説明

ヒータユニット

【課題】強化補修の対象となる微小な孔や隙間が沢山ある構造物の状態を必要以上に把握確認することなく、然も極めて簡単な作業で品質保証が行えるヒータユニットを提供する。
【解決手段】断熱材とヒータ、該ヒータの下側に金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体であって、前記ヒータに於けるヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な孔や隙間が沢山ある構造物を強化補修する場合に使用するヒータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小な孔や隙間が沢山ある構造物は、水等の劣化因子の侵入や経時変化によって、その表面が脆くなったり、ひび割れが発生したりする。
【0003】
このような場合の強化補修方法としては、従来よりアクリル系やウレタン系或いはエポキシ系等の樹脂材料やセメント混合系等の無機質材料からなる含侵材を構造物の表面に刷毛塗り或いは吹付けにより塗布して行う方法が知られている。塗布することによって、含侵材が隙間やひび割れ部に浸み込み、且つ脆くなった部分を覆うことになり、水等の劣化因子の浸入が防止され、ひび割れた部分や脆くなった部分が強化補修されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然し、こうした方法は、含侵材の浸み込み深さが表面近傍となりかねず、強化補修の対象となる構造物の状態即ち劣化やひび割れの状態を良く把握確認し、その状態に応じた作業例えば2度3度と繰り返し作業を行うことが必要となるので、作業が面倒であるばかりでなく、充分な品質保証が行えないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、強化補修の対象となる微小な孔や隙間が沢山ある構造物の状態を必要以上に把握確認することなく、然も極めて簡単な作業で品質保証が行えるヒータユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、断熱材とヒータ、該ヒータの下側に金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体であって、前記ヒータに於けるヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持したものである。このように構成したことにより、ヒータ線による発熱が上下の金属板に効率良く伝達され、断熱材により、不必要な放熱が防止されるので、放熱板としての金属板を比較的高温まで昇温させることが出来、それによって、含侵シートの含侵材を熔融させることが可能となり、強化補修対象である構造物の状態を必要以上に把握確認することなく、極めて簡単な作業で品質保証を行うことが出来る。
【0007】
請求項2記載の発明は、断熱材が多孔質材料を使用した独立発砲タイプであり、ヒータの下側に積層配設する金属板をスティールとし、前記ヒータに於けるヒータ線を挟持する比較的薄い金属板をアルミニュームとしたものである。このように構成したことにより、断熱材や放熱板としての金属板の耐熱性が向上し、高温での使用にも十分耐え、ヒータユニットとしての品質を向上させることが出来る。更に、ヒータに於けるヒータ線を挟持する金属板をアルミニュームとしたことで伝熱効果が高まり、且つ放熱板としての金属板をスティールとしたので、より効果的に高温まで昇温させることが出来るようになる。
【0008】
請求項3記載の発明は、金属板の上部を断熱材やヒータより突出させて、突出部としたものである。このように構成したことにより、強化補修の対象である構造物との間に開放部を作ることが出来るので、含侵材の補充が必要な時に、極めて簡単に且つ確実に行うことが出来る。
【0009】
請求項4記載の発明は、断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板の下側に、含侵シートを一体的に取り付け固定したものである。このように構成したことにより、ヒータユニットと含侵シートを個々に管理する必要がなくなるばかりでなく、強化補修の作業現場に於いては、補修対象である構造物への取り付け固定を個々に行う必要がなくなるので、取付作業を簡素化することが出来る。
【0010】
