説明

ヒドロ二量化によるジエンの製造方法

本発明は、還元剤及び触媒の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造するにあたり、触媒として金属−カルベン錯体を使用することにより特徴付けられる、置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤及び金属−カルベン錯体の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
1,7−オクタジエンは、プラスチックの製造用のポリオレフィンのコモノマーとして又はその後の架橋のために使用される。さらにまた、置換又は非置換の1,7−ジオレフィンは、α,ω−ジオールもしくはα,ω−ジアミン又はセバシン酸の製造用の有益な出発物質であり、これらはそしてまたポリエステルもしくはポリアミド又はアルキド樹脂の製造のために興味深い。さらに、1,7−オクタジエンは、1−オクテン、すなわちプラスチック製造用のコモノマー、の製造用の出発物質として利用される。
【0003】
ヒドロ二量化を用いる1,3−ブタジエンからの1,7−オクタジエンの製造方法は多数の刊行物に記載されている。
【0004】
Gardner他, Tetrahedron Lett. 2 (1972) 163-164には、多様な触媒、例えばジアセトパラジウム(II)(Pd(OAc)2)、Li2PtCl4又はホスフィン配位子を有するパラジウム錯体の存在で1,3−ブタジエンをギ酸と反応させて1,6−オクタジエンとすることが記載されている。同様に、ジメチルホルムアミド中で及びLi2PtCl4触媒の存在での1,3−ブタジエンとギ酸との反応の際に、80%までの1,7−オクタジエンが生じることが記載されている。
【0005】
Roffia他, J. Organomet. Chem. 55 (1973) 405-407には、同様に1,3−ブタジエンとギ酸との反応が記載されている。触媒前駆物質として、挙げられた反応条件下に還元される(PPh3)PdCl2が使用される。生成物として1,3,7−オクタトリエン、1,7−オクタジエン及び1,6−オクタジエンの混合物が得られる。
【0006】
Pittmann他, J. Mol. Catal., 15 (1982) 377 - 381には、1,7−オクタジエンの製造用のホスフィン配位子を有するパラジウムをベースとする触媒の使用が記載されている。この際、1,7−オクタジエンを基準として93%の最も高い選択率は、トリエチルホスフィン配位子の使用の場合に達成される。
【0007】
欧州特許(EP-B1)第0 004 408号明細書及び欧州特許(EP-B1)第0 004 410号明細書には、パラジウム−ホスフィン触媒の存在での1,3−ブタジエンからの1,7−オクタジエンの製造方法が記載されている。欧州特許(EP)第0 004 410号明細書にはさらに加えて、助触媒として不活性担体材料上のパラジウム、白金又はロジウムの使用が記載されている。
【0008】
欧州特許(EP-B1)第0 007 666号明細書には、同様にパラジウム−ホスフィン触媒の存在での1,3−ブタジエンからの1,7−オクタジエンの製造方法が記載されており、この方法は還元剤としてのギ酸塩の使用により特徴付けられている。
【0009】
欧州特許(EP)第0 012 472号明細書及び欧州特許(EP)第0 012 475号明細書には、1,7−オクタジエンを、パラジウム触媒及び第三級有機リン化合物、例えば有機ホスホニットもしくは有機ホスフィニット又はこれらからなる混合物の存在で、1,3−ブタジエン及びギ酸もしくはギ酸塩から製造する方法が開示されている。
【0010】
欧州特許(EP-B1)第0 008 139号明細書には、パラジウム触媒と、第三級ホスフィンと、ジアルキルスルホキシドもしくはジアルキルホルムアミドから選択される溶剤との存在で、塩基の不在での1,3−ブタジエンからの1,7−オクタジエンの製造方法が記載されている。
【0011】
独国特許出願公開(DE-A1)第30 24 877号明細書及び独国特許出願公開(DE-A1)第30 24 878号明細書の2つの出願公開明細書には、パラジウム−ホスフィン触媒を用いて1,3−ブタジエンをヒドロ二量化して1,7−オクタジエンとする方法が記載されており、その際に還元剤として水素又は水素−二酸化炭素混合物が使用される。
【0012】
独国特許出願公開(DE-A1)第30 24 879号明細書には、パラジウム−ホスフィン触媒及び還元剤を用いて1,3−ブタジエンをヒドロ二量化して1,7−オクタジエンとする方法が記載されており、その際に溶剤として酸素含有の窒素複素環式化合物が使用される。1,7−オクタジエンの蒸留による分離後に、触媒含有の蒸留缶出液はヒドロ二量化に返送される。
【0013】
独国特許出願公開(DE-A1)第30 34 098号明細書には、スルホラン溶液中でのパラジウム触媒又は白金触媒の存在での1,3−ブタジエン又はイソプレンのヒドロ二量化によるアルカジエンの製造方法が記載されており、その際に反応混合物は第三級アルキルアミンギ酸塩及びホスフィン化合物を含有する。この明細書でも触媒は、ヒドロ二量化後に分離され、引き続きヒドロ二量化に返送される。
【0014】
特開平(JP-A)09-087207号公報には、還元剤及びパラジウム−ホスフィニット触媒の存在での、アルカジエン、例えば1,3−ブタジエンの二量化が記載されている。この場合に、94.7%のオクタジエン収率が達成され、その際に1,7−オクタジエンの純度は97.1%である。
【0015】
欧州特許出願公開(EP-A2)第0 704 417号明細書は、リン含有配位子を有するパラジウム触媒の存在での1,3−ブタジエン及びギ酸からのオクタジエンの製造方法が記載されており、その際に前記系の圧力は、ブタジエンの蒸気圧を超えない。生成物中の1,7−オクタジエン対1,6−オクタジエンの量比は89対11である。
【0016】
独国特許(DE-A1)第101 49 347号明細書には、二段階プロセスにおける1−オクテンの製造方法が開示されている。第一工程において、1,3−ブタジエンはテロメリゼーション触媒及び還元剤の存在で1,7−オクタジエンに変換され、第二工程において、この1,7−オクタジエンは、部分水素化されて1−オクテンとなる。テロメリゼーション触媒として、多数のニッケル化合物、ロジウム化合物、パラジウム化合物及び白金化合物が記載され、とりわけ、カルベン配位子を有するPd(0)化合物も挙げられる。適したカルベン配位子として、1,3−二置換2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イリデン、1,3−二置換4,5−ジヒドロ−1H−トリアゾール−5−イリデン及び場合により2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンが挙げられる。
【0017】
国際公開(WO)第2005/047217号及び国際公開(WO)第2005/047218号には、二段階プロセスでの1−オクテンの製造方法がそれぞれ開示されている。第一処理工程において、1,3−ブタジエンは、三置換の単座リン化合物を1つ又はそれ以上含有するパラジウム錯体及び水素供与体の存在で非プロトン性極性溶剤中で、1,7−オクタジエンに変換される。
【0018】
独国特許(DE-A1)第101 28 144号明細書には、少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンを求核試薬でテロメリゼーションする方法が開示されており、その際に触媒としてパラジウムカルベン錯体が使用される。
【0019】
テロメリゼーションは、求核試薬の存在での共役二重結合を有するオレフィンの反応であると理解される。生成物として、ジエン2当量並びに求核試薬1当量から合成される化合物が生じ、ここで生成物は、反応図式1に示されるように、複数の化合物の混合物である。
【0020】
【化1】

