説明

ヒンジユニット、及びヒンジユニットを備えた電子機器

【課題】本願が開示する技術は、表示パネルを収納する筐体の剛性の低下を抑制しつつ、当該筐体の薄型化を図ることを目的とする。
【解決手段】ヒンジユニット60は、ブラケット62と、補強フレーム64とを備えている。このブラケット62には、補強フレーム64の延出方向に案内部62Bが形成されている。案内部62Bは、ブラケット62を折り曲げ加工することにより、ブラケット62の固定部62Aに対してバックカバー48側へ凸となる凸形形状に形成されている。この案内部62Bによって、アンテナ用ケーブル59等が通る溝状の通路63が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が開示する技術は、ヒンジユニット、及びヒンジユニットを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キーボード等の入力装置を有する本体ユニットと、液晶ディスプレイ等の表示パネルを有する表示ユニットとを備えたノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」という)が知られている。表示ユニットは、一対のヒンジユニットを介して本体ユニットの後端部に開閉可能に支持されている。ヒンジユニットは、本体ユニットの後端部に固定されるヒンジベースと、表示ユニットの下端部に固定されるブラケットとを有している。このブラケットは、ヒンジ軸を介してヒンジベースに回転可能に支持されている。
【0003】
また、この種のノートパソコンにおいて、表示パネルから本体ユニットへ延びるケーブルをヒンジ軸に沿って配線したものが知られている。このケーブルは、本体ユニットに形成されたヒンジ軸用の開口部から本体ユニット内に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3105039号公報
【特許文献2】特開2005−182464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示ユニットにおける表示パネルの上方または側方には、例えば、カメラや無線通信用のアンテナ等が搭載される場合がある。これらのカメラやアンテナ等に接続されたケーブル(以下、「カメラ用ケーブル等」という)を表示パネルの背面側に通して本体ユニットへ配線すると、表示ユニットの厚みが増加してしまう。そこで、表示パネルの側面側にカメラ用ケーブル等を配線することが考えられる。
【0006】
一方、表示ユニットにおける表示パネルの側面側には、開閉動作に伴う表示ユニットの湾曲変形等を抑制する補強フレームが配置される。この補強フレームは、例えば、表示パネルの側面に沿って配置されると共に、その下端部が表示パネルの下面側に配置されたヒンジユニットのブラケットに達する場合がある。この場合、カメラ用ケーブル等は補強フレーム及びブラケットの外側に配線されることになる。即ち、カメラ用ケーブル等は、補強フレーム及びブラケットを挟んでヒンジ軸と反対側に配線されることになる。
【0007】
ヒンジ軸側にカメラ用ケーブル等を配線するためには、例えば、補強フレーム又はブラケットに対してカメラ用ケーブル等を交差させることが考えられる。しかしながら、補強フレーム又はブラケットに対してカメラ用ケーブル等を交差させると、表示ユニットの厚みが増加する可能性がある。また、表示ユニットの厚みを薄くするために、補強フレームにカメラ用ケーブルを通すための孔や溝を形成すると、補強フレームの剛性が低下する結果、開閉動作に対する表示ユニットの剛性が低下する虞がある。
【0008】
本願が開示する技術は、表示パネルを収納する筐体の剛性の低下を抑制しつつ、当該筐体の薄型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願が開示するヒンジユニットは、第1筐体に固定される支持部と、表示パネルを収納する第2筐体に固定される固定部を有し、表示パネルの下側に支持部と第2筐体の幅方向にずれて配置される取付部と、を備えている。この取付部は、第2筐体の幅方向を軸方向として配置された軸部によって、支持部に対して回転可能に支持される。また、取付部における支持部と反対側の端部には、当該端部から表示パネルの側面に沿って補強部が延出している。更に、取付部には、補強部の延出方向に沿って案内部が形成されている。この案内部は、固定部よりも第2筐体の背面側に位置し、補強部に沿うと共に取付部の下側へ回り込んだケーブルを支持部の上側へ案内する。