請求項5記載の発明は、断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板に複数の突状折曲部を形成し、含侵シートに於ける前記突状折曲部に対応する部分に孔を設け、該孔に前記突状折曲部を嵌挿するようにし、突状折曲部の先端部を前記含侵シートの面より僅かに突出させるようにしたものである。このように構成したことにより、含侵シートの金属板への取り付け位置が自動的に決まり、取り付け作業が非常に簡単に行えるばかりでなく、突状折曲部の先端部を前記含侵シートの面より僅かに突出させるようにしたので、強化補修作業に於いて、含侵シートの含侵材が熔融することで、ヒータユニットの補修対象構造物への取り付け状態が不十分になっても、突状折曲部の先端部が構造物表面と接触するようになり、当初の取り付け状態を保持すことが出来るようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上説明したように構成されているので、下記に説明するような効果を奏する。
【0012】
本発明によるヒータユニットは、断熱材とヒータ、該ヒータの下側に金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体であって、前記ヒータに於けるヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持したので、放熱板としての金属板を比較的高温まで昇温させることが出来、それによって、含侵シートの含侵材を熔融させることが可能となり、強化補修対象である構造物の状態を必要以上に把握確認することなく、極めて簡単な作業で品質保証を行うことが出来る。
【0013】
更に、本発明によるヒータユニットは、断熱材が多孔質材料を使用した独立発砲タイプであり、ヒータの下側に積層配設する金属板をスティールとし、前記ヒータに於けるヒータ線を挟持する比較的薄い金属板をアルミニュームとしたので、高温での使用にも十分耐え、ヒータユニットとしての品質を向上させることが出来るばかりでなく、ヒータに於けるヒータ線を挟持する金属板をアルミニュームとしたことで伝熱効果が高まり、且つ放熱板としての金属板をスティールとしたことから、より効果的に高温まで昇温させることが出来る。
【0014】
更に、本発明によるヒータユニットは、金属板の上部を断熱材そしてヒータより突出させて、突出部としたので、強化補修の対象である構造物との間に開放部が構成され、含侵材の補充を極めて簡単に且つ確実に行うことが出来る。
【0015】
更に、本発明によるヒータユニットは、断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板の下側に、含侵シートを一体的に取り付け固定したので、ヒータユニットや含侵シートの管理が簡素化されるばかりでなく、強化補修の作業現場に於いては、補修対象である構造物への取り付け作業を簡素化することが出来る。
【0016】
更に、本発明によるヒータユニットは、断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板に複数の突状折曲部を形成し、含侵シートに於ける前記突状折曲部に対応する部分に孔を設け、該孔に前記突状折曲部を嵌挿するようにし、突状折曲部の先端部を前記含侵シートの面より僅かに突出させるようにしたので、突状折曲部と含侵シートの孔により、取り付け作業が非常に簡単に且つ正確に行えるばかりでなく、突状折曲部の先端部を前記含侵シートの面より僅かに突出させるようにしたことで、強化補修作業に於いて、含侵シートの含侵材が熔融することで、ヒータユニットの補修対象構造物への取り付け状態が多少不十分になっても、突状折曲部の先端部が構造物表面と接触するようになり、当初の取り付け状態を保持することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるヒータユニットの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明によるヒータユニットの使用方法に於ける一実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明によるヒータユニットの他の実施形態を示す簡略図である。
【図5】本発明によるヒータユニットの更に他の実施形態を示す簡略図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】本発明によるヒータユニットの更に他の実施形態を示す簡略図である。
【図8】図7のC−C断面図であって、(a)は金属板の突出部が直線状の場合を示し、(b)は同じく金属板の突出部が傾斜している場合を示したものである。
