説明

ヒンジ装置、及び該ヒンジ装置を備えた折り畳み式の自動昇降ゲート

【課題】 フリクションロスや騒音を極力少なくできるとともに、スムーズな動作を長期間維持できる耐久性に優れたヒンジ装置、及びこれを備えた折り畳み式の自動昇降ゲートを提供せんとする。
【解決手段】 線材11の一端側を円環状に曲げ加工して軸受け部12を形成するとともに、前記線材11の他端側に、前記第一の部材8又は第二の部材9に取り付けられる取付部13を設けた。このヒンジ本体10を軸体14で枢着し、これらヒンジ本体を介して第一の部材8と第二の部材9とを互いに回動可能に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリクションロスを極力抑えられるヒンジ装置、及びそれを備え、建物や施設等の出入口通路などに設けられる折り畳み式の自動昇降ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
月極め駐車場の出入り口には、チェーンを昇降して通路を閉鎖/開放するチェーンゲートが多く用いられているが、近年、駐車場内における車上荒らしが頻発するようになってきた。
特に、人の目が届きにくいマンションの地下駐車場において、その傾向が強く、人の出入りも規制できる自動門扉に取替えを希望されているところも多い。
しかしながら、横引き開閉方式にしても観音扉方式にしても、当該ゲートの設置スペースに問題があり、大掛かりな工事によるコスト上昇の問題や、作動時の騒音、振動などの問題がある。
【0003】
一方、折り畳み式の上下に昇降するシャッターとして、アルミ材よりなり又は四周框内に硝子板を嵌着した多数のパネルを,蝶番枠を介して回動自在に連結するとともに下端に走行框としてのエンドスラットを同様に連結したものとしてあり,各パネルの幅方向中央位置両側端とエンドスラットの両側端に戸車を突設する一方,エンドスラットの両側端に突設した吊持用アームをワイヤーで吊持したものとしてあり,コイルスプリングによって該ワイヤーを巻上げ又は巻戻しすることにより,上記側枠に戸車を昇降案内して,側枠間で同時蛇腹状の伸張折畳みによる開閉を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような折り畳み式のシャッターにおいて、各パネルを回動自在に連結するヒンジは二重筒構造、或いは筒状のブラケットを芯棒で回転自在に連結してなる従来からの蝶番構造が採用されるが、複数のパネルを折り畳み動作させるこの種のゲートには、ヒンジを多く使用するために、当該ヒンジ部分により生じるフリクションロスや騒音が無視できない。
とくに、上下に昇降する折り畳み式のゲートでは、連結ヒンジは単に回動自在に連結するといった機能のみならず、各パネルの重量を支持しながら昇降時に押し引きするといった機能も有しており、円滑な作動を維持するためには長期の運転にも耐えられる強度と、耐久力を持たせなければならなず、ヒンジの大型化、或いは用いるヒンジの数を増やすことは避けられないが、上記のフリクションロスや騒音の問題もその分大きくなってしまう。
【0005】
【特許文献1】特公平8−6538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、フリクションロスや騒音を極力少なくできるとともに、スムーズな動作を長期間維持できる耐久性に優れたヒンジ装置、及びこれを備えた折り畳み式の自動昇降ゲートを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の連結ヒンジは上述の二重筒構造、或いは筒状ブラケットを芯棒で連結する構造であるために摺動部分が面接触状態となることから、摩擦によるフリクションロスが大きいこと、そして、特にこれを多く使用した折り畳みゲートにおいては、当該ロスが累積して騒音や耐久性の低下等の問題も生じていることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、第一の部材と第二の部材とを互いに回動可能に連結するヒンジ装置であって、丸棒の一端側を円環状に曲げ加工して軸受け部を形成するとともに、前記丸棒の他端側に、前記第一の部材又は第二の部材に取り付けられる取付部を設けてなるヒンジ本体を、前記第一の部材及び第二の部材の対応する位置にそれぞれ一つ又は二つ以上取り付け、第一の部材に取り付けたヒンジ本体、および第二の部材に取り付けたヒンジ本体の互いに隣接する軸受け部を連通する軸体を挿着することにより、前記第一の部材と第二の部材とが、前記軸受け部を介して前記軸体を中心に回動可能に連結されることを特徴とするヒンジ装置を構成した。
