説明

ヒドロシアノ化

【課題】1,3−ブタジエンをシアン化水素でヒドロシアノ化することにより、3−ペンタシアノニトリルを製造する方法において使用する触媒の有効期間が長期化される製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類の触媒を用い、1,3−ブタジエンをシアン化水素によりヒドロシアノ化することによる3−ペンテンニトリルの製造方法であって、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素を、その反応前に微細孔を有する少なくとも1種類の固体と接触させることを特徴とする3−ペンテンニトリルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3−ブタジエンをシアン化水素により、少なくとも1種類の触媒の存在下にヒドロシアノ化して3−ペンテンニトリルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アジポニトリルはナイロン製造における重要な出発材料であり、1,3−ブタジエンの二重のヒドロシアノ化(double hydrocyanation)を行うことにより製造される。第一のヒドロシアノ化では1,3−ブタジエンの3−ペンテンニトリルへのヒドロシアン化が行われる。そして、第二のヒドロシアノ化では、3−ペンテンニトリルをシアン化水素と反応させることによりアジポニトリルが得られる。いずれのヒドロシアノ化もニッケル(0)−リン錯体の触媒作用により行われる。
【0003】
1,3-ブタジエンの水素化に用いられるニッケル(0)リン錯体は、水、脂肪族又は芳香族アルコールに対して不安定ある。そして、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素は、通常、水と、tert-ブチルピロカテコール(1,3−ブタジエンの安定化剤)とを含むため、ニッケル(0)リン錯体の寿命が制限される。
【0004】
米国特許第3,852,329号明細書には、触媒としてのニッケル(0)リン錯体上で2−メチル−3−ブテンニトリルを異性化させて3−ペンテンニトリルを製造する方法が記載されている。同文献の異性化では、実際に異性化を行う前に、2−メチル−3−ブテンニトリル及び/又は触媒をモレキュラー・シーブと接触させる。米国特許第3,852,329号明細書によると、モレキュラー・シーブの存在下に直接異性化を行うことも可能である。
【0005】
米国特許第3,846,474号明細書には、ニッケル(0)リン触媒上で3−ペンテンニトリルのヒドロシアノ化を行う方法が記載されている。この方法によると、ヒドロシアノ化の前に3−ペンテンニトリルをモレキュラー・シーブと接触させる。この他の方法では、モレキュラー・シーブをヒドロシアノ化の間に用いても、或いはモレキュラー・シーブによりヒドロシアノ化に用いられる前の触媒溶液を処理しても良い。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,852,329号明細書
【特許文献2】米国特許第3,846,474号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は1,3−ブタジエンをシアン化水素でヒドロシアノ化することにより、3−ペンタシアノニトリルを製造する方法において使用する触媒の有効期間が長期化される製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は少なくとも1種類の触媒上、1,3−ブタジエンをシアン化水素でヒドロシアノ化することにより3-ペンテンニトリルを製造する方法を出発点とするものである。第一の実施の形態において、本発明の方法は1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素を、反応の前に少なくとも1種類の微細孔を有する固体と接触させる工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ヒドロシアノ化に用いられる1,3−ブタジエンは、その製造の結果として得られた水を含んでいても良い。更に、1,3−ブタジエンは通常は安定剤と一緒に保存、移送される。使用される安定剤の例はtert−ブチルピロカテコール(TBP)である。
【0010】
本発明により、1,3−ブタジエンを微細孔を有する少なくとも1種類の固体と接触させることにより、ニッケル(0)−リン触媒の寿命が増加することが見出された。理論とは別に、触媒の寿命増大効果が得られることに起因して、水とtert−ブチルピロカテコール安定剤が除去されるという効果が得られる。
本発明の方法では、1,3−ブタジエンとシアン化水素とを、少なくとも1種類の微細孔固体に、一緒に接触させても、別々に接触させてもよい。少なくとも1種類の触媒を用いて実際のヒドロシアノ化を行う前に、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素から少なくとも1種類の微細孔固体を除去することが好ましい。
【0011】
1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素は床(bed)を有する管内部で接触させると好ましく、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素の流動状態は、栓流特性、すなわち断面において直径方向の大きな流動差が生じないような流動が得られるように設定され、これにより反応系の逆流が実質的に除外されると好ましい。
【0012】