【0021】
テロメリゼーションの主生成物として、1−置換2,7−オクタジエンが生じ、副生物としてこの場合に3−置換1,7−オクタジエンが生じる。カルベン配位子で変性されているテロメリゼーション触媒の使用の場合に、98まで対2の主生成物対副生物の比が達成される(Chem. Eur. J. 10 (2004) 3891-3900)。
【0022】
これとは異なり、ヒドロ二量化の場合に、還元剤の存在での共役二重結合を有するオレフィン2当量の反応は反応図式2により行われる:
【化2】

【0023】
ヒドロ二量化の際に使用される還元剤は、水素供与体として利用され、還元剤としてのギ酸の場合に、副生物として二酸化炭素が生じる。1,3−ブタジエンのヒドロ二量化の主生成物は1,7−オクタジエンである。
【0024】
リン変性されたパラジウム触媒の存在で1,3−ブタジエンをヒドロ二量化して1,7−オクタジエンとする方法は、低い生産性(TON)、活性(TOF)及び/又は選択率を有し、ここで、これらは次のように定義されている:
TON=n(生成物)/n(触媒)もしくは
TOF=n(生成物)/[n(触媒)×時間]
選択率=n(生成物)/[n(生成物)+n(副生物)]。
【0025】
一般的に、三価リン化合物は酸素感受性であり、かつ相応する五価リン種に容易に酸化され、それにより、触媒の失活が現れる。これらのリン変性されたパラジウム触媒の返送は、それらの高い感度に基づいて困難であり、かつ大きな活性損失を伴ってのみ工業的に実施可能である。パラジウム(II)−ホスフィン錯体は、ヒドロ二量化の反応条件下に還元され、かつ熱的に不安定な中間体を生じる。パラジウム錯体がトリアルキルホスフィンで変性される場合には、活性で、かつ1,7−オクタジエンに関して選択的な触媒が生じる。トリアルキルホスフィンはしかしながら発火性で、より高価であり、かつ工業的規模で使用するのが困難である。より良好に取り扱われうるトリアリールホスフィンは、トリアルキルホスフィンと比較してヒドロ二量化の際に明らかにより劣悪な選択率を示す。技術水準による方法において、これらのホスフィン化合物はヒドロ二量化に過剰量で添加される。大工業的な設備中でのホスホニット及びホスフィニットの取り扱いの場合にも、予防措置が講じられるべきである、それというのも、これらの化合物は加水分解感受性及び酸感受性だからである。ヒドロ二量化の際のギ酸もしくはギ酸誘導体の使用は、それに応じて、ホスホニットもしくはホスフィニットで変性された触媒の安定性に不利な影響を及ぼす。
【0026】
故に、本発明の課題は、触媒の単純化された取り扱いだけでなく高い触媒生産性によっても特徴付けられる、ヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造方法を提供することであった。特に、置換又は非置換の1,7−オクタジエンに関して高い選択率が達成されるべきである。
【0027】
意外なことに、還元剤及び触媒の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンが、触媒として周期表の第8ないし第10族の金属及び少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体が使用されることにより特徴付けられる新規方法により製造されることができることが見出された。本発明による方法は、技術水準による方法に比較して、改善された選択率だけでなくより高い生産性も有する。本発明による方法の場合に、例えばギ酸での1,3−ブタジエンのヒドロ二量化の際に10000を上回る触媒生産性が実現されることができる。特に、アルキル化フェノール類及び安定なN−オキシルラジカルから選択される非環式オレフィン用の安定剤の使用の場合に、4−t−ブチルカテコール、すなわち技術水準による安定剤、の使用と比較して、より少ない量の触媒が必要とされることがわかった。さらに、本発明による方法のこの変法は、少ない副生物形成により特徴付けられる。本発明による方法はそれゆえ、技術水準による方法に比較してより高い方法安全性だけでなく高い触媒生産性も有する。
【0028】
本発明の対象は、還元剤及び触媒の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造方法であって、前記方法は、触媒として、周期表の第8ないし第10族の金属と、構造1、2、3又は4
【化3】