【発明の効果】
【0010】
本願が開示するヒンジユニットによれば、案内部によってケーブルを案内することにより、表示パネルを収納する第2筐体の剛性の低下を抑制しつつ、当該第2筐体の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電子機器の一実施例であるノートパソコンを示す斜視図である。
【図2】図1に示される表示ユニットを右側から見た側面図である。
【図3】図1に示される表示ユニットからフロントカバーを外した状態を示す正面図である。
【図4】図1に示される表示ユニットの分解斜視図である。
【図5】図1に示される本体ユニットと表示ユニットとの連結部を示す斜視図である。
【図6】図1に示すノートパソコンに設けられたヒンジユニットを示す斜視図である。
【図7】図1の7−7線断面図である。
【図8】(A)は、図6に示されるヒンジユニットを矢印K方向から見た模式図であり、(B)は、比較例を示す図8(A)に相当する模式図である。
【図9】ヒンジユニットの一変形例を示す図7に相当する断面図である。
【図10】ヒンジユニットの一変形例を示す図5に相当する斜視図である。
【図11】ヒンジユニットの一変形例を示す図7に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本願が開示するヒンジユニット、及びヒンジユニットを備えた電子機器の実施例について説明する。
【0013】
図1に示されるように、本実施例に係る電子機器の一例としてのノートパソコン10は、本体ユニット20と表示ユニット40とを備えている。表示ユニット40は、本体ユニット20の後端部に、後述するヒンジユニット60を介して矢印R方向に回転(開閉)可能に支持されている。これにより、表示ユニット40は、本体ユニット20の上に重ねられる閉じ位置と、本体ユニット20に対して立てられた開き位置との間を変位可能になっている。
【0014】
なお、図1には、表示ユニット40が開き位置に位置した状態が示されている。また、以下では、表示ユニット40が開き位置に位置した状態において、図1に示される矢印X方向を表示ユニット40の幅方向の外側(以下、単に「外側」と略す場合がある)として説明する。これと同様に、表示ユニット40が開き位置に位置した状態において、矢印Y方向を表示ユニット40の上下方向の上側(以下、単に「上側」と略す場合がある)として説明する。更に、表示ユニット40が開き位置に位置した状態において、矢印Z方向を表示ユニット40の前後方向の後側(以下、単に「後側」又は「背面側」と略す場合がある)として説明する。また、矢印Z方向は、本体ユニット20の前後方向の後側も示している。
【0015】
本体ユニット20は、第1筐体22を有している。第1筐体22は箱型形状に形成されており、その内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)等の電子部品が搭載された情報処理部の一例としての電子回路基板(メインボード)が収納されている。また、第1筐体22の側面側(右側面側)には、図示しない電源プラグ等が接続される電源コネクタ24や、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体を読み取るDVDドライブユニット26が設けられている。更に、第1筐体22の上面側には、キーボード28等の入力装置や、タッチパッド30、スクロールパッド32等のポインティングデバイスが設けられている。また、第1筐体22の後端部には、後述するヒンジユニット60のヒンジ軸68(図3参照)を収納するヒンジ収納部34が設けられている。
【0016】
表示ユニット40は、表示パネル42と、表示パネル42を収納する第2筐体44を有している。第2筐体44は、表示パネル42の外周部を前側(前面側)から覆う枠状のフロントカバー46と、表示パネル42を後側(背面側)から覆うバックカバー48とを有している。表示パネル42の前面は、画像や映像等を表示する表示面42Aとされており、フロントカバー46の内側から露出している。
【0017】