【0009】
ここで、前記第一の部材に所定間隔を空けて配設した二つ以上のヒンジ本体の軸受け部の間に、前記第二の部材に取り付けられるヒンジ本体の軸受け部を位置させ、これら軸受け部に連通する軸体を挿着したものが好ましい。
【0010】
また、前記ヒンジ本体を構成する丸棒は、直径10〜20mmのムクのステンレス丸棒であることが好ましい。
【0011】
また、前記丸棒の一端側を円環状に曲げ加工し、その先端部を途中部に溶接して軸受け部を構成することが好ましい。
【0012】
また本発明は、通路の幅方向に延びる複数の分割部材を上下に配し、隣り合う各分割部材の上端と下端を、上述のヒンジ装置で回動自在に連結することにより、上下に折り畳み自在な規制体を構成し、該規制体を、通路側方に立設した左右の支柱間に配設し、最上部に位置する分割部材を支柱間の上部に水平回転自在に枢支し、前記最上部の分割部材を除く各分割部材の左右側端に、左右の支柱の内面側に設けたガイドレールに案内されるガイドローラを夫々設け、最下部の分割部材を上下に昇降する昇降手段に連結し、前記昇降手段の動作を制御するための制御手段を設けてなることを特徴とする折り畳み式の自動昇降ゲートをも構成した。
【0013】
ここで、最上部と最下部の分割部材を除く各分割部材の左右側端の中央部に、前記ガイドローラを設けるとともに、前記昇降手段を、最下部の分割部材のガイドローラ軸部に連結したものが好ましい。
【0014】
また、前記ヒンジ装置は、前記分割部材の上端又は下端を受け入れる断面コ字状の板材ブラケットを設け、該ブラケットに当該分割部材に取り付けられる一つ又は二つ以上のヒンジ本体の丸棒他端側を固定したものが好ましい。
【0015】
さらに、前記分割部材が柵体であり、ヒンジ装置を該柵体の上端枠及び下端枠にそれぞれ複数設けたものが好ましい。
【0016】
また、前記昇降手段は、各支柱の上部及び下部に、それぞれチェーン又は歯付ベルトよりなる無端状の連結支持体が係回される伝動歯車を配設し、左右の伝動歯車を互いに連係して駆動させるための駆動手段を設けてなり、各連結支持体に前記最下部の分割部材のガイドローラ軸部を連結することにより、前記連結支持体と一体となして最下部の分割部材を上下に昇降させるものが好ましい。
【0017】
また、前記駆動手段は、各支柱の上方間にわたって水平な回転軸を設けるとともに、該回転軸の左右両端側にそれぞれ前記伝動歯車を付設し、該回転軸をチェーンを介して回転駆動させるモータ及び減速機を、当該回転軸よりも下側の位置に設けたものが好ましい。
【0018】
また、遮断機を併設し、前記制御手段は、前記遮断機の駆動を制御して、前記規制体の上昇・折り畳み動作が完了した後に前記遮断機を開放させ、前記規制体の下降動作が開始する前に前記遮断機を閉鎖させるものが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のヒンジ装置によれば、軸受け部同士の摺動部や、軸受け部と軸体との摺動部がいずれも点接触、或いは線接触となり、フリクションロスや騒音等を最小限に抑えられる。また、丸棒や軸体の強度を維持すれば、摩擦を抑えつつ耐久性を容易に向上させることができ、大きな荷重が作用する場合であっても円滑な作動が維持できる。
【0020】
また、第一の部材に所定間隔を空けて配設した二つ以上のヒンジ本体の軸受け部の間に、前記第二の部材に取り付けられるヒンジ本体の軸受け部を位置させ、これら軸受け部に連通する軸体を挿着したので、安定した動作が維持できる。
【0021】
また、ヒンジ本体を構成する丸棒が、直径10〜20mmのムクのステンレス丸棒であるので、十分な強度を維持できる。
【0022】
また、丸棒の一端側を円環状に曲げ加工し、その先端部を途中部に溶接して軸受け部を構成したので、製作が容易であるとともに優れた強度を維持でき、スムーズな動作を維持できる。
【0023】
また、以上のヒンジ装置を用いた本発明に係る折り畳み式の自動昇降ゲートによれば、各分割部材を連結するヒンジ装置のフリクションロスが少なく、少ない動力でゲートの開閉をスムーズに行うことができ、騒音も小さくできる。