[ここで:
1、R2=−(CH2n−Bを表し、
B=炭素原子6〜14個を有する単環式又は多環式のアリール基又は炭素原子及びヘテロ原子5〜14個を有する単環式又は多環式のヘテロ環を表し、ここでこのヘテロ環は、N、O及びSの群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、
n=0〜4であり、
3、R4、R5及びR6=水素、アルキル−、ヘテロアリール−、アリール−、−CN、−COOH、−COO−アルキル−、−COO−アリール−、−OCO−アルキル−、OCO−アリール−、−OCOO−アルキル−、OCOO−アリール−、−CHO、−CO−アルキル−、−CO−アリール−、−NH2、−NH(アルキル)−、−N(アルキル)2−、NH(アリール)−、−N(アリール)2−、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−CF3、−NO2、−フェロセニル、−SO3H、−PO32を表し、ここで前記アルキル基は炭素原子1〜12個を有し、かつ前記アリール基は炭素原子5〜14個を有し、かつタイプR3及びR4の置換基は、橋かけする脂肪族又は芳香族の環の部分であってもよい]で示される少なくとも1つのカルベン配位子とを有する金属−カルベン錯体が使用され、かつタイプR1及びR2の置換基が同じか又は異なり、並びに置換又は非置換であり、かつタイプR3、R4、R5及びR6の置換基が同様に同じか又は異なり、並びに置換又は非置換であることにより特徴付けられている。
【0029】
還元剤及び触媒の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの本発明による製造方法は、触媒として、周期表の第8ないし第10族の金属と、構造1、2、3又は4
【化4】

[ここで:
1、R2=−(CH2n−Bを表し、
B=炭素原子6〜14個を有する単環式又は多環式のアリール基又は炭素原子及びヘテロ原子5〜14個を有する単環式又は多環式のヘテロ環を表し、ここでこのヘテロ環は、N、O及びSの群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有するが、しかしながら炭素原子6個を有する単環式アリール基が好ましく、
n=0〜4、好ましくは0〜1、特に好ましくは0であり、
3、R4、R5及びR6=水素、アルキル−、ヘテロアリール−、アリール−、−CN、−COOH、−COO−アルキル−、−COO−アリール−、−OCO−アルキル−、OCO−アリール−、−OCOO−アルキル−、OCOO−アリール−、−CHO、−CO−アルキル−、−CO−アリール−、−NH2、−NH(アルキル)−、−N(アルキル)2−、NH(アリール)−、−N(アリール)2−、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−CF3、−NO2、−フェロセニル、−SO3H、−PO32を表し、ここで前記アルキル基は炭素原子1〜12個を有し、かつ前記アリール基は炭素原子5〜14個を有し、かつタイプR3及びR4の置換基は、橋かけする脂肪族又は芳香族の環の部分であってもよい]で示される少なくとも1つのカルベン配位子とを有する金属−カルベン錯体が使用され、かつタイプR1及びR2の置換基が同じか又は異なり、並びに置換又は非置換であり、かつタイプR3、R4、R5及びR6の置換基が同様に同じか又は異なり、並びに置換又は非置換であることにより特徴付けられる。
【0030】
本発明の範囲内で、置換又は非置換の1,7−ジオレフィンは、構造9で示される化合物:
【化5】

