説明

ヒンジ装置および電子機器

【課題】パソコン本体に対して蓋体が閉塞した状態を確実に維持することができるヒンジ装置を用いたノート型パソコンを提供すること。
【解決手段】パソコン本体と、パソコン本体の上面を覆う蓋体と、同一軸線上に設けられ、蓋体をパソコン本体に対して開閉可能に支承する一対のヒンジ装置とを備えたノート型パソコンにおいて、左側となるヒンジ装置Aの軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相と、右側となるヒンジ装置Bの軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムとの位相とをずらせた状態で、かつ、一方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置と、他方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置との間において、蓋体が閉塞するように、一対のヒンジ装置に蓋体を取り付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、ノート型パソコンなどの電子機器に用いられるヒンジ装置の分解斜視図である。図7に示すように、ヒンジ装置4は、電子機器本体に固定されるヒンジ本体41と、ヒンジ本体41に固定され、側方に延在するヒンジ軸42とを備えている。ヒンジ軸42は、基部42aと、基部42aとの境界となるフランジ部42bと、フランジ部42bから先端に延びる軸部42cとを備えている。また、軸部42cのフランジ部側は、横断面が正円をなすように形成され、この部分が外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45に嵌め込まれ、外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45が一体となって回転する。一方、軸部42cの先端側は、一対の平坦面42c1が設けてあり、その横断面は、正円の両側が切り欠かれた異形をなすようになすように形成されている。この部分が固定カム46、複数の皿バネ47に嵌め込まれ、固定カム46は、ヒンジ軸42の周方向において固定される。また、軸部42cの先端側には、雄ネジ42c2が形成してある。雄ネジ42c2には、ナット48に形成された雌ネジ48aが螺合し、上述した外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45、固定カム46、複数の皿バネ47が取り付けられる。そして、外側ステイ43と内側ステイ44とには、蓋体が取り付けられる。
【0003】
上述したヒンジ装置4は、ヒンジ開閉角度と開閉負荷(トルク)との間には、図8に示すような特性を有している。すなわち、ヒンジ開閉角度が0の場合から漸次ヒンジを開閉させると、開閉負荷は急激に増大し、ヒンジ開閉角度が10度前後で最大値に至る。その後、開閉負荷が急激に減少し、ヒンジ開閉角度が20度前後を越えると一定となる。このような特性を有するヒンジ装置4は、図9に示すように、電子機器本体に対して蓋体を閉じた状態(蓋体の開閉角度が0度)で開閉負荷が作用するように、電子機器本体と蓋体との間に取り付けられる(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−298279号公報
【特許文献2】特開2004−332874号公報
【特許文献3】特開2005−140152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8に示すように、ヒンジ装置を開閉させると、ヒンジ装置の開閉負荷が急激に増大し最大値に至った後、急激に減少する。また、ヒンジ装置の開閉負荷特性は大きくばらつくので、開閉負荷特性を所定の範囲に管理しても、所定の開閉負荷が作用するように設定することは難しく、電子機器本体に対して蓋体が閉塞した状態を確実に維持することは難しい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子機器本体に対して蓋体が閉塞した状態を確実に維持することができるヒンジ装置およびヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、同一の軸線上に設けられ、電子機器本体に対して蓋体を開閉可能に支承する一対のヒンジを備えたヒンジ装置において、一方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相が他方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相とずれた状態で前記一対のヒンジに蓋体を取り付けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記一方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置と、前記他方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置との間において、閉塞するように、前記一対のヒンジに蓋体を取り付けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、電子機器本体と、前記電子機器本体の上面を覆う蓋体と、同一軸線上に設けられ、前記蓋体を前記電子機器本体に対して開閉可能に支承する一対のヒンジ装置とを備えた電子機器において、一方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相と他方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相とをずらせた状態で、前記一対のヒンジ装置に前記蓋体を取り付けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記一方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置と、前記他方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置との間において、前記蓋体が閉塞するように、前記一対のヒンジ装置に前記蓋体を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるヒンジ装置は、一方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相が他方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相とずれた状態で一対のヒンジに蓋体を取り付けたので、蓋体に生じる開閉負荷のピーク幅が広くなる。