バックカバー48の側部における下端部には、後述するヒンジユニット60のブラケット62及びヒンジアーム66(図3参照)を後側から覆うヒンジ収納部50がそれぞれ設けられている。また、フロントカバー46の側部における下端部には、後述するヒンジユニット60のブラケット62及びヒンジアーム66を前側から覆うヒンジカバー部46Aがそれぞれ設けられている。このヒンジカバー部46Aは、図2に示されるように、ヒンジアーム66の形状に応じ、表示パネル42の表示面42Aに対して前側へ突出している。
【0018】
図3に示されるように、バックカバー48は、表示パネル42の背面を覆う後壁部48Aと、後壁部48Aの外周部からフロントカバー46側へ立ち上げられた側壁部48Bと、を有している。このバックカバー48の側部における側壁部48Bと表示パネル42の側面42Bとの間には、後述するヒンジユニット60の補強フレーム64がそれぞれ配置されている。また、バックカバー48の上部における中央部には、カメラ装置52が設けられている。カメラ装置52は、表示パネル42の上面42Cに沿って配置され、バックカバー48に固定されている。
【0019】
カメラ装置52のレンズ52Aは、フロントカバー46に形成された孔54(図1参照)から露出しており、表示ユニット40の前にいる操作者等を撮影可能になっている。このカメラ装置52は、ケーブルの一例としてのカメラ用ケーブル56によって本体ユニット20に収納された図示しない電子回路基板に電気的に接続されている。
【0020】
カメラ用ケーブル56は、カメラ装置52から表示パネル42の外周に沿って左回りに配線され、バックカバー48の側壁部48Bと補強フレーム64との間、及びヒンジ収納部50を経由して、本体ユニット20(図1参照)へ配線されている。本体ユニット20へ配線されたカメラ用ケーブル56は、本体ユニット20に収納された電子回路基板に電気的に接続されている。
【0021】
また、バックカバー48の上部におけるカメラ装置52の外側(矢印X側)には、無線通信用のアンテナ装置58が設けられている。アンテナ装置58は、表示パネル42の上面42Cに沿って配置され、バックカバー48に固定されている。このアンテナ装置58は、ケーブルの一例としての2本のアンテナ用ケーブル59によって本体ユニット20に収納された図示しない電子回路基板に電気的に接続されている。なお、2本のアンテナ用ケーブル59は表示ユニット40の前後方向に重なるため、図3では1本のアンテナ用ケーブル59のみが図示されている。
【0022】
アンテナ用ケーブル59には、アンテナ装置58から表示パネル42の外周に沿って右回りに配線され、バックカバー48の側壁部48Bと補強フレーム64との間、及びヒンジ収納部50を経由して、本体ユニット20(図1参照)へ配線されている。本体ユニット20へ配線されたアンテナ用ケーブル59は、本体ユニット20に収納された電子回路基板に電気的に接続されている。
【0023】
なお、バックカバー48には、カメラ用ケーブル56又はアンテナ用ケーブル59をガイドするケーブルガイド36が適宜設けられている。また、カメラ装置52及びアンテナ装置58は、ケーブルの一例としてのカメラ用ケーブル56又はアンテナ用ケーブル59を介して本体ユニット20の電子回路基板に電気的に接続される内蔵部品の一例である。
【0024】
ここで、本実施例に係るヒンジユニットについて説明する。
【0025】
図3に示されるように、第2筐体44の幅方向の両側には、一対のヒンジユニット60が収納される。各ヒンジユニット60は、ブラケット62と、補強フレーム64と、ヒンジアーム66と、ヒンジ軸68と、ヒンジベース70と、を有している。これらのヒンジユニット60は、表示ユニット40の幅方向をヒンジ軸68の軸方向にして配置されると共に、表示ユニット40の幅方向の中央部に対してほぼ線対称に配置されている。
【0026】
図4に示されるように、取付部の一例としてのブラケット62は、金属板(板金)で形成されており、板厚方向を表示ユニット40の前後方向にすると共に、長手方向を表示ユニット40の上下方向にして配置されている。ブラケット62は、バックカバー48の後壁部48Aに固定される固定部62Aを有し、表示パネル42の下側に配置される。
【0027】