第二の実施形態において、本発明は少なくとも1種類の触媒を用い、1,3−ブタジエンをシアン化水素でヒドロシアノ化することにより3−ペンテンニトリルを製造する方法であって、ヒドロシアノ化を少なくとも1種類の微細孔固体の存在下に行う方法に関する。
【0013】
本発明による第一及び第二の実施の形態におけるシアノ化では、以下に記載する同一条件が用いられる。
【0014】
ニッケル(0)錯体のリン配位子と、遊離したリン配位子は、単座又は二座ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト及びホスホナイトから選択されると好ましい。
【0015】
これらのリン配位子は式Iで示されるものであると好ましい。
【0016】
【化1】

【0017】
本発明において、化合物(1)は単独の化合物であっても、上記式で示される複数の化合物の混合物であっても良い。
【0018】
本発明によると、X1、X2、X3はそれぞれ独立に酸素又は単結合を示す。
【0019】
X1、X2、X3の全てが単結合を意味する場合、化合物Iは式P(R1R2R3)で示され、R1、R2及びR3が以下の意味を有するホスフィンとなる。
【0020】
X1、X2、X3のうちの2個が単結合、1個が酸素を意味する場合、化合物Iは式P(OR1)(R2)(R3)、又はP(R1)(OR2)(R3)、又はP(R1)( R2)(OR3)で示され、R1、R2及びR3が以下の意味を有するホスフィナイトとなる。
【0021】
X1、X2、X3のうちの1個が単結合、2個が酸素を意味する場合、化合物Iは式P(OR1)(OR2)(R3)、又はP(R1)(OR2)(OR3)、又はP(OR1)(R2)(OR3)で示され、R1、R2及びR3が以下の意味を有するホスホナイトとなる。
【0022】
好ましい実施の形態においては、X1、X2、X3の全てが酸素であり、化合物Iは式P(OR1)(OR2)(OR3)で示され、R1、R2及びR3が以下の意味を有する。
【0023】
本発明によると、R1、R2及びR3は相互に同じであっても異なっても良い。R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、アリール基、例えばフェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、1−ナフチル、2−ナフチル、又は炭素原子数の1〜20のヒドロカルボニル、例えば1,1’−ビフェノール、1,1’−ビナフトールである。R1、R2及びR3
は直接相互に結合、すなわち中心のリン原子を介してのみではなく、更に相互に結合していても良い。しかしながら、R1、R2及びR3は直接結合していないことが好ましい。
【0024】
好ましい実施の形態において、R1、R2及びR3は、フェニル、o−トリル、m−トリル及びp−トリルから選択される。好ましい実施の形態においては、R1、R2及びR3のうちの2個までがフェニル基とされる。
【0025】
他の好ましい実施の形態において、R1、R2及びR3のうちの2個までがo−トリル基とされる。
【0026】
使用可能な化合物Iの特に好ましい例は、式Iaの化合物である。
【0027】
(o‐トリル‐O‐)w(m‐トリル‐O‐)x(p‐トリル‐O‐)y(フェニル‐O‐)zP (Ia)
(w、x、y及びzはそれぞれ自然数であり、w+x+y+z=3、及びw、z≦2の条件が成立する。)
【0028】
このような化合物Iaの例は(o‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)2P、(m‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)2P、(o‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)2P、(p‐トリル‐O‐)2(フェニル‐O‐)P、(m‐トリル‐O‐)2(フェニル‐O‐)P、(m‐トリル‐O‐)2(フェニル‐O‐)P、(m‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)P、(o‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)P、(o‐トリル‐O‐)(m‐トリル‐O‐)(フェニル‐O‐)P、(o‐トリル‐O‐)3P、(m‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)2P、(o‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)2P、(m‐トリル‐O‐)2(p‐トリル‐O‐)P、(o‐トリル‐O‐)2(p‐トリル‐O‐)P、(o‐トリル‐O‐)(m‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)P、(m‐トリル‐O‐)3P、(o‐トリル‐O‐)(m‐トリル‐O‐)2P、(o‐トリル‐O‐)2(m‐トリル‐O‐)P、又はこれらの化合物の混合物である。
【0029】
m−クレゾールとp−クレゾールとを、特に2:1のモル比で含む混合物を反応させることにより、(m‐トリル‐O‐)3P、(m‐トリル‐O‐)2(p‐トリル‐O‐)P、(m‐トリル‐O‐)(p‐トリル‐O‐)2P、及び(p‐トリル‐O‐)3Pを含む混合物が得られることがある。同混合物は粗製油の蒸留による後処理中に、三ハロゲン化リン、例えば三塩化リンと一緒に得られる。
【0030】
この他、好ましい実施の形態において適するリン配位子は式Ibで示されるホスファイトであり、詳細はDE−A19953058号公報に記載されている。
