ヒンジキャップ
【課題】使用前の未開封状態を保証することができる、新規なヒンジキャップを提供する。
【解決手段】ヒンジキャップは、容器口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し注出部3が設けられた注出栓2と、蓋体6とを有し、蓋体6がヒンジ部を介して回転可能に連結されている。蓋体6の周壁6bに周方向に間隔を置いて2つの突起6dを設ける一方、蓋体6との合せ面2fに、注出栓2に合さった蓋体6の突起6dを引っ掛ける切り欠き部Aを有して蓋体6の開放を阻止するプレート部材8を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片9を介して一体に設けることで、当該連結片の相互間に位置するプレート部材の押圧により、プレート部材8の押圧部分を基点に変形してその外縁8eがそれぞれ外向きに突出するように構成する。
【解決手段】ヒンジキャップは、容器口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し注出部3が設けられた注出栓2と、蓋体6とを有し、蓋体6がヒンジ部を介して回転可能に連結されている。蓋体6の周壁6bに周方向に間隔を置いて2つの突起6dを設ける一方、蓋体6との合せ面2fに、注出栓2に合さった蓋体6の突起6dを引っ掛ける切り欠き部Aを有して蓋体6の開放を阻止するプレート部材8を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片9を介して一体に設けることで、当該連結片の相互間に位置するプレート部材の押圧により、プレート部材8の押圧部分を基点に変形してその外縁8eがそれぞれ外向きに突出するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用前にあっては未開封状態を確認することでき、使用後にあっては分別廃棄が可能なヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒンジキャップとしては、その下側に環状の嵌合溝を形成し、この嵌合溝で打栓することによって、容器の口部に対し強固に固定できるものがある一方、容器との分別廃棄を行うにあたっては、取り外し難いという問題がある。
【0003】
このため、従来のヒンジキャップとしては、注出栓の外周に、ヒンジ連結部を挟んで2つの破断予定部を周方向に沿って設け、当該破断予定部によって区画された部分をそれぞれ、ヒンジ連結部に引き寄せながら帯状に破断させて摘み部分を形成し、その後、これら摘み部分を合わせて摘んで引き上げることで、容器口部からの分離を可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−109112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした従来の分別廃棄用のヒンジキャップは、使用後の分別廃棄に関しては、対策が採られているものの、使用前の未開封状態を保証する対策については、何ら採られていなかった。
【0006】
また、従来のヒンジキャップは、摘み部を形成するために2箇所を破断させなければならない。このため、分別廃棄の手順が煩雑で、余計な力が必要となる。
【0007】
そこで、小さい力で破断させるべく、破断予定部の肉厚を薄肉に構成しようとすると、2つの破断予定部はそれぞれ、注出栓の下端からヒンジ連結部に向かって周方向に沿って延在するため、打栓時や高温充填の内圧上昇時に破断や伸びを生じ易く、キャップの強度やシール性を低下させるという不都合を生じる。また、摘み部を大きく確保して力をかけやすくしようとすると、キャップの大型化を招いて、生産コスト的にも不利である。
【0008】
本発明の目的とするところは、使用前の未開封状態を保証しつつ分別廃棄の容易なヒンジキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周側を周方向に沿って局所的に分離可能なヒンジキャップであって、
蓋体の周壁に周方向に間隔を置いて2つの突起を設ける一方、注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの開口部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して一体に設けることで、プレート部材の押圧によって、当該プレート部材の押圧部分を中心に変形してその外縁がそれぞれ外向きに突出するように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、蓋体の周壁のうち、プレート部材の押圧部分が位置する領域部分に、当該プレート部材の押し代を確保する平面部又は窪み部を設けることが好ましい。
【0011】
また、蓋体の周壁には、プレート部材の押圧によって当該プレート部材に接触してその変形を生起させる補助突起を設けることが好ましい。
【0012】
更に、蓋体の周壁には、プレート部材の外縁を取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部を設けることができる。
【0013】
加えて、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能とすることが好ましい。
【0014】
本発明では、注出栓の外周面に、蓋体との合せ面から下方に向かって縦溝を形成すると共に、注出栓の合せ面に、縦溝に近接する位置からヒンジ連結部分を横切る周溝を形成し、縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部と、当該縦方向破断予定部を起点に周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部とを設けることができる。
【0015】
前記嵌合溝は、その外周面に、容器の口部に引っ掛かる環状の突起を有するものである場合、当該突起を分断する縦溝を形成し、当該縦溝と外周側の前記縦溝との間に縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部を設けることができる。
【0016】
また、本発明では、縦溝と注出栓の下端面との間に薄肉の連結部分を形成し、当該連結部分を径方向外向きに延在する径方向破断予定部として構成することができる。
【0017】
周方向破断予定部は、縦方向破断予定部との連結部から所定の範囲までの部分が他の部分よりも薄肉に構成することができ、また、縦方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分に、切れ目を形成することもできる。
【0018】
縦方向破断予定部も、周方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分が他の部分よりも薄肉に構成することができ、また、周方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分に、切れ目を形成することもできる。薄肉部分や切れ目は、周方向破断予定部に隣接する部分に形成することが好ましい。
【0019】
また、本発明によれば、注出栓の合せ面に、周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部を設けることもできる。
【0020】
更に、蓋体の下端に、注出栓に形成したスロット孔に収納される舌片を設けることができる。
【0021】
加えて、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能とすることができる。
【0022】
更に、注出栓は、破断不能な固定連結部を介して注出部側に固定されると共に、その残部が破断予定部を介して分離可能に連結されている外筒部分を備え、当該外筒部分が注出栓の外周側としてなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの切り欠き部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を設けたことから、蓋体を比較的大きな力で意図的に押し上げないと、蓋体を開放することができない。
【0024】
また、プレート部材は、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して注出栓に一体に設けられているから、プレート部材を押圧すれば、当該プレート部材の押圧部分を中心にしてその外縁部分がそれぞれ外向きに突出する。このため、使用者は、プレート部材の外縁部分を摘んで引っ張れば、2つの連結片が切断されることで、プレート部材を注出栓から分離させることができる。これにより、使用者は、蓋体を開くことができる。
