説明

ヒドラジン化合物の製造方法

【課題】 何ら無機塩を副生することなく、環境への負荷を低減した、ヒドラジン化合物の工業的に優れた製造方法を提供する。
【解決手段】 水又は低級アルコール中で、尿素に電解反応を適用することを特徴とする水加ヒドラジン又はカルバジン酸エステルの製造方法、及び低級アルコール中で尿素に電解反応を適用して得られたカルバジン酸エステルを、尿素及び酸の存在下に加熱することを特徴とするヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解反応を用いたヒドラジン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドラジン及びその誘導体は医農薬や機能性化学物質の原料等に幅広く使用されている。例えばヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)は、工業用及び食品用発泡剤として有用なアゾジカルボンアミド(ADCA)の合成中間体として有用である。
従来、HDCAの製造方法としては、例えば、水加ヒドラジンと尿素を加熱反応させて製造する方法(特許文献1及び2参照)、尿素を酸化的にクロロ尿素とし、Hoffmann転移、水付加を伴う脱炭酸によりヒドラジンに変換した後、単離することなく尿素と反応させて製造する方法が知られている。
【0003】
また、尿素を酸化的にクロロ尿素とし、Hoffmann転移、アンモニア付加により、セミカルバジドに変換し(特許文献3参照)、単離することなく尿素と反応させてHDCAに変換することもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のヒドラジンと尿素とを反応させる場合、1モルのHDCAの生成に対して2モルのアンモニアの発生を伴う。世界的に環境への窒素の放出量が規制されている状況下において、生じたアンモニアは当量以上の塩酸や硫酸等の酸で中和して、アンモニウム塩として排出しなければならない。また、後者のセミカルバジドからHDCAを得る方法においても、変換時にアンモニアを副生するため、同様に処理するか、セミカルバジドの製造工程のための回収再使用する方式を採用しなければならず、他の方法に比べて特別な設備が必要となる。
【0005】
一方、尿素を原料としてヒドラジンを得るには、尿素をクロロ尿素とし、転移反応、脱炭酸反応させることで製造できるが、尿素をクロロ尿素とする工程において次亜塩素酸ナトリウムを使用するため塩化ナトリウムが大量に副生する。廃水の塩濃度が高いと廃水処理で使用する活性汚泥が使用できなくなるため、廃水処理する前に予め塩化ナトリウムを回収、除去しなければならない。
【0006】
以上のように、いずれの方法においても多量の無機塩を副生するため、それを除去する工程が必要となる。更に除去した無機塩の処分における環境問題を考慮した場合には、工業的に優れた方法とはいえない。
【特許文献1】特開昭51−11719号
【特許文献2】米国特許第2692281号
【特許文献3】特許第2952712号
【0007】
本発明の課題は有用な工業原料となりうるヒドラジン化合物を、何ら無機塩を副生することなく、環境への負荷を低減した、工業的に優れた製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明に係る。
1.水又は低級アルコール中で尿素に電解反応を適用することを特徴とする水加ヒドラジン又はカルバジン酸エステルの製造方法。
2.低級アルコール中で尿素に電解反応を適用することを特徴とするカルバジン酸エステルの製造方法。
3.低級アルコール中で尿素に電解反応を適用して得られたカルバジン酸エステルを、尿素及び酸の存在下に加熱することを特徴とするヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
4.低級アルコール中で尿素に電解反応を適用し、カルバジン酸エステルへの変換率を40〜60%とし、次いで酸を加えて加熱することを特徴とするヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
5.式(4)で表されるカルバジン酸エステルを、尿素及び酸の存在下に加熱することを特徴とする式(5)で表されるヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
【0009】
【化1】

(Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0010】
【化2】

【0011】
6.水中で尿素に電解反応を適用することを特徴とする水加ヒドラジンの製造方法。
【0012】
本発明者等は種々研究を重ねた結果、水加ヒドラジン、カルバジン酸エステル及びHDCAの簡便で効率の良い、更には環境への負荷が極めて小さい製造方法を見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、水加ヒドラジン、カルバジン酸エステル、HDCAの製造において塩化ナトリウム等の無機塩及びアンモニアが副生することなく、極めて効率的に目的物を得ることができ、工業的に極めて優位である。
【0014】
また本発明のカルバジン酸エステルに尿素を酸の存在下で反応させることにより、HDCAを製造する方法においては、カルバジン酸エステルと尿素とがモル比1:1で反応し、生じるアンモニアがHDCAの生成に消費されるため、見かけ上アンモニアが副生しないという工業的に有利な特徴を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のヒドラジン化合物の製造方法は、下記反応式で表される。
【0016】
【化3】