また、上方に効率よく規制体を退避させることができ、上方に空間が取れない通路においても設置できる。とくに、横引き門扉のように、扉の引きしろ的なスペースが要らないし、横引き門扉のように、レール埋設など設置のための基礎工事や埋設工事などのような大掛かりな工事も不要であり、コストを低減できる。また、観音扉方式のように、開閉のために大きな旋回スペースを必要としない。
【0024】
また、最上部と最下部の分割部材を除く各分割部材の左右側端の中央部に、前記ガイドローラを設けるとともに、前記昇降手段を、最下部の分割部材のガイドローラ軸部に連結したので、各分割部材を同時に回動させることとなり、比較的に短い時間で開閉できるとともに、開閉作動中の振動も少なくなる。
【0025】
また、ヒンジ装置が、前記分割部材の上端又は下端を受け入れる断面コ字状の板材ブラケットを設け、該ブラケットに当該分割部材に取り付けられる一つ又は二つ以上のヒンジ本体の丸棒他端側を固定してなるもので、ヒンジ装置の設置が容易となり、取付部の強度も維持できる。
【0026】
また、分割部材が柵体であり、ヒンジ装置を該柵体の上端枠及び下端枠にそれぞれ複数設けたので、該分割部材の強度が維持され、分割部材の撓みによるヒンジ装置に無理な力が作用することが防止でき、フリクションロスが生じなく、スムーズな回動、昇降動作が維持される。
【0027】
また、昇降手段は、各支柱の上部及び下部に、それぞれチェーン又は歯付ベルトよりなる無端状の連結支持体が係回される伝動歯車を配設し、左右の伝動歯車を互いに連係して駆動させるための駆動手段を設けてなり、各連結支持体に前記最下部の分割部材のガイドローラ軸部を連結することにより、前記連結支持体と一体となして最下部の分割部材を上下に昇降させてなるので、スムーズ且つ確実な昇降動作を維持できる。
【0028】
また、駆動手段は、各支柱の上方間にわたって水平な回転軸を設けるとともに、該回転軸の左右両端側にそれぞれ前記伝動歯車を付設し、該回転軸をチェーンを介して回転駆動させるモータ及び減速機を、当該回転軸よりも下側の位置に設けてなるので、駆動部を通路上方に設ける必要がなく、上方に空間が取れない通路においても容易に設置できる。
【0029】
また、遮断機を併設し、前記制御手段は、前記遮断機の駆動を制御して、前記規制体の上昇・折り畳み動作が完了した後に前記遮断機を開放させ、前記規制体の下降動作が開始する前に前記遮断機を閉鎖させるので、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るヒンジ装置を示す説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組付けた状態を示す斜視図である。
図1〜3は代表的実施形態、図4は変形例を示し、図中符号1はヒンジ装置、10はヒンジ本体、11は軸体、12は軸受け部、13は取付部、14は軸体をそれぞれ示している。
【0032】
本発明のヒンジ装置1は、図1および図2に示すように、ヒンジ本体10,・・・を軸体14で枢着し、これらヒンジ本体10を介して第一の部材8と第二の部材9とを互いに回動可能に連結するものである。
【0033】
ヒンジ本体10は、丸棒11の一端側を円環状に曲げ加工して軸受け部12を形成するとともに、前記丸棒11の他端側に、前記第一の部材8又は第二の部材9に取り付けられる取付部13を設けたものである。
【0034】
丸棒11には、直径5〜30mmのムクのステンレス丸棒が用いられ、一端側の軸受け部12は、円環状に曲げ加工した上、その先端部を途中部に溶接することにより構成され、丸棒はP字状に形成されている。丸棒は断面円形以外に楕円形などでもよい。また、求められる強度に応じて、ムクの丸棒以外に中空丸棒を用いてもよいし、径、肉厚などについても適宜設定すればよい。その他、合成樹脂で成形したものでもよい。
【0035】
そして、第一の部材8及び第二の部材9の対応する位置に、それぞれ一つ又は二つ以上取り付けられ、第一の部材8に取り付けたヒンジ本体10、および第二の部材9に取り付けたヒンジ本体10の互いに隣接する軸受け部12,12を同軸に配置させ、該軸受け部12,12を連通する軸体14を挿着することにより、第一の部材8と第二の部材9とが前記軸受け部12,12を介して前記軸体14を中心に回動可能に連結される。
【0036】
