説明

ヒドラジンベース及びカルボニルベースの二官能性架橋剤

【課題】物体表面に対してより効果的に結合し;所望の架橋がなされるように制御することができ;複合蛋白の修飾後に同種二官能性の架橋が起こらず;種々のpH及び温度に関する生物学的条件に対して安定であり;溶液中であるいは凍結乾燥時に安定であり;現在本分野で使用される試薬、例えばSATA、SPDP型の試薬とは違って一段階修飾であり;分光学的手段により間接的に定量可能であり;そして複合化で、形成された結合を用いて分光学的手段により複合化の程度を定量するのに利用可能である架橋対を提供すること。
【解決手段】式:B−R−Y
〔式中、B、RおよびYは明細書に定義する通りである。〕
を有する生体分子、薬物、及び合成ポリマーを架橋し固定化するための試薬及び方法が提供されている。該試薬は、(i)チオール又はアミノ反応基;及び(ii)ヒドラジノ又はオキシアミノ部分を有する。複合体及び固定化された生体分子がまた提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
米国に関し更には必要に応じて、2000年3月22日付けで出願したSchwartzの「NOVEL HYDRAZINE−BASED AND CARBONYL−BASED BIOFUNCTIONAL CROSSLINKING REAGENTS」と題する米国仮特許出願第60/191,186号の優先権の享受を主張する。必要に応じて、上に示した出願の開示内容を、そのまま本件内容の一部とする。
【0002】
(本発明の属する分野)
本発明の開示は、一般には化学の分野、特に架橋用試薬の領域に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
(従来技術)
蛋白、オリゴヌクレオチド、及び炭水化物といった生体分子同士あるいはこれらと放射性又は非放射性金属キレート、薬物、及び物体表面に架橋する方法により、インビトロ及びインビボ双方での診断アッセイの開発やインビボでの治療が可能となった。多種多様の方法が開発され、評価・検討されている(Greg T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press)。
【0004】
診断及び治療の用途に対して複合体を調製するのに通常使用される架橋対、すなわちマレイミド/チオール及びブロモアセトアミド/チオール、には数に限りがある。これらの試薬は、高蛋白濃度(すなわち>5mg/mL)で、蛋白/蛋白架橋が起こり得るという点で限界がある。また、マレイミド修飾部分は、中性及び塩基性のpHで加水分解するため、限られた半減期しか有していない。チオール部分の生体分子上への導入は、カップリングとそれに続く活性化段階の両方を要する。生成するチオール修飾蛋白は、容易に酸化されてジスルフィド重合型蛋白を形成する可能性がある。ジスルフィド結合を含む高分子、すなわち抗体もまた、還元剤によるチオール部分の活性化後、容易に開裂する。また、マレイミド部分の定量は幾分困難であり、そして複合化の程度を直接定量する手段はない。そのため、こういった制限のない架橋対があれば都合が良い。
【0005】
従って、物体表面に対してより効果的に結合し;所望の架橋がなされるように制御することができ;複合蛋白の修飾後に同種二官能性の架橋が起こらず;種々のpH及び温度に関する生物学的条件に対して安定であり;溶液中であるいは凍結乾燥時に安定であり;現在本分野で使用される試薬、例えばSATA、SPDP型の試薬とは違って一段階修飾であり;分光学的手段により間接的に定量可能であり;そして複合化で、形成された結合を用いて分光学的手段により複合化の程度を定量するのに利用可能である架橋対が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくしてここでの目的は、上述の要求を満たし、既知の架橋剤及び架橋方法を越える改良された特性を有する、生体分子を他の生体分子、ポリマー、金属、又は薬物に架橋するための試薬及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の概要)
生体分子を他の生体分子、ポリマー、金属、又は薬物に架橋するための試薬及び方法が提供される。該試薬は、すべて本明細書中に定義されるように、官能基の1つとしてヒドラジノ基、カルボニル基、又はオキシアミノ基を有するヘテロ二官能性化合物である。該試薬は、インビボでの治療のみならずインビトロ及びインビボ双方での診断アッセイのための改良された架橋を提供するために本明細書に記載している方法に使用される。
【0008】
低分子、高分子、生体分子、及び固体表面を修飾するのに利用できるアミン又はチオール反応性部分、及びヒドラジノ又はオキシアミノ部分を含む二官能性化合物がここで提供される。ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、カルバジド、チオセミカルバジド、チオカルバジド、ヒドラジンカルボキシレート、及び炭酸ヒドラジン(例えば、図1参照)を含む脂肪族及び芳香族ヒドラジン誘導体を含めて数多くのヒドランジノ部分が、利用されるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
1つの態様において、本明細書に記載の方法で使用する試薬は、式:
B−R−Y
〔式中、Bは、アミノ又はチオール反応性部分;Yは本明細書に定義のヒドラジノ基、オキシアミノ基、又はカルボニル基;及びRは、任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを有する二価の基:アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)(R10)、P(J)(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)であり;式中、aは0、1、又は2;bは0、1、2、又は3;GはO又はNR10;JはS又はO;及びLはS、O、又はNR10;各R10は、独立して水素及びM1−R14から選ばれた一価の基;各M1は、独立して任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを有する二価の基;直接結合手、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、C(R15)2、−C(R15)=C(R15)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G1)a、P(J)(R15)、P(J)(LR15)、N(R15)、N(COR15)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)であり;式中、aは0、1、又は2;bは0、1、2、又は3;G1はO又はNR15;JはS又はO;及びLはS、O、又はNR15;R14及びR15は、それぞれ独立して、水素、ハロ、擬ハロ、シアノ、アジド、ニトロ、SiR16R17R18、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、及びNR19R20の基から選ばれる;R19及びR20は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロサイクリルから選ばれ;R12及びR13は以下に示す(i)又は(ii)から選ばれる:(i)R12及びR13は独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールの中から選ばれる;又は(ii)R12及びR13は相互にアルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンを形成する;R16、R17、及びR18は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、及びNR19R20から選ばれる一価の基;そして
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、及びR20は、それぞれ独立してZから選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよく、式中、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヒドロキシ、S(O)hR30、NR30R31、COOR30、COR30、CONR30R31、OC(O)NR30R31、N(R30)C(O)R31、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルコキシカルボニル、カルボキシアリール、ハロ、擬ハロ、ハロアルキル、及びカルボキサミドから選ばれ;hは0、1、又は2;そしてR30及びR31は、それぞれ独立して水素、ハロ、擬ハロ、シアノ、アジド、ニトロ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリル、トリアリールシリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアリールアミノから選ばれる〕又はその誘導体を有する。
【0010】
かくして、本明細書に記載の試薬は(i)チオール又はアミン反応基;及び(ii)ヒドラジノ、オキシアミノ、又はカルボニル基、を有する脂肪族及び芳香族の架橋性化合物である。チオール反応基は、スルフィドリル基と直接反応して安定なチオエーテル結合を形成する部分である。当該チオール反応基としては、マレイミド、α−ブロモアセトアミド、及びピリジルジスルフィドが挙げられるがこれらに限定されるものではない。アミノ反応性部分は、アミン部分と直接反応してアミド結合を形成する部分である。当該アミノ反応基としては、N−ヒドロキシスクシンイミジル、p−ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
ここでいうヒドラジノ基としては、ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、カルバジド、チオセミカルバジド、チオカルバジド、ヒドラジンカルボキシレート、及び炭酸ヒドラジン(例えば、図1参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オキシアミノ基は、式R−O−NH2を有する。
【0012】
本明細書の特定の態様において、Rは脂肪族の二価の基である。これらの態様において、Rは任意の順序で結合している以下に示す基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)(R10)、P(J)(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)で;式中、記号は上で定義のとおり、の任意の組合わせを含む二価の基である。
【0013】
本明細書の他の態様において、ここでYはヒドラジノ基である。別の態様において、Yはセミカルバジド、チオセミカルバジド、オキシアミノ、カルバジド、又はチオカルバジドから選ばれる。別の態様において、Rはnが1〜12である(CH2)nではない。更なる態様において、Yはオキシアミノである。
【0014】
修飾生体分子が提供される。これら化合物は、本明細書に記載の二官能性試薬の官能基の1つと当該生体分子の反応により調製される。この修飾生体分子は、残りの官能基を用いる複合化又は固定化に利用可能である。ここで用いる生体分子としては、抗体、糖蛋白、ペプチド、オリゴヌクレオチド、RNA、及びDNAを含む蛋白が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また、複合ワクチンも提供される。該複合体は、本明細書に記載の二官能性試薬との反応により修飾蛋白担体から形成される。生成するヒドラジノ又はオキシアミノ修飾蛋白と、例えば予め酸化されてアルデヒド基が形成されている細菌性多糖類との複合化により、当該複合ワクチンが生成する。特定の態様において、これらの態様において使用される二官能性試薬は、Rが脂肪族基である試薬である。
【0016】
さらにここでは修飾された固体支持体が提供され、これら支持体は、合成ポリマー、ビーズ、ラテックス、ガラス、スライド、コロイド状金属を含む金属、及びヒドラジノ又はオキシアミノ基を有する粒子を含むが、これらに限定されるものではなく、本明細書に記載の二官能性試薬との反応により修飾された合成ポリマー、ビーズ、ガラス、スライド、金属、及び粒子を含む修飾固体支持体を与える。これら修飾固体支持体は、カルボニル基を有するか、又は有するように修飾された生体分子の固定化に有益である。この固定化された生体分子は、診断的及び治療的な用途に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本明細書に記載のヒドラジノ誘導体の構造を示す。
【図2】生体分子上でのヒドラジン及びアルデヒドの導入、及び2つの修飾生体分子の複合化の経路を示す。
【図3】二官能性アミノ反応性脂肪族チオセミカルバジド塩酸塩の調製のための合成経路である。
【図4】スクシンイミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(SANH)の調製のための合成経路である。
【図5】アミノ修飾オリゴヌクレオチド上での、後合成によるアルデヒド及びヒドラジン部分導入のための経路である。
【図6】二官能性ヒドラゾン保護カルバジド−PEG−スクシンイミジルエステルの調製のための経路である。
【図7】シランヒドラゾン保護ヒドラジンの調製、及びそれに続くシリカベースの表面上での固定化のための経路である。
【図8】塩酸ビスヒドラジニウムジスルフィドの調製及びそれに続くシリカベースの表面上での固定化のための経路である。
【図9】本明細書に記載のアミノオキシ架橋剤の合成のための合成経路である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(好ましい態様の詳細な説明)
定義
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有するものとする。適切な場合には、本明細書の開示中で援用されている全ての特許、特許出願、公開は適宜、そのまま本明細書の一部とする。本明細書中の用語に対して複数の定義がある場合には、本節における定義を優先させるものとする。
【0019】
