ヒドロコドンの安息香酸、安息香酸誘導体及びヘテロアリールカルボン酸結合体、そのプロドラッグ、製造法及び使用
ここに記載された技術は、ヒドロコドンの乱用可能性が低減されたヒドロコドンの新規プロドラッグ/組成物を形成するために、ヒドロコドン(モルフィナン−6−オン,4,5−アルファ−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル)に化学結合されたアリールカルボン酸、例えばベンゾエート及びヘテロアリールカルボン酸を含む組成物を提供する。本技術はまた、患者の治療法、薬剤キット及び本技術の結合体の合成法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2009年7月2日出願の米国仮出願第61/222,718号に基づく優先権を主張し、その全文を引用によって本明細書に援用する。
【0002】
連邦支援研究又は開発
[0002][適用なし]
【背景技術】
【0003】
[0003]オピオイドは鎮痛薬として非常に効果的で、急性及び慢性痛の治療のために一般的に処方されている。それらは咳止めとしても一般的に使用されている。しかしながら、オピオイドは陶酔感ももたらすため、習慣性が高い。その結果、しばしば乱用され、広範囲にわたる社会的及び健康関連の影響がある。
【0004】
[0004]生得的な乱用可能性のために、オピオイドアゴニストを含有するあらゆる医薬組成物は、できるだけ抗乱用性又は乱用抑止性医薬組成物として製造されるのが望ましい。違法使用者は、多くの場合、オピオイドアゴニストの即時放出を達成するために、製品を注射又はさもなければ誤用することによって、これらの剤形の持続放出特性を巧みにくぐり抜けようとする。
【0005】
[0005]それらの習慣性及び乱用可能性にもかかわらず、モルヒネ様薬物、特に、コデイン、ヒドロコドン、及びオキシコドンは、ここ数十年、重度の急性及び慢性痛の治療薬として日常的に処方されてきた。その理由の一部は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)のような他の弱い鎮痛薬が効かない重度の疼痛を緩和する代替品がないためである。この観点から、乱用可能性を低減する必要がある。これまでのところ、取られた手法は残念ながら問題の解決に至っていない。
【0006】
[0006]ヒドロコドンは、オピオイド鎮痛薬及び鎮咳薬で、微細な白色結晶又は結晶性粉末として存在する。ヒドロコドンは、コデインから製造される半合成の麻薬性鎮痛薬で、多数の作用が質的にコデインと類似している。主として中等度〜中重度の疼痛を緩和するために使用される。さらに、咳止めシロップ及び錠剤中の鎮咳薬として準鎮痛用量(2.5〜5mg)で使用されている。
【0007】
[0007]ヒドロコドンのようなオピオイド鎮痛薬を疼痛緩和のために服用している患者は、意図せずして依存症になる可能性がある。オピオイドに対する耐性が生じるので、処方用量で初期に達成されていた疼痛緩和と幸福感(sense of well being)発現のために、より多くの薬物を必要とするようになる。これは用量増加をもたらし、チェックされないまま放置されると、急速に依存につながることになりかねない。患者がわずか30日間で重症の依存症になったケースもある。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本技術は、オピオイドヒドロコドンとある種のアリールカルボン酸との共有的な結合(covalent conjugation)を利用し、インビボで活性ヒドロコドンが結合体(conjugate)の酵素的又は代謝的分解を通じて放出されるようにすることによって、過剰摂取又は乱用を引き起こすその可能性を低減する。本技術はまた、静脈内(“シューティング(shooting)”)注射及び鼻腔内投与(“スノーティング(snorting)”)のような迂回ルートによる乱用に対する抵抗性を持たせながら、経口投与後にヒドロコドンを放出する結合体としてヒドロコドンを送達する方法も提供する。
【0009】
[0009]ここに記載された技術は、少なくとも一つの側面において、結合ヒドロコドンの緩徐/持続/制御放出組成物を提供する。該組成物は、例えば経口投与されると、安全な治療濃度域内でヒト又は動物の血液系にヒドロコドン及び/又はその活性代謝産物であるヒドロモルホンの緩徐/持続/制御送達を可能にする。本技術の少なくとも一部の組成物/製剤は、ヒドロコドン及び類似化合物に付随する依存/乱用可能性及び/又はその他の一般的副作用を低減できる。
【0010】
[0010]一側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。安息香酸又はその誘導体は、下記式I:
【0011】
【化1】
【0012】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。一部の側面において、安息香酸又はその誘導体は、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである。
【0013】
[0011]別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。
【0014】
[0012]さらに別の側面において、本技術は、疼痛、好ましくは中等度〜重度の疼痛を治療するのに使用するため、又は経口、鼻腔内もしくは静脈内薬物乱用を低減又は防止するのに使用するためのヒドロコドンの結合体を提供する。一部の側面において、該結合体は、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用に対する抵抗性を提供する。
【0015】
[0013]別の側面において、本技術は、一定時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより大きいか等しいAUCを示すヒドロコドンの少なくとも一つの結合体を提供する。他の側面において、ヒドロコドンの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、又は物理的もしくは化学的操作による薬物改ざんを防止する。
【0016】
[0014]別の側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価の(bioequivalent)AUCを提供するのに足る量で提供される。更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、Cmaxスパイクを提供しない又は治療上等価な量の非結合ヒドロコドンよりも低いCmaxを有する。なお更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxスパイクを提供しない。一部の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、等価のCmaxスパイクを提供する。
【0017】
[0015]さらに別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。安息香酸又はその誘導体は、式I:
【0018】
【化2】
【0019】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0020】
[0016]別の側面において、少なくとも一つの結合体は、患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する。
【0021】
[0017]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。安息香酸又はその誘導体は、式I:
【0022】
【化3】
【0023】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0024】
[0018]一部の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する少なくとも一つの結合体を提供する。他の側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する。
【0025】
[0019]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合によって治療できる疾患、障害又は状態(例えば疼痛)を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0026】
[0020]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することによって治療できる疾患、障害又は状態(例えば依存)を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0027】
[0021]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのベンゾエート、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。ベンゾエートは、式I:
【0028】
【化4】
【0029】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれてよく;そしてxは、1〜10の間の整数である。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0030】
[0022]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0031】
[0023]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。
【0032】
[0024]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を提供する。少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれる。式II、式III及び式IVは、
【0033】
【化5】
【0034】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。一部の側面において、少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸はピリジン誘導体である。
【0035】
[0025]一部の側面において、本技術は、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する少なくとも一つの結合体を提供する。
【0036】
[0026]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0037】
[0027]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0038】
【化6】
【0039】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0040】
[0028]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0041】
[0029]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。一部の側面において、ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0042】
【化7】
【0043】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0044】
[0030]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0045】
[0031]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せをとの少なくとも一つの結合体含有する特定数の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0046】
【化8】
【0047】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0048】
[0032]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。安息香酸又は安息香酸誘導体は、下記式I:
【0049】
【化9】
【0050】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0051】
[0033]別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。
【0052】
[0034]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体とを含むプロドラッグを提供する。一部の側面において、プロドラッグは、式II、式III又は式IVから選ばれる少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸を含み、式II、式III及び式IVは、
【0053】
【化10】
【0054】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0055】
[0035]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。
【0056】
[0036]一部の側面において、プロドラッグは、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む。
【0057】
[0037]一部の側面において、少なくとも一つの結合体は、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する。一部の更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンの少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1A】[0038]図1Aは、本技術の結合体の製造に使用するためのヒドロキシ安息香酸及び安息香酸誘導体の化学構造を示す。
【図1B】[0038]図1Bは、本技術の結合体の製造に使用するためのヒドロキシ安息香酸及び安息香酸誘導体の化学構造を示す。
【図2】[0039]図2は、本技術の結合体の製造に使用するためのアミノ安息香酸の化学構造を示す。
【図3】[0040]図3は、本技術の結合体の製造に使用するためのアミノヒドロキシ安息香酸の化学構造を示す。
【図4A】[0041]図4Aは、一般的ヒドロコドン製品と用量範囲の表である。
【図4B】[0041]図4Bは咳止めシロップに使用されている一般的ヒドロコドン製品の表である。
【図5】[0042]図5は、ラットへの経口投与後、Bz−HC(ベンゾエート−ヒドロコドン)、YYFFI−HC(Tyr−Tyr−Phe−Phe−Ile−ヒドロコドン)及びジグリコレート−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図6】[0043]図6は、ラットへのBz−HC、YYFFI−HC、及びジグリコレート−HCの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図7】[0044]図7は、ラットへの鼻腔内投与後、Bz−HC及びアジペート−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図8】[0045]図8は、ラットへのBz−HC及びアジペート−HCの鼻腔内投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図9】[0046]図9は、ラットへの経口投与後、Bz−HC、ニコチネート−HC、及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図10】[0047]図10は、ラットへのBz−HC、ニコチネート−HC、及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図11】[0048]図1は、ラットへの経口投与後、Bz−HC、2−ABz−HC、及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図12】[0049]図12は、ラットへのBz−HC、2−ABz−HC、及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図13A】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Aは、ベンゾエートヒドロコドンの合成を示す。
【図13B】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Bは、ニコチネートヒドロコドン(ニコチン酸)の合成を示す。
【図13C】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Cは、2−アミノベンゾエートヒドロコドンの合成を示す。
【図13D】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Dは、サリチレートヒドロコドンの合成を示す。
【図14】[0051]図14は、ラットへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷(intact)Bz−HC、活性代謝産物ヒドロモルホン、及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図15】[0052]図15は、イヌへの経口投与後、Bz−HC及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図16】[0053]図16は、イヌへのBz−HC及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図17】[0054]図17は、イヌへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷Bz−HC及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図18】[0055]図18は、0.30mg/kgでのラットへの静脈内投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷Bz−HC、活性代謝産物ヒドロモルホン、及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図19】[0056]図19は、6種類の異なる用量でのラットへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図20】[0057]図20は、6種類の異なる用量でのラットへのBz−HCの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
[0058]本技術は、ヒドロコドンの新規プロドラッグ及び組成物を形成するために、ヒドロコドン(モルフィナン−6−オン,4,5−アルファ−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル)に化学結合されたアリールカルボン酸を含む組成物を提供する。一部の態様において、これらの二つの部分間の化学結合は、ヒドロコドンのC−6エノール互変異性体とアリールカルボン酸の活性化されたカルボン酸官能基との反応によって確立でき、それによってエノール−エステル結合体が創製される。
【0060】
[0059]“オピオイド”(という用語)の使用は、脳、脊髄及び腸管に見出されるオピオイド受容体を活性化させるあらゆる薬物を含むものとする。オピオイドは4つのクラスに大別される。すなわち、天然のアヘンアルカロイド、例えばモルヒネ(原型的オピオイド)、コデイン、及びテバイン;内因性オピオイドペプチド、例えばエンドルフィン;半合成物、例えばヘロイン、オキシコドン及びヒドロコドン、これらは天然アヘンアルカロイド(アヘン剤)を修飾することによって製造され、類似の化学構造を有する;及び純合成物、例えばフェンタニル及びメタドン、これらはアヘンから製造されていないので、アヘンアルカロイドとは非常に異なる化学構造を有しうる。オピオイドの追加例は、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、レボルファノール、ジヒドロコデイン、メペリジン、ジフェノキシレート、スフェンタニル、アルフェンタニル(alfentanil)、プロポキシフェン、ペンタゾシン、ナルブフィン、ブトルファノール、ブプレノルフィン、メプタジノール(meptazinol)、デゾシン、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩である。
【0061】
[0060]“ヒドロコドン”(という用語)の使用は、コデインから製造され、多数の作用が質的にコデインのそれと類似している半合成の麻薬性鎮痛薬及び鎮咳薬を含むものとする。一般的に中等度〜中重度の疼痛を緩和するために使用される。商品名は、Anexsia(登録商標)、Hycodan(登録商標)、Hycomine(登録商標)、Lorcet(登録商標)、Lortab(登録商標)、Norco(登録商標)、Tussionex(登録商標)、Tylox(登録商標)、及びVicodin(登録商標)などである。ヒドロコドンのその他の塩形、例えば酒石酸水素ヒドロコドン及びヒドロコドンポリスチレックス(polistirex)も、本技術に包含される。
【0062】
[0061]本技術の一部の態様では、ヒドロコドンに結合されたカルボン酸を提供する。そこではカルボン酸基がアリール部分に直接結合している。アリール部分に直接結合されたカルボン酸は、ベンゾエート及びヘテロアリールカルボン酸などである。
【0063】
[0062]本技術の一部の態様では、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を提供する。ベンゾエートは天然によく見られる。例えば、アミノベンゾエート(例えばフェナメートのようなアントラニル酸類似体)、アミノヒドロキシベンゾエート及びヒドロキシベンゾエート(例えばサリチル酸類似体)などであるが、これらに限定されない。
【0064】
[0063]本技術の安息香酸及び安息香酸誘導体の一般的構造は、
【0065】
【化11】
【0066】
である。式中、X、Y及びZは、独立して、H、O、S、NH又は−(CH2)−のいずれかの組合せでよく;R1、R2及びR3は、独立して、下記すなわち、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルのいずれかでよく;そしてo、p、qは、独立して、0又は1のいずれかでよい。
【0067】
[0064]適切なヒドロキシ安息香酸は図1に見出すことができる。例えば、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸(thymotic acid)、ジフルシナル(diflusinal)、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸(resorcylic acid)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、ゲンチジン酸、ピペロニル酸(piperonylic acid)、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(veratric acid)(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸(syringic acid)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸などであるが、これらに限定されない。
【0068】
[0065]適切なアミノ安息香酸は図2に示されており、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸などであるが、これらに限定されない。
【0069】
[0066]適切なアミノヒドロキシ安息香酸は、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸などであるが、これらに限定されない。
【0070】
[0067]一部の態様において、組成物は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含むベンゾエート結合体、その塩又はそれらの組合せを含む。
【0071】
[0068]一部の態様において、ベンゾエートは、多数の安息香酸類似体、ヒドロキシル又はアミノ基又はその両方の組合せを有するベンゾエート誘導体を含む。ヒドロキシル及びアミノ官能基は、遊離形で存在しても、又は別の化学部分、好ましくはメチル又はアセチル基(これらに限定されない)でキャップされて存在してもよい。フェニル環は追加の置換基を有していてもよいが、置換基の総数は4以下、3以下、又は2以下でありうる。
【0072】
[0069]別の態様において、本技術のプロドラッグ又は結合体組成物はベンゾエート−ヒドロコドンであり、
【0073】
【化12】
【0074】
の構造を有する。
【0075】
[0070]さらに別の態様において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せをとの少なくとも一つの結合体含むプロドラッグ又は組成物を提供する。ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ぶことができ、式II、式III及び式IVは、
【0076】
【化13】
【0077】
である。これらの式に関し、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0078】
[0071]一部の態様において、アリールカルボン酸のカルボキシ基は、芳香環に直接結合できる。本技術は、炭素のみのアリール基及びヘテロ原子を有するアリール基(ヘテロアリール)の両方を含む。カルボキシル官能基に直接連結しているアリール又はヘテロアリール基は、6員環であり得、0個又は1個のヘテロ原子を含有する。一部の態様では、追加の置換又は非置換芳香族又は脂肪族環が、この6員アリール又はヘテロアリール部分に縮合していてもよい。一部の態様では、アリールカルボン酸は、ただ1個の遊離カルボン酸基を持つことができ、6員環上のフェニル置換基の総数は4以下、例えば4、3、2又は1個であるべきである。
【0079】
[0072]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンの結合体は、ヒドロコドンに連結されている個別のアリールカルボン酸に応じて、中性、遊離酸、遊離塩基、又は様々な製薬学的に許容可能なアニオン性又はカチオン性の塩又は塩混合物(正成分と負成分間の比率は任意)の形態を取ることができる。これらの塩形は、酢酸塩、L−アスパラギン酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、D−カンシル酸塩、L−カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩/臭化物、塩酸塩/塩化物、D−乳酸塩、L−乳酸塩、D,L−乳酸塩、D,L−リンゴ酸塩、L−リンゴ酸塩、メシル酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−酒石酸塩、L−酒石酸塩、D,L−酒石酸塩、メソ−酒石酸塩、安息香酸塩、グルセプト酸塩、D−グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、イセチオン酸塩、マロン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、ステアリン酸塩、トシル酸塩、アセフィリネート(acefyllinate)、アセチュレート(aceturate)、アミノサリチル酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳炭酸塩(camphocarbonate)、デカン酸塩、ヘキサン酸塩、コール酸塩、シピオン酸塩、ジクロロ酢酸塩、エデンテート(edentate)、エチル硫酸塩、フレート(furate)、フシジン酸塩、ガラクタル酸塩(ムケート(mucate))、ガラクツロン酸塩、没食子酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩(エナント酸塩)、ヒドロキシ安息香酸塩、馬尿酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ヨウ化物、キシナホ酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩、ナパジシル酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、サリチル酸塩、サリチル硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、テレフタル酸塩、チオサリチル酸塩、トリブロフェネート(tribrophenate)、吉草酸塩、バルプロ酸塩、アジピン酸塩、4−アセトアミド安息香酸塩、カンシル酸塩、オクタン酸塩、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、グリコール酸塩、チオシアン酸塩、及びウンデシレン酸塩などであるが、これらに限定されない。