[式中、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。]
【0017】
反応式1によれば、式(1)で表される尿素に水又は低級アルコール中で電解反応を行なうことで、式(2)で表されるイソシアネート誘導体を経由して、式(3)で表される水加ヒドラジン又は式(4)で表されるカルバジン酸エステルが製造される。更に式(4)で表されるカルバジン酸エステルから式(5)で表されるHDCAが製造される。
【0018】
本発明の製造方法は尿素に電解反応を適用する。電解反応に使用される電極材料としては、一般の電解反応に使用される電極材料であれば特に限定されないが、例えば陽極としてはチタン、白金、炭素、酸化鉛、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、鉛、及びそれらの複合材又は積層体等また陰極としてはチタン、白金、炭素、酸化鉛、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、鉛、及びそれらの複合材又は積層体等、経済性と反応効率を考慮して適宜選択されることが好ましい。
【0019】
本反応で使用される低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールを挙げらることができ、これら低級アルコールは1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。
本発明の製造方法においては、水又は低級アルコールのいずれかを選択することによって製造するヒドラジン化合物を選択することができる。
【0020】
目的とするヒドラジン化合物が水加ヒドラジンの場合は水を使用ることで製造することができる。
目的とするヒドラジン化合物がカルバジン酸エステルの場合には、エステル部のアルコキシ基に相当する低級アルコールを使用することで製造することができ、カルバジン酸メチルの場合はメタノール、カルバジン酸エチルの場合はエタールを使用することで達成できる。カルバジン酸エステルの製造においては、尿素の溶解度及び反応効率を考慮してメタノール又はエタノールが好ましく、特にメタノールが好ましい。
【0021】
これら水又は低級アルコールの使用量は、経済性、反応効率、反応基質の溶解度を考慮して適宜選択されることが好ましく、例えば尿素1モルに対して0.1〜15.0L、好ましくは1.0〜10.0Lの範囲で使用すればよい。これら水又は低級アルコールは反応に関与するが、溶媒としても機能する。
また、必要に応じて他の有機溶媒を使用してもよく、本電解反応に悪影響を与えないものであれば何れの有機溶媒も使用できる。
【0022】
本電解反応においては支持電解質を用いるのが好ましい。支持電解質としては一般電解反応にて用いられる支持電解質であれば特に限定されず使用でき、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなどが挙げられるが、経済性、環境面を考慮すると塩化ナトリウムが好ましい。
支持電解質の使用量は、例えば尿素1モルに対して0.001〜1当量程度、好ましくは0.01〜0.5当量程度とすればよいが、本使用量は、電圧に影響を及ぼすため、反応効率、経済性を考慮して適宜選択するのが好ましい。
【0023】
電解反応で使用した支持電解質は、ろ過等の処理によって回収することができ、再利用することが可能である。
電解反応は、基本的には無隔膜装置を用いて行うことが好ましいが、条件に応じて隔膜、イオン交換膜を使用することも可能である。
【0024】
電流密度としては、1〜200mA/cm、好ましくは10〜100mA/cm、更に好ましくは20〜80mA/cmの範囲で適宜選択すればよい。電流密度が1mA/cm未満では反応効率が低下し、また200mA/cmを越えると反応の選択性が大きく低下する。
通電量は、尿素の1mol当り、01F/mol以上、好ましくは0.1〜50F/mol、より好ましくは0.5〜40F/mol、更に好ましくは0.8〜30F/molの範囲で適宜選択すればよい。本電解反応は2電子酸化反応であり、理論上尿素1モルに対して2F/molで尿素の全量が変換され、1F/molで尿素の半量が変換される。よって、エネルギー効率を考慮して、条件を適宜設定することで通電量を理論量へ近づけることが好ましい。
【0025】
印加電圧は、1〜30V、好ましくは1〜20V、更に好ましくは1.5〜15Vの範囲で支持電解質の使用量、装置及びその他条件に応じて適宜選択するのが好ましい。
電解反応の反応温度は、使用する水又は低級アルコールの沸点以下であれば特に限定されず、室温程度で反応が進行することを特徴としており、例えば0〜40℃、好ましくは20〜30℃の範囲で、尿素の溶解度に応じて適宜選択するのが好ましい。
【0026】
本電解反応においては、支持電解質の種類、電極の種類、電流密度、通電量、温度及びその他条件を適宜設定することで、目的物への変換割合を制御することが可能である。例えば、支持電解質に塩化ナトリウム、電極に白金電極、電流密度約50mA、室温程度とする条件下において、通電量を約10F/mol以上とすることで反応が略一定して完結させることができ、通電量を5〜7F/mol程度とすることで、変換率40〜60%とすることができる。
【0027】
次に電解反応により得られたカルバジン酸エステルに尿素を酸の存在下で反応させることにより、容易にHDCAを製造することができる。