[ここで、R7〜R11は互いに独立してアルキル基を表し、特にこれらは炭素原子1〜4個、好ましくは炭素原子1個を有し、又はハロゲン基、特に塩素を表す]
であると理解される。
【0031】
本発明による方法の特別な一実施態様において、金属−カルベン錯体は、タイプR1、R2、R3、R4、R5又はR6の置換基を有するカルベン配位子を有し、前記配位子はH、−CN、−COOH、−COO−アルキル−、−COO−アリール−、−OCO−アルキル−、OCO−アリール−、−OCOO−アルキル−、OCOO−アリール−、−CHO、−CO−アルキル−、−CO−アリール−、−NH2、−NH(アルキル)−、−N(アルキル)2−、NH(アリール)−、−N(アリール)2−、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−CF3、−NO2、−フェロセニル、−SO3H、−PO32の群からの少なくとも1つの置換基を有し、ここで前記アルキル基は炭素原子1〜12個を有し、かつ前記アリール基は炭素原子5〜14個を有する。
【0032】
好ましくは、本発明による方法において、ニッケル、ロジウム、パラジウム及び/又は白金から選択される金属を含有する金属−カルベン錯体が使用される。しかしながら、特に好ましくは、金属としてパラジウムを含有する金属−カルベン錯体が使用される。
【0033】
本発明の範囲内で、カルベン配位子は、配位子として機能することができる遊離カルベンだけでなく、金属に配位されたカルベンでもあると理解される。本発明による方法において、好ましくは、構造1〜4[ここでR3〜R6=水素を表す]から選択される少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体が使用される。好ましくは、使用される金属−カルベン錯体は、構造2[ここでR3及びR4は水素である]による少なくとも1つのカルベン配位子を有する。特に好ましくは、構造2[ここでR3及びR4は水素であり、かつR1及びR2はn=0でかつBはフェニル基又は2,4,6−トリメチルフェニル基である]による少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体が使用される。
【0034】
一般構造1又は2に相当するカルベン配位子及びそのような配位子を有する錯体の例は、技術文献に既に記載されている(W.A. Herrmann, C. Koecher, Angew. Chem. 1997, 109, 2257; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997, 36, 2162; V.P.W. Boehm, C.W.K. Gstoettmayr, T. Weskamp, W.A. Herrmann, J. Organomet. Chem. 2000, 595, 186; 独国特許(DE)第44 47 066号明細書)。
【0035】
金属が好ましくはパラジウムであり、かつ反応条件下に活性な触媒が形成される場合の触媒金属は、多様な方法で本発明による方法へ導入されることができる:
a.)パラジウム−カルベン錯体として、その際にパラジウムは好ましくは酸化状態(II)又は(0)で存在する。
【0036】
b.)前駆物質の形で、これらから現場で(in-situ)触媒が形成される。これは、金属塩又は金属錯体から出発して、配位子圏の拡張によるか又は橋かけ構造の破壊により、行われることができる。別の可能性は、中心金属に配位する配位子をカルベン配位子により交換することである。好ましくは、この場合にパラジウム(0)化合物及び/又はパラジウム(II)化合物が使用され、特に好ましくは、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート及び/又はビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)が使用される。構造1〜4によるカルベン配位子は、遊離カルベンの形で又は金属錯体として使用されるか、又は現場でカルベン前駆物質から製造される。カルベン前駆物質として、例えば、構造5〜8
【化6】