【0080】
[0073]本技術にとって、適切なヒドロコドンの結合体はニコチネート−ヒドロコドンで、下記構造:
【0081】
【化14】
【0082】
を有する。
【0083】
[0074]本技術の一部の態様は、インビボで酵素的に又はその他の方法で分解して活性ヒドロコドンと各アリールカルボン酸又はその代謝産物を放出するヒドロコドンの結合体を提供する。本技術の結合体に使用されるアリールカルボン酸は、所定の用量レベルで非毒性であり、好ましくは公知薬物、天然産物、代謝産物、又はGRAS(安全食品認定(Generally Regarded As Safe))化合物(例えば保存剤、色素、フレーバーなど)又はそれらの非毒性模倣体(mimetics)である。
【0084】
[0075]本技術の化合物、組成物及び方法は、過剰摂取の可能性の低減、乱用又は依存の可能性の低減を提供し、そして/又は、高毒性又は準最適放出プロフィールに関するヒドロコドンの特性を改良する。以下の理論に限定されることは望まないが、本発明者らは、過剰摂取からの保護がもたらされるのは、結合体が経口投与によって異なる酵素及び/又は代謝経路に暴露されるためであろうと考えている。経口投与の場合、結合体は腸管及び初回通過代謝に暴露されるのに対し、循環又は粘膜中の酵素への暴露は、ヒドロコドンの結合体からの放出能力を制限する。ゆえに、抗乱用性は、プロドラッグによって放出される活性ヒドロコドンから得られる“ラッシュ(恍惚感)”又は“ハイ(高揚感)”が制限され、代替投与経路の効果が制限されることによってもたらされる。
【0085】
[0076]本技術の組成物は、注射又は鼻腔内投与経路で投与された場合、好ましくは薬理活性を持たないか又は実質的に低減された薬理活性を有する。しかしながら、経口的にはバイオアベイラビリティを保っている。ここでも何らかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、バイオアベイラビリティは、経口投与後の化学結合(すなわち共有結合)の加水分解の結果であろう。少なくとも一つの態様において、ヒドロコドンの放出は、本技術の組成物が非経口経路で送達された場合、低減する。
【0086】
[0077]例えば、一態様において、本技術の組成物は、錠剤、カプセル、又はその他の経口剤形の粉砕後もその有効性及び抗乱用性を維持する。これに対し、親の非結合形のヒドロコドンからはヒドロコドンが粉砕後直ちに放出されるので、粉砕錠剤の内容物を、依存者が求めている“ラッシュ”効果を生み出す注射又は鼻吸引(スノーティング)によって使用することを可能にする。
【0087】
[0078]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンの結合体は、動物又はヒト患者に経口投与でき、投与されると体内で加水分解されることによって活性ヒドロコドンを放出する。何らかの特定の理論に拘束されるのではないが、アリールカルボン酸は天然の代謝産物又はその模倣体又は医薬活性化合物であるので、これらの結合体は生理系に容易に認識されうる結果、加水分解及びヒドロコドンの放出に至ると考えられている。結合体自体は結合体としての薬理活性はないか又は限定的であるので、親薬物とは異なる代謝経路に従うことができる。
【0088】
[0079]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンに結合させる適切なアリールカルボン酸(“リガンド”)の選択は、全身循環へのヒドロコドンの放出を決定するので、結合体が経口以外の経路で投与された場合でも制御可能になる。一態様において、修飾ヒドロコドンは、遊離又は非修飾ヒドロコドンと同様にヒドロコドンを放出する。別の態様において、結合ヒドロコドンは、制御又は持続形態でヒドロコドンを放出する。一部の態様において、この制御放出は、ある種の副作用を軽減でき、親薬物の安全性プロフィールを改良する。これらの副作用は、不安、紫斑、便秘、食欲減退、呼吸困難、めまい、眠気、喉の渇き、下痢、頭痛、吐き気、胃痙攣、胃痛、嘔吐などであるが、これらに限定されない。別の態様において、結合ヒドロコドンは、選択的にヒドロコドンのヒドロモルホンへの代謝を可能にする。一部の態様において、これらの結合体は、疼痛緩和、例えば中等度〜重度の疼痛緩和に使用できる。
【0089】
[0080]ヒドロコドン及びその他のオピオイドも習慣性が高く、物質乱用に陥りやすい。オピオイドの気晴らし的な薬物乱用はよくある問題で、通常は陶酔感(“ラッシュ”、“ハイ”)を達成する目的で摂取された経口用量から始まる。そのうちに薬物乱用者は、より強力な“ハイ(高揚感)”を達成するため、又は高くなったオピオイド耐性を補うために、経口用量を増量していくことが多い。この行動がエスカレートすると、鼻腔内(“スノーティング”)又は静脈内(“シューティング”)といった他の投与経路を模索することになる。
【0090】
[0081]本技術の一部の態様において、適切なアリールカルボン酸リガンドと結合されたヒドロコドンは、経口投与後、血漿中濃度に潜在的薬物乱用者が求める急激なスパイクは生じない。一部の態様において、これらの結合体から放出されたヒドロコドンは、遅延されたTmaxと、おそらくは非結合ヒドロコドンより低いCmaxを有する。何らかの特定理論に拘束されるのではないが、本技術の結合体は、経口又はその他の非経口経路によって摂取された場合、高用量で摂取されても“ラッシュ”感は生み出さないが、それでも疼痛緩和は維持すると考えられる。
【0091】
[0082]さらに、一部の態様において、本技術の適切なリガンドと結合されたヒドロコドンは、非経口経路で投与された場合、効率的に加水分解されない。その結果、これらの結合体は、注射又は鼻から吸引されても、これらの経路から投与された遊離ヒドロコドンと比べて、放出ヒドロコドンの高い血漿中又は血中濃度を生じない。
【0092】
[0083]一部の態様において、本技術の結合体は、共有結合されたヒドロコドンからなるので、例えば固体形の磨砕又は粉砕などの方法によって結合ヒドロコドンからヒドロコドンオピオイドを放出させるための物理的操作は不可能である。さらに、本技術の結合体は、潜在的薬物乱用者が、例えば結合体を沸騰、又は酸性もしくは塩基性溶液処理することによって分子の活性部分を“抽出”するために適用しうる条件下での化学的加水分解に対する耐性を示す。
【0093】
[0084]本技術の組成物及びプロドラッグは経口剤形でありうる。これらの剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、ロゼンジ、散剤、懸濁液、シロップ、溶液又は経口薄膜(oral thin film,OTF)などであるが、これらに限定されない。好適な経口投与形は、カプセル、錠剤、溶液及びOTFである。
【0094】
[0085]固体剤形は、下記種類の賦形剤、すなわち粘着防止剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤、フレーバー及び着色剤、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、吸着剤及び甘味剤を含みうるが、これらに限定されない。
【0095】
[0086]本技術の経口製剤は、水性液体又は非水性液体中の溶液又は懸濁液に包含されてもよい。該製剤は、水中油型液体エマルジョン又は油中水型液体エマルジョンなどのエマルジョンでありうる。油は、調製済み腸溶製剤に精製及び滅菌された液体を加えることによって投与できるので、その後これを嚥下不能な患者の栄養チューブに入れる。
【0096】
[0087]軟質ゲル又は軟質ゼラチンカプセルは、例えば製剤を適切なビヒクル(植物油が一般的に使用される)中に分散させて高粘度混合物を形成することによって製造できる。次に、この混合物を、軟質ゲル業界の当業者に公知の技術及び機械を使用してゼラチンベースのフィルムで被包する。次に、このようにして形成された個々の単位を恒量になるまで乾燥させる。
【0097】
[0088]チュアブル(咀嚼)錠は、例えば、製剤を、嚥下というより咀嚼用の比較的軟質のフレーバー付き錠剤を形成するために設計された賦形剤と混合することによって製造できる。従来の錠剤機及び手順、例えば、直接打錠法及び顆粒化法、すなわちスラッグ法(圧縮(打錠)の前に錠剤用の顆粒を製造するためのスラッグを形成する)が利用できる。医薬固体剤形の製造に携わっている者は、チュアブル剤形は製薬業界で非常に一般的な剤形であるので、使用されるプロセス及び機械について熟知している。
【0098】
[0089]フィルムコーティング錠は、例えば、連続フィルム層を錠剤上に付着させるための回転パンコーティング(rotating pan coating)法又はエアサスペンション(air suspension)法などの技術を用いて錠剤をコーティングすることによって製造できる。
【0099】
[0090]圧縮錠剤は、例えば、製剤を、崩壊質に結合質を加味するための賦形剤と混合することによって製造できる。混合物は、当業者に公知の方法及び機械を用いて、直接打錠されるか又は顆粒化された後打錠される。次に、得られた圧縮錠剤の用量単位は、市場のニーズに応じて、例えば、単位用量、ロール、バルクボトル、ブリスターパックなどに包装される。
【0100】
[0091]本技術は、生物学的に許容しうる担体の使用も想定している。これらは様々な材料から製造されうる。そのような材料は、希釈剤、結合剤及び接着剤、滑沢剤、可塑剤、崩壊剤、着色剤、増量物質、フレーバー、甘味剤、並びに特定の薬用組成物を製造するための緩衝剤及び吸着剤などの各種材料などであるが、これらに限定されない。
【0101】
[0092]結合剤は、様々な材料から選ぶことができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、又はその他の適切なセルロース誘導体、ポビドン、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、製薬用グレーズ、ガム、ホエーなどの乳誘導体、デンプン、及び誘導体のほか、当業者に公知のその他の従来的結合剤などである。溶媒の非制限的例は、水、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン又はそれらの混合物及び組合せである。増量物質の非制限的例は、糖、ラクトース、ゼラチン、デンプン、及び二酸化ケイ素などである。
【0102】
[0093]本技術の製剤は、上で特記した成分に加えて、フレーバー剤、保存剤及び酸化防止剤などのその他の適切な薬剤も含みうることは理解されるはずである。そのような酸化防止剤は食品用としても容認可能な、ビタミンE、カロテン、BHT又はその他の酸化防止剤などであろう。
【0103】
[0094]混合によって含めることができるその他の化合物は、例えば、医学的に不活性な成分、例えば、固体及び液体希釈剤として、錠剤又はカプセルの場合、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、デンプン又はリン酸カルシウムなど、軟質カプセルの場合、オリーブ油又はオレイン酸エチルなど、懸濁液又はエマルジョンの場合、水又は植物油など;滑沢剤として、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム及び/又はポリエチレングリコールなど;ゲル化剤として、コロイド粘土など;増粘剤として、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウムなど;結合剤として、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドンなど;崩壊剤として、デンプン、アルギン酸、アルギネート又はデンプングリコール酸ナトリウムなど;飽和剤(effervescing mixtures);染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート又はラウリル硫酸塩;及びそのような製剤用の公知添加剤であるその他の治療上許容可能な副成分、例えば保湿剤、保存剤、緩衝剤及び酸化防止剤などである。
【0104】
[0095]経口投与の場合、希釈剤、分散剤及び/又は界面活性剤を含有する微粉末又は顆粒が、頓服水剤(draught)中に、水又はシロップ中に、乾燥状態のカプセル又はサシェ中に、懸濁化剤を含みうる非水性懸濁液中に、あるいは水又はシロップ中の懸濁液中に存在しうる。所望であれば、フレーバー剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤又は乳化剤を入れてもよい。
【0105】
[0096]経口投与用の液体分散物は、シロップ、エマルジョン又は懸濁液でありうる。シロップは、担体として、例えばサッカロース又はサッカロースとグリセロール及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールを含有しうる。特に、糖尿病患者用のシロップは、担体として、グルコースに代謝されないか又は非常に少量しかグルコースに代謝されない唯一の製品、例えばソルビトールを含有しうる。懸濁液及びエマルジョンは、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールなどの担体を含有しうる。
【0106】
[0097]現在認可されているヒドロコドンの製剤は、意図する適応に応じて、ヒドロコドンと一つ又は複数のその他の非麻薬性活性成分との併用療法である。これらの活性薬剤の例は、アセトアミノフェン、フェニルプロパノールアミン、ホマトロピン、イブプロフェン、アスピリン、フェニラミン、クロルフェニラミン、フェニレフリン、偽エフェドリン、ピリラミン及びグアイフェネシンなどであるが、これらに限定されない。本技術の結合ヒドロコドンは、これら又はその他の活性物質の一つ又は組合せと共に製剤化されても、又は何らかの他の活性剤なしに単独型活性成分として製剤化されてもよい。
【0107】
[0098]結合体の組成物又はプロドラッグは、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合又は結合の阻害を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法に使用できる。治療法は、本技術に記載されているヒドロコドンの少なくとも一つの結合体の製薬学的に有効な量を患者に経口投与することを含む。該結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、一定の時間にわたって緩徐な放出速度及びAUCを示すことができる。他の態様において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける少ない変動を示すことができる。
【0108】
[0099]他の態様において、少なくとも一つの結合体は、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC(曲線下面積)を提供するのに足る量で提供される。更なる態様において、該結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、血漿中のCmax(ピーク濃度)は低いか又は血漿中濃度に等価のCmaxを提供しない。一部の側面において、該結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のCmaxを提供するのに足る量で提供される。
【0109】
[00100]本技術のプロドラッグ又は組成物によって治療できる適切な疾患、障害又は状態は、麻薬中毒又は薬物中毒及び/又は急性又は慢性痛である。
【0110】
[00101]本技術の結合体の用量は、それらの分子量及び全結合体の一部として占めるヒドロコドンの各重量パーセンテージによるので、遊離ヒドロコドンの用量より高くなりうる。用量は、酒石酸水素ヒドロコドンの用量力価に基づいて計算でき、用量あたり2.5mg〜15mgの範囲である。酒石酸水素ヒドロコドンからヒドロコドンプロドラッグへの用量換算は次式を用いて実施できる。
【0111】
用量(HCプロドラッグ/結合体)=[用量(酒石酸水素HC)×(分子量(HCプロドラッグ/結合体)/494.49)]/(プロドラッグ/結合体から放出されるヒドロコドンの割合)
HC:ヒドロコドン
[00102]本技術の結合ヒドロコドンの適切な用量は、約0.5mg以上、あるいは約2.5mg以上、あるいは約5.0mg以上、あるいは約7.5mg以上、あるいは約10mg以上、あるいは約20mg以上、あるいは約30mg以上、あるいは約40mg以上、あるいは約50mg以上、あるいは約60mg以上、あるいは約70mg以上、あるいは約80mg以上、あるいは約90mg以上、あるいは約100mg以上、及びそれらに追加される任意の増分、例えば0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9又は1.0mg及びそれらの倍数(例えば、×1、×2、×2.5、×5、×10、×100など)を含む製剤などであるが、これらに限定されない。本技術は、現在認可されているヒドロコドンの製剤(図4参照)を含む用量製剤(dosage formulation)も含むが、その用量は、酒石酸水素ヒドロコドンの量によって決定される上記式を用いて計算できる。本技術は、単独療法として又は他のAPI(図4)との併用療法として製剤化された剤形を提供する。
【0112】
[00103]本技術のヒドロコドンと安息香酸又はニコチン酸の誘導体との結合体は、いくつかの利点を有している。例えば、遊離ヒドロコドンと比較した場合、患者のヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度の変動が少ない、薬物乱用の可能性が少ない、化学的又は物理的操作のリスクが少ないので全用量のヒドロコドンの放出がもたらされる、カルボン酸又はその誘導体への共有結合を通じて剤形が改良される、ヒドロコドンからヒドロモルホンへの代謝が増大又は減少する、及び/又は薬物乱用以外の副作用が少ない、などであるが、これらに限定されない。
【0113】
[00104]ヒドロコドンは麻薬性鎮痛薬で、中枢神経系(CNS)中のオピオイド受容体で弱いアゴニストとして作用する。主に、μ(ミュー)受容体(OP3)に作用するが、δ(デルタ)受容体(OP1)及びκ(カッパ)受容体(OP2)でもアゴニスト活性を示す。また、ヒドロコドンは、脳の延髄にある咳中枢における咳反射を抑制することによる鎮咳特性も示す。
【0114】
[00105]オピオイド鎮痛薬の副作用は、消化管に存在するミュー(μ)受容体へのオピオイドの結合によって引き起こされる胃腸障害などである。胃における副作用は、塩酸の分泌の減少、胃の運動の減退、従って胃内容物排出時間の延長(これは食道逆流をもたらしうる)などである。胃内容物の十二指腸通過が12時間も遅れることがあり、経口投与された薬物の吸収が遅延する。小腸では、オピオイド鎮痛薬は、胆汁、膵液及び腸液の分泌を減退させ、小腸での食物の消化を遅らせる。オピオイドの投与後、結腸での推進蠕動波は減退又は消失し、緊張は痙攣点にまで増大する。結果としての腸内容物の通過の遅れは、便の相当な乾燥を引き起こし、それが今度は結腸を通る便の前進を遅らせる。これらの作用は、薬物の中枢作用のために排便反射に対する正常な感覚刺激への不注意とも相俟って、オピオイド誘発性便秘に寄与する。
【0115】
[00106]ヒドロコドンは、中等度〜中重度の疼痛の治療、及び咳(特に乾性の痰を伴わない咳)の阻止のために使用される。本技術のプロドラッグは、疼痛緩和又は咳抑制のため又はオピオイド受容体のブロックを必要としうる何らかの状態の治療のために投与されうる。
【0116】
[00107]本技術の結合体は、便秘作用の低減又は阻害など、オピオイド鎮痛薬の副作用の低減を提供できる。
【0117】
[00108]本技術は、本技術の結合ヒドロコドンを製造するための合成法も提供する。一態様において、本技術の合成法は、
1.必要であればリガンドの保護;
2.リガンドのカルボン酸基の活性化(まだ活性形でない場合);
3.塩基の存在下で活性化リガンドのヒドロコドンへの付加、又はその逆;及び
4.該当する場合、リガンド保護基の除去
のステップを含む。
【0118】
[00109]アリールカルボン酸が、ヒドロコドンへの結合を妨害しうる何らかの更なる反応性官能基を含有している場合、まず一つ又は複数の保護基を付けることが必要となりうる。官能基の種類及び反応条件に応じて任意の適切な保護基が使用できる。いくつかの保護基の例は、アセチル(Ac)、β−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDPS)、トリイソピロピルシリル(TIPS)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(MPM)、トシル(Ts)である。カルボニル官能基からのアセタール又はケタールの一時的形成も適切でありうる。
【0119】
[00110]リガンドのカルボン酸基は、ヒドロコドンと反応させて相当量の結合体を生成するために活性化されるべきである。この活性化は、当業者に公知の様々なカップリング剤によって多数の方法で達成できる。そのようなカップリング剤の例は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)又はその他のカルボジイミド;(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)又はその他のホスホニウムベースの試薬;O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TFFH)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)又はその他のアミニウムベースの試薬である。アリールカルボン酸は、適切なハロゲン化アシル、アジ化アシル又は混合無水物に変換することもできる。
【0120】
[00111]ヒドロコドンのアリールカルボン酸結合体の合成スキームのいずれのステップにおいても塩基が必要とされうる。適切な塩基は、4−メチルモルホリン(NMM)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、任意のアルカリ金属tert−ブトキシド(例えばカリウムtert−ブトキシド)、任意のアルカリ金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)、任意のアルカリ金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド)、トリエチルアミン又は任意のその他の第三級アミンなどであるが、これらに限定されない。
【0121】
[00112]ヒドロコドンのアリールカルボン酸結合体の合成スキームのいずれの反応にも使用できる適切な溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘプタン、ヘキサン、メタノール、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン又は水などであるが、これらに限定されない。
【0122】
[00113]一部の態様において、プロドラッグは疎水性であるが故に水に難溶性である。この結果、化合物を水と混合すると、ゲル様の稠度又は塊状懸濁液が得られる。これらのプロドラッグの例は、ピペロニレート(Piperonylate)−HC、3−OH−4−MeO−Bz−HC、3−OH−Bz−HC及びガレート(Gallate)−HCなどであるが、これらに限定されない。これらのプロドラッグは、水溶性の欠如のために、ラットでは鼻腔内投与できない。何らかの理論に拘束されるのではないが、これらの化合物は、ヒト対象がそれらを鼻腔内吸入(“スノーティング”)しようとすると、凝固する又は塊状になるとも考えられている。この性質は、鼻腔内乱用の試みを不愉快な経験にするだけでなく、プロドラッグが鼻粘膜に浸透することも防止する。その結果、これらの化合物は、この投与経路では無効になる。
【0123】
[00114]本技術は、患者の薬物離脱症状又は疼痛の治療又は予防のための薬剤キットを提供する。患者はヒト又は動物患者でありうる。適切なヒト患者は、小児患者、高齢(老人)患者、及び標準的患者を含む。キットは、パッケージ中に本技術の製薬学的に有効な量のヒドロコドンの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量を含む。キットにはさらに、キットの使用に関する説明書が含まれていてもよい。特定量の個別用量は、約1〜約100の個別用量、あるいは約1〜約60の個別用量、あるいは約10〜約30の個別用量、例えば、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約70、約80、約100を含有でき、それらに追加される任意の増分、例えば1、2、5、10、及びそれらの倍数(例えば、×1、×2、×2.5、×5、×10、×100など)を含む。
【0124】
[00115]ここに記載された技術及びその利点は、以下の実施例を参照することによってより良く理解されるであろう。これらの実施例は、本技術の特定の態様を説明するために提供される。これらの具体的実施例を提供することにより、本技術の範囲及び精神を制限する意図はない。当業者には、ここに記載された技術の全範囲は、本明細書に添付されたクレームによって定義された主題のほか、任意の変更、修正、又は該クレームの等価物も包含すると理解されるであろう。
【実施例】
【0125】
実施例1:ヒドロコドンのベンゾエート及びヘテロアリールカルボキシレート結合体の化学的安定性
[00116]本技術の例示的なヒドロコドンの結合体と、本技術のではない対照試験結合体の化学的安定性を、潜在的薬物乱用者が分子の活性部分を“抽出”するのに使用しうるのと類似の条件下で試験した。例えば周囲温度又は100℃で、水、塩酸、又は炭酸水素ナトリウムに溶解するといった条件である。結合体を、周囲温度(約20℃)又は100℃の油浴中で、水の溶液中に1時間入れて置き、これらの条件下で加水分解された結合体の量を測定した。表1に結果を示す。結合体は、周囲温度でも水中で100℃に1時間加熱してもヒドロコドンを放出しなかったことが示されている。
【0126】
【表1】
【0127】
[00117]さらに、本技術のヒドロコドンの結合体のサンプルと、ヒドロコドンの本技術のでない他の結合体(アジペート−HC)のサンプルを、1N塩酸(HCl)に周囲温度(〜20℃)又は100℃の油浴中で1時間希釈後、ヒドロコドンへのそれらの加水分解について試験し比較した。パーセンテージは、これらの条件下で結合体の初期量がどれだけ加水分解されたかを示している。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
[00118]各結合体のサンプルを5%NaHCO3の溶液中に周囲温度(〜20℃)又は100℃の油浴中で1時間溶解した。表3に示されている本技術の結合体と本技術のでない比較結合体(Tyr−Tyr−Phe−Phe−Ile−ヒドロコドン(YYFFI−HC)又はアジペート−HC)についてのパーセンテージは、これらの条件下で結合体の初期量がどれだけ加水分解されたかを示している。
【0130】
【表3】
【0131】
実施例2:本技術の結合ヒドロコドンの経口PKプロフィール