【図9】図7に示した本発明の実施形態に於ける突出部の役割を図8(b)を取り上げ説明した簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づき詳細に説明する。
【0019】
それでは初めに、図1及び図2を用いて、本発明によるヒータユニットの基本的な構成に付いて説明することにする。ヒータユニット1は、平面視長方形の面状発熱体であって、図2に示すように、断熱材2そして不織布3更にヒータ4、該ヒータ4の下側に金属板5を積層状態に配設形成したものである。積層状態への配設は通常接着剤で行うが、必ずしも全てを接着剤で行う必要はなく、必要な部分のみに接着剤を使用することも可能であり、要は、積層各部材を確実に一体的に形成することが重要となる。ヒータ4は、熱伝導性が高く比較的薄い金属板でヒータ線6をサンドイッチ状に挟持した構成を取っている。
【0020】
このような基本的構成を持つヒータユニット1であるが、更に説明を加えることにする。本発明によるヒータユニット1の実施形態に於いては、種々検討の結果、その大きさを、図1に於いて、縦方向の長さを900mm程度とし、横方向の長さを1200mm程度としている。これは、強化補修の対象となる構造物として、大型のものを狙った結果であり、その中で、作業性や搬送そして保管管理等の状況を考慮したためである。勿論、本発明によるヒータユニット1は、大型のものだけを対象としているのではなく、故に、前述した大きさは、限定するものではないので付言して置くことにする。
【0021】
尚、図1で理解出来るように、ヒータユニット1は、サブヒータユニット1aとサブヒータユニット1bを連接した状態(ニ面)で示されている。その理由は、本発明によるヒータユニット1がその使用目的から面状発熱体としては、高温の発熱(100℃を超える温度)が要求されること、そして強化補修の対象となる構造物として比較的大型のものを狙っている点にある。前述した大きさであって、必要となる発熱温度を確実に確保し、ヒータとしての品質を一定期間保障するには、ヒータ線6の回路(配設)を単純に1つとするのではなく、サブヒータユニット1aとしての回路(配設)とサブヒータユニット1bとしての回路(配設)をそれぞれ独立させ、それを電気的に連接させた方が有効であるからである。従って、大きさが小さくなれば、二面にする必要はなく、一面としても良いのは言うまでもない。尚更に、サブヒータユニット1aとサブヒータユニット1bの連接は、どのような方法でもよく、場合によっては、ヒータ線の回路(配設)のみをそれぞれ独立させ、断熱材2等は所定の大きさとしても差し支えない。又、ヒータユニットの発熱温度が100℃を超えると説明したが、これは含侵剤を熔融させるための温度ということであり、含侵剤によっては、100℃以下であっても熔融するものもあり、必ずしも100℃以上でなくてはならないということではないので、念のため付言して置くことにする。
【0022】
引き続き、更に詳しくヒータユニット1について説明する。断熱材2は、パーライト或いは泡ガラス等の多孔質材料を使用した独立発砲タイプのものであり、高温の発熱にも耐えるようになっていて、本実施形態では、その厚さを10mm〜15mmとしている。ヒータ4は、前述したように熱伝導性が高く比較的薄い金属板でヒータ線6をサンドイッチ状に挟持したものとなっているが、金属板としては、特に熱伝導性の優れたアルミニューム製のものが有効であり、ヒータユニットとしての放熱面となる金属板5は、耐熱性の高いスティール製のものが効果がある。断熱材2とヒータ4の間に配設した不織布3は、断熱材としての補助的な役割と併せ、前記断熱材2と前記ヒータ4を確実に積層接着するための役割を持っているのであるが、断熱材2とヒータ4の積層方法によっては、使用しなくても良い場合もある。
【0023】
こうした構成になるヒータユニット1は、図示しない電源に通電することにより、リード線7からヒータ線6そしてリード線8と電流が流れてヒータ線6が発熱し、ヒータ4が昇温する。ヒータ4がヒータ線6を熱伝導性の優れた金属板で挟持するタイプであって、しかもヒータ線6の挟持が接着剤で確実に行われていることから、ヒータ線6の熱は無駄なく金属板に伝わり、ヒータ4と放熱板としての金属板5も確実に接着接合され、更に断熱材2でもって不必要な放熱を防止しているので、ヒータ4から金属板5への伝熱が全面的に効率良く行われることになり、且つ相応のヒータ線を使用していることから、金属板5を高温(100℃を超える温度)とすることが可能となる。
【0024】