本反応において、使用する尿素の量は、カルバジン酸エステル1モルに対して0.5〜2モル程度、好ましくは0.8〜1.5モル程度、更に好ましくは1.0〜1.2モル程度とすればよい。
【0028】
本反応は適当な溶媒中で行なわれる。溶媒としては、通常水が最も好ましいが、基質の水への溶解度を考慮して含水メタノール、含水エタノール、含水テトラヒドロフラン、含水ジオキサン等を適宜選択しても良い。
溶媒の使用量としては、尿素の濃度が0.1〜10mol/L、より好ましくは1〜5mol/Lとなる量とすればよい。
【0029】
本反応に使用する酸としては、例えば硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸等のヘテロポリ酸、強酸性のイオン交換樹脂、シュウ酸等の有機酸、アルミノシリケート等の固体酸が挙げられ、1種単独で使用するか、もしくは目的に応じて2種類以上混合して使用することができる。
【0030】
酸の使用量は、通常カルバジン酸エステル1モルに対して0.01〜1モル、より好ましくは0.05〜0.5モル程度とすればよい。
使用量がカルバジン酸誘導体1モルに対して0.01モル未満の場合は、反応速度が急激に低下し、また1モルを越えると反応選択性が低下し、目的物の収率が低下する。
【0031】
反応温度は、通常10℃から使用する溶媒の沸点までの温度とすればよいが、反応速度を増大する目的で溶媒を沸点以上の温度で還流することが好ましい。
反応時間はカルバジン酸エステルの種類、反応温度によって異なるが、通常3〜30時間程度で完結する。
【0032】
本方法で製造されたHDCAは、例えばろ過、溶媒抽出、再結晶等の慣用されている単離手段によって単離できる。
なお、本反応において使用するカルバジン酸エステルは、前記電解反応によって得られたものを単離して使用してもよいが、前記電解反応において支持電解質の種類、電極の種類、電流密度、通電量、温度及びその他条件を適宜設定してカルバジン酸エステルへの変換率を制御し、変換率40〜60%、好ましくは約半分の変換率として反応系内に尿素とカルバジン酸エステルとが略等量存在するよう調製して使用することができる。この場合、反応系に存在する尿素とカルバジン酸エステルが反応してHDCAが生成するので改めて尿素を加える必要がなく、電解反応液をそのままか、又は濾過して得られたろ液に酸を加えて、本反応液としてもよく、電解反応液中の溶媒を除去して得られた残渣に改めて溶媒及び酸を加えて、本反応液としても良い。
【0033】
本反応においては、カルバジン酸エステルと尿素とがモル比1:1で反応し、生じるアンモニアがHDCAの生成に消費されるため、見かけ上アンモニアが副生しないという工業的に有利な特徴を有している。
【実施例】
【0034】
以下に本発明を実施例により説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1(カルバジン酸メチルの製造)
尿素1.2g(20mmol)をメタノール50mlに溶解し、塩化ナトリウム0.30g(5.2mmol)を添加したのち、陽極、陰極ともに白金電極(縦20mm×横10mm)を用いた無隔膜装置(容量100cc)にて、10F/molの電流を通した(電流密度50mA/cm、印加電圧10〜15V、約25℃)。反応混合物よりメタノールを減圧下で除去し、得られた残渣に塩化メチレン10mlを加えた。不溶物を濾過して除き、母液の溶媒を減圧下で除去して、粗カルバジン酸メチル1.71gを淡黄色結晶として得た(95% yield from Urea)。
以下の高速液体クロマトグラフィーを用いて純度を確認したところ98.5%であったことより、収率93.6%とした(from Urea)。
<高速液体クロマトグラフィー条件>
カラム:ODS A−303(YMC社製)
検出波長(UV):225nm
移動相:アセトニトリル/水=5/95
流速:0.8ml/min
カラムオーブン温度:40℃
【0036】
実施例2(カルバジン酸メチルの製造)
塩化ナトリウムを臭化カリウムに替える以外は、実施例1と同様に行って、カルバジン酸メチルを収率90.1%で得た。
【0037】
実施例3(カルバジン酸メチルの製造)
通電量を20F/molとする以外は、実施例1と同様に行って、カルバジン酸メチルを収率92.2%で得た。
【0038】
実施例4(カルバジン酸エチルの製造)
メタノールをエタノールに替える以外は、実施例1のカルバジン酸メチルの製造と同様に行い、収率92.8%でカルバジン酸エチルを得た。
【0039】
実施例5(HDCAの製造)
実施例1で製造したカルバジン酸メチル1.71g(18.7mmol)に尿素1.12g(18.9mmol)、水10ml及び濃硫酸(98%)0.552g(5.5mmol)を添加し、オイルバスを用いて30時間環流した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した白色結晶を濾別した後、結晶を水洗し、110℃で24時間乾燥してHDCA1.21gを得た。
得られた結晶は、IRスペクトルにおいて標品と完全一致していることより、HDCAであると判断した。また、以下の高速液体クロマトグラフィーを用いて純度を確認したところ95.2%であったことより、収率95.2%とした(from カルバジン酸メチル)。
融点:248〜252℃
IR(KBr法) :3390cm−1(ν−CONH), 3205cm−1(ν−CONH−), 1672(ν−CO−)