[00119]本技術のプロドラッグであるベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)の経口PK曲線を決定し、本技術の範囲内でない二つの結合体、YYFFI−HC及びジグリコレート−HCと比較した。ラットに、2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量の結合体を経口投与し、放出されたヒドロコドン及び活性代謝産物のヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。図5に示されているように、放出ヒドロコドンの経口PK曲線は、Bz−HCとYYFFI−HCでは多少類似していたが、Bz−HCによって生じるヒドロコドン血漿中濃度は、ジグリコレート−HCによって生じるヒドロコドン濃度より大体顕著に高かった(Bz−HCのAUC及びCmaxはそれぞれ約40%及び50%高かった)。その上、Bz−HCは、より強力な活性代謝産物であるヒドロモルホンの血漿中濃度が、YYFFI−HC(Bz−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約60%及び80%高かった)及びジグリコレート−HC(Bz−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約55%及び180%高かった)の二つより高かった(図6)。このことは、これら全三つの化合物が異なる代謝経路を受けていること、及びBz−HCはいずれの例よりも潜在的に高い疼痛緩和効果を有していることを示唆している。
【0132】
実施例3:ヒドロコドンの結合体の経鼻PKプロフィール
[00120]本技術のヒドロコドンの結合体を、経口以外の経路で投与した場合の加水分解効率を試験することによって、乱用抵抗能力について試験した。ラットを、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量の結合体で鼻腔内処置し、ラットの血漿中の放出ヒドロコドン及び活性代謝産物ヒドロモルホンの濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。ヒドロコドンの血漿中濃度は、Bz−HCの場合、図7に示されているように著しく低かった(アジペート−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約280%及び60%高かった)。さらに、図8に示されているように、Bz−HCは、アジペート−HCと比較した場合、非常に低いヒドロモルホンの血漿中濃度しか生み出さなかった(アジペート−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約750%及び660%高かった)。
【0133】
[00121]本技術のプロドラッグは、鼻腔内投与された場合、非結合ヒドロコドン−BT又は他のプロドラッグクラスの各血漿中濃度より著しく低いヒドロコドン及びヒドロモルホン血漿中濃度しか提供しない。
【0134】
実施例4:本技術の結合体の例示的な経静脈PKプロフィール
[00122]本技術のヒドロコドンの結合体、例えばBz−HC、ニコチネート−HC、4−MeO−Bz−HC、ピペロニレート−HC、4−OH−Bz−HC、サリチレート−HC、3−OH−4−MeO−Bz−HC、3−OH−Bz−HC及びガレート−HCは疎水性である。従って、これらの化合物は、実際的な量の水に溶解しないので経口相当用量で静脈内投与することはできない。何らかの固体粒子があると塞栓を引き起こしうるので、注射用化合物は完全に溶解されなければならないからである。所望量の結合体を溶解するのに必要な水の量は注射を実行不可能なものにするので、本組成物及びプロドラッグは、経口相当用量で静脈内投与できる水溶性のアジペート−HC及びジグリコレート−HCなどの他のヒドロコドン結合体とは対照的に、抗乱用可能性を有する。
【0135】
実施例5:ヒドロコドンの結合体の経口PKプロフィールの比較
[00123]ラットへの経口投与後、Bz−HC及びニコチネート−HCから放出されるヒドロコドンの血漿中濃度を、非結合ヒドロコドン−BTによって生じるヒドロコドンの血漿中濃度と比較した。ラットを、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量の結合体又は非結合薬物で処置し、ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度を図9及び10にそれぞれ示されているようにLC−MS/MSによって測定した。Bz−HCから放出されたヒドロコドンの経口血漿中濃度は、Cmaxに達するまではヒドロコドン−BTで観察されたヒドロコドンの血漿中濃度と同様に増加した(両化合物ともCmaxはほぼ等しかった)。Tmax後、Bz−HCのヒドロコドン血漿中濃度は、非結合ヒドロコドン−BTよりもゆっくりとより制御された様式で減少した(図9及び図10)。Bz−HCは、ヒドロコドン−BTと比較した場合、高いAUCを有し(AUCは約25%高かった、図9)、活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度に関しても類似の結果が観察された(図10)。
【0136】
[00124]ニコチネート−HCは、生じたヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度が非結合ヒドロコドン−BTで見られたそれぞれの濃度よりも低かった。しかしながら、対応するAUC値は、同一用量(ヒドロコドン遊離塩基を基にして)の場合、生物学的等価の範囲内であった。
【0137】
[00125]2−ABz−HCは、ラットへの経口投与後、Bz−HC又は非結合薬物ヒドロコドン−BTとは異なる放出プロフィールを示した。ラットを2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量で処置し、ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度を図11又は図12にそれぞれ示されているようにLC−MS/MSによって経時的に測定した。2−ABz−HCは、血漿中濃度の漸増とその後の漸減によって示されるようにヒドロコドンを非常にゆっくりと放出した(図11)。この結果、ヒドロコドン−BTと比較した場合、平坦化したPK曲線が得られた(2−ABz−HCのTmaxは約4倍長く、AUC及びCmaxはそれぞれ約35%及び60%低かった)。全体的に、2−ABz−HCの場合、ヒドロモルホンのPK曲線もヒドロコドン−BTより平坦であったが(図12)、小さい初期スパイクは示していた(2−ABz−HCのAUC及びCmaxはそれぞれ約25%及び50%低かった)。
【0138】
実施例6:ベンゾエート−ヒドロコドンの血漿中濃度における変動の測定
[00126]ヒドロコドン(HC)及びヒドロモルホン(HM)の血漿中濃度の変動を測定するために、個別の動物について変動係数(CV)を計算した。動物に、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量のベンゾエート−ヒドロコドン又は非結合の酒石酸水素(BT)ヒドロコドンを投与し、ヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。CVは、所定の時点について、個別の動物の血漿中濃度の標準偏差を全投与動物の平均血漿中濃度で割ることによって計算した。表4に示されている“平均CV”は、全時点のCVの平均値である。
【0139】
【表4】
【0140】
[00127]Bz−HCの低い平均CVは、このプロドラッグが、全投与動物及び全時点にわたって、非結合ドラッグの酒石酸水素ヒドロコドンよりも、ヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度における相対的変動が小さいことを示している。
【0141】
実施例7:ヒドロコドンの結合体の合成
[00128]ベンゾエート−ヒドロコドン遊離塩基の合成
[00129]ヒドロコドン遊離塩基(0.596g、1.99mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)中溶液に、テトラヒドロフラン(5.98mL)中1MのLiN(SiMe3)2を加えた。得られたオレンジ色の懸濁液を周囲温度で30分間撹拌し、その後ベンゾエート−コハク酸エステル(1.25g、5.98mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌し、18時間後、100mLの飽和塩化アンモニウム溶液の添加によってクエンチングし、これをさらに2時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)を混合物に加え、飽和塩化アンモニウム溶液(3×100mL)及び水(1×100mL)で洗浄した。有機抽出物を無水MgSO4上で乾燥させて溶媒を除去し、残渣を2−イソプロパノール(50mL)中に取った。水を固体が形成されるまで加えた。得られた混合物を冷却、ろ過及び乾燥させて、ベンゾエート−ヒドロコドン遊離塩基(0.333g、0.826mmol、収率42%)を暗褐色固体として得た。この合成を図13Aに示す。
【0142】
[00130]2−Boc−アミノベンゾイック(aminobenzoic)スクシネートの合成
[00131]2−Boc−アミノ安息香酸(2.56g、10.8mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(1.37g、11.88mmol)を25mLのTHF中に溶解した。DCC(2.45g、11.88mmol)を一度に加えた。反応を一晩撹拌した。固体をろ過除去し、アセトンで濯いだ(2×10mL)。ろ液を濃縮乾固して、100mLのアセトン中に溶解した。得られた沈殿物(DCU)をろ過除去し、ろ液を濃縮して固体を得た。これを回収し、メタノールで濯いで(3×4mL)3.26g(90%)の白色生成物を得た。
【0143】
[00132]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステルの合成
[00133]20mLの無水THF中に溶解されたヒドロコドン遊離塩基(0.449g、1.5mmol)に、LiHMDSのTHF中溶液(1M、4.5mL、4.5mmol)を20分かけて加えた。該混合物を30分間撹拌し、2−Boc−アミノベンゾイックスクシネート(1.50g、4.5mmol)を一度に加えた。反応を4時間撹拌した後、100mLの飽和NH4Clでクエンチングした。該混合物を1時間撹拌し、200mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和NaHCO3(2×80mL)及び5%ブライン(80mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(7%MeOH/CH2Cl2)、449mg(58%)のアモルファス固体を得た。
【0144】
[00134]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステル二塩酸塩の合成
[00135]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステル(259mg、0.5mmol)を4mLの4N HCl/ジオキサン中で4時間撹拌した。溶媒を蒸発乾固し、残渣に5mLの酢酸エチルを加えた。固体を回収し、酢酸エチルで濯いで207mg(84%)の生成物を得た。
【0145】
[00136]2−MOM−サリチリック(salicylic)スクシネートの合成
[00137]2−MOM−サリチル酸(3.2g、17.6mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(2.23g、19.36mmol)を40mLのTHF中に溶解した。DCC(3.99g、19.36mmol)を一度に加えた。反応を一晩撹拌した。固体をろ過除去し、アセトンで濯いだ(2×10mL)。ろ液を濃縮し、残渣を10mLのメタノールから再結晶して2.60g(53%)の白色固体を得た。
【0146】
[00138]ヒドロコドンの2−MOM−サリチル酸エステルの合成
[00139]20mLの無水THF中に溶解されたヒドロコドン遊離塩基(0.449g、1.5mmol)に、LiHMDSのTHF中溶液(1M、4.5mL、4.5mmol)を20分かけて加えた。該混合物を30分間撹拌し、2−MOM−サリチリックスクシネート(1.26g、4.5mmol)を一度に加えた。反応を4時間撹拌した後、100mLの飽和NH4Clでクエンチングした。該混合物を1時間撹拌し、200mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和NaHCO3(2×80mL)及び5%ブライン(80mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(8%MeOH/CH2Cl2)、381mg(58%)のシロップを得た。
【0147】
[00140]ヒドロコドンのサリチル酸エステル塩酸塩の合成
[00141]12mLのメタノール中のヒドロコドンの2−MOM−サリチル酸エステル(380mg、0.82mmol)に、0.5mLの濃HCl(12N)を加えた。反応を6時間撹拌した。溶液を濃縮し、残留水をメタノールとの共蒸発によって除去した(5×5mL)。得られた残渣を1mLのメタノール、次いで20mLの酢酸エチルに溶解した。濁った混合物を蒸発させて約4mLにした。得られた固体を回収し、酢酸エチルで濯いで152mg(41%)の生成物を得た。
【0148】
実施例8:ラットにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00142]ラットへのベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)の経口投与後、無傷(損傷のない)Bz−HC、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。ラットに2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量の結合体を経口投与し、無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。図14に示されているように、無傷Bz−HCプロドラッグへの暴露はヒドロコドン又はヒドロモルホンへの暴露よりはるかに少なかった(無傷Bz−HCのAUCは、ヒドロコドン及びヒドロモルホンのAUC値のそれぞれ約10%及び3%であった)。
【0149】
実施例9:イヌにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00143]イヌへのベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)又はヒドロコドン−BTの経口投与後、無傷Bz−HC(Bz−HCアームのみ)、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。イヌに2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量のヒドロコドン−BT又は結合体を経口投与した。無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。
【0150】
[00144]Bz−HC及びヒドロコドン−BTから放出されたヒドロコドンの血漿中濃度の比較を図15に示す。全体的に、両化合物から生成されたヒドロコドンの血漿中濃度は極めて類似していた。ヒドロコドンへの全身暴露は、ヒドロコドン−BTと比較した場合、Bz−HCの方が多少少なかった(Bz−HCのヒドロコドンのAUC値は、ヒドロコドン−BTのAUC値の約72%であった)。Bz−HCのヒドロコドンのCmax値は、ヒドロコドン−BTのCmax値の約92%であった。
【0151】
[00145]Bz−HC又はヒドロコドン−BTの経口投与後の活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度の比較を図16に示す。ヒドロモルホンの全身暴露及び最大血漿中濃度は両化合物で類似していた。Bz−HCのヒドロモルホンのAUC及びCmax値は、ヒドロコドン−BTの各値の約103%及び109%であった。
【0152】
[00146]Bz−HCから放出された無傷Bz−HC及びヒドロコドンの血漿中濃度の比較を図17に示す。ラットで見られた結果と同様、イヌにおける無傷Bz−HCプロドラッグの血漿中濃度は、ヒドロコドンの血漿中濃度と比較すると低かった(無傷Bz−HCのAUC値は、ヒドロコドンのAUC値の約10%であった)。
【0153】
実施例10:ラットにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経静脈PKプロフィール
[00147]Bz−HC(0.30mg/kg)をラットに静脈内投与した。水溶性(又はPBS中の溶性)に乏しいため、0.30mg/kgはラットに静脈内投与できる最大用量に近かった。無傷Bz−HC、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。得られたPK曲線を図18に示す。
【0154】
実施例11:ラットにおける様々な用量のBz−HC後のヒドロコドン及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00148]ラットにBz−HCを0.25、0.50、1.00、2.00、3.00、又は4.00mg/kgの用量で経口投与した。ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって測定し、それぞれ図19及び20に示した。0.25〜4.00mg/kgのBz−HCの用量におけるヒドロコドン及びヒドロモルホンへの暴露(AUC)はかなり直線的であった。しかしながら、各Cmax値は、特にヒドロモルホンの場合、より変動的であった。ヒドロモルホンの最大血漿中濃度は、Bz−HCの2.00mg/kgを超える用量では顕著な変化はなかった。
【0155】
[00149]本明細書において、単数形の使用は、特に指示された場合を除き、複数形も含む。
【0156】
[00150]本明細書中に記載された組成物、プロドラッグ、及び方法は、以下の番号付き段落に列挙された態様によって説明できる。
【0157】
1.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物であって、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体は、下記式I:
【0158】
【化15】
【0159】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する組成物。
【0160】
2.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0161】
3.ベンゾエート結合体を含む組成物であって、前記ベンゾエート結合体は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含む組成物。
【0162】
4.少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、段落1の組成物。
【0163】
5.アミノベンゾエートが、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0164】
6.ヒドロキシベンゾエートが、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸(thymotic acid)、ジフルシナル(diflusinal)、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸(resorcylic acid)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、ゲンチジン酸、ピペロニル酸(piperonylic acid)、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(veratric acid)(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸(syringic acid)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0165】
7.アミノヒドロキシベンゾエートが、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0166】
8.少なくとも一つの結合体が、麻薬又はオピオイド乱用の治療又は離脱症状の予防に使用される治療用又は予防用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0167】
9.少なくとも一つの結合体が疼痛治療用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0168】
10.少なくとも一つの結合体が中等度〜重度の疼痛治療用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0169】
11.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用を低減又は防止する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0170】
12.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用抵抗を提供する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0171】
13.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる非結合ヒドロコドンと比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0172】
14.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0173】
15.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0174】
16.少なくとも一つの結合体が、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0175】
17.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片(thin strip)、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0176】
18.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0177】
19.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0178】
20.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0179】
21.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0180】
22.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0181】
23.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0182】
24.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0183】
25.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0184】
26.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0185】
27.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0186】
28.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0187】
【化16】
【0188】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する方法。
【0189】
29.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより大きいAUCを示す、段落28の方法。
【0190】
30.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落28の方法。
【0191】
31.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、段落28の方法。
【0192】
32.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落28の方法。
【0193】
33.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0194】
34.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0195】
35.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0196】
36.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0197】
37.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0198】
38.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0199】
39.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0200】
40.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0201】
41.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0202】
42.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0203】
43.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落28の方法。
【0204】
44.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落28の方法。
【0205】
45.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンの少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落28の方法。
【0206】
46.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減又は防止された便秘作用を示す、段落28の方法。
【0207】
47.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する、段落28の方法。
【0208】
48.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する、段落28の方法。
【0209】
49.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0210】
【化17】
【0211】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する方法。
【0212】
50.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落49の方法。
【0213】
51.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落49の方法。
【0214】
52.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落49の方法。
【0215】
53.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0216】
54.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより高いAUCを提供する、段落53の方法。
【0217】
55.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落53の方法。
【0218】
56.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落53の方法。
【0219】
57.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落53の方法。
【0220】
58.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0221】