このようなヒンジ装置1では、図3の断面図からも分かるように、軸受け部12,12同士の摺動部a,bや、軸受け部12と軸体14との摺動部cがいずれも点接触、或いは線接触となり、摩擦ロス(フリクションロス)を最小限に抑えられ、大きな荷重が作用する場合であっても円滑な作動が得られるのである。
【0037】
軸体14は、ナット止めされるセンタピンが用いられているが、その他割ピン等の種々の軸体を採用できる。また、ピン両端にワッシャを介装しているが、軸受け部12,12間に設けてもよいし、ワッシャを省略することも可能である。
【0038】
取付部13は、本例では第1の部材8又は第2の部材9に取り付けるための断面コ字状の板材ブラケット15が設けられており、図示しないボルトナットにより上記部材8又は9に対して固定される。
本例のように第一の部材8側に複数のヒンジ本体10を設け、第二の部材9側のヒンジ本体10と組み合わせる場合には、第一の部材8に取り付けるための一つの板状ブラケット15に対して複数のヒンジ本体10,10の丸棒他端側を溶接し、該板状ブラケット15を各ヒンジ本体10の取付部13として併用して機能させている。
尚、コ字状以外のブラケットやブラケットを用いることなく、丸棒他端部を取付部として、第一の部材8又は第二の部材9に直接溶接等により取り付けるものであっても良い。
【0039】
本例では、第一の部材8に所定間隔を空けて配設した二つのヒンジ本体の軸受け部12,12の間に、前記第二の部材9に取り付けた一つのヒンジ本体の軸受け部12を挟込むように位置させ、これら軸受け部12,12,12に対して軸体14が挿着されているが、本発明のヒンジ装置1はこのようなヒンジ本体10の組み合わせ形態に何ら限定されず、第一の部材8、第二の部材9の双方にそれぞれヒンジ本体10を一個づつ設けて軸体14で組み付けたものや、図4に示すように双方に複数個づつ設けて組み付けたものであっても良く、また、組み付けの仕方についても図4(a)のように一つおきに交互に組み付ける形態や一方の側のヒンジ本体10を複数連接させて組み付けても良い。
【0040】
次に、図5〜8に基づき、本発明に係るヒンジ装置1を用いて構成した折り畳み式の自動昇降ゲートについて説明する。図中符号2は自動昇降ゲート、3は規制体、4は支柱、5は昇降手段、6は制御手段、30は分割部材をそれぞれ示している。
【0041】
本発明に係る折り畳み式の自動昇降ゲート2は、図5および図6に示すように、通路の幅方向に延びる複数の分割部材30,・・・を上下に配し、隣り合う各分割部材の上端31と下端32を、上述した本発明に係るヒンジ装置1,…を用いて回動自在に連結することにより、上下に折り畳み自在な規制体3を構成し、該規制体3を、通路側方に立設した左右の支柱4,4間に配設し、最上部に位置する分割部材30Aを支柱間の上部に水平回転自在に枢支し、前記最上部の分割部材30Aを除く各分割部材30B,30C,30Dの左右側端33,33に、左右の支柱の内面側に設けたガイドレール40に案内されるガイドローラ34を夫々設け、最下部の分割部材30Dを上下に昇降する昇降手段5に連結し、前記昇降手段5の動作を制御するための制御手段6を設けてなることを特徴としている。
【0042】
規制体3を構成する分割部材30は、金属製、例えばステンレス製であり、通路の幅方向に延びる上下の横杆35,35と、これら横杆の間に所定間隔おきに渡設された複数の縦杆36、…とで構成した柵体より構成されている。これら横杆及び縦杆の長さ、間隔等は、通路の幅や高さ、柵体の数などに応じて適宜設定される。なお、このような柵体以外のもの、例えば丸棒からなるフェンスやパネル材、その他の規制部材を採用することも勿論できる。
【0043】
そして、これら分割部材30A〜Dの互いに対向する上下横杆35の所定位置、本例では左右側方部と中央部の三箇所に、それぞれヒンジ装置1が取り付けられ、上下に隣接する分割部材30A〜Dを互いに回動自在に連結することにより前記規制体3が構成されている。
【0044】
分割部材30Aは、支柱上部に固定された枢軸37により定位置に支持されており、分割部材30B,30C,30Dの左右側端の中央部には、ガイドレール40に沿って上下に案内されるガイドローラ34,34,34Aがそれぞれ設けられている。これら枢軸37とガイドローラ34,34Aは、いずれも一鉛直線上に位置されているが、少なくともガイドローラ34,34が一鉛直線上にあれば良く、他の枢軸37やガイドローラ34Aは当該線上に無くてもよい。また、ガイドローラ34,34Aは、それぞれ分割部材の側端中央部に設けたが、その他の位置、例えば端部に設けることも可能である。