ここでいう「ヒドラジノ基」としてはヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、カルバジド、チオセミカルバジド、チオカルバジド、ヒドラジンカルボキシレート、及び炭酸ヒドラジン(例えば、図1参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
ここでいうヒドラゾン結合(R−NHN=C(R)(R))としては、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバゾン、チオセミカルバゾン、チオカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、及び炭酸ヒドラゾンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここでいうオキシアミノ基は、式−O−NH2を有する。オキシムは、式−O−N=Rを有する。
【0021】
ここでいう保護ヒドラジノ基又は保護オキシアミノ基とは、塩酸塩及び硫酸塩、その他制限なく挙げられる鉱酸塩、そして酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、及びフマル酸塩、その他制限なく挙げられる有機酸の塩を含むヒドラジノ又はオキシアミノ基の塩として誘導された;あるいは当業者に既知である任意のアミノ又はヒドラジノ保護基(例えば、Greene et al. (1999) Protective Groups in Organic Synthesis (3rd Ed.) (J. Wiley Sons, INc.)参照)を有する、ヒドラジノ又はオキシアミノ基をいう。ここでいう好ましいアミノ及びヒドラジノ保護基としては、オリゴヌクレオチドの合成に有益なアミノ又はヒドラジノ保護基が挙げられるが、これに限定されるものではない。更に好ましくはモノメトキシトリチル(MMT)、ジメトキシトリチル(DMT)、トリメトキシトリチル(TMT)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、アセチル、トリフリオロアセチル、ベンゾイル、あるいは緩和な酸性条件下(例えば、100mMアセテート又はモルフォリノ−N−エチルスルホン酸(MES)、pH4.5−5.5)で開裂するヒドラゾン若しくはオキシムが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの例には、低級脂肪族アルデヒド又はケトンから、好ましくはアセトン、プロパノール、シクロヘキサノン、又は2−ブタノンから形成されるヒドラゾンあるいはオキシムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
ここでいう「−COOSu−」とは、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルをいう。
ここでいうオリゴヌクレオチドとは、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、及びPCR生成物または配列決定反応生成物、好ましくは二本鎖、若しくは一本鎖の形態を含むDNAといったクロモゾーム及び遺伝物質を含む任意の長さの蛋白核酸(PNA)のようなこれらの類似物を含む核酸であるが、これらに限定されるわけではない。オリゴヌクレオチドの一本鎖の形態もまた提供される。
【0023】
ここでいう複合体とは、相互に共有結合した2つの成分を含む化合物である。例えば第1の成分、例えば蛋白が、共有性ヒドラゾン結合により第2の成分、例えば本明細書に定義される第2の蛋白と複合して複合体を形成する。
【0024】
ここでいうカルボニル誘導体としては、ケトン及びアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
ここでいう相補性反応基とは、相互に反応した場合に、ヒドラゾン若しくはオキシム結合を含み、その他制限なく挙げられる共有結合を形成する基である。従ってここでいうヒドラジノ基は、カルボニル誘導体に相補的なものである。オキシアミノ基もまたカルボニル誘導体に相補的なものである。
【0025】
ここでいう生体ポリマーとは、自然界に見い出される単量体単位で構成される任意の化合物、又はその誘導体である。生体ポリマーとしては、オリゴヌクレオチド、RNA、DNA、ペプチド、ペプチド核酸(PNAs)、抗体及び糖蛋白を含む蛋白、及びオリゴサッカライドが挙げられるが、これに限定されるものではない。従ってその単量体単位としては、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、PNAモノマー、モノサッカライド、及びその誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
ここでいう高分子とは、コロイドサイズの(すなわち、高分子量の)分子をいい、蛋白、ポリ核酸、多糖類、及び炭水化物を含むが、これらに限定されるものではない。
ここでいうレポーター分子とは、適当な反応条件下で、適切な基質と接触したときに(例えば比色測定、化学発光、生物発光、蛍光、又は電位差測定の手段により)検出可能な信号を発生することが可能な酵素又はインジケーターのような分子を意味する。レポーター酵素の例としては、アルカリフォスファターゼ、ホースラディッシュ(horseradish)ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アリールエステラーゼ、サルフェート、及びウレアーゼが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0027】
ここでいう核酸塩基とは、自然界に存在するオリゴヌクレオチド中に見られるヘテロサイクリック部分であり、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、及びデアザ類似体を含むこれらの類似体が挙げられる。好ましい核酸塩基としては、シトシン、ウラシル、アデニン、グアニン、チミン、及びデアザ類似体を含むその類似体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
ここでいうフルオロフォアとは、蛍光性化合物を意味する。蛍光とは、放射線の吸収後、光がその化合物から放射される物理的過程である。一般的には該放射光は、低エネルギーで、吸収した放射線よりも長波長である。本明細書において好ましいフルオロフォアは、蛍光が標準的な手段を用いて検出可能なものである。
【0029】
ここでいう化合物の誘導体としては、当該誘導体化についての既知の方法を用いて当業者により調製可能な化合物の塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、溶媒和物、又は水和物が挙げられる。塩としては、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及び他の制限なく挙げられるヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1'−イルメチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン及び他の制限なく挙げられるアルキルアミン、ピペラジン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミン塩;リチウム、カリウム、及びナトリウム、その他制限なく挙げられるアルカリ金属塩;バリウム、カルシウム、及びマグネシウム、その他制限なく挙げられるアルカリ土類金属塩;亜鉛、その他制限なく挙げられる遷移金属塩;及びリン酸水素ナトリウム及びリン酸二ナトリウム、その他制限なく挙げられる金属塩が挙げられ;そしてまた塩酸塩及び硫酸塩、その他制限なく挙げられる鉱酸塩;及び酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、及びフマル酸塩、その他制限なく挙げられる有機酸の塩も挙げられる。エステルとしては、炭酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及びボロン酸を含み、その他制限なく挙げられる酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、及びヘテロサイクリルエステルが挙げられる。エノールエーテルとしては、Rが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、又はヘテロサイクリルである、式C=C(OR)の誘導体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。エノールエステルとしては、Rが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、又はヘテロサイクリルである、式C=C(OC(O)R)の誘導体が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。溶媒和物及び水和物とは、1又はそれ以上の、好ましくは1〜約100個の、より好ましくは1〜約10個の、最も好ましくは1〜約2、3、又は4個の溶媒又は水分子を有する複合体である。
【0030】
本明細書に記載の化合物は、キラル中心を包含し得ることはいうまでもない。当該キラル中心は、(R)若しくは(S)のいずれかの立体配置、あるいはその混合物のいずれかでもよい。したがって本明細書に記載の化合物は、エナンチオマー的に純粋であっても立体異性体若しくはジアステレオマーの混合物であってもよい。アミノ酸残基の場合には、その残基がL体であってもD体であってもよい。自然界に存在するアミノ酸残基の好ましい配置は、L型である。
【0031】
ここでいうアルキル、アルケニル、及びアルキニルの炭素鎖は、特に断らない限り、1〜20個の炭素、好ましくは1〜16個の炭素を含み、直鎖又は分岐鎖である。炭素数2〜20のアルケニル炭素鎖は、好ましくは1〜8個の二重結合を含み、炭素数1〜16のアルケニル炭素鎖は、好ましくは1〜5個の二重結合を含む。炭素数2〜20のアルキニル炭素鎖は、好ましくは1〜8個の三重結合を含み、炭素数2〜16のアルキニル炭素鎖は、好ましくは1〜5個の三重結合を含む。本明細書中アルキル、アルケニル、及びアルキニル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、及びイソヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、他に特に規定がない限り、1つ又はそれ以上の基で、好ましくは同一若しくは異なったアルキル基置換基で任意に置換されてもよい。ここでいう低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルとは、約6個未満の炭素を有する炭素鎖をいう。ここでいう「アルケ(ニ)(ニ)ル(alk(en)(yn)yl)」とは、少なくとも1個の二重鎖と少なくとも1個の三重鎖を含むアルキル基をいう。
【0032】
ここでいう「アルキル基置換基」としては、ハロ、ハロアルキル、好ましくはハロ低級アルキル、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルオキシ、アラルキルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、オキソ、及びシクロアルキルが挙げられる。
【0033】
ここでいう「アリール」とは、炭素数5〜19からなる環状基をいう。アリール基としては、その置換基が低級アルキル、ハロゲン、又は低級アルコキシである、フルオレニル、置換フルオレニル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、及び置換ナフチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
ここでいう「アリール基置換基」としては、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロ、ハロアルキル、及びアルキルから選ばれた1又はそれ以上、好ましくは1〜3個の置換基で任意に置換されたヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、1〜2個の二重結合を含むアルケニル、1〜2個の三重結合を含むアルキニル、アルケ(ニ)(ニ)ル基、ハロ、擬ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ハロアルキル、及びポリハロアルキル、好ましくはハロ低級アルキル、なかでもトリフルオロメチル、フォルミル、アルキルカルボニル、ハロ、ハロアルキル、及びアルキルから選ばれた1又はそれ以上、好ましくは1〜3個の置換基で任意に置換されたアリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ジアリールアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アリールオキシ、パーフルオロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールアルコキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アジド、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、パーフルオロアルキルチオ、チオシアノ、イソチオシアノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、アリールスルフィニル、アリールスルフォニル、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、ジアルキルアミノスルフォニル、及びアリールアミノスルフォニルが挙げられる。
【0035】
ここでいう「アラルキル」とは、アルキル基の水素原子の1つがアリール基で置換されたアルキル基をいう。
ここでいう「ヘテロアルキル」とは、アルキル基の水素原子の1つがヘテロアリール基で置換されたアルキル基をいう。
【0036】