[ここで、タイプR1〜R6の置換基は、構造1〜4中と同じ意味を有し、かつYは、単一荷電アニオン性基を表すか、又は化学量論に相応して配分に応じて多重荷電アニオン性基を表す]で示されるカルベンの塩が適している。
【0037】
Yの例は、ハロゲン化物、硫酸水素、硫酸、アルキル硫酸、アリール硫酸、ホウ酸、炭酸水素、炭酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸である。前記カルベンの塩から、相応するカルベンは、例えば塩基との反応により遊離されることができる。塩基として、例えば金属水素化物、金属アルコラート、カルボニルメタラート、金属カルボキシラート、金属アミド又は金属水酸化物が適している。
【0038】
前記量は、使用される塩基の種類に大きく依存する。金属−カルベン錯体の場合に、好ましくは、金属1molあたり塩基0〜50 000mol、より好ましくは、金属1molあたり塩基0.5〜5000mol、特に好ましくは0.5〜500molが使用される。複数の塩基の混合物を使用することも可能である。
【0039】
反応混合物の全質量を基準として金属ppm(質量)で形式的に記載される触媒の濃度は、本発明による方法におけるヒドロ二量化の開始時に、好ましくは0.01ppm〜5000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、特に好ましくは0.1〜500ppm及び極めて特に好ましくは1〜100ppmである。本発明による方法の特別な一実施態様において、触媒のこの濃度は1〜50ppmであってよい。カルベン配位子対金属の比[mol/mol]は、好ましくは0.01:1〜250:1、より好ましくは0.1:1〜100:1、特に好ましくは1:1〜20:1である。
【0040】
カルベン配位子は、前記反応にバルクで、溶解されて、又は金属錯体の形で供給されることができる。付加的な配位子は、前記反応に、各時点で及び反応器中の任意の位置で、バルクで、溶液として又は金属錯体の形で供給されることができる。この付加的な配位子は、同様にカルベンもしくはカルベン前駆物質であってよく、又はしかし他の種類の配位子に属していてよく、例えばリン配位子、特にトリフェニルホスフィンであってよい。好ましくは、本発明による方法において、リン含有配位子を有しない触媒が使用され、特に好ましくは専らカルベン配位子を有する触媒、かつ極めて特に好ましくは専ら構造1、2、3又は4によるカルベン配位子を有する触媒が使用される。
【0041】
前記触媒は、ヒドロ二量化プロセス後に分離され、かつ改めて反応のために返送されることができる。この分離は、例えば、蒸留、抽出、沈殿又は吸着を通じて行われることができる。触媒が完全にか又は部分的に第二相中に存在する場合には、これは、前記相の単純な分離により行われることができる。
【0042】
触媒活性及び触媒安定性に基づいて、本発明による方法の場合に、極度に少ない量の触媒を使用することが可能である。これにより、触媒を反応混合物中の低い濃度に基づいて返送される必要がないという選択肢が存在する。
【0043】
酸化数が>0である金属−カルベン錯体が使用される場合には、この錯体は場合によりヒドロ二量化の前に予備還元されることができる。このために使用される還元剤は、ヒドロ二量化の際に使用される還元剤と同一であってよい。可能な還元剤は、例えばギ酸、ギ酸塩、水素、アルカリ金属ホウ素水素化物、アルカリ金属アルミニウム水素化物又はボランである。
【0044】
本発明による方法において、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、又は少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンを含有する、例えばクラッキング法から生じる、相応する混合物から選択される、少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンが使用される。好ましくは、本発明による方法において1,3−ブタジエンが使用される。
【0045】
少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンは、安定化されて又は安定化されずに、使用されることができる。安定剤として、好ましくはラジカル作用性防止剤、例えばアルキル化フェノール類、アルキル化カテキン類又は安定なN−オキシルラジカルが適している。特に、本発明による方法において、安定剤を含有しないか又はアルキル化フェノール類又は安定なN−オキシルラジカルから選択される安定剤を含有する非環式オレフィンが使用される。好ましくは、本発明による方法において、安定剤としてアルキル化フェノール類又は安定なN−オキシルラジカルを含有する非環式オレフィンが使用される。安定なN−オキシルラジカル、例えば4位で置換された又は非置換の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、特に4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルは安定剤として特に好ましい。前記安定剤は、本発明による方法において、非環式オレフィンとは別個に、反応混合物に添加されることもできる。
【0046】
還元剤として、本発明による方法においてギ酸、ギ酸塩及び/又は水素が使用されることができ、好ましくはギ酸が使用される。ギ酸塩の例は、ギ酸アンモニウム、有機塩、例えばギ酸トリエチルアンモニウム、ギ酸トリメチルアンモニウム、ギ酸トリプロピルアンモニウム及びアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、特にギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム及びギ酸カルシウムである。前記ギ酸塩は、バルクで又は溶解された形で、前記反応に添加されることができるか又は現場で製造されることができる。例えば、アルカリ金属ギ酸塩がギ酸と金属水酸化物との反応から製造可能であるが、しかしまた金属水酸化物及び一酸化炭素から製造されることもできる。一酸化炭素源として、一酸化炭素が含まれるガス、例えば合成ガス(H2/CO混合物)が使用されることができる。
【0047】
ブタジエン2molから1,7−オクタジエン1molを形成するためには、ギ酸もしくはギ酸塩1molが必要とされる(反応の化学量論)。反応操作に応じて、還元剤の全量及び場合により過剰量は、反応開始時に完全に添加されることができる。選択的に、前記還元剤は反応の過程で計量供給されることができる。本発明による方法においてギ酸が還元剤として使用される場合には、前記ギ酸は反応の過程で計量供給されるべきである。ギ酸が装入される場合には、触媒の失活が観察されうる。
【0048】
水素が還元剤として使用される場合には、分圧は好ましくは1〜300bar、より好ましくは1〜64barである。前記水素は、好ましくは、純粋な形で又は他のガス、例えば二酸化炭素又は窒素との混合物で使用される。
【0049】
複数の還元剤、例えばギ酸及び水素を同時に使用することが可能である。
【0050】
本発明による方法において、使用される少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンと還元剤との比[Mol/Mol]は、好ましくは1:1〜10:1、より好ましくは2:1〜4:1及び特に好ましくは2:1〜3:1である。
【0051】
本発明による方法の場合に、好ましくは、反応条件下に不活性であるか、又は大体において不活性な挙動を示す溶剤が使用される。適した溶剤は、とりわけ脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素、アミン、例えばピリジン及び2,6−ルチジン、アミド、例えばN−メチルピロリジン、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトリル、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル、ケトン、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、カルボン酸エステル、例えば酢酸エチルエステル、エーテル、例えばメチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールのアルキルエーテル及びアリールエーテル及びその他の極性溶剤、例えばジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、スルホラン、プロピレンカーボナート又はテトラヒドロチオフェンオキシドである。またイオン性液体、例えばイミダゾリウム塩又はピリジニウム塩も、溶剤として使用されることができる。前記溶剤は、単独で又は異なる溶剤の混合物としても、使用されることができる。好ましくは、本発明による方法において、30〜100の比誘電率(20℃の温度で)を有する溶剤、特にN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びジメチルアセトアミドから選択される溶剤が使用される。