次に、図3を参照しながら、本発明によるヒータユニット1の使用方法を説明する。19は、強化補修の対象となる微小な孔や隙間が沢山ある構造物であり、9は、平板状に固形化した含侵シート(強化補修のための特殊溶液である含侵材を浸み込ませて固形化したもの)であって、初めに含侵シート9を構造物19の強化補修対象部位に装着する。そして後、ヒータユニット1を前記含侵シート9を押圧挟持するように取り付け固定する。尚、構造物19への含侵シート9の装着、含侵シート9へのヒータユニット1の取り付け固定は、通常接着剤を利用するが、接着剤に限定するものではなく、必要なことは、含侵シート9を挟持した状態でヒータユニット1を構造物19にしっかりと取り付け固定することであり、どのような方法であっても良いのは言うまでもないことである。又、構造物19の表面即ち強化補修の対象となる部分が平面とは限らず、曲面をしている場合もあることから、ヒータユニット1は、それに沿わせて取り付け固定することが必要になる。故に、ヒータユニット1の金属板5の板厚は、0.3mm〜0.5mmとし、ヒータユニットとして容易に曲げることが出来るようになっている。
【0025】
含侵シート9とヒータユニット1の取り付け固定の終了後、図示しない電源にリード線7及び8を接続し、図示しないスイッチをONさせる。これによって、ヒータ線6が発熱して放熱板としての金属板5が昇温して含侵シート9の含侵材を熔融させることになる。含侵材の多くは、100℃を超える温度で熔融するが、本発明によるヒータユニットIに於いては、前述したように、それに対応する温度まで昇温するようになっているので、含侵材の熔融はスムースに行われ、構造物19の強化補修対象部位の隙間やひび割れ部に浸み込んで行くことになる。この時、構造物19の強化補修対象部位の状況に合わせて、含侵材の使用量(例えば、含侵シートの厚さ)や通電時間等条件をあらかじめ設定するようにすれば、確実な強化補修が、より簡単な作業で行えるようになる。
【0026】
本発明によるヒータユニット1に於いては、面状発熱体としては比較的高い温度で機能するようになるので、安全対策が必要であり、特に使用するサーモスタットの数は、少なくとも法で定められた個数を装着するよう考慮してある。そしてサーモスタットの故障や寿命への配慮として、高温にも耐える断熱材を装着するようにしてある。
【0027】
続いて、本発明による他の実施形態を説明するのであるが、既に説明した実施形態と同じ部材に付いては、説明を容易にするため、同じ符号を付すことにする。
【0028】
それでは、図4に示す実施形態に付いて説明する。本実施形態に於けるヒータユニット10は、前述したヒータユニット1に含侵シート9を一体的に取り付け固定したものである。
【0029】
図5は、更に他の実施形態であるヒータユニット100を示すものであるが、図6を参照しながら説明することにする。ヒータユニット100は、断熱材2と不織布3そしてヒータ4、該ヒータ4の下側に金属板12を積層状態に配設形成したヒータユニット11に含侵シート14を一体的に取り付け固定したものである。13は、金属板12に複数形成した突状折曲部であって、含侵シート14に於ける前記突状折曲部13に対応する部分に設けられた孔に嵌挿していて、その先端部は、含侵シート14の面より僅かに突出した状態となっている。
【0030】
図4及び図5に示す実施形態は、一度強化補修作業に使用すると含侵材が熔融してしまい、再度使用する時には、新しい含侵シートを取り付けるか、含侵シートに含侵材を浸み込ませなければならないという不便さがあるものの、ヒータユニットとしてレンタルするような場合には、特に大きな効果を発揮するものである。又、レンタルでなくとも、作業現場へ含侵シートとヒータユニットを別々に搬送し、現場に於いて個々に取り付け固定するよりも、搬送する前に前述したような処置をしておいた方が、より簡単に強化補修作業を行なえるようになる。又、図5に於けるヒータユニット100のように、金属板12の突状折曲部13を含侵シート14に形成した孔に嵌挿するようにすることで、含侵シート14の金属板12への取り付け位置が自動的に決まり、取り付け作業が非常に簡単になる。
【0031】
それでは引き続き、図7及び図8により、更に他の実施形態に付いて詳細に説明する。本発明によるヒータユニット111は、既に説明したヒータユニット1と金属板が相違している。即ちヒータユニット111が突出部(16,18)を有しているに対し、ヒータユニット1には、それが無いことであり、突出部を除いてはまったく同じである。
【0032】