そして、一方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置と、他方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置との間において、閉塞するように、一対のヒンジに蓋体を取り付けたので、電子機器本体に対して蓋体が閉じた状態を確実に維持できる。
【0012】
本発明にかかる電子機器は、一方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相と他方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相とをずらせた状態で、一対のヒンジ装置に蓋体を取り付けたので、蓋体に生じる開閉負荷のピーク幅が広くなる。そして、一方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置と、他方のヒンジ装置に生じる開閉負荷が最大となる位置との間において、蓋体が閉塞するように、一対のヒンジ装置に蓋体を取り付けたので、電子機器本体に対して蓋体が閉じた状態を確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるノート型パソコンを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したノート型パソコンの蓋体を開けた状態を示す図である。
【図3】図3は、図2に示したヒンジ装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、図3に示した固定カムと回転カムとの関係を説明するための分解図である。
【図5】図5は、図3に示した固定カムと回転カムとが噛み合った状態を示す組立図である
【図6】図6は、蓋体の開閉角度と開閉トルクとの関係を示す図である。
【図7】図7は、ヒンジ装置の分解斜視図である。
【図8】図8は、ヒンジ装置の開閉角度と開閉トルクとの関係を示す図である。
【図9】図9は、蓋体の開閉角度と開閉トルクとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるヒンジ装置およびヒンジ装置を用いた電子機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは、ノート型パソコンを例に説明するが、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態であるノート型パソコンを示す斜視図、図2は、図1に示したノート型パソコンの蓋体を開けた状態を示す図である。また、図3は、図2に示したヒンジ装置の分解斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施の形態であるノート型パソコン1は、パソコン本体2と、パソコン本体2の上面を覆う蓋体3と、パソコン本体2と蓋体3との間に設けられ、パソコン本体2に対して蓋体3を開閉自在に支承する一対のヒンジ装置4とを備えている。これにより、ノート型パソコン1は、パソコン本体2に対して蓋体3を閉じて持ち運ぶことが可能となり、パソコン本体2に対して蓋体3を開いた状態で使用することが可能となる。
【0017】
また、パソコン本体2の上面には、各種情報を入力するための操作キー21、タッチパッド22などの入力装置が設けてある。これら入力装置は、パソコン本体2に対して蓋体3を閉じた場合に蓋体3によって覆われる。
【0018】
また、蓋体3の前面には、各種情報を表示出力するための表示器31が設けてある。表示器31は、パソコン本体2に対して蓋体3を閉じた場合にパソコン本体2によって覆われる。
【0019】
ヒンジ装置4は、上述したように、パソコン本体2と蓋体3との間に設けられ、パソコン本体2に対して蓋体3を開閉自在に支承するもので、ノート型パソコン1などの電子機器では、パソコン本体2に対して蓋体3が閉塞した状態を維持すること、パソコン本体2に対して蓋体3を任意の位置まで開放操作した場合にその位置で蓋体3を保持すること、が求められる。また、パソコン本体2に対する蓋体3の開放操作性を良好なものとすべく、わずかな力で蓋体3が開放することも求められている。
【0020】
図2および図3に示すように、一対のヒンジ装置4は、左右で対を成しており、同一の軸線上に回転軸を備えており、パソコン本体2に対して蓋体3を開閉させても、軋むこともなければ、捻れることもない。
【0021】
図2および図3に示すように、ヒンジ装置4は、パソコン本体2に固定されるヒンジ本体41と、ヒンジ本体41に固定され、側方に延在するヒンジ軸42とを備えている。図2および図3において、左側となるヒンジ装置4(A)のヒンジ軸42の軸線と、右側となるヒンジ装置4(B)のヒンジ軸42の軸線とが、同一の軸線上に位置するように、左側となるヒンジ装置4(A)のヒンジ本体41と、右側となるヒンジ装置4(B)のヒンジ本体41とを取り付ける。
【0022】