【0052】
しばしば、ヒドロ二量化を塩基の存在で実施することは有利である。適した塩基の例は、金属水酸化物、特にアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩、特にアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属炭酸水素塩、第四級のアンモニウムイオン又はホスホニウムイオンの水酸化物、アルコラート、エノラート、フェノラート、カルボン酸の金属塩、金属アミド、例えばナトリウムアミド又はリチウムジエチルアミド、及び有機窒素塩基、特にアミン、例えばトリエチルアミン、トリオクチルアミン又はピリジンである。二酸化炭素も塩基として使用されることができる。好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート又は第三級アミンが本発明による方法において塩基として使用される。
【0053】
ヒドロ二量化に添加されることができる、使用される塩基の量は、使用される塩基の種類に大きく依存している。好ましくは、本発明による方法において、使用されるオレフィンを基準として、好ましくは0mol%〜100mol%、より好ましくは0mol%〜50mol%、特に好ましくは0mol%〜20mol%及び極めて特に好ましくは0mol%〜10mol%の塩基性成分が使用される。複数の塩基の混合物を本発明による方法において使用することも可能である。
【0054】
本発明による方法のためには、酸性成分が反応混合物中に存在しない場合が有利である、それというのも、これらは異性化による副生物の形成の増大をまねくからである。これは、中性還元剤、例えば水素又はギ酸塩の使用により、保証されることができる。
【0055】
還元剤としての純ギ酸の使用の場合に、等モル量の塩基、例えばトリエチルアミンが添加されることができる。還元剤であるギ酸が、塩基を用いずに又は化学量論的不足量の塩基を用いて完全に反応されることによる本発明による方法が好ましく、このことは、0:1〜1:1の塩基対ギ酸の化学量論比を意味する。ギ酸の計量供給が反応温度で行われる実施態様が特に好ましく、これから、高い反応速度に基づいて、自発的な反応が生じ、かつギ酸が反応混合物中で豊富化することができない。この場合に、必要とされる塩基の量は明らかに低下されているか、又はそれどころか完全にこれらが放棄されることができる。
【0056】
ヒドロ二量化は、本発明による方法の場合に、好ましくは1〜100bar及びより好ましくは6〜25barの圧力で実施される。
【0057】
ヒドロ二量化の間の温度は、本発明による方法において好ましくは20〜160℃、より好ましくは60〜120℃及び特に好ましくは70〜100℃である。
【0058】
本発明による方法は、連続的に又は不連続に操作されることができ、かつ特定の反応器タイプの使用に限定されていない。前記反応が実施されることができる反応器の例は、撹拌釜反応器、撹拌釜カスケード、流通管及びループ反応器である。異なる反応器の組合せ、例えば撹拌釜反応器と、後接続された流通管との組合せも可能である。
【0059】
反応の際に生じる反応熱は、公知の方法により、例えば内部又は外部の冷却器により導出される。具体的には、これは、管束反応器、あるいはコールドフィンガー、冷却蛇管又は冷却プレートを備えた反応器の使用又は返送流の冷却(循環路を備えた反応器、再循環)を意味しうる。
【0060】
本発明による方法のためには、ヒドロ二量化反応における非環式オレフィンの完全転化を達成することは不要である。非環式オレフィンの転化率は故に好ましくは40%〜100%、特に好ましくは60%〜99%、極めて特に好ましくは85%〜98%である。本発明による方法における非環式オレフィンの完全転化の場合に、副生物の増大される形成となりうる、それというのも前記還元剤はもはや完全に反応完了しないからである。還元剤としてのギ酸の使用の場合に、この際に異性化反応をまねきうる。還元剤としての水素の使用の場合に、完全転化の際に水素化が観察されうる。本発明による方法におけるヒドロ二量化は、有利に酸素の遮断下に実施される、それというのも、酸素は、少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンの重合を促進し、かつそれにより、置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの収率を低下させるからである。
【0061】
本発明による方法の出発物質は、全て一緒に装入され、引き続き、相応する反応条件に調節されることができる。本発明による方法の特別な一実施態様において、まず最初に前記触媒は現場で製造され、引き続き、安定剤及び非環式オレフィンの添加が行われ、かつ相応する反応条件にその後調節される。特に、本発明による方法において、特に還元剤としてのギ酸の使用の際に、還元剤を反応の過程で計量供給し、かつ装入されないことが推奨される。還元剤としてのギ酸の速すぎる計量供給は既に、1,7−ジオレフィンのより低い収率をまねきうる。
【0062】
以下の例は本発明による方法をより詳細に説明するが、本発明がこの実施態様に限定されるものではない。
【0063】
例1:カルベン配位子ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾールの製造
1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−クロリドの製造を、Organometallics 1999, 18, 529 - 533に記載された方法により行う。このようにして製造された1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−クロリドを、対応するクレゾラートへ次のように変換する:NaOH 2.35gを水45g中に溶解させ、引き続き溶融したo−クレゾール12.7gを添加する。乳灰色液体が生じる。この溶液を、ゆっくりと撹拌しながら、水45g中の1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−クロリド20gの溶液に添加する。淡灰色固体が沈殿し、これをG4フリットを用いてろ別する。引き続き、いくらかの水及びメチル−t−ブチルエーテルで洗浄する。乾燥後に、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール18.9gが得られ、これは91%の収率に相当する。
【0064】
例2(Pd 100ppm、1,3−ブタジエンを4−t−ブチルカテコールで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g(Pd 47.5%、Acros社)、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.312g及びナトリウムメタノラート0.108g(>97%、Merck社)を、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g(NMP、≧99.5%、Merck社)中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中へ吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(Oxeno Olefinchemie GmbH社の1,3-Butadien 2.6、4−t−ブチルカテコール(TBC)約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて11barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。30分かけてギ酸101g(98〜100%、Riedel-de Haen社)を計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。31.7lの排ガス量が測定される。後反応時間は15minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。50mbar及び80℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第1表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0065】
第1表
【表1】