59.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0222】
60.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低いCmaxで治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0223】
61.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxを提供しない、段落53の方法。
【0224】
62.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0225】
63.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0226】
64.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0227】
65.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0228】
66.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0229】
67.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0230】
68.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0231】
69.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落53の方法。
【0232】
70.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落53の方法。
【0233】
71.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落53の方法。
【0234】
72.少なくとも一つの結合体が、低減又は防止された便秘作用を示す、段落53の方法。
【0235】
73.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落53の方法。
【0236】
74.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落53の方法。
【0237】
75.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0238】
76.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落75の方法。
【0239】
77.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落75の方法。
【0240】
78.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落75の方法。
【0241】
79.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0242】
【化18】
【0243】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれてよく;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有するキット。
【0244】
80.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落79のキット。
【0245】
81.患者が小児患者である、段落80のキット。
【0246】
82.患者が高齢患者である、段落80のキット。
【0247】
83.患者が標準的患者である、段落80のキット。
【0248】
84.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含むキット。
【0249】
85.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落84のキット。
【0250】
86.患者が小児患者である、段落85のキット。
【0251】
87.患者が高齢患者である、段落85のキット。
【0252】
88.患者が標準的患者である、段落85のキット。
【0253】
89.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約0.5mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0254】
90.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約2.5mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0255】
91.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約5.0mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0256】
92.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約10mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0257】
93.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約20mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0258】
94.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約50mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0259】
95.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約100mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0260】
96.キットが約1〜約60の個別用量を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0261】
97.キットが約10〜約30の個別用量を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0262】
98.ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0263】
99.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0264】
【化19】
【0265】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落98の組成物。
【0266】
100.ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0267】
101.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸がピリジン誘導体である、段落98の組成物。
【0268】
102.ヘテロアリールカルボン酸が、イソニコチン酸、ピコリン酸、3−ヒドロキシピコリン酸、6−ヒドロキシニコチン酸、シトラジン酸、2,6−ジヒドロキシニコチン酸、キヌレン酸、キサンツレン酸、6−ヒドロキシキヌレン酸、8−メトキシキヌレン酸、7,8−ジヒドロキシキヌレン酸、7,8−ジヒドロ−7,8−ジヒドロキシキヌレン酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落98の組成物。
【0269】
103.少なくとも一つの結合体が、薬物、麻薬又はオピオイド乱用の治療又は離脱症状の予防に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0270】
104.少なくとも一つの結合体が、疼痛の治療に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0271】
105.少なくとも一つの結合体が、中等度〜重度の疼痛の治療に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0272】
106.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用を低減又は防止する、段落98、99又は100の組成物。
【0273】
107.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用抵抗を提供する、段落98、99又は100の組成物。
【0274】
108.少なくとも一つの結合体が、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する、段落98、99又は100の組成物。
【0275】
109.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたるモル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落98、99又は100の組成物。
【0276】
110.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落98、99又は100の組成物。
【0277】
111.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落98、99又は100の組成物。
【0278】
112.組成物が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0279】
113.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0280】
114.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0281】
115.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低いCmaxで治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0282】
116.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0283】
117.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0284】
118.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0285】
119.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0286】
120.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0287】
121.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0288】
122.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0289】
123.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0290】
124.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0291】
【化20】
【0292】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落123の方法。
【0293】
125.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0294】
126.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたるヒドロコドン単独と比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落123、124、又は125の方法。
【0295】
127.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落123、124、又は125の方法。
【0296】
128.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落123、124、又は125の方法。
【0297】
129.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0298】
130.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0299】
131.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0300】
132.少なくとも一つの結合体が、同じモル量の非結合ヒドロコドンと比較して、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0301】
133.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxを提供しない、段落123、124、又は125の方法。
【0302】
134.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0303】
135.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0304】
136.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0305】
137.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0306】
138.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0307】
139.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0308】
140.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0309】
141.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0310】
142.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0311】
143.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落123、124、又は125の方法。
【0312】
144.少なくとも一つの結合体が、低減又は防止された便秘作用を示す、段落123、124、又は125の方法。
【0313】
145.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0314】
146.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0315】
147.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0316】
148.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0317】
【化21】
【0318】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落147の方法。
【0319】
149.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0320】
150.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落147、148、又は149の方法。
【0321】
151.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落147、148、又は149の方法。
【0322】
152.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落147、148、又は149の方法。
【0323】
153.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定数の個別用量をパッケージ中に含み、少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0324】
【化22】
【0325】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
であるキット。
【0326】
154.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落153のキット。
【0327】
155.患者が小児患者である、段落154のキット。
【0328】
156.患者が高齢患者である、段落154のキット。
【0329】
157.患者が標準的患者である、段落154のキット。
【0330】
158.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約0.5mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0331】
159.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約2.5mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0332】
160.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約5.0mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0333】
161.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約10mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0334】
162.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約20mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0335】
163.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約50mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0336】
164.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約100mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0337】
165.キットが約1〜約60の個別用量を含む、段落153又は154のキット。
【0338】
166.キットが約10〜約30の個別用量を含む、段落153又は154のキット。
【0339】
167.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグであって、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0340】
【化23】
【0341】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有するプロドラッグ。
【0342】
168.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0343】
169.ベンゾエート結合体を含むプロドラッグであって、ベンゾエート結合体は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含むプロドラッグ。
【0344】
170.ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0345】
171.ヘテロアリールカルボン酸が式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0346】
【化24】
【0347】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落170のプロドラッグ。
【0348】
172.ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0349】
173.安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、段落167のプロドラッグ。
【0350】
174.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経鼻PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0351】
175.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、非経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0352】
176.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経静脈PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0353】
[00151]ここに記載された技術は、その関連分野のいずれの当業者も同じことを実施できるように、十分、明確、簡潔及び正確な表現で記載されている。上記文章は、本技術の好適な態様を記載していること、及び添付の特許請求の範囲に示されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく変更は可能であることは当然理解されるはずである。
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2009年7月2日出願の米国仮出願第61/222,718号に基づく優先権を主張し、その全文を引用によって本明細書に援用する。
【0002】
連邦支援研究又は開発
[0002][適用なし]
【背景技術】
【0003】
[0003]オピオイドは鎮痛薬として非常に効果的で、急性及び慢性痛の治療のために一般的に処方されている。それらは咳止めとしても一般的に使用されている。しかしながら、オピオイドは陶酔感ももたらすため、習慣性が高い。その結果、しばしば乱用され、広範囲にわたる社会的及び健康関連の影響がある。
【0004】
[0004]生得的な乱用可能性のために、オピオイドアゴニストを含有するあらゆる医薬組成物は、できるだけ抗乱用性又は乱用抑止性医薬組成物として製造されるのが望ましい。違法使用者は、多くの場合、オピオイドアゴニストの即時放出を達成するために、製品を注射又はさもなければ誤用することによって、これらの剤形の持続放出特性を巧みにくぐり抜けようとする。
【0005】
[0005]それらの習慣性及び乱用可能性にもかかわらず、モルヒネ様薬物、特に、コデイン、ヒドロコドン、及びオキシコドンは、ここ数十年、重度の急性及び慢性痛の治療薬として日常的に処方されてきた。その理由の一部は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)のような他の弱い鎮痛薬が効かない重度の疼痛を緩和する代替品がないためである。この観点から、乱用可能性を低減する必要がある。これまでのところ、取られた手法は残念ながら問題の解決に至っていない。
【0006】
[0006]ヒドロコドンは、オピオイド鎮痛薬及び鎮咳薬で、微細な白色結晶又は結晶性粉末として存在する。ヒドロコドンは、コデインから製造される半合成の麻薬性鎮痛薬で、多数の作用が質的にコデインと類似している。主として中等度〜中重度の疼痛を緩和するために使用される。さらに、咳止めシロップ及び錠剤中の鎮咳薬として準鎮痛用量(2.5〜5mg)で使用されている。
【0007】
[0007]ヒドロコドンのようなオピオイド鎮痛薬を疼痛緩和のために服用している患者は、意図せずして依存症になる可能性がある。オピオイドに対する耐性が生じるので、処方用量で初期に達成されていた疼痛緩和と幸福感(sense of well being)発現のために、より多くの薬物を必要とするようになる。これは用量増加をもたらし、チェックされないまま放置されると、急速に依存につながることになりかねない。患者がわずか30日間で重症の依存症になったケースもある。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本技術は、オピオイドヒドロコドンとある種のアリールカルボン酸との共有的な結合(covalent conjugation)を利用し、インビボで活性ヒドロコドンが結合体(conjugate)の酵素的又は代謝的分解を通じて放出されるようにすることによって、過剰摂取又は乱用を引き起こすその可能性を低減する。本技術はまた、静脈内(“シューティング(shooting)”)注射及び鼻腔内投与(“スノーティング(snorting)”)のような迂回ルートによる乱用に対する抵抗性を持たせながら、経口投与後にヒドロコドンを放出する結合体としてヒドロコドンを送達する方法も提供する。
【0009】
[0009]ここに記載された技術は、少なくとも一つの側面において、結合ヒドロコドンの緩徐/持続/制御放出組成物を提供する。該組成物は、例えば経口投与されると、安全な治療濃度域内でヒト又は動物の血液系にヒドロコドン及び/又はその活性代謝産物であるヒドロモルホンの緩徐/持続/制御送達を可能にする。本技術の少なくとも一部の組成物/製剤は、ヒドロコドン及び類似化合物に付随する依存/乱用可能性及び/又はその他の一般的副作用を低減できる。
【0010】
[0010]一側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。安息香酸又はその誘導体は、下記式I:
【0011】
【化1】
【0012】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。一部の側面において、安息香酸又はその誘導体は、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである。
【0013】
[0011]別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。
【0014】
[0012]さらに別の側面において、本技術は、疼痛、好ましくは中等度〜重度の疼痛を治療するのに使用するため、又は経口、鼻腔内もしくは静脈内薬物乱用を低減又は防止するのに使用するためのヒドロコドンの結合体を提供する。一部の側面において、該結合体は、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用に対する抵抗性を提供する。
【0015】
[0013]別の側面において、本技術は、一定時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより大きいか等しいAUCを示すヒドロコドンの少なくとも一つの結合体を提供する。他の側面において、ヒドロコドンの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、又は物理的もしくは化学的操作による薬物改ざんを防止する。
【0016】
[0014]別の側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価の(bioequivalent)AUCを提供するのに足る量で提供される。更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、Cmaxスパイクを提供しない又は治療上等価な量の非結合ヒドロコドンよりも低いCmaxを有する。なお更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxスパイクを提供しない。一部の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、等価のCmaxスパイクを提供する。