ヒンジ軸42は、基部42aと、基部42aとの境界となるフランジ部42bと、フランジ部42bから先端に延びる軸部42cとを有している。これら、基部42a、フランジ部42bおよび軸部42cは、同一の中心線を有する円柱状に形成されている。また、軸部42cのフランジ部(基端)側は、横断面が正円をなすように形成され、この部分が外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45に嵌め込まれ、外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45が一体となって回転する。軸部42cの先端側は、一対の平坦面42c1が設けてあり、その横断面は、正円の両側が切り欠かれた異形をなすように形成されている。この部分が固定カム46、複数の皿バネ47に嵌め込まれ、固定カム46はヒンジ軸42の周方向において固定される。
【0023】
また、軸部42cの先端側には、雄ネジ42c2が形成してある。雄ネジ42c2には、ナット48に形成された雌ネジ48aが螺合し、上述した外側ステイ43、内側ステイ44、回転カム45、固定カム46、複数の皿バネ47が取り付けられる。
【0024】
上述した外側ステイ43と内側ステイ44とは、蓋体3を取り付けるためのものである。外側ステイ43は、板状体を折り曲げることにより形成してあり、ヒンジ軸42を挿通する軸穴43aから軸穴43aの直径方向外側に延在した後、90度折り曲げられて蓋体3の外側に向けて延在している。また、その先端手前側は、90度折り曲げられて取付部43bとなる。取付部43bには、蓋体3に設けたネジ孔3aと重なる貫通孔43b1が設けてあり、貫通孔43b1を挿通した小ネジ(図示せず)がネジ孔3aに螺合することにより、外側ステイ43に蓋体3が取り付けられる。
【0025】
内側ステイ44は、外側ステイ43と同様に、板状体を折り曲げることにより形成してあり、ヒンジ軸42を挿通する軸穴44aから軸穴44aの直径方向外側に延在した後、90度折り曲げられて蓋体3の内側に向けて延在している。また、その先端手前側は、90度折り曲げられて取付部44bとなる。取付部44bには、蓋体3に設けたネジ孔3aと重なる貫通孔44b1が設けてあり、貫通孔44b1を挿通した小ネジ(図示せず)がネジ孔3aに螺合することにより、内側ステイ44に蓋体3が取り付けられる。
【0026】
図3に示すように、回転カム45と固定カム46とは、ヒンジ本体41を取り付けたパソコン本体2と、外側ステイ43および内側ステイ44を取り付けた蓋体3との間に所望の開閉負荷(トルク)を発生させるためのもので、この開閉負荷によってパソコン本体2に対する蓋体3の閉塞状態が維持され、パソコン本体2に対して任意の位置まで開放操作した蓋体3がその位置で保持される。
【0027】
回転カム45は、上述したように、ヒンジ軸42の軸部42cが嵌め込まれ、ヒンジ軸42に対して回転自在に支承される。回転カム45には、ヒンジ軸42の軸部42cが嵌め込まれる軸穴45aが形成してある。軸穴45aは、ヒンジ軸42の軸部42cと略同一径で形成され、回転カム45は、ヒンジ軸42の軸部42cのまわりをスムースに回転可能である。
【0028】
また、回転カム45は、軸穴43aの直径方向外側に延在するレバー部45bを備えている。レバー部45bは、外側ステイ43および内側ステイ44と回転カム45とを一体化するための部分であり、このレバー部45bにより、外側ステイ43および内側ステイ44が回転カム45と一体化する。なお、一体化する構成は、たとえば、ピン結合、溶接その他各種のものが採用可能である。
【0029】
また、図4に示すように、回転カム45の固定カム46と対向する面には、対となる凹み45c,45dが設けてある。凹み45c,45dは、固定カム46との間で所望のトルクを発生させるためのもので、一方の凹み45cは、軸穴45aに近い内周側に設けられ、他方の凹み45dは、軸穴45aから離れた外周側に設けられる。そして、一方の凹み45cと他方の凹み45dとは、軸穴45aを境にして対向する。また、一方の凹み45cおよび他方の凹み45dは、それぞれ扇状に形成され、その両側縁部は、斜めに傾斜している。
【0030】
固定カム46は、上述したように、ヒンジ軸42の先端側、一対の平坦面42c1が設けてある部分が嵌め込まれ、固定カム46は、ヒンジ軸42の周方向において固定される。固定カム46には、ヒンジ軸42の先端側、一対の平坦面42c1が設けてある部分が嵌め込まれる異形穴46aが形成してある。異形穴46aは、ヒンジ軸42の先端側、一対に平坦面42c1が設けてある部分の横断面と略同一の形状で形成され、固定カム46は、ヒンジ軸42の周方向において固定される。
【0031】
また、図4に示すように、固定カム46の回転カム45と対向する面には、回転カム45に設けた凹み45c,45dと対となり、凹み45c,45dに嵌る凸46c、46dが設けてある。一方の凸46cは、異形穴46aに近い内周側に設けられ、他方の凸46dは、異形穴46aから離れた外周側に設けられる。そして、回転カム45に形成した凹み45c,45dと同様に、一方の凸46cと他方の凸46dとは、異形穴46aを境にして対向する。また、一方の凸46cおよび他方の凸46dは、それぞれ扇状に形成され、その両側縁部は、斜めに傾斜している。
【0032】
上述した回転カム45と固定カム46とは、図5に示すように、組み合わせた状態で取り付けられる。そして、回転カム45に設けた凹み45cに固定カム46に設けた凸46cが嵌り、回転カム45に設けた凹み45dと固定カム46に設けた凸46dが嵌る。このとき、凹み45cの底面と凸46cの上面とが当たることはなく、また、凹み45dの底面と凸46dの上面とが当たることはない。そして、固定カム46に対して回転カム45を回転させると、凹み45cと凸46c、凹み45dと凸46d、とが噛み合い開閉負荷(トルク)が生じる。この状態からさらに回転カム45を回転すると、開閉負荷が漸次増大する。そして、さらに回転カム45を回転させると、やがて、凸46cが凹み46cを乗り越え、凸46dが凹み46dを乗り越える。すると、開閉負荷が急激に減少し、やがて一定になる。この状態では、固定カム46の凸46c,46dの上面と回転カム45の上面とが摺接することになる。