<高速液体クロマトグラフィー条件>
カラム:Inertsil ODS−3 (GLサイエンス社製)
検出波長(UV):205nm
移動相:NaHPO/KHPO(18mmol/9mmol) 水/メタノール=96/4
流速:0.5ml/min
カラムオーブン温度:30℃
【0040】
実施例6(HDCAの製造)
尿素1.2g(20mmol)をメタノール50mlに溶解し、塩化ナトリウム0.30g(5.2mmol)を添加した後、陽極、陰極ともに白金電極(縦20mm×横10mm)を用いた無隔膜装置(容量100cc)にて、6.7F/molの電流を通した(電流密度50mA/cm、印加電圧10〜15V、約25℃)。反応混合物に9.4mmol(変換率約47%)のカルバジン酸メチルが含有されていることを高速液体クロマトグラフィーにより確認した。
反応混合物より減圧下でメタノールを除去した後、水10mlと濃硫酸(98%)0.276g(2.8mmol)を添加し、オイルバスを用いて4時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した白色結晶を濾別した後、結晶を水洗し、110℃で24時間乾燥してHDCA1.09gを得た(92% yield from Urea)。
得られた結晶は、IRスペクトルにおいて標品と完全一致していることより、ヒドラゾジカルボンアミドであると判断した。また、高速液体クロマトグラフィーを用いて純度を確認したところ99.0%であったことより、収率91.1%とした(from Urea)。
【0041】
実施例7(HDCAの製造)
尿素1.2g(20mmol)をメタノール50mlに溶解し、塩化ナトリウム0.30g(5.2mmol)を添加した後、陽極、陰極ともに白金電極(縦20mm×横10mm)を用いた無隔膜装置(容量100cc)にて、3.4F/molの電流を通した(電流密度70mA/cm、印加電圧2.1〜2.3V、約22℃)。反応混合物に9.5mmolのカルバジン酸メチルが含有されていることを高速液体クロマトグラフィーにより確認した。
反応混合物より減圧下でメタノールを除去した後、水10mlと濃硫酸(98%)0.276g(2.8mmol)を添加し、オイルバスを用いて4時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した白色結晶を濾別した後、結晶を水洗し、110℃で24時間乾燥してHDCA1.10gを得た(93% yield from Urea)。
得られた結晶は、IRスペクトルにおいて標品と完全一致していることより、ヒドラゾジカルボンアミドであると判断した。また、高速液体クロマトグラフィーを用いて純度を確認したところ98.2%であったことより、収率91.3%とした(from Urea)。
【0042】
実施例8(水加ヒドラジンの製造)
尿素1.2g(20mmol)を蒸留水100mlに溶解し、塩化ナトリウム0.30g(5.2mmol)を添加した後、陽極、陰極ともに白金電極(縦20mm×横10mm)を用いた無隔膜装置(容量100cc)にて、10F/molの電流を通した(電流密度50mA/cm、印加電圧10〜15V、約25℃)。反応液を0.2g採取し、脱イオン水を用いて30mlに希釈した。次に6N塩酸を用いて酸性化した後、約3mlのクロロホルムを加えてヨウ素酸カリウム滴定を行い、得られた水加ヒドラジンの収率65%を算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は低級アルコール中で尿素に電解反応を適用することを特徴とする水加ヒドラジン又はカルバジン酸エステルの製造方法。
【請求項2】
低級アルコール中で尿素に電解反応を適用することを特徴とするカルバジン酸エステルの製造方法。
【請求項3】
電解反応を電流密度1〜200mA/cmで行なう請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
低級アルコール中で尿素に電解反応を適用して得られたカルバジン酸エステルを、尿素及び酸の存在下に加熱することを特徴とするヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
【請求項5】
低級アルコール中で尿素に電解反応を適用し、カルバジン酸エステルへの変換率を40〜60%とし、次いで酸を加えて加熱することを特徴とするヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
【請求項6】
式(4)で表されるカルバジン酸エステルを、尿素及び酸の存在下に加熱することを特徴とする式(5)で表されるヒドラゾジカルボンアミドの製造方法。
【化1】

(Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化2】

【請求項7】
水中で尿素に電解反応を適用することを特徴とする水加ヒドラジンの製造方法。
【請求項8】
電解反応を電流密度1〜200mA/cmで行なう請求項7記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−144077(P2006−144077A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335788(P2004−335788)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】