【0031】
【化2】

【0032】
式中、
1はリン原子を芳香族部分(aromatic system)に結合する酸素原子に対するo−位にC1−C18アルキル基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するo−位に芳香族置換基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するo−位に縮合芳香族置換基を有する芳香族基であり、
2はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するm−位にC1−C18アルキル基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するm−位に芳香族置換基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するm−位に縮合芳香族置換基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するo−位に水素原子を有する芳香族基であり、
3はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するp−位にC1−C18アルキル基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するp−位に芳香族置換基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するo−位に水素原子を有する芳香族基であり、
4は、リン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するo−位、m−位、p−位にR1、R2及びR3以外の置換基を有する芳香族基、又はリン原子を芳香族部分に結合する酸素原子に対するp−位に水素原子を有する芳香族基であり、
xは1又は2であり、
y、z、pはそれぞれ独立に0、1又は2(但し、x+y+z+p=3)である。
【0033】
式Ibで示される好ましいホスファイトは、DE−A19953058号公報に記載されている。R1はo−トリル、o−エチルフェニル、o−n−プロピルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−n−ブチルフェニル、o−sec−ブチルフェニル、o−tert−ブチルフェニル、(o−フェニル)フェニル、又は1−ナフチル基である。
【0034】
好ましいR2基はm−トリル、m−エチルフェニル、m−n−プロピルフェニル、m−イソプロピルフェニル、m−n−ブチルフェニル、m−sec−ブチルフェニル、m−tert−ブチルフェニル、(m−フェニル)フェニル、又は2−ナフチル基である。
【0035】
好ましいR3基はp−トリル、p−エチルフェニル、p−n−プロピルフェニル、p−イソプロピルフェニル、p−n−ブチルフェニル、p−sec−ブチルフェニル、p−tert−ブチルフェニル、(p−フェニル)フェニル基である。
【0036】
4基はフェニル基であると好ましく、pは0であると好ましい。化合物Ibにおける符号x、y、z及びpは以下の値をとることができる。
【0037】
【表1】

【0038】
式Ibで表される好ましいホスファイトは、pが0であり、R1、R2及びR3がそれぞれ独立にo−イソプロピルフェニル、m−トリル及びp−トリルのいずれかを意味し、R4がフェニルを意味する。
【0039】
式Ibで表される特に好ましいホスファイトは、R1がo−イソプロピルフェニル基、R2がm−トリル基、及びR3がp−トリル基であり、各符号が上記の意味を示すホスファイト、R1がo−トリル基、R2がm−トリル基、R3がp−トリル基であり、各符号が上記の意味を示すホスファイト、R1が1−ナフチル基、R2がm−トリル基、R3がp−トリル基であり、各符号が上記の意味を示すホスファイト、R1がo−トリル基、R2が2−ナフチル基、R3がp−トリル基であり、各符号が上記の意味を示すホスファイト、及びR1がo−イソプロピルフェニル基、R2が2−ナフチル基、及びR3がt−トリル基であり、各符号が上記の意味を示すホスファイト、及びこれらのホスファイトの混合物である。
【0040】
式Ibのホスファイトは、
a)三ハロゲン化リンと、R1OH、R2OH、R3OH又はR4OH、又はこれらの混合物から選択されたアルコールと、を反応させてジハロリンモノエステルを製造し、
b)上記ジハロリンモノエステルと、R1OH、R2OH、R3OH又はR4OH、又はこれらの混合物から選択されたアルコールとを反応させてモノハロリンジエステルを製造し、更に
c)モノハロリンジエステルと、R1OH、R2OH、R3OH又はR4OH、又はこれらの混合物から選択されたアルコールとを反応させて式Ibのホスファイトを得ることにより得られる。
【0041】
本発明の反応は3個の別々の工程によりおおなうことも可能である。同様に、3工程のうちの2工程を合体させること、すなわちa)工程とb)工程、又はb)工程とc)工程を合体させることも可能である。この他、工程a)、b)及びc)の全ての工程を一体とすることも可能である。
【0042】
1OH、R2OH、R3OH又はR4OH、又はこれらの混合物から選択されたアルコールの適するパラメーターと使用量は、数種類の単純な予備実験をすることにより簡単に決定される。
【0043】