ここでいう「シクロアルキル」とは、好ましくは炭素数3〜10の、より好ましくは炭素数3〜6の、飽和の単環系又は多環系をいい;シクロアルケニル及びシクロアルキニルとは、それぞれ、少なくとも二重結合を1つ、及び三重結合を1つ有する単環系又は多環系をいう。シクロアルケニル及びシクロアルキニル基は、好ましくは3〜10個の炭素原子を有していてもよく、シクロアルケニル基は、より好ましくは4〜7の炭素原子を、シクロアルキニル基は、より好ましくは8〜10の炭素原子を有する。シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル基からなる環系は、1個の環、あるいは融合、架橋、あるいはスピロ結合により連結する2またはそれ以上の環から構成され、任意に1又はそれ以上のアルキル基置換基で置換されていてもよい。「シクロアルケ(ニ)(ニ)ル」とは、二重結合を少なくとも1つと三重結合を少なくとも1つ含むシクロアルキル基をいう。
【0037】
ここでいう「ヘテロアリール」とは、環系における原子の1又はそれ以上、好ましくは1〜3個が、ヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、及び硫黄原子である、好ましくは約5〜約15員からなる単環系あるいは多環系をいう。該ヘテロアリールは任意に1又はそれ以上の、好ましくは1〜3個のアリール基置換基で置換されていてもよい。該ヘテロアリール基は、任意にベンゼン環と融合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、例えば、フリル、イミダゾイル、ピロリジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−メチルピロリル、キノリニル、及びイソキノリニルが挙げられ、ピリジル及びキノリニルが好ましい。
【0038】
ここでいう「ヘテロサイクリック」とは、環系における原子の1又はそれ以上、好ましくは1〜3個が、ヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、及び硫黄原子である、好ましくは3〜10員、より好ましくは4〜7員、更に好ましくは5〜6員からなる単環系あるいは多環系をいう。該ヘテロサイクリックは、任意に1又はそれ以上の、好ましくは1〜3個のアリール基置換基で置換可能されていてもよい。好ましいヘテロサイクリック基の置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、炭素数1〜4個のアルコキシ、トリフルオロメチルのようなチオハロメチルを含むハロ低級アルキル、及びハロゲンが挙げられる。ここでいうヘテロサイクルなる用語には、ヘテロアリールも含まれる。
【0039】
ここでいう、アルキル、アルコキシ、カルボニル等の命名法は、当業者により一般的に理解される通りに用いられる。例えば、ここでいうアルキルとは、1又はそれ以上の炭素を含む飽和炭素鎖をいい;その鎖は、直鎖若しくは分岐鎖であるか、環状部を含むか、あるいは環状である。
ここでいうアリサイクリックとは、環状のアリール基をいう。
【0040】
ここでの趣旨に照らして、特定の置換基の数が規定されていない場合(例えば、「ハロアルキル」)には、1又はそれ以上の置換基が存在し得る。例えば「ハロアルキル」とは、1又はそれ以上の同一若しくは異なるハロゲンを含む。別の例として、「C1−3アルコキシフェニル」とは、1、2、又は3個の炭素を含む1又はそれ以上の同一若しくは異なるアルコキシ基を含むことが可能である。
【0041】
ここでいう「ハロゲン」又は「ハライド」とは、F、Cl、Br、又はIをいう。
ここでいう擬ハライドとは、実質的にはハライドと同様に機能する化合物である。当該化合物は、ハライド(X;Xは、Cl又はBrのようなハロゲン)と同様の方法で使用され、同様の方法で取り扱われる。擬ハライドとしては、シアニド、シアネート、チオシアネート、セレノシアネート、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、及びアジドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
ここでいう「ハロアルキル」とは、1又はそれ以上の水素原子が、ハロゲンにより置換された低級アルキル基をいい、クロロメチル、トリフルオロメチル、1−クロロ−2−フルオロエチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
ここでいう「ハロアルコキシ」とは、Rがハロアルキル基であるRO−をいう。
【0043】
ここでいう「スルフィニル」又は「チオニル」とは、−S(O)−をいう。ここでいう「スルフォニル」又は「スルフリル」とは、−S(O)2−をいう。ここでいう「スルフォ」とは−S(O)3−をいう。
ここでいう「カルボキシ」とは、二価のラジカル、−C(O)O−をいう。
ここでいう「アミノカルボニル」とは、−C(O)NH2をいう。
【0044】
ここでいう「アルキルアミノカルボニル」とは、Rが水素又はアルキル、好ましくは低級アルキルである−C(O)NHRをいう。ここでいう「ジアルキルアミノカルボニル」とは、R'及びRが、独立して水素又はアルキル、好ましくは低級アルキルから選ばれる−C(O)NR'R;「カルボキサミド」とは、式−NR'CORで示される基をいう。
【0045】
ここでいう「ジアリールアミノカルボニル」とは、R'及びRが、独立してアリール、好ましくは低級アリール、より好ましくはフェニルから選ばれる−C(O)NRR'をいう。
ここでいう「アラルキルアミノカルボニル」とは、R'及びRの一方が、アリール、好ましくは低級アリール、より好ましくはフェニルであり、R'及びRの他方が、アルキル、好ましくは低級アルキルである−C(O)NRR'をいう。
ここでいう「アリールアミノカルボニル」とは、Rが、アリール、好ましくは低級アリール、より好ましくはフェニルである−C(O)NHRをいう。
【0046】
ここでいう「アルコキシカルボニル」とは、Rがアルキル、好ましくは低級アルキルである−C(O)ORをいう。
ここでいう「アリールオキシカルボニル」とは、Rがアリール、好ましくは低級アリール、より好ましくはフェニルである−C(O)ORをいう。
【0047】
ここでいう「アルコキシ」及び「アルキルチオ」とは、Rがアルキル、好ましくは低級アルキルであるRO−及びRS−をいう。
ここでいう「アリールオキシ」及び「アリールチオ」とは、Rがアリール、好ましくは低級アリール、より好ましくはフェニルであるRO−及びRS−をいう。
【0048】
ここでいう「アルキレン」とは、好ましくは炭素数1〜約20、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状、好ましくは直鎖又は分岐鎖の二価脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは低級アルキレンである。該アルキレン基は、1又はそれ以上の「アルキル基置換基」で置換されていてもよい。アルキレン基に沿って1又はそれ以上の酸素、硫黄、又は置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換体は前述のアルキルである。アルキレン基の例としては、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン(−(CH2)3−)、シクロヘキシレン(−C6H10−)、メチレンジオキシ(−O−CH2−O−)、及びエチレンジオキシ(−O−(CH2)2−O−)が挙げられる。「低級アルキレン」なる語は、炭素数1〜6のアルキレン基をいう。好ましいアルキレン基は、低級アルキレンであり、炭素数1〜3のアルキレンが特に好ましい。
【0049】
ここでいう「アルケニレン」とは、好ましくは2〜約20個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の、好ましくは直鎖又は分岐鎖の二価脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは低級アルケニレンである。該アルケニレン基には、1又はそれ以上の酸素、硫黄、又は置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換体は前述のアルキルである。アルケニレン基の例としては、−CH=CH−CH=CH−及び−CH=CH−CH2−が挙げられる。「低級アルケニレン」なる用語は、炭素数2〜6のアルケニレン基をいう。好ましいアルケニレン基は、低級アルケニレンであり、炭素数3〜4のアルケニレンが特に好ましい。
【0050】
ここでいう「アルキニレン」とは、好ましくは2〜約20個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環の、好ましくは直鎖又は分岐鎖の二価脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは低級アルキニレンである。該アルキニレン基には、アルキニレン基に沿って1又はそれ以上の酸素、硫黄、又は置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換体は前述のアルキルである。アルキニレン基の例としては、−C≡C−C≡C−、−C≡C−、及び−C≡C−CH2−が挙げられる。「低級アルキニレン」なる用語は、炭素数2〜6のアルキニレン基をいう。好ましいアルキニレン基は、低級アルキニレンであり、炭素数3〜4のアルキニレンが特に好ましい。
【0051】
ここでいう「アルケ(ニ)(ニ)レン(alk(en)(yn)ylene)」とは、好ましくは2〜約20個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合及び少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖又は環状、好ましくは直鎖又は分岐鎖、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状、好ましくは直鎖又は分岐鎖の二価脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは低級アルケ(ニ)(ニ)レンである。該アルケ(ニ)(ニ)レン基は、1又はそれ以上の「アルキル基置換基」で置換されていてもよい。アルキニレン基に沿って1又はそれ以上の酸素、硫黄、又は置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換体は前述のアルキルである。アルケ(ニ)(ニ)レン基の例としては、nが1又は2である−CH=CH−(CH2)−C≡C−が挙げられる。「低級アルケ(ニ)(ニ)レン」なる用語は、炭素数が最大6までのアルケ(ニ)(ニ)レン基をいう。好ましいアルケ(ニ)(ニ)レン基は、低級アルケ(ニ)(ニ)レンであり、炭素数4のアルケ(ニ)(ニ)レンが特に好ましい。
【0052】
ここでいう「アリーレン」とは、好ましくは5〜約20個の炭素原子と少なくとも1つの芳香環、より好ましくは炭素数5〜12の単環又は多環の、より好ましくは単環の二価芳香族基であり、更に好ましくは低級アリーレンである。該アリーレン基は、任意に1又はそれ以上の「アルキル基置換基」で置換されていてもよい。アリーレン基の周りに1又はそれ以上の酸素、硫黄、又は置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、その窒素置換体は前述のアルキルである。アリーレン基の例としては、1,2−、1,3−、及び1,4−フェニレンが挙げられる。「低級アリーレン」なる用語は、炭素数が5又は6のアリーレン基をいう。好ましいアリーレン基は、低級アリーレンである。
【0053】
ここでいう「ヘテロアリーレン」とは、環系における原子の1又はそれ以上の、好ましくは1〜3個が、ヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素、例えば窒素、酸素、及び硫黄原子である、好ましくは約5〜約15員からなる単環系あるいは多環系をいう。該ヘテロアリーレン基は、1又はそれ以上の、好ましくは1〜3個のアリール基置換基で置換されていてもよい。
【0054】
ここでいう「アルキリデン」とは、一方の基の1つの原子に結合して二重結合を形成した、例えば=CR'R''のような二価の基をいう。アルキリデン基の例としては、メチリデン(=CH2)及びエチリデン(=CHCH3)が挙げられる。ここでいう「アラルキリデン」とは、R'又はR''のいずれかがアリール基であるアルキリデン基をいう。
【0055】
ここでいう「アミド」とは、二価の基−C(O)NH−をいう。「チオアミド」とは、二価の基−C(S)NH−をいう。「オキシアミド」とは、二価の基−OC(O)NH−をいう。「チアアミド」とは、二価の基−SC(O)NH−をいう。「ジチアアミド」とは、二価の基−SC(S)NH−をいう。「ウレイド」とは、二価の基−HNC(O)NH−をいう。「チオウレイド」とは、二価の基−HNC(S)NH−をいう。
【0056】
ここでいう「セミカルバジド」とは、−NHC(O)NHNH−をいう。
「カルバゼートと」とは、二価の基−OC(O)NHNH−をいう。
「イソチオカルバゼート」とは、二価の基−SC(O)NHNH−をいう。
「チオカルバゼート」とは、二価の基−OC(S)NHNH−をいう。
「スルフォニルヒドラジド」とは、基−SO2NHNH−をいう。「アゾ」とは、二価の基−N=N−をいう。「ヒドラジニル」とは、二価の基−NH−NH−をいう。
【0057】
ここでいう「アミノ酸」なる用語は、ラセミ体、又はDあるいはLの立体配置からなるaアミノ酸をいう。アミノ酸表示の前にある「d」の表示は(例えば、dAla、dSer、dVal等)、アミノ酸のD体をいう。アミノ酸表示の前にある「dl」の表示は(例えば、dlPip)、アミノ酸のL及びD体をいう。
【0058】
ここで用いるように、フェニル又はピリジルのような任意の特定の基が規定されているときは、この基は非置換型あるいは置換型であることを意味する。好ましい置換体は、特に規定されていない場合は、ハロ、ハロ低級アルキル、及び低級アルキルである。
ここでいう組成物とは、2又はそれ以上の生成物又は化合物の任意の混合物をいう。これは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水溶液、非水溶液、あるいはその任意の組合わせのいずれであってもよい。
本明細書で用いる組合わせとは、2又はそれ以上の要素(items)の間の任意の集合(association)をいう。
【0059】
ここでいう流動体とは、流動可能な任意の組成物をいう。従って流動体は、半固体、ペースト、水溶液混合物、ゲル、ローション、クリーム、及び他の該組成物の形態である組成物を含む。
ここでいう、生成物と実質的に同等であるというのは対象とする特徴が十分に不変であり、その生成物に替えて実質的に同等な生成物を使用することができる程度に十分類似していることを意味する。
【0060】