【0066】
留出物として、オクタジエン類215.7gが得られ、これは89.3%の単離収率に相当する。1,7−オクタジエンを基準とした純度は97.4%である。ギ酸の転化は完全である。
【0067】
例3(Pd 50ppm、1,3−ブタジエンを4−t−ブチルカテコールで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.056g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.26g及びナトリウムメタノラート0.108gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中へ吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(4−t−ブチルカテコール約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて14barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。30分かけてギ酸93gを計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。<1lの排ガス量が測定される。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。第2表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0068】
第2表
【表2】

【0069】
粗生成物混合物318.4gが得られる。ギ酸の残量は82.4gであり(滴定により決定)、すなわち転化率は、使用されるギ酸を基準として単に11%に過ぎない。
【0070】
例4(本発明によらない)
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ジメチル−イミダゾリウム−ヨージド0.134g(国際公開(WO)第97/34875号の例1Aにより製造)及びナトリウムメタノラート0.108gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(4−t−ブチルカテコール約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて14barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。64分かけてギ酸101gを計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。排ガス発生は測定されない。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。分析結果の一覧を第3表に示す。
【0071】
第3表
【表3】

【0072】
1,7−オクタジエンは粗生成物混合物中で検出されることができなかった。
【0073】
例5(本発明によらない)
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ジ−イソプロピル−イミダゾリウム−クロリド0.109g(>97%、ABCR社)及びナトリウムメタノラート0.108gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中へ吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(4−t−ブチルカテコール約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて11barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。65分かけてギ酸101gを計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。2.9lの排ガス量が測定される。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。分析結果の一覧を第4表に示す。
【0074】
第4表
【表4】

【0075】
1,7−オクタジエンは粗生成物混合物中で検出されることができなかった。
【0076】
例6(本発明によらない)
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ジ−t−ブチル−イミダゾリウム−クロリド0.130g(>97%、ABCR社)及びナトリウムメタノラート0.108gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中へ吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(4−t−ブチルカテコール約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて11barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。60分かけてギ酸101gを計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。2.8lの排ガス量が測定される。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。分析結果の一覧を第5表に示す。
【0077】
第5表
【表5】

【0078】
1,7−オクタジエンは粗生成物混合物中で検出されることができなかった。
【0079】
例7(本発明によらない)
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ジ−t−ブチル−イミダゾリウム−2−イリデン0.109g(98%、Strem社)及びナトリウムメタノラート0.108gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中へ吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン240g(4−t−ブチルカテコール約100ppmで安定化)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて14barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。66分かけてギ酸101gを計量供給する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。3.42lの排ガス量が測定される。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。分析結果の一覧を第6表に示す。
【0080】
第6表
【表6】

【0081】
粗生成物混合物中に1,7−オクタジエン0.2 GC面積%が検出されることができたに過ぎなかった。
【0082】
例4〜7は明らかに、全ての金属−カルベン錯体が、1,3−ブタジエンの1,7−オクタジエンへのヒドロ二量化を触媒するわけではないことを示している。
【0083】
例8(Pd 30ppm、1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.056g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.27gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン480g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて10barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。120分かけてギ酸202g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に80℃〜90℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。82.7lの排ガス量が測定される。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。50mbar及び80℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第7表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0084】
第7表
【表7】

【0085】
留出物として、オクタジエン類336.3gが得られ、これは69.4%の単離収率に相当する。1,7−オクタジエンを基準とした純度は94.3%である。ギ酸の転化は完全である。
【0086】
例9(Pd 28ppm、塩基、1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.056g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.27gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)及び塩基としてトリエチルアミン44.4gを添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン480g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて10barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱する。123分かけてギ酸202g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に80℃〜90℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。77lの排ガス量が測定される。後反応時間は15minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。50mbarまで及び80℃の最大塔底温度の蒸留及び2つの留分の除去後に、GCを用いてさらに分析を行う。第8表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0087】
第8表
【表8】

【0088】
留出物中に、オクタジエン類400.8gが得られ、これは82.7%の収率に相当する。1,7−オクタジエンを基準としたオクタジエン類の純度は93.5%である。ギ酸の転化は完全である。
【0089】
例10(Pd 15ppm、1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.028g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.26g及びナトリウムメタノラート0.13gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン480g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて10barの圧力をかけ、反応器を80℃に加熱する。240分かけてギ酸193g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に内部にある冷却蛇管を用いて80℃〜81℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。71lの排ガス量が測定される。後反応時間は10minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。100〜50mbar及び80℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第9表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0090】
第9表
【表9】

【0091】
留出物として、オクタジエン類421.2gが得られ、これは94.7%の単離収率に相当する。1,7−オクタジエンを基準とした純度は96.1%である。ギ酸の転化は完全である。
【0092】
例11(Pd 6ppm、1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.0112g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.13gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き1,3−ブタジエン480g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、アルゴンを用いて10barの圧力をかけ、反応器を80℃に加熱する。12時間かけてギ酸193g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に内部にある冷却蛇管を用いて80℃〜81℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。71.4lの排ガス量が測定される。後反応時間は10minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。100〜50mbar及び80℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第10表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0093】
第10表
【表10】

【0094】
留出物として、オクタジエン類395.6gが得られ、これは85.5%の単離収率に相当する。これから、触媒生産性TON(オクタジエン)=72248となる。1,7−オクタジエンを基準とした純度は96.1%である。ギ酸の転化は完全である。長い反応時間ですら、この製造方法の場合に、1,7−オクタジエンのさらなる異性化が起こらないことを強調することができる。
【0095】
例8及び11は明らかに、1,3−ブタジエン用の安定剤としてのN−オキシルラジカル、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシルの使用の場合に、<50ppmの少ない触媒量でも十分であることを示している。これとは異なり、例3は、1,3−ブタジエン用の安定剤4−t−ブチルカテコール及び50ppmの触媒量の使用下に、明らかに劣悪な収率を示している。
【0096】
例12(Pd 45ppm、イソプレンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.27gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き新たに蒸留したイソプレン606g(安定化していない)を吸い込ませる。その後、アルゴンを用いて14barの圧力をかけ、反応器を80℃に加熱する。240分かけてギ酸193g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に内部にある冷却蛇管を用いて80℃〜81℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。73.4lの排ガス量が測定される。後反応時間は20minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。100〜40mbar及び105℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第11表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0097】
第11表
【表11】

