説明

ヒータ制御装置

【課題】ヒータ制御装置の温度センサをリード線で引き回すと、ノイズの影響を受けやすい為対策部品の増加による大型化やコストアップするという課題があった。
【解決手段】温度センサーを制御基板に直付けし、ケースを通してヒータ温度を検知するようにしてリード線をなくし、小型化・コストダウンを行う事が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状ヒータの温度制御に関し、ヒータ温度情報を得る為の温度センサをリードレスにする取付構造としたヒータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒータ制御装置は、制御装置と温度センサとは、リード線にて接続されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来のヒータ制御装置を示すもので、面状ヒータを缶飲料に巻きつけて所定の温度に温めるためのヒータ制御装置の例である。図7に示すように面状のヒータユニット14に、ヒータ1と温度センサ3を配置し、各配線はコード11にまとめて制御回路12へ接続される。電源はシガーライタ用プラグ13から供給される。制御回路12は、ヒータ1の温度を所定の温度に保持する為に、温度センサ3でヒータ1の温度を検出し、温度が予め設定された温度を超えるとヒータ1をOFFさせ、温度が予め設定された温度以下になるとヒータ1をONさせるように動作する。
【特許文献1】特開平09−020167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、温度センサ3は、ヒータユニット14の中央付近に配置され、ヒータ1と共にコード11を経由して制御回路12に配線されている。一般的に温度センサ3のインピーダンスは高いため、ノイズの影響を受けやすく、配線を長くすればそれだけノイズに影響される可能性が高くなり、制御回路12側でのノイズ対策が必要で、部品点数が増加し、実装面積が増大したりコストアップするという課題を有していた。また、配線のリード線が長い為に、地絡や隣接ショート、あるいは屈曲等による断線の懸念もあるため、検査を厳重にしたり、コード11や配線材料は信頼性の高い丈夫なものとする必要があり、コストアップするという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、サーミスタ等の温度センサを温度制御基板に直接取り付け、その状態でもヒータ温度が検知出来るように、温度センサの取付位置・温度制御装置を収納するケース・温度センサへの熱伝導、等を適切に構成することで、リードレスの温度センサを使用可能とすることで、安価で信頼性が高く省スペースのヒータ制御装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒータ制御装置は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケースは前記ヒータに接触もしくは接近させて取り付けられ、前記温度センサは、前記ケースに接触させて取り付けられる構成とすることで、前記温度センサは前記ヒータで過熱されたケースを通して前記ヒータ温度を間接的に検出する事が出来るヒータ制御装置としたものである。
【0007】
また、本発明のヒータ制御装置は、前記ヒータと前記温度センサ間の前記ケースの肉厚を薄くしたことで、前記ヒータの熱が、前記温度センサに伝わりやすくしたものである。
【0008】
また、本発明のヒータ制御装置は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケー
スは前記温度センサが露出するようにその一部が開口され、前記温度センサが前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けられた構成とすることで、前記温度センサが前記ヒータ温度を直接検出する事が出来るようにしたものである。
【0009】
また、本発明のヒータ制御装置は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースと、前記温度センサに接近もしくは接触して取り付けられた熱伝導板とを備え、前記ケースは一部が開口され前記熱伝導板が露出するようにし、前記熱伝導板が前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けられた構成とすることで、前記ケースを開口することなく前記ヒータの温度を前記温度センサに伝える事が出来るようにしたものである。
【0010】
また、本発明のヒータ制御装置は、前記構成に加えて、前記熱伝導板をアースする構成であるため、印加された静電気をアースへ逃がすことにより、前記温度センサが静電気の影響を受けないようにしたものである。
【0011】
これによって、温度制御基板に温度センサを直付けしてリード線を無くしても、ヒータの温度を確実に検出する事が出来るので、配線を簡略化することが可能となり、小型化・低コスト化を実現し、ノイズにも強い信頼性の高いヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明のヒータ制御装置は、温度制御基板を収納するケースを一部工夫する事により、温度制御基板に直付けの温度センサを用いてヒータ温度を検出し、検出温度に応じてヒータ温度を所定の温度に保つように制御する事が出来るので、温度センサのリード線を無くすことが出来、配線を簡略化することが出来るので、コンパクトで低コストでノイズにも強いヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケースは前記ヒータに接触もしくは接近させて取り付けられ、前記温度センサは、前記ケースに接触させて取り付けて構成されたヒータ制御装置であり、ヒータ温度を検出する温度センサのリード線を無くすことが出来、配線の簡素化と、ノイズの影響を最小限にする事が出来るので、ノイズ対策部品も最小限にする事が可能で、小型で低コストなヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【0014】