【0017】
[0015]さらに別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。安息香酸又はその誘導体は、式I:
【0018】
【化2】
【0019】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0020】
[0016]別の側面において、少なくとも一つの結合体は、患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する。
【0021】
[0017]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又はその誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。安息香酸又はその誘導体は、式I:
【0022】
【化3】
【0023】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0024】
[0018]一部の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する少なくとも一つの結合体を提供する。他の側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する。
【0025】
[0019]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合によって治療できる疾患、障害又は状態(例えば疼痛)を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0026】
[0020]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することによって治療できる疾患、障害又は状態(例えば依存)を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0027】
[0021]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのベンゾエート、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。ベンゾエートは、式I:
【0028】
【化4】
【0029】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれてよく;そしてxは、1〜10の間の整数である。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0030】
[0022]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0031】
[0023]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物を提供する。
【0032】
[0024]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を提供する。少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれる。式II、式III及び式IVは、
【0033】
【化5】
【0034】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。一部の側面において、少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸はピリジン誘導体である。
【0035】
[0025]一部の側面において、本技術は、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する少なくとも一つの結合体を提供する。
【0036】
[0026]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0037】
[0027]更なる側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0038】
【化6】
【0039】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0040】
[0028]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0041】
[0029]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。一部の側面において、ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0042】
【化7】
【0043】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0044】
[0030]別の側面において、本技術は、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法を提供する。該方法は、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む。
【0045】
[0031]さらに別の側面において、本技術は、製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せをとの少なくとも一つの結合体含有する特定数の個別用量をパッケージ中に含む薬剤キットを提供する。ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0046】
【化8】
【0047】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。一部の側面において、該キットはさらに、ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書を含む。
【0048】
[0032]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。安息香酸又は安息香酸誘導体は、下記式I:
【0049】
【化9】
【0050】
を有する。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の間の整数である。
【0051】
[0033]別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。
【0052】
[0034]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体とを含むプロドラッグを提供する。一部の側面において、プロドラッグは、式II、式III又は式IVから選ばれる少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸を含み、式II、式III及び式IVは、
【0053】
【化10】
【0054】
である。式中、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0055】
[0035]さらに別の側面において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグを提供する。
【0056】
[0036]一部の側面において、プロドラッグは、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む。
【0057】
[0037]一部の側面において、少なくとも一つの結合体は、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する。一部の更なる側面において、少なくとも一つの結合体は、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する。さらに別の側面において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンの少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1A】[0038]図1Aは、本技術の結合体の製造に使用するためのヒドロキシ安息香酸及び安息香酸誘導体の化学構造を示す。
【図1B】[0038]図1Bは、本技術の結合体の製造に使用するためのヒドロキシ安息香酸及び安息香酸誘導体の化学構造を示す。
【図2】[0039]図2は、本技術の結合体の製造に使用するためのアミノ安息香酸の化学構造を示す。
【図3】[0040]図3は、本技術の結合体の製造に使用するためのアミノヒドロキシ安息香酸の化学構造を示す。
【図4A】[0041]図4Aは、一般的ヒドロコドン製品と用量範囲の表である。
【図4B】[0041]図4Bは咳止めシロップに使用されている一般的ヒドロコドン製品の表である。
【図5】[0042]図5は、ラットへの経口投与後、Bz−HC(ベンゾエート−ヒドロコドン)、YYFFI−HC(Tyr−Tyr−Phe−Phe−Ile−ヒドロコドン)及びジグリコレート−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図6】[0043]図6は、ラットへのBz−HC、YYFFI−HC、及びジグリコレート−HCの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図7】[0044]図7は、ラットへの鼻腔内投与後、Bz−HC及びアジペート−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図8】[0045]図8は、ラットへのBz−HC及びアジペート−HCの鼻腔内投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図9】[0046]図9は、ラットへの経口投与後、Bz−HC、ニコチネート−HC、及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図10】[0047]図10は、ラットへのBz−HC、ニコチネート−HC、及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図11】[0048]図1は、ラットへの経口投与後、Bz−HC、2−ABz−HC、及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図12】[0049]図12は、ラットへのBz−HC、2−ABz−HC、及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図13A】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Aは、ベンゾエートヒドロコドンの合成を示す。
【図13B】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Bは、ニコチネートヒドロコドン(ニコチン酸)の合成を示す。
【図13C】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Cは、2−アミノベンゾエートヒドロコドンの合成を示す。
【図13D】[0050]図13は、ヒドロコドンの結合体の合成ダイヤグラムを示す。図13Dは、サリチレートヒドロコドンの合成を示す。
【図14】[0051]図14は、ラットへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷(intact)Bz−HC、活性代謝産物ヒドロモルホン、及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図15】[0052]図15は、イヌへの経口投与後、Bz−HC及びヒドロコドン−BTから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図16】[0053]図16は、イヌへのBz−HC及びヒドロコドン−BTの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図17】[0054]図17は、イヌへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷Bz−HC及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図18】[0055]図18は、0.30mg/kgでのラットへの静脈内投与後、Bz−HCから経時的に放出される無傷Bz−HC、活性代謝産物ヒドロモルホン、及びヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図19】[0056]図19は、6種類の異なる用量でのラットへの経口投与後、Bz−HCから経時的に放出されるヒドロコドンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【図20】[0057]図20は、6種類の異なる用量でのラットへのBz−HCの経口投与後の経時的な活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度のPKプロフィールのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
[0058]本技術は、ヒドロコドンの新規プロドラッグ及び組成物を形成するために、ヒドロコドン(モルフィナン−6−オン,4,5−アルファ−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル)に化学結合されたアリールカルボン酸を含む組成物を提供する。一部の態様において、これらの二つの部分間の化学結合は、ヒドロコドンのC−6エノール互変異性体とアリールカルボン酸の活性化されたカルボン酸官能基との反応によって確立でき、それによってエノール−エステル結合体が創製される。
【0060】
[0059]“オピオイド”(という用語)の使用は、脳、脊髄及び腸管に見出されるオピオイド受容体を活性化させるあらゆる薬物を含むものとする。オピオイドは4つのクラスに大別される。すなわち、天然のアヘンアルカロイド、例えばモルヒネ(原型的オピオイド)、コデイン、及びテバイン;内因性オピオイドペプチド、例えばエンドルフィン;半合成物、例えばヘロイン、オキシコドン及びヒドロコドン、これらは天然アヘンアルカロイド(アヘン剤)を修飾することによって製造され、類似の化学構造を有する;及び純合成物、例えばフェンタニル及びメタドン、これらはアヘンから製造されていないので、アヘンアルカロイドとは非常に異なる化学構造を有しうる。オピオイドの追加例は、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、レボルファノール、ジヒドロコデイン、メペリジン、ジフェノキシレート、スフェンタニル、アルフェンタニル(alfentanil)、プロポキシフェン、ペンタゾシン、ナルブフィン、ブトルファノール、ブプレノルフィン、メプタジノール(meptazinol)、デゾシン、及びそれらの製薬学的に許容しうる塩である。
【0061】
[0060]“ヒドロコドン”(という用語)の使用は、コデインから製造され、多数の作用が質的にコデインのそれと類似している半合成の麻薬性鎮痛薬及び鎮咳薬を含むものとする。一般的に中等度〜中重度の疼痛を緩和するために使用される。商品名は、Anexsia(登録商標)、Hycodan(登録商標)、Hycomine(登録商標)、Lorcet(登録商標)、Lortab(登録商標)、Norco(登録商標)、Tussionex(登録商標)、Tylox(登録商標)、及びVicodin(登録商標)などである。ヒドロコドンのその他の塩形、例えば酒石酸水素ヒドロコドン及びヒドロコドンポリスチレックス(polistirex)も、本技術に包含される。
【0062】
[0061]本技術の一部の態様では、ヒドロコドンに結合されたカルボン酸を提供する。そこではカルボン酸基がアリール部分に直接結合している。アリール部分に直接結合されたカルボン酸は、ベンゾエート及びヘテロアリールカルボン酸などである。
【0063】
[0062]本技術の一部の態様では、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を提供する。ベンゾエートは天然によく見られる。例えば、アミノベンゾエート(例えばフェナメートのようなアントラニル酸類似体)、アミノヒドロキシベンゾエート及びヒドロキシベンゾエート(例えばサリチル酸類似体)などであるが、これらに限定されない。
【0064】
[0063]本技術の安息香酸及び安息香酸誘導体の一般的構造は、
【0065】
【化11】
【0066】
である。式中、X、Y及びZは、独立して、H、O、S、NH又は−(CH2)−のいずれかの組合せでよく;R1、R2及びR3は、独立して、下記すなわち、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルのいずれかでよく;そしてo、p、qは、独立して、0又は1のいずれかでよい。
【0067】
[0064]適切なヒドロキシ安息香酸は図1に見出すことができる。例えば、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸(thymotic acid)、ジフルシナル(diflusinal)、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸(resorcylic acid)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、ゲンチジン酸、ピペロニル酸(piperonylic acid)、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(veratric acid)(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸(syringic acid)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸などであるが、これらに限定されない。
【0068】
[0065]適切なアミノ安息香酸は図2に示されており、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸などであるが、これらに限定されない。
【0069】
[0066]適切なアミノヒドロキシ安息香酸は、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸などであるが、これらに限定されない。
【0070】
[0067]一部の態様において、組成物は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含むベンゾエート結合体、その塩又はそれらの組合せを含む。
【0071】
[0068]一部の態様において、ベンゾエートは、多数の安息香酸類似体、ヒドロキシル又はアミノ基又はその両方の組合せを有するベンゾエート誘導体を含む。ヒドロキシル及びアミノ官能基は、遊離形で存在しても、又は別の化学部分、好ましくはメチル又はアセチル基(これらに限定されない)でキャップされて存在してもよい。フェニル環は追加の置換基を有していてもよいが、置換基の総数は4以下、3以下、又は2以下でありうる。
【0072】
[0069]別の態様において、本技術のプロドラッグ又は結合体組成物はベンゾエート−ヒドロコドンであり、
【0073】
【化12】
【0074】
の構造を有する。
【0075】
[0070]さらに別の態様において、本技術は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せをとの少なくとも一つの結合体含むプロドラッグ又は組成物を提供する。ヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ぶことができ、式II、式III及び式IVは、
【0076】
【化13】
【0077】
である。これらの式に関し、X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そしてxは、1〜10の整数である。
【0078】
[0071]一部の態様において、アリールカルボン酸のカルボキシ基は、芳香環に直接結合できる。本技術は、炭素のみのアリール基及びヘテロ原子を有するアリール基(ヘテロアリール)の両方を含む。カルボキシル官能基に直接連結しているアリール又はヘテロアリール基は、6員環であり得、0個又は1個のヘテロ原子を含有する。一部の態様では、追加の置換又は非置換芳香族又は脂肪族環が、この6員アリール又はヘテロアリール部分に縮合していてもよい。一部の態様では、アリールカルボン酸は、ただ1個の遊離カルボン酸基を持つことができ、6員環上のフェニル置換基の総数は4以下、例えば4、3、2又は1個であるべきである。
【0079】
[0072]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンの結合体は、ヒドロコドンに連結されている個別のアリールカルボン酸に応じて、中性、遊離酸、遊離塩基、又は様々な製薬学的に許容可能なアニオン性又はカチオン性の塩又は塩混合物(正成分と負成分間の比率は任意)の形態を取ることができる。これらの塩形は、酢酸塩、L−アスパラギン酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、D−カンシル酸塩、L−カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩/臭化物、塩酸塩/塩化物、D−乳酸塩、L−乳酸塩、D,L−乳酸塩、D,L−リンゴ酸塩、L−リンゴ酸塩、メシル酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−酒石酸塩、L−酒石酸塩、D,L−酒石酸塩、メソ−酒石酸塩、安息香酸塩、グルセプト酸塩、D−グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、イセチオン酸塩、マロン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、ステアリン酸塩、トシル酸塩、アセフィリネート(acefyllinate)、アセチュレート(aceturate)、アミノサリチル酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳炭酸塩(camphocarbonate)、デカン酸塩、ヘキサン酸塩、コール酸塩、シピオン酸塩、ジクロロ酢酸塩、エデンテート(edentate)、エチル硫酸塩、フレート(furate)、フシジン酸塩、ガラクタル酸塩(ムケート(mucate))、ガラクツロン酸塩、没食子酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩(エナント酸塩)、ヒドロキシ安息香酸塩、馬尿酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ヨウ化物、キシナホ酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩、ナパジシル酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、サリチル酸塩、サリチル硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、テレフタル酸塩、チオサリチル酸塩、トリブロフェネート(tribrophenate)、吉草酸塩、バルプロ酸塩、アジピン酸塩、4−アセトアミド安息香酸塩、カンシル酸塩、オクタン酸塩、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、グリコール酸塩、チオシアン酸塩、及びウンデシレン酸塩などであるが、これらに限定されない。
【0080】
[0073]本技術にとって、適切なヒドロコドンの結合体はニコチネート−ヒドロコドンで、下記構造:
【0081】
【化14】
【0082】
を有する。
【0083】
[0074]本技術の一部の態様は、インビボで酵素的に又はその他の方法で分解して活性ヒドロコドンと各アリールカルボン酸又はその代謝産物を放出するヒドロコドンの結合体を提供する。本技術の結合体に使用されるアリールカルボン酸は、所定の用量レベルで非毒性であり、好ましくは公知薬物、天然産物、代謝産物、又はGRAS(安全食品認定(Generally Regarded As Safe))化合物(例えば保存剤、色素、フレーバーなど)又はそれらの非毒性模倣体(mimetics)である。
【0084】
[0075]本技術の化合物、組成物及び方法は、過剰摂取の可能性の低減、乱用又は依存の可能性の低減を提供し、そして/又は、高毒性又は準最適放出プロフィールに関するヒドロコドンの特性を改良する。以下の理論に限定されることは望まないが、本発明者らは、過剰摂取からの保護がもたらされるのは、結合体が経口投与によって異なる酵素及び/又は代謝経路に暴露されるためであろうと考えている。経口投与の場合、結合体は腸管及び初回通過代謝に暴露されるのに対し、循環又は粘膜中の酵素への暴露は、ヒドロコドンの結合体からの放出能力を制限する。ゆえに、抗乱用性は、プロドラッグによって放出される活性ヒドロコドンから得られる“ラッシュ(恍惚感)”又は“ハイ(高揚感)”が制限され、代替投与経路の効果が制限されることによってもたらされる。
【0085】
[0076]本技術の組成物は、注射又は鼻腔内投与経路で投与された場合、好ましくは薬理活性を持たないか又は実質的に低減された薬理活性を有する。しかしながら、経口的にはバイオアベイラビリティを保っている。ここでも何らかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、バイオアベイラビリティは、経口投与後の化学結合(すなわち共有結合)の加水分解の結果であろう。少なくとも一つの態様において、ヒドロコドンの放出は、本技術の組成物が非経口経路で送達された場合、低減する。
【0086】
[0077]例えば、一態様において、本技術の組成物は、錠剤、カプセル、又はその他の経口剤形の粉砕後もその有効性及び抗乱用性を維持する。これに対し、親の非結合形のヒドロコドンからはヒドロコドンが粉砕後直ちに放出されるので、粉砕錠剤の内容物を、依存者が求めている“ラッシュ”効果を生み出す注射又は鼻吸引(スノーティング)によって使用することを可能にする。
【0087】
[0078]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンの結合体は、動物又はヒト患者に経口投与でき、投与されると体内で加水分解されることによって活性ヒドロコドンを放出する。何らかの特定の理論に拘束されるのではないが、アリールカルボン酸は天然の代謝産物又はその模倣体又は医薬活性化合物であるので、これらの結合体は生理系に容易に認識されうる結果、加水分解及びヒドロコドンの放出に至ると考えられている。結合体自体は結合体としての薬理活性はないか又は限定的であるので、親薬物とは異なる代謝経路に従うことができる。
【0088】
[0079]本技術の一部の態様において、ヒドロコドンに結合させる適切なアリールカルボン酸(“リガンド”)の選択は、全身循環へのヒドロコドンの放出を決定するので、結合体が経口以外の経路で投与された場合でも制御可能になる。一態様において、修飾ヒドロコドンは、遊離又は非修飾ヒドロコドンと同様にヒドロコドンを放出する。別の態様において、結合ヒドロコドンは、制御又は持続形態でヒドロコドンを放出する。一部の態様において、この制御放出は、ある種の副作用を軽減でき、親薬物の安全性プロフィールを改良する。これらの副作用は、不安、紫斑、便秘、食欲減退、呼吸困難、めまい、眠気、喉の渇き、下痢、頭痛、吐き気、胃痙攣、胃痛、嘔吐などであるが、これらに限定されない。別の態様において、結合ヒドロコドンは、選択的にヒドロコドンのヒドロモルホンへの代謝を可能にする。一部の態様において、これらの結合体は、疼痛緩和、例えば中等度〜重度の疼痛緩和に使用できる。
【0089】
[0080]ヒドロコドン及びその他のオピオイドも習慣性が高く、物質乱用に陥りやすい。オピオイドの気晴らし的な薬物乱用はよくある問題で、通常は陶酔感(“ラッシュ”、“ハイ”)を達成する目的で摂取された経口用量から始まる。そのうちに薬物乱用者は、より強力な“ハイ(高揚感)”を達成するため、又は高くなったオピオイド耐性を補うために、経口用量を増量していくことが多い。この行動がエスカレートすると、鼻腔内(“スノーティング”)又は静脈内(“シューティング”)といった他の投与経路を模索することになる。
【0090】