【0098】
留出物として、ジメチルオクタジエン異性体類510.8gが得られ、これは83.2%の単離収率に相当する。
【0099】
例13(Pd 57ppm、イソプレン及び1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.112g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.27gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き、新たに蒸留した1,3−ブタジエン303g(安定化していない)を吸い込ませる。その後、1,3−ブタジエン240g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。ついで、アルゴンを用いて14barの圧力をかけ、反応器を80℃に加熱する。60分かけてギ酸193g(98〜100%)を計量供給する。温度を、反応の開始後に内部にある冷却蛇管を用いて80℃〜81℃に保持する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。79.2lの排ガス量が測定される。後反応時間は20minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。100〜40mbar及び105℃の最大塔底温度での一段階の蒸留後に、GCを用いてさらに分析を行う。第12表はそれぞれの分析結果[単位:GC面積%]を示す。
【0100】
第12表
【表12】

【0101】
留出物として、C8〜C10ジオレフィン異性体の混合物が得られる。これらは主にオクタジエン、メチルオクタジエン及びジメチルオクタジエンである。441.9gが留出物として得られ、これはヒドロ二量化生成物の88.4%の単離収率に相当する。
【0102】
例14(本発明によらない;Pd 30ppm、1,3−ブタジエンを、1,3−ブタジエンを基準として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmで安定化):
保護ガス下に、酢酸パラジウム0.056g、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリウム−o−クレゾラート−o−クレゾール0.521g及びナトリウムメタノラート0.27gを、新たに蒸留したN−メチルピロリドン200g中に溶解させ、50℃で1時間撹拌し、その後20℃に冷却する。引き続き、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.32g(Degussa AG社のSiYPro C710)を添加する。この混合物を、Buechi社の真空排気された2l−オートクレーブ中に吸い込ませ、引き続き、新たに蒸留した1,3−ブタジエン480g(安定化していない)を−5℃で凝縮させる。量測定を、ガスボンベの秤量を通じて行う。その後、ギ酸202g(98〜100%)をポンプで計量供給する。引き続き、アルゴンを用いて10barの圧力をかけ、反応器を75℃に加熱し、2時間撹拌する。圧力を、弁を通じて20barで一定に保持する。この時間の間に排ガス発生は観察されない。後反応時間は30minである。オートクレーブの冷却及び放圧後に、生成物混合物をGCにより分析する。1,7−オクタジエンは反応混合物中に検出されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤及び触媒の存在での少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンのヒドロ二量化による置換又は非置換の1,7−ジオレフィンを製造する方法であって、触媒として、周期表の第8ないし第10族の金属と、構造1、2、3又は4
【化1】

[ここで:
1、R2=−(CH2n−Bを表し、
B=炭素原子6〜14個を有する単環式又は多環式のアリール基又は炭素原子及びヘテロ原子5〜14個を有する単環式又は多環式のヘテロ環を表し、ここでこのヘテロ環は、N、O及びSの群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、
n=0〜4であり、
3、R4、R5及びR6=水素、アルキル−、ヘテロアリール−、アリール−、−CN、−COOH、−COO−アルキル−、−COO−アリール−、−OCO−アルキル−、OCO−アリール−、−OCOO−アルキル−、OCOO−アリール−、−CHO、−CO−アルキル−、−CO−アリール−、−NH2、−NH(アルキル)−、−N(アルキル)2−、NH(アリール)−、−N(アリール)2−、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−CF3、−NO2、−フェロセニル、−SO3H、−PO32を表し、ここで前記アルキル基は炭素原子1〜12個を有し、かつ前記アリール基は炭素原子5〜14個を有し、かつタイプR3及びR4の置換基は、橋かけする脂肪族又は芳香族の環の部分であってもよい]で示される少なくとも1つのカルベン配位子とを有する金属−カルベン錯体が使用され、かつタイプR1及びR2の置換基が同じか又は異なり、並びに置換又は非置換であり、かつタイプR3、R4、R5及びR6の置換基が同様に同じか又は異なり、並びに置換又は非置換である
ことを特徴とする、置換又は非置換の1,7−ジオレフィンの製造方法。
【請求項2】
ニッケル、ロジウム、パラジウム及び/又は白金から選択される金属を含有する金属−カルベン錯体を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
パラジウムを金属として含有する金属−カルベン錯体を使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
3〜R6=水素を表す構造1〜4から選択される少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体を使用する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
3及びR4が水素を表す構造2で示される少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体を使用する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
3及びR4が水素を表し、かつR1及びR2がn=0で及びBがフェニル基又は2,4,6−トリメチルフェニル基を表す構造2で示される少なくとも1つのカルベン配位子を有する金属−カルベン錯体を使用する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
反応混合物の全質量を基準として金属ppm(質量)で形式的に記載される触媒の濃度が、ヒドロ二量化の開始時に1〜500ppmである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンとして、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、又は少なくとも2つの共役二重結合を有する非環式オレフィンを含有する相応する混合物から選択される化合物を使用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
安定剤を含有しないか又はアルキル化フェノール類又は安定なN−オキシルラジカルから選択される安定剤を含有する非環式オレフィンを使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
安定剤として、アルキル化フェノール類又は安定なN−オキシルラジカルから選択されるラジカル作用性安定剤を使用する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
4位で置換された又は非置換の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルから選択されるN−オキシルラジカルを安定剤として使用する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
1,3−ブタジエンを非環式オレフィンとして使用する、請求項8記載の方法。
【請求項13】
還元剤としてギ酸、ギ酸塩及び/又は水素を使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ギ酸を還元剤として使用する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ギ酸を反応の過程で計量供給する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ヒドロ二量化を塩基の存在で実施する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート又は第三級アミンを塩基として使用する、請求項16記載の方法。

【公表番号】特表2009−541411(P2009−541411A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517081(P2009−517081)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055540
【国際公開番号】WO2008/003559
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】