第2の発明は、特に第1の発明の温度センサとの接触部を薄肉としたケースを備える事で、ヒータと温度センサとの熱伝導が良くなり、温度検出のレスポンスを向上させる事が出来る。
【0015】
第3の発明は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケースは前記温度センサが露出するようにその一部が開口され、前記温度センサが前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けて構成されたヒータ制御装置であり、直接ヒータの温度を温度センサで検出する事が出来るので、温度検出のレスポンス向上と精度向上を行う事が出来る。
【0016】
第4の発明は、ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースと、前記温度センサに接近もしくは接触して取り付けられた熱伝導板とを備え、前記ケースは一部が開口され前記熱伝導板が露出するようにし、前記熱伝導板が前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けて構成
されたヒータ制御装置であり、熱伝導板を用いてヒータの温度を温度センサに伝える方式なので、効率よくヒータ温度を温度センサに伝える事が出来、かつケースに孔を空けないので埃の侵入の心配もなく、信頼性を向上させる事が出来る。
【0017】
第5の発明は、特に第4の発明における熱伝導板をアースする構成としたヒータ制御装置であり、外部からの静電気を逃がす経路を確保しているので、温度センサの故障を防ぐ事が出来るので、静電気に強いヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるヒータ制御装置の部分断面図で、図2は同装置の外観概略図である。本実施の形態は、自動車の座席に組み込まれる座席暖房用のヒータの温度制御装置への応用例である。以下、図1〜図2を参照しながら動作、作用について説明する。
【0020】
線状のヒータ1が不織布2に配線されて、面状ヒータユニットを構成している。電源は自動車側のハーネスからカプラ6を通して供給される。
【0021】
温度制御基板4には電子回路が構成されており、温度センサ3で検出した温度と、予め設定された温度とを比較し、設定温度を超えるとヒータ1への通電を切り、設定された温度以下になるとヒータ1への通電を開始するようにして、ヒータ1の温度を設定温度に保持するように動作する。
【0022】
温度センサ3は温度制御基板4に直付けされており、一般的な温度センサの形態であるリード線をなくしている。また、温度センサ3は、温度制御基板4を収納するケース5に接触されて取り付けられ、ヒータ1の温度をケース5を介して検出する構成としている。
【0023】
以上のように、本発明の形態では、ヒーター1の温度検出をケースを介して温度センサ3で検出する構成になっているので、温度センサのリード線をなくする事が出来、配線が短くなることで、耐ノイズ性が向上し、ノイズ対策部品削減が可能な事から、小型化・低コストで信頼性の高いヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【0024】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるヒータ制御装置の部分断面図で、システム構成は実施の形態1と同じ図2であるため説明を省略する。以下、図3を参照しながら動作、作用について説明する。
【0025】
温度制御基板4には電子回路が構成されており、温度センサ3で検出した温度と、予め設定された温度とを比較し、設定温度を超えるとヒータ1への通電を切り、設定された温度以下になるとヒータ1への通電を開始するようにして、ヒータ1の温度を設定温度に保持するように動作する。
【0026】
温度センサ3は温度制御基板4に直付けされており、一般的な温度センサの形態であるリード線をなくしている。また、温度センサ3は、温度制御基板4を収納するケース5に接触されて取り付けられ、ヒータ1の温度をケース5を介して検出する構成としている。
【0027】
ケース1は、ヒータ1と温度センサ3との間に介在する部分のみ厚みを薄くしている。
【0028】
以上のように、本発明の形態では、ケース1を部分的に薄肉部7を設ける事によって、ヒーター1の温度が、より早く温度センサ3に伝わるので、温度検出レスポンスが早くなり、温度制御性能を向上させることが出来る。
【0029】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態におけるヒータ制御装置の部分断面図で、システム構成は実施の形態1〜2と同じ図2であるため説明を省略する。以下、図4を参照しながら動作、作用について説明する。
【0030】
温度制御基板4には電子回路が構成されており、温度センサ3で検出した温度と、予め設定された温度とを比較し、設定温度を超えるとヒータ1への通電を切り、設定された温度以下になるとヒータ1への通電を開始するようにして、ヒータ1の温度を設定温度に保持するように動作する。
【0031】