【0045】
左右の支柱4には、図7に示すように、分割部材30B,30Cの回動中心となる左右端部のガイドローラ34,34を上下に案内するための内側ガイドレール41と、最下部の分割部材30Dの回動中心となるガイドローラ34Aを上下に案内する外側ガイドレール42とが連続的に設けられており、該外側ガイドレール42の内部空間は、ローラ34Aの軸部に固定されて分割部材30Dを上下に昇降駆動させるための無端チェーン50も位置することとなる。本例では、外側ガイドレール42を内面に有する部材とそれに併設して無端チェーン50の通路となる部材とをそれぞれリップ溝型鋼で構成し、内側ガイドレール41を該溝型鋼の開口部にL型鋼を突設して形成されている。
【0046】
本実施形態の規制体3は、図6(a)のゲート閉鎖状態から、分割部材30Dのガイドローラ34Aの軸部を昇降手段5により上昇移動させることにより、該分割部材30Dが回動しながら上昇をはじめ、同時に、分割部材30B,30Cもヒンジ装置1を介して分割部材30Dに押し上げられ、回動しながらガイドローラ34により上昇移動し、同じく分割部材30Aも回動する分割部材30Bによりヒンジ装置1を介して押し上げられることにより回動し、図6(b)に示すように各分割部材が上部に折り畳まれたゲート開放状態となる。
【0047】
また、このゲート全開位置から、逆にガイドローラ34Aを下降移動させると、該分割部材30Dが逆方向に回動しながら下降しはじめ、同時に、分割部材30B,30Cもヒンジ装置1を介して分割部材30Dに引張り下げられ、回動しながらガイドローラ34により下降移動し、同じく分割部材30Aも回動し、図6(a)のゲート閉鎖状態となる。
【0048】
昇降手段5は、本例では、上下に固定スプロケット51、52を設けて無端状チェーン50を係回し、該無端チェーン50と一体的に分割部材30Dにおけるガイドローラ34Aの軸部を上下に牽引する方式が採用され、左右のスプロケット51,51を互いに連係して駆動させるための駆動手段7が設けられ、上部のスプロケット51を駆動歯車、下部のスプロケット52を従動歯車としている。無端チェーン50とゴムローラであるガイドローラ34Aの軸部は、該軸部を挟持するブラケットを介して連結されており、軸部自体にベアリング等の摺動部材が内蔵され、ブラケット側には何ら軸受け等はなく、スリムな構造とされている。これにより当該ガイドローラ34Aを案内する支柱4の幅、具体的には外側ガイドレール41の幅を小さく抑え、左右の支柱4,4間の通路幅をできるだけ広く維持できるように構成されている。
【0049】
なお、このような無端チェーンとスプロケットの代わりに歯付きの無端ベルトとプーリを用いてもよい。
また、有端のチェーン又はベルトの一端側に前記規制体3の分割部材30Dを連結し、他端側にバランスウエイトを設けても良い。この場合、バランスウエイトは規制体3の略半分の重量とし、左右のバランスウエイトを合計すると規制体3の総重量とほぼ等しくなるように調整されていることが好ましい。このようにバランスウエイトを用いて規制体3とバランスをとれば、駆動手段7のモータ出力が少なくて済み、減速機も必要最小限のもので足り、駆動装置の小型化が可能となる。また、所謂つるべ式となるため、騒音や振動の発生が殆どなく、高層住宅の地下駐車場などにも好適である。その他、ワイヤーの一端側に分割部材30Dを連結し、他端側を支柱上部に設けたリールで巻き取る方式を採用することもできる。
【0050】
本例では単列を開示しているが、多列のチェーンとしてもよく、案内車や滑り案内枠、テンショナーなどを設けて振動をより少なくすることも好ましい。
【0051】
各支柱4の上方間にわたって、水平な回転軸70が設けられるとともに、該回転軸70の左右両端側にそれぞれ前記スプロケット51が付設されている。駆動手段7は、この回転軸70を回転駆動させることにより両端のスプロケット51,51を同期状態で駆動している。
【0052】
より具体的には、回転軸70をチェーン又はベルトを介して駆動させるモータ71及び減速機72が、前記回転軸70よりも下方の適所に付設されている。モータ71には規制体3が上昇したゲート開放状態、及び下降したゲート閉鎖状態をそれぞれ維持するためのブレーキ機構が備えられている。
【0053】