「アミノ反応基」なる用語は、アミノ部分と直接反応してアミド結合を形成する部分をいう。これらアミノ反応基としては、N−ヒドロキシスクシンイミジル、p−ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「チオール反応基」なる用語は、スルフィドリル基と直接反応して安定なスルフィド結合を形成する部分をいう。これらチオール反応基としては、マレイミド、α−ブロモアセトアミド、及びピリジルスルフィドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
「エチレンオキシド部分」又は「PEG」若しくは「PEO」なる用語は、繰り返し単位−CH2CH2O−から形成されるポリマーをいう。
「飽和若しくは不飽和カルボサイクリック部分」なる用語は、最大10個までの不飽和結合を有する炭素数3〜20からなる炭素含有環構造をいう。
「ヒドラジン誘導体」なる用語は、ヒドラジン、ヒドラジド、カルバジド、チオカルバジド、セミカルバジド、及びチオセミカルバジドを含み、その他制限なく挙げられるN−N結合を有する部分をいう。
【0062】
「オリゴヌクレオチド」なる用語は、長さ2〜2000のヌクレオシドからなる任意の核酸分子をいう。該オリゴヌクレオチドは、自然界に存在するヌクレオシドであるアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、及びウリジン、修飾ヌクレオシド、又はこれら自然界に存在するヌクレシドと修飾ヌクレオシドの組合わせから構成され得る。該ヌクレオシドは、自然界に存在するホスホジエステル結合により、又は例えばホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、及びペプチド主鎖(ペプチド核酸(PNA))を含む修飾結合により連結され得る。
【0063】
「カルボニル部分」なる用語は、アルデヒド(RCHO)又はケトン(RCOR)を有する部分をいう。
「天然分子」なる用語は、例えば蛋白、ペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、及び脂質を含む生物学的に誘導された分子をいう。
「合成分子」なる用語は、自然界から誘導されたものでない小分子又はポリマーをいう。
【0064】
ここでいう、任意の保護基、アミノ酸、及び他の化合物に対する略語は、特に指示されない限り、一般的な用法、公認の略語、あるいは、生化学的命名法に関するIUPAC−IUB協会(Biochem. 1972, 11, 942参照)に従っている。
【0065】
A.ヘテロ二官能性架橋剤
(i)マレイミド、α−ブロモアセトアミド、ピリジルジスルフィド、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、p−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルを含み、その他制限なく挙げられるチオール、及びアミノ反応基を含みその他制限なく挙げられる求電子基;及び(ii)ヒドラジノ及びオキシアミノ基を含み、その他制限なく挙げられる保護求核性部分、を有する二官能性の分子(試薬)がここで提供される。1つの態様において、生体分子及び物体表面上にこれら二官能性の分子を導入する方法が提供される。別の方法は、(i)ヒドラジン及びオキシアミノ修飾された分子、生体分子、及び物体表面と(ii)カルボニル部分を有する分子、生体分子、及び物体表面、又はカルボニル部分を有するように調製された分子、生体分子、及び物体表面との反応から形成される複合体を更に提供する。
【0066】
該試薬は二官能性分子であって、生体分子又は物体表面上の相補的な反応性部分と共有結合を形成する第1の反応性部分と生体分子又は物体表面上に導入された後に、二官能性の分子上の第1の成分とは反応しないで容易に除去されるように保護されたヒドラジン又はオキシアミノ基を含んでいる。
【0067】
ここでいう該試薬は、様々な分子、生体分子、及び物体表面に広範に適用される。従来技術で既知の方法には、ヒドラジン−(例えば、Rose et al, (1996) Biocnjugate Chem. 7 :552 参照)、ヒドラジド−(例えば、King et al, (1986) Biochemistry. 25 :5774 参照)、及びオキシアミノ−(例えば、Salo et al, (1999) Biocnjugate Chem. 10 :815 参照)置換型生体分子、及びアルデヒド修飾された生体分子及び物体表面との反応が記載されている。従来技術で既知の方法において、官能基は、その用途に応じて特定の手段で導入される。生体分子/生体分子複合体を形成したり、ヒドラジン若しくはオキシミノ表面上に生体分子を固定化するのに広く使用できるような既知の方法は存在しない。
【0068】
Kaneko et al. (1991) Bioconj. Chem. 2: 133 には、ピリジルジスルフィド置換型ヒドラゾン誘導体架橋剤が記載されている。この文献では、アドリアマイシンのモノクローナル抗体への架橋と薬物/蛋白複合体の局在化及び内在化に続くアドリアマイシンの遊離のための酸解離性結合を同定している。ヒドラジドから形成されたヒドラゾン、アシルヒドラジンがこの目的での最適な結合であることが示されている。様々なヒドラジン(NH−NH2)(例えば、図1参照)誘導体を検証して、芳香族ヒドラジン、脂肪族セミカルバジド、及び脂肪族チオセミカルバジドから形成されるヒドラゾンは、酸性条件で完全に安定であるために、これの目的には適していないことを見出した。
【0069】
それに先立ち、Schwartz et al. (米国特許第5,206,370号、5,420,285号、5,753,520号、及びヨーロッパ特許明細書第EPO 384 769 B1号)には、一連の芳香族ヒドラジド、ヒドラジン、及びチオセミカルバジドの合成及び蛋白修飾特性が記載されている。ヒドラジン及びチオセミカルバジド修飾複合体を、病気の診断及び処置に使用することを目的として、金属、例えばテクネチウム及びレニウムを高分子に結合するのに使用した。このような研究は、更にAbrams et al. (1990) J. Nucl. Med. 31 :2022及びSchwartz et al. (1991) Bioconj. Chem. 2 :333にも示されている。しかし、これらの参考文献では、そこに記載されている試薬のカルボニル、すなわちアルデヒド若しくはケトン、修飾生体分子、ポリマー、又は固体表面に対する二官能性架橋剤としての構造又は応用についての言及はなされていない。
【0070】
1.脂肪族ヒドラジンベースの二官能性修飾試薬
式I:
B−R−A−NHNH2・HX I
〔式中、Aは−NH(C=O)−、−NH(C=S)−、−NHNH(C=O)−、−NHNH(C=S)−、又はRへの結合手;Bはアミノまたはチオール反応性部分;Rは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a,、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L);式中、記号記号は前述に定義のとおり;Xは、ハライド、擬ハライド、サルフェート、ホスホネート、ブロネート、トリフルオロアセテートを含み、その他制限なく挙げられる有機カルボキシレート、及び無機酸の陰イオンを含む陰性カウンターイオン〕で示される脂肪族二官能性架橋剤又はその誘導体がここで提供される。特定の実施の態様において、Rは炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分からなるか、又はこれらの組合わせである。
【0071】
これらの態様において、該試薬は、アミノ又はチオール反応性部分とヒドラジン由来の部分を含み、その他制限なく挙げられる2つの架橋反応性部分を有する分子からなる安定で単離可能な誘導体である。
特定の態様において、該試薬としては:
【化1】

が挙げられる。
【0072】
他の態様において、脂肪族の二官能性試薬は、ヒドラジノ基がヒドラゾンとして保護されたヒドラジノ化合物である。これらの態様において、該試薬は、式II:
B−R−A−NHN=C(R1R2) II
〔式中、Aは、−NH(C=O)−、−NH(C=S)−、−NHNH(C=O)−、−NHNH(C=S)−、又はRへの直接結合手;Bは、アミノ系又はチオール系反応性部分;Rは、任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)で;式中、記号は前述に定義のとおり;R1は、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分;そしてRは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分〕で示される化合物又はその誘導体である。特定の実施の態様において、Rは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分からなるか、又はこれらの組合わせである。
【0073】
特定の態様において該試薬としては:
【化2】

が挙げられる
【0074】
1つの態様において、ここで提供される該試薬は、式III:
B−R−(C=O)−NHNH2・HX III
〔式中、Bは、アミノ系又はチオール系反応性部分;Rは、任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)であり;式中、記号は前述に定義のとおり;Xは、ハライド、擬ハライド、サルフェート、ホスホネート、ブロネート、トリフルオロアセテートを含み、その他制限なく挙げられる有機カルボキシレート、及び無機酸の陰イオンを含む陰性カウンターイオン〕で示される化合物又はその誘導体である。特定の実施の態様において、Rは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分からなるか、又はこれらの組合わせである。
【0075】
別の態様において、脂肪族二官能性ヒドラジド試薬が提供される。これらの試薬は、更なる処置で開裂可能な結合を含んでいる。開裂可能な結合としては、酸開裂性結合、光開裂性結合、及びジスルフィド結合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
インビトロインビボの両方で適用される開裂可能なリンカーの使用が、示されている。Kaneko et al (1994) Bioconjugate Chem. 2 :133において、脂肪族ヒドラジドから形成されるヒドラゾンを用いて、アドリアミシン/抗体複合体を腫瘍まで送達するのに成功しており、この腫瘍においてエンドサイトシスに続いてエンドソーム中のpHを5まで下げた後、薬物が放出された。チオールのような還元剤による処置により、開裂したジスルフィド結合を用いて、リガンドとレセプターとの間の共有結合の後、レセプターを単離するのに成功した。SAED(スルホスクシンイミジル2−(7−アジド−4−メチルクマリン−3−アセトアミド)エチル−1,3'−ジチオプロピオネート;Pierce Chemicals, Rockford, IL)及びSASD(スルホスクシンイミジル2−(p−アジドサリチルアミド)エチル−1,3'−ジチオプロピオネート)といった試薬が用いられた。
【0077】
別の態様において、ここで提供される二官能性ヒドラジド試薬は、酸開裂性ヒドラゾンを形成する。これらの試薬は、ポリマーのような生体分子や担体を一段階で修飾するのに使用可能であるので好都合である。この修飾脂肪族ヒドラジド生体分子又は担体は、次いでカルボニルを含有する生体分子、薬物、又は他の治療用若しくは診断用試薬と反応して容易にヒドラゾンを形成することができ、これはpH<5の弱い酸性水溶液状態に暴露することにより開裂することができる。
【0078】
更なる態様において、ビーズ、クロマトグラフィー用支持体、又は物体表面といった固体支持体が、これら脂肪族ヒドラジド試薬で同様の目的で修飾される。ここに記載の該試薬においては、脂肪族ヒドラジドを導入するには、King.et al..((1986) Biochemistry 25 :5774)に記載の二段階法の方が好ましい。ここに記載の該試薬は、蛋白中の本来のジスルフィド結合を還元するジチオスレイトールのようなジスルフィド還元剤を使用しないため、更に好ましい。従って、これらの試薬を使用すると、蛋白の本来の構造はそのまま維持されることになる。このことは、複合体の1つの成分である場合には、特に重要である。なぜなら、抗体の本来の構造は、ジスルフィド架橋に依存しているからである。
【0079】
これらの態様において、該試薬としては:
【化3】

が挙げられる。
【0080】
2.芳香族及びヘテロ芳香族ヒドラジンベースの二官能性修飾試薬
米国特許第5,206,370号、5,420,285号、及び5,753,520号、そしてヨーロッパ特許明細書第EPO 384 769 B1号に記載の試薬のような芳香族及びヘテロ芳香族ヒドラジンベースの二官能性修飾試薬もまた、ここで提供される方法での使用が意図されている。これら引用文献の開示を、適宜、そのまま本明細の一部とする。特に、該試薬は、式IV、V、又はVI:
B−R−A−NHNH2・HX IV
B−R−A−NHN=C(R1R2) V、又は
B−R−(C=O)−NHNH2・HX VI
〔式中、B、A、R1、及びR2は、前述に定義のとおりであり、そしてRは、芳香族、ポリ芳香族、又はヘテロ芳香族部分、あるいはこれらの組合わせ〕を有するか又はその誘導体である。
【0081】
別の態様において、該試薬は式IVa:
【化4】

〔式中、Aは、NH(C=O)、NH(C=S)、NH(C=NH)、NHNH(C=O)、NHNH(C=S)、NHNH(C=NH)、又は直接結合手;Eは、炭素又は窒素原子;そしてXは、陰性カウンターイオン、酸素、硫黄、又は−NH〕を有するか又はその誘導体である。
【0082】
別の態様において、該試薬は式Va:
【化5】

〔式中、Aは、NH(C=O)、NH(C=S)、NH(C=NH)、NHNH(C=O)、NHNH(C=S)、NHNH(C=NH)、又は直接結合手;Bは、アミノ系又はチオール系反応性部分;Dは、炭素又は窒素原子;Eは、炭素又は窒素原子;R1は、水素又は炭素原子数1〜12の飽和の直鎖;そしてR2は、水素又は炭素原子数1〜12の飽和の直鎖〕を有するか又はその誘導体である。
【0083】
更なる態様において、該試薬は式VIa:
【化6】

〔式中、Bは、アミノ系又はチオール系反応性部分;Dは、炭素又は窒素原子;Eは、炭素又は窒素原子;そしてXは、陰性カウンターイオン、酸素、硫黄、又は−NH〕を有するか又はその誘導体である。
【0084】