温度センサ3は温度制御基板4に直付けされており、一般的な温度センサの形態であるリード線をなくしている。また、温度センサ3は、温度制御基板4を収納するケース5に設けた開口部8から露出するように取り付けられ、ヒータ1の温度を直接検出する構成としている。
【0032】
以上のように、本発明の形態では、ケース1の一部に開口部8を設けたことで、ヒーター1の温度が、直接温度センサ3で検出する事が出来るので、温度検出の精度とレスポンスを向上させることが出来る。
【0033】
(実施の形態4)
図5は、本発明の第4の実施の形態におけるヒータ制御装置の部分断面図で、システム構成は実施の形態1〜3と同じ図2であるため説明を省略する。以下、図5を参照しながら動作、作用について説明する。
【0034】
温度制御基板4には電子回路が構成されており、温度センサ3で検出した温度と、予め設定された温度とを比較し、設定温度を超えるとヒータ1への通電を切り、設定された温度以下になるとヒータ1への通電を開始するようにして、ヒータ1の温度を設定温度に保持するように動作する。
【0035】
温度センサ3は温度制御基板4に直付けされており、一般的な温度センサの形態であるリード線をなくしている。また、温度センサ3は、温度制御基板4を収納するケース5に設けた開口部に取り付けられた熱伝導板9に接触させて取り付けられ、ヒータ1の温度を熱伝導板9を通して間接的に検出する構成としている。
【0036】
以上のように、本発明の形態では、ケース1の一部を開口し、そこに熱伝導板9を取り付けることで、ヒータ1の温度を温度センサ3へ中継する構成であるので、ゴミ、埃の侵入を防ぐ事が出来、さらにケース1の樹脂材料よりも熱をより早く伝える事が出来るので、信頼性の高いヒータ制御装置を提供することが出来る。
【0037】
(実施の形態5)
図4は、本発明の第5の実施の形態におけるヒータ制御装置の部分断面図で、システム構成は実施の形態1〜4と同じ図2であるため説明を省略する。以下、図6を参照しながら動作、作用について説明する。
【0038】
温度制御基板4には電子回路が構成されており、温度センサ3で検出した温度と、予め設定された温度とを比較し、設定温度を超えるとヒータ1への通電を切り、設定された温
度以下になるとヒータ1への通電を開始するようにして、ヒータ1の温度を設定温度に保持するように動作する。
【0039】
温度センサ3は温度制御基板4に直付けされており、一般的な温度センサの形態であるリード線をなくしている。また、温度センサ3は、温度制御基板4を収納するケース5に設けた開口部に取り付けられた熱伝導板9に接触させて取り付けられ、ヒータ1の温度を熱伝導板9を通して間接的に検出する構成としている。
【0040】
さらにこの熱伝導板9は金属製で、端子10が設けられていて、温度制御基板4に接続されており、熱伝導板9に印加された静電気を逃がして、温度センサ3を静電気から保護するようにしている。
【0041】
以上のように、本発明の形態では、ケース1の一部に開口部を設け、そこに熱伝導板9を取り付け、さらにアースをとることで、静電気を逃がして温度センサ3を保護する構成としており、信頼性の高いヒータ制御装置を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明にかかるヒータ制御装置は、温度センサを温度制御基板に直付けしてケースに収納し、ヒータ温度をケースの中から検知する構成であるので、温度センサの配線をなくす事が可能となる為、配線の引き回しや、ノイズ耐量アップ、それに伴う対策部品の減少によりスペースとコストの削減が可能となるので、量産性の高い、また、信頼性の高いヒータ制御装置を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒータ制御装置の部分断面図
【図2】本発明の実施の形態1から5におけるヒータ制御装置の概観外観図
【図3】本発明の実施の形態2におけるヒータ制御装置の部分断面図
【図4】本発明の実施の形態3におけるヒータ制御装置の部分断面図
【図5】本発明の実施の形態4におけるヒータ制御装置の部分断面図
【図6】本発明の実施の形態5におけるヒータ制御装置の部分断面図
【図7】従来のヒータ制御装置の概略外観図
【符号の説明】
【0044】
1 ヒータ
3 温度センサ
4 温度制御基板
5 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケースは前記ヒータに接触もしくは接近させて取り付けられ、前記温度センサは、前記ケースに接触させて取り付けられる構成としたヒータ制御装置。
【請求項2】
温度センサとの接触部を薄肉としたケースを備えた請求項1に記載のヒータ制御装置。
【請求項3】
ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースとを備え、前記ケースは前記温度センサが露出するようにその一部が開口され、前記温度センサが前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けられた構成としたヒータ制御装置。
【請求項4】
ヒータと、温度制御基板と、前記温度制御基板に直接取り付けられた温度センサと、前記温度制御基板を収納するケースと、前記温度センサに接近もしくは接触して取り付けられた熱伝導板とを備え、前記ケースは一部が開口され前記熱伝導板が露出するようにし、前記熱伝導板が前記ヒータに直接接触もしくは接近させて取り付けられた構成としたヒータ制御装置。
【請求項5】
熱伝導板をアースする構成とした請求項4に記載のヒータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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