【0025】
即ち、未開封の状態においては、プレート部材が存在することで、その未開封状態を視覚的に認識することができ、また、蓋体を開いたときには、プレート部材が取り払われていることで、開封状態も視覚的に認識することができる。従って、本発明によれば、使用前の未開封状態を保証することができる。
【0026】
また、本発明では、注出栓の外側部分を切り離して嵌合溝を開放することで容器の口部からの分離を行うに際し、その切り離しが周方向破断予定部に沿って周回するように行われることから、切り離しに要する力が比較的小さくすむ。また、キャップの強度やシール性を有利に確保することができる。
【0027】
更に、切り離しが蓋体を引っ張ることで行われるため、取り外しのための摘み部を別途設ける必要が無い。このため、構成が簡素化することで、キャップの大型化を招くことなく、生産コストの抑制も図れる。
【0028】
従って、本発明によれば、比較的小さな力で破断させることができつつも、強度やシール性が損なわれたり、キャップの大型化を招くことなく、分別廃棄の手順が簡単で、生産コストの抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は、本発明の一形態である、ヒンジキャップを示す斜視図であり、(b)は、プレート部材を分離するときの操作状態を示す斜視図、また、(c)は、プレート部材を分離した状態を示す斜視図である。
【図2】図1(a)のA−A断面図である。
【図3】(a)は、同形態に係る蓋体を示す正面図であり、(b)は、同形態に係る注出栓を示す正面図である。
【図4】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す側面図である。
【図5】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す断面図である。
【図6】(a)は、同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す上面図及びその一部拡大図であり、(b)は、同ヒンジキャップに係る、縦方向破断予定部を示す要部斜視図である。
【図7】(a)は、図6のB−B断面図であり、(b)は、図6のC−C断面図であり、(c)は、図6のD−D断面図である。
【図8】同ヒンジキャップを、分別する際の過程を示す上面図である。
【図9】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す底面図である。
【図10】本発明の他の形態であって、同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す側面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【図12】同ヒンジキャップを、容器から取り外して分別廃棄するときの状態で示す斜視図である。
【図13】(a)は、本発明の更に他の形態であって、プレート部材を分離した状態を示す斜視図であり、(b)は、図(a)のF−F断面図である。
【図14】(a)は、同ヒンジキャップを、蓋体が閉じられた状態で示す斜視図であり、(b)は、同ヒンジキャップを、プレート部材を取り除いて蓋体が開かれた状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、ヒンジキャップを詳細に説明する。
【0031】
図1中、符号1は、本発明の第1の形態である、合成樹脂製の分別廃棄用ヒンジキャップ(以下、「ヒンジキャップ」)であり、符号2は、ヒンジキャップ1を構成する注出栓である。注出栓2は、図2に示すように、容器50の口部(以下、「容器口部」)51に固定保持される環状の嵌合溝n0を有する。符号3は、嵌合溝n0で取り囲まれる内側領域に一体に設けられた注出部3である。注出部3は、筒状部を有し、その内側は、隔壁4で仕切られている。隔壁4には、抜栓部4aが薄肉の破断予定線L0で区画されている。抜栓部4aには、プルリング5が一体に設けられている。
【0032】
符号6は、ヒンジ部7を介して回転可能に連結された蓋体である。蓋体6は、注出栓2に嵌合させたときに注出部3の上側に配置される天壁6aと、この天壁6aの外縁から環状に垂下する周壁6bからなる。一方、注出栓2には、注出部3を取り囲むように環状の係止部2aが一体に設けられている。係止部2aには、周壁6bが着脱可能に引っ掛かって係止される。これにより、蓋体6は、同図に示すように、注出栓2と合さって注出部3の収納空間Rを形成する。
【0033】
また、蓋体6の周壁6bには、図3(a)に示すように、凹部6cが設けられている。凹部6cは、ヒンジ部7の連結部分と対向する位置に配置されている。また、凹部6cは、周方向に沿って延在した切り欠き状の薄肉部をなし、2つの突起6dが一体に設けられている。突起6dはそれぞれ、周方向に間隔を置いて配置されている。突起6dはそれぞれ、爪状の突起であって、その上端面6d1が平坦面を形成する。
【0034】
また、凹部6cには、2つの突起6dよりも内側の位置に、2つの補助突起6eが一体に設けられている。補助突起6eはそれぞれ、縦方向に延在し、周方向に間隔を置いて配置されている。更に、凹部6cには、補助突起6eの相互間に平面部6fが形成されている。
【0035】
更に、図3(b)中、符号8は、注出栓2に取り付けられて蓋体6の開放を阻止するプレート部材である。プレート部材8は、図1(a)に示すように、蓋体6を閉じたときに、蓋体6の凹部6cに配置される。プレート部材8には、同図に示すように、周方向に間隔を置いて2つの切り欠き部Aが形成されている。切り欠き部Aにはそれぞれ、蓋体6に設けられた突起6dの上端面6d1を引っ掛けることができる。
【0036】
また、プレート部材8は、図3(b)に示すように、蓋体6との合せ面2fに、2つの連結片9を介して一体に設けられている。連結片9は、2つの切り欠き部Aよりも内側の位置に、周方向に間隔を置いて配置されている。これにより、図4に示すように、蓋体6が開いた状態から蓋体6を閉じると、突起6dが、図1(a)に示すように、切り欠き部Aに引っ掛かることで、蓋体6の開放が阻止される。なお、図5は、図4の縦断面図である。
【0037】
また、蓋体6の周壁6bには、図1に示すように、凹部6cの周方向縁部にそれぞれ、係止用溝部6gが設けられている。係止用溝部6gはそれぞれ、蓋体6を閉じると、図1(a)に示すように、プレート部材8の外縁部分8eが引っ掛かる。これにより、外縁部分8eは、図1(a)に示すように蓋体6を閉じることで凹部6cに収納された状態において、外向きに突出することがない。
【0038】
このように、注出栓2の合せ面2fに、プレート部材8を設け、このプレート部材8の切り欠き部Aに蓋体6の突起6dを引っ掛けることで蓋体6の開放を阻止すれば、蓋体6を比較的大きな力で意図的に押し上げないと、蓋体6を開放することができない。
【0039】
また、プレート部材8は、周方向に間隔を置いて配置された2つの連結片9を介して注出栓2に一体に設けられているから、図1(a)に示すように、連結片9の相互間に位置するプレート部材8の押圧部分Xを押圧すれば、その外縁部分8eをそれぞれ、図1(b)に示すように、プレート部材8の押圧部分Xを中心に変形して、外向きに突出させることができる。
【0040】
本形態では、上述のとおり、蓋体6の凹部6cに、周方向に間隔を置いて2つの補助突起6eを設けている。補助突起6eはそれぞれ、プレート部材8を押圧すると、プレート部材8の裏面に接触する。このとき、プレート部材8は、更に2つの補助突起6eを設ければ、これら補助突起6eを基点に、当該補助突起6eの相互間で大きく内向きに変形する。これにより、プレート部材8の外縁部分8eは、2つの補助突起6eを基点として外向きに大きく突出する。従ってことから、外縁部分8eを摘み易くなる。
【0041】
なお、外縁部分8eを外向きに突出させるにあたっては、係止用溝部6gの溝深さを調整することにより、プレート部材8の外縁部分8eが所望の力で取り外すことができる。
【0042】
また、連結片9は、プレート部材8を引っ張ることで破断させることができる。このため、使用者は、外縁部分8eを摘んで引っ張れば、2つの連結片9が切断されることで、図1(c)に示すように、プレート部材8を注出栓2から分離させることができる。これにより、使用者は、蓋体6を開くことができる。
【0043】