特定の態様において該試薬としては:
【化7】

が挙げられる。
【0085】
3.オキシアミノ誘導体
別の態様において、ここで提供される方法で使用される二官能性試薬は、式VII又はVIII:
B−R−ONH2・HX VII、又は
B−R−ON=C(R1R2) VIII
〔式中、Rは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)で;式中、記号は前述に定義のとおり;Bはアミノ系又はチオール系反応性部分;R1は、水素、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分;Rは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分;そしてXは、ハライド、擬ハライド、サルフェート、ホスホネート、ブロネート、トリフルオロアセテートを含み、その他制限なく挙げられる有機カルボキシレート、及び無機酸の陰イオンを含む陰性カウンターイオン〕を有する。特定の実施の態様において、Rは、直鎖、分枝又は環状脂肪族部分、芳香族、ヘテロ芳香族、ポリ芳香族又はポリへテロ芳香族部分、炭素数2〜20の飽和直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分、あるいはこれらの組合わせである。
【0086】
特定の態様において該試薬としては:
【化8】

が挙げられる。
【0087】
4.二官能性カルボニル試薬
他の態様において、複合反応のヒドラジン修飾第1成分は、式IX:
B−R−C(=O)W IX
〔式中、Wは、H又は炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、若しく環状の脂肪族炭素鎖、あるいは芳香族又はヘテロ芳香族基;Bは、アミノ系又はチオール系反応性部分;Rは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)であり;式中、記号は前述に定義のとおり〕で示される二官能性のカルボニル試薬又はその誘導体を用いてカルボニル部分を有するように修飾された複合反応の第2成分と反応する。特定の態様において、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分枝又は環状脂肪族炭素鎖、あるいは芳香族又はヘテロ芳香族基である。
【0088】
B.修飾生体分子
更なる態様において、ここに記載の二官能性のヒドラジノ及びオキシアミノ分子は、生体分子、ポリマー、又は適当に修飾された物体表面と反応して当該分子を修飾し、1又はそれ以上のヒドラジノ又はオキシアミノ部分をそこに導入する。当該二官能性試薬における二官能性分子の求電子性部分、すなわちアミノ又はチオール反応性部分は、蛋白上のリジンの末端アミノ基を含み、その他制限なく挙げられる生体分子上の求核基と反応し、これによってヒドラジノ又はオキシアミノ官能基が導入される。これらアミノ又はチオール反応性部分はまた、修飾されて例えばヒドラジン又はオキシアミノのような求核性部分が導入されたオリゴヌクレオチド又はペプチドのような合成生体分子と反応することもできる。当業者にとってはよく理解し得ることであるが、複数のアミノ基、すなわちリジンを含む蛋白のような生体分子は、多モル当量の二官能性修飾試薬と反応させて望む限り多くのリジンを修飾リジンに変換することができる。修飾の程度は、蛋白へ添加する修飾試薬のモル当量により制御可能である。
【0089】
別の態様において、ここに記載の二官能性ヒドラジノ及びオキシアミノ試薬は、ペプチド又はオリゴヌクレオチドを含み、その他制限なく挙げられる生体分子の固相合成中に直接使用し得る。これは、合成生体分子を開裂及び/又は脱保護するために実施される条件に対して不安定であるマレイミド又はα−ブロモアセトアミドスクシンイミジルエステル系の二官能性試薬と対照的である。
【0090】
1.蛋白
1つの態様において、ここで提供される二官能性のヒドラジノ及びオキシアミノ試薬の反応により、ヒドラジノ及びオキシアミノ部分で修飾された蛋白が提供される。これら修飾蛋白は、二官能性のヒドラジノ又はオキシアミノ化合物の安定なバッファー溶液、すなわちpH7〜9中の蛋白への添加による一段階反応で調製される。該反応を1〜4時間インキュベーションし、過剰の試薬がサイズ排除ゲル濾過により除去されて、ヒドラジノ又はオキシアミノ修飾蛋白が得られる。
【0091】
2.オリゴヌクレオチド
更なる態様において、当業者に周知の方法及び試薬(例えば、Glen Research Corporation, Sterling, VA 参照)を用いて3'、5'のいずれか又は分子内にアミノ基を導入するために調製された合成オリゴヌクレオチドは、ここで提供される二官能性ヒドラジン又はオキシアミノ修飾試薬と反応し、ヒドラジノ又はオキシアミノ官能基をそれぞれ導入する。
【0092】
更に別の態様において、アミノ基を有するヌクレオシド三リン酸と共にポリメラーゼ又は逆転写酵素を用いて調製されたオリゴヌクレオチドを、個々で提供される二官能性ヒドラジノ又はオキシアミノ試薬を用いてヒドラジノ又はオキシアミノ基を導入するように後合成修飾することが可能である。続いてこの修飾オリゴヌクレオチドは、カルボニル基を有するレポーター分子と共有結合させることができる。
【0093】
C.脂肪族ヒドラジンおよび脂肪族カルボニルから調製されるインビボ用ヒドラゾン複合体
脂肪族ヒドラジンおよび脂肪族カルボニルから調製される、例えばワクチンのようなインビボ用のヒドラゾン複合体がここで提供される。細菌性多糖類をワクチンとして使用しても効果的な免疫応答は起こらない。多糖類の破傷風毒素又はジフテリア毒素のような蛋白への複合化により効果的な免疫応答が起こることが判明した(R.W. Ellis and D.M. Granoff, Development of Clinical Uses of Haemophilus b Conjugate Vaccines, Marcel Dekker, Inc., New York (1994))。このことは、これらの文献に記載された蛋白/多糖類ワクチンでの成功により示されている。
【0094】
これらすべての複合ワクチンに共通した特性は、共有結合の性質が脂肪族性であることである。共有結合に芳香族基を用いると、芳香族エピトープに対する免疫応答が起こる。これは免疫応答を低減させる結果となる。
【0095】
従って、1つの態様において、ここで提供されるヒドラジノ又はオキシアミノ二官能性試薬は、破傷風毒素又はジフテリア毒素のような蛋白担体を一段階で修飾するのに使用することができる。これらのヒドラジノ又はオキシアミノ修飾担体は、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化してジアルデヒド部分が形成されている細菌性多糖類と反応する。安定な結合を形成するのに還元剤は要しないので、アミノ又はヒドラジド部分から形成される複合体にはヒドラジノ及びオキシアミノ部分の使用が好ましい。
【0096】
D.ヒドラジノ及びオキシアミノ修飾ビーズ
別の態様において、ヒドラジノ及びオキシアミノ修飾ビーズが提供される。該ヒドラジノ及びオキシアミノ修飾ビーズは、適当なビーズ、例えばアミノ又はチオール基を有するビーズをここで提供される二官能性試薬と反応させることにより調製される。
【0097】
修飾ラテックス及びシリカビーズは、診断アッセイにおいて広範な用途が見出されている(www.bangslads.com, Bangs laboratories, Terre Haute, IN)。種々の修飾ビーズが調達可能であり、これらの中には、生体分子の共有結合を目的としたアミノ、チオール、及びヒドラジドビーズが含まれる。アミノ修飾ビーズをヒドラジノ又はオキシアミノ修飾ビーズに変換するために、ここで提供される二官能性ヒドラジノ及びオキシアミノ試薬を用いて調製されたヒドラジノ及びオキシアミノビーズが、ここで提供されている。ヒドラジノ修飾ビーズは、カルボニル基を有する分子と反応するときに安定なヒドラゾンを形成する。
【0098】
これは、2つの理由から酸修飾ビーズをアミノ基を有する分子に結合する方法には好ましい。第1にはビーズの活性化を要しない。酸ビーズを活性するのに用いる方法では、N−ヒドロキシスクシンイミド/エチルジメチルエチルアミノカルボジイミド(EOCl)でビーズの処置した後、洗浄とアミンの添加が必要とされる。活性化したビーズは、水中での安定性は制限され、固定化される分子上のアミノ基は、結合で使用するpH(pH4.7〜9.0)では、求核性は弱い。ここで記載のカルボニルと、ヒドラジノ又はオキシアミノの対は、両方とも水中では非常に安定であり、縮合剤又は還元剤の介在なしにヒドラゾンを形成する。
【0099】
E.シリカ表面修飾用のシランヒドラジン
更なる態様において、ヒドラジノ及びオキシアミノシランが提供される。これらの試薬は、シリカ表面を修飾して細孔性ガラス(controlled pore glass);ヒドラジン及びオキシアミノスライド;そしてヒドラジノ及びオキシアミノシリカチップを含み、その他制限なく挙げられるヒドラジノ及びオキシアミノガラスを生成生成させるのに有益である。
【0100】
DNAベースと蛋白との両方のマイクロアレイの発達により、バイオテクノロジーの大変革が起こった。これらのマイクロアッセイは、数十〜数万の生体分子の固体表面上での固定化に基づく。ガラススライド及びシリカチップといったシリカベースの表面は、マイクロアレイを調製するのに最適な表面であった。生体分子の固定化は、共有若しくは非共有的な、すなわち静電的な相互作用を介した生体分子の接着を要する。アミノ又はアルデヒド基を導入するよう修飾されたガラススライドは、市販で入手可能である(www.arrayit.com, Telechem, Inc, Sunnyvale, CA 及び www.cel-1.com, Cel Associates, Houston, TX)。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの固定化のためのプロトコールでは、ホウ酸水素ナトリウムのような強い化学的条件か、光分解のような架橋条件の利用を要する。これらの方法は、非効率的であり、オリゴヌクレオチドの直接修飾により相補的なターゲットに対する親和性を減少させてしまう。
【0101】
かくして、これらの欠点を克服するヒドラジン修飾シリカベースの表面の調製のためのヒドラジンベースのシラン試薬がここで提供される。1つの態様において、該試薬は式XI:
【化9】

〔式中、R3は炭素数1〜10の直鎖、分枝又は環状アルキル基;R1は、水素又は炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分;Rは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分で;Xは、ハライド、擬ハライド、サルフェート、ホスホネート、ブロネート、トリフルオロアセテートを含み、その他制限なく挙げられる有機カルボキシレート、及び無機酸の陰イオンを含む陰性カウンターイオン;Rは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)及びC(L)であり;式中、記号は前述に定義のとおり;そしてAは、直接結合手、NH(C=O)、NH(C=S)、NHNH(C=O)、又はNHNH(C=S)〕で示される二官能性シランヒドラジン又はその誘導体である。特定の実施の態様において、Rは、炭素数2〜15の直鎖、分枝、又は環状アルキル基、2〜2000個のモノマーからなるポリエチレングリコール部分又は芳香族基であり、これはジスルフィドのような開裂可能な部分を含んでいてもよい。
【0102】
1つの態様において、該試薬は:
【化10】

を有する。
【0103】
1つの態様において、シラン修飾該試薬は式XII:
【化11】

〔式中、R3は炭素数1〜10の直鎖、分枝又は環状アルキル基;R1は、水素又は炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分;Rは、炭素数3〜20の飽和の直鎖、2〜2000個のエチレンオキサイド部分からなる鎖、又は炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和のカルボサイクリック部分で;Xは、ハライド、擬ハライド、サルフェート、ホスホネート、ブロネート、トリフルオロアセテートを含み、その他制限なく挙げられる有機カルボキシレート、及び無機酸の陰イオンを含む陰性カウンターイオン;そしてRは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)及びC(L)であり;式中、記号は前述に定義のとおり〕で示されるオキシアミノ化合物又はその誘導体である。特定の実施の態様において、Rは、炭素数2〜15の直鎖、分枝、又は環状アルキル基、2〜2000個のモノマーからなるポリエチレングリコール部分又は芳香族基であり、これはジスルフィドのような開裂可能な部分を含んでいてもよい。
【0104】
F.金属/粒子
別の態様において、チオフィリック(thiophilic)な金属、表面及び粒子上にヒドラジノ及びオキシアミノ基を導入するための試薬が提供される。チオールヒドラジン、ジスルフィドジヒドラジン、チオールオキシアミノ、及びジスルフィドジオキシアミノ試薬は、金粒子と直接反応してAu−S結合を形成し、金粒子上にヒドラジン又はオキシアミノ基を導入する(例えば図8参照)。続いてヒドラジン又はオキシアミノ基は、カルボニル官能基を有する任意の分子と結合可能である。更なる態様において、カルボニル含有分子としては、蛋白、ペプチド、ポリヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、及び炭水化物を含む生体分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該カルボニル基は、スクシンイミジル4−ホミルベンゾエート(SFB)のようなアミノ反応性カルボニル二官能性試薬を用いて、あるいは過ヨウ素酸塩による炭水化物の分子内酸化によるジアルデヒドの生成によって生体分子に導入することができる。
【0105】
1つの態様において、本明細書に記載の方法で使用する試薬は、式XIII:
R30S−R−A−NHNH2・HX、
R30S−R−A−NHN=CR1R2
(S−R−A−NHNH2・HX)2、又は
(S−R−A−NHN=CR1R2)2