有効な三ハロゲン化リンは、原則として全ての三ハロゲン化リンであり、使用されるハロゲンがCl、Br、I、特にCl、及びその混合物であると好ましい。更に、同様に又は異なってハロゲン置換された複数種類の三ハロゲン化リンとしてのホスフィンの混合物を用いることも可能である。特に好ましい例はPCl3である。ホスファイトIbの製造における反応条件と後処理についての詳細はDE−A19953058に記載されている。
【0044】
ホスファイトIbは、配位子としての異なるホスファイトIbの混合物の形態で使用しても良い。このような混合物は、例えばホスファイトIbの製造により得られる。
【0045】
しかしながら、リン配位子は多座、特に二座であると好ましい。好ましく使用される配位子の例を下式IIに示す。
【0046】
【化3】

【0047】
上記式中、
11、X12、X13、X21、X22、X23はそれぞれ独立に酸素又は単結合を意味し、
11、R12はそれぞれ独立に同一又は異なる、個別又は架橋(ブリッジ)した有機基、
21、R22はそれぞれ独立に同一又は異なる、個別又は架橋(ブリッジ)した有機基、
Yは架橋基(bridging group)を意味する。
【0048】
本発明において、化合物IIは上記式の単独の化合物であっても、異なる化合物の混合物であってもよい。
【0049】
好ましい実施の形態において、X11、X12、X13、X21、X22、X23はそれぞれ酸素であってもよい。このような場合には、架橋基Yはホスファイト基に結合している。
【0050】
他の好ましい実施の形態において、X11及びX12がそれぞれ酸素であり、かつX13が単結合であるか、X11及びX13がそれぞれ酸素であり、かつX12が単結合であってもよく、X11、X12及びX13により囲まれているリン原子はホスホナイトの中心原子となる。この場合、X21、X22及びX23はそれぞれ酸素であるか、X21とX22がそれぞれ酸素であり、かつX23が単結合であるか、X21とX23がそれぞれ酸素であり、かつX22が単結合であるか、X23が酸素であり、かつX21及びX22がそれぞれ単結合であるか、X21が酸素であり、かつX22及びX23が単結合であるか、又はX21、X22及びX23がそれぞれ単結合であってもよい。これにより、X21、X22及びX23により囲まれるリン原子がホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、又はホスフィン、好ましくはホスホナイトの中心原子となる。
【0051】
他の好ましい実施の形態において、X13が酸素であり、かつX11及びX12がそれぞれ単結合であるか、X11が酸素であり、かつX12及びX13がそれぞれ単結合であってもよく、これによりX11、X12及びX13により囲まれるリン原子がホスホナイトの中心原子となる。この場合、X21、X22及びX23はそれぞれ酸素であるか、X23が酸素であり、かつX21及びX22がそれぞれ単結合であるか、X21が酸素であり、かつX22及びX23が単結合であるか、X21、X22及びX23がそれぞれ単結合であってもよい。これにより、X21、X22及びX23により囲まれるリン原子がホスファイト、ホスフィナイト、又はホスフィン、好ましくはホスフィナイトの中心原子となる。
【0052】
他の好ましい実施の形態において、X11、X12及びX13がそれぞれ単結合であってもよく、これによりX11、X12及びX13により囲まれるリン原子がホスフィンの中心原子となる。この場合、X21、X22及びX23はそれぞれ酸素であるか、X21、X22及びX23がそれぞれ単結合であってもよく、これにより、X21、X22及びX23により囲まれるリン原子がホスファイト又はホスフィン、好ましくはホスフィンの中心原子となる。
【0053】
架橋基Yは、C1−C4アルキル、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニルにより置換されているアリール基、又は無置換のアリール基、好ましくは芳香族部分の炭素原子数が6〜20の基、特にピロカテコール、ビス(フェノール)又はビス(ナフトール)であると有利である。
【0054】
11及びR12基はそれぞれ独立に、同一又は異なる有機基を意味してもよい。R11及びR12基はアリール基、好ましくは炭素原子数6〜10のものであると有利であり、これらの基は無置換であるか、又は単一置換もしくは多置換、特にC1−C4アルキル、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニル又は無置換アリール基により単一置換もしくは多置換されていてもよい。
【0055】
21及びR22基はそれぞれ独立に、同一又は異なる有機基を意味してもよい。R21及びR22基はアリール基、好ましくは炭素原子数6〜10のものであると有利であり、これらの基は無置換であるか、又は単一置換もしくは多置換、特にC1−C4アルキル、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素、ハロゲン化アルキル、例えばトリフルオロメチル、アリール、例えばフェニル又は無置換アリール基により単一置換もしくは多置換されていてもよい。
【0056】
11及びR12基は個別に存在しても、架橋されていても良い。 更にR21及びR22基も個別に存在しても、架橋されていても良い。 又は上述のように、R11、R12、R21及びR22基が別々に存在していても、このうちの2基が架橋(結合)し、かつ2個が別々に存在していても、4基が全て架橋していても良い。
【0057】
