説明

ヒートシール装置およびこれを用いたヒートシール方法

【課題】この発明は、引火の危険性がなく、引火や爆発が起こりやすい内容物についても安全にヒートシールを行うことができるヒートシール装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上述の課題を解決するため、この発明のヒートシール装置3は、プラスティックフィルムに接触するための一対の棒状の接触部材9と、その接触部材9を加熱するための温水が流れる流路10を有し、離れた場所にある熱源より供給された温水によってプラスティックフィルムを加熱することによってヒートシールを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梱包や包装のためにプラスティックシートを加熱して接着するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1などに示すように、プラスティックフィルム製の包装材に内容物を充填し、ヒートシールする技術は広く実施されている。特許文献1に記載された粉粒体包装充填装置は、所定量の粉粒体を内袋に充填包装し、更に、これを外袋により包装するための装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−11801号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の粉粒体包装充填装置のヒートシール機構は同文献の0013段落に記載されたように、一対のバーにヒーターを内臓させておき、相互を接近させヒーターに通電して加熱・押圧することにより、プラスティックフィルムをヒートシールするものである。
【0005】
これ以外にも梱包装置や包装装置はさまざまなものがあるが、そのヒートシール機構は特許文献1に記載のものとほぼ同様であり、バーに内蔵された電熱装置に通電して加熱することによってヒートシールを行っている。しかし、プラスティックフィルム内に充填されるべき内容物には引火したり爆発しやすいものもありうる。また、梱包作業を行う現場が、引火の危険のある装置を使用できないような環境下にありうる。そこでこのような場合にも安全に使用できるヒートシール装置が望まれる。
【0006】
この発明は、引火の危険性がなく、引火や爆発が起こりやすい内容物についても安全にヒートシールができるヒートシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、この発明のヒートシール装置は、プラスティックフィルムに接触するための接触部材と、その接触部材を加熱するための熱媒が流れる熱媒流路を有するものである。プラスティックフィルムに接触するための一対の棒状の接触部材を有し、少なくとも一方の接触部材の内部にその接触部材を加熱するための熱媒の流路が設けられているものとしてもよい。さらに、熱媒として温水を使用してもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明のヒートシール装置は、離れた場所にある熱源より供給された熱媒によってプラスティックフィルムを加熱するので、接触部材の近くで電熱ヒータを使用することがなく、引火の危険性がないという効果を有する。したがって、引火や爆発が起こりやすい化学物質や粉体などの包装装置にとしても安全に使用できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】梱包装置を示す正面図である。
【図2】ヒートシール装置を示す平面図である。
【図3】同断面図である。
【図4】梱包装置の動作を示す説明図である。
【図5】容器の一部を示す断面図である。
【図6】チャックの動作を示す正面図である。
【図7】同平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1はヒートシール装置を含む梱包装置の正面図である。この例の梱包装置は円筒状の容器1の内部に入れられた袋2をヒートシールして密封するものである。梱包装置は、ヒートシール装置3と、袋立上げ部材4と、チャック5と、脱気ノズル6を備えている。
【0011】
図2はヒートシール装置を示す平面図、図3は同断面図である。ヒートシール装置3は、第1ヒートシールバー7と第2ヒートシールバー8を平行に備えている。第1ヒートシールバー7はステンレス鋼など金属製の四角パイプ材でできた接触部材9を有する。この接触部材9の内部は中空であり、熱媒流路10が形成されている。接触部材9の一端部には熱媒流入口11が、他端部には熱媒流出口12が設けられ、耐熱ホース13によって熱源(図示省略)に接続されており、加熱された熱媒が接触部材9内の熱媒流路10に供給されるようになっている。熱媒としては、さまざまな流体が利用できるが、本例では温水を使用する。したがって、この梱包装置が設置された施設がボイラーを備えている場合は、そのボイラーから温水を熱媒として供給してもよい。接触部材9には温度センサー14が設けられており、接触部材の温度を検出する。温度センサー14は制御器(図示省略)に接続されており、温度情報に基いて熱媒の流量を調整し、接触部材9の接触面を所定の温度に制御する。
【0012】
第2ヒートシールバー8も第1ヒートシールバー7と同程度の長さを有し、第1ヒートシールバー7に対向する面には柔軟なシリコン樹脂15が設けられている。
【0013】
ついで、袋立上げ部材4について説明する。袋立上げ部材4は左右に対象に一対で設けられいる。袋立上げ部材4は、本体部16と棒状部材17を有する。本体部は、間隔をおいて設けられた2つの凹部18と3つの凸部19を有する。棒状部材17は本体部16に対して接近・離反するように平行移動可能となっている。袋立上げ部材4は、支持部材20によって図1において左右および上下に移動することができ、また、支点21を中心に回転することができる。
【0014】
つぎに、この梱包装置を用いたヒートシールの方法の例について説明する。あらかじめ、容器1内に袋2を入れ、さらにこの袋2に梱包の対象となる内容物を充填しておく。この作業は別途自動化機械を設けて自動的に行ってもよく、手動で行ってもよい。容器1の外壁にそって袋2の上部は折り返されている。ここで使用される袋2は熱によって溶着されるプラスティックフィルムで作られている。例えばチューブ状のプラスティックフィルムの下部を溶着して形成された袋などが使用できる。また紙袋などプラスティック以外の素材の袋でもよいが、この場合少なくとも上部の閉じる位置の内側には熱溶着できるプラスティックフィルムが貼り付けられている。