〔式中、R、R1、R2、及びXは、前述に定義のとおり;Aは直接結合手、−NH(C=O)−、−NH(C=S)−、−NHNH(C=O、)又は−NHNH(C=S)−;そしてR30は、水素、又は置換されていてもよいベンジル基、S−アセチル及びS−ベンゾイルチオエステルを含むチオエステル、チオカーボネート、チオカルバメート、又はSR31を含みその他制限なく挙げられるチオール保護基であり;式中、R31は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキル〕を有するか又はその誘導体である。
【0106】
この態様において、該試薬としては:
【化12】

が挙げられる。
【0107】
別の態様において、本明細書に記載の方法で使用の試薬は、式XIII:
R30S−R−ONH2・HX、
R30S−R−ON=CR1R2
(S−R−ONH2・HX)2、又は
(S−R−ON=CR1R2)2
〔式中、R、R1、R2、及びXは前述に定義のとおり;そしてR30は、水素、又は置換されていてもよいベンジル基、S−アセチル及びS−ベンゾイルチオエステルを含み、その他制限なく挙げられるチオエステル、チオカーボネート、チオカルバメート、又はSR31を含むチオール保護基;式中、R31は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキル〕を有するか又はその誘導体である。
【0108】
G.試薬の調製
脂肪族又は芳香族の二官能性セミカルバジド若しくはチオセミカルバジドの調製は、塩基の存在中、それぞれホスゲン又はチオホスゲン置換アミンの処置により行われる。
1つの態様において、式Iで示される試薬は、まずヒドラジンベースの酸を調製し、続いてヒドラジン部分を、tert−ブトキシカルボニル(BOC)基を含み、その他制限なく挙げられる酸感受性保護基で保護することにより調製される。次に、その酸部分がN−ヒドロキシスクシンイミジルに変換される。BOC保護ヒドラジンスクシンイミジルエステルを塩酸/ジオキサンのような有機溶媒中で無水酸を用いて脱保護する。この処置で、ヒドラジンを塩酸塩として保護しながら同時にBOC基を除去する。スクシンイミジルエステル/塩酸塩生成物が沈殿し、単離される。
【0109】
別の態様において、BOC保護ヒドラジン部分を含む分子のアミノ基がマレイミド部分に変換される。このマレイミド/BOC保護分子を、ジクロロメタン中、トリフルオロ酢酸のような無水酸で処理して、BOC基を除去し、ヒドラジンをトリフルオロ酢酸塩として保護する。生成物は、溶媒の除去により単離される。
【0110】
二官能性カルバジド又はチオカルバジドは、塩基の存在中、ヒドラジンをそれぞれホスゲン又はチオホスゲンで処置した後、イソ(チオ)シアネートの単離により調製してもよい。ヒドラジンの添加により、それぞれ所望のカルバジド又はチオカルバジドが得られる。
二官能性カルバジド又はチオカルバジドは、塩基の存在中、アミンをそれぞれホスゲン又はチオホスゲンで処置した後、イソ(チオ)シアネートの単離により調製してもよい。ヒドラジンの添加により、それぞれ所望のカルバジド又はチオカルバジドが得られる。
【0111】
ここで提供される他の試薬はヒドラゾンであり、これは前述の式Iで示される化合物について示されているように、二官能性ヒドラジン中間体から脂肪族アルデヒド又はケトンで化合物を処理してヒドラジンをそのヒドラゾンとして保護するすることにより調製される。脂肪族アルデヒド上のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖、炭素数3〜10のサイクリック又はポリサイクリック脂肪族環、あるいは炭素数3〜20の分岐鎖、又はその脂肪族部分の任意の組合わせから選ばれる。ジ脂肪族(dialiphatic)ケトン上のアルキル基は、脂肪族アルデヒド上の置換基について述べたのと同様の脂肪族基から選ばれる。
【0112】
二官能性ヒドラジドは、脱水剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在中、酸部分を有する二官能性分子を一保護型カルバゼートと縮合させた後、脱保護することにより調製してもよい。
【0113】
H.使用方法
ヒドラジン修飾分子のカルボニル含有又はカルボニル修飾分子との反応、ヒドラジン修飾分子のカルボニル修飾表面との反応、あるいはカルボニル含有又はカルボニル修飾分子のヒドラジン修飾表面との反応より形成される複合体の調製方法もまたここで提供される。複合体も提供される。ここで提供される修飾分子が反応すると、安定なヒドラゾン又はオキシム共有結合が形成されて2つの修飾分子同士の架橋(例えば、図2参照)や、修飾表面に対する修飾分子の架橋を形成する。
【0114】
ヒドラジノ含有複合体は、一般的にはここで提供される二官能性ヒドラジノ修飾試薬の溶液をpH7.0〜8.0の非求核性バッファー中の生体分子又は水溶性合成分子へ添加することにより調製することができる。疎水性ペプチドのような有機溶解性の天然又は合成分子の修飾は、有機溶媒中で保護された二官能性ヒドラジノ分子をアミン又はチオール置換部分を有する有機溶解性化合物へ直接添加することにより行うことができる。
【0115】
ここで提供される試薬は、例えば、蛋白−蛋白複合体(例えばモノクローナル抗体/酵素複合体)あるいは蛋白−ポリマー複合体(例えばマイクロタイターウェル表面へのモノクローナル抗体)を含む種々の分子間の架橋を形成するのに利用される。アルデヒド部分を含む多くのポリマー及び固体表面は市販で入手可能であり、そして一般的にはアミン含有分子を架橋するのに利用される。この方法は、その場でイミン結合の形成とそれに次ぐシアノホウ化水素ナトリウムでの還元による安定なアルキルヒドラジド結合の形成によって所望の又は蛋白末端アミノ酸含有オリゴヌクレオチドを結合させる。表面に結合させるためのヒドラジンを有するように分子を修飾することにより、現在の方法よりもより効果的なカルボニル含有支持体への分子の直接的且つ安定な共有結合接着を可能にする。なぜなら、本発明で示される架橋対は、現在知られている架橋対よりもはるかに水溶液安定性が優れているからである。
【0116】
ヒドラジン修飾分子とカルボニル修飾分子を、室温でインキュベーションすることにより複合生体分子を架橋することができる。この架橋生成物は、ゲル透過クロマトグラフィーにより単離できる。
【0117】
この架橋対を用いた生体分子の物体表面への固定化は、ヒドラジノ、オキシアミノ、又はカルボニル部分のいずれかで生体分子を修飾し、その修飾分子を反応相手、例えばカルボニル修飾生体分子に対してはヒドラジノ又はオキシミノ部分、あるいはヒドラジノ又はオキシアミノ修飾生体分子に対してはカルボニル部分、を有する表面へ接触させることにより実施される。
【0118】
1つの態様において、抗原結合に関与しない抗体の炭水化物ドメインを過ヨウ素酸ナトリウムで酸化してアルデヒド部分を得る。このアルデヒド部分がヒドラジノ又はオキシアミノ修飾表面と直接反応して、安定な共有結合を形成し、そこでは、抗体活性部位の大部分が抗原結合に利用可能である。この方法により効率が上がるため、表面への共役に必要とされるモノクローナル抗体は少量ですむこととなり、これに相応してアッセイの感度が増す。現在のELISAプロトコールは、抗体のプラスチック表面への非特異的な結合を利用しており、この方法では抗原の捕捉に利用できる抗原結合部位が<5%となってしまう。
【0119】
ここで提供されるものにあっては、ヒドラジノ部分のカルボニル部分との反応によりヒドラゾン結合が形成される。オキシアミノ部分のカルボニル部分との反応よりオキシムが形成される。Kaneko et al. (1991) Bioconjugate Chem., 2 :133は、アリールヒドラゾンと芳香族ケトン(アドリアマイシン)との反応から形成されたヒドラゾンが、pH4.7〜7.4の範囲で安定であることを示している。芳香族系における電子の非局在化が、水のような求核分子による求核攻撃に対するヒドラゾンの安定性を増大させるので、芳香族ヒドラジンと芳香族カルボニルとから形成されたビスアリールヒドラゾンは、脂肪族ヒドラジンと脂肪族カルボニルとから形成されたヒドラゾンより安定であることが知られている。そのため、1つの実施の形態において、芳香族ヒドラジンと芳香族カルボニルとの反応から形成されたヒドラゾンが、インビトロでの用途に利用される。
【0120】
以下の実施例は例示を目的として示されているに過ぎず本発明の範囲を限定するためのものではない。
【実施例】
【0121】
実施例1
スクシンイミジルカルボサイクリックチオセミカルバジド塩酸塩の調製
図3に示されるように、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(1.0当量;Aldrich Chemical, Milwaukee, WI)とトリエチルアミン(2.1当量)のTHF懸濁液にチオホスゲン(1.0当量)を添加する。反応混合物を均一になるまで室温で攪拌する。溶媒を減圧下留去し残渣をそれ以上精製することなく使用する。
【0122】
この残渣のDMF溶液にt−ブチルカルバゼート(1.0当量;Aldrich Chemical Company, Milwaukee, WI)を添加し、室温で2時間攪拌する。溶媒を減圧下留去し残渣をエチルアセテートと5%クエン酸水溶液間で分画する。有機層を塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過、濃縮して4−(tert−ブトキシカルボニルチオセミカルバジドメチル)シクロヘキサンカルボン酸を得る。
【0123】
この化合物(1.0当量)をDMFに溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.0当量)を添加後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.0当量)のDMF溶液を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌する。副産物であるジシクロヘキシル尿素(DCU)析出体を濾去し、その濾液を濃縮乾燥する。残渣をエチルアセテートと5%クエン酸水溶液間で分画する。有機層を塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過、濃縮してスクシンイミジル4−(tert−ブトキシカルボニルチオセミカルバジドメチル)シクロヘキサンカルボキシレートを得る。
【0124】
得られた化合物を乾燥ジオキサンに溶解し、同容量の4M HCl/ジオキサン(Aldrich Chemical Company, Milwaukee, WI)を添加し、反応混合物を室温で一昼夜攪拌する。反応混合物中にまずアルゴンを通気して過剰のHClを除くことによって析出生成物を単離する。懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄する。ペレットを乾燥ジオキサンで処理し、再度懸濁、遠心分離し、上清を廃棄する。洗浄を更に2回繰り返す。固体物を真空オーブン中で乾燥し、スクシンイミジル4−(チオセミカルバジドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート塩酸塩を得る。
【0125】
実施例2
スクシンイミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾンの調製
ヒドラジノニコチン酸(1mmol; 合衆国特許第5206370号)をアセトンに懸濁し、この懸濁液を室温で1時間攪拌した。固体物を濾過により単離し、所望のヒドラゾンを得た。
【0126】
このヒドラゾン(1.0当量)をDMFに懸濁し、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(1.0当量)を加え、次いでDCC(1.0当量)のDMF溶液を添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。不均一反応混合物を濾過し、その濾液を減圧下濃縮した。残渣を最少量のエチルアセテートに溶解し、懸濁物にヘキサンを添加した。生成した淡黄色析出物を濾過により単離してほぼ33%の収率で所望の化合物を得た。PMR(DMSO-d6)δ1.99(s,3H), 2.00(s, 3H), 3.32(s, 4H), 7.17(D, 1H), 8.12(dd, 1H), 8.76(d, 1H), 10.39(s, 1H)。
【0127】
実施例3
マレイミドカルボサイクリックヒドラジドトリフルオロアセテートの調製
4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(1mmol)のDMF懸濁液にトリエチルアミン(1.1mmol)とt−ブチルカルバゼート(1mmol)(Aldrich Chemical Co., Milwaukee, WI)を添加し、次いでDMF中のDCC(1.0mmol)を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌する。溶媒を減圧下除去し残渣をエチルアセテートで処理し、固形物(DCU)を濾去する。濾液を濃縮し、その残渣をエチルアセテートを溶出剤として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。生成物を含有する画分を集めて濃縮する。
【0128】
得られる化合物(1mmol)のTHF溶液に無水マレイン酸(1mmol)を添加し、反応混合物を室温で攪拌し、無水酢酸(1mmol)とトリエチルアミン(1mmol)を添加する。室温で16時間攪拌した後、溶媒を減圧下除去し、その残渣をエチルアセテートを溶出剤として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。生成物を含有する画分を集めて濃縮する。
【0129】
この化合物のメチレンクロライド溶液をトリフルオロ酢酸/メチレンクロライド(1/1)溶液で処理し室温で2時間攪拌する。揮発物を減圧下除去し、次いで生成物をMeOH/トルエンと共蒸発させて過剰のトリフルオロ酢酸を除去する。
【0130】
実施例4
カルボサイクリックスクシンイミジルチオセミカルバジド塩酸塩の調製
プロリン(1mmol)のTHF溶液にトリエチルアミン(2.5mmol)を加え、次いでチオホスゲン溶液(1.1mmol)を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いで0℃にまで冷却してt−ブチルカルバゼート(1.1mmol)を滴加する。反応混合物を0℃で1時間そして室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下除去し、その残渣をメチレレンクロライド/メタノール(9/1)を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。生成物を含有する画分を集めで濃縮する。