固定部62Aには、表示ユニット40の上下方向に並ぶと共に、固定部62Aを板厚方向に貫通する2つの取付孔72A,72Bが形成されている。これらの取付孔72A,72Bに挿入されたビス74A,74Bをバックカバー48の後壁部48Aから突出する2つのボス部76A,76Bにそれぞれ捻じ込むことにより、固定部62Aがバックカバー48に固定されるようになっている。これらのボス部76A,76Bは、突出部の一例である。
【0028】
なお、フロントカバー46のヒンジカバー部46Aには、取付孔78が形成されている。この取付孔78にビス74Bを挿入することにより、ヒンジカバー部46Aとブラケット62の固定部62Aがボス部76Bに共締めされるようになっている。また、ヒンジカバー部46Aには、ビス74Bを覆うキャップ94が取り付けられる。表示パネル42は、このようにビス74Bにより固定されるフロントカバー46およびバックカバー48に挟持され、フロントカバー46およびバックカバー48の協働により生じる空間内に収納される。なお、表示パネル42とバックカバー48の間に、表示パネル42に対する衝撃を吸収する部材が設けられてもよい。
【0029】
ブラケット62におけるヒンジベース70と反対側の端部には、補強部の一例としての補強フレーム64が一体的に設けられている。補強フレーム64は長細い金属板で形成されており、ブラケット62の外側の端部から表示パネル42の側面42Bに沿って表示パネル42の上端部へ延出している。
【0030】
更に、補強フレーム64の上端部には、表示パネル42の上面42Cに沿って屈曲された固定部64Aが設けられている。固定部64Aには、当該固定部64Aを板厚方向に貫通する取付孔86が形成されている。この取付孔86に挿入されたビス88をバックカバー48の後壁部48Aから突出するボス部90に捻じ込むことにより、補強フレーム64がバックカバー48に固定されるようになっている。この補強フレーム64を介して表示パネル42がバックカバー48に固定されると共に、表示ユニット40(図1参照)の開閉動作に伴う第2筐体44の湾曲変形等が抑制されるようになっている。即ち、補強フレーム64は、第2筐体44を補強する補強部材として機能する。
【0031】
一方、ブラケット62におけるヒンジベース70側の端部には、腕部の一例としてのヒンジアーム66が設けられている。ヒンジアーム66は、ブラケット62の端部からフロントカバー46側に立ち上がると共に、その下端部66Aがブラケット62から下側(補強フレーム64と反対側)へ突出している。
【0032】
ヒンジアーム66の下端部66Aには、軸部の一例としてのヒンジ軸68の一端部が一体的に設けられている。このヒンジ軸68は、表示ユニット40の幅方向を軸方向として配置されている。つまり、ヒンジアーム66は、ヒンジ軸68の一端部から径方向に延出し、ブラケット62におけるヒンジベース70側の端部を支持している。また、ブラケット62は、ヒンジアーム66におけるバックカバー48の後壁部48A側の端部からヒンジベース70と反対側へ張り出している。
【0033】
図5に示されるように、ヒンジ軸68は、ヒンジアーム66から表示ユニット40の幅方向の中央部に向けて延出し、ヒンジ収納部50に形成された開口50Aから第1筐体22のヒンジ収納部34に形成された開口34Aに挿入されている。つまり、ヒンジ軸68は本体ユニット20及び表示ユニット40の幅方向に沿って配置され、このヒンジ軸68を回転軸として表示ユニット40が本体ユニット20に対して回転(開閉)可能になっている。
【0034】
なお、バックカバー48の後壁部48Aにおけるブラケット62の下側には、アンテナ用ケーブル59を案内するケーブルガイド37が形成されている。ケーブルガイド37は、表示ユニット40の幅方向に延びている。このケーブルガイド37によって、アンテナ用ケーブル59がブラケット62の下端62T2(図6参照)に沿って配線されるようになっている。
【0035】
図6に示されるように、ヒンジ軸68は、ヒンジアーム66よりも表示ユニット40(図1参照)の幅方向の中央部側に配置されたヒンジベース70に回転可能に支持されている。支持部の一例としてのヒンジベース70は、ベースプレート70Aと軸受け部70Bとを有している。ベースプレート70Aには、当該ベースプレート70Aを第1筐体22(図1参照)の後端部に固定するための図示しないビスが挿入される複数の取付孔92が形成されている。
【0036】
