は、底壁341と、この底壁341から一定の角度で傾斜して立ち上がる対をなす立壁342と、各立壁342の上端に設けられた鍔部343とを備えている。前記底壁341、立壁342及び鍔部343は、例えばアクリル樹脂等の合成樹脂製の一体成形品であり、底壁341と立壁342との間、立壁342と鍔部343との間がそれぞれ水密に接続されている。
【0029】
底壁341は、前記パーティション本体2の上フレーム83及び下フレーム81に平行に配されたものである。前記水流下部33に該当する部分の底壁341には、上面側から下面側に貫通する孔345が形成されている。換言すれば、水流下部33は、前記流路31の底に該流路31内の水を雨状に滴下させるための複数の孔345を穿設したものである。各孔345は、前記底壁341に左右方向に一定の間隔をあけて配されたものであり、前記流路31に臨む上端に座繰り部346を有している。詳述すれば、各孔345は、本実施形態においては、直径1.0mmないし1.5mm、好ましくは直径1.2mmにしており、これに対して座繰り部346の上端の直径を3.0mmとしている。また、上側の棚3の水流下部33の直下に位置する底壁341には、その上面に水はね防止用のメッシュ材344を配している。なお、図2、図8、図10及び図11では、メッシュ材344をパターンによって網掛けして示している。各立壁342は、前記底壁341の前後端縁からそれぞれ延伸されたものであり、底壁341と協働して本発明の流路31を形成している。各鍔部343は、前記パーティション本体2の上フレーム83及び下フレーム81に平行に配されたものである。各鍔部343には、左右方向に間隔をあけて複数箇所、本実施形態においては12箇所に後述する仕切り板35を取り付けるための取付孔347を備えている。
【0030】
このような棚本体34は、板状をなす複数枚の仕切り板35によって前記ポット載置部32と水流下部33とが区画されている。
【0031】
各仕切り板35は、例えばアクリル樹脂等の合成樹脂製のもので、上部に設けられ前記棚本体34の下面に沿った形状をなす切り欠き部351と、上端角部分に設けられた前後対をなす上取付部352と、下端角部分に設けられた前後対をなす下取付部353とを備えている。前記各上取付部352及び各下取付部353は、前記棚本体34の鍔部343に設けられた取付孔347に嵌り込む形状をなしている。すなわち、棚本体34に仕切り板35を取付けた状態では、棚本体34の上方は仕切り板35により区画されるが、前記流路31は棚本体34の長手方向に沿って連続している。このような仕切り板35に対して平行になるようにして、棚3に端板36が設けられている。
【0032】
各端板36は、それぞれ側面視矩形状をなす板状のものであり、前記棚本体34の端部に該棚本体34に対して垂直に設けられている。各端板36は、前記側フレーム82の前後の起立板822にそれぞれビスB2を用いて取り付けられている。すなわち、各端板36は、前記側フレーム82の側板821及び起立板822とによって形成される内向きの開口を塞ぐように添設され、前記側フレーム82との間に揚水装置6の後述する揚水チューブ62を配するための空間Aを形成するものである。
【0033】
このようにしてなる8段の棚3のうち、最上段の棚3の上側かつ前記上フレーム83の下側の空間には、上端部材4が設けられている。
【0034】
上端部材4は、図1ないし図3、図7、図9及び図12に示すように、前記上フレーム83の下端部に設けられる天板41と、この天板41の左右両端縁から垂下する左右の垂下板42と、前記天板41の中央部分から下方に垂下して伸びる上仕切り板43とを備えている。これら天板41、垂下板42及び上仕切り板43は、合成樹脂によって一体に成形されたものである。天板41は、前記上フレーム83の天板831及び垂下板832とによって形成される下向きの開口を塞ぐように添設されるものである。各垂下板42は、前記側フレーム82の前後の起立板822にそれぞれビスB3を用いて取り付けられている。すなわち、各垂下板42は、前記側フレーム82の側板821及び起立板822とによって形成される内向きの開口を塞ぐように添設され、前記側フレーム82との間に揚水装置6の後述する揚水チューブ62を配するための空間Aを形成するものである。各垂下板42の下端部には、揚水装置6の揚水チューブ62を挿通させるための切り欠き状の開口44が形成されている。
【0035】
一方、前述した8段の棚3のうち、最下段の棚3の下側かつ前記下フレーム81の上側の空間には、タンク5が設けられている。なお、最下段の棚3と前記タンク5との間には、前記各仕切り板35とほぼ同一形状をなす複数の下仕切り板37が設けられており、各下仕切り板37は、上端部が前記最下段の棚3の取付孔347に取り付けられているとともに、下端部がタンク6の前後壁514、515、524、525に設けた取付孔55に取り付けられている。