【0131】
この化合物(1mmol)のTHF溶液にN−ヒドロキシスクシンイミド(1mmol)を添加し、次いでTHF中のDCC(1.0mmol)を滴加する。反応混合物を室温で3時間攪拌し、DCU析出物を濾去する。濾液を減圧下濃縮し、その残渣をエチルアセテートを溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにかける。生成物を含有する画分を集め濃縮する。
【0132】
この化合物のジオキサン溶液に4Mの塩酸塩/ジオキサン(Aldrich Chemical Co., Milwaukee, WI)を添加する。反応混合物を室温で16時間攪拌すると析出物が生成する。反応混合物中にアルゴンを通気して過剰の塩酸を除去する。不均一反応混合物を遠心分離し、その上清を廃棄する。ペレットを乾燥ジオキサンで処理し、次いで攪拌および再遠心分離する。ジオキサン洗浄を更に2回繰り返す。生成物を真空オーブンで乾燥する。
【0133】
実施例5
スクシンイミジルセミカルバジド−PEG−ヒドラゾンの調製
図6に示すように、THF中のアミノエチル−PEG−酢酸(図6、化合物1参照、1mmol;Shearwater Polymers, Birmingham, AL)にトリエチルアミン(2.2mmol)とホスゲン(1mmol)を添加する。反応混合物を室温で2時間攪拌し、溶媒を除去して生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで単離する。
【0134】
この化合物(1mmol)のTHF溶液にt−ブチルカルバゼート(1mmol)溶液を添加する。反応混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒を減圧下除去し、生成したBOC−保護セミカルバジドをシリカゲルクロマトグラフィーで単離する。
【0135】
この化合物のジオキサン溶液に4M塩酸/ジオキサンを添加し反応混合物を室温で2時間攪拌する。反応混合物中にアルゴンを通気して過剰の塩酸を除去し、次いで減圧下溶媒を除去する。その残渣をジオキサンと2回共蒸発させる。残渣を再度メタノールに懸濁させ、アセトン(1.1mmol)で処理し、室温で1時間攪拌する。反応混合物を減圧下濃縮し、所望のヒドラゾン酸を含有する残渣をTHFに溶解する。この溶液をNHS(1mmol)で処理し、DCC(1mmol)のTHF溶液を滴加する。室温で3時間攪拌した後、DCU析出物を濾去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで単離する。
【0136】
実施例6
ヒドラゾン−保護ヒドラジンシラン試薬の調製とガラス表面の修飾
a.ヒドラゾン−保護ヒドラジンシラン試薬
THF中のトリエトキシアミノプロピルシラン(United Chemical Technologies, Bristol, PA;1.0当量)にスクシンイミジル4−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(1.0当量)溶液を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌した。析出物がフラスコの側壁に生成した。反応混合物を脱脂綿栓で濾過し、その濾液を減圧下濃縮乾固した。残渣は所望のシランヒドラゾンとN−ヒドロキシスクシンイミドの当モル量混合物を含有していた。この混合物を直接使用してガラス表面を修飾した。
【0137】
b.ガラス表面の修飾
ガラス製マイクロスコープスライドを0.1M NaOH溶液中に1時間浸漬して調製する。次いでスライドを水とエタノールで洗浄し、真空オーブン中で乾燥する。スライドを実施例6の化合物の98%エタノール/2%水の5%溶液に浸漬し、室温で4時間インキュベートする。スライドをエタノール、次いで水で洗浄し、再度エタノールで洗浄する。スライドを真空オーブン中で一昼夜乾燥する。
【0138】
実施例7
芳香族アルデヒド部分を導入するための96ウェルプレートの調製
アミノ修飾96ウェルプレート(Costar or Corning)を以下のようにしてスクシンイミジル4−ホルミルベンゾエート(SFB)で修飾する。SFB(10mg/mlの1.25mL)のDMSO新鮮溶液を調製する。この溶液をリン酸バッファー食塩水(PBS)(0.1Mホスフェート、0.15M NaCl、pH7.4:100mL)中に希釈する。各ウェルに200μLのSFB/PBS溶液を添加し室温で4時間インキュベートする。ウェルをPBS/0.5% Tweenで3回洗浄する。ウェルを乾燥し、蛋白の固定化に供する。
【0139】
実施例8
芳香族ヒドラジン部分を導入するための96ウェルプレートの調製
アミノ−修飾96ウェルプレート(Costar or Corning)を以下のようにしてスクシンイミジルアセトンニコチン酸ヒドラゾン(SANH)で修飾する。SANH(1.0mg/mLの1.25mL)のDMSO新鮮溶液を調製する。この溶液をPBS(0.1Mホスフェート、0.15M NaCl、pH7.4:100mL)中に希釈する。各ウェルに200μLのSANH/PBS溶液を添加し、室温で4時間インキュベートする。ウェルを水で洗浄し、次いで0.1Mアセテート、pH4.7(200μL)で処理する。ウェルをPBS/0.5% Tweenで3回洗浄する。ウェルを乾燥しカルボニル部分を含有する分子の固定化に供する。
【0140】
実施例9
スクシンイミジルカルバジジル修飾試薬による蛋白修飾の一般的工程
牛血清アルブミンの5mg/mL PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製する。スクシンイミジル4−セミカルバジジルベンゾエート塩酸塩(SSCH;3.5mg)のDMF溶液(100μL)を調製する。蛋白溶液にSSCH/DMF溶液(30当量)を添加する。反応混合物を室温で4時間インキュベートする。反応混合物を30Kのウルトラフリー遠心分離機にかけ、共役バッファーで3回(3x400μL)洗浄して修飾蛋白を単離する。精製蛋白は、0.2mMの2−p−ニトロベンズアルデヒドのPBS溶液(pH7.4)を添加し、380nm(吸光係数22,600)で吸光度を測定して(BCAアッセイ)、その蛋白濃度とヒドラジン修飾レベルを定量する。
【0141】
実施例10
スクシンイミジルカルボニル修飾試薬による蛋白質修飾の一般的工程
ポリクローナルIgGの5mg/ml PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製した。スクシンイミジル4−ホルミルベンゾエート(SFB;2mg)のDMF溶液(50μL)を調製する。蛋白溶液にSFB/DMF溶液(15当量)を添加した。反応混合物を室温で4時間インキュベートする。反応混合物を30Kのウルトラフリー遠心分離機にかけ、0.1M MES、0.9% NaCl、pH4.7で3回(3x400μL)洗浄することにより、修飾IgGを単離してバッファー交換した。精製蛋白は、0.2mMの2−p−ヒドラジノピリジンの0.1M MES、0.9% NaCl、pH 4.7溶液中で蛋白試料をインキュベートし、360nm(モル吸光係数20,000)で吸光度を測定して(BCAアッセイ;Pierce Chemical Co., Rockford, IL)、その蛋白濃度とカルボニル修飾レベルを定量する。
【0142】
実施例11
ヒドラジン修飾蛋白調製の一般的工程
オバルブミンの5mg/mL PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製した。スクシンイミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(SANH)(実施例2)(2mg)のDMF溶液(50μL)を調製する。蛋白溶液にSANH/DMF溶液(15当量)を添加した。反応混合物を室温で4時間インキュベートする。反応混合物を30Kのウルトラフリー遠心分離機にかけ、0.1M MES、0.9% NaCl、pH4.7で3回(3x400μL)洗浄することにより、修飾蛋白を単離してバッファー交換した。した。精製蛋白は、0.5mMの4−ニトロベンズアルデヒドの0.1M MES、0.9% NaCl、pH4.7溶液中で蛋白試料をインキュベートし、360nm(モル吸光係数20,000)で吸光度を測定して(BCA測定;Pierce Chemical Co., Rockford, IL)、その蛋白濃度とヒドラジン修飾レベルを定量する。
【0143】
実施例12
ヒドラジン修飾蛋白とカルボニル修飾蛋白との反応による複合体調製の一般的工程
MES(1mg;2.5mg/mL溶液の0.200μL)中のアルデヒド修飾IgG (実施例10)にヒドラジン修飾オバルブミン溶液(実施例11、1mL;5mg/mL溶液の0.200μL)を添加し、反応混合物を室温で4時間インキュベートした。反応混合物をPAGEゲル分析し(クマシーブルー展開)、高分子量生成物、<5%の未反応アルデヒド修飾IgG、及び<10%の未反応ヒドラジン修飾オバルブミンの存在が判明した。共役レベルを360nmでの吸光度の測定により定量した。
【0144】
実施例13
チオセミカルバジド修飾蛋白の調製
オバルブミンの5mg/mL PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製した。スクシンイミジル4−チオセミカルバジジルベンゾエート塩酸塩(STBH)(2mg)のDMF(50μL)溶液を調製する。蛋白溶液にSTBH/DMF溶液(15当量)を添加した。反応混合物を室温で4時間インキュベートした。反応混合物を30Kのウルトラフリー遠心分離機にかけ、0.1M MES、0.9% NaCl、pH 4.7で3回(3x400μL)洗浄することにより、修飾蛋白を単離してバッファー交換した。精製蛋白について、その蛋白濃度を定量した(BCAアッセイ;Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。
【0145】
実施例14
チオセミカルバジド修飾蛋白のアルデヒド修飾蛋白への共役
実施例12のヒドラジン修飾蛋白についての記載と同様の方法で、実施例13で調製したチオセミカルバジド蛋白をアルデヒド修飾蛋白と反応させた。PAGEゲルによる分析により、実施例12で見られたのと同様の共役化効率を示した。
【0146】
実施例15
ヒドラジド修飾蛋白の調製
オバルブミンの5mg/mL PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製した。スクシンイミジル4−ヒドラジドテレフタレート塩酸塩(SHTH)(2mg)のDMF(50μL)溶液を調製する。蛋白溶液にSHTH/DMF溶液(15当量)を添加した。反応混合物を室温で4時間インキュベートした。反応混合物を30Kのウルトラフリー遠心分離機にかけ、0.1M MES、0.9% NaCl、pH 4.7で3回(3x400μL)洗浄することにより、修飾蛋白を単離してバッファー交換した。精製蛋白について、その蛋白濃度を定量した(BCAアッセイ;Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。
【0147】
実施例16
ヒドラジド修飾蛋白のアルデヒド修飾蛋白への共役化
実施例12のヒドラジン修飾蛋白についての記載と同様の方法で、実施例15で調製したヒドラジド修飾蛋白をアルデヒド修飾蛋白と反応させた。PAGEゲルによる分析により、実施例12で見られたのと同様の共役化効率を示した。
【0148】
実施例17
BSA−(NHNH2)n/酸化デキストラン複合体の調製
デキストラン溶液(MW5000、0.20mL、10mg/mlのPBS)に100mM 過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、最終的に5μMの過ヨウ素酸塩濃度とした。反応混合物を室温で20分間インキュベートし、次いで0.5mL ウルトラフリー5K MWCOデバイス中で濃縮した。生成物をバッファーで200μLまで希釈し、上記実施例9に記載のように調製したヒドラジノ修飾BSA溶液(2.5mg/mL溶液の100μL)に添加した。反応混合物のPAGEゲル分析の結果、蛋白が完全に酸化デキストランと共役していることが判明した。
【0149】
実施例18
金粒子のスクシンイミジルヒドラジニウム修飾試薬による修飾の一般的工程
システアミンのDMF溶液(1mmol;Aldrich Chemical Company, Milwaukee, WI)にスクシンイミジル6−BOC−ヒドラジノニコチネート(2mmol)DMF溶液を添加する。反応混合物を、TLC(薄層クロマトグラフィー)により総てのエステルが消費されたことが確認されるまで、室温で攪拌する。減圧下溶媒を除去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで単離する。
【0150】
金粒子(10mg)の0.1M共役バッファー懸濁液pH7.4に上記化合物(20mg)のDMF(20μL)溶液を添加する。反応混合物を室温で16時間攪拌し、その上清を除去し、金粒子を水で3回洗浄する。この粒子はアルデヒドで修飾された生体分子の補足に使用される。
【0151】
実施例19
抗体上の炭水化物部分の酸化
ポリクローナルまたはモノクローナル抗体(100μL、5mg/mL)のバッファー溶液(100mMアセテート又はMES、pH4.0-5.5)に過ヨウ素酸ナトリウム溶液(100mM水溶液5μLで最終過ヨウ素酸塩濃度5μMとする)を添加する。反応混合物を室温で20分間インキュベートし、ウルトラフリー30Kまたは50K MWCOデバイスを用いて、まず反応混合物を濃縮し、次いでバッファーで2回洗浄することにより精製する。
【0152】
実施例20
ヒドラジン修飾IgGの過ヨウ素酸塩酸化ホースラディッシュペルオキシダーゼへの共役
実施例11に記載のように調製したヒドラジン修飾IgG溶液に過ヨウ素酸塩酸化ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を添加し、室温で2時間インキュベートした。反応混合物のPAGE分析により>80%の複合体形成が示された。
【0153】
実施例21
酸化ホースラディッシュペルオキシダーゼのヒドラジン修飾プレートへの固定化
過ヨウ素酸塩酸化ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を所望の濃度にまで希釈し、実施例9に記載のようにヒドラジノ基を有するよう修飾された96−3456ウェルプレートに添加する。この抗体溶液を2〜18時間インキュベートし、溶液を除去して0.5% Tween溶液(2回)とバッファー(2回)で洗浄する。