ベースプレート70Aの上端部には、軸受け部70Bが設けられており、この軸受け部70Bにヒンジ軸68の他端部が回転可能に支持されている。これにより、ヒンジベース70に対してブラケット62が相対回転可能になっている。
【0037】
ここで、ブラケット62におけるヒンジアーム66と固定部62Aとの間の部位には、案内部62Bが形成されている。この案内部62Bは、補強フレーム64の延出方向(矢印Y方向)に沿ってブラケット62を折り曲げ加工することにより、固定部62Aに対して背面側(矢印Z側)へ凸となる凸形形状に形成されている。この案内部62Bによって、ブラケット62に当該ブラケット62の下端62T2から上端62T1へ渡る溝状の通路63が形成されている。
【0038】
より具体的には、図7に示されるように、案内部62Bは、本体ユニット20の幅方向に沿った断面形状が、前側(フロントカバー46側)を開口した断面C字形状に形成されており、底壁62B1と2つの側壁62B2,62B3とを有している。この案内部62B内にアンテナ用ケーブル59等が通る溝状の通路63が形成されている。
【0039】
また、案内部62Bは、固定部62Aよりも背面側(バックカバー48の後壁部48A側)に位置している。これにより、ブラケット62の固定部62Aをバックカバー48の後壁部48Aから突出するボス部76A等に固定したときに、ボス部76A等よりもヒンジアーム66(図6参照)側に案内部62Bが配置されるようになっている。つまり、案内部62Bは、表示ユニット40の幅方向にボス部76A等と隣接するようにバックカバー48のヒンジ収納部50に収納される。
【0040】
なお、案内部62Bの内側の側壁62B3は、ブラケット62の内側の端部を構成しており、この側壁63Bから前述したヒンジアーム66(図6参照)がフロントカバー46側に立ち上げられている。つまり、ブラケット62は、ヒンジアーム66におけるバックカバー48の後壁部48A側の端部から外側へ張り出している。また、図7は図1の7−7線断面図であるが、この図7に示される断面位置は、図2のG−G線に相当する。
【0041】
次に、アンテナ用ケーブル59の配線方法を説明すると共に、本実施例の作用について説明する。なお、カメラ用ケーブル56の配線方法は、アンテナ用ケーブル59と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
図5に示されるように、アンテナ用ケーブル59は、ヒンジユニット60の補強フレーム64の外側を通ってヒンジ収納部50へ配線される。ヒンジ収納部50へ配線されたアンテナ用ケーブル59は、ケーブルガイド36に案内されながらヒンジユニット60のブラケット62の外側(矢印X側)を通って当該ブラケット62の下側へ回り込む。ブラケット62の下側へ回り込んだアンテナ用ケーブル59は、ケーブルガイド37に案内されながら、ブラケット62に形成された通路63を通って表示パネル42の下面42D側へ配線される。即ち、ブラケット62の下側へ回り込んだアンテナ用ケーブル59が、案内部62Bによってヒンジベース70(図6参照)の上側へ案内される。表示パネル42側へ配線されたアンテナ用ケーブル59は、表示パネル42とヒンジアーム66との間を通過してヒンジアーム66のヒンジベース70側へ回り込み、ヒンジアーム66に沿ってヒンジ軸68側へ配線される。ヒンジ軸68側へ配線されたアンテナ用ケーブル59は、ヒンジ軸68に沿って配線され、ヒンジ収納部50の開口50Aから第1筐体22のヒンジ収納部34の開口34Aへ挿入される。
【0043】
ここで、補強フレーム64の外側からヒンジ軸68側へアンテナ用ケーブル59を配線する配線方法としては、例えば、補強フレーム64又はブラケット62に対してアンテナ用ケーブル59を表示ユニット40の幅方向に交差させることが考えられる。この場合、補強フレーム64とフロントカバー46との間、又はブラケット62の固定部62Aとフロントカバー46との間にアンテナ用ケーブル59を配線するためのスペースが必要なるため、表示ユニット40の厚みが増加する可能性がある。
【0044】