図8には、図8(a)と図8(b)の2種類の突出部が示されているので、図8(a)から説明する。断熱材2と不織布3そしてヒータ4、該ヒータ4の下側に金属板15が積層状態に配設形成されていて、金属板15の上部は、断熱材2や不織部3更にはヒータ4より突出していて、突出部16となっている。図8(b)に於ける実施形態は、
突出部の形状以外は、図8(a)の場合と同じであって、本実施形態の突出部18が断熱材2側に所定角度傾斜している点が相違している。即ち、直線状の突出部16と傾斜した突出部18ということである。
【0033】
ここで、突出部の役割を、図9を参照しながら説明する。図9は、含侵シート9が強化補修の対象である構造物19の補修対象部位にヒータユニット111によって押圧挟持されるように取り付け固定された状態を示している。強化補修作業は、前述したように、ヒータ線を発熱させて、それによって金属板を昇温させ、該金属板の熱により、含侵シート9の含侵材を熔融させ、補修対象部位に於ける隙間やひび割れ部に浸み込ませるのであるが、補修対象部位が水平状であるとは限らず、垂直状となっている場合もある。このような場合、熔融した含侵材は下方に流れ、上部に於ける含侵材の浸み込み量は少なくなり、充分なる強化補修が行われないこともあり、又、含侵シート9の上部が乾燥(含侵材が減少)することもある。こうした場合は、含侵材を補充することになるが、本実施形態に於いては、構造物19と突出部18によって開放部20が形成されるようになるので、極めて簡単に無駄なく確実に補充作業を行うことが出来るようになる。
【0034】
本発明によるヒータユニットの使用目的が、微小な孔や隙間が沢山ある構造物の強化補修であることは、既に説明したとおりであるが、他への転用も可能である。例えば、水耕栽培に於ける肥料投与への転用である。含侵剤として肥料を使用すれば、肥料投与を簡単に行うことが出来るようになり、作業性が非常に向上するので、付言して置くことにする。
【符号の説明】
【0035】
1、10,100 ヒータユニット
1a、1b サブヒータユニット
2 断熱材
3 不織布
4 ヒータ
5 金属板
6 ヒータ線
7,8 リード線
9 含浸シート
11,111 ヒータユニット
12 金属板
13 突出折曲部
14 含浸シート
15 金属板
16 突出部
17 金属板
18 突出部
19 構造物
20 解放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材とヒータ、該ヒータの下側に金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体であって、前記ヒータに於けるヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持したことを特徴とするヒータユニット。
【請求項2】
断熱材が多孔質材料を使用した独立発砲タイプであり、ヒータの下側に積層配設する金属板をスティールとし、前記ヒータに於けるヒータ線を挟持する比較的薄い金属板をアルミニュームとしたことを特徴とする請求項1記載のヒータユニット。
【請求項3】
金属板の上部を断熱材そしてヒータより突出させて、突出部としたことを特徴とする請求項1及び請求項2記載のヒータユニット。
【請求項4】
断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板の下側に含侵シートを一体的に取り付け固定したことを特徴とするヒータユニット。
【請求項5】
断熱材とヒータ線を熱伝導性が高く比較的薄い金属板でサンドイッチ状に挟持するようにしたヒータ、該ヒータの下側に放熱板としての金属板を積層状態に配設形成し、積層各部材を確実に一体的に形成した面状発熱体に於ける前記放熱板としての金属板に複数の突状折曲部を形成し、含侵シートに於ける前記突状折曲部に対応する部分に孔を設け、該孔に前記突状折曲部を嵌挿するようにし、突状折曲部の先端部を前記含侵シートの面より僅かに突出させるようにしたことを特徴とするヒータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−84496(P2012−84496A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244619(P2010−244619)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(390036227)インターワイヤード株式会社 (1)
【出願人】(502278839)シイケイサーモ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】