特に好ましい実施の形態において、好ましい化合物は米国特許第5,723,641号明細書に記載された式I、II、III、IV及びVにより示される化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物としては米国特許第5,512,696号明細書に記載された式I、II、III、IV、V、VI、及びVII、特に同文献の実施例1〜31で使用されている化合物を挙げることができる。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物は米国特許第5,821,378号明細書に記載されている式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、及びXVにより示される化合物、特に好ましくは同文献中の実施例1〜73に記載されている化合物である。
【0058】
特に好ましい実施の形態において、有用な化合物は米国特許第5,521,695号明細書に記載された式I、II、III、IV、V及びVIにより示される化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物としては米国特許第5,981,772号明細書に記載された式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII及びXIVにより示される化合物、特に好ましくは同文献中の実施例1〜66に記載されている化合物である。
【0059】
特に好ましい実施の形態において、有用な化合物は米国特許第6,127,567号明細書に記載された実施例1〜29で使用されている化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物は米国特許第6,020,516号明細書に記載された式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX及びXにより示される化合物、特に好ましくは同文献中の実施例1〜33で使用されている化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物としては米国特許第5,959,135号明細書に記載された化合物、及び同文献の実施例1〜13で用いられている化合物である。
【0060】
特に好ましい実施の形態において、好ましい化合物は米国特許第5,847,191号明細書に記載された式I、II及びIIIにより示される化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物としては米国特許第5,523,453号明細書に記載された化合物、特に式、1、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13、14、15、16,17、18、19、20及び21により示される化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はWO01/14392号公報に記載されたものであり、特に式V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVII、XXI、XXII、XXIIIにより示される化合物である。
【0061】
特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はWO98/27054号公報に記載された化合物である。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はWO99/13983号公報に記載されたものである。特に好ましい実施の形態において、有効な化合物はWO99/64155号公報に記載されている化合物である。
【0062】
特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はドイツ特許出願DE100 380 37号に記載されている。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はドイツ特許出願DE100 460 25号に記載されている。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はドイツ特許出願DE101 502 85号に記載されている。
【0063】
特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はドイツ特許出願DE101 502 86号に記載されている。特に好ましい実施の形態において、有用な化合物はドイツ特許出願DE102 071 65号に記載されている。更に特に好ましい実施の形態において、有用なリンキレート配位子はUS2003/0100442A1号公報に記載されている。
【0064】
特に好ましい実施の形態において、有用なリンキレート配位子は2003年10月30日付けのドイツ特許出願(整理)番号DE103 50 999.2号に記載されている。なお、同出願は前記出願日よりも前の優先日を有するが、本件特許出願の優先日には未公開であったものである。
【0065】
I、Ia、Ib及びIIに記載された化合物及びその製造方法は公知である。使用されるリン配位子は、化合物I、Ia、Ib及びIIの2種類以上の混合物であっても良い。
【0066】
本発明の製造法についての好ましい実施の形態においては、ニッケル(0)錯体のリン配位子及び/又はトリトリルホスファイト、二座リンキレート配位子及び下式Ib
【0067】
【化4】

で示され、R1、R2及びR3がそれぞれ独立にo−イソプロピルフェニル、m−トリル、p−トリルから選択され、R4がフェニル基であり、xが1又は2、y、z、pがそれぞれ独立に0、1又は2であり、x+y+z+p=3の条件を満たす値をとる化合物、又はこのような化合物の混合物である。
【0068】