[0081]本技術の一部の態様において、適切なアリールカルボン酸リガンドと結合されたヒドロコドンは、経口投与後、血漿中濃度に潜在的薬物乱用者が求める急激なスパイクは生じない。一部の態様において、これらの結合体から放出されたヒドロコドンは、遅延されたTmaxと、おそらくは非結合ヒドロコドンより低いCmaxを有する。何らかの特定理論に拘束されるのではないが、本技術の結合体は、経口又はその他の非経口経路によって摂取された場合、高用量で摂取されても“ラッシュ”感は生み出さないが、それでも疼痛緩和は維持すると考えられる。
【0091】
[0082]さらに、一部の態様において、本技術の適切なリガンドと結合されたヒドロコドンは、非経口経路で投与された場合、効率的に加水分解されない。その結果、これらの結合体は、注射又は鼻から吸引されても、これらの経路から投与された遊離ヒドロコドンと比べて、放出ヒドロコドンの高い血漿中又は血中濃度を生じない。
【0092】
[0083]一部の態様において、本技術の結合体は、共有結合されたヒドロコドンからなるので、例えば固体形の磨砕又は粉砕などの方法によって結合ヒドロコドンからヒドロコドンオピオイドを放出させるための物理的操作は不可能である。さらに、本技術の結合体は、潜在的薬物乱用者が、例えば結合体を沸騰、又は酸性もしくは塩基性溶液処理することによって分子の活性部分を“抽出”するために適用しうる条件下での化学的加水分解に対する耐性を示す。
【0093】
[0084]本技術の組成物及びプロドラッグは経口剤形でありうる。これらの剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、ロゼンジ、散剤、懸濁液、シロップ、溶液又は経口薄膜(oral thin film,OTF)などであるが、これらに限定されない。好適な経口投与形は、カプセル、錠剤、溶液及びOTFである。
【0094】
[0085]固体剤形は、下記種類の賦形剤、すなわち粘着防止剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤、フレーバー及び着色剤、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、吸着剤及び甘味剤を含みうるが、これらに限定されない。
【0095】
[0086]本技術の経口製剤は、水性液体又は非水性液体中の溶液又は懸濁液に包含されてもよい。該製剤は、水中油型液体エマルジョン又は油中水型液体エマルジョンなどのエマルジョンでありうる。油は、調製済み腸溶製剤に精製及び滅菌された液体を加えることによって投与できるので、その後これを嚥下不能な患者の栄養チューブに入れる。
【0096】
[0087]軟質ゲル又は軟質ゼラチンカプセルは、例えば製剤を適切なビヒクル(植物油が一般的に使用される)中に分散させて高粘度混合物を形成することによって製造できる。次に、この混合物を、軟質ゲル業界の当業者に公知の技術及び機械を使用してゼラチンベースのフィルムで被包する。次に、このようにして形成された個々の単位を恒量になるまで乾燥させる。
【0097】
[0088]チュアブル(咀嚼)錠は、例えば、製剤を、嚥下というより咀嚼用の比較的軟質のフレーバー付き錠剤を形成するために設計された賦形剤と混合することによって製造できる。従来の錠剤機及び手順、例えば、直接打錠法及び顆粒化法、すなわちスラッグ法(圧縮(打錠)の前に錠剤用の顆粒を製造するためのスラッグを形成する)が利用できる。医薬固体剤形の製造に携わっている者は、チュアブル剤形は製薬業界で非常に一般的な剤形であるので、使用されるプロセス及び機械について熟知している。
【0098】
[0089]フィルムコーティング錠は、例えば、連続フィルム層を錠剤上に付着させるための回転パンコーティング(rotating pan coating)法又はエアサスペンション(air suspension)法などの技術を用いて錠剤をコーティングすることによって製造できる。
【0099】
[0090]圧縮錠剤は、例えば、製剤を、崩壊質に結合質を加味するための賦形剤と混合することによって製造できる。混合物は、当業者に公知の方法及び機械を用いて、直接打錠されるか又は顆粒化された後打錠される。次に、得られた圧縮錠剤の用量単位は、市場のニーズに応じて、例えば、単位用量、ロール、バルクボトル、ブリスターパックなどに包装される。
【0100】
[0091]本技術は、生物学的に許容しうる担体の使用も想定している。これらは様々な材料から製造されうる。そのような材料は、希釈剤、結合剤及び接着剤、滑沢剤、可塑剤、崩壊剤、着色剤、増量物質、フレーバー、甘味剤、並びに特定の薬用組成物を製造するための緩衝剤及び吸着剤などの各種材料などであるが、これらに限定されない。
【0101】
[0092]結合剤は、様々な材料から選ぶことができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、又はその他の適切なセルロース誘導体、ポビドン、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、製薬用グレーズ、ガム、ホエーなどの乳誘導体、デンプン、及び誘導体のほか、当業者に公知のその他の従来的結合剤などである。溶媒の非制限的例は、水、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン又はそれらの混合物及び組合せである。増量物質の非制限的例は、糖、ラクトース、ゼラチン、デンプン、及び二酸化ケイ素などである。
【0102】
[0093]本技術の製剤は、上で特記した成分に加えて、フレーバー剤、保存剤及び酸化防止剤などのその他の適切な薬剤も含みうることは理解されるはずである。そのような酸化防止剤は食品用としても容認可能な、ビタミンE、カロテン、BHT又はその他の酸化防止剤などであろう。
【0103】
[0094]混合によって含めることができるその他の化合物は、例えば、医学的に不活性な成分、例えば、固体及び液体希釈剤として、錠剤又はカプセルの場合、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、デンプン又はリン酸カルシウムなど、軟質カプセルの場合、オリーブ油又はオレイン酸エチルなど、懸濁液又はエマルジョンの場合、水又は植物油など;滑沢剤として、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム及び/又はポリエチレングリコールなど;ゲル化剤として、コロイド粘土など;増粘剤として、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウムなど;結合剤として、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドンなど;崩壊剤として、デンプン、アルギン酸、アルギネート又はデンプングリコール酸ナトリウムなど;飽和剤(effervescing mixtures);染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート又はラウリル硫酸塩;及びそのような製剤用の公知添加剤であるその他の治療上許容可能な副成分、例えば保湿剤、保存剤、緩衝剤及び酸化防止剤などである。
【0104】
[0095]経口投与の場合、希釈剤、分散剤及び/又は界面活性剤を含有する微粉末又は顆粒が、頓服水剤(draught)中に、水又はシロップ中に、乾燥状態のカプセル又はサシェ中に、懸濁化剤を含みうる非水性懸濁液中に、あるいは水又はシロップ中の懸濁液中に存在しうる。所望であれば、フレーバー剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤又は乳化剤を入れてもよい。
【0105】
[0096]経口投与用の液体分散物は、シロップ、エマルジョン又は懸濁液でありうる。シロップは、担体として、例えばサッカロース又はサッカロースとグリセロール及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールを含有しうる。特に、糖尿病患者用のシロップは、担体として、グルコースに代謝されないか又は非常に少量しかグルコースに代謝されない唯一の製品、例えばソルビトールを含有しうる。懸濁液及びエマルジョンは、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールなどの担体を含有しうる。
【0106】
[0097]現在認可されているヒドロコドンの製剤は、意図する適応に応じて、ヒドロコドンと一つ又は複数のその他の非麻薬性活性成分との併用療法である。これらの活性薬剤の例は、アセトアミノフェン、フェニルプロパノールアミン、ホマトロピン、イブプロフェン、アスピリン、フェニラミン、クロルフェニラミン、フェニレフリン、偽エフェドリン、ピリラミン及びグアイフェネシンなどであるが、これらに限定されない。本技術の結合ヒドロコドンは、これら又はその他の活性物質の一つ又は組合せと共に製剤化されても、又は何らかの他の活性剤なしに単独型活性成分として製剤化されてもよい。
【0107】
[0098]結合体の組成物又はプロドラッグは、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合又は結合の阻害を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法に使用できる。治療法は、本技術に記載されているヒドロコドンの少なくとも一つの結合体の製薬学的に有効な量を患者に経口投与することを含む。該結合体は、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、一定の時間にわたって緩徐な放出速度及びAUCを示すことができる。他の態様において、少なくとも一つの結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける少ない変動を示すことができる。
【0108】
[0099]他の態様において、少なくとも一つの結合体は、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC(曲線下面積)を提供するのに足る量で提供される。更なる態様において、該結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、血漿中のCmax(ピーク濃度)は低いか又は血漿中濃度に等価のCmaxを提供しない。一部の側面において、該結合体は、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のCmaxを提供するのに足る量で提供される。
【0109】
[00100]本技術のプロドラッグ又は組成物によって治療できる適切な疾患、障害又は状態は、麻薬中毒又は薬物中毒及び/又は急性又は慢性痛である。
【0110】
[00101]本技術の結合体の用量は、それらの分子量及び全結合体の一部として占めるヒドロコドンの各重量パーセンテージによるので、遊離ヒドロコドンの用量より高くなりうる。用量は、酒石酸水素ヒドロコドンの用量力価に基づいて計算でき、用量あたり2.5mg〜15mgの範囲である。酒石酸水素ヒドロコドンからヒドロコドンプロドラッグへの用量換算は次式を用いて実施できる。
【0111】
用量(HCプロドラッグ/結合体)=[用量(酒石酸水素HC)×(分子量(HCプロドラッグ/結合体)/494.49)]/(プロドラッグ/結合体から放出されるヒドロコドンの割合)
HC:ヒドロコドン
[00102]本技術の結合ヒドロコドンの適切な用量は、約0.5mg以上、あるいは約2.5mg以上、あるいは約5.0mg以上、あるいは約7.5mg以上、あるいは約10mg以上、あるいは約20mg以上、あるいは約30mg以上、あるいは約40mg以上、あるいは約50mg以上、あるいは約60mg以上、あるいは約70mg以上、あるいは約80mg以上、あるいは約90mg以上、あるいは約100mg以上、及びそれらに追加される任意の増分、例えば0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9又は1.0mg及びそれらの倍数(例えば、×1、×2、×2.5、×5、×10、×100など)を含む製剤などであるが、これらに限定されない。本技術は、現在認可されているヒドロコドンの製剤(図4参照)を含む用量製剤(dosage formulation)も含むが、その用量は、酒石酸水素ヒドロコドンの量によって決定される上記式を用いて計算できる。本技術は、単独療法として又は他のAPI(図4)との併用療法として製剤化された剤形を提供する。
【0112】
[00103]本技術のヒドロコドンと安息香酸又はニコチン酸の誘導体との結合体は、いくつかの利点を有している。例えば、遊離ヒドロコドンと比較した場合、患者のヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度の変動が少ない、薬物乱用の可能性が少ない、化学的又は物理的操作のリスクが少ないので全用量のヒドロコドンの放出がもたらされる、カルボン酸又はその誘導体への共有結合を通じて剤形が改良される、ヒドロコドンからヒドロモルホンへの代謝が増大又は減少する、及び/又は薬物乱用以外の副作用が少ない、などであるが、これらに限定されない。
【0113】
[00104]ヒドロコドンは麻薬性鎮痛薬で、中枢神経系(CNS)中のオピオイド受容体で弱いアゴニストとして作用する。主に、μ(ミュー)受容体(OP3)に作用するが、δ(デルタ)受容体(OP1)及びκ(カッパ)受容体(OP2)でもアゴニスト活性を示す。また、ヒドロコドンは、脳の延髄にある咳中枢における咳反射を抑制することによる鎮咳特性も示す。
【0114】
[00105]オピオイド鎮痛薬の副作用は、消化管に存在するミュー(μ)受容体へのオピオイドの結合によって引き起こされる胃腸障害などである。胃における副作用は、塩酸の分泌の減少、胃の運動の減退、従って胃内容物排出時間の延長(これは食道逆流をもたらしうる)などである。胃内容物の十二指腸通過が12時間も遅れることがあり、経口投与された薬物の吸収が遅延する。小腸では、オピオイド鎮痛薬は、胆汁、膵液及び腸液の分泌を減退させ、小腸での食物の消化を遅らせる。オピオイドの投与後、結腸での推進蠕動波は減退又は消失し、緊張は痙攣点にまで増大する。結果としての腸内容物の通過の遅れは、便の相当な乾燥を引き起こし、それが今度は結腸を通る便の前進を遅らせる。これらの作用は、薬物の中枢作用のために排便反射に対する正常な感覚刺激への不注意とも相俟って、オピオイド誘発性便秘に寄与する。
【0115】
[00106]ヒドロコドンは、中等度〜中重度の疼痛の治療、及び咳(特に乾性の痰を伴わない咳)の阻止のために使用される。本技術のプロドラッグは、疼痛緩和又は咳抑制のため又はオピオイド受容体のブロックを必要としうる何らかの状態の治療のために投与されうる。
【0116】
[00107]本技術の結合体は、便秘作用の低減又は阻害など、オピオイド鎮痛薬の副作用の低減を提供できる。
【0117】
[00108]本技術は、本技術の結合ヒドロコドンを製造するための合成法も提供する。一態様において、本技術の合成法は、
1.必要であればリガンドの保護;
2.リガンドのカルボン酸基の活性化(まだ活性形でない場合);
3.塩基の存在下で活性化リガンドのヒドロコドンへの付加、又はその逆;及び
4.該当する場合、リガンド保護基の除去
のステップを含む。
【0118】
[00109]アリールカルボン酸が、ヒドロコドンへの結合を妨害しうる何らかの更なる反応性官能基を含有している場合、まず一つ又は複数の保護基を付けることが必要となりうる。官能基の種類及び反応条件に応じて任意の適切な保護基が使用できる。いくつかの保護基の例は、アセチル(Ac)、β−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDPS)、トリイソピロピルシリル(TIPS)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(MPM)、トシル(Ts)である。カルボニル官能基からのアセタール又はケタールの一時的形成も適切でありうる。
【0119】
[00110]リガンドのカルボン酸基は、ヒドロコドンと反応させて相当量の結合体を生成するために活性化されるべきである。この活性化は、当業者に公知の様々なカップリング剤によって多数の方法で達成できる。そのようなカップリング剤の例は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCI)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)又はその他のカルボジイミド;(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)又はその他のホスホニウムベースの試薬;O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TFFH)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)又はその他のアミニウムベースの試薬である。アリールカルボン酸は、適切なハロゲン化アシル、アジ化アシル又は混合無水物に変換することもできる。
【0120】
[00111]ヒドロコドンのアリールカルボン酸結合体の合成スキームのいずれのステップにおいても塩基が必要とされうる。適切な塩基は、4−メチルモルホリン(NMM)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、任意のアルカリ金属tert−ブトキシド(例えばカリウムtert−ブトキシド)、任意のアルカリ金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)、任意のアルカリ金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド)、トリエチルアミン又は任意のその他の第三級アミンなどであるが、これらに限定されない。
【0121】
[00112]ヒドロコドンのアリールカルボン酸結合体の合成スキームのいずれの反応にも使用できる適切な溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘプタン、ヘキサン、メタノール、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン又は水などであるが、これらに限定されない。
【0122】
[00113]一部の態様において、プロドラッグは疎水性であるが故に水に難溶性である。この結果、化合物を水と混合すると、ゲル様の稠度又は塊状懸濁液が得られる。これらのプロドラッグの例は、ピペロニレート(Piperonylate)−HC、3−OH−4−MeO−Bz−HC、3−OH−Bz−HC及びガレート(Gallate)−HCなどであるが、これらに限定されない。これらのプロドラッグは、水溶性の欠如のために、ラットでは鼻腔内投与できない。何らかの理論に拘束されるのではないが、これらの化合物は、ヒト対象がそれらを鼻腔内吸入(“スノーティング”)しようとすると、凝固する又は塊状になるとも考えられている。この性質は、鼻腔内乱用の試みを不愉快な経験にするだけでなく、プロドラッグが鼻粘膜に浸透することも防止する。その結果、これらの化合物は、この投与経路では無効になる。
【0123】
[00114]本技術は、患者の薬物離脱症状又は疼痛の治療又は予防のための薬剤キットを提供する。患者はヒト又は動物患者でありうる。適切なヒト患者は、小児患者、高齢(老人)患者、及び標準的患者を含む。キットは、パッケージ中に本技術の製薬学的に有効な量のヒドロコドンの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量を含む。キットにはさらに、キットの使用に関する説明書が含まれていてもよい。特定量の個別用量は、約1〜約100の個別用量、あるいは約1〜約60の個別用量、あるいは約10〜約30の個別用量、例えば、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約70、約80、約100を含有でき、それらに追加される任意の増分、例えば1、2、5、10、及びそれらの倍数(例えば、×1、×2、×2.5、×5、×10、×100など)を含む。
【0124】
[00115]ここに記載された技術及びその利点は、以下の実施例を参照することによってより良く理解されるであろう。これらの実施例は、本技術の特定の態様を説明するために提供される。これらの具体的実施例を提供することにより、本技術の範囲及び精神を制限する意図はない。当業者には、ここに記載された技術の全範囲は、本明細書に添付されたクレームによって定義された主題のほか、任意の変更、修正、又は該クレームの等価物も包含すると理解されるであろう。
【実施例】
【0125】
実施例1:ヒドロコドンのベンゾエート及びヘテロアリールカルボキシレート結合体の化学的安定性
[00116]本技術の例示的なヒドロコドンの結合体と、本技術のではない対照試験結合体の化学的安定性を、潜在的薬物乱用者が分子の活性部分を“抽出”するのに使用しうるのと類似の条件下で試験した。例えば周囲温度又は100℃で、水、塩酸、又は炭酸水素ナトリウムに溶解するといった条件である。結合体を、周囲温度(約20℃)又は100℃の油浴中で、水の溶液中に1時間入れて置き、これらの条件下で加水分解された結合体の量を測定した。表1に結果を示す。結合体は、周囲温度でも水中で100℃に1時間加熱してもヒドロコドンを放出しなかったことが示されている。
【0126】
【表1】
【0127】
[00117]さらに、本技術のヒドロコドンの結合体のサンプルと、ヒドロコドンの本技術のでない他の結合体(アジペート−HC)のサンプルを、1N塩酸(HCl)に周囲温度(〜20℃)又は100℃の油浴中で1時間希釈後、ヒドロコドンへのそれらの加水分解について試験し比較した。パーセンテージは、これらの条件下で結合体の初期量がどれだけ加水分解されたかを示している。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
[00118]各結合体のサンプルを5%NaHCO3の溶液中に周囲温度(〜20℃)又は100℃の油浴中で1時間溶解した。表3に示されている本技術の結合体と本技術のでない比較結合体(Tyr−Tyr−Phe−Phe−Ile−ヒドロコドン(YYFFI−HC)又はアジペート−HC)についてのパーセンテージは、これらの条件下で結合体の初期量がどれだけ加水分解されたかを示している。
【0130】
【表3】
【0131】
実施例2:本技術の結合ヒドロコドンの経口PKプロフィール
[00119]本技術のプロドラッグであるベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)の経口PK曲線を決定し、本技術の範囲内でない二つの結合体、YYFFI−HC及びジグリコレート−HCと比較した。ラットに、2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量の結合体を経口投与し、放出されたヒドロコドン及び活性代謝産物のヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。図5に示されているように、放出ヒドロコドンの経口PK曲線は、Bz−HCとYYFFI−HCでは多少類似していたが、Bz−HCによって生じるヒドロコドン血漿中濃度は、ジグリコレート−HCによって生じるヒドロコドン濃度より大体顕著に高かった(Bz−HCのAUC及びCmaxはそれぞれ約40%及び50%高かった)。その上、Bz−HCは、より強力な活性代謝産物であるヒドロモルホンの血漿中濃度が、YYFFI−HC(Bz−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約60%及び80%高かった)及びジグリコレート−HC(Bz−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約55%及び180%高かった)の二つより高かった(図6)。このことは、これら全三つの化合物が異なる代謝経路を受けていること、及びBz−HCはいずれの例よりも潜在的に高い疼痛緩和効果を有していることを示唆している。
【0132】
実施例3:ヒドロコドンの結合体の経鼻PKプロフィール
[00120]本技術のヒドロコドンの結合体を、経口以外の経路で投与した場合の加水分解効率を試験することによって、乱用抵抗能力について試験した。ラットを、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量の結合体で鼻腔内処置し、ラットの血漿中の放出ヒドロコドン及び活性代謝産物ヒドロモルホンの濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。ヒドロコドンの血漿中濃度は、Bz−HCの場合、図7に示されているように著しく低かった(アジペート−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約280%及び60%高かった)。さらに、図8に示されているように、Bz−HCは、アジペート−HCと比較した場合、非常に低いヒドロモルホンの血漿中濃度しか生み出さなかった(アジペート−HCから放出されたヒドロモルホンのAUC及びCmaxはそれぞれ約750%及び660%高かった)。
【0133】
[00121]本技術のプロドラッグは、鼻腔内投与された場合、非結合ヒドロコドン−BT又は他のプロドラッグクラスの各血漿中濃度より著しく低いヒドロコドン及びヒドロモルホン血漿中濃度しか提供しない。
【0134】
実施例4:本技術の結合体の例示的な経静脈PKプロフィール
[00122]本技術のヒドロコドンの結合体、例えばBz−HC、ニコチネート−HC、4−MeO−Bz−HC、ピペロニレート−HC、4−OH−Bz−HC、サリチレート−HC、3−OH−4−MeO−Bz−HC、3−OH−Bz−HC及びガレート−HCは疎水性である。従って、これらの化合物は、実際的な量の水に溶解しないので経口相当用量で静脈内投与することはできない。何らかの固体粒子があると塞栓を引き起こしうるので、注射用化合物は完全に溶解されなければならないからである。所望量の結合体を溶解するのに必要な水の量は注射を実行不可能なものにするので、本組成物及びプロドラッグは、経口相当用量で静脈内投与できる水溶性のアジペート−HC及びジグリコレート−HCなどの他のヒドロコドン結合体とは対照的に、抗乱用可能性を有する。
【0135】
実施例5:ヒドロコドンの結合体の経口PKプロフィールの比較
[00123]ラットへの経口投与後、Bz−HC及びニコチネート−HCから放出されるヒドロコドンの血漿中濃度を、非結合ヒドロコドン−BTによって生じるヒドロコドンの血漿中濃度と比較した。ラットを、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量の結合体又は非結合薬物で処置し、ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度を図9及び10にそれぞれ示されているようにLC−MS/MSによって測定した。Bz−HCから放出されたヒドロコドンの経口血漿中濃度は、Cmaxに達するまではヒドロコドン−BTで観察されたヒドロコドンの血漿中濃度と同様に増加した(両化合物ともCmaxはほぼ等しかった)。Tmax後、Bz−HCのヒドロコドン血漿中濃度は、非結合ヒドロコドン−BTよりもゆっくりとより制御された様式で減少した(図9及び図10)。Bz−HCは、ヒドロコドン−BTと比較した場合、高いAUCを有し(AUCは約25%高かった、図9)、活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度に関しても類似の結果が観察された(図10)。
【0136】
[00124]ニコチネート−HCは、生じたヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度が非結合ヒドロコドン−BTで見られたそれぞれの濃度よりも低かった。しかしながら、対応するAUC値は、同一用量(ヒドロコドン遊離塩基を基にして)の場合、生物学的等価の範囲内であった。
【0137】
[00125]2−ABz−HCは、ラットへの経口投与後、Bz−HC又は非結合薬物ヒドロコドン−BTとは異なる放出プロフィールを示した。ラットを2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量で処置し、ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度を図11又は図12にそれぞれ示されているようにLC−MS/MSによって経時的に測定した。2−ABz−HCは、血漿中濃度の漸増とその後の漸減によって示されるようにヒドロコドンを非常にゆっくりと放出した(図11)。この結果、ヒドロコドン−BTと比較した場合、平坦化したPK曲線が得られた(2−ABz−HCのTmaxは約4倍長く、AUC及びCmaxはそれぞれ約35%及び60%低かった)。全体的に、2−ABz−HCの場合、ヒドロモルホンのPK曲線もヒドロコドン−BTより平坦であったが(図12)、小さい初期スパイクは示していた(2−ABz−HCのAUC及びCmaxはそれぞれ約25%及び50%低かった)。