【0033】
ところで、本発明の実施の形態であるノート型パソコン1は、図1〜図3において、左側となるヒンジ装置4(A)と右側となるヒンジ装置4(B)とにおいて、固定カム46に対する回転カム45の位相を異ならせた点に特徴がある。すなわち、図6に示すように、図1〜図3において、左側となるヒンジ装置4(A)において開閉負荷(最大値)が生じるヒンジ角度と、右側となるヒンジ装置4(B)において開閉負荷が生じるヒンジ角度(最大値)を異ならしめることにより、蓋体3の開閉負荷(最大値)に幅(ピーク幅)を持たせることにしている。これは、蓋体3の開閉負荷が、左側となるヒンジ装置4(A)の開閉負荷と右側となるヒンジ装置4(B)の開閉負荷との合成負荷であることに着目したもので、ヒンジ装置4における開閉負荷の最大値前後の負荷特性曲線をサインカーブに見立て、その位相を略2分の1(たとえば、10度〜12度程度)ずらすことにより、蓋体3の開閉負荷にピーク幅を持たせる。そして、蓋体3の開閉負荷のピーク幅内において、蓋体3が閉塞するように設定している。具体的には、蓋体2が閉塞位置からさらに閉塞方向に角度6度(―6度)ずれた位置で開閉負荷が最大となるように、図1〜図3において、左側となるヒンジ装置4(A)の位相を設定する一方、蓋体2が開閉位置から開放方向に角度6度(+6度)ずれた位置で開閉負荷が最大となるように、図1〜図3において右側となるヒンジ装置4(B)の位相を設定する。これにより、図1〜図3において、左側となるヒンジ装置4(A)と右側となるヒンジ装置4(B)とでは、角度12度の位相差を有することになる。
【0034】
また、上述した皿バネ47は、固定カム46が回転カム45に密着するように、固定カム46を付勢している。これにより、回転カム45に固定カム46が密着し、回転カム45と固定カム46との間に開閉負荷を生じさせる。
【0035】
上述した本発明の実施の形態であるノート型パソコン1は、図1〜図3において、左側となるヒンジ装置4(A)と右側となるヒンジ装置4(B)とにおいて、固体カム46に対する回転カム45の位相を異ならせることにより、蓋体3の開閉負荷にピーク幅をもたせ、そのピーク幅の範囲内において、パソコン本体2に対して蓋体3が閉塞するように設定してあるので、パソコン本体2に対して蓋体3が閉塞した状態を確実に維持することができ、また、パソコン本体2に対して蓋体3を開放操作した場合にその位置で蓋体3を保持する。一方、パソコン本体2に対する蓋体3の開放操作性を損なうことはない。
【0036】
なお、上述した実施の形態であるヒンジ装置4は、回転カム45に凹み45c,45dを設け、固定カム46に凸46c,46dを設けたが、回転カム45に凸を設け、固定カム46に凹みを設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ノート型パソコン(電子機器)
2 パソコン本体
21 操作キー
22 タッチパッド
3 蓋体
3a ネジ孔
31 表示器
4 ヒンジ装置(ヒンジ)
41 ヒンジ本体
42 ヒンジ軸
42a 基部
42b フランジ部
42c 軸部
42c1 平坦面
42c2 雄ネジ
43 外側ステイ
43a 軸穴
43b 取付部
43b1 貫通孔
44 内側ステイ
44a 軸穴
44b 取付部
44b1 貫通孔
45 回転カム
45a 軸穴
45b レバー部
45c,45d 凹み
46 固定カム
46a 異形穴
46c,46d 凸
47 皿バネ
48 ナット
48a 雌ネジ
A 左側となるヒンジ装置
B 右側となるヒンジ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の軸線上に設けられ、電子機器本体に対して蓋体を開閉可能に支承する一対のヒンジを備えたヒンジ装置において、
一方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相が他方のヒンジに設けた固定カムに対する回転カムの位相とずれた状態で前記一対のヒンジに蓋体を取り付けたことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記一方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置と、前記他方のヒンジに生じる開閉負荷が最大となる位置との間において、閉塞するように、前記一対のヒンジに蓋体を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
【請求項3】
電子機器本体と、前記電子機器本体の上面を覆う蓋体と、同一軸線上に設けられ、前記蓋体を前記電子機器本体に対して開閉可能に支承する一対のヒンジ装置とを備えた電子機器において、
一方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相と他方のヒンジ装置の軸線上に設けられた固定カムに対する回転カムの位相とをずらせた状態で、前記一対のヒンジ装置に前記蓋体を取り付けたことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記一方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置と、前記他方のヒンジ装置の開閉負荷が最大となる位置との間において、前記蓋体が閉塞するように、前記一対のヒンジ装置に前記蓋体を取り付けたことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−19471(P2013−19471A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153213(P2011−153213)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】