即ち、未開封の状態においては、図1(a)に示すように、プレート部材8が存在することで、その未開封状態を視覚的に認識することができ、また、蓋体6を開いたときには、図1(c)に示すように、プレート部材8が取り払われられていることで、開封状態も視覚的に認識することができる。
【0044】
従って、かかる構成によれば、使用前の未開封状態を保証することができる。
【0045】
また、本形態のように、蓋体6の周壁6bのうち、プレート部材8の押圧部分Xに相当する領域部分に平面部6fを設ければ、プレート部材8の押し代を確保することができる。このことは、平面部6fに替えて窪み部を設けた場合も同様である。
【0046】
また、本形態のように、蓋体6の周壁6bに、プレート部材8の外縁部分8eを取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部6gを設ければ、蓋体6を閉じることで凹部6cに収納された状態において、外縁部分8eは、図1(a)に示すように外向きに突出することがない。この場合、キャップ1は、同図に示すように、シンプルですっきりとした外観印象を与え、プレート部材8の予期せぬ分離を回避することができる。
【0047】
また、本形態では、図1(a)に示すように、プレート部材8は、蓋体6を閉じると、凹部6cに収納される。このように、プレート部材8を凹部6cに収納することでも、キャップ1は、同図に示すように、シンプルですっきりとした外観印象を与え、プレート部材8の予期せぬ分離を回避することができる。
【0048】
また、注出栓2は、図5に示すように、嵌合溝n0を形作る外筒部分21を有する。外筒部分21は、注出栓2の外側部分としてなる。図6(a)中、符号n1は、外筒部分21に設けられた外溝である。外溝n1は、縦方向(注出部3の軸線方向)に沿って伸びる縦溝である。外溝n1は、同図に示すように、V字形の溝としてなる。外筒部分21は、同図の拡大部分に示すように、その分離開始端面21aが径方向(接線方向に垂直な方向)に沿って延在する端面を構成する一方、終端面21bは、径方向(接線方向)に対して傾斜した端面を構成する。
【0049】
図6(b)中、符号10は、外筒部分21に設けられた縦方向破断予定部である。縦方向破断予定部10は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。縦方向破断予定部10は、図6(a)の全体図に示すように、外筒部分21の外周面2sのうち、ヒンジ部7の連結部分近傍に設けられている。また、縦方向破断予定部10は、嵌合溝n0との間に縦方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、縦方向破断予定部10は、図6(b)に示すように、外溝n1の一部を形成する。
【0050】
符号11も、外筒部分21に設けられた縦方向破断予定部である。縦方向破断予定部11は、縦方向破断予定部10とともに外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。縦方向破断予定部11は、図6(a)の全体図に示すように、注出栓2に、外溝n1に近接する位置からヒンジ部7との連結部分の内側を横切るように周溝n2を形成し、当該周溝n2と嵌合溝n0との間に縦方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、縦方向破断予定部11は、図6(b)に示すように、縦方向破断予定部10とともに、蓋体6との合せ面2fから下方に向かって延在する外溝n1の一部を形成する。
【0051】
符号12は、外筒部分21に設けられた径方向破断予定部である。径方向破断予定部12は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。また、径方向破断予定部12は、図6(b)に示すように、外溝n1と注出栓2の下端面2eとの間に形成した、薄肉の連結部分として形作られている。これにより、径方向破断予定部12も、縦方向破断予定部10から径方向外側に向かって延在して外溝n1の一部を形成する。
【0052】
図7中、符号13は、注出部3と外筒部分21との間に設けられた周方向破断予定部である。周方向破断予定部13は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。周方向破断予定部13は、図7(a)〜(c)に示すように、周溝n2と嵌合溝n0との間に周方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、周方向破断予定部13は、嵌合溝n0及び周溝n2の一部を形成する。
【0053】
このように、注出栓2に縦方向破断予定部10及び11、並びに、径方向破断予定部12を設けるとともに、合せ面2fに、縦方向破断予定部11に繋がる周方向破断予定部13を設ければ、使用者が蓋体6を開いて外向きに引っ張ると、図8に示すように、外筒部分21が縦方向破断予定部10〜12からの破断を起点に、外筒部分21が周方向破断予定部13に沿って周方向に切り離されていく。
【0054】
かかる構成によれば、注出栓2の外筒部分21を切り離して嵌合溝n0を開放することで容器口部51からの分離を行うに際し、その切り離しが周方向破断予定部13に沿って周回するように行われることから、切り離しに要する力が比較的小さくすむ。また、切り離しにあたっては、縦方向破断予定部10を起点に行われ、容器口部51の外周側傾斜面52は、当該切り離しが行われるまで、図7に示すように、係止部2aの下方に位置する周方向破断予定部13a〜13cの内面及び、当該周方向破断予定部13a〜13cの上方に形成された嵌合溝n0の外周上側隅部21aで全周密閉しているため、キャップ1の強度やシール性を有利に確保することができ、特に、高温の内容物を充填した場合でもシール性を損なうことがない。
【0055】
更に、切り離しが蓋体6を引っ張ることで行われるため、取り外しのための摘み部を別途設ける必要が無い。このため、構成が簡素化することで、キャップの大型化を招くことなく、生産コストの抑制も図れる。
【0056】
従って、かかる構成によれば、比較的小さな力で破断させることができつつも、強度やシール性が損なわれたり、キャップ1の大型化を招くことなく、分別廃棄の手順が簡単で、生産コストの抑制を図ることができる。
【0057】
また、本形態では、図7に示すように、注出栓2には、外筒部分21の内側に、係止部分2aを介して内筒部分22が一体に設けられている。内筒部分22は、容器口部51内側をシールするシール部として機能する。
【0058】
これに対し、外筒部分21は、内筒部分22と共に容器口部51を挟持するが、本形態では、その内周面21fに、容器口部51に引っ掛かる環状の突起21pが一体に設けられている。このため、本形態では、図7に示すように、突起21pを縦方向に分断する縦溝n3を形成している。これにより、縦方向破断予定部10を起点とする切り離しを更に小さな力で行うことができる。
【0059】
また、本形態では、縦方向破断予定部10は、図7(a)に示すように、下方に向かうに従って肉厚となるように構成している。この場合、切断のし易さと強度との両立を図ることができる。
【0060】
更に、本形態では、外溝n1と注出栓2の下端面2eとの間に薄肉の連結部分を形成し、当該連結部分を径方向外向きに延在する径方向破断予定部12として構成したことで、縦方向破断予定部10が比較的小さな力で切断できるようにしつつも、打栓を行うときなど、注出栓2に大きな力が加わったときに、縦方向破断予定部10が破断しないように補強して、予期せぬ切断を防止する役目を果たす。従って、切断のし易さと強度との両立を図ることができる。
【0061】
また、本形態では、周方向破断予定部13は、図7(a)に示すように、縦方向破断予定部10及び11との連結部C0が最も薄い肉厚になるように構成されている。具体例としては、嵌合溝n0、外溝n1及び周溝n2を最も近接するように配置することで、連結部C0の肉厚を最も薄肉する。これにより、小さい力で切断を開始することができる。
【0062】
更に、本形態では、周方向破断予定部13は、図7(a)に示すように、縦方向破断予定部10との連結部C0から所定の範囲までの部分(以下、「切断開始部分」)13aが連結部C0と同様の薄肉に構成されている。そして、ヒンジ部7の中央を横切った辺りから、図7(b)に示すように徐々に肉厚になる移行部分13bとして構成される。この移行部分13bは、所定の範囲まで径方向外向きに厚肉になるが、その後、定常部分13cにて、図7(c)に示すように、その肉厚が一定となる。
【0063】