【0036】
タンク5は、図1ないし図3、図7、図9及び図12に示すように、上方に開口した箱形のもので、内部に水を貯留するための貯留空間53を有したタンク本体51と、このタンク本体51に隣接させて設けられる収納部52とを備えている。
【0037】
タンク本体51は、前記下フレーム81の底板811及び起立板812とによって形成される上向きの開口を塞ぐように添設される底壁511と、この底壁511の左右両端から立ち上がる左右の側壁512、513と、前記底壁511の前後両端から立ち上がる前後壁514、515とを主体に形成されたものであり、前後壁514、515間の複数箇所にタンク本体51の変形を防止するための補強板54を配している。本実施形態においては、底壁511、側壁512、513、及び前後壁514、515は、合成樹脂製によって一体に成形されたものであり、これらは相互に水密に接続されている。一方の側壁512は、前記側フレーム82の前後の起立板822にそれぞれビスB4を用いて取り付けられている。すなわち、前記側壁512は、前記側フレーム82の側板821及び起立板822とによって形成される内向きの開口を塞ぐように添設され、前記側フレーム82との間に揚水装置6の後述する揚水チューブ62を配するための空間Aを形成するものである。前記側壁512の上端部には、揚水装置6の揚水チューブ62を挿通させるための切り欠き状の開口516が形成されている。他方の側壁513は、タンク本体51の貯留空間53と収納部52とを仕切るためのもので、上端部に揚水装置6の電力用の配線64を挿通させるための開口517が設けられている。
【0038】
収納部52は、前記下フレーム81の底板811及び起立板812とによって形成される上向きの開口を塞ぐように添設される底壁521と、この底壁521の左右両端から立ち上がる左右の側壁523、522と、前記底壁521の前後両端から立ち上がる前後壁524、525とを主体に形成されたものである。底壁521は、前記タンク本体51の底壁511に連続して一体に設けられるものであり、前記タンク本体51の底壁511と同様の構成をなしている。一方の側壁522は、前記側フレーム82の前後の起立板822にそれぞれ図示しないビスを用いて取り付けられており、下端部に揚水装置6の電力用の配線64を挿通させるための開口526が設けられている。他方の側壁523は、前記タンク本体51の他方の側壁513と一体に設けられるものであり、前記タンク本体51の他方の側壁513と同一の構成をなしている。前後壁524、525は、前記タンク本体51の前後壁514、515にそれぞれ連続して一体に設けられるものである。この収納部52は、例えば揚水装置6のACアダプタ63やその他の配線64等を収納することができる大きさを有している。
【0039】
以上説明したタンク5の貯留空間53内に貯留された水は、揚水装置6によって棚3の流路31上に供給される。
【0040】
揚水装置6は、図9及び図12に示すように、前記タンク5内の水を汲み上げる水中ポンプ61と、この液体ポンプにより吸引された水を一番上の棚3の上方に設けられた給液口65まで運ぶ揚水チューブ62とを主体に構成される。水中ポンプ61は、水中据付型の自吸式ポンプであり、前記タンク5に貯留された水を棚3の流路31に供給する通常のものであるため説明を省略する。前記揚水チューブ62は、例えば合成樹脂製のパイプであり、一端側が水中ポンプ61の吐出口に接続され、前記タンク本体51の一方の側壁512に設けられた開口516、前記側フレーム82と棚3の端板36との間に形成される空間A及び前記上端部材4の垂下板42に設けられた開口44を挿通して他端側が一番上の棚3の上方に配されるものである。
【0041】
このような構成のものであれば、前記水中ポンプ61を作動させることにより、タンク5内の水は順次揚水装置6により吸い上げられ、前記揚水チューブ62を通って給液口65から一番上の棚3の流路31に供給される。そして、流路31に沿って流れる水は、棚3のポット載置部32に配された植栽ポットPに水を供給することができる。そして、一番上の棚3の流路31上で余剰となった水は、前記水流下部33から下方に流れ落ちて一段下の棚3の流路31上に供給される。このように一段上の棚3から供給される水は、ポット載置部32に配された植栽ポットPへの供給と、余剰となった分の水流下部33からの排出とを繰り返していく。そして、各棚3の水流下部33から下方に流れ落ちて集まった水は、一番下の棚3の流路31上に供給された後、この一番下の棚3の水流下部33からタンク5に戻されることによって循環することになる。そのため、ポット載置部32に植栽ポットPを配置しておくことにより、水耕栽培方式による植物への水やりが可能となる。