【0015】
プラスティックフィルムは低温溶着できるものが好ましい。特に本例では熱媒として温水を使用するので、ポリビニールアルコール(PVA)を主成分とした100℃以下で溶着できるようなプラスティックフィルムを使用している。
【0016】
図4は、梱包装置の動作を示す概要図である。容器1が所定の位置にセットされたら、一連の動作を開始させる。まず、袋立上げ部材4を移動させ、棒状部材17を容器1の外壁と袋2の折り返し部の間に挿入する(図4a)。図5は、容器の一部を示す断面図である。容器1の一部に2本の山部22が高さ方向に沿って設けられており、この2本の山部22の間に溝23形成されている。また、吸引ノズル24によって袋2の折り返し部は引っ張られており、溝23内に入り込まないようになっている。容器断面の反対側にも同様の構造が形成されている。そして、袋2の折り返し部下端より袋立上げ部材4の棒状部材17は溝23内に進入する。ついで、棒状部材17を袋立上げ部材4の本体部16に接近させて袋2の折り返し部を保持する。脱気ノズル6が下降し、先端部が容器1の内部に入る。
【0017】
袋2の折り返し部を袋立上げ部材4の棒状部材17と本体部16の間に挟んで保持しながら、袋立上げ部材4を上昇させるとともに左右に開く。このとき、さらに支点21を中心に袋立上げ部材4を回転させて上下逆にする。このようにして、袋2の上端部は容器1の上において左右に引っ張られた状態になる(図4b)。
【0018】
ついで、チャック5が外側から袋立上げ部材4に接近する。図6はチャックの動作を示す正面図、図7は同平面図である。左右ともチャック5は上下に所定の間隔をあけて2基ずつ設けられている。そして、それぞれのチャック5が袋立上げ部材の凹部18の位置に進入し、袋2の上端部をつかむ(図4c)。
【0019】
チャック5によって袋2の上端部が保持されたら、袋立上げ部材4は上方に退避する。チャック5によって左右に引っ張られることによって、袋2の上端部は閉じた状態になる。脱気ノズル6によって袋2の内部の空気を吸い出す。脱気が終了すると脱気ノズル6は上方に退避する。
【0020】
ここで、ヒートシール装置3が作動する。図4a〜cにおいてヒートシール装置は表示していなかったが、図4cにおける袋2の上端部に対して奥側に第1ヒートシールバーが待機しており、手前側には第2ヒートシールバーが待機していた。互いに離れていた第1ヒートシールバー7と第2ヒートシールバー8は接近し、袋2の上部を挟み込む(図4d)。上下のチャックの間に第1ヒートシールバー7と第2ヒートシールバー8は進入する。
【0021】
第1ヒートシールバー7の熱媒流路10には加熱された温水が供給されており、接触部材9の接触面は85℃以上に昇温されている。この接触部材が接触することによって袋2を構成するプラスチックフィルムが溶着してヒートシールされる。
【0022】
ヒートシールが完了すると、チャック5、第1ヒートシールバー7、第2ヒートシールバー8はそれぞれ待機位置へ戻る。このとき、エアノズル(図示省略)によって上方より空気を袋2の上端部に吹き付けて持上げられていた袋2の上端部を容器1内に押込む。以上で、1つの容器についての作業が終了する。以降、容器を入れ替えて同様の作業を繰り返す。
【0023】
この実施の形態においては、温水で接触部材9の接触面を加熱してヒートシールを行うので、発火や爆発を誘引する惧れがなく、安全に作業を行うことができる。多くの工場はボイラーを備えており、温水の供給は容易かつ安価に行える。
【0024】
なお、この発明の適用は上述の実施の形態に限定されない。熱媒として、水蒸気やオイルなどを使用してもよい。また、容器は円筒形以外に、箱状のものでもよく、さらに、容器を使用せずに内容物を袋に充填したものでもよい。実施の規模は大小さまざまに選択でき、ゴム製品の中間材料の包装のような大規模実施でもよく、調剤された医薬品の包装のような小型な装置としても利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、発火や爆発を誘引する惧れがない安全なヒートシール装置として利用することができる。粉体や化学品の保管のためのヒートシールをはじめ、さなざまな内容物の梱包・包装のためのヒートシール装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1.梱包装置
2.容器
3.ヒートシール装置
4.袋立上げ部材
5.チャック
7.第1ヒートシールバー
8.第2ヒートシールバー
9.接触部材
10.熱媒流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスティックフィルムに接触するための一対の棒状の接触部材を有し、少なくとも一方の接触部材はその接触部材を加熱するための温水が流れる熱媒流路を有する金属パイプであり、水を加熱する熱源が接触部材から離れて設けられているヒートシール装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートシール装置を用いたヒートシール方法であり、ポリビニールアルコール(PVA)を主成分としたプラスティックフィルムを使用し、温水を熱媒流路に温水に供給して接触部材9の接触面を85℃以上に昇温し、この接触部材を接触させることによってプラスティックフィルムを溶着するヒートシール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−280446(P2010−280446A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208674(P2010−208674)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【分割の表示】特願2005−112673(P2005−112673)の分割
【原出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(502099142)ファステムエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】