本発明の第一及び第二の実施の形態におけるヒドロシアノ化は、当業者に公知の適当な機器において行われる。適する反応用機器は、例えばKirk-Othomer, Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、20巻、Jhon Wiley&Sons、ニューヨーク、1996、1040-1055頁、例えば攪拌装置付き槽型反応器、ループ型反応器、ガス循環反応器、気泡塔反応器、又は環状反応器であり、それぞれ必要に応じて反応熱除去装置を併用する。反応は複数、例えば2又は3個の装置において行うこともできる。
【0069】
本発明の好ましい実施の形態において、有利な反応器には、逆混合(backmixing)の特性を有する反応器がある。反応器に使用される特に有効なバッテリーは逆混合特性を有し、シアン化水素の計量給送に対して横断流(crossflow)モードで稼動するものである。
【0070】
ヒドロシアノ化は、バッチ式、連続法又は半バッチ式のいずれの操作でも行われる。
【0071】
ヒドロシアノ化は1以上の攪拌処理工程により連続的に行われると好ましい。複数の処理工程を使用する場合、各処理工程が連続していると好ましい。この場合、所定の処理工程で製造された生成物は直接次工程に移送される。シアン化水素は第一処理工程において直接添加されても、各処理工程の間に添加されてもよい。
【0072】
ヒドロシアノ化が半バッチ操作により行われる場合は、反応器にまず触媒成分と1,3−ブタジエンとを装填して、該反応混合物に対しその反応時間においてシアン化水素を装填することが好ましい。ヒドロシアノ化は溶媒の存在下に行われても、不存在下に行われてもよい。溶媒を用いる場合、溶媒は液体状で、不飽和化合物及び少なくとも1種類の触媒に対して、所定の反応温度及び反応圧力において不活性である必要がある。一般に、使用される触媒は炭化水素、例えばベンゼン又はキシレン、又はニトリル、例えばアセトニトリル又はベンゾニトリルである。しかしながら、溶媒として配位子を用いることが好ましい。
【0073】
ヒドロシアノ化反応は、装置に全ての反応体を装填することによって行うことができる。しかしながら、容器に少なくとも1種類の触媒と、1,3−ブタジエン、及び必要に応じて溶媒を装填することが好ましい。気体状のシアン化水素は反応混合物の表面上を浮遊するか、又は反応混合物を通過することが好ましい。装置に材料を装填するための他の操作では、少なくとも1種類の触媒、シアン化水素、及び必要に応じて溶媒を装置に装填し、反応混合物に対して1,3−ブタジエンをゆっくりと計量給送するものである。この他、反応体を反応器に導入し、これにより得られた反応混合物を反応温度とした段階でこの液体混合物にシアン化水素を添加しても良い。また、シアン化水素は反応温度への加熱が行われる前に添加しても良い。反応は、温度、環境、反応時間等について慣用のヒドロシアノ化反応の条件下に行われる。
【0074】
ヒドロシアノ化は、好ましくは0.1〜500MPa、更に好ましくは0.5〜50MPa、特に1〜5MPaの圧力において行われると好ましい。反応は273K〜473K、更に好ましくは313K〜423K、特に333K〜393Kの温度で行われる。液体反応器段階の有利な平均滞留時間は、反応器ごとにそれぞれ、0.001〜100時間であり、好ましくは0.05〜20時間、更に好ましくは0.1〜5時間である。
【0075】
一実施の形態において、ヒドロシアノ化は、気相及び、場合により懸濁固体相を含む液相で行うことができる。出発材料、シアン化水素及び1,3−ブタジエンは、液体状又は気体状のいずれにおいても給送可能である。
【0076】
他の実施形態において、ヒドロシアノ化は液相で行うことができ、1,3−ブタジエン、シアン化水素、及び少なくとも1種類の触媒等の全ての反応体を液体で計量給送可能であり、これらが反応混合物においても液体として存在可能な反応器圧力で行われる。懸濁固体相は反応混合物中に存在可能であり、これを少なくとも1種類の触媒、例えばニッケル(II)化合物等を含む触媒組成物の分解生成物からなるものと一緒に給送可能である。
【0077】
1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素による処理の後に得られた微細孔固体、又はヒドロシアノ化に用いられる微細孔固体は、その使用後に、希ガス、空気及び酸素から選択された気体により形成された環境中、減圧下に加熱することにより再生される。従って、微細孔固体は再度利用することができる。
【0078】
本発明の双方の実施の形態において、1,3−ブタジエンのアセチレン含有率は、好ましくは1000ppm未満、更に好ましくは100ppm未満、特に好ましくは50ppm未満である。
【0079】
本発明の方法により用いられる少なくとも1種類の微細孔固体は、アルミナ又はモレキュラー・シーブであり、粒径が好ましくは0.01〜20mm、更に好ましくは0.1〜10mm、特に1〜5mであるとよい。成形体の多孔度は粒子体積の0〜80%とされる。粒子は押出物の形態もしくは丸型であっても、破断した結果、不定形となっていてもよい。
【0080】
本発明の方法において、アルミナを微細孔固体として用いる場合には、アルミナは使用する固体質量の0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の希土類金属化合物、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属で汚染されていても良い。
【0081】
すなわち、本発明の方法で使用される微細孔固体がモレキュラー・シーブである場合、平均孔半径は0.1〜20Å、好ましくは1〜10Åとなる。