切断開始部分13a(連結部C0)を設けたことで、図8に示すように、容易に破断が進行して蓋体6は注出栓2から大きく離れる。このように、蓋体6が注出栓2から大きく離れると、蓋体6を引っ張る力が入れやすくなる。このため、移行部分13bで切断に要する力が増大することになっても、比較的容易に切断することができる。また、定常部分13cでは、キャップ1の強度が高まると共に、図7(c)に示すように、容器口部51の傾斜面52を圧接したままで残るため、シール性が低下することがない。
【0064】
即ち、周方向破断予定部13の切断開始部分13aが、本形態のように、移行部分13bや定常部分13cよりも薄肉になるように構成すれば、切断開始部分13aにおいては、スムースな切断が可能になる一方、定常部分13cでは、キャップ1の強度とシール性を確保することができる。このため、定常部分13cの範囲は、切断開始部分13aよりも広く確保することが好ましい。
【0065】
また、周方向破断予定部13は、その切断開始部分13aに、切れ目を形成することができる。この場合、周方向破断予定部13の切断開始が更に容易になる。また、縦方向破断予定部11についても、周方向破断予定部13との連結部分(C0)から所定の範囲に同様の切れ目を形成とすることができる。また、縦方向破断予定部11も、周方向破断予定部13との連結部分(C0)から所定の範囲の部分を他の部分よりも薄肉に構成することもできる。
【0066】
また、本発明によれば、分別廃棄の手段として、以下の構成を採用することもできる。なお、以下の説明において、プレート部材8は、上述の形態と同様である。
【0067】
本形態は、注出栓2が、注出栓本体2Aと外筒部分2B(21)からなる。注出栓本体2Aは、注出部3を一体に有し環状の嵌合溝n0が形成されている。注出栓本体2Aには、当該注出本体2Aを間隔を置いて取り囲む外筒部分21を配置し、当該外筒部分21を破断不能な連結部23を介して固定すると共に、当該外筒部分21のその他の部分が複数の連結片24を介して周方向に沿って分離可能に連結されている。
【0068】
更に詳細には、図10に示すように、外筒部分21は、ヒンジ7側と対向する、蓋体6の開き側位置に、破断不能な固定連結部23を介して注出部3に固定されていると共に、その他の部分が破断可能な複数の連結片24(図中は例示的に一箇所のみ表示)を介して分離可能に連結されている。また、外筒部分21は、図11に示すように、注出栓2の下端面2eに設けられた固定連結部23を介して注出部3に一体に連結されている。注出部3は、嵌合溝n0が一体に形成されている。
【0069】
かかる構成によれば、分別廃棄を行うときに、蓋体6を上向きに引っ張ることで、複数の連結片24を切断すれば、図12に示すように、外筒部分21は、固定連結部23を残して注出部3に対して連結されたままとなる。このため、蓋体6を更に引っ張れば、嵌合溝n0から容器口部51を引き抜いて、ヒンジキャップ1を分別廃棄することができる。なお、固定連結部23は、外筒部分21を軸線方向全体に連結する等、様々な位置で注出部3側に連結させることができる。更に連結片24も、薄肉の帯状部分として構成することもできる。
【0070】
ところで、上述した各形態の場合、蓋体6を開けたときに、突起6dが邪魔になることがある。このため、本発明に従えば、図13〜14に示すような形態を採用することができる。
【0071】
本形態は、図13に示すように、蓋体6の下端に、蓋体6を開けたときに、指が注出部3に接触してしまうこと、並びに、蓋体6を開いた後に突起6dに接触することを防止するための舌片6hが一体に設けられている。舌片6hは、図13(a)に示すように、2つの突起6dの間に配置され、同図(b)に示すように、その先端が周壁6bから垂下している。また、舌片6hは、図14(a)に示すように、蓋体6を閉じたとき、注出栓2の合せ面2fに形成したスロット孔2b(図14(b)参照)に収納されている。
【0072】
本形態では、図14(a)に示すように、プレート部材8を押し込んで取り除いたのち、蓋体6を開くと、図14(b)に示すように、舌片6hが蓋体6の合せ面6fよりも上側に位置する。このため、蓋体6を開けたときに、指が突起6dに接触することを防止することができる。
【0073】
なお、本形態では、プレート部材8は、一方の外縁部分8eのみ把手として形作るとともに、滑り止め8sを設けている。また、本形態では、外筒部分21は、従来と同様、ヒンジ7と対向する、蓋体6の開き側位置に、軸線方向全体に延在する破断不能な固定連結部23を介して注出部3に固定されると共に、その残部が破断予定部を介して分離可能に連結されている。
【0074】
かかる構成によっても、分別廃棄を行うときに、蓋体6を上向きに引っ張ることで、破断予定部を切断すれば、図12に示すように、外筒部分21は、固定連結部を残して注出部3に対して連結されたままとなる。このため、蓋体6を更に引っ張れば、嵌合溝n0から容器口部51を引き抜いて、ヒンジキャップ1を分別廃棄することができる。なお、かかる破断予定部も、薄肉の帯状部分として構成されているが、周方向に間隔を空けて配置された複数の連結片で構成することもできる。
【0075】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、外溝n1は、容器50に対してキャップ1の方向を位置決めする機能をし、目視による確認に限らず、キャップ1(注出栓2)を打栓するに際し、外溝n1に冶具をあてがう等して外溝n1を位置決め及び打栓時の案内とすることができる。本形態は、注出栓2としてプルトップ式の注出栓を採用したが、注出部3の形態はこれに限定されるものではない。更に、各形態の各構成中に採用される要素は、適宜、転用等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周部を剥離可能なヒンジキャップに適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 ヒンジキャップ
2 注出栓
2A 注出栓本体
2B 外筒部分
3 注出部
4 隔壁
4a 抜栓部
5 プルリング
6 蓋体
6c 凹部
6d 突起
6e 補助突起
6f 平面部
6g 係止用溝部
7 ヒンジ部
8 プレート部材
9 連結片
10 縦方向破断予定部
11 縦方向破断予定部
12 径方向破断予定部
13 周方向破断予定部
13a 切断開始部分
13b 移行部分
13c 定常部分
21 外筒部分
21p 環状の突起
22 内周部分
23 固定連結部
24 連結片
A 切り欠き部
n0 嵌合溝
n1 外周側縦溝
n2 周溝
n3 内周側縦溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用前にあっては未開封状態を確認することでき、使用後にあっては分別廃棄が可能なヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒンジキャップとしては、その下側に環状の嵌合溝を形成し、この嵌合溝で打栓することによって、容器の口部に対し強固に固定できるものがある一方、容器との分別廃棄を行うにあたっては、取り外し難いという問題がある。
【0003】
このため、従来のヒンジキャップとしては、注出栓の外周に、ヒンジ連結部を挟んで2つの破断予定部を周方向に沿って設け、当該破断予定部によって区画された部分をそれぞれ、ヒンジ連結部に引き寄せながら帯状に破断させて摘み部分を形成し、その後、これら摘み部分を合わせて摘んで引き上げることで、容器口部からの分離を可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−109112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした従来の分別廃棄用のヒンジキャップは、使用後の分別廃棄に関しては、対策が採られているものの、使用前の未開封状態を保証する対策については、何ら採られていなかった。
【0006】
また、従来のヒンジキャップは、摘み部を形成するために2箇所を破断させなければならない。このため、分別廃棄の手順が煩雑で、余計な力が必要となる。
【0007】
そこで、小さい力で破断させるべく、破断予定部の肉厚を薄肉に構成しようとすると、2つの破断予定部はそれぞれ、注出栓の下端からヒンジ連結部に向かって周方向に沿って延在するため、打栓時や高温充填の内圧上昇時に破断や伸びを生じ易く、キャップの強度やシール性を低下させるという不都合を生じる。また、摘み部を大きく確保して力をかけやすくしようとすると、キャップの大型化を招いて、生産コスト的にも不利である。
【0008】