【0154】
実施例22
5'−アミノ基を有する合成オリゴヌクレオチドのスクシンイミジル保護ヒドラジン修飾試薬による修飾の工程
a.5'−ヒドラジン修飾オリゴヌクレオチドの調製
C6−アミノリンカー(Glen Research アミノ−6Cアミダイト)が導入されている25単位の(25−mer)修飾オリゴヌクレオチドホスホジエステルを調製した(5'−NH2−(CH2)8−ttt ttt tag cct aac tga tgc cat g−3';MW 7791g/mol、229.5OD/μmol;TriLink BioTechnologies, Inc., San Diego, CA)。このオリゴヌクレオチドを共役バッファー(100mM ホスフェート、1150mM 塩化ナトリウム、pH7.4)に溶解し、0.92OD/μL濃度とした。オリゴヌクレオチド溶液(64μL;2mg)にDMF(32μL)を添加した。SANH(実施例2;3.8 mg)のDMF(100μL)溶液を調製した。SANH/DMF溶液試料(18.8μL;10当量)をオリゴヌクレオチド溶液に添加し、室温で一昼夜インキュベートして反応を進行させた。反応をC18 RP-HPLC(溶液A:50mM トリエチルアンモニウムアセテート、溶液B:アセトニトリル−グラディエント0−50% A 30分以上;50−80% 10分以上;80−0% 5分以上)で追跡した。ヒドラジン修飾オリゴヌクレオチドを脱保護し、Millipore 5K MWCOウルトラフリーダイアフィルトレーション(ultrafree diafiltration)デバイスを用いて反応混合物を100mMアセテートpH4.7で希釈し、次いでダイアフィルトレーションデバイス中で濃縮することにより精製した。生成物を更にバッファー(2x400μL)で洗浄した。オリゴヌクレオチドをA260アッセイで定量し、ヒドラジンの導入を実施例9に記載のp−ニトロベンズアルデヒドアッセイで測定した。
【0155】
b.5'−アルデヒド修飾オリゴヌクレオチドの調製
スクシンイミジル4−ホルミルベンゾエート(Pierce Chemicals, Rockville, IL)を用いて上に記載の方法を実施した。オリゴヌクレオチドをA260アッセイで定量し、アルデヒドの導入を実施例10(A360, e20,000)に記載のアセテート中の2−ヒドラジノピリジン 0.5 mM pH4.7を用いるアッセイで測定した。
【0156】
実施例23
5'−ヒドラジノ修飾オリゴヌクレオチドの5'−アルデヒド修飾オリゴヌクレオチドへの架橋
図5に示すように、5'−ヒドラジンオリゴヌクレオチド(実施例22.a.,0.05OD)と5'−アルデヒドオリゴヌクレオチド(実施例22. b., 00.2OD)を混合し,室温で16時間インキュベートすることにより架橋を行った。PAGE(115% アクリルアミドゲル)でそれぞれ別のレーンの出発試薬と反応生成物を比較することにより反応を解析した。その結果,ゲル中に二量体生成物が存在すると期待される低移動度の新しいバンドが存在することが示された。
【0157】
実施例24
脂肪族スクシンイミジルオキシアミノ塩酸塩の調製
スクシンイミジルBOC−アミノオキシアセテート(Kaneko et al. (1991) Bioconjugate Chem. 1 :133 ;1当量)を4M HCl/ジオキサン(Aldrich Chemical Co., Milwaukee, WI)に添加し、室温で一昼夜攪拌する。生成した固体を遠心分離で分離し、乾燥ジオキサンで繰り返し(3回)洗浄して所望のスクシンイミジルエステル塩酸塩を得る。
【0158】
実施例25
スクシンイミジル脂肪族オキシムの調製
ジオキサン中のアミノオキシ酢酸(1当量)にアセトン(1.2当量)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌する。反応混合物にN−ヒドロキシスクシンイミド(1当量)を添加し、次いでジオキサン中のDCC(1当量)溶液を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌する。析出したDCUを濾去し、その濾液を濃縮乾固して所望のスクシンイミジルエステルオキシムを得る。
【0159】
実施例26
二官能性芳香族オキシアンモニウム塩酸塩−O−オキシアンモニウムニコチン酸塩酸塩(SONH)の調製
図9に示すように、6−クロロニコチン酸(1当量)の80%エタノール水溶液にヒドロキシアミン(500当量)を添加し、この溶液を16時間還流する。反応混合物を濃縮乾固し、水に溶解する。この溶液をアイスバスで冷却し、濃塩酸で沈殿物が生成するまで酸性化する、pH約5.0。固体を単離し、水に再溶解して溶液のpHを塩基を用いて7.5まで上昇させる。ジオキサン(1容量)をこの溶液に添加し、次いでジ−t−ブチルジカーボネート(5当量;Aldrich Chemical Co.,)を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌し、ジオキサンを留去する。残渣をシリカクロマトグラフィーにかけて所望のBOC酸を単離する。この酸(1当量)をDMFに溶解し、NHS(1当量)で処理し、次いでDMF中のDCC(1当量)を滴加する。反応混合物を室温で4時間攪拌し、固体を濾去して、その濾液を濃縮乾固し、そして酢酸エチルに再度懸濁させる。沈殿物を再度濾去し、その濾液を濃縮乾固して所望のBOCスクシンイミジルエステルをシリカゲルクロマトグラフィーで単離する。
【0160】
BOCスクシンイミジルエステルをジオキサンに溶解し、同量の4N HCl/ジオキサン(Aldrich Chemical Co.)で処理して、反応混合物を室温で一昼夜攪拌する。反応混合物中にアルゴンを通気して過剰のHClを除去し、次いで不均一混合物を遠心分離して生成した沈殿物を単離する。上清を除去し、ペレットをジオキサンで繰り返し洗浄する。最終の固体物を減圧下乾燥して所望のスクシンイミジル6−O−オキシアンモニウムニコチン酸塩酸塩(SONH)を得る。
【0161】
実施例27
オキシアミノ修飾蛋白の調製
オバルブミンの5mg/mL PBS(100mM ホスフェート、150mM NaCl、pH7.4)と2mM EDTA溶液(200μL;1mg蛋白)を調製する。スクシンイミジルアミノオキシアセテート塩酸塩(SAAH)(2mg)のDMF(50μL)溶液を調製する。蛋白溶液にSAAH/DMF溶液(15当量)を添加する。反応混合物を室温で4時間インキュベートする。反応混合物を30Kウルトラフリー遠心分離機にかけ、0.1M MES、0.9% NaCl、pH 4.7で3回(3x400μL)洗浄することにより、修飾蛋白を単離してバッファー交換する。精製蛋白は、その蛋白濃度を定量する(BCAアッセイ;Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。
【0162】
実施例28
ヒドラジノニコチンアミド修飾ポリマーの調製
ポリ−l−リジン(10mg;Sigma Chemicals, St. Louis, MO; cat. #P-7890)溶液を共役バッファー、0.1M ホスフェート、0.15M NaCl、pH 7.4(1mL)に溶解した。スクシンイミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(SANH;1.3mg)をDMSO(13μL)に溶解した。2種類のポリ−l−リジン試料(200μL)にSANH/DMSO溶液(2.85μL(10当量)と5.7μL(20当量))を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌インキュベートした。修飾ポリマーを、0.1M MES、0.9% NaCl、pH4.7バッファーで予め平衡化したNAP-25カラム(Pharmacia)上でゲル濾過して単離した。分画(1mL)を回収してUV(A260)で分析した。UV活性生成物を含有する分画を集めて所望の生成物が得られた。この生成物は、その試料(2μL)をp−ニトロベンズアルデヒド(98μL)の0.5mM溶液に溶解して37℃で1時間インキュベートし、次いでA390(吸光係数22000)での読取りをして、ヒドラジン含量についての比色分析を行った。HyNic:ポリ‐l‐リジンポリマーが共役工程において直接使用された。アミン/ヒドラジン含量がTNBSAアッセイ(トリニトロベンゼンスルホン酸;Pierce Chemical, Inc., Rockville, IL)を用いて測定された。
【0163】
実施例29
脂肪族ヒドラジン修飾蛋白の調製と過ヨウ素酸塩酸化細菌性多糖類への共役
脂質部に不飽和性を有する細菌性多糖類(ATCC由来;10mg/mL)の水溶液を10mM過ヨウ素酸ナトリウム(1/10容量で過ヨウ素酸塩1mM溶液を調製)で処理し、室温で30分間インキュベートする。反応混合物を、予め水で平衡化して低分子不純物を除去したセファデックスG−25に通す。多糖類が結合している画分を集めて5mg/mLまで濃縮する。
【0164】
SAAHを使用して破傷風毒素をオキシアミノ基が導入されるように修飾し(実施例27参照)、MES中のこのオキシアミノ修飾蛋白に酸化細菌性多糖類を添加する。反応混合物を室温で4時間インキュベートし、Superdex 200 カラム(AP Biotech, Piscataway, NJ)でサイズ排除クロマトグラフィーにかけて複合体を分離する。
【0165】
種々の変更を為し得ることは当業者にとって自明であることから、本発明は添付の請求項の範囲によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
B−R−A−NHNH2・HX I
〔式中、Aは、−NH(C=O)−、−NH(C=S)−、−NHNH(C=O)−、−NHNH(C=S)−又はRへの結合手;
Bはアミノ又はチオール反応性部分;
Rは任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の脂肪族基:シクロアルキレン、C(R10)2、−C(R10)=C(R10)−、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G)a、P(J)b(R10)、P(J)b(LR10)、N(R10)、>N+(R12)(R13)、及びC(L)であり;式中、aは0又は1又は2;bは0、1、2又は3;GはO又はNR10;JはS又はO;そしてLはS、O、又はNR10;各R10は、独立して水素及びM1−R14から選ばれる一価の基;各M1は、独立して任意の順序で結合している以下に示す基の任意の組合わせを含む二価の基:直接結合手、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、C(R15)2、−C(R15)=C(R15)、>C=C(R12)(R13)、>C(R12)(R13)、−C≡C−、O、S(G1)a、P(J)b(R15)、P(J)b(LR15)、N(R15)、N(COR15)、>N+(R12)(R13)、及びC(L);式中、aは0、1、又は2;bは0、1、2、又は3;GはO又はNR15;JはS又はO;そしてLはS、O、又はNR15;R14及びR15は、それぞれ独立して水素、ハロ、擬ハロ、シアノ、アジド、ニトロ、SiR16R17R18、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、及びNR19R20の基から選ばれ;R19及びR20は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びヘテロサイクリルの基から選ばれ;R12及びR13は、以下に示す(i)又は(ii)から選ばれる:(i)R12及びR13は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選ばれる;又は(ii)R12及びR13は、相互にアルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンを形成する;R16、R17及びR18は、それぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、及びNR19NR20から選ばれる一価の基;そして
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、及びR20は、それぞれ独立してZから選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよく、式中、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヒドロキシ、S(O)hR30、NR30R31、COOR30、COR30、CONR30R31、OC(O)NR30R31、N(R30)C(O)R31、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルコキシカルボニル、カルボキシアリール、ハロ、擬ハロ、ハロアルキル、及びカルボキサミドから選ばれ;hは0、1又は2;そしてR30及びR31は、それぞれ独立して水素、ハロ、擬ハロ、シアノ、アジド、ニトロ、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリル、トリアリールシリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルケニル、ヘテロサイクリルアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアリールアミノから選ばれ;そして
Xは陰性カウンターイオン〕で示される化合物又はその誘導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−153716(P2012−153716A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101484(P2012−101484)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2001−568897(P2001−568897)の分割
【原出願日】平成13年3月22日(2001.3.22)
【出願人】(502214996)ソルリンク・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SOLULINK, INCORPORATED
【Fターム(参考)】