【0082】
少なくとも1種類のニッケル(0)リン触媒を用いて実際にヒドロシアノ化を行う前に1,3−ブタジエンと少なくとも1種類の微細孔固体とを接触させる場合には、1,3−ブタジエンの実際のヒドロシアノ化が行われる前に重合を回避するため、次いで好ましくは50℃未満、更に好ましくは20℃未満、特に好ましくは0℃未満の温度で保管及び移送する。
【0083】
本発明における、モレキュラー・シーブ又はアルミナを用いた上記ヒドロシアノ化を行うための供給流の処理を行うことにより、反応混合物における残留水含有率は1000ppm未満とされ、好ましくは100ppm未満、特に好ましくは10ppm未満とされる。
【0084】
本発明による、アルミナを用いた上述のヒドロシアノ化に用いられる供給材料流を本発明の方法により処理することにより、反応混合物におけるtert−ブチルピロカテコール(TBP)残留率が500ppm未満、更に好ましくは100ppm未満、特に10ppm未満とされる。
【実施例】
【0085】
[実施例1...アルミナを用いた乾燥]
内径300mmのステンレス鋼製カラムに、Almatis社製のF200アルミナ(平均径約3mmの球体)を装填し、高さ3000mmの床を形成した。ステンレス鋼製カラムは、スロットル調整した35バールの蒸気、又はブライン冷却回路からのブライン(塩性溶液)が所望の態様で通過可能なジャケットを有するものとした。熱素子を床に導入し、これを固定床の温度を監視するために用いた。カラム導入部と、カラム放出部の下流の双方において、ブタジエンにおける水を測定するための適当な機器(General Eastern社製、AMY 170)を用い、ブタジエン流中の湿分を測定した。
【0086】
1,3−ブタジエンを、内部温度0℃の床を通過させた(ジャケット空間中ブラインにより冷却)。カラムに導入される前のブタジエンは367ppm(質量基準)の水を有していた。約3日間床を通過した後のカラムの放出部下流における水含有率は、0ppm(質量基準)であった。
【0087】
[実施例2...アルミナを用いた乾燥]
実施例1で記載した乾燥塔の放出部で水を含まないブタジエンの割合は、以下の実験により測定したものである。乾燥塔から得られた冷却ブタジエンを、含浸パイプを用いて、10リットルのペンタンニトリルと、これに溶解させた式1の亜リン酸トリトリル(ペンタンニトリルに対して5質量%)を含む容器に導入した。この容器に、排ガスを燃焼させる火炎に対する排気口を設け、ポンプで一定の循環を行うことにより連続的な混合を行った。100リットルの液体状のブタジエンを導入する前、及び後に、ペンタンニトリル中のクレゾール含有率をGC分析により測定した(GC:Hewlett Packard 5890 HP50-1カラム、m-及びp-クレゾールにより校正、内部標準:ベンゾニトリル)。実施例1により乾燥した100リットルのブタジエンを導入すると(実施例1による測定機器により測定:水含有率0ppm(質量基準))、クレゾールの濃度が、添加前の0.07質量%から、0.09質量%に変化した。
【0088】
次いで未乾燥のブタジエンを、乾燥塔の周囲の側管より容器に直接導入した。このブタジエンの水含有率は371ppm(質量基準)の測定値を示した。ペンタニトリル中のクレゾール含有率は0.09質量%から、1.65質量%に上昇した。
【0089】
上記実施例により、亜リン酸トリトリル等を配位子として有する、ヒドロシアノ化に適するNi(0)錯体の触媒組成物と反応させる前に、ブタジエンを乾燥させることが必要であることがわかる。
【0090】
[実施例3...担持アルミナ(laden alumina)の再生]
実施例1に詳細を記載した床を有する装置に、ブタジエンを放出流の水含有率が、50ppm(質量割合)に上昇するまで装填した。次いで、ブタジエンの供給を停止した。この後、ジャケットをブライン冷却から、スロットル制御された35バールの蒸気による加熱に切り替えた。この後、床に窒素を1m3/時間で通過させ、3日間に亘り210℃に徐々に加熱した。最終温度に到達した後、蒸気加熱を停止し、床の内部温度が60℃になるまで床に窒素を通過させた。ジャケットを再びブライン冷却に接続して床を0℃に戻し、次いでブタジエンを再度導入した。湿潤処理が完了した後、放出部の水測定器を再稼動させた。測定結果は、ブタジエンに対する水の含有率1ppm(質量基準)であった。
【0091】
[実施例4...モレキュラー・シーブでの乾燥]
ボイラー板(直径50mm)製の容器に、Karl Roth社製のモレキュラー・シーブ(製品番号4062020)による高さ200mmの床を装填し、ジャケットを使用して0℃に冷却した。次いでブタジエンを流速(mass flow rate)100g/時間で導入した。床の放出部で、ブタジエン中の水を測定するための測定機器(General Eastern社製、AMY170)によっても2週間の期間に検出可能レベルの水は検出されなかった。従って、床を通過した後のブタジエンは乾燥したものであった。
【0092】
[BDから2M3BN/3PNへの連続的ヒドロシアノ化]
全ての実験を保護ガス雰囲気下で行った。
【0093】
ニッケル(0)(m−/p−トリルホスファイト)は、0.9質量%のニッケル(0)と、19質量%の3PNと、79.1質量%のm−/p−トリルホスファイトの溶液に対応する。
【0094】
[実施例5]