本発明の目的とするところは、使用前の未開封状態を保証しつつ分別廃棄の容易なヒンジキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周側を周方向に沿って局所的に分離可能なヒンジキャップであって、
蓋体の周壁に周方向に間隔を置いて2つの突起を設ける一方、注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの開口部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して一体に設けることで、プレート部材の押圧によって、当該プレート部材の押圧部分を中心に変形してその外縁がそれぞれ外向きに突出するように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、蓋体の周壁のうち、プレート部材の押圧部分が位置する領域部分に、当該プレート部材の押し代を確保する平面部又は窪み部を設けることが好ましい。
【0011】
また、蓋体の周壁には、プレート部材の押圧によって当該プレート部材に接触してその変形を生起させる補助突起を設けることが好ましい。
【0012】
更に、蓋体の周壁には、プレート部材の外縁を取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部を設けることができる。
【0013】
加えて、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能とすることが好ましい。
【0014】
本発明では、注出栓の外周面に、蓋体との合せ面から下方に向かって縦溝を形成すると共に、注出栓の合せ面に、縦溝に近接する位置からヒンジ連結部分を横切る周溝を形成し、縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部と、当該縦方向破断予定部を起点に周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部とを設けることができる。
【0015】
前記嵌合溝は、その外周面に、容器の口部に引っ掛かる環状の突起を有するものである場合、当該突起を分断する縦溝を形成し、当該縦溝と外周側の前記縦溝との間に縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部を設けることができる。
【0016】
また、本発明では、縦溝と注出栓の下端面との間に薄肉の連結部分を形成し、当該連結部分を径方向外向きに延在する径方向破断予定部として構成することができる。
【0017】
周方向破断予定部は、縦方向破断予定部との連結部から所定の範囲までの部分が他の部分よりも薄肉に構成することができ、また、縦方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分に、切れ目を形成することもできる。
【0018】
縦方向破断予定部も、周方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分が他の部分よりも薄肉に構成することができ、また、周方向破断予定部との連結部から所定の範囲の部分に、切れ目を形成することもできる。薄肉部分や切れ目は、周方向破断予定部に隣接する部分に形成することが好ましい。
【0019】
また、本発明によれば、注出栓の合せ面に、周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部を設けることもできる。
【0020】
更に、蓋体の下端に、注出栓に形成したスロット孔に収納される舌片を設けることができる。
【0021】
加えて、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能とすることができる。
【0022】
更に、注出栓は、破断不能な固定連結部を介して注出部側に固定されると共に、その残部が破断予定部を介して分離可能に連結されている外筒部分を備え、当該外筒部分が注出栓の外周側としてなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの切り欠き部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を設けたことから、蓋体を比較的大きな力で意図的に押し上げないと、蓋体を開放することができない。
【0024】
また、プレート部材は、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して注出栓に一体に設けられているから、プレート部材を押圧すれば、当該プレート部材の押圧部分を中心にしてその外縁部分がそれぞれ外向きに突出する。このため、使用者は、プレート部材の外縁部分を摘んで引っ張れば、2つの連結片が切断されることで、プレート部材を注出栓から分離させることができる。これにより、使用者は、蓋体を開くことができる。
【0025】
即ち、未開封の状態においては、プレート部材が存在することで、その未開封状態を視覚的に認識することができ、また、蓋体を開いたときには、プレート部材が取り払われていることで、開封状態も視覚的に認識することができる。従って、本発明によれば、使用前の未開封状態を保証することができる。
【0026】
また、本発明では、注出栓の外側部分を切り離して嵌合溝を開放することで容器の口部からの分離を行うに際し、その切り離しが周方向破断予定部に沿って周回するように行われることから、切り離しに要する力が比較的小さくすむ。また、キャップの強度やシール性を有利に確保することができる。
【0027】
更に、切り離しが蓋体を引っ張ることで行われるため、取り外しのための摘み部を別途設ける必要が無い。このため、構成が簡素化することで、キャップの大型化を招くことなく、生産コストの抑制も図れる。
【0028】
従って、本発明によれば、比較的小さな力で破断させることができつつも、強度やシール性が損なわれたり、キャップの大型化を招くことなく、分別廃棄の手順が簡単で、生産コストの抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は、本発明の一形態である、ヒンジキャップを示す斜視図であり、(b)は、プレート部材を分離するときの操作状態を示す斜視図、また、(c)は、プレート部材を分離した状態を示す斜視図である。
【図2】図1(a)のA−A断面図である。
【図3】(a)は、同形態に係る蓋体を示す正面図であり、(b)は、同形態に係る注出栓を示す正面図である。
【図4】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す側面図である。
【図5】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す断面図である。
【図6】(a)は、同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す上面図及びその一部拡大図であり、(b)は、同ヒンジキャップに係る、縦方向破断予定部を示す要部斜視図である。
【図7】(a)は、図6のB−B断面図であり、(b)は、図6のC−C断面図であり、(c)は、図6のD−D断面図である。
【図8】同ヒンジキャップを、分別する際の過程を示す上面図である。
【図9】同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す底面図である。
【図10】本発明の他の形態であって、同ヒンジキャップを、蓋体が開かれた状態で示す側面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【図12】同ヒンジキャップを、容器から取り外して分別廃棄するときの状態で示す斜視図である。
【図13】(a)は、本発明の更に他の形態であって、プレート部材を分離した状態を示す斜視図であり、(b)は、図(a)のF−F断面図である。
【図14】(a)は、同ヒンジキャップを、蓋体が閉じられた状態で示す斜視図であり、(b)は、同ヒンジキャップを、プレート部材を取り除いて蓋体が開かれた状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、ヒンジキャップを詳細に説明する。
【0031】
図1中、符号1は、本発明の第1の形態である、合成樹脂製の分別廃棄用ヒンジキャップ(以下、「ヒンジキャップ」)であり、符号2は、ヒンジキャップ1を構成する注出栓である。注出栓2は、図2に示すように、容器50の口部(以下、「容器口部」)51に固定保持される環状の嵌合溝n0を有する。符号3は、嵌合溝n0で取り囲まれる内側領域に一体に設けられた注出部3である。注出部3は、筒状部を有し、その内側は、隔壁4で仕切られている。隔壁4には、抜栓部4aが薄肉の破断予定線L0で区画されている。抜栓部4aには、プルリング5が一体に設けられている。