【0138】
実施例6:ベンゾエート−ヒドロコドンの血漿中濃度における変動の測定
[00126]ヒドロコドン(HC)及びヒドロモルホン(HM)の血漿中濃度の変動を測定するために、個別の動物について変動係数(CV)を計算した。動物に、2mg/kgのヒドロコドン遊離塩基に相当する量のベンゾエート−ヒドロコドン又は非結合の酒石酸水素(BT)ヒドロコドンを投与し、ヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。CVは、所定の時点について、個別の動物の血漿中濃度の標準偏差を全投与動物の平均血漿中濃度で割ることによって計算した。表4に示されている“平均CV”は、全時点のCVの平均値である。
【0139】
【表4】
【0140】
[00127]Bz−HCの低い平均CVは、このプロドラッグが、全投与動物及び全時点にわたって、非結合ドラッグの酒石酸水素ヒドロコドンよりも、ヒドロコドン及びヒドロモルホンの血漿中濃度における相対的変動が小さいことを示している。
【0141】
実施例7:ヒドロコドンの結合体の合成
[00128]ベンゾエート−ヒドロコドン遊離塩基の合成
[00129]ヒドロコドン遊離塩基(0.596g、1.99mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)中溶液に、テトラヒドロフラン(5.98mL)中1MのLiN(SiMe3)2を加えた。得られたオレンジ色の懸濁液を周囲温度で30分間撹拌し、その後ベンゾエート−コハク酸エステル(1.25g、5.98mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌し、18時間後、100mLの飽和塩化アンモニウム溶液の添加によってクエンチングし、これをさらに2時間撹拌した。酢酸エチル(100mL)を混合物に加え、飽和塩化アンモニウム溶液(3×100mL)及び水(1×100mL)で洗浄した。有機抽出物を無水MgSO4上で乾燥させて溶媒を除去し、残渣を2−イソプロパノール(50mL)中に取った。水を固体が形成されるまで加えた。得られた混合物を冷却、ろ過及び乾燥させて、ベンゾエート−ヒドロコドン遊離塩基(0.333g、0.826mmol、収率42%)を暗褐色固体として得た。この合成を図13Aに示す。
【0142】
[00130]2−Boc−アミノベンゾイック(aminobenzoic)スクシネートの合成
[00131]2−Boc−アミノ安息香酸(2.56g、10.8mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(1.37g、11.88mmol)を25mLのTHF中に溶解した。DCC(2.45g、11.88mmol)を一度に加えた。反応を一晩撹拌した。固体をろ過除去し、アセトンで濯いだ(2×10mL)。ろ液を濃縮乾固して、100mLのアセトン中に溶解した。得られた沈殿物(DCU)をろ過除去し、ろ液を濃縮して固体を得た。これを回収し、メタノールで濯いで(3×4mL)3.26g(90%)の白色生成物を得た。
【0143】
[00132]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステルの合成
[00133]20mLの無水THF中に溶解されたヒドロコドン遊離塩基(0.449g、1.5mmol)に、LiHMDSのTHF中溶液(1M、4.5mL、4.5mmol)を20分かけて加えた。該混合物を30分間撹拌し、2−Boc−アミノベンゾイックスクシネート(1.50g、4.5mmol)を一度に加えた。反応を4時間撹拌した後、100mLの飽和NH4Clでクエンチングした。該混合物を1時間撹拌し、200mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和NaHCO3(2×80mL)及び5%ブライン(80mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(7%MeOH/CH2Cl2)、449mg(58%)のアモルファス固体を得た。
【0144】
[00134]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステル二塩酸塩の合成
[00135]ヒドロコドンの2−Boc−アミノ安息香酸エステル(259mg、0.5mmol)を4mLの4N HCl/ジオキサン中で4時間撹拌した。溶媒を蒸発乾固し、残渣に5mLの酢酸エチルを加えた。固体を回収し、酢酸エチルで濯いで207mg(84%)の生成物を得た。
【0145】
[00136]2−MOM−サリチリック(salicylic)スクシネートの合成
[00137]2−MOM−サリチル酸(3.2g、17.6mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(2.23g、19.36mmol)を40mLのTHF中に溶解した。DCC(3.99g、19.36mmol)を一度に加えた。反応を一晩撹拌した。固体をろ過除去し、アセトンで濯いだ(2×10mL)。ろ液を濃縮し、残渣を10mLのメタノールから再結晶して2.60g(53%)の白色固体を得た。
【0146】
[00138]ヒドロコドンの2−MOM−サリチル酸エステルの合成
[00139]20mLの無水THF中に溶解されたヒドロコドン遊離塩基(0.449g、1.5mmol)に、LiHMDSのTHF中溶液(1M、4.5mL、4.5mmol)を20分かけて加えた。該混合物を30分間撹拌し、2−MOM−サリチリックスクシネート(1.26g、4.5mmol)を一度に加えた。反応を4時間撹拌した後、100mLの飽和NH4Clでクエンチングした。該混合物を1時間撹拌し、200mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和NaHCO3(2×80mL)及び5%ブライン(80mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(8%MeOH/CH2Cl2)、381mg(58%)のシロップを得た。
【0147】
[00140]ヒドロコドンのサリチル酸エステル塩酸塩の合成
[00141]12mLのメタノール中のヒドロコドンの2−MOM−サリチル酸エステル(380mg、0.82mmol)に、0.5mLの濃HCl(12N)を加えた。反応を6時間撹拌した。溶液を濃縮し、残留水をメタノールとの共蒸発によって除去した(5×5mL)。得られた残渣を1mLのメタノール、次いで20mLの酢酸エチルに溶解した。濁った混合物を蒸発させて約4mLにした。得られた固体を回収し、酢酸エチルで濯いで152mg(41%)の生成物を得た。
【0148】
実施例8:ラットにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00142]ラットへのベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)の経口投与後、無傷(損傷のない)Bz−HC、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。ラットに2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量の結合体を経口投与し、無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。図14に示されているように、無傷Bz−HCプロドラッグへの暴露はヒドロコドン又はヒドロモルホンへの暴露よりはるかに少なかった(無傷Bz−HCのAUCは、ヒドロコドン及びヒドロモルホンのAUC値のそれぞれ約10%及び3%であった)。
【0149】
実施例9:イヌにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00143]イヌへのベンゾエート−ヒドロコドン(Bz−HC)又はヒドロコドン−BTの経口投与後、無傷Bz−HC(Bz−HCアームのみ)、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。イヌに2mg/kgの遊離塩基ヒドロコドンに相当する量のヒドロコドン−BT又は結合体を経口投与した。無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。
【0150】
[00144]Bz−HC及びヒドロコドン−BTから放出されたヒドロコドンの血漿中濃度の比較を図15に示す。全体的に、両化合物から生成されたヒドロコドンの血漿中濃度は極めて類似していた。ヒドロコドンへの全身暴露は、ヒドロコドン−BTと比較した場合、Bz−HCの方が多少少なかった(Bz−HCのヒドロコドンのAUC値は、ヒドロコドン−BTのAUC値の約72%であった)。Bz−HCのヒドロコドンのCmax値は、ヒドロコドン−BTのCmax値の約92%であった。
【0151】
[00145]Bz−HC又はヒドロコドン−BTの経口投与後の活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度の比較を図16に示す。ヒドロモルホンの全身暴露及び最大血漿中濃度は両化合物で類似していた。Bz−HCのヒドロモルホンのAUC及びCmax値は、ヒドロコドン−BTの各値の約103%及び109%であった。
【0152】
[00146]Bz−HCから放出された無傷Bz−HC及びヒドロコドンの血漿中濃度の比較を図17に示す。ラットで見られた結果と同様、イヌにおける無傷Bz−HCプロドラッグの血漿中濃度は、ヒドロコドンの血漿中濃度と比較すると低かった(無傷Bz−HCのAUC値は、ヒドロコドンのAUC値の約10%であった)。
【0153】
実施例10:ラットにおける結合ヒドロコドン、ヒドロコドン、及びヒドロモルホンの経静脈PKプロフィール
[00147]Bz−HC(0.30mg/kg)をラットに静脈内投与した。水溶性(又はPBS中の溶性)に乏しいため、0.30mg/kgはラットに静脈内投与できる最大用量に近かった。無傷Bz−HC、ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンのPK曲線を測定した。無傷Bz−HC、放出ヒドロコドン、及び活性代謝産物ヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって経時的に測定した。得られたPK曲線を図18に示す。
【0154】
実施例11:ラットにおける様々な用量のBz−HC後のヒドロコドン及びヒドロモルホンの経口PKプロフィール
[00148]ラットにBz−HCを0.25、0.50、1.00、2.00、3.00、又は4.00mg/kgの用量で経口投与した。ヒドロコドン又はヒドロモルホンの血漿中濃度をLC−MS/MSによって測定し、それぞれ図19及び20に示した。0.25〜4.00mg/kgのBz−HCの用量におけるヒドロコドン及びヒドロモルホンへの暴露(AUC)はかなり直線的であった。しかしながら、各Cmax値は、特にヒドロモルホンの場合、より変動的であった。ヒドロモルホンの最大血漿中濃度は、Bz−HCの2.00mg/kgを超える用量では顕著な変化はなかった。
【0155】
[00149]本明細書において、単数形の使用は、特に指示された場合を除き、複数形も含む。
【0156】
[00150]本明細書中に記載された組成物、プロドラッグ、及び方法は、以下の番号付き段落に列挙された態様によって説明できる。
【0157】
1.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物であって、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体は、下記式I:
【0158】
【化15】
【0159】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する組成物。
【0160】
2.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0161】
3.ベンゾエート結合体を含む組成物であって、前記ベンゾエート結合体は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含む組成物。
【0162】
4.少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、段落1の組成物。
【0163】
5.アミノベンゾエートが、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0164】
6.ヒドロキシベンゾエートが、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸(thymotic acid)、ジフルシナル(diflusinal)、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸(resorcylic acid)、プロトカテク酸(protocatechuic acid)、ゲンチジン酸、ピペロニル酸(piperonylic acid)、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(veratric acid)(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸(syringic acid)、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0165】
7.アミノヒドロキシベンゾエートが、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落4の組成物。
【0166】
8.少なくとも一つの結合体が、麻薬又はオピオイド乱用の治療又は離脱症状の予防に使用される治療用又は予防用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0167】
9.少なくとも一つの結合体が疼痛治療用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0168】
10.少なくとも一つの結合体が中等度〜重度の疼痛治療用組成物である、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0169】
11.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用を低減又は防止する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0170】
12.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用抵抗を提供する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0171】
13.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる非結合ヒドロコドンと比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0172】
14.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0173】
15.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0174】
16.少なくとも一つの結合体が、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0175】
17.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片(thin strip)、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0176】
18.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0177】
19.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0178】
20.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落1、2、3、又は4の組成物。
【0179】
21.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0180】
22.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0181】
23.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0182】
24.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0183】
25.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0184】
26.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0185】
27.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落1、2、3又は4の組成物。
【0186】
28.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0187】
【化16】
【0188】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する方法。
【0189】
29.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより大きいAUCを示す、段落28の方法。
【0190】
30.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落28の方法。
【0191】
31.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、段落28の方法。
【0192】
32.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落28の方法。
【0193】
33.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0194】
34.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0195】
35.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落28の方法。
【0196】
36.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0197】
37.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0198】
38.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0199】
39.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0200】
40.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0201】
41.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0202】
42.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落28の方法。
【0203】
43.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落28の方法。
【0204】
44.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落28の方法。
【0205】
45.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンの少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落28の方法。
【0206】
46.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減又は防止された便秘作用を示す、段落28の方法。
【0207】
47.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する、段落28の方法。
【0208】
48.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に非可逆的に結合する、段落28の方法。
【0209】
49.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0210】
【化17】
【0211】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する方法。
【0212】
50.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落49の方法。
【0213】
51.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落49の方法。
【0214】
52.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落49の方法。
【0215】
53.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0216】
54.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、より緩徐な放出速度及びより高いAUCを提供する、段落53の方法。
【0217】
55.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落53の方法。
【0218】
56.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落53の方法。
【0219】
57.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落53の方法。
【0220】
58.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0221】
59.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0222】
60.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低いCmaxで治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落53の方法。
【0223】
61.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxを提供しない、段落53の方法。
【0224】
62.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0225】
63.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0226】
64.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0227】
65.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0228】
66.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0229】
67.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0230】
68.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落53の方法。
【0231】
69.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落53の方法。
【0232】
70.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落53の方法。
【0233】
71.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落53の方法。
【0234】
72.少なくとも一つの結合体が、低減又は防止された便秘作用を示す、段落53の方法。
【0235】
73.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落53の方法。
【0236】
74.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落53の方法。
【0237】
75.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0238】
76.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落75の方法。
【0239】
77.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落75の方法。
【0240】
78.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落75の方法。
【0241】
79.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含み、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0242】
【化18】
【0243】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれてよく;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有するキット。
【0244】
80.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落79のキット。
【0245】
81.患者が小児患者である、段落80のキット。
【0246】
82.患者が高齢患者である、段落80のキット。
【0247】
83.患者が標準的患者である、段落80のキット。
【0248】
84.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その塩、その誘導体又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定量の個別用量をパッケージ中に含むキット。
【0249】
85.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落84のキット。
【0250】
86.患者が小児患者である、段落85のキット。
【0251】
87.患者が高齢患者である、段落85のキット。
【0252】
88.患者が標準的患者である、段落85のキット。
【0253】
89.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約0.5mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0254】
90.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約2.5mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0255】
91.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約5.0mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0256】
92.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約10mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0257】