攪拌器付き加圧反応器(圧力:15バール、内部温度:105℃、滞留時間:約40分(反応器ごと))に、1時間当たりに、4Åのモレキュラー・シーブの床で乾燥した2.24モルのブタジエン、1.62のHCN、及び14ミリモルのNiを、ニッケル(0)(m−/p−トリルホスファイト)の形態で給送した。定量分析により、HCN転化率が定量的であることがわかった(Vollhard titration)。反応流出液の2M3BN/3PN割合をGCクロマトグラフィーで測定した(GC面積%)。2M3BN/3PN比は1.82/1であった。所望の生成物に対するNi(0)の損失は、0.33kg(Ni(0))/t(所望の生成物(3PN/2M3BN))であった。
【0095】
[実施例6]
攪拌器付き加圧反応器(圧力:15バール、内部温度:105℃、滞留時間:約45分(反応器ごと))に、1時間当たりに、アルミナ床で乾燥した2.05モルのブタジエン、1.67のHCN、及び14ミリモルのNiを、ニッケル(0)(m−/p−トリルホスファイト)の形態で給送した。定量分析により、HCN転化率が定量的であることがわかった(Vollhard titration)。反応流出液の2M3BN/3PN割合をGCクロマトグラフィーで測定した(GC面積%)。2M3BN/3PN比は1.86/1であった。所望の生成物に対するNi(0)の損失は、0.23kg(Ni(0))/t(所望の生成物(3PN/2M3BN))であった。
【0096】
[比較例A]
攪拌器付き加圧反応器(圧力:15バール、内部温度:105℃、滞留時間:約40分(反応器ごと))に、1時間当たり2.09モルの湿分と安定化したブタジエン(100ppmの水、100ppmのTBC)、1.51モルのHCN、及び14ミリモルのNiを、ニッケル(0)(m−/p−トリルホスファイト)の形態で給送した。定量分析により、HCN転化率が定量的であることがわかった(Vollhard titration)。反応流出液の2M3BN/3PN割合をGCクロマトグラフィーで測定した(GC面積%)。2M3BN/3PN比は1.89/1であった。所望の生成物に対するNi(0)の損失は、0.48kg(Ni(0))/t(所望の生成物(3PN/2M3BN))であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の触媒を用い、1,3−ブタジエンをシアン化水素によりヒドロシアノ化することによる3−ペンテンニトリルの製造方法であって、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素を、その反応前に微細孔を有する少なくとも1種類の固体と接触させることを特徴とする3−ペンテンニトリルの製造方法。
【請求項2】
1,3−ブタジエンとシアン化水素を一緒又は別々に、微細孔を有する少なくとも1種類の固体と接触させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
少なくとも1種類の触媒を用いたヒドロシアノ化を行う前に、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素から微細孔を有する少なくとも1種類の固体を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素から除去した微細孔を有する少なくとも1種類の固体を、希ガス、空気及び窒素からなる群から選択された複数のガスにより形成された環境において、減圧下に加熱することにより再生することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素を、床を有する管内で微細孔を有する少なくとも1種類の固体と接触させ、1,3−ブタジエン及び/又はシアン化水素の流動条件を栓流特性が得られるように調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
少なくとも1種類の触媒を用い、1,3−ブタジエンをシアン化水素によりヒドロシアノ化することによる3−ペンテンニトリルの製造方法であって、微細孔を有する少なくとも1種類の固体の存在下にヒドロシアノ化を行うことを特徴とする3−ペンテンニトリルの製造方法。
【請求項7】
ヒドロシアノ化の後に、微細孔を有する少なくとも1種類の固体を希ガス、空気及び窒素からなる群から選択された複数のガスにより形成された環境において、減圧下に加熱することにより再生することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
1,3−ブタジエンのアセチレン含有率が1000ppm未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
微細孔を有する少なくとも1種類の固体が、アルミナ又はモレキュラー・シーブであり、孔径が0.01〜20mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
微細孔を有する成形体の多孔度が粒子体積の0〜80%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
微細孔を有する成形体が押出し物、丸型、又は破断した結果の不定形のいずれかの形態において使用されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。

【公表番号】特表2007−519664(P2007−519664A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550080(P2006−550080)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000723
【国際公開番号】WO2005/073168
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】