【0032】
符号6は、ヒンジ部7を介して回転可能に連結された蓋体である。蓋体6は、注出栓2に嵌合させたときに注出部3の上側に配置される天壁6aと、この天壁6aの外縁から環状に垂下する周壁6bからなる。一方、注出栓2には、注出部3を取り囲むように環状の係止部2aが一体に設けられている。係止部2aには、周壁6bが着脱可能に引っ掛かって係止される。これにより、蓋体6は、同図に示すように、注出栓2と合さって注出部3の収納空間Rを形成する。
【0033】
また、蓋体6の周壁6bには、図3(a)に示すように、凹部6cが設けられている。凹部6cは、ヒンジ部7の連結部分と対向する位置に配置されている。また、凹部6cは、周方向に沿って延在した切り欠き状の薄肉部をなし、2つの突起6dが一体に設けられている。突起6dはそれぞれ、周方向に間隔を置いて配置されている。突起6dはそれぞれ、爪状の突起であって、その上端面6d1が平坦面を形成する。
【0034】
また、凹部6cには、2つの突起6dよりも内側の位置に、2つの補助突起6eが一体に設けられている。補助突起6eはそれぞれ、縦方向に延在し、周方向に間隔を置いて配置されている。更に、凹部6cには、補助突起6eの相互間に平面部6fが形成されている。
【0035】
更に、図3(b)中、符号8は、注出栓2に取り付けられて蓋体6の開放を阻止するプレート部材である。プレート部材8は、図1(a)に示すように、蓋体6を閉じたときに、蓋体6の凹部6cに配置される。プレート部材8には、同図に示すように、周方向に間隔を置いて2つの切り欠き部Aが形成されている。切り欠き部Aにはそれぞれ、蓋体6に設けられた突起6dの上端面6d1を引っ掛けることができる。
【0036】
また、プレート部材8は、図3(b)に示すように、蓋体6との合せ面2fに、2つの連結片9を介して一体に設けられている。連結片9は、2つの切り欠き部Aよりも内側の位置に、周方向に間隔を置いて配置されている。これにより、図4に示すように、蓋体6が開いた状態から蓋体6を閉じると、突起6dが、図1(a)に示すように、切り欠き部Aに引っ掛かることで、蓋体6の開放が阻止される。なお、図5は、図4の縦断面図である。
【0037】
また、蓋体6の周壁6bには、図1に示すように、凹部6cの周方向縁部にそれぞれ、係止用溝部6gが設けられている。係止用溝部6gはそれぞれ、蓋体6を閉じると、図1(a)に示すように、プレート部材8の外縁部分8eが引っ掛かる。これにより、外縁部分8eは、図1(a)に示すように蓋体6を閉じることで凹部6cに収納された状態において、外向きに突出することがない。
【0038】
このように、注出栓2の合せ面2fに、プレート部材8を設け、このプレート部材8の切り欠き部Aに蓋体6の突起6dを引っ掛けることで蓋体6の開放を阻止すれば、蓋体6を比較的大きな力で意図的に押し上げないと、蓋体6を開放することができない。
【0039】
また、プレート部材8は、周方向に間隔を置いて配置された2つの連結片9を介して注出栓2に一体に設けられているから、図1(a)に示すように、連結片9の相互間に位置するプレート部材8の押圧部分Xを押圧すれば、その外縁部分8eをそれぞれ、図1(b)に示すように、プレート部材8の押圧部分Xを中心に変形して、外向きに突出させることができる。
【0040】
本形態では、上述のとおり、蓋体6の凹部6cに、周方向に間隔を置いて2つの補助突起6eを設けている。補助突起6eはそれぞれ、プレート部材8を押圧すると、プレート部材8の裏面に接触する。このとき、プレート部材8は、更に2つの補助突起6eを設ければ、これら補助突起6eを基点に、当該補助突起6eの相互間で大きく内向きに変形する。これにより、プレート部材8の外縁部分8eは、2つの補助突起6eを基点として外向きに大きく突出する。従ってことから、外縁部分8eを摘み易くなる。
【0041】
なお、外縁部分8eを外向きに突出させるにあたっては、係止用溝部6gの溝深さを調整することにより、プレート部材8の外縁部分8eが所望の力で取り外すことができる。
【0042】
また、連結片9は、プレート部材8を引っ張ることで破断させることができる。このため、使用者は、外縁部分8eを摘んで引っ張れば、2つの連結片9が切断されることで、図1(c)に示すように、プレート部材8を注出栓2から分離させることができる。これにより、使用者は、蓋体6を開くことができる。
【0043】
即ち、未開封の状態においては、図1(a)に示すように、プレート部材8が存在することで、その未開封状態を視覚的に認識することができ、また、蓋体6を開いたときには、図1(c)に示すように、プレート部材8が取り払われられていることで、開封状態も視覚的に認識することができる。
【0044】
従って、かかる構成によれば、使用前の未開封状態を保証することができる。
【0045】
また、本形態のように、蓋体6の周壁6bのうち、プレート部材8の押圧部分Xに相当する領域部分に平面部6fを設ければ、プレート部材8の押し代を確保することができる。このことは、平面部6fに替えて窪み部を設けた場合も同様である。
【0046】
また、本形態のように、蓋体6の周壁6bに、プレート部材8の外縁部分8eを取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部6gを設ければ、蓋体6を閉じることで凹部6cに収納された状態において、外縁部分8eは、図1(a)に示すように外向きに突出することがない。この場合、キャップ1は、同図に示すように、シンプルですっきりとした外観印象を与え、プレート部材8の予期せぬ分離を回避することができる。
【0047】
また、本形態では、図1(a)に示すように、プレート部材8は、蓋体6を閉じると、凹部6cに収納される。このように、プレート部材8を凹部6cに収納することでも、キャップ1は、同図に示すように、シンプルですっきりとした外観印象を与え、プレート部材8の予期せぬ分離を回避することができる。
【0048】
また、注出栓2は、図5に示すように、嵌合溝n0を形作る外筒部分21を有する。外筒部分21は、注出栓2の外側部分としてなる。図6(a)中、符号n1は、外筒部分21に設けられた外溝である。外溝n1は、縦方向(注出部3の軸線方向)に沿って伸びる縦溝である。外溝n1は、同図に示すように、V字形の溝としてなる。外筒部分21は、同図の拡大部分に示すように、その分離開始端面21aが径方向(接線方向に垂直な方向)に沿って延在する端面を構成する一方、終端面21bは、径方向(接線方向)に対して傾斜した端面を構成する。
【0049】
図6(b)中、符号10は、外筒部分21に設けられた縦方向破断予定部である。縦方向破断予定部10は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。縦方向破断予定部10は、図6(a)の全体図に示すように、外筒部分21の外周面2sのうち、ヒンジ部7の連結部分近傍に設けられている。また、縦方向破断予定部10は、嵌合溝n0との間に縦方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、縦方向破断予定部10は、図6(b)に示すように、外溝n1の一部を形成する。
【0050】
符号11も、外筒部分21に設けられた縦方向破断予定部である。縦方向破断予定部11は、縦方向破断予定部10とともに外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。縦方向破断予定部11は、図6(a)の全体図に示すように、注出栓2に、外溝n1に近接する位置からヒンジ部7との連結部分の内側を横切るように周溝n2を形成し、当該周溝n2と嵌合溝n0との間に縦方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、縦方向破断予定部11は、図6(b)に示すように、縦方向破断予定部10とともに、蓋体6との合せ面2fから下方に向かって延在する外溝n1の一部を形成する。
【0051】
符号12は、外筒部分21に設けられた径方向破断予定部である。径方向破断予定部12は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。また、径方向破断予定部12は、図6(b)に示すように、外溝n1と注出栓2の下端面2eとの間に形成した、薄肉の連結部分として形作られている。これにより、径方向破断予定部12も、縦方向破断予定部10から径方向外側に向かって延在して外溝n1の一部を形成する。