【0042】
本実施形態では、植栽ポットPとして、図13に示すように、植物を保持する培地P1と、この培地P1を保持する培地保持体P2とを備えたものを用いており、この培地保持体P2が流路31上を流れる水に触れ得るようにポット載置部32に配されている。なお、パーティション1に配置された植栽ポットPは、図13及び図14に示すような水漏れ防止用のトレイP3を用いてパーティション1以外の場所、例えば、パーティション1が配された空間にある机T等の天板付家具に置き換えることもできる。
【0043】
以上に述べたように、本実施形態に係るパーティション1は、起立状態で配置されるパーティション本体2と、このパーティション本体2に支持されて上下に間隔をあけて配置され各々が水の流路31を有する複数の棚3と、最下段の棚3の下に配されたタンク5と、このタンク5内の水を最上段の棚3上に揚水する揚水装置6とを具備してなるので、このパーティション1が置かれた空間Aの雰囲気を多様に演出することができる。すなわち、揚水装置6を稼動させて棚3の流路31に水を流すことで、このパーティション1の近くに居る人に視覚的及び聴覚的な効果を与えることができ、ストレス解消や癒しを与えることができる。特に、主としてパーティション1として機能するものであるので、パーティション1で区切られた前後の空間Aの両側からこの効果を得ることができる。また、本実施形態の棚本体34と仕切り板35は、透明性を有するアクリル樹脂によって作られているので、水の流れを視覚的に認識することができる。なお、上仕切り板43と下仕切り板37も透明性を有するアクリル樹脂製とするとパーティション1の美観が向上する。
【0044】
また、各棚3は、前記流路31内の水に触れ得るようにして植栽ポットPを設置するためのポット載置部32と、前記流路31内の水を下の棚3又はタンク5に流下させるための水流下部33とを備えたものであるので、ポット載置部32に植物を植えた植栽ポットPを配置することができ、このパーティション1の近くに居る人に視覚的な効果を与えることができるとともに、水流下部33から下の棚3に向かってスクリーン状に水を滴下することができ、視覚的及び聴覚的な効果を与えることができる。換言すれば、レール状をなす棚3に細かい孔345が多数穿設されているので雨のような水滴が流れ落ち、これらの水滴によって下の棚3上に水が溜まることとなる。そして、水滴が落ちない部分に植物を置くことができる。このように、パーティション1内を流れる水は、植物を栽培するために用いられるとともに、水そのものの有する視覚的及び聴覚的な効果を発揮するために用いられる。そして、この水は、冷暖房器具の使用により乾燥状態になりやすいオフィスで用いられる場合には、加湿・保湿の役割も担うこととなる。
【0045】
また、各棚3には、複数の仕切り板35を設けているので、上下に隣接する2つの棚3を補強することができる。また、仕切り板35は、ポット載置部32と水流下部33とを区切っており、より具体的には、棚3の鍔部343の上方空間を左右に区切っているので、流路31を連続させつつもポット載置部32に水が滴下されないように植栽ポットPを保護している。
【0046】
特に、本実施形態のものは、水が貯留されたタンク5がパーティション本体2の下部に配されているので、上下方向のバランスを保ちやすくなっている。また、パーティション1上の棚3から順次水が下の棚3に供給されるものであるので、棚3上で余剰となった水は、別途配管を設けて案内することなく前記水流下部33の孔345を通してタンク5内に落下させることができる。
【0047】
パーティション本体2が、左右対をなす側フレーム82を備えたものであり、前記各棚3が、それら側フレーム82間に架設されたものであるので、各棚3をフレーム8によりしっかりと支持することができる。
【0048】
各棚3が、上方に開放された流路31を形成する側断面視V字形をなす樋状のものであり、その水流下部33が、前記流路31の底に該流路31内の水を雨状に滴下させるための孔345を穿設したものであるので、流路31に流入された水は各棚3の底壁341側に溜まりやすく、また、水流下部33において溜まった水が孔345によって下側の棚3に排出されやすい構造となっている。
【0049】
各孔345は、前記流路31に臨む上端に座繰り部346を有したものであるので、座繰り部346を有していないものに比べて棚本体34の底壁341に溜まった水滴が落ちやすくすることができる。これは、座繰り部346がないと水の表面張力で水滴が落ちにくくなってしまうことによるものである。