モータ71や減速機72などの駆動部は、本例のように回転軸70よりも下方に設置することで通路上方に余剰空間がない場合にも適応できるのであるが、横又は上方に設けても勿論よい。回転軸70以外の連動の機構を採用することも勿論可能である。
【0054】
制御手段6は、図示しない開/閉/停止スイッチを備えた制御盤より構成され、リモコン等により遠隔操作も可能とされている。
制御手段等が故障した時には電源を切ることにより、停電の時には自動的に、前記モータ71のブレーキが解除されるため、付属のアームで減速機72の入力軸を回転させることで、規制体3を手動操作で昇降(折り畳み/伸張)させてゲートを開閉させることができる。
【0055】
また、規制体3の位置、特に分割部材30Dの位置を認識するための図示しないリミットスイッチが設けられ、制御手段6は、このスイッチより入力された信号に基づき、上記駆動手段7による規制体3の昇降スピードを制御している。
尚、分割部材30Dには、支柱4に係止される図示しない鍵装置が取付けられている。
【0056】
本例では、遮断機20が併設されており、前記制御手段6は、前記遮断機20の駆動を制御し、規制体3の上昇・折り畳み動作が完了した後に遮断機20を開放させ、規制体3の下降動作が開始する前に遮断機20を閉鎖させるようにしている。これにより、ゲートへの車輌等の進入を未然に防止するとともに、ゲート開放の際には、前記規制体3の上昇動作が完了した後に前記遮断機20を開放させ、上昇中の無理な車輌等の進入を防止している。
【0057】
その他、本ゲートに対する場内側、場外側に信号機、チェーンゲートを併設し、車輌衝突等によってゲートを潰されないようにすることが好ましい。
本例では、場内側、場外側のゲート近傍に車輌を検知するループコイルを設け、その内部で検知された間しかリモコン操作ができないように制御している。これにより、ゲート近傍で車輌停車/減速させることができる。同じ趣旨で、減速用の枕木を埋設してもよい。
【0058】
また、規制体3の場内側、場外側にはビームセンサーが設けられており、遮光されるとその信号が制御手段6に入力され、昇降動作を停止させるか、或いは遮光中は動作しないように制御され、安全性も確保されている。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。特に、本発明に係るヒンジ装置1は、本実施形態のような上下に昇降するゲートに適用する場合に何ら限定されず、図9に示すように横方向に折り畳み開閉するゲート2Aや、その他の自動/手動のゲート、扉のヒンジ装置として好適に使用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の代表的実施形態に係るヒンジ装置を示す説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組付けた状態を示す斜視図。
【図2】(a)〜(c)は、同じくヒンジ装置を介して第一の部材と第二の部材が回動する状態を示す説明図。
【図3】同じくヒンジ装置の断面図。
【図4】(a)、(b)は、それぞれヒンジ装置の変形例を示す斜視図。
【図5】本発明の代表的実施形態に係る折り畳み式の自動昇降ゲートを示す正面図。
【図6】(a)、(b)は、同じく閉鎖状態、開放状態を示す説明図。
【図7】(a)は図6における支柱部分のA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)はC−C断面図、(d)はD−D断面図。
【図8】(a)、(b)は、同じく閉鎖状態、開放状態を示す説明図。
【図9】本発明に係るヒンジ装置を他のゲートに用いた例を示す説明図。
【符号の説明】
【0061】
1 ヒンジ装置
2 自動昇降ゲート
3 規制体
4 支柱
5 昇降手段
6 制御手段
7 駆動手段
8 第一の部材
9 第二の部材
10 ヒンジ本体
11 丸棒
12 軸受け部
13 取付部
14 軸体
15 板材ブラケット
20 遮断機
30A〜D 分割部材
31 上端
32 下端
33 側端
34,34A ガイドローラ
35 横杆
36 縦杆
37 枢軸
40 ガイドレール
41 内側ガイドレール
42 外側ガイドレール
50 無端チェーン
51,52 スプロケット
70 回転軸
71 モータ
72 減速機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部材と第二の部材とを互いに回動可能に連結するヒンジ装置であって、