【0052】
図7中、符号13は、注出部3と外筒部分21との間に設けられた周方向破断予定部である。周方向破断予定部13は、外筒部分21を周方向に沿って帯状に切り離すための起点となる。周方向破断予定部13は、図7(a)〜(c)に示すように、周溝n2と嵌合溝n0との間に周方向に延在する薄肉の連結部として形作られている。これにより、周方向破断予定部13は、嵌合溝n0及び周溝n2の一部を形成する。
【0053】
このように、注出栓2に縦方向破断予定部10及び11、並びに、径方向破断予定部12を設けるとともに、合せ面2fに、縦方向破断予定部11に繋がる周方向破断予定部13を設ければ、使用者が蓋体6を開いて外向きに引っ張ると、図8に示すように、外筒部分21が縦方向破断予定部10〜12からの破断を起点に、外筒部分21が周方向破断予定部13に沿って周方向に切り離されていく。
【0054】
かかる構成によれば、注出栓2の外筒部分21を切り離して嵌合溝n0を開放することで容器口部51からの分離を行うに際し、その切り離しが周方向破断予定部13に沿って周回するように行われることから、切り離しに要する力が比較的小さくすむ。また、切り離しにあたっては、縦方向破断予定部10を起点に行われ、容器口部51の外周側傾斜面52は、当該切り離しが行われるまで、図7に示すように、係止部2aの下方に位置する周方向破断予定部13a〜13cの内面及び、当該周方向破断予定部13a〜13cの上方に形成された嵌合溝n0の外周上側隅部21aで全周密閉しているため、キャップ1の強度やシール性を有利に確保することができ、特に、高温の内容物を充填した場合でもシール性を損なうことがない。
【0055】
更に、切り離しが蓋体6を引っ張ることで行われるため、取り外しのための摘み部を別途設ける必要が無い。このため、構成が簡素化することで、キャップの大型化を招くことなく、生産コストの抑制も図れる。
【0056】
従って、かかる構成によれば、比較的小さな力で破断させることができつつも、強度やシール性が損なわれたり、キャップ1の大型化を招くことなく、分別廃棄の手順が簡単で、生産コストの抑制を図ることができる。
【0057】
また、本形態では、図7に示すように、注出栓2には、外筒部分21の内側に、係止部分2aを介して内筒部分22が一体に設けられている。内筒部分22は、容器口部51内側をシールするシール部として機能する。
【0058】
これに対し、外筒部分21は、内筒部分22と共に容器口部51を挟持するが、本形態では、その内周面21fに、容器口部51に引っ掛かる環状の突起21pが一体に設けられている。このため、本形態では、図7に示すように、突起21pを縦方向に分断する縦溝n3を形成している。これにより、縦方向破断予定部10を起点とする切り離しを更に小さな力で行うことができる。
【0059】
また、本形態では、縦方向破断予定部10は、図7(a)に示すように、下方に向かうに従って肉厚となるように構成している。この場合、切断のし易さと強度との両立を図ることができる。
【0060】
更に、本形態では、外溝n1と注出栓2の下端面2eとの間に薄肉の連結部分を形成し、当該連結部分を径方向外向きに延在する径方向破断予定部12として構成したことで、縦方向破断予定部10が比較的小さな力で切断できるようにしつつも、打栓を行うときなど、注出栓2に大きな力が加わったときに、縦方向破断予定部10が破断しないように補強して、予期せぬ切断を防止する役目を果たす。従って、切断のし易さと強度との両立を図ることができる。
【0061】
また、本形態では、周方向破断予定部13は、図7(a)に示すように、縦方向破断予定部10及び11との連結部C0が最も薄い肉厚になるように構成されている。具体例としては、嵌合溝n0、外溝n1及び周溝n2を最も近接するように配置することで、連結部C0の肉厚を最も薄肉する。これにより、小さい力で切断を開始することができる。
【0062】
更に、本形態では、周方向破断予定部13は、図7(a)に示すように、縦方向破断予定部10との連結部C0から所定の範囲までの部分(以下、「切断開始部分」)13aが連結部C0と同様の薄肉に構成されている。そして、ヒンジ部7の中央を横切った辺りから、図7(b)に示すように徐々に肉厚になる移行部分13bとして構成される。この移行部分13bは、所定の範囲まで径方向外向きに厚肉になるが、その後、定常部分13cにて、図7(c)に示すように、その肉厚が一定となる。
【0063】
切断開始部分13a(連結部C0)を設けたことで、図8に示すように、容易に破断が進行して蓋体6は注出栓2から大きく離れる。このように、蓋体6が注出栓2から大きく離れると、蓋体6を引っ張る力が入れやすくなる。このため、移行部分13bで切断に要する力が増大することになっても、比較的容易に切断することができる。また、定常部分13cでは、キャップ1の強度が高まると共に、図7(c)に示すように、容器口部51の傾斜面52を圧接したままで残るため、シール性が低下することがない。
【0064】
即ち、周方向破断予定部13の切断開始部分13aが、本形態のように、移行部分13bや定常部分13cよりも薄肉になるように構成すれば、切断開始部分13aにおいては、スムースな切断が可能になる一方、定常部分13cでは、キャップ1の強度とシール性を確保することができる。このため、定常部分13cの範囲は、切断開始部分13aよりも広く確保することが好ましい。
【0065】
また、周方向破断予定部13は、その切断開始部分13aに、切れ目を形成することができる。この場合、周方向破断予定部13の切断開始が更に容易になる。また、縦方向破断予定部11についても、周方向破断予定部13との連結部分(C0)から所定の範囲に同様の切れ目を形成とすることができる。また、縦方向破断予定部11も、周方向破断予定部13との連結部分(C0)から所定の範囲の部分を他の部分よりも薄肉に構成することもできる。
【0066】
また、本発明によれば、分別廃棄の手段として、以下の構成を採用することもできる。なお、以下の説明において、プレート部材8は、上述の形態と同様である。
【0067】
本形態は、注出栓2が、注出栓本体2Aと外筒部分2B(21)からなる。注出栓本体2Aは、注出部3を一体に有し環状の嵌合溝n0が形成されている。注出栓本体2Aには、当該注出本体2Aを間隔を置いて取り囲む外筒部分21を配置し、当該外筒部分21を破断不能な連結部23を介して固定すると共に、当該外筒部分21のその他の部分が複数の連結片24を介して周方向に沿って分離可能に連結されている。
【0068】
更に詳細には、図10に示すように、外筒部分21は、ヒンジ7側と対向する、蓋体6の開き側位置に、破断不能な固定連結部23を介して注出部3に固定されていると共に、その他の部分が破断可能な複数の連結片24(図中は例示的に一箇所のみ表示)を介して分離可能に連結されている。また、外筒部分21は、図11に示すように、注出栓2の下端面2eに設けられた固定連結部23を介して注出部3に一体に連結されている。注出部3は、嵌合溝n0が一体に形成されている。
【0069】
かかる構成によれば、分別廃棄を行うときに、蓋体6を上向きに引っ張ることで、複数の連結片24を切断すれば、図12に示すように、外筒部分21は、固定連結部23を残して注出部3に対して連結されたままとなる。このため、蓋体6を更に引っ張れば、嵌合溝n0から容器口部51を引き抜いて、ヒンジキャップ1を分別廃棄することができる。なお、固定連結部23は、外筒部分21を軸線方向全体に連結する等、様々な位置で注出部3側に連結させることができる。更に連結片24も、薄肉の帯状部分として構成することもできる。
【0070】
ところで、上述した各形態の場合、蓋体6を開けたときに、突起6dが邪魔になることがある。このため、本発明に従えば、図13〜14に示すような形態を採用することができる。
【0071】
本形態は、図13に示すように、蓋体6の下端に、蓋体6を開けたときに、指が注出部3に接触してしまうこと、並びに、蓋体6を開いた後に突起6dに接触することを防止するための舌片6hが一体に設けられている。舌片6hは、図13(a)に示すように、2つの突起6dの間に配置され、同図(b)に示すように、その先端が周壁6bから垂下している。また、舌片6hは、図14(a)に示すように、蓋体6を閉じたとき、注出栓2の合せ面2fに形成したスロット孔2b(図14(b)参照)に収納されている。
【0072】
本形態では、図14(a)に示すように、プレート部材8を押し込んで取り除いたのち、蓋体6を開くと、図14(b)に示すように、舌片6hが蓋体6の合せ面6fよりも上側に位置する。このため、蓋体6を開けたときに、指が突起6dに接触することを防止することができる。