また、例えば、補強フレーム64に対して表示ユニット40の幅方向にアンテナ用ケーブル59を通す溝や孔等を形成することが考えられる。この場合、本体ユニット20(図1参照)に対して表示ユニット40を開閉したときに、溝や孔が形成された部位で補強フレーム64が折れる可能性がある。即ち、補強フレーム64に対して表示ユニット40の幅方向にアンテナ用ケーブル59を通すための溝や孔等を形成すると、表示ユニット40の前後方向の曲げに対する補強フレーム64の剛性が低下する可能性がる。従って、表示ユニット40の開閉動作に伴う第2筐体44の湾曲変形等が大きくなる虞がある。
【0045】
これと同様に、ブラケット62に対して表示ユニット40の幅方向にアンテナ用ケーブル59を通すための溝や孔等を形成すると、表示ユニット40の前後方向の曲げに対する補強フレーム64の剛性が低下する可能性がある。更に、ブラケット62に対して表示ユニット40の幅方向にアンテナ用ケーブル59を通すための溝や孔等を形成した場合は、バックカバー48に設けられたボス部76A等に対するブラケット62の固定強度が低下する可能性がある。
【0046】
これに対して本実施例では、図7に示されるように、案内部62Bが、ブラケット62の固定部62Aに対して背面側に凸となる凸形形状を成している。また、案内部62Bは、補強フレーム64の延出方向に延びている。即ち、案内部62Bは、ヒンジ軸68の軸線Jと交差(本実施形態では、直交)する方向に延びている。これにより、案内部62Bを備えない平板状のブラケットと比較して、表示ユニット40の前後方向(回転方向)の曲げに対するブラケット62の剛性が高くなる。更に、バックカバー48に設けられたボス部76A等に対するブラケット62の固定強度が高くなる。従って、表示ユニット40の開閉動作に伴う第2筐体44の湾曲変形等が抑制される。
【0047】
また、案内部62Bは、ブラケット62の固定部62Aよりも背面側(バックカバー48の後壁部48A側)に位置している。そのため、ブラケット62の固定部62Aをバックカバー48の後壁部48Aから突出するボス部76A等に固定したときに、案内部62Bが、ボス部76A等と表示ユニット40の幅方向に隣接して配置される。これにより、表示ユニット40の幅方向にボス部76A等と隣接するようにアンテナ用ケーブル59を配線することができる。従って、ブラケット62の固定部62Aとフロントカバー46との間に、アンテナ用ケーブル59を配線するためのスペースが不要になるため、第2筐体44の薄型化を図ることができる。
【0048】
更に、図8(A)に示されるように、本実施例に係るヒンジユニット60では、ブラケット62における固定部62Aとヒンジアーム66との間に部位に案内部62Bが形成されている。そのため、ブラケット62の固定部62Aからヒンジ軸68の軸線Jまでの高さがHとなる。一方、図8(B)には、比較例として、案内部62Bを備えないヒンジユニット100が示されている。このヒンジユニット100は、ブラケット62の固定部62Aからヒンジ軸68の軸線Jまでの高さがHとなる。つまり、本実施例に係るヒンジユニット60の高さHは、比較例に係るヒンジユニット100の高さHよりも低くなる(H>H)。従って、第2筐体44の薄型化を更に図ることができる。
【0049】
次に、上記実施例に係るヒンジユニットの変形例について説明する。
【0050】
上記実施例では、案内部62Bが固定部62Aに対して背面側へ凸となる凸形形状を成しているが、案内部62Bの形状はこれに限らない。例えば、案内部62Bを段状に形成しても良い。
【0051】
具体的には、図9に示されるように、案内部62Bは、本体ユニット20の幅方向に沿った断面形状がL字形状に形成されており、底壁62B1と側壁62B2とを有している。底壁62B1は、ブラケット62の固定部62Aよりも背面側(バックカバー48の後壁部48A側)へ位置している。この案内部62Bによって、ブラケット62の固定部62Aよりもバックカバー48の後壁部48A側に、アンテナ用ケーブル59等が通る通路96が形成されている。従って、ブラケット62の固定部62Aとフロントカバー46との間に、アンテナ用ケーブル59を配線するためのスペースが不要になるため、第2筐体44の薄型化を図ることができる。
【0052】
また、案内部62Bを段形形状にしても、案内部62Bを備えない平板状のブラケットと比較して、表示ユニット40の前後方向の曲げに対するブラケット62の剛性が高くなる。更に、バックカバー48に設けられたボス部76A,76Bに対するブラケット62の固定強度が高くなる。従って、表示ユニット40の開閉動作に伴う第2筐体44の湾曲変形等が抑制される。