丸棒の一端側を円環状に曲げ加工して軸受け部を形成するとともに、前記丸棒の他端側に、前記第一の部材又は第二の部材に取り付けられる取付部を設けてなるヒンジ本体を、前記第一の部材及び第二の部材の対応する位置にそれぞれ一つ又は二つ以上取り付け、
第一の部材に取り付けたヒンジ本体、および第二の部材に取り付けたヒンジ本体の互いに隣接する軸受け部を連通する軸体を挿着することにより、
前記第一の部材と第二の部材とが、前記軸受け部を介して前記軸体を中心に回動可能に連結されることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記第一の部材に所定間隔を空けて配設した二つ以上のヒンジ本体の軸受け部の間に、前記第二の部材に取り付けられるヒンジ本体の軸受け部を位置させ、これら軸受け部に連通する軸体を挿着してなる請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記ヒンジ本体を構成する丸棒が、直径10〜20mmのムクのステンレス丸棒である請求項1又は2記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記丸棒の一端側を円環状に曲げ加工し、その先端部を途中部に溶接して軸受け部を構成してなる請求項3記載のヒンジ装置。
【請求項5】
通路の幅方向に延びる複数の分割部材を上下に配し、
隣り合う各分割部材の上端と下端を、請求項1〜4の何れかに記載のヒンジ装置で回動自在に連結することにより、上下に折り畳み自在な規制体を構成し、
該規制体を、通路側方に立設した左右の支柱間に配設し、
最上部に位置する分割部材を支柱間の上部に水平回転自在に枢支し、
前記最上部の分割部材を除く各分割部材の左右側端に、左右の支柱の内面側に設けたガイドレールに案内されるガイドローラを夫々設け、
最下部の分割部材を上下に昇降する昇降手段に連結し、
前記昇降手段の動作を制御するための制御手段を設けてなることを特徴とする折り畳み式の自動昇降ゲート。
【請求項6】
最上部と最下部の分割部材を除く各分割部材の左右側端の中央部に、前記ガイドローラを設けるとともに、前記昇降手段を、最下部の分割部材のガイドローラ軸部に連結してなる請求項5記載の自動昇降ゲート。
【請求項7】
前記ヒンジ装置が、前記分割部材の上端又は下端を受け入れる断面コ字状の板材ブラケットを設け、該ブラケットに当該分割部材に取り付けられる一つ又は二つ以上のヒンジ本体の丸棒他端側を固定してなる請求項5又は6記載の自動昇降ゲート。
【請求項8】
前記分割部材が柵体であり、ヒンジ装置が該柵体の上端枠及び下端枠にそれぞれ複数設けてなる請求項5〜7の何れか1項に記載の自動昇降ゲート。
【請求項9】
前記昇降手段が、各支柱の上部及び下部に、それぞれチェーン又は歯付ベルトよりなる無端状の連結支持体が係回される伝動歯車を配設し、左右の伝動歯車を互いに連係して駆動させるための駆動手段を設けてなり、
各連結支持体に前記最下部の分割部材のガイドローラ軸部を連結することにより、前記連結支持体と一体となして最下部の分割部材を上下に昇降させる請求項5〜8の何れか1項に記載の自動昇降ゲート。
【請求項10】
前記駆動手段が、各支柱の上方間にわたって水平な回転軸を設けるとともに、該回転軸の左右両端側にそれぞれ前記伝動歯車を付設し、該回転軸をチェーンを介して回転駆動させるモータ及び減速機を、当該回転軸よりも下側の位置に設けてなる請求項5〜9の何れか1項に記載の自動昇降ゲート。
【請求項11】
遮断機を併設し、前記制御手段は、前記遮断機の駆動を制御して、前記規制体の上昇・折り畳み動作が完了した後に前記遮断機を開放させ、前記規制体の下降動作が開始する前に前記遮断機を閉鎖させる請求項5〜10の何れか1項に記載の自動昇降ゲート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−2607(P2007−2607A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186727(P2005−186727)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(392014117)シー・ティ・マシン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】