93.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約20mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0258】
94.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約50mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0259】
95.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約100mg以上を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0260】
96.キットが約1〜約60の個別用量を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0261】
97.キットが約10〜約30の個別用量を含む、段落79、80、84又は85のキット。
【0262】
98.ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0263】
99.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0264】
【化19】
【0265】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落98の組成物。
【0266】
100.ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含む組成物。
【0267】
101.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸がピリジン誘導体である、段落98の組成物。
【0268】
102.ヘテロアリールカルボン酸が、イソニコチン酸、ピコリン酸、3−ヒドロキシピコリン酸、6−ヒドロキシニコチン酸、シトラジン酸、2,6−ジヒドロキシニコチン酸、キヌレン酸、キサンツレン酸、6−ヒドロキシキヌレン酸、8−メトキシキヌレン酸、7,8−ジヒドロキシキヌレン酸、7,8−ジヒドロ−7,8−ジヒドロキシキヌレン酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、段落98の組成物。
【0269】
103.少なくとも一つの結合体が、薬物、麻薬又はオピオイド乱用の治療又は離脱症状の予防に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0270】
104.少なくとも一つの結合体が、疼痛の治療に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0271】
105.少なくとも一つの結合体が、中等度〜重度の疼痛の治療に使用される、段落98、99又は100の組成物。
【0272】
106.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用を低減又は防止する、段落98、99又は100の組成物。
【0273】
107.少なくとも一つの結合体が、経口、鼻腔内又は非経口薬物乱用抵抗を提供する、段落98、99又は100の組成物。
【0274】
108.少なくとも一つの結合体が、物理的又は化学的操作による薬物改ざんを防止する、段落98、99又は100の組成物。
【0275】
109.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたるモル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落98、99又は100の組成物。
【0276】
110.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落98、99又は100の組成物。
【0277】
111.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落98、99又は100の組成物。
【0278】
112.組成物が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0279】
113.少なくとも一つの結合体が、モル当量の非結合ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0280】
114.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0281】
115.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低いCmaxで治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落98、99又は100の組成物。
【0282】
116.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0283】
117.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0284】
118.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0285】
119.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0286】
120.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0287】
121.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0288】
122.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落98、99又は100の組成物。
【0289】
123.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0290】
124.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0291】
【化20】
【0292】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落123の方法。
【0293】
125.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0294】
126.少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたるヒドロコドン単独と比較した場合、改良された放出速度及びAUCを示す、段落123、124、又は125の方法。
【0295】
127.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落123、124、又は125の方法。
【0296】
128.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、低減された副作用を有する、段落123、124、又は125の方法。
【0297】
129.少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0298】
130.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0299】
131.少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0300】
132.少なくとも一つの結合体が、同じモル量の非結合ヒドロコドンと比較して、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、段落123、124、又は125の方法。
【0301】
133.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独と比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供されるが、等価のCmaxを提供しない、段落123、124、又は125の方法。
【0302】
134.少なくとも一つの結合体が約0.5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0303】
135.少なくとも一つの結合体が約2.5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0304】
136.少なくとも一つの結合体が約5mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0305】
137.少なくとも一つの結合体が約10mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0306】
138.少なくとも一つの結合体が約20mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0307】
139.少なくとも一つの結合体が約50mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0308】
140.少なくとも一つの結合体が約100mg以上の量で存在する、段落123、124、又は125の方法。
【0309】
141.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0310】
142.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0311】
143.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落123、124、又は125の方法。
【0312】
144.少なくとも一つの結合体が、低減又は防止された便秘作用を示す、段落123、124、又は125の方法。
【0313】
145.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0314】
146.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に永久的に結合する、段落123、124、又は125の方法。
【0315】
147.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸との少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0316】
148.少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸が、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0317】
【化21】
【0318】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落147の方法。
【0319】
149.患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を阻害することを必要とする又はそれによって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を経口投与することを含む方法。
【0320】
150.少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落147、148、又は149の方法。
【0321】
151.少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合を可逆的に阻害する、段落147、148、又は149の方法。
【0322】
152.少なくとも一つの結合体が、ヒドロコドン単独の少なくとも一つの便秘の副作用を防止又は低減する、段落147、148、又は149の方法。
【0323】
153.薬剤キットであって、
製薬学的に有効な量の、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含有する特定数の個別用量をパッケージ中に含み、少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸は、式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0324】
【化22】
【0325】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
であるキット。
【0326】
154.キットがさらに、
(ii)ヒト又は動物患者の薬物離脱症状又は疼痛を治療又は予防するための方法に該キットを使用するための説明書
を含む、段落153のキット。
【0327】
155.患者が小児患者である、段落154のキット。
【0328】
156.患者が高齢患者である、段落154のキット。
【0329】
157.患者が標準的患者である、段落154のキット。
【0330】
158.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約0.5mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0331】
159.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約2.5mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0332】
160.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約5.0mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0333】
161.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約10mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0334】
162.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約20mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0335】
163.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約50mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0336】
164.個別用量が、少なくとも一つの結合体の少なくとも約100mg以上を含む、段落153又は154のキット。
【0337】
165.キットが約1〜約60の個別用量を含む、段落153又は154のキット。
【0338】
166.キットが約10〜約30の個別用量を含む、段落153又は154のキット。
【0339】
167.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体、その塩、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグであって、安息香酸又は安息香酸誘導体は、式I:
【0340】
【化23】
【0341】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有するプロドラッグ。
【0342】
168.ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0343】
169.ベンゾエート結合体を含むプロドラッグであって、ベンゾエート結合体は、少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体に結合された少なくとも一つのヒドロコドンを含むプロドラッグ。
【0344】
170.ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0345】
171.ヘテロアリールカルボン酸が式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【0346】
【化24】
【0347】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、段落170のプロドラッグ。
【0348】
172.ヒドロコドンと少なくとも一つのニコチン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとの少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグ。
【0349】
173.安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、段落167のプロドラッグ。
【0350】
174.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経鼻PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0351】
175.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、非経口PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0352】
176.少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、経静脈PKプロフィールにおける変動が少ない、段落1又は2の組成物。
【0353】
[00151]ここに記載された技術は、その関連分野のいずれの当業者も同じことを実施できるように、十分、明確、簡潔及び正確な表現で記載されている。上記文章は、本技術の好適な態様を記載していること、及び添付の特許請求の範囲に示されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく変更は可能であることは当然理解されるはずである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの結合体を含む組成物であって、前記結合体は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、その塩、又はそれらの組合せとを含む組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、式I:
【化1】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミノベンゾエートが、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシベンゾエートが、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸、ジフルシナル、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、ピペロニル酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
アミノヒドロキシベンゾエートが、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの結合体が、麻薬又はオピオイド乱用の治療;麻薬又はオピオイド離脱症状の予防;中等度〜重度の疼痛の治療;経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用の低減又は防止;又は経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用抵抗の提供のために使用される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる非結合ヒドロコドンと比較した場合、改良されたAUC及び放出速度を示す;非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない;又は非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合によって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の請求項1又は2の組成物を経口投与することを含む方法。
【請求項14】
少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグであって、前記結合体は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとを含むプロドラッグ。
【請求項17】
ヘテロアリールカルボン酸が式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【化2】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、請求項16に記載のプロドラッグ。
【請求項1】
少なくとも一つの結合体を含む組成物であって、前記結合体は、ヒドロコドンと少なくとも一つの安息香酸、その誘導体、その塩、又はそれらの組合せとを含む組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、式I:
【化1】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の間の整数である]
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの安息香酸又は安息香酸誘導体が、アミノベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノヒドロキシベンゾエート、それらの誘導体、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミノベンゾエートが、アントラニル酸、3−アミノ安息香酸、4,5−ジメチルアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、N−アセチルアントラニル酸、フェナム酸(例えば、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸)、2,4−ジアミノ安息香酸(2,4−DABA)、2−アセチルアミノ−4−アミノ安息香酸、4−アセチルアミノ−2−アミノ安息香酸、2,4−ジアセチルアミノ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシベンゾエートが、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−メチルサリチル酸、o,m,p−クレソチン酸、アナカルド酸、4,5−ジメチルサリチル酸、o,m,p−チモト酸、ジフルシナル、o,m,p−アニス酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、α,β,γ−レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、ピペロニル酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸、バニリン酸、イソバニリン酸、5−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、ベラトルム酸(3,4−ジメトキシ安息香酸)、3,5−ジメトキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3−O−メチル没食子酸(3−OMGA)、4−O−メチル没食子酸(4−OMGA)、3,4−O−ジメチル没食子酸、シリンガ酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
アミノヒドロキシベンゾエートが、4−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3−メトキシアントラニル酸、それらの誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの結合体が、麻薬又はオピオイド乱用の治療;麻薬又はオピオイド離脱症状の予防;中等度〜重度の疼痛の治療;経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用の低減又は防止;又は経口、鼻腔内又は静脈内薬物乱用抵抗の提供のために使用される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの結合体が、一定の時間にわたって、同じ期間にわたる非結合ヒドロコドンと比較した場合、改良されたAUC及び放出速度を示す;非結合ヒドロコドンと比較した場合、経口PKプロフィールにおける変動が少ない;又は非結合ヒドロコドンと比較した場合、低減された副作用を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの結合体が、錠剤、カプセル、カプレット、坐剤、トローチ、ロゼンジ、経口散剤、溶液、経口フィルム、薄片、スラリー、及び懸濁液からなる群から選ばれる剤形で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの結合体が、非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUCを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及びCmaxを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの結合体が、等モル量の非結合ヒドロコドンと比較した場合、治療上生物学的等価のAUC及び低いCmaxを提供するのに足る量で提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
患者のオピオイド受容体へのオピオイドの結合によって媒介される疾患、障害又は状態を有する患者の治療法であって、患者に製薬学的に有効な量の請求項1又は2の組成物を経口投与することを含む方法。
【請求項14】
少なくとも一つの結合体が、患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一つの結合体が、CNS抑制作用なしに患者のオピオイド受容体に可逆的に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの結合体を含むプロドラッグであって、前記結合体は、ヒドロコドンと少なくとも一つのヘテロアリールカルボン酸、その誘導体、又はそれらの組合せとを含むプロドラッグ。
【請求項17】
ヘテロアリールカルボン酸が式II、式III又は式IVから選ばれ、式II、式III及び式IVは、
【化2】
[式中、
X、Y及びZは、H、O、S、NH及び−(CH2)x−からなる群から独立して選ばれ;
R1、R2及びR3は、H、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロサイクル、アリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルからなる群から独立して選ばれ;
o、p、qは、0又は1から独立して選ばれ;そして
xは、1〜10の整数である]
である、請求項16に記載のプロドラッグ。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2012−532142(P2012−532142A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518606(P2012−518606)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040775
【国際公開番号】WO2011/002991
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(509163710)ケムファーム・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040775
【国際公開番号】WO2011/002991
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(509163710)ケムファーム・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
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