【0053】
また、上記実施例では、ブラケット62におけるヒンジアーム66と固定部62Aとの間の部位に案内部62Bが形成されているが、ブラケット62に対する案内部62Bの位置はこれに限らない。例えば、図10及び図11に示されるように、ブラケット62における固定部62Aと補強フレーム64との間の部位に、案内部62B(通路98)を形成しても良い。
【0054】
また、上記実施例では、ブラケット62と補強フレーム64とを一体に形成したが、ブラケット62と補強フレーム64とは別体にしても良い。ブラケット62と補強フレーム64とを別体にした場合は、例えば、バックカバー48に設けられたボス部76A,76Bにビス74A,74Bで補強フレーム64の下端部を固定することが考えられる。また、ブラケット62にビス等で補強フレーム64の下端部を固定することも可能である。
【0055】
更に、上記実施例では、電子機器の一例として、ノートパソコン10を例に説明したが、上記実施例は、例えば、携帯電話、携帯用のDVDプレーヤー、電子辞書等の電子機器にも適用可能である。
【0056】
以上、本願が開示する技術の一実施例について説明したが、本願が開示する技術は上記の実施例に限定されるものでない。また、上記実施例及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本願が開示する技術の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10 ノートパソコン(電子機器の一例)
22 第1筐体
42 表示パネル
44 第2筐体
48A 後壁部
56 カメラ用ケーブル(ケーブルの一例)
59 アンテナ用ケーブル(ケーブルの一例)
60 ヒンジユニット
62 ブラケット(取付部の一例)
62A 固定部
62B 案内部
63 通路
64 補強フレーム(補強部の一例)
66 ヒンジアーム(腕部の一例)
66A 壁部
68 ヒンジ軸(軸部の一例)
70 ヒンジベース(支持部の一例)
76A ボス部(突出部の一例)
76B ボス部(突出部の一例)
96 通路
98 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体に固定される支持部と、
表示パネルを収納する第2筐体に固定される固定部を有し、前記表示パネルの下側に、前記支持部と前記第2筐体の幅方向にずれて配置される取付部と、
前記幅方向を軸方向として配置され、前記支持部に対して前記取付部を回転可能に支持する軸部と、
前記取付部における前記支持部と反対側の端部から前記表示パネルの側面に沿って延出する補強部と、
前記取付部に前記補強部の延出方向に沿って形成され、前記固定部よりも前記第2筐体の背面側に位置し、前記補強部に沿うと共に該取付部の下側へ回り込んだケーブルを前記支持部の上側へ案内する案内部と、
を備えるヒンジユニット。
【請求項2】
前記軸部から該軸部の径方向に延出すると共に、前記取付部を支持する腕部を備え、
前記取付部が、前記腕部から前記支持部と反対側へ張り出し、
前記案内部が、前記腕部と前記補強部との間に位置している、
請求項1に記載のヒンジユニット。
【請求項3】
前記案内部が、前記固定部に対して前記第2筐体の背面側へ凸となる凸形形状を成している、
請求項1又は請求項2に記載のヒンジユニット。
【請求項4】
第1筐体と、
表示パネルを収納する第2筐体と、
第2筐体の幅方向の両側に設けられ、前記第1筐体に前記第2筐体を開閉可能に連結する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のヒンジユニットと、
を備える電子機器。
【請求項5】
前記第2筐体が、前記表示パネルを背面側から覆う後壁部と、該後壁部から突出する突出部とを有し、
前記固定部が、前記突出部に固定されている請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−77257(P2013−77257A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218063(P2011−218063)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】