【0073】
なお、本形態では、プレート部材8は、一方の外縁部分8eのみ把手として形作るとともに、滑り止め8sを設けている。また、本形態では、外筒部分21は、従来と同様、ヒンジ7と対向する、蓋体6の開き側位置に、軸線方向全体に延在する破断不能な固定連結部23を介して注出部3に固定されると共に、その残部が破断予定部を介して分離可能に連結されている。
【0074】
かかる構成によっても、分別廃棄を行うときに、蓋体6を上向きに引っ張ることで、破断予定部を切断すれば、図12に示すように、外筒部分21は、固定連結部を残して注出部3に対して連結されたままとなる。このため、蓋体6を更に引っ張れば、嵌合溝n0から容器口部51を引き抜いて、ヒンジキャップ1を分別廃棄することができる。なお、かかる破断予定部も、薄肉の帯状部分として構成されているが、周方向に間隔を空けて配置された複数の連結片で構成することもできる。
【0075】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、外溝n1は、容器50に対してキャップ1の方向を位置決めする機能をし、目視による確認に限らず、キャップ1(注出栓2)を打栓するに際し、外溝n1に冶具をあてがう等して外溝n1を位置決め及び打栓時の案内とすることができる。本形態は、注出栓2としてプルトップ式の注出栓を採用したが、注出部3の形態はこれに限定されるものではない。更に、各形態の各構成中に採用される要素は、適宜、転用等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周部を剥離可能なヒンジキャップに適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 ヒンジキャップ
2 注出栓
2A 注出栓本体
2B 外筒部分
3 注出部
4 隔壁
4a 抜栓部
5 プルリング
6 蓋体
6c 凹部
6d 突起
6e 補助突起
6f 平面部
6g 係止用溝部
7 ヒンジ部
8 プレート部材
9 連結片
10 縦方向破断予定部
11 縦方向破断予定部
12 径方向破断予定部
13 周方向破断予定部
13a 切断開始部分
13b 移行部分
13c 定常部分
21 外筒部分
21p 環状の突起
22 内周部分
23 固定連結部
24 連結片
A 切り欠き部
n0 嵌合溝
n1 外周側縦溝
n2 周溝
n3 内周側縦溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周側を周方向に沿って局所的に分離可能なヒンジキャップであって、
蓋体の周壁に周方向に間隔を置いて2つの突起を設ける一方、
注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの切り欠き部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して一体に設けることで、プレート部材の押圧によって、当該プレート部材の押圧部分を中心に変形してその外縁がそれぞれ外向きに突出するように構成したことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
請求項1において、蓋体の周壁のうち、プレート部材の押圧部分が位置する領域部分に、当該プレート部材の押し代を確保する平面部又は窪み部を設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項3】
請求項1又は2において、蓋体の周壁に、プレート部材の押圧によって当該プレート部材に接触してその変形を生起させる補助突起を設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、蓋体の周壁には、プレート部材の外縁を取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部が設けられていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能としたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、注出栓の外周面に、蓋体との合せ面から下方に向かって縦溝を形成すると共に、
注出栓の合せ面に、縦溝に近接する位置からヒンジ連結部分を横切る周溝を形成し、縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部と、当該縦方向破断予定部を起点に周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部とを設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項において、注出栓は、環状の嵌合溝を有する注出部に、当該注出部を間隔を置いて取り囲む外筒部分を配置し、当該外筒部分を破断不能な連結部を介して固定すると共に、当該外筒部分のその他の部分が破断予定部を介して周方向に沿って分離可能に連結されたものであることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項1】
容器の口部に固定保持される環状の嵌合溝を有し当該嵌合溝で取り囲まれる内側領域に注出部が設けられた注出栓と、当該注出栓と合さって注出部の収納空間を形成すると共にヒンジを介して回転可能に連結された蓋体とを有し、当該蓋体を把持部として、注出栓の嵌合溝に沿って当該注出栓の外周側を周方向に沿って局所的に分離可能なヒンジキャップであって、
蓋体の周壁に周方向に間隔を置いて2つの突起を設ける一方、
注出栓に、当該注出栓に合さった蓋体の突起をそれぞれ引っ掛ける2つの切り欠き部を有して蓋体の開放を阻止するプレート部材を、周方向に間隔を置いて配置された破断可能な2つの連結片を介して一体に設けることで、プレート部材の押圧によって、当該プレート部材の押圧部分を中心に変形してその外縁がそれぞれ外向きに突出するように構成したことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
請求項1において、蓋体の周壁のうち、プレート部材の押圧部分が位置する領域部分に、当該プレート部材の押し代を確保する平面部又は窪み部を設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項3】
請求項1又は2において、蓋体の周壁に、プレート部材の押圧によって当該プレート部材に接触してその変形を生起させる補助突起を設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、蓋体の周壁には、プレート部材の外縁を取り外し可能に引っ掛ける係止用溝部が設けられていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、蓋体の周壁に凹部を形成し、当該凹部に、前記突起を設け、注出栓の合せ面に、前記プレート部材を設け、当該プレート部材を蓋体の周壁に設けた前記凹部に収納可能としたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、注出栓の外周面に、蓋体との合せ面から下方に向かって縦溝を形成すると共に、
注出栓の合せ面に、縦溝に近接する位置からヒンジ連結部分を横切る周溝を形成し、縦方向に延在する薄肉の縦方向破断予定部と、当該縦方向破断予定部を起点に周方向に延在する薄肉の周方向破断予定部とを設けたことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項において、注出栓は、環状の嵌合溝を有する注出部に、当該注出部を間隔を置いて取り囲む外筒部分を配置し、当該外筒部分を破断不能な連結部を介して固定すると共に、当該外筒部分のその他の部分が破断予定部を介して周方向に沿って分離可能に連結されたものであることを特徴とするヒンジキャップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−112417(P2013−112417A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263135(P2011−263135)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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