【0050】
また、棚3及びタンク5が、前記パーティション本体2の厚み内に収まる寸法のものであるので、このパーティション1の設置場所の選択の幅が広げられる。なお、本実施形態に示すパーティション1は、幅寸法を900mm、高さ寸法を1500mm、パーティション本体2の厚み寸法を100mmとしている。
【0051】
揚水チューブ62が、前記側フレーム82と端板36との間に形成される空間内に配されているので、外部から隠蔽され、家具としての外観を向上させることができる。
【0052】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0053】
本発明のパーティションは、例えば図15に示すようなものであってもよい。ここで、図15に示すパーティションの各構成要素は、前記第一実施形態のものと同一のものであるため、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。このパーティションは、実施形態に示すものよりも棚3の数を増やしたものである。また、タンクの下端部及びフレームの下端部を丸みを帯びた湾曲形状としている。
【0054】
また、流路は、棚本体の底壁及び立壁によって形成されたものには限られない。例えば、立壁が底壁から垂直、または略垂直に立ち上がるものや、底壁と立壁との境界がなく全体として半円形状や断面視U字状をなすものであってもよい。
【0055】
パーティションは、その高さ寸法や幅寸法は本実施形態のものに限られず、種々変更可能である。すなわち、上端が天井まで達するようなものであってもよい。また、パーティションは、室内空間を仕切るものに限らず、壁に沿って配されるものであってもよい。さらに、このパーティションは、下端部にキャスタ等の移動させるための手段が取り付けられたものであってもよい。
【0056】
また、ポット載置部と水流下部とは、棚の同一箇所に重なって設けられるものであってもかまわない。すなわち、孔を形成した部分に植栽ポットを載置してもよい。
【0057】
タンクには、貯留空間及び収納部を閉止するための蓋を設けてもよい。この蓋としては、例えば、本実施形態のタンクの補強板または前後壁の上に配置される板状のもの等が考えられる。なお、タンク本体のうち最下段の棚の水流下部の直下部分には蓋は設けられることなく、最下段の棚からタンクの貯留空間内に水が滴下し得るように上方に開口した状態としている。
【0058】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0059】
1…パーティション
2…パーティション本体
3…棚
31…流路
32…ポット載置部
33…水流下部
345…孔
346…座繰り部
5…タンク
6…揚水装置
82…側フレーム
P…植栽ポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立状態で配置されるパーティション本体と、このパーティション本体に支持されて上下に間隔をあけて配置され各々が水の流路を有する複数の棚と、水を貯めておくタンクと、このタンク内の水を最上段の棚上に揚水する揚水装置とを具備してなり、前記各棚が、前記流路内の水に触れ得るようにして植栽ポットを設置するためのポット載置部と、前記流路内の水を下の棚又はタンクに流下させるための水流下部とを備えたものであることを特徴とするパーティション。
【請求項2】
前記パーティション本体が、左右対をなす側フレームを備えたものであり、前記各棚が、それら側フレーム間に架設されたものである請求項1記載のパーティション。
【請求項3】
前記各棚が、上方に開放された流路を形成する樋状のものであり、その水流下部が、前記流路の底に該流路内の水を雨状に滴下させるための孔を穿設したものである請求項1又は2記載のパーティション。
【請求項4】
前記各孔が、前記流路に臨む上端に座繰り部を有したものである請求項3記載のパーティション。
【請求項5】
前記タンクが最下段の棚の下に配されるとともに、前記棚及びタンクが前記パーティション本体の厚み内に収まる寸法のものである請求項1、2、3又は4記載のパーティション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−102575(P2012−102575A